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2015年12月30日水曜日

2015年投稿分からのおすすめ十選

今年投稿した記事から、個人的に印象に残った10件を選びました。なお、昨年分の十選はこちらです。

<企業分析>

1. 情熱はものすごく重要です(ウォーレン・バフェット)
失敗につながるABCとして、わたしはシアーズの例をよく挙げます。傲慢、官僚主義、自己満足の3つです。

<投資における心理学>

2. 2014年度バフェットからの手紙(13)今年も投資の助言です(後)
投資家自身の行動によっては株式を保有することが非常にリスキーとなることもあります。そうしている人がたくさんみられます。頻繁に売買したり、市場の動きを「読もう」としたり、不適切な分散をしたり、高額で不要な手数料を運用者や助言者に支払ったり、借入金で投資をすることです。そのような行動をとると、株式を末永く保有する人が享受できる満足のいくリターンを失う可能性があります。

3. 強気相場で備えること、弱気相場で腹を決めること(セス・クラーマン)
経験豊富な投資家であっても、弱気相場では苦しむものです。だからこそ何よりも重要なのが、強気相場にいるうちに来たる弱気相場に備えようと、人としてできるあらゆることを実行しておくことです。

4. 勝者の心構えとは(ハワード・マークス)
ずば抜けた成果をあげるには、他の人には見えていない(あるいは価格へ織り込み済と思われる以外の)価値を信じる必要があります。

5. 2014年デイリー・ジャーナル株主総会(4)バカなことに手を出す理由
しかし普通の人にとって、じっと座ったまま何もしないで5年間も待つなど、想像できますか。自分は何かをしているのだ、役に立っているのだ、とは感じられないわけです。だからバカなことに手を出してしまうのです。

<ものごとの考え方>

6. (解答)いいアイディアを生み出す方法(『149人の美しいセオリー』)
素人目には、いいアイディアはまるで魔法、稲妻のごとき知的跳躍のように映る。けれどもそれは、先述のようなプロセスの繰り返しの結果であり、魅力的だがミスリーディングな前提を捨てる経験を十分に積んだ結果である可能性が高い。非凡な発想は、実は平凡な発想の中から徐々に姿を現すものなのだ。

<知恵>

7. 歴史から得られる本物の教訓(ハワード・マークス)
予期しなかったり想定外の事態になるのは常であって異常ではないことを、歴史は繰り返し教えてくれる。これは歴史から得られる本物の教訓である。

<人生哲学>

8. つらい人生だから、飲まずにいられない果汁(チャーリー・マンガー)
ねたんだ末にみじめになりたいのでしたら、よきクリスチャンとして知られているサミュエル・ジョンソンの伝記は一切読まないほうがよいでしょう。ねたみとは乗り越えられるもので、そうする利点があることを、他人がやってみたくなる形で実際に示したのが、彼の人生だったからです。

9. エピクテトスの教え(チャーリー・マンガー)
人が果たすべきは自己憐憫に浸ることではなく、降りかかった災いを前向きなやりかたで利用することだ。

<来し方行く末>

10. 2015年デイリー・ジャーナル株主総会(2)過ぎ去りし最上の50年間
これまで過ごしてきた50年間を不幸せな時期だったと考えるのは、残念なことに自分の人生をまちがって評価しています。これ以上は望めない時代だったのです。これからは悪くなる可能性が高いでしょうね。

2015年12月28日月曜日

動物はパターンを見つけずにはいられない(『「偶然」の統計学』)

前々回に取り上げた本『「偶然」の統計学』から、もう一か所引用します。本ブログでたびたび取りあげる「確証バイアス」の話題です。

記憶が外からの影響を受けやすいことは、2章で取り上げた確証バイアスと関連がある。確証バイアスとは、自分の信条(科学であれば仮説)を支持する証拠にはなぜか気づくのに、それらに反する証拠には気づかない、という無意識の傾向のことである。たとえばこんな状況を考えてみよう。

私が数の並びを作るルールを考えた。それに基づく最初の3個は2,4,6だ。それに対してあなたがこれに続く3個を予想し、私はそれが合っているかどうかを言う。そして同じことを繰り返す。つまり、あなたは先ほどの数に続く数を3個予想し、私はそれが合っているかどうかを言う。私たちはこれを、私のルールがわかったとあなたが確信するまで続ける。

この例のような状況において、人間はえてして数の並びに関する自分の仮説に沿った3つ組を次々と探す。なので、この例においてあなたが私のルールを「偶数を挙げること」だと予想したなら、あなたは続く3個として8,10,12と言うだろう。そして、それが正しいと言われたら、それに続く3個として14,16,18を挙げる。それも正しいと言われたら、あなたは自信をもって、数が単純に2ずつ増えていくというのが私のルールだと思うに違いない。

あなたの挙げた並びが私のルールを満たしていることは確かだが、実はあなたが予想したルールは私が考えていたものではない。私のルールは、順次大きくなる整数からなる任意の集合だった。この例では、自分の仮説に沿う数の3つ組ばかりを探し、反証となりうるほかの3つ組で仮説を検証しようとしない、というバイアスが働いている。

