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2019年1月30日水曜日

2018年の投資をふりかえって(5)一部売却銘柄:マイクロソフト(MSFT)

(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株式の売買実績と現在の株価>
年の終盤になって一部を売却したものの、持ち株全体からすると若干絞りこんだ程度でした。当社に対する基本的な投資方針は、継続保有のままです。

直近の株価は105$前後で、実績EPSは2.13$だったものの、当社でもトランプ減税を機に国外利益を本国へ還流させたマイナスの影響があったため、実力は3.5$程度だったでしょうか。いずれにせよ、「株価倍率が割安である」とは言いにくい水準です。

MSFT株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
当社の成長を支える2つの面について記します。1件目は表面的には目立たないものの増収著しい「クラウド事業」について、2件目は華々しい印象を残しながらも収益貢献はそれほどでもない「企業買収」についてです。

・クラウド事業の伸長
サティア・ナデラ氏が現CEOに昇進してから事業展開を加速させたクラウド事業は、ひきつづき急激に成長しています。当社の主力事業のひとつになると思われるAzure(アジュール)の2018年度成長率は、90%前後でした。大きく先行しているアマゾンAWSの市場シェアとは20ポイント程度離れていますが、これから加わる顧客層の性質を考えれば、肉薄できる確率は50%以上あると想像します。そこまで及ばないとしても、寡占をめざすプレーヤーにとって現在のクラウド市場(IaaS, PaaS)は、緊張感がありながらも心地よいビジネスの場であると思われます。イノベーションの継続と市場の拡大が好循環を生み出し、規模の経済へつながっていると想像できるからです。

・企業買収を通じた潜在顧客の囲い込み
当社はさまざまなIT系企業を買収して技術的資産を獲得していますが、近年の買収において金額的に大型だった企業LinkedInやGitHubはそれにとどまるものではありませんでした。サービスの利用者、すなわちコミュニティーの場を買い取る類の案件で、言わば「R&Dよりもマーケティングに重心をおいた」買収でした。会計面における目先の費用対効果は小さいですが、潜在顧客をまとめて手に入れた価値は小さくないと考えます。コミュニティーの熱量を維持していければ、長期的・継続的・伝播的なリターンが期待できます。Office, Dynamics, Azureといったサービスの拡販につながると共に、潜在的な要望をすくいあげて新サービス開発につなげる場としても有用です。当たりはずれがはっきりしやすいソフトウェア資産よりも、毀損されにくい価値を有しているかもしれません。利益の刈取りを急ぎすぎないことを願っています。

2019年1月28日月曜日

2018年の投資をふりかえって(4)一部売却銘柄:モザイク(MOS)

(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社は3大肥料のうち、主としてリン酸及びカリウムを採掘・生産・販売する米国企業です。

<株式の売買実績と現在の株価>
2018年秋になって株価が高まったので、ある程度の株数を売却しました。現在の株価は30$強で、一方の昨年度実績EPSは-0.31$ですが、今期は為替差損の逆風が大きいなかで、第3四半期までに0.93$の利益を上げています。

MOS株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>

米中貿易戦争の影響もあるせいか肥料価格が前年比で上昇しており、当社の売上高増加・利益改善につながっています。また社内における事業の状況としては、年の早い時期にもたついたものの、それ以降は順調に推移してきました。サウジアラビアでのJVはまだ立ち上げ中ですが、買収が完了したヴァーレの肥料部門が収益拡大に大きく寄与しました。またカリウムの新鉱山K3が一部稼働を始めており、中長期的な費用削減の施策が進行中です。さらには、環境対策のうるさいフロリダ州でリン鉱床拡張プロジェクトの許可を得たことで、長期的な資源枯渇リスクを低減しています。

DAP価格の5年間推移(引用元: www.indexmundi.com)


