<ウォーレン・バフェット> 飛行機が多すぎるのです。数か月前に発注が下されて合意がなされたときには、そのような状況ではありませんでした。しかし航空会社にとって世界は変化してしまいました。彼らにはうまくいってほしいと思いますが、しかし航空会社は当社が保有する事業のひとつでした。当社が直接保有している企業のなかには、これから大きな傷を負うことになる会社もあります。例のウィルスはバークシャーの資金を奪っていきます。「株式だから資金が減る」という意味ではありません。それは事業によってさまざまです。たとえばXYZという会社の株を保有していて、つまり一事業として保有しており、その会社を気に入っているとします。しかしXYZ社の株価が20%あるいは40%下落しても、その状況で損をしたとは感じません。一方で、今回実際に航空会社に起こったという意味では、まるで100%保有している会社であるかのように、痛手を受けたと感じました。
これで、航空会社株の売却に関する話はおわりです。他とくらべると少額なほうでしたが、この売却は今後の市場を予想した上で行ったわけではないことを、株主のみなさんにはよく理解していただきたいと思います。バークシャーの状況について、ざっとお話しできたかと思います。それではここからは、本総会における公式の議事を進めます。それらが済んだ後に、ベッキーの手元に質問がいろいろと寄せられていれば、質疑応答の時間を十分に用意してありますので、そちらで取りあげます。なお、公式の議事を進める間は興味津々な内容ということはありません。ですから、今ごらんになっている場所からご自由に離れてくださってかまいません。ベッキーに質問を送りたい方は、画面上に彼女の連絡先を掲げておきますので、ごらんください。サンドウィッチなどをこしらえるというのであれば、わたしどもは先に進んでおります。あるいは、公式議事をごらんになってもらってもかまいません。それでは始めましょう。長くはかかりません。その後に、質疑応答の部へ進みます。
(スピーチの部、おわり)
(Warren Buffett 01:45:26)
So you've got too many planes, but it didn't look that way when the orders were placed a few months ago, when arrangements were made. But the world changed for airlines and I wish them well, but it's one of the businesses we have. We have businesses we own directly that are going to be hurt significantly. The virus will cost Berkshire money. It doesn't cost money because of our stock. And various other businesses moves around. I mean, if XYZ, which say is one of our holdings and we own it as a business and we liked the business. The stock was down 20 or 30 or 40%. We don't feel we're poor in that situation. We felt we were poor in terms of what actually happened to those airline businesses just as if we don't a hundred percent of them. [as if we'd owned?]
(Warren Buffett 01:46:23)
So that explains those sales, which are relatively minor, but I want to make sure that nobody thinks that involves a market prediction. And that pretty well wraps it up for Berkshire. So now we move into the formal part of the meeting, which will be followed by a fairly extended question and answer period if there are a lot of questions with Becky. And while we're doing this formal part of the meeting, it's not too exciting. So feel free to leave whatever you're viewing this through, and if you want to send questions to Becky, we'll keep her contact information up on the screen. Or if you want to fix yourself a sandwich or do anything else, we will now move... Or you can pay attention to the formal part of the meeting. But we will do this, and it won't take too long, and then we will move on to the question and answer meeting.