興味深いことに、科学の理想像においては、科学者は仮説を思い付いたらそれを反証すべく実験をする。反証に耐えるほど、その仮説が正しい可能性は高まる。だが、科学的な評価はうまくいく仮説――そうした反証に耐える仮説――を思いついたことが基になるので、人間はおのずと自説の検証をあまり難しくしないようにしがちだ。

(中略)

2,4,6,8,10,12……という並びの背後にあるルールを探す例における関心の的は、人間が(そして動物も)パターンを見つけずにはいられないこと、そして現に見つけるのがうまいことである。すでに何度か触れたが、これは進化の自然な産物である――トラが近づいてくる兆しを見つけられれば、近隣の好戦的な部族の何人かが忍び寄ってきたのがわかれば、あるいは果実が食用に適していることを示す特徴を掴めれば、あなたが生き残って遺伝子を次の世代に伝えられる可能性は高まる。だが、迷信を取り上げたときに見たように、出来事のパターンは背後に何の原因もなく偶然生まれることもある。実際には何の関係もない2つの出来事に相関がある(片方の発生がもう片方の発生と関連がある)と信じることは、よく「錯誤相関」効果と呼ばれている。そして、ここに統計的な推論の出番がある。その目的は、偶然生じたパターンと背後に何らかの原因が本当に存在するパターンとを区別することだ。(p. 225)

2015年12月26日土曜日

相応なる信頼関係のつながり(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の19回目、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて、みなさんにお話ししたいアイデアもこれで最後になります。みなさんが職業生活へ進むと、さまざまな手続きや奇妙奇天烈な物事が仕事の中に入り込んでくることがよくあります。しかし複雑で官僚主義的な手続きは、社会の到達しうる最高の形態を表すものではありません。高い水準の形態とは、たとえば官僚主義と無縁で継ぎ目のない妥当な信頼関係が網目のように結ばれた状態がそうです。装飾的な手順は多くなく、完璧に信頼できる人物が正しくも互いに信頼し合う状況です。まさにそのやりかたが、メイヨー・クリニック[全米有数の名病院]の手術室で行われています。しかし法律家がそこに法律家的な手順を多々持ち込んだりしたら、死亡する患者を増やすことになります。ですからみなさんは、「法律家となったときに売り手の立場として一連の手続きを実行せざるを得ないとしても、買い手の立場にあるときは常に盲従する必要はない」ことを忘れてはなりません。みなさん自身の人生においては、相応なる信頼関係をなるべく多く結び合えるように努めるべきですよ。結婚誓約書が47ページにもなるのだとしたら、「踏み切らないほうがいい」と助言しておきましょう(聴衆笑)。

1学年分の卒業式ですので、これぐらいで十分かと思います。とある老人が熟考した諸々の話題が、みなさんのお役に立てば喜ばしいものです。そして最後に申し上げるのは、『天路歴程』[ジョン・バニヤンの著作]に登場するいにしえの「真理を求める勇者」が、他には取りようがなかった行動にちなむものです。「わが剣は、意のままに扱える者へ残すことにしよう」(聴衆拍手)。 (おわり)

The last idea that I want to give to you, as you go out into a profession that frequently puts a lot of procedure and some mumbo jumbo into what it does, is that complex bureaucratic procedure does not represent the highest form civilization can reach. One higher form is a seamless, non-bureaucratic web of deserved trust. Not much fancy procedure, just totally reliable people correctly trusting one another. That's the way an operating room works at the Mayo Clinic. If lawyers would there introduce a lot of lawyer-like process, more patients would die. So never forget, when you're a lawyer, that while you may have to sell procedure, you don't always have to buy. In your own life what you want to maximize is a seamless web of deserved trust. And if your proposed marriage contract has 47 pages, my suggestion is that you not enter. (Audience laughs.)

Well that's enough for one graduation. I hope these ruminations of an old man are useful to you. In the end, I'm speaking toward the only outcome feasible for old Valiant-for-Truth in Pilgrim's Progress: "My sword I leave to him who can wield it." (Audience applauds.)

2015年12月24日木曜日

平均への回帰(『「偶然」の統計学』)

一般向けに書かれた確率や統計の本はぽつぽつ手にとっています。最近は『「偶然」の統計学』という本を読みました。本書では、稀と思われる事象が「しばしば」発生する理由を中心に説明しています。そうは言いながらも確率や統計全般の話題もとりあげていて、気負わずに楽しみながら読み通せる一冊です。

