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2018年1月28日日曜日

今日の市場について両面から考える(楽観面)(ハワード・マークス)

オークツリーのハワード・マークスが新しいメモを公開していました(1月23日付)。今回は2つの話題をとりあげています。ひとつめはおなじみの話題で「現在の市場環境について」で、もうひとつは「トランプ減税について」です。その前者の中で楽観面と悲観面に触れた箇所を、今回と次回の投稿でそれぞれご紹介します。(日本語は拙訳)

Latest Thinking [PDF] (Oaktree Capital Management)

<楽観視できる諸要素> 直近2回のメモ[先のもの後のもの]では主な話題として注意を払うべき理由に触れましたが、その一方ではっきりさせておきたいことがあります。現在の状況において楽観視できる点がいくつかあることを、私としても認識している点です。そのほとんどは、「まずは健全なるマクロ経済的見通し、それゆえにEPS増加の可能性」といったファンダメンタルズに連なる必要があります。

・米国経済は前進し続けており、2009年に始まった景気回復は史上最も長期にわたる事例に含まれます(現時点で103か月目)。また外国の諸経済も、「世界全体の成長」という稀なできごとに加わっています。各国の経済は減速せずに勢いを増しつつあるものばかりで、今すぐ失速するようには思えません。

・景気回復に過剰な進行がみられないため、いずれは不況がやってくるにせよ、極端なものとなる必然性はありません。いわば「膨張なきところに、破裂もない」わけです。

・オバマ政権時代に景気回復が思わしくなかった理由として、資本投資(回復期にしばしば過熱する領域)の水準が低調だったこともあげられます。これは、「この大統領はビジネスに興味を示さず、規制に力を入れる傾向があるようだ」と、企業が不安視したことによるものと思われます。ビジネスに対して非友好的な環境下で長期的な投資に踏み切りたいと考える者はいません。対照的にトランプ大統領は、ビジネスに好意的であり、規制緩和を進めることを明言している点は、非常に明確です。この変化によって企業経営者の間で、楽観や自信や「衝動(アニマル・スピリット)」が高まりました。それらは自己強化していく大きな可能性を有しています。それゆえに、たとえば2017年の第1-3四半期には、設備投資額が年率換算で6.2%増加しました。

・今回の税制改正によって税率が引き下げられたことで、連邦税を納める企業の手元には資金が残ることになります。また米国企業が海外に滞留させていた多額の国外利益が還流されます。その結果、企業の利益やキャッシュフロー、そしておそらくは資本投資(以下参照)においても、概して強い追い風が吹くでしょう。

・失業率は4.1%まで低下しました。この60年間でほぼ最低の水準であり、これは「完全雇用状態」に近づいていることを意味します(ただし労働市場に参加している成人の比率が、実に低い状況ですが)。余剰の労働力がほとんど残っていないため、「ここしばらくのGDP成長は賃金増へと転換され、それゆえにさらなる需要増へと回帰する」と考えるのは妥当なものと思われます。

・今日における見込みリターン率は低い数値であるものの、この低金利の状況下では妥当だとみなされています。

・世界的に低水準のインフレーションが続いていることは、各国の中央銀行がインフレを制御するために金利を上げ急ぐ必要がないことを意味します。ハイパーインフレをうかがわせる明確な理由は見当たりません。

・それゆえに、「可能性が高い」とのただし書きが付きますが、「金利は今後しばらくの間、限定された範囲でゆっくりと上昇する」と期待できるかもしれません。

・懐の中は別として、投資家の心理状態を「熱狂的」あるいは「向こうみず」とは表現できません(ただし、直近になって強くなってきてはいます)。市場では「懐疑の壁を少しずつ登る」状況が何年間も続いてきました。これは昔から言われる言い回しで、健全な上昇を表現しています。熱狂やリスク考慮不足によるものではなく、むしろ一連の問題を認知しているからこそ生じるものです。

・市場の下落を引き起こす触媒として、次のようなものが知られています。景気後退、インフレの高騰、相当な高金利、中銀による政策の大失敗、ワシントンにおける政治的な機能停止、戦争などです。しかし現在の状況ではそれらが起こる確率として、ほどほどの数値以上を当てはめることはできないと言えます。

Positives - Whereas in my last two memos I talked primarily about reasons to be cautious, I want to make it clear here that I do recognize the positives in the current situation. Most of them have to do with fundamentals - primarily the healthy macro-economic outlook and thus the potential for increasing EPS.