2020年7月9日木曜日
2020年バークシャー株主総会(42)株式市場予測に基づいた売却ではない
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、今回でウォーレン・バフェットのスピーチはおわりです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
2020年7月8日水曜日
2020年バークシャー株主総会(41)航空業界に残る問題
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、航空業界への投資を引き揚げた件についてです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
本当のところ、航空会社のCEOという仕事は楽しいものではありません。しかし当社が買ったどの会社もよく経営されていました。たくさんのことを適切に遂行していました。なんといっても難しい事業です。毎日何百万人もの人が関わっており、そのうちの1%の人にまずいことがあれば、ずいぶんと残念な気持ちになってしまいます。ですから、航空会社のCEOの座に就いている人をうらやましいと思ったことはありません。特に今回のような時期においては、なおさらです。基本的には「飛ぶな」と言われている業界です。わたしも「しばらくは飛行機禁止」と言われました。飛行が再開されるのを期待しております。ただし定期便ではないかもしれませんが、それは別の話題になりますね。わたしの思いこみかもしれませんし、そうであってほしいとは思いますが、航空業界は非常に大きく変化したと思います。4社のそれぞれが平均100億から120億ドル以上の借入れをすると予想されることを考えると、明らかに実状が変わってしまいました。
その借金は、一定の期間にわたって利益から返済しなければなりません。つまりそのようなことになれば、100億から120億ドルの損失になります。新株を売るか、新株予約権を売らざるを得ない事態も考えられます。それでは逆に悪くなってしまいます。飛行機を使う人が増えることで、2,3年後には旅客マイルが昨年の水準に戻るのかどうか、わたしには判断できません。そうなるかもしれないし、ならないかもしれません。航空会社自体にはまったく問題がないことがわかったとしても、わたしにとって業界の未来はずいぶんと曖昧なものになってしまいました。つまり今回は確率の低い事象が起こったわけです。そのことで特に旅行業界やホテル業界、クルーズ業界、テーマパーク業界が傷を負いましたが、特にひどいのが航空業界でした。しかし商売が7割から8割回復したとしても、航空業界には依然として問題が残ります。航空機が消えずに残っている点です。
(Warren Buffett 01:43:01)
I mean, believe me, no joy being a CEO of an airline, but the companies we bought are well managed. They did a lot of things right. It's a very, very, very difficult business because you're dealing with millions of people every day, and if something goes wrong for 1% of them, they are very unhappy. So I don't envy anybody the job of being CEO of an airline, but I particularly don't enjoy being it in a period like this, where essentially nobody... People have been told basically not to fly. I've been told not to fly for a while. I'm looking forward to flying them. May not fly commercial, but that's another question. The airline business, and I may be wrong and I hope I'm wrong, but I think it changed in a very major way, and it's obviously changed in the fact that there're four companies are each going to borrow perhaps an average of at least 10 or 12 billion each.
(Warren Buffett 01:44:11)
You have to pay that back out of earnings over some period of time. I mean, you're 10 or $12 billion worse off if that happens. And of course in some cases they're having to sell stock or sell the right to buy a stock at these prices. And that takes away from the upside down. And I don't know whether it's two or three years from now that as many people will fly as many passenger miles as they did last year. They may and they may not, but the future is much less clear to me, [inaudible 00:02:52], how the business will turn out through absolutely no fault of the airlines themselves. That's something that was a low probability event happened, and it happened to hurt particularly the travel business, the hotel business, cruise business, the theme park business, but the airline business in particular. And of course the airline business has the problem that if the business comes back 70% or 80%, the aircraft don't disappear.
2020年7月7日火曜日
2020年バークシャー株主総会(40)わたしの間違いでした
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、ウォーレン・バフェットの実質的な謝罪会見です。 このように誠実な態度を示せるリーダーのもとでは、真っ当な文化が育まれていると期待したいものです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
今回の発言で個人的に注目したのは、チャーリー・マンガーの指摘を裏付ける箇所でした。今となっては基本的なことですが、それでも事実が確認できるというのはうれしいことですね。
・反射的に、にょきにょきと枝をのばす(チャーリー・マンガー)
<ウォーレン・バフェット> そうしたのは基本的に、だれかが目標価格を変更したり、今期の利益予想を変更したことで、「株式市場は下落するか、今の状態で進むだろう」と考えるようになったからではありません。「企業の価値を評価する際に自分がまちがっていた」と判断したからです。それは原因が究明できる失敗でした。株式を買ったときには、確率で重みづけした上で決定をくだしました。そして航空業界にわたって投資していた時には、十分な見返りを得ていました。
最大手の航空会社4社を合算したとして、その10%ほどを購入しました。4月に実行[売却]したのは100%ではないですが、大手4社の10%を購入するために70億から80億ドルを支払いました。
当社としては、10億ドルほどの利益を得ていると考えていました。10億ドルの配当金を受け取ったわけではないですが、持分に相当する利益の額はおよそ10億ドルだとみなしていました。そしてある程度の期間でみれば、その金額を上回る年のほうが下回る年よりも多いだろうと予想していました。当然ながら周期的な変動はあるでしょうが、会社全体を買ったと想定して利益のことを考えていました。しかし当社はニューヨーク証券取引所で株式を買ったので、実際には4社全体の10%程度しか買えませんでした。わたしどもの心のなかでは、その事業を本当に保有しているかのように考えてきました。そして今回、わたし自身が事業のことをまちがってとらえていたという結果になりました。優秀なる4名のCEO諸氏が失敗をおかしたわけではありません。
(Warren Buffett 01:41:07)
And that's basically, that isn't because we thought the stock market was going to go down or anything of this order because somebody changes their target price or they change this year's earnings forecast. I just decided that I'd made a mistake in evaluating. That was an understandable mistake. It was a probability-weighted decision when we bought that, we were getting an attractive amount for our money when investing across the airlines business.