今回本書から引用するのは「平均への回帰」です。よく知られた現象ですが、昨年同様、締めくくりの時期にふさわしい話題だと感じています。

平均への回帰の効果は至るところに見られ、それに意識が向くようになればどこにでも見つかる。スコアや結果や反応にランダムな要素があれば、その効果は必ず現れる。たとえばパフォーマンスについて考えてみよう――試験でも、仕事でも、スポーツでも、何でもいい。パフォーマンスには実力や準備などの要因に左右される面が当然あるが、偶然にも左右される。その日はとりわけ調子が良かったとか、試験のヤマが当たったとか、売り込みに行った先の担当者が高校の同期だったとか。良いパフォーマンスにおける偶然の貢献分は次回になくなる可能性が高く、そうなるとパフォーマンスが下がったように見える。平均への回帰は、結果を額面どおり受け取る前に注意が必要だと警告する。飛び抜けたスコアは主に偶然のおかげかもしれないのだ。

ということは逆も言える。飛び抜けたパフォーマンスが部分的にでも有利な偶然のおかげなら、とりわけひどいパフォーマンスも部分的には不利な偶然のせいということになる。

この話をふまえると、あらゆる類いのランキング(スポーツチーム、外科医、学生、大学などなど)についてはっきり言えることがある。上位にいる要因の大半が偶然なら、次回は下位に沈む可能性が高い。(p.169)

2015年12月22日火曜日

苦労がやってきても、いつも備えができていた(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の18回目です。このシリーズは次回が最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

もう一つ強調したいアイデアがありますので、手短に説明します。私の祖父は住み暮らしていた町で40年近くの間、唯一の連邦判事でした。私は祖父のことを尊敬していましたし、私の名前は祖父からとったものなのです。私は孔子の教えを奉じる者なので、「私がこの場に立ったことにマンガー判事はご満足するであろう」と想い抱いていることを、今でも公言できるほどです。祖父が他界してからは、彼の示した価値を照らす灯火をかかげる決意を、みずからの義務としてずっと課してきました。「義務に対して忠実に仕える」といった賢明さも、そのような価値のひとつでした。祖父が連邦判事だった時代には、その未亡人に対して年金は支給されませんでした。ですから収入を節約して蓄えをしておかないと、祖母は貧しさにあえぐ未亡人となったことでしょう。資産を蓄えたことによって、彼は他人に対してもうまく処することができました。彼のような種類の人間として、彼は人生を通じて収入以下で生活し、妻が未亡人となったときにも快適な環境で暮らせるように配慮したのですね。

しかし賢明さゆえに彼が実行できたのは、それだけではありませんでした。1930年代の間に私の叔父が経営していた零細規模の銀行が失敗し、支援なしでは再開できなくなりました。そこで祖父は銀行が保有するひどい資産と交換するために、自分の保有する優良資産の1/3超を出しました。そうして、その銀行を救済したのです。私はずっとそのできごとを覚えてきました。この件は、次のような[アルフレッド・エドワード・]ハウスマンの短い詩を思い起こさせます。

ほかの人たちの思うことは
軽い、いっときのものだった――
恋人たちのデートやら、
幸運や名声やら。
私の思うのは苦労のこと、
いつも堅実に考えていた。
だから苦労がやって来ても
いつも備えが出来ていた。
[訳文は、森山泰夫訳『ハウスマン全詩集』(沖積舎)遺稿詩集6番より]


「トラブルを予期して毎日を過ごしたい人など、いるものか」と思われるかもしれません。ですが私はそうして生きてきました。そう思えるように訓練し、トラブルが起こることをいつも予期しながら、84歳になる今までの長い人生を過ごしてきました。そしてエピクテトスと同じように、私の人生も寵愛を受けたのです。常にトラブルを予期し、トラブルが起きた時には適切に行動できるように準備してきましたが、それで不幸せにはなりませんでした。傷つくことも皆無でした。それどころか、実際には助けとなりました。ですからハウスマンとマンガー判事の件は、みなさんへ譲り渡しておきます。

I've another idea to emphasize in a brief account. My grandfather Munger was the only federal judge in his city for nearly forty years. And I admired him. I'm his namesake. And I'm Confucian enough that even now as I speak I'm thinking, "Well, Judge Munger would be pleased to have me here." All these years after my grandfather is dead, I conceive myself as duty bound to carry the torch for my grandfather's values. One such value was prudence as the servant of duty. Grandfather Munger was a federal judge at a time when there were no pensions for widows of federal judges. So if he didn't save from his income, my grandmother would become a destitute widow. And, besides, net worth would enable him to serve others better. Being the kind of man he was, he underspent his income all his life and left his widow in comfortable circumstances.

But that was not all that his prudence enabled. Along the way, in the '30's, my uncle's tiny bank failed and couldn't reopen without help. My grandfather saved the bank by exchange over a third of his good assets for horrible bank assets. I've always remembered the event. It reminds me of
Houseman's little poem that went something like this:

"The thoughts of others
Were light and fleeting,
Of lovers' meeting
Or luck or fame.
Mine were of trouble,
And mine were steady,
And I was ready
When trouble came."


You may well say, "Who wants to go through life anticipating trouble?" Well I did, trained as I was, I've gone through a long life anticipating trouble. And here I am now, well along in my 84th year. Like Epictetus I've had a favored life. It didn't make me unhappy to anticipate trouble all the time and be ready to perform adequately if trouble came. It didn't hurt me at all. In fact it helped me. So, I quitclaim to you Houseman and Judge Munger.