しかし以前にも書いたように、当社への投資方針としては残りの持ち株も株価上昇期に売却し、ひとまず資金を引きあげる予定です。コモディティーである以上、肥料ビジネスの業績は市場価格に左右されます。そして今日まで観察してきた価格変動サイクルを振り返ると、市場価格の動向(特に安値とその期間)を合理的に予想する自信が、以前のようには持てなくなりました。ひいては、当社の企業価値をみつもる自信も減少しました。農業関連の企業に投資することを望んではいましたが、当社のような企業の株式は永続的に保有するよりも「安買高売」したほうが、少なくとも個人的には取り組みやすいと考えるようになりました。

2019年1月24日木曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(3)首から上にあるものは

チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、前書き部にあたる本文が続きます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

我が探求の道を進むにあたり、次に説明する2つの考えかたが、力強い支えとなってくれました。第一に、なにかを見極めようとする際に、徹底して逆から考えるやりかたを長期間にわたってとってきたことです。偉大なる代数学者ヤコビの教え「逆だ、いつでも逆からやれ」という言葉に導かれたのです。良き判断を下したいがためにしたことと言えば、悪しき判断の実例を収集し、そのような結末をむかえない方法を思案するばかりでした。第二に、悪判断の実例を熱心に収集する際に、専門領域を区切る境界などまるで気にしなかったことです。規模が大きくて重大な柵越え級のおろかさが、他人の専門領域において容易に見出せるというのに、ちっぽけで取るに足らない上に探すのも一苦労なおろかさを、みずからの専門領域において新たに探さねばならないのは、一体どういうわけでしょうか。そもそものところ、実世界における問題が各分野の境界内にきちんと収まっておらず、飛び出して向こう側へ移っていることが、私には見て取れました。「2つの物事がねじれ合って連携して分かちがたくなっているときに、片方だけを考えて反対側を考えない」、なんであろうとそのようなやりかたには疑いを抱いていました。そんな限定されたやりかたでは、ジョン・L・ルイスが示した不朽の言葉どおりになると危惧したからです。「首から上にあるものは、頭ではなく毛髪だけ」。(p. 444)

I was greatly helped in my quest by two turns of mind. First, I had long looked for insight by inversion in the intense manner counseled by the great algebraist, Jacobi: “Invert, always invert.” I sought good judgment mostly by collecting instances of bad judgment, then pondering ways to avoid such outcomes. Second, I became so avid a collector of instances of bad judgment that I paid no attention to boundaries between professional territories. After all, why should I search for some tiny, unimportant, hard-to-find new stupidity in my own field when some large, important, easy-to-find stupidity was just over the fence in the other fellow's professional territory? Besides, I could already see that real-world problems didn't neatly lie within territorial boundaries. They jumped right across. And I was dubious of any approach that, when two things were inextricably intertwined and interconnected, would try and think about one thing but not the other. I was afraid, if I tried any such restricted approach, that I would end up, in the immortal words of John L. Lewis, "with no brain at all, just a neck that had haired over.”

2019年1月20日日曜日

2018年の投資をふりかえって(3)一部売却銘柄:日進工具(6157)、インテル(INTC)

(本シリーズの前回分記事はこちらです)

■日進工具(6157)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は2,400円強で、前年度の実績EPSは150円強でした。そのため、実績PERは16前後となります。

<株式の売買結果>
2月上旬にかけて株価が上昇している間は、持ち株を段階的に売却しました。その後、株価が下落を始めてからは売却をやめて、残りの持ち株を維持しました。

(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
景気拡大に合わせて、当社の業績も続伸しています。電子機器やそれに使われる部品の小型化・高性能化が漸次進んでおり、微細化を追求する当社の事業にとっては、ひきつづき追い風の環境にあると思われます。景気後退局面がくれば、金型や部品の加工に使われる当社製品への需要も減退するでしょうが、その後の回復期になれば市場規模はさらに拡大すると想像します。現在の状況及び株価水準であれば、継続保有したいと考えています。


■インテル(INTC)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は49$強で、前年度の実績EPSは2$弱でした。実績PERは24.5前後となります。ただし今期は第3四半期までにEPS3.35$の利益をあげています。