(Warren Buffett 01:41:43)
So we bought roughly 10% of the four largest airlines, and we probably... This is not 100% of what we did in April, but we probably paid $7 or $8 billion and then somewhere between $7 and $8 billion to own 10-
(Warren Buffett 01:42:03)
And somewhere between seven and eight billion to own 10% of the four large companies in the airline business, and we felt for that, we were getting a billion dollars roughly of earnings. Now we weren't getting a billion dollars of dividends, but we felt our share of the underlying earnings was a billion dollars and we felt that that number was more likely to go up than down over a period of time. It would be cyclical obviously, but it was as if we bought the whole company. But we bought it through the New York Stock Exchange, and we can only effectively buy 10% roughly of the four. And we treat it mentally exactly as if we were buying a business. And it turned out I was wrong about that business because of something that was not in any way the fault of four excellent CEOs.
今回の発言で個人的に注目したのは、チャーリー・マンガーの指摘を裏付ける箇所でした。今となっては基本的なことですが、それでも事実が確認できるというのはうれしいことですね。
・反射的に、にょきにょきと枝をのばす(チャーリー・マンガー)
2020年7月6日月曜日
企業の成長性と価値評価の関係(後)(マイケル・モーブッシン)
マイケル・モーブッシンのエッセイより、今回で最後です。「成長投資」という言葉を株主の立場からみつめなおす話題です。あっさりとした内容の文章に読めますが、企業へ長期的に投資をして大きな利益をあげる上で、この話題は核心になるものだと、個人的には考えています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
ここでいったん、文中で登場する用語を説明する文章に移ります。「標準PER倍率(commodity P/E multiple)」という用語についてです。
以下、本文に戻ります。
<ROIIC>
さらにここからは、ROIICの予想値が変化するとどのような影響がでるのか見てみよう。NOPAT(税引後営業利益)成長率が10%と仮定した状況に戻って、異なるROIICを設定することで保証PER倍率がどうなるのか検討していく。
ROIIC. We now turn to seeing the impact of changing assumptions about ROIIC. We’ll revert back to our 10 percent baseline NOPAT growth and consider the warranted P/E multiples assuming different ROIICs.
ここでいったん、文中で登場する用語を説明する文章に移ります。「標準PER倍率(commodity P/E multiple)」という用語についてです。
標準PER倍率(commodity P/E multiple)の基礎的な例から始めよう。この値は「年あたり1ドルの利益を生み出すが、今後は新たな価値を創出しない永久債として扱うべきもの」に対して支払う金額の倍率である。これを求めるには、資本コストの逆数を乗算すればよい。たとえば資本コストが8%であれば、標準PER倍率は12.5になる(1 / 0.08 = 12.5)。
Let’s start with the basic example of the commodity P/E multiple. This is the multiple you should pay for $1 of earnings into perpetuity assuming no value creation. You calculate the multiple by taking the inverse of the cost of equity capital. For example, if the cost of equity is 8 percent, the commodity P/E multiple is 12.5 (1/.08 = 12.5).