2015年12月20日日曜日

資産とならずに負債となってしまう(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その16、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問18> 慈善活動へ関わると発言された後に、ゲイツ財団やお子さんを通じて実現されました。バフェットさんにとって重要な理由が何かあったのでしょうか。

<バフェット> [少し前の質疑で触れた]CNBCは人類が存続する上で最大の脅威だと思いますので、それらを解決することに寄与したいのが一番の想いです。しかしそれを実行するのにふさわしい器を見つけられませんでした。若かった頃には、妻の財団を支援するために基金を設定したことがあります。わたしたちの持っている現金の余剰分を寄付したい、と彼女は望んでいました。しかし、わたしとしては複利の力を失いたくありませんでした。そのとき1ドルを寄付してしまえば、将来寄付できたかもしれない1000ドルをあきらめることになるからです。自分の資金に複利を効かせ続けることが、わたしにとっては本当に重要でした。

慈善活動を行うとしても、わたし自身が手際よくやれるとはまるで考えていません。ですから、ゲイツ財団やわたしの子供たちを含む5つの財団へとアウトソースしました。彼らは世界的な問題を解決する意欲にあふれています。わたしの本音としては、局所的な問題に取り組むよりも、世界的な課題に取り組んで失敗するほうがいいと思っています。

わたしにとって金銭は、もはや有用なものではありません、今ある分で十分幸せだからです。一方、世界中の人たちにはすごく役に立つと思います。これ以上保有しても実のところわたしにとっては資産ではなく、負債となってしまうのです。

それと同じように他の人に対しても、Giving Pledge[ギビング・プレッジ; バフェット等による啓蒙活動]へ参加しませんかと説得してきました。死んだ後に財産の50%超を寄付すると誓いを立てるものです。これまでに127名が誓約してくれましたが、これはすごいことです。そしてマーク・ザッカーバーグが誓約してくれたのは大成功でした。彼であれば、たくさんの若いビリオネアに対して財産を寄付したらどうかと刺激を与えてくれるでしょう。そしてザッカーバーグを敬う彼らも、同じようにしてくれると思います。(おわり)

Question #18: You have expressed a commitment to philanthropy and have done this through the Gates Foundation and your children. Is there a particular cause that is important to you?

Answer #18: I would ideally like to contribute to solving CNBC (Cyber Nuclear Biological Chemical) as I see it as the biggest existential threat to humans, but I have not found an appropriate vehicle to do so. In my early days, I had set up a fund to support my wife's foundation. Although she wanted to donate the excess cash that we had, I didn't want to lose the power of compounding. If I had donated $1 then, I could be giving up a $1000 in potential future donations, so it was really important to me to keep compounding my money.

I would not be efficient at all in doing philanthropy. That's why I outsource it to five foundations including the Gates Foundation and to my kids, who are a lot more passionate about solving world problems. I'd actually prefer to tackle a global issue and fail, than tackle a local one.

Money has no utility to me anymore as I am very happy with what I have but it has enormous utility to others in the world. More possessions to me would actually be a liability than an asset.

I am also trying to persuade more people to join the Giving Pledge, where individuals sign an agreement to donate more than 50% of their wealth after they die. So far, 127 people have signed up which is a great thing. The other day we got Mark Zuckerberg to sign up, which is a huge win for us because he'll go on to inspire many other young billionaires to donate their wealth, as they'll look up to him and do the same thing.

2015年12月18日金曜日

事業を評価するには(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その15です。このシリーズは次回が最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問17> 事業を評価できるには何が必要ですか。

<バフェット> 企業のことをもっともうまく理解するには、まず業界について理解する必要があります。そして、自分が理解している企業や業界にだけ集中することです。自分の土俵の外に出てはいけません。競合に対してその企業はどんな強みを持っているのか、経営陣は優秀か、そしていちばん大切なのはmoat[モート;経済的な掘]が何か、これらを知っておく必要があります。競争相手が何社なのかわからないようでしたら、その会社に投資すべきではありません。コカ・コーラ社のmoatは後味が残らないことですし、鉄道会社のmoatは新設しようがないほど飽和している点です。それが、現在わたしが両業界に投資している理由です。

Question #17: What are the things that you need to be able to value a business?

Answer #17: In order to best understand a company, you first have to understand the industry. Only focus on companies and industries you understand. Don't go outside your circle of competence. You need to know what the strengths of the company are in relation to the competition, if they have a good management team, and most importantly, what the moat is. If you don't know how many competitors the company has, do not invest in the company. Coke's moat is that it has no taste accumulation, and the moat of railroad companies are that no one can build anymore because of saturation. That is why I am currently invested in both industries.