<株式の売買結果>
10月中に何度かに分けて売却しました。振り返ってみると、直近では株価がもっとも低迷していた時期でした。売却した理由は主として個人的な理由によるものですが、当社における技術面での行き詰まりに意気消沈していた部分も、若干ありました。(この技術的問題はその後に好転。後述)

(青矢印は売却)

当社へ投資したそもそもの目的は、マイクロソフトへの投資をヘッジする意味にありました。しかし現在までのところは、逆の位置づけになってしまいました。業績と比較した市場からの評価はマイクロソフトのほうが高く、当社は相対的に低迷しています。ただし企業価値の観点からみれば、現在の市場評価がそれほど正当だとは受けとめていません。

<業績などに対する所感>
当社の現状において注視している点2つを記します。

・10nmノード製品の開発遅延による余波
当社が先だって発表した声明によれば、技術的な問題をともかく解消して、10nmプロセスで製造する実質的に最初の量産製品を、年末にむけて出荷できる見通しが立ったようです。しかし数年にわたる開発遅延によって、微細化実現時期の面で当社が保ってきた優位性は、少なくとも現在においてはほとんどなくなったように思われます。つまり製品の優位性、ひいては価格競争力が低下するリスクが大きくなったと判断します。さらに、当社からの製品供給を重大なリスクと考える顧客が策を講じる傾向が強くなっていくとも想像します。当社の最重要な競争力が損なわれたわけですから、株式市場からの評価が低迷し続けるのも、ある程度は納得できます。

一方で、失敗に終わった今回の技術的挑戦において直面したさまざまな問題から得られた知見も少なくないと想像します。そして「転んでもただでは起きぬ」、その失敗を成功につなげる猶予が残されていると考えます。当社の製品を要望する顧客とのつながりや、実際に製品を製造する有形資産は、依然として健在です。短中期的にはむずかしいでしょうが、中長期的(3-7年程度)には今回の技術的なマイナスをある程度取り返せる可能性があると評価します。現在の株価水準にはその可能性が織り込まれていないように感じられます。

・事業領域の広範囲化
メモリー事業から開始した当社の事業は、その後にPC用CPU等の事業にうつって大成功し、現在はデータ・センター向け製品でも大きな利益をあげています。近年はネットワーク機器や4G/5Gモデムや自動運転車載用デバイス/システム、そして祖業だったメモリー事業にも再び取り組んでいます。これらの取り組みを全体としてとらえれば、自動運転を契機として自動車社会のコンピュータ化およびネットワーク化が急速に進むことを見越した、横断的な収益機会を追求し始めたと見受けられます。

当社IR資料より。2018/11/12開催の
UBS Global Technology Conference

そのような大きな市場において、他社との戦いから逃げずにあらゆる領域を事業の対象とする姿勢は、大切だと思います。自社が手がけない領域があると、そこを制圧した競合他社が事業領域を拡大浸食してくるリスクが大きくなるからです。端末(=自動車)からデータセンターに至るまでのあらゆる処理(センサー、通信、演算、データ保存)を実行する製品を事業対象とする企業戦略は、当社のような規模を持った企業だからこそ可能だと言えます。その一方で、他社からの切り崩しを抑制するために不可欠な戦略だとも思われます。つまり、当社が現状維持あるいは成長を望むのであれば、必然的に進まざるを得ない経営の方向だと受けとめています。

事業領域拡大に伴う大きなリスクとして、社内における官僚主義的体質の悪化が予想されます。当社では新CEOを選定中で、今年中には決定すると思われます。その人物に求められるのは、従来よりも多岐にわたる競争の激しい事業群を束ねることのできる手腕です。新CEOによる実績があらわれてくる時期、少なくとも2,3年後までは安易にはあきらめずに動向を追っていきたいと考えています。

2019年1月16日水曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(2)小さな赤いめんどりの教え

チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、前回につづいて本文前書き部の文章です。(日本語は拙訳)