以下、本文に戻ります。
図4にその結果を示す。この条件における標準PER倍率が14.9であることに留意してほしい[6.7%の逆数]。それでは考えを進めてみよう。ROIICは、予想成長率を達成するために資金をどれだけ投下すべきかを示している。ROIICが高ければ、成長に対する投資はそれほど必要ではない。つまり、株主に回すことのできる現金が多く残る。その反対にROIICが低いと、成長を果たすための資金が余計にかかり、株主用の現金が少なくなる。
バフェットは、成長することが「好影響になることもあるし、悪影響になることもある」と付け加えた。ROIICが資本コストを下回っていれば、成長は[価値に対して]悪影響を与える。そのような企業は1ドルの資本を費やすことで、1ドル未満の価値を手にいれるのだ。その場合、企業の成長が急速であるほど、より多くの財産が失われていくことになる。
上記の図は「ROIICが資本コスト6.7%に満たないと、株価のPER倍率が標準倍率を下回る」ことを示している。企業買収の例がこれに当てはまる。一般に買収を実現することで、買い手からすれば利益は増加するものの、[企業]価値は下落する。つまり「ROIICの低い投資を実施している企業は、株価倍率を標準倍率へ押し下げている」と、みなすことができるだろう。
Exhibit 4 shows the results. Recall that the commodity P/E is 14.9. Here’s the way to think about it: ROIIC tells you how much you have to invest to achieve an assumed growth rate. A high ROIIC means you don’t need to invest much to grow, which means there’s more cash left over for shareholders. A low ROIIC means you have to invest a lot of capital to grow, leaving little for the owners.
Buffett added that the impact of growth “can be negative as well as positive.” Growth is a negative when the ROIIC is below the cost of capital. In that case, a company is spending $1 worth of capital to attain less than $1 of value. The faster the company grows the more wealth it destroys.
The exhibit shows that an ROIIC below the cost of capital of 6.7 percent yields a P/E multiple below the commodity multiple. Acquisitions are again a case in point. For buyers, M&A deals commonly add to earnings growth but subtract from value. You can think of low-ROIIC investments as pushing down the P/E multiple of a company’s stock toward the commodity multiple.
2020年7月5日日曜日
2020年バークシャー株主総会(39)4月はずいぶん売りました
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、FEDの救済をよそに、ウォーレン・バフェットが今回の危機に直面して取った行動について説明しています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
<ウォーレン・バフェット> しかし、わたしどもはバークシャーで準備をしていました。あれほどまでに行動できる議長がFEDにいない場合を想定して、つねに備えてきました。わたしどもはあらゆることに備えたいと考えています。そのことが、現金や債券で1,240億ドル分を保有している説明の一部になっていると思います。ですから当社には、そのすべてが必要なわけではありません。
しかし当社は他人のやさしさのみならず、友人のやさしさにも頼りたくないと考えています。次のスライドは株式に関する行動についてですが、年初における資産の市場評価額は5,000億ドルに近かったので、その規模から考えてみれば小さな金額でした。購入した自社株は17億ドルでした。また株式の購入は売却を20億ドルほど上回りました。
先ほどのスライドでみたように、営業利益は60億に近い50億ドル台でした。ですから第1四半期にはほとんど何もしていません。そしてスライドをもうひとつ加えましたが、これは通常公表していないものです。しかし、投資や株式についていつもよりお話しするのは、バークシャーが実際に行っていることを知ってほしいからです。それで4月はどうだったかと言いますと、正味60億ドルほどの証券を売却しました。
(Warren Buffett 01:39:16)
But we're prepared at Berkshire. We always prepare on the [ad 01:39:20], on the basis that maybe the Fed will not have a chairman that acts like that. And we really want to be prepared for anything. So that explains some of the $124 billion in cash and bills. We don't need it all.
(Warren Buffett 01:39:39)
But we never want to be dependent on not only the kindness of strangers but the kindness of friends. Now, in the next slide, we have the what we did in equities, and these numbers are tiny when you get right down to it. I mean, for having $500 billion or so in net worth and... I mean, not net worth, but in market value at the start of the year or something close to that. We bought in $1.7 billion of stock, and our purchases were a couple of billion more than our sales of equities.
