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2012年10月16日火曜日

水を飲むときにじゃまな人(ウォルター・シュロス)

カナダの新聞The Globe and MailのWebサイトで、少し前にウォルター・シュロスの話題が取り上げられていたので、ご紹介します。なお同氏の成績は、過去記事「ウォルター・シュロスの投資成績」で触れています。(日本語は拙訳)

How to beat the market, with patience and ugly stocks
(辛抱づよさと魅力のない銘柄で、市場に勝つ方法)

1950年代にシュロス氏が自身の小ぶりなパートナーシップを始めるにあたって、彼はマンハッタンにあるバリュー志向の投資会社トゥイーディー・ブラウンの事務所に間借りさせてもらった。彼の居場所は正面ドアと冷水機の間だった。そこで座っていると、他の人が水を飲みにくるたびに身をかがめなければならなかった。やがて彼は小さな事務所へ引っ越した。息子のエドウィンがいっしょに働くようになるまで、秘書も事務員も会計係も雇わずに働きつづけた。

シュロス氏の調査資料には、企業の出す会計報告書と投資情報サービスを提供するバリューラインの古本が含まれていた。彼は企業の担当者に面会しに行ったり、経営陣と対談をすることはなかった。公開されている情報と自分の判断を頼りとしたのだ。(中略)

彼がそのようなすぐれた成績をあげられたのは、実直なやりかたをとことん貫いたおかげかもしれない。彼はまず、前年及びこの数年間の両方で新安値を更新した株式をさがした。次にその候補の中から、ビジネスモデルが単純で理解でき、負債が少なく、簿価より安い値段で取引されているものを選別した。また各企業の直近10~15年分の会計報告書を調べ、経営姿勢が欲深かったり倫理に反している企業、また失敗に終わりそうな製品を扱っている企業を除外した。

When Mr. Schloss decided to open his own modest partnership in the 1950s, he found space in the offices of Tweedy Browne, another value-oriented investing firm in Manhattan. He sat between the front door and the water cooler. If someone wanted a drink, Mr. Schloss had to scrunch up to let them by. He eventually moved into a modest office where he worked without a secretary, clerk or bookkeeper until he was joined by his son Edwin.

Mr. Schloss’s research materials included company financial reports and second-hand copies of Value Line, an investment advisory service. He didn’t travel to see companies or talk to management. Instead he relied on public information and his own judgment.

He generated these outstanding returns by methods that seem almost painfully straightforward. He started by looking for stocks trading at new lows both over the last year and over the last several years. He then winnowed down these candidates by looking for companies with simple, understandable business models and little debt that were trading below book value. He reviewed each company’s financial statements over the last 10 to 15 years and tried to avoid firms with greedy or unethical management and those with products that seemed likely to fail.

4 件のコメント:

  1. == No title ==
    こんばんは。
    ugly stocksか・・シュロスはなんか落ち着きがあって良いですね。
    しかし、「各企業の直近10~15年分の会計報告書を調べ、経営姿勢が欲深かったり倫理に反している企業、また失敗に終わりそうな製品を扱っている企業を除外した。」とは、あまり知らなかったような気がします。シュロスは「消極的」に定性分析をしていたのですね。
    面白い記事です。

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  2. == bfさん、コメントありがとうございます ==
    bfさん、こんにちは。
    シュロスといえば師匠と同じように分散投資が思い浮かびますが、こうしてみるとベン・グレアムのやりかたとは一味違いますね。彼の生活信条がそのまま反映されているような、手堅い印象をうけました。
    bfさんのおっしゃるように、「大人の投資家」といった佇まいを感じます。
    またよろしくお願いします。短いですが、これにて失礼致します。

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  3. == No title ==
    こんばんわ。シュロスの記事はなんだか嬉しくなりますw
    シュロスの分散投資は確か100銘柄にもなったとバフェットが言っていたと思うのですが、bf様もおっしゃられている様に消極的定性分析をしていたのは意外でしたね。これやっちゃうと、ネットネット水準の株なんてほとんど当てはまらない様にも思うんですが、どうなんでしょうかね。
    シュロスはたしかこの動画で日本株にも投資してる(?)的な事いっていた様な・・
    http://www.youtube.com/watch?v=ogAxzPaU5H4

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  4. == isさん、こんにちは ==
    isさん、いつもありがとうございます。
    「あやしい企業は外す」とするシュロスの姿勢は常識的で、個人的には共感できます。ただしisさんのいわれるように、対象企業がずいぶんと絞りこまれそうですね。100銘柄というのは、実際はどうだったのでしょうかね。
    ウォーレンの動画のほうをご紹介いただき、ありがとうございました。10回に分割してあるようなので、少しずつ視聴してみます。
    またよろしくお願いします。それでは失礼致します。

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