2015年12月16日水曜日

ゴキブリを見かけたら1匹では済まない(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その14です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問16> 米国会計基準(GAAP)に準拠しない会計報告を公表する企業が増えています。ソフトウェアのような無形資産は「消耗しない」資産だと正当化することで、無形資産の償却分を純利益へ足し戻しています。以前開催されたバークシャーの年次総会の場で、「EBITDAを利用して会計報告を誇張しようとする企業がある」と指摘されましたが、GAAP非準拠の説明をおこなう風潮についてご意見をうかがえればと存じます。

<バフェット> この風潮はますます産業界特有のものになっています。経営陣は「ある費用は、実際のところ費用ではない」と説きがちですが、この始まりはEBITDA[利払い税引き償却前利益]からでした。減価償却費とは実際に発生する費用にとどまらず、もっとも悪い種類の費用でもあります。前払いする必要があるからですね。つまり工場や設備にかかる金額を前払いして、期間をかけて非現金支出費用として計上するわけです。しかし無形資産の償却費が、必ずしも実態に即した費用[原文はeconomic expense]だとは限りません。その強力な例が、顧客との取引関係[原文はcustomer relations]に関する無形資産です。これは消失するにしても、償却費のように速くはありません。一方、ソフトウェア開発にかかる費用やストック・オプションは実態に即した費用の一種です。企業からの説明で「GAAP非準拠」の話が出てきたら、彼らのしていることを疑ってかかるようにしています。「台所でゴキブリを見かけたら、1匹では済まない」ですから。[関連記事]

Question #16: Increasingly companies are reporting non-GAAP earnings that add amortization of intangible assets back to net earnings using the justification that intangibles such as software are 'non wasting' assets. Given that you have indicated in previous Berkshire annual meetings that companies try to dress up financial statements with EBITDA, could you provide your thoughts on this non-GAAP trend?

Answer #16: This trend is seen to be more industry specific and management usually tries to convince you that some expenses aren't really expenses. It started with EBITDA. Depreciation is not only a real expense but the worst kind of expense because you pay it up front. Your plant and equipment is paid for upfront and companies record this cost over time as a non-cash expense. Amortization however may not always be a real economic expense, a strong example of this is customer relations as it doesn't diminish as fast as amortization if it does at all. Software development costs & stock options however, are a form of economic expense. When I hear companies talking about "Non-GAAP" I am very suspicious of what they do because "there really isn't only one cockroach in the kitchen."

2015年12月14日月曜日

米国の優位性にかかわる話題(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その13です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問14> 目の当たりにされた海外の慣行のなかで、米国企業が取り入れたほうがよいと思われるものは何がありますか。

<バフェット> 自分よりも優れた人と取り組むことが大切ですが、企業を経営する上で米国は最高の場所ですので、米国を飛ばす必要はありません。しかし成功した例を知るのは簡単ですが、その成功を繰り返すのは大変です。そして、成功について学ぶのと同じように、失敗について学ぶことも重要です。市場を日々観察していると、総じて非常に興味深く感じます。たとえば2008年の金融危機はまるで驚異的な映画のようでした。どんな結末になるのか、だれにもわからなかったのですね。ところで中国は自国の仕組みを「米国式」に近づけたと感じています。

<質問15> 今後20年間で米国の競争力を高めていくものは何でしょうか。また、そういった強みに対する最大の脅威は何でしょうか。

<バフェット> 今日では利用可能な情報があふれています。これは驚くべきことです。また、この部屋にいるだれもがジョン・D・ロックフェラー[石油王]よりも良い生活を送っていますが、これも大切な事実です。これからの20年間では、今とはくらべられないほど生活水準が向上すると思います。20年前にわたしが歯科医から受けた処置などは思い出したくないほどです。それと同じで、20年後にはだれもが同じように感じるはずです。

しかし、成長には付きまとう問題があります。悪しき者たちが発展による成果を利用すれば、著しく多数の人たちを害することができます。米国の優位性に対する最大の脅威を表現するのに、わたしは頭文字を並べてCNBCと呼んでいます。サイバー、核、生物、化学の4つです[Cyber, Nuclear, Biological and Chemical]。人類に対する最大の脅威は、なんといっても核戦争によるものです。わたしの持つ全資源を投入することでその脅威と効果的に闘えるのであれば、ぜひそうしたいと思います。しかし残念ながら、変化を起こすのに有効的な経路は非常に限られています。

Question #14 What customs have you witnessed overseas that American businesses should adopt?

Answer#14: It is important to play with better players than you. The US is the best place to operate and you don't need to go beyond the US. It is easy to see success but it is more difficult to repeat the success. It is also important to study failure as much as you study success. In general, I find it very interesting to observe the market every day. For instance the 2008 crisis was a great movie and nobody knew how it would end. In my opinion China has changed their system to be more “US like”.

Question#15 What will advance American competitiveness in the next 20 years? What are the biggest threats to that competitiveness?

Answer#15: There is an abundance of information available these days, which is amazing. It's important to realize that everyone in this room is living a better life than John D. Rockefeller. In the next 20 years, we will be living incomparably better lives than we do now. I hesitate to think about the service my dentist provided me 20 years ago. At the same time, I'm sure that in 20 years people will feel the same way.