(Warren Buffett 01:40:26)
But as you saw in the previous slide, we had operating earnings of $5, almost $6 billion. So we did very little in the first quarter. And then I've added in another figure, which I wouldn't normally present to you. But I want to be sure that if I'm talking to you about investments and stocks more than I usually have, I want you to know what Berkshire's actually doing. Now, you'll see in the month of April that we net sold $6 billion or so of securities.
2020年7月4日土曜日
2020年バークシャー株主総会(38)3月23日、FEDが決断した日
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、FEDが3月23日に決断したことに対して、ウォーレン・バフェットがお礼を述べています。まさしく2008年の再来です。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
<ウォーレン・バフェット> そして3月に市場が基本的に凍りついたときに、中旬過ぎには若干閉場されましたが、FEDが3月23日に各種の行動を起こしたことで、わたしの記憶では社債発行額が史上最大となった月間になりました。そして4月にはさらに増加しました。あらゆる種類の企業が市場に現れ、金利スプレッドが狭まるなかで闇雲につかんでいきました。3月後半や4月に社債を発行したあらゆる者たちの一員として、わたしはFEDへ感謝の手紙を送りました。もしもFEDが実際に破格の速度と決断をもって実行していなければ、そうはならなかったからです。
今後はFEDの膨張したバランス・シートが何をもたらすのか、その成り行きをみていくことになります。そのバランス・シートは毎週木曜日に更新されますので、わたしと同じようなちょっと変わった人には楽しく読めると思います(笑)。毎週木曜日にインターネット上で更新されていますが[H.4.1, トレンド図]、この6,7週間で劇的に変化したことがみてとれます。
先ほど申し上げたように、この行く末がどうなるのかは、だれにも正確にはわかりません。また彼らが是が非でもやるべきことの次第についても、だれにもわかりません。しかし何もしないことが何をもたらすのか、わたしたちは知っています。それがために過去のFEDは、何もしないでいるかわりに、何か不適切なことをすることが多かったのかもしれません。しかし[音声不明瞭。ユーロ下落?]の進行がヨーロッパやFEDに何をもたらそうと、彼らが3月にとりあえず手を打ってケリをつけたことに対して、わたしたちは深く感謝するばかりです。
(Warren Buffett 01:37:17)
And then March, when the market had essentially frozen, closed a little after mid-month, ended up, because the Fed took these actions on March 23rd, it ended up being the largest month for corporate debt issuance I believe in history. And then April followed through with even a larger month. And you saw all kinds of companies grabbing everything, coming to market and spreads actually narrow then. And every one of those people that issued bonds in late March and April, I sent a thank you letter to the Fed because it would not have happened if they hadn't operated with really unprecedented speed and determination.
(Warren Buffett 01:38:10)
And we'll know the consequences of swelling the Fed's balance sheet. You can look at the Fed's balance sheet. They put it out every Thursday. It's kind of interesting reading if you're sort of a nut like me. But it's up there on the Internet every Thursday. And you'll see some extraordinary changes there in the last six or seven weeks.
(Warren Buffett 01:38:35)
And like I say, we don't know what the consequences of that, and nobody does exactly. And we don't know what the consequences of what they undoubtedly will have to do. But we do know the consequences of doing nothing. And that would've been the tendency of the Fed in many years past, not doing nothing, but doing something inadequate. But more [inaudible 01:39:00] brought the whatever it takes to Europe and the Fed, then with March, sort of did whatever it takes, squared, and we owe them a huge thank you.