さて、私が法律の実務に携わるようになったころには、遺伝的進化が持つ威力に対して畏敬の念を抱いていました。また、乏しい認知的能力しか持たない動物や昆虫と人間の間には、進化的な面で共通点が多々あることを認識していました。人間とは「社会的動物」であり、周囲で目撃した人物の行動から強い影響を自動的に受けるとわかっていましたし、家畜や猿と同じように、人間がそれほど大きくない規模の支配階層のなかで生きていることも承知していました。人はそのなかにおいて権威を重んじ、また自分と同じ階層に属する者たちを好み、協力する傾向があります。その一方で別の階層に属する競争相手に対しては、強い疑念を抱き、はなはだしい敵意を示すものです。

しかし、私が直面していた認知上の事柄を適切にさばいていくには、そのような進化に基づいた汎用的な理論では不適切でした。時をおかずして私の周囲では、実に極端な不合理さが大小問わずある種のお決まりのなかに見て取れるようになったのです。周囲でたびたび見受けられるようになったので、自分が見聞きしたり実際に経験したことを盛り込むことのできるもっと優れた理論構造を獲得しないと、日々こうありたいと望むようには対処できないと考えました。私が理論を追求しつづけてきた年月は、そのときまでに長い期間に達していました。それは難題を解き明かす際に役立ちましたし、猿並みに旺盛な好奇心を満足させる手段という意味で、その理論に心惹かれ続けてきました。また望みの成果をあげようとする際にその理論構造が強力に役立つと、若かりし学生の頃に気がつきました。理論に導かれたことで、私は労苦をかけずに卓越した結果をだせたのです。それに対して他の人たちは理論を習得していなかったため、大変な努力を重ねたにもかかわらず、卓越には至りませんでした。私にとって、良き理論がいつもうまく機能してくれました。それを利用できれば、資金や経済的独立を早い時期に獲得できるでしょうし、やりたいことがなんであれ、それらを遂行する上でおおいに役立つことでしょう。ベン・フランクリンの自助的なやりかたや、童話で繰り返される次のセリフに込められた決意を参考にしながら、私は自前の心理学体系をこつこつと築いてきたのです。「『それなら自分でやりますよ』と小さな赤いめんどりは言いました」(p. 444)

When I started law practice, I had respect for the power of genetic evolution and appreciation of man's many evolution-based resemblances to less cognitively-gifted animals and insects. I was aware that man was a “social animal,” greatly and automatically influenced by behavior he observed in men around him. I also knew that man lived, like barnyard animals and monkeys, in limited size dominance hierarchies, wherein he tended to respect authority and to like and cooperate with his own hierarchy members while displaying considerable distrust and dislike for competing men not in his own hierarchy.

But this generalized, evolution-based theory structure was inadequate to enable me to cope properly with the cognition I encountered. I was soon surrounded by much extreme irrationality, displayed in patterns and subpatterns. So surrounded, I could see that I was not going to cope as well as I wished with life unless I could acquire a better theory-structure on which to hang my observations and experiences. By then, my craving for more theory had a long history. Partly, I had always loved theory as an aid in puzzle solving and as a means of satisfying my monkey-like curiosity. And, partly, I had found that theory-structure was a superpower in helping one get what one wanted, as I had early discovered in school wherein I had excelled without labor, guided by theory, while many others, without mastery of theory, failed despite monstrous effort. Better theory, I thought, had always worked for me and, if now available, could make me acquire capital and independence faster and better assist everything I loved. And so I slowly developed my own system of psychology, more or less in the self-help style of Ben Franklin and with the determination displayed in the refrain of the nursery story: "Then I'll do it myself,' said the little red hen."

2019年1月12日土曜日

2018年の投資をふりかえって(2)全売却銘柄:クックパッド(2193)

(本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
よく知られているように、当社は家庭料理のレシピを検索・投稿できるサービスを提供しています。主な収益源は2つで、有料会員向けのプレミアム・サービスと、Webやサイネージ等の広告です。サービス提供は国内にとどまらず、国外向けにも展開・拡充しています。ただし買収によって各国のレシピ情報等を自社資産としてきたことで資本投資がかさんだ一方、国外における有料会員や広告の事業はほとんど立ち上げておらず、諸外国からの収益貢献が大きな課題となっています。