The drawback of growth, however, is that evil can leverage this progress to harm a significantly greater proportion of the population. I see the biggest threat to American competitiveness as represented by the acronym CNBC, namely Cyber, Nuclear, Biological and Chemical. By far the greatest threat to humanity is that of a Nuclear war. If I could allocate all my resources to effectively combat this threat, I would. Unfortunately there are very few effective channels that could effect this change.

2015年12月12日土曜日

優れた投資家に共通する気質(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その12です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問13> 優れた投資家に共通する気質には、どんなものがありますか。

<バフェット> 抱いている思想にしっかり従うことや、感情に左右されない点です。有能な投資家はデータをもとに行動しますし、投資というゲーム自体を楽しんでいます。自分の好きなことをしている人たちなのです。まさにゲームです。彼らはこのゲームに夢中なのですね。彼らを強く突き動かしているのは、金を稼ぐことよりも自分の考えが正しいかどうかという点です。そして正しかったことによる結果としてお金がついてくるわけです。また精神的な強さも大切です。降参したり、あるいは他人に従いたくなる誘惑は数多くあります。しかし重要なのは自分自身の信念にこだわり続けることです。他人がみんなやっているからといって頭のいい人たちがバカなことに手を出すのを、たくさん見てきました。最後にもうひとつ、才能ある投資家は前向きな考え方をします。過去の成功や失敗にとらわれず、あくまでも将来に目を向けています。歴史を振り返ってみれば、過去には実にひどいことが起こりました。第2次世界大戦もそうですし、南北戦争もありました。それでも、この国はこうして成功しているのですから。

Question #13: What are some common traits of good investors?

Answer#13: A firmly held philosophy and not subject to emotional flow. Good investors are data driven and enjoy the game. These are people doing what they love doing. It really is a game, a game they love. They are driven more by being right than making money, the money is a consequence of being right. Toughness is important. There is a lot of temptation to cave in or follow others but it is important to stick to your own convictions. I have seen so many smart people do dumb things because of what everyone else is doing. Finally good investors are forward looking and don't dwell on either past successes or failures but rather look toward the future. Just look at history to see how bad things have been. We had World War 2 and a Civil War. This Country works!

2015年12月10日木曜日

女性が経済活動へ参画することについて(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その11です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問12> 2013年にお書きになったエッセイで、米国経済の将来を楽観視しているとされていました。その中でも経済において女性が演じる役割に触れておられましたが、その考えをもう少し説明していただけますか。

<バフェット> 女性や少数民族の人たちが経済に加わる前の頃に(たとえば1920年以前)、アメリカは働ける人の半数だけで大きな成果をあげていました(数十年の間に、一人当たりGDPは6倍になりました)。それでは、働ける人たち全体が労働に参加すれば、どのような類いの成果につながるか想像してみてください。この国は、ここ15-20年の間に正しい方向へと進んできたと思います。わたしの姉妹はわたしと同じだけの知的能力があり、優れた資質をいくつも備えていました。それにも関わらず、彼女たちにはわたしと同じ機会が登場することはなく、わたしと同じ水準の成功を収めることはできませんでした。彼女たちに望まれていたのは良い結婚生活だったのですね。今日であっても改善の余地は残されています。バークシャーの取締役12名のうちで、女性は3名にすぎません。2015年3月5日付けで通算6回目のツイートを送信する予定です。その中で、女性経営者に関する発表をします。



Question #12: In your 2013 essay, you stated that you were optimistic about the future of the US economy, in particular with regard to the role that women play in the economy. Could you expand on your thoughts from that essay?

Answer#12: Before women and minorities were involved in the economy (i.e., pre 1920), America achieved a lot (GDP per capita increased, over a few decades, six times) with only half of its workforce. Imagine the types of gains that could be made using the full workforce. We have moved in the right direction over the past 15-20 years. My sisters have the same intellectual capacity, and have excellent personal attributes, but they never had the same opportunities being born at the same time as me, to reach the same level of success. Instead, they were expected to marry well. Even today there remains room for improvement. Only three of twelve directors at Berkshire are women. On March 5, 2015 I will release my sixth tweet ever which will have to do with an announcement related to female management.

2015年12月8日火曜日

情熱はものすごく重要です(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その10です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問11> ミセスBについてお話しされましたが、昨年度のレターでも私たちのような学生はミセスBから多くを学べると書かれていました。それでは、ミセスBから学べる教訓でなにが上位にくるとお考えですか。

<バフェット> 次のことがどれだけ難しいか、考えてみてください。ひとりの女性が中国北部を歩いて通過し、英語は一言も話せず、16年間かけて古着を売って貯めた2,500ドルから始めて、10億ドルもの価値がある店を築き上げたのですから。そこから学べることがあるのはまちがいないと思います。というのも彼女は何ひとつ発明していませんし、お金もなかったですし、店舗もなければ訓練も受けていなかったのです。それでも彼女は勝利しました。別の例としては、サム・ウォルトン[ウォルマート創業者]もそうです。1960年代末のシアーズ[・ローバック]はシカゴに100店舗をかまえ、クレジットカードを発行した顧客はおそらく2千万人ほど、不動産案件はどれも最初に打診され、利用できる資金は無制限にありました。しかしアーカンソー州でピックアップ・トラック1台から挑戦した人間が、そのシアーズを打ち破ったのです。

