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2012年10月2日火曜日

怒涛が押し寄せる音が聞こえた(ダム決壊の日)

最近読んだ本『群れはなぜ同じ方向を目指すのか?』で興味深い話がいくつか取り上げられていたので、ご紹介します。今回は物理学で登場する概念「臨界」についてです。

作家のジェイムズ・サーバーは、『ダム決壊の日』という自伝的な文章を書いているが、そこに描かれたような連鎖反応からも、そういう結果が生じることがある。きっかけは、一人の住民が逃げているのが目撃されたことだった。たったそれだけのことによって、心配するようなことはないと何度も念を押されたにもかかわらず、オハイオ州コロンバス東部の住民全員がありもしない津波から逃げ出したのである。サーバー一家もその脱出組の中にいた。「最初の半マイルのうちに、町の住民のほとんど全員が追い越していった」とサーバーは言う。パニックに陥ったある人は、背後から「怒涛が押し寄せる」音を聞きさえしたそうだ。だが、結局それはローラースケートの音だった。

パニックが起きたのは、最初に逃げた人を見て何人かの住民が逃げ始め、今度はその住民が、さらにまた何人かが逃げる元になり……、ということが繰り返されたからだ。この過程は住民全員が逃げ出すまで続いたのである。原子爆弾の内部でもこれと同じ過程が進行する。原子爆弾では、まずある原子核が崩壊して、近くの原子核を何個か分裂させるだけのエネルギーをもった高エネルギーの中性子を放出する。それが他の原子核を分裂させ、分裂した原子核がそれぞれまたさらに何個かを分裂させるだけの中性子を生む。こうして次々とドミノが倒れて、中性子の数と放出されたエネルギーの量が指数関数的に増大すると、大爆発となるのである。(p.28)


「臨界」については、以下の過去記事でも取り上げています。
なお、たしかに本書では群れに関する話題が登場しますが、全体的な内容としては副題「群知能と意思決定の科学」のほうが適切な表現かと思います。群れ以外の話題もいろいろ登場します。

2 件のコメント:

  1. == No title ==
    こんにちは。
    betseldomさんの読書量は本当にすごいですね。
    月にどのくらい読むのでしょうか?
    私は職場と家の往復も自転車なのでなかなか読む時間が取れずにいます。
    私は子供はまだいないのですが、お子さんが小さいと読書する間もない位なんじゃないかなぁ・・と子供の頃の父親を思い出してそう思いました。
    チャーリー&ウォーレンはそんな中黙々と読書してたみたいですが(笑)

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  2. == isさん、こんにちは ==
    いつもコメントをありがとうございます。
    わたしの読書量はたぶん平均的なところかと思います。年間での傾向をみると8月や9月にまとめて読んでいるので、isさんが感じられたのはそのせいかもしれません。先日は子供の運動会だったので、シートに座っている間はページをかせげました。1年間で読む本は50冊を目安としています。
    「職場と家の往復も自転車」ですと、たしかに読書の時間がとりにくいですね。わたしの場合は、すきま時間で読むようにしています。歯磨きやトイレ、電車の到着や交差点の信号待ち、レジの行列、あとは歩きながらといったところです。以前取り上げたロバート・ルービンが、毎日1時間半は読書にあてたいと書いていたのが印象に残っています。わたしのすきま読書では離されるばかりです。
    チャーリーが読書しているところに子供が群がっている写真は微笑ましくて記憶に残っています。
    またのコメントをお待ちしております。それでは失礼致します。

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