<株価動向と売買の概要>

(赤矢印は株式購入、青矢印は売却)

当社への投資を検討し始めたのは2年ほど前からで、投資に踏み切ったのは1年と少しほど前からでした(2017年12月中旬の株価は600円強)。しかし結局のところ、保有期間が1年にも達しないうちに資金を引き揚げることにしました。業績が逐次悪化するとともに株価がかなり下落した時点で失敗を認め、全売却して損失を確定させました(最低売却価格は8月中旬の425円と、当初からの下落率は約30%)。

この投資が失敗につながった原因は少なくとも2つあります。第一に、株式投資の基本方針として株価下落を買い増しの機会としているものの、当社については継続投資する自信が持てなくなった点、つまり自分にとってはそもそも投資すべき対象ではなかったことです。第二に、購入株数を投機的な気持ちで拙速に増やしたこと。これによって傷口を広げました。

現在の株価300円強は、当社の財務面から測ると相当なまでに割安です。これは、滞留させた現金を経営陣がどのように使うのか、その姿勢に対して市場が疑念を抱いている結果だと想像します。そういった状況にある企業の株式は、いつかは再評価されることがあるものです。しかし、だからといって当社のような「一杯に詰まった貯金箱」タイプの投資候補には安易に近寄るべきではない、その哲学を厳守すべきだと改めて感じました(同じような失敗を、以前にも何度か繰り返しています)。

<当社へ投資した理由>
主な理由として次の2点がありました。

・資本効率の高さ
情報を扱う企業であり、また利用者が作成したコンテンツを自社の資源として利用できることから、少なくとも現行事業の利益率は高く、魅力に感じました。さらには、自社に蓄積された利用者の行動データを活用して新規事業につなげる余地が残されている点や、利用者のコミュニティーが形成されている点にも惹かれました。これらは無形資産として働き得ると捉えたからです。

・市場評価額の割安さ
これは現在も変わらず、1株当たり200円超の純現金資産を有しています。

<当社への投資をやめた理由>
一方で、投資を考え直した理由は次のとおりです。

・社員数増加に見合った収益機会の増加が、見通せないこと
当社の業績を監視している間に、従業員数が漸次増加しました。この理由として2方向の要因が考えられます。ひとつはお家騒動で抜けた欠員補充であり、もうひとつは新規事業展開のための要員追加です。しかしいずれであろうと、投資の是非を判断した時点での収益性は定常的ではなかったと言えます。売上高が横ばいあるいは低下する局面において要員コスト増が利益を圧迫する事例はよく見受けられますが、わかったつもりでいながら過小評価していました。この踊り場がいつまで継続するのか、個人的にはうまく判断できません。

・社員(特に技術系)の言葉から利益追求の意識があまり感じられないこと
あくまでも主観的な印象なので、説明は控えます。しかし業績が盤石であればともかく、そうでなければ金儲けやコストに対する意識を企業ぐるみで高めてほしいとは、一般論として感じています。

<教訓>
・企業価値を見積もる際に、「将来提供され得る新規事業」については、利益貢献を見込む以上に費用増加を意識すること。

・余剰資金が多くても有効的に使えていない企業の価値を評価する際には、その稚拙さを割り引いて考えること。

2019年1月8日火曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(1)

チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、今回から本文に入りますが、しばらくは前書きがつづきます。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

誤判断の心理学

ものごとを考える際に犯しがちな典型的な過ちについて、私はずっと以前からひどく興味を抱いてきました。

しかしながら私が教育を受けた時代には、臨床現場に携わらない心理学が誤判断を理解する際に寄与するなど、主流派の有力者らからはほとんど認知されていませんでした。心理学上の興味の対象は、内輪で論議したり論文の大半を発表したりしていた学者たち一群へ限定されていたのです。そして隔絶された彼らは集団思考に陥っていたため、さまざまな悪影響がおのずと生じていました。