チャーリーもそうですが、わたしも好んで伝記を読みます。その際にぜひ知りたいのが「彼らはなぜ成功できたのか、あるいはなぜ失敗したのか」です。失敗につながるABCとして、わたしはシアーズの例をよく挙げます。傲慢、官僚主義、自己満足の3つです[Arrogance, Bureaucracy and Complacency]。シアーズにはそのすべてが揃っていました。築いた組織がすばらしい成功をおさめるようになると、その3つを撃退するために猛烈な努力が必要になります。[参考記事]

サム・ウォルトンとミセスBに共通することとして、二人とも自分のビジネスに情熱をもって接していたことが挙げられます。彼らの目的はお金ではありませんでした。そうでなく、勝ちたかったからです。情熱はものすごく重要です。みなさんもそうやって取り組んだほうがいいと思います。そのほうが金銭よりも結果を大事にします。わたしたちが事業を買うときに探すのは、事業を売却したからといって一分たりとも情熱を失わない人です。そのような人たちと寄り添っていく、それがいちばん肝心なところです。

Question #11: You mentioned Mrs. B earlier, and in your annual letter last year, you mentioned students like us could learn a lot from Mrs. B - what do you think are the top lessons we can learn from Mrs. B?

Answer #11: Think about how improbable it is that a women walks out of Northern China, can't speak a word of English, and just out of proceeds of that $2,500 that she saved from selling used clothing for 16 years, she built a store worth close to $1B. There must be something to learn from that, because she didn't invent anything. She didn't have any money, store or training. Yet she won. Sam Walton is another example, compared to Sears in the late 1960s - 100 stores in Chicago, probably 20 million credit card customers, first call on every piece of real estate, unlimited financial resources, yet someone with a pick-up truck in Arkansas beat them.

Charlie and I love to read biographies, and what we like to ask is "what makes these people succeed and what makes the ones that fail?" I use Sears as an example to show the ABCs of failure - Arrogance, Bureaucracy and Complacency. And Sears had them all. When you build an organization that has been incredibly successful, you have to work extremely hard to fight off arrogance, bureaucracy and complacency.

One thing that Sam Walton and Mrs. B had in common is they had passion for the business. It isn't about the money, at all. It was about winning. Passion counts enormously; you have to really be doing it because you love the results, rather than the money. When we buy businesses, we are looking for people that will not lose an ounce of passion for the business even after their business is sold. And getting in bed with people like that is what it's all about.

2015年12月6日日曜日

エピクテトスの教え(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の17回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

人生ではひどい目に遭ったり不公平な仕打ちを受けることがよくありますから、それらに立ち向かう必要もあります。しかし、そこから立ち直れる人もいれば、立ち直れない人もいます。そのような状況で人が適切に対応するには、エピクテトス[古代ギリシアの哲学者]のみせた生きる姿勢が道を示してくれると思います。「人生におけるあらゆる不運とは残念ながら不愉快であるが、よりよく生きるきっかけとなってくれる」と彼は考えたのです。どんな不運であろうと有意義なことを学べる機会をもたらす、と深く信じていたのですね。人が果たすべきは自己憐憫に浸ることではなく、降りかかった災いを前向きなやりかたで利用することだ、と。彼の考えは非常に健全だったので、古代ローマ帝国でもっとも優れた皇帝だったマルクス・アウレリウスやその他大勢の人たちに何世紀にもわたって影響を及ぼしました。みなさんも、エピクテトスが自身の墓碑銘に残した言葉を覚えておられるかもしれません。「奴隷であり、身は損なわれ、貧しきこと極まるも、神々に愛されたエピクテトス、ここに眠る」という言葉です。そうです、彼は「神々の寵愛を受けた者」として記憶されているのですね。彼が寵愛されたのは賢くて雄々しい人間となったからであり、当時だけでなくその後何世紀も人々を導いたからでした。[同じ話題にふれた過去記事]

Another thing to cope with is that life is very likely to provide terrible blows, unfair blows. Some people recover, and others don't. And there I think the attitude of Epictetus helps guide one to the right reaction. He thought that every mischance in life, however bad, created an opportunity to behave well. He believed every mischance provided an opportunity to learn something useful. And one's duty was not to become immersed in self-pity, but to utilize each terrible blow in a constructive fashion. His ideas were very sound, influencing the best of the Roman emperors, Marcus Aurelius, and many others over many centuries. And you may remember the epitaph that Epictetus made for himself: "Here lies Epictetus, a slave, maimed in body, the ultimate in poverty, and favored by the Gods." Well, that's the way Epictetus is now remembered. “Favored by the Gods.” He was favored because he became wise, became manly, and instructed others, both in his own time and over following centuries.