2020年7月3日金曜日
2020年バークシャー株主総会(37)ポール・ボルカーとジェイ・パウエル
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、ひきつづき金融市場で起こっていた麻痺寸前の状況についてです。1時間半以上にわたったウォーレン・バフェットのスピーチですが、そろそろ終わりがみえてきました。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
そして米国債市場が、つまりもっとも深みのある市場が混乱しはじめました。この国のすべての銀行や企業のCFOがそれを知り、恐れおののきながら反応しました。「恐れ」ほど伝染しやすい病気が想像できるでしょうか。まるで、例のウィルスが怠け者に見えるほどです。
そしてとうとう、信用を当てにしていた世界中の大企業各社に対する貸付が、全面的に凍結される寸前まで至りました。そのときジェイ・パウエルがすばらしい行動を起こしてくれたのです。わたしは常々ポール・ボルカーを特別な地位、つまりFRBの議長を長年にわたって務めたという点で、彼を特別な台座に据え奉ってきました。FEDの議長にはすばらしい人が数多くいましたが、わたしはポール・ボルカーを最上位に位置づけてきました。ここで今回、もう一人を推挙したいと思います。なお、きちんとは覚えていませんが、ポール・ボルカーが亡くなったのは、まだ1年経っていない頃か、あるいはもう少し最近のことでした。
しかし亡くなった時期からそれほど離れていない頃に、彼は"Keeping at it"(邦訳『ボルカー回顧録』)という題名の本を著していました。[先述した]ブックワーム書店でわたしの友人に聞いてみればその本が手に入りますので、ぜひ楽しんでください。ポール・ボルカーは数多くの点で巨人でしたし、魅力的な人物でもありました。彼とジェイ・パウエルは過敏さなどに対してそれほど注意を払いませんでしたが、それでもわたしとしては、ジェイ・パウエルはボルカーと共に台座に据え奉るべき人物だと考えています。なぜなら彼は3月中旬に行動を起こしたからです。おそらくは2008年と2009年に目撃した出来事によって、いくぶん導かれたのでしょう。彼らは甚大な策を講じました。そして、その後に起きたことについてはその歩みに任せることを、基本的に許可したのです。
(Warren Buffett 01:35:13)
We got to the point where the U.S. Treasury market, the deepest of all markets, got somewhat disorganized. And when that happens, believe me, every bank and CFO in the country knows is, and they react with fear. And fear is the most contagious disease you can imagine; it makes the virus look like a piker.
(Warren Buffett 01:35:41)
And we came very close to having a total freeze of credit to the largest companies in the world who were depending on it. And to the great credit of Jay Powell, I've always had Paul Volcker up on a special place, special pedestal in terms of Federal Reserve chairman over the years. We've had a lot of very good Fed chairmen, but Paul Volcker, I had him at the top of the list. And I'll recommend another, but Paul Volcker died about, I don't know, less than maybe a year ago or a little less.
(Warren Buffett 01:36:18)
But not much before he died, he wrote a book called Keeping at it. And if you call my friends at the Bookworm, I think you'll enjoy reading that book. Paul Volcker was a giant in many ways. He was a big guy too. He and Jay Powell, couldn't see more in temperament or anything, but Jay Powell, in my view, in the Fed board belong up there on that pedestal with him because they acted in the middle of March, probably somewhat instructed by what they'd seen in 2008 and '09. They reacted in a huge way and essentially allowed what's happened since that time to play out the way it has.
2020年7月2日木曜日
企業の成長性と価値評価の関係(中)(マイケル・モーブッシン)
マイケル・モーブッシンのエッセイをもう少し取り上げます。今回の文章では、前回分の投稿で取り上げた割引キャッシュフロー・モデルを使い、事業の予想成長率が低下したときの価値評価をみています。(日本語は拙訳)
<成長性>
それではここで、予想成長率を10%から7%へと低下させてみよう。なお、基準年の利益を100ドルとしている。
今期末の予想利益 PER 利益成長率 変更前 変更後 変更前 変更後 10% → 7% $110 $107 32.3 24.9
注目すべき点は、利益成長率が2.7%しか低下していないのに、そこから保証されるPER倍率は激しく急落して、22.9%も減少している点だ。投資家というものはPER倍率を算出する際に、現在の株価と来年[つまり今期末]の利益を使うことが多い。その結果、「次の利益はわずかな変化にとどまるようだが、それと比較すると市場は過剰に反応している」と思いこむことがある。しかし、PER倍率が大きく下落したように見えても、成長の足取りに対する期待がしぼんでしまえば、それは完全に正当化される。
(中略)
上述した計算は、バフェットが指摘した次のことを裏付けている。「価値(バリュー)を求める計算には、成長(グロース)という変数を必ず含んでいる。その変数は計算結果に対して、『軽微』以上『甚大』以下の影響を及ぼす」。資本コスト程度のリターンしか得られない事業では、価値を求める上で成長性はほとんど違いをもたらさない。しかし、投下資本に対して高いリターンをあげる事業では、成長性は価値を大きく増大させる。
Growth. Let’s start by reducing the growth rate from 10 percent to 7 percent. We’ll assume the base year earnings are $100.