* The U.S. economy is chugging along, and the recovery that started in 2009 has become one of the longest in history (103 months old at this point). The rest of the world’s economies are joining in for that rare thing, worldwide growth. Most economies seem to be gaining rather than losing steam, and they don’t appear likely to run out of it anytime soon.

* Since the economic recovery hasn’t been marked by excesses to the upside, when a recession eventually does occur, it doesn’t have to be extreme. In short, no boom, no bust.

* One of the reasons for the sluggish recovery during the Obama administration was the low level of capital investment (a frequent site of excesses during recoveries). I think that was due to corporate concern over the president’s seeming indifference to business and his tendency to regulate. No one wants to make long-term investments in an inhospitable environment for business. In contrast, it’s very clear that President Trump is committed to being a pro-business president and a deregulator. This change has led to a rise in optimism, confidence and “animal spirits” among corporate executives, things that have great potential to be self-reinforcing. Thus, for example, in the first three quarters of 2017, capital spending rose at an annualized rate of 6.2%.

* The recent tax law will put money into the pockets of corporations that pay U.S. taxes by reducing their tax rate, and it will result in the repatriation of large amounts of foreign profits that U.S. companies have been holding abroad. The results will generally be very positive for corporate profits, cash flows and perhaps capital investment (see below).

* The unemployment rate is down to 4.1%, nearly the lowest level in 60 years, meaning we’re nearing “full employment” (albeit with an unusually low percentage of adults participating in the workforce). With so little employment slack remaining, it seems reasonable to think near-term GDP growth will translate into wage gains, and thus back into further increases in demand.

* Although low, today’s prospective returns are described as being reasonable in the context of low interest rates.

* The low levels of inflation worldwide mean central bankers needn’t rush to raise interest rates to restrain it. There’s no obvious reason to predict hyperinflation.

* Thus the near-term rise in interest rates - while probable - can be expected to be gradual and limited in scope.

* Except in pockets, investor psychology can’t be described as euphoric and imprudent (although it has been strengthening of late). For years the markets have been “climbing a wall of worry,” an old-fashioned phrase used to describe a healthy ascent that’s occurring not because of euphoria and risk-obliviousness, but rather despite a catalog of perceived ills.

* The known catalysts for a market downturn - recession, ballooning inflation, much-higher interest rates, major central bank missteps, a governmental breakdown in Washington, and war - can’t be assigned probabilities that are more than modest.

2018年1月24日水曜日

2017年の投資をふりかえって(2)モザイク(MOS)

(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
資源系の企業である当社は、カリウム及びリン鉱石を採掘し、おもに肥料として生産・販売する米国企業です。見聞きしない社名ですが、合併前の片割れが「カーギルからスピンオフした肥料部門」と書けば、その位置づけがなんとなく想像できるかと思います。生産高の世界シェアでみた事業規模は、塩化カリウムが第4位、リン酸が第2位です。近年はブラジル市場への展開を重点的に進めており、今年早々には同業他社であったヴァーレの一部門を買収しました(これにより、リン酸のシェアが第1位の規模に上昇)。

<株価動向と投資成績について>
当社の株価は低迷がつづき、2017年末時点で25.7ドルでした。それに対して平均購入単価は36.5ドルで、-30%程度の含み損です(それ以外に確定した損失がありますが、その金額以上に受取配当金があったので、相殺されています)。下図で赤矢印が株式購入、青は売却を示しています。


MOS株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
コモディティーを扱う企業ゆえに、その業績は対象製品の市場価格によってほぼ決定されます。当社に投資し始めた2013年以降は、塩化カリウム及びリン酸の両肥料ともに価格下落の傾向がつづき、業績そして株価低迷につながったと受けとめています。

以下の図は、塩化カリウムの市場価格のチャートです。(IndexMundiより)

塩化カリウム月次価格(USD/t)(2013-2017年)

以下の図は、当社の業績と販売価格を示したチャートです。図中の略語は、DAPがリン酸、MOPが塩化カリウムを意味しています。


市場価格低迷を招いた原因をさらにさかのぼれば、次のような要因が寄与していたものと想像します。

・穀物全般の豊作がつづき、穀物の市場価格も下落したこと。
・原油価格が下落し低迷したこと。
・ドル高基調だったこと。
・ロシアとベラルーシのカリウム生産者同士の関係が改善しなかったこと。(両社は、生産者側が大きな優位性を取り戻すカギとみられていました)
・主要需要家側(中国及びインド)が在庫コントロールの主導権を大きく取り戻し、ひいては価格面でもリードしていると思われること。
・リン酸市場において、中国生産者の輸出が伸長し、価格低下圧力になったこと。

また当社固有の低迷要因としては、次のようなものが考えられます。

・故障や天災による操業停止や修繕が、想定以上に発生したこと。

<今後の投資方針>
当社に投資するにあたって「資源高リスクをヘッジする」意味合いを含んでいたので、ポートフォリオ全体を占める割合は小さなままでした。そのため株価下落の影響は小さく、当面は継続保有するつもりです。製品の市場価格が高騰する以前の水準にほぼ回帰した以上、今後の価格動向を当てる自信はありませんが、一方で以前の投稿で触れたような長期的な市場環境は継続するとみており、急いであきらめるつもりはありません。

当社への投資を再検討する上で、現時点での好材料と受けとめている点は次のとおりです。

・製品の市場価格が改善傾向を示してきたこと。
・事業者の集約再編が進んでいること。
・業績低迷に伴って、コストダウン(販管費)が進んだこと。
・当社内の新規生産拠点が立ち上がってきたこと。
・自社株買いが進み、発行済み株式数が減少していること。

また個人的に想定不足だったリスクは次のとおりです。

・リン酸部門の主力生産拠点がフロリダ州に集中しており、ハリケーンの被害を受けやすいこと。さらに二次的影響として、環境問題につながるリスクがあること。

投資し始めてから4年間ほどが経ちましたが、「投資先として他企業以上にこだわる価値があるのかと言えば、それほどの魅力はないだろう」と考え直しました。そのため製品の市場価格上昇に伴って株価がある程度上昇すれば、持ち株を段階的に売却していずれ全処分すると考えています。

2018年1月20日土曜日

金利からみた現在の株価水準(ウォーレン・バフェット、2017年10月)

前々回の投稿で、現在の全般的な株価に対するウォーレン・バフェットの見解をご紹介しました。今回は、その際に触れた「3か月ほど前のインタビュー」から一部をご紹介します。(日本語は拙訳)

Chairman & CEO of Berkshire Hathaway Warren Buffett Speaks with CNBC’s Becky Quick on “Squawk Box” Today (トランスクリプト)

Watch CNBC's full interview with Warren Buffett (映像)

<ベッキー・クイック> (前略) 市場はと言えば、あまり反応がないようです。潜在的に悪いニュースをどれも無視しています、ダウ工業平均株価は昨日さらに記録を更新して、今では8四半期連続で上昇しています。このような市場の状況を妥当だとお考えですか。現在の市場がくだしている評価は、理にかなったものなのでしょうか。

<ウォーレン・バフェット> ええ、現在の金利水準からみると、市場の評価は妥当です。これはつまり、いずれ戻るところに照らし合わせて資金をどの資産へと振り向けるか、結局はそれで決まります。一番の基準になるのが米国政府です。10年物[の米国債]の利回りが2.3%であれば[インタビュー時点での利率]、株式のほうがかなり良い投資対象だと思います。わたしがどちらかを選ぶとしたら、現時点では株式にします。そうではなく、10年物の利回りが5あるいは6%であれば、株式の評価水準はまったく異なってきます。この件は以前に少し話をしましたね。

<ベッキー> そのことを言おうと、ちょうど考えていたところです。「重力として働くことで市場をどのように引き下げるのか、さらには現在はそうなっていない」話をしてから、何年か経ちました。

<ウォーレン> そうです、金利は重力です。もし今から最終日まで金利ゼロが続くとわかっていれば、たくさんの資金を別の資産へつぎ込むかもしれません。ゼロのところに資金を寝かせたくないですから。8年前の2009年にはここまで利率が低くなかったことを思い出します。しかし影響力は強力でした。低金利が長く続くにつれて、おなじみとなった利率近辺で考えだす人が多くなります。ですからしばらくは、この水準における株式の成績はまちがいなく債券を上回ると思います。金利が3%程度の30年物債券をショートして、一方でS&P500を買い持ちして30年間放っておくとすると、株は債券を大きく上回ると思います。ここで疑問となるのが、「どの変数が変化するのか」です。金利が変化するとはだれもが予想していますが、しかしそう予想してからずいぶん経ちました。

<ベッキー> それはつまり、もしひとつの要因が金利だとすれば、連銀が金利引き上げをにらんでいることはだれもが知っています。時間をかけて、ゆっくりと徐々に上げるようです。少なくとも、彼らはそのように匂わせています。それでは、引き上げが今後数年間は継続するほうに賭けますか。つまり、2.3%から5%まで時間をかけて金利引き上げを進めるでしょうか。

<ウォーレン> 長くかけると思います。

<ベッキー> 0.25%ずつ引き上げていくとしたら。

<ウォーレン> ええ、そうです。じっくり時間をかけると思います。ただしわたしとしては、株式市場がどうなるのか賭けたり予想したりはしません。ただ、ビジネスを買うだけですので。あえて予想すれば、もし10年債の利回りが5%になれば、株価はいくぶん下がると思います。(後略)

BECKY QUICK: And-- and you see a situation like this develop. Obviously-- our-- our-- our hearts and our thoughts are-- with-- the people of Las Vegas and the people who have traveled around to be there today. But we are talking about business, too. And as much as we should not become inured to this, if you look at the markets, it's hard to see much of a reaction. The markets have ignored just about any potential bad news badly with the Dow setting another record yesterday and with eight quarters in a row now of gains for the market. Is that-- a market that makes sense to you? Do valuations here make sense?

WARREN BUFFETT: Well, the valuations make sense-- with interest rates-- where they are. I mean, in-- in the end, you-- you measure laying out money for an asset in relation to what you're going to get back. And the-- and the number one yardstick is U.S. government. And-- and-- when you get 230 on the-- on the 10 year-- I think stocks will do considerably better than that. So if I have a choice of the two, I'm gonna take stocks at that point. On the other hand, if-- if interest rates were-- on the 10 year were five or six, you would have a whole different valuation standard for-- for stocks. And-- and we've talked about that, you know, for some time now.

BECKY QUICK: I was going to say, it's been years that you've been talking about how-- this is in relation to gravity, and pulling the market down, and how it's not happening here.

WARREN BUFFETT: Yeah, interest rates are gravity. If-- if we knew interest rates were gonna be zero from now till judgment day, you know, you could pay a lotta money for any other asset. You would not want to put your money on a zero. And I would have thought back in nineteen-- I mean, 2009 that rates would not be this low-- eight years later. But it's been a powerful factor. And the longer it persists, the more people start thinking in terms of something close to the-- the rates they've seen for a long time. So-- the one thing I'm sure of is that-- over time-- stocks from this level will beat bonds from this level-- you know? If I could be short the 30-year bond at 3% or something, and long the S&P 500, and just have it put away for 30 years, stocks are gonna far outperform bonds. And the question is: Which variable is gonna change? And everybody expects interest rates to change, but they've been expecting it quite a while.

BECKY QUICK: So does that mean-- I mean, if the one factor is interest rates, we know that the Fed is looking at raising rates. It's going to do so slowly and gradually over time. At least that's what they've been telegraphing to this point. Would you bet on that continuing for the next couple of years? I mean, 2.3% to 5% is a long way when you're moving—

WARREN BUFFETT: That'd be a long away.

BECKY QUICK: --when you're moving in quarter-point increments.

WARREN BUFFETT: Yeah. Yeah, that'd be a long way. And my-- I would-- I would guess-- I don't try and guess the stock market. I just buy businesses, how I-- but if I were to guess, if-- if interest rates-- if the 10 year moved up to 5%, I think stocks would be somewhat cheaper.

2018年1月16日火曜日

問題解決の技法(5)構造化せよ(クロード・シャノン)

数学者クロード・シャノンが行った問題解決に関する講演について、5回目の投稿です。冒頭は単純な話題のように読めますが、読み進めるともっと奥行きがある話題だと感じました。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

次に申し上げられるのは、「問題を構造的に分析する」という考えです。たとえばある問題に対して、解がこうあるとしましょう。その場合、大きな跳躍が二度必要となるかもしれません。そのときには、大きな跳躍を多数の小さな跳躍に分割するやりかたが考えられます。一連の公理に基づいて、ある定理や結論を証明しようとするとき、それを一息に証明しようとしても、私の手には余るかもしれません。しかし、いくつかの下位的な定理や命題を描き出すことはたぶんできますので、それゆえにそれらを証明できれば、やがては当初の解へと到達できるでしょう。言い換えればこうなります。まず下部に位置する一連の解1,2,3,4などを以て、この領域を歩む道を用意します。そしてあるものを基礎として次のものを証明してみます。さらに、証明の済んだものを基礎として、その次を証明できるか試みます。最終的な解Sへつながる道に至るまで、この作業をつづけるわけです。

数学の世界では実際のところ、極端なほど遠回りな手順を踏んで見いだされた証明がたくさんあります。ある定理から証明に取りかかった人が、あちこちへとさまよっている自分に気づきます。問題解決に乗り出したその人は、良好ながらも次につながらないと思える結果を数多く証明していきます。しかしやがては、与えられた問題に対する解へつながる裏口に行きつくことになります。そうなったとき、つまり解を見つけたときに、[解への道筋を]容易に単純化できることが非常によくあります。「ある段階でここを近道していたとすれば、今度はあちらを近道できるかもしれない」というわけです。

設計の仕事においても同じことが言えます。あきらかに扱いにくく厄介なものごとを行う方法を設計できる場合でも、非常に多くの能力が必要とされることがあります。しかし自分で操れるものやしっかりと握れるものを手にできれば、その問題を小要素に分割しはじめることができ、実のところある部分は余計だということもわかるでしょう。そもそもからして、それらは必要のないものだったのです。

Next one I might mention is the idea of structural analysis of a problem. Suppose you have your problem here and a solution here. You may have two big a jump to take. What you can try to do is to break down that jump into a large number of small jumps. If this were a set of mathematical axioms and this were a theorem or conclusion that you were trying to prove, it might be too much for me try to prove this thing in one fell swoop. But perhaps I can visualize a number of subsidiary theorems or propositions such that if I could prove those, in turn I would eventually arrive at this solution. In other words, I set up some path through this domain with a set of subsidiary solutions, 1, 2, 3, 4, and so on, and attempt to prove this on the basis of that and then this one the basis of these which I have proved until eventually I arrive at the path S.

Many proofs in mathematics have been actually found by extremely roundabout processes. A man starts to prove this theorem and he finds that he wanders all over the map. He starts off and prove a good many results which don’t seem to be leading anywhere and then eventually ends up by the back door on the solution of the given problem; and very often when that’s done, when you’ve found your solution, it may be very easy to simplify; that is, to see at one stage that you may have short-cutted across here and you could see that you might have short-cutted across there.

The same thing is true in design work. If you can design a way of doing something which is obviously clumsy and cumbersome, uses too much equipment; but after you’ve really got something you can get a grip on, something you can hang on to, you can start cutting out components and seeing some parts were really superfluous. You really didn’t need them in the first place.

2018年1月12日金曜日

ウォーレン・バフェット曰く、「株価は高くない」(2018年1月)

バークシャー・ハサウェイが昨日、新たな副会長として2名を加えたと発表しました(公式発表)。その補足説明ということで、ウォーレン・バフェットがCNBCのインタビューに応じていました。本題であるバークシャーの人事以外の話題として、最近の株価に関する発言もありましたので、そちらをご紹介します(日本語は拙訳)。

ひとつめは、トランプ減税の観点から見た株価についてです。

Warren Buffett says 'huge' corporate tax cut is 'not baked in' stock market (CNBC)

ウォーレン・バフェットは「株を保有する者にとって、今回の法人税改正は大きな追い風となるものだ」と信じている。

ドナルド・トランプ大統領が先月に署名したこの税制改革によって、法人税率が35%から21%に引き下げられる。

「今回の税制改正法は、価値を評価する上で非常に大きな要因になります」。ウォーレン・バフェットは水曜日に放映されたCNBCの番組スクォーク・ボックスで、そのように語った。「35%で満足していた米国企業の静かなる株主に、大きな変化が起きたわけですから。利益の35%分をとっていたところが、今や21%になりました。つまり、それ以外の株の価値が増すことになります」。

バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOである非常に裕福な彼は、減税の影響はまだ株式市場に反映されていないことも説明した。

「21%という数字は織り込まれていないと思います。それだけ巨大な削減だったわけです」、彼はそのように付け加えた。

Warren Buffett believes the corporate tax reform bill is very bullish for stockholders.

The tax overhaul, which President Donald Trump signed into law last month, lowers the corporate tax rate to 21 percent from 35 percent.

"The tax act is a huge factor in valuation," he said on CNBC's "Squawk Box" on Wednesday. "You had this major change in the silent stock holder in American business who has been content with 35 percent ... and now instead of getting 35 percent interest in the earnings they get a 21 percent and that makes the remaining stock more valuable."

The billionaire chairman and CEO of Berkshire Hathaway also explained the magnitude of the tax cut is not reflected in the stock market yet.

"I think 21 percent was not baked in. That's a huge reduction," he added.

もうひとつは、現在の金利面からみた株価についてです。なお、この話題は3か月ほど前にあった同じCNBCのインタビューでも取り上げられていました(そちらは改めてご紹介します)。

Warren Buffett says he's a net buyer of stocks, wary of cryptocurrencies (Australian Financial Review)

「金利の水準からみると、株式の評価が高いことはないと思います」

「当社は買い越しています」と彼は言った。「基本的には、昔から買いを重ねてきたのです。状況によっては売り手となることもありますが、ひとつ言えるのは、資金が集まり続ける会社なので、基本的に買い続けているわけです」

Stocks "are not richly valued relative to interest rates".

"Net we're buying," he said. "We're basically buyers over time. There could be conditions under which we're sellers. For one thing, the money keeps coming so we basically keep buying."

2018年1月8日月曜日

強気相場がますます高騰する可能性を感じる(ジェレミー・グランサム)

GMOのジェレミー・グランサムが1月3日付で、「私見」と断り書きをした文章を公開していました。今回の株式市場がこれからどうなるのか、過去のバブルを振り返った上で、以前の彼とはずいぶん異なる見解を披露しています。冒頭部及びまとめの部分を中心にご紹介します。(日本語は拙訳)

Bracing Yourself for a Possible Near-Term Melt-Up (A Very Personal View) (GMO) [PDF]

バリュー投資を奉じる投資家の一員たる私自身が、今やなんとも興味深い場所に位置しているものだと感じています。「現在の市場は、米国史上において最も高値をつけた時期のひとつだ」と認識する一方で、巨大株式バブルの歴史を研究する一人として、「長く続いてきた今回の強気相場において、急騰期あるいは高騰期に踏み入ったことを示す