2015年12月4日金曜日

タックス・シェルターについて(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが今年の2月にウェスタン・オンタリオ大学の学生と面会した際の質疑応答その9です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問10> 先だってバーガーキングがティムホートンズ社を買収しました。そこでバフェットさんにお聞きしたいのは、米国企業の本社がカナダへと逆移転する事態が今後も継続するのでしょうか。

<バフェット> バークシャーが3Gキャピタルの案件に参画するいちばんの理由は、彼らが好ましくて信頼できる人たちだからです。税金面を考慮しているからではありません。バーガーキングが納めてきた連邦所得税は、多くの場合3千万ドル程度でした。ですが彼らの売上がほぼ120億ドルであることを考えると、タックス・シェルター[租税回避手段]としての便益は無視できる程度です。さらにティムホートンズの売上はバーガーキングの2倍ありますし、その買収がカナダにとって正味で利益があるとカナダ政府に承認してもらう必要がありました。ですから今回の案件は、よくある節税目的の本社移転とは違っていたのです。よく言われますが、今後発生しうる租税回避目的の買収を防ぐために、米国の法人所得税法が改正されて将来の本社移転を防止するようになっても驚きはしません。しかし裕福で影響力のある多くの個人や組織が優遇されたいがためにロビー活動を行うでしょうから、その種の法改正を阻む障害は大きいと思います。

Question #10: Mr. Buffett, given Burger King's recent acquisition of Tim Hortons, can you comment on the potential for US companies to continue inverting into Canada?

Answer #10: The primary reason for Berkshire being involved with 3G Capital was because they are good and trustworthy individuals, not for the tax benefit. The most federal income tax that Burger King has ever paid was approximately $30 million but their earnings are in the neighbourhood of $12 billion so the tax shelter benefits are negligible. Further, given that Tim Hortons earns 2x as much as Burger King and that the Canadian Government had to approve that the acquisition was a net benefit to Canada, this acquisition was not a typical tax inversion. That being said, to prevent further inversions in the future, I would not be surprised if corporate tax law in the United States were changed to prevent these inversions in the foreseeable future. However, as a result of numerous wealthy and influential individuals and organizations lobbying for preferential treatments the obstacles preventing such tax changes are large.

2015年12月2日水曜日

その時が来るまで、じっとしていろ(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の16回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なんであろうと特定の対象で本当に卓越したいのであれば、徹底的に興味を抱くことが欠かせません。そのことも私が気付いたひとつです。私としては、様々なことがそこそこ上手くこなせるように自らを強いることもできます。しかしそのやりかたでは、徹底した興味を持たない物事は何ひとつ傑出できません。ですから、みなさんもある程度は私の例に倣ったほうがよいでしょう。みなさんだってできることならば、自分が強く興味を持つことをやるようにと、自分自身を差し向けたいでしょうから。

粘り強さ、これもみなさんが心がけるべきことです。私はこの言葉を好んでいますが、自分の立場としてはこう受けとめています。「行動を起こすその時まで、じっとしていろ」。私は人生を通じて、徹底して物事に取り組む素晴らしいパートナーを得てきました。彼らと共にすることができた理由はいくつかあります。彼らにふさわしい人間であろうと努力したのもありますし、そのような人物を選び出せる才覚があったこともそうでした。また運がよかったせいもあります。人生のある時期に私が選んだ2人のパートナーは、大恐慌のさなかに小規模の建築設計事務所を立ち上げました。その際に交わした合意は、次のような単純なものでした。「両名によるパートナーシップ」の中で述べているのは、「あらゆるものを等分に分かつこと。また他者との約束を遅延した際には、両名とも毎週7日間・毎日14時間働き、遅れを取り戻すこと」でした。それで失敗しようがなかったのは、わかりきっていますね。彼らは広く称賛を集めることとなりました。そういった単純かつ昔かたぎなやりかたは、必ずや良い成果をもたらすと思いますよ。

Another thing that I found is an intense interest in any subject is indispensable if you're really going to excel in it. I could force myself to be fairly good in a lot of things, but I couldn't excel in anything in which I didn't have an intense interest. So to some extent you're going to have to do as I did. If at all feasible, you want to maneuver yourself into doing something in which you have an intense interest.

Another thing you have to do is have a lot of assiduity. I like that word because to me it means: “Sit down on your ass until you do it.” I've had marvelous partners, full of assiduity, all my life. I think I got them partly because I tried to deserve them and partly because I was shrewd enough to select them, and partly there was some luck. Two partners that I chose for one phase in my life made the following simple agreement when they created a little design / build construction team in the middle of the great depression: “Two-man partnership,” they said, “and divide everything equally. And, whenever we're behind in our commitments to other people, we will both work fourteen hours a day, seven days a week, until we're caught up." Well, needless to say, that firm didn't fail. And my partners were widely admired. Simple, old-fashioned ideas like theirs are almost sure to provide a good outcome.