そのような状況で、カルテック[カリフォルニア工科大学]とハーバード・ロースクールを卒業した私は、心理学に対して早々に無関心を決めこんでしまいました。それらの教育機関は、心理学という学問に関する知識を追究し損ねていたのです。そして当然ながら、心理学のことをわかっていない以上、学内で教えていた他の学問と心理学とを統合することもできませんでした。ニーチェの著作に登場する「不自由な脚を誇りとした」人物と同じように、「不明確な」心理学や「あやふやな」心理学者を意図して忌避することを、それらの学校は誇りとしていたのです。[参考記事]

多くの人たちと同様に、私もそのような尊大な心持ちをずいぶんと長期間にわたって抱き続けていました。我々はいったい何を考えていたのでしょうね。たとえばカルテックの講義一覧には、心理学の先生がただ1人しか含まれていない期間が何年間も続いていました。その先生はみずからを「精神分析分野の教授」と称し、「異常心理学」や「文学における精神分析」の両講座を教えていたのです。

ハーバードを巣立つや否や、「心理学を無視する」という役立たずな最低の見方を放りだすために、私は延々とつづく奮闘を始めました。今回は、基礎的な知恵を身につける上で重ねてきた我が長き闘争を語り、締めくくりにざっと要約したいと思います。その後、いくつかの事例を挙げてみます、それらは仕事上での心理だけでなく、心理的な機能不全に対処する面においても、実に鮮明かつ興味深いものばかりです。それから最後に、私がお話ししたことに対して疑問が挙げられれば、それらにお答えして終わりにしたいと思います。さて、長い話になりますよ。(p. 443)

The Psychology of Human Misjudgment

I have long been very interested in standard thinking errors.

However, I was educated in an era wherein the contributions of non-patient-treating psychology to an understanding of misjudgment met little approval from members of the mainstream elite. Instead, interest in psychology was pretty well confined to a group of professors who talked and published mostly for themselves, with much natural detriment from isolation and groupthink.

And so, right after my time at Caltech and Harvard Law School, I possessed a vast ignorance of psychology. Those institutions failed to require knowledge of the subject. And, of course, they couldn't integrate psychology with their other subject matter when they didn't know psychology. Also, like the Nietzsche character who was proud of his lame leg, the institutions were proud of their willful avoidance of "fuzzy" psychology and "fuzzy" psychology professors.

I shared this ignorant mindset for a considerable time. And so did a lot of other people. What are we to think, for instance, of the Caltech course catalogue that for years listed just one psychology professor, self-described as a “Professor of Psychoanalytical Studies," who taught both “Abnormal Psychology” and “Psychoanalysis in Literature"?

Soon after leaving Harvard, I began a long struggle to get rid of the most dysfunctional part of my psychological ignorance. Today, I will describe my long struggle for elementary wisdom and a brief summary of my ending notions. After that, I will give examples, many quite vivid and interesting to me, of both psychology at work and antidotes to psychology-based dysfunction. Then, I will end by asking and answering some general questions raised by what I have said. This will be a long talk.

2019年1月4日金曜日

2018年の投資をふりかえって(1)全般について

全般的にみると、年末近くまでは高値の銘柄を順次売却すると共に、つなぎ売りとその買い戻しに終始しました。しかし年末近くになってからは方針を転換し、証券を少しずつながら購入しました。12月になってから株価が大きく下落したことで苦い感覚が何年かぶりによみがえりましたが、買いの時期が始まったことに対して心躍らせている部分もあります。ふりかえる時期がもっと後であれば、2018年は転換期だったとはっきり言えるのかもしれません。

さて例年と同じように、銘柄ごとの売買概況を以下に列挙します(銘柄コード順)。また昨年度分の同じ話題の記事はこちらです。

<新規購入(New Buy)>
・アップル(AAPL)

<買増し(Add)>
・メック(4971)
・日東電工(6988)
・しまむら(8227)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)

<現状維持(Hold)>
・クラレ(3405)
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・日進工具(6157)
・インテル(INTC)
・モザイク(MOS)
・マイクロソフト(MSFT)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・クックパッド(2193)

次回以降の投稿では、各銘柄に対する所感を簡潔ながら記したいと思います。