Next year’s earnings P/E Growth Before After Before After 10% → 7% $110 $107 32.3 24.9
Note that the change in growth reduces next year’s earnings by only 2.7 percent, but that the warranted P/E multiple drops a more precipitous 22.9 percent. Investors often calculate the P/E multiple using the current price and next year’s earnings. As a result, they sometimes believe that the market overreacts to what appear to be modest changes in the near-term earnings. But if expectations for the trajectory of growth really do shift down, the large apparent drop in the P/E multiple is completely justified.
(snip)
This calculation substantiates Buffett’s point that, “Growth is always a component in the calculation of value, constituting a variable whose importance can range from negligible to enormous.” Growth makes little difference for businesses that earn a return close to the cost of capital but is a huge amplifier of value for high-return businesses.
2020年7月1日水曜日
2020年バークシャー株主総会(36)欲望という名の電車
バークシャー・ハサウェイの株主総会より、ここからは今年3月に金融市場で起こっていた状況をウォーレン・バフェットが語ってくれます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)
<ウォーレン・バフェット> ですから、わたしどもがバークシャーに望んでいる位置とは..、『欲望という名の電車』に登場するブランチ・デュボアを覚えておられますか。多くの方が生まれるよりもずっと前の作品ですね。しかし彼女は「あの人たちを望んではいない」と言いました。ブランチの場合、「私はいつも他人のやさしさを頼りにしてきた」と言っていましたが、当社は友人の好意に頼りたいとは考えていません。なぜならば、資金がほとんど止まってしまう時期というものがあるからです。おもしろいことに、そういった例がひとつありました。もちろん2008年から2009年のことです。
しかし今年の3月23日の前日あるいは前々日には、それと非常に近い状況になりました。投資適格の諸企業が市場から実質的に締め出されようとしていたのです。ところが幸運なことに、その状況を連銀が把握していました。
米国じゅうの企業のCFOは株主資本の最大化をある種問われつづけてきたので、ある程度の資金は社債によって調達していました。なぜなら非常に安上がりな上に、銀行からの融資枠などが用意されていたからです。そのため多くの企業において、債務が相当な水準まで漸増していました。
当然ながら彼らは市場で起こったこと、特に株式市場の様子を知って縮みあがりました。そして、融資枠から引き出そうと殺到したのです。融資枠の期間を延長しようとしていた者たちはそのことに驚き、非常に神経質になりました。そして3月中旬に資金貸出要求が殺到したことで、それを受け入れるウォール街の余力は限界まで収縮しました。そしてついには各種市場を監視していた連銀が、非常に大きな行動をとるべきだと決断したのです。
(Warren Buffett 01:32:44)
So we want to be in a position at Berkshire where... Well, you remember Blanche DuBois in A Streetcar Named Desire - That goes back before many of you. But she said she didn't want them. In Blanche's case, she said that she depended on the kindness of strangers. And we don't want to be dependent on the kindness of friends even because there are times when money almost stops. And we had one of those, interestingly enough. We had it, of course, in 2008 and '09.
(Warren Buffett 01:33:32)
But right around in the day or two leading up to March 23rd, we came very close but fortunately we had a Federal Reserve that knew what to do, but money was... investment-grade companies were essentially going to be frozen out of the market.
(Warren Buffett 01:34:03)
CFOs all over the country had been taught to sort of maximize returns on equity capital, so they financed themselves to some extent through commercial paper because that was very cheap and it was backed up by bank lines and all of that. And they let the debt creep up quite a bit in many companies.
(Warren Buffett 01:34:22)
And then of course they had the hell scared out of them by what was happening in markets, particularly the equity markets. And so they rushed to draw down lines of credit. And that surprised the people who had extended those lines of credit; they got very nervous. And the capacity of Wall Street to absorb a rush to liquidity that was taking place in mid-March was strained to the limit to the point where the Federal Reserve, observing these markets, decided they had to move in a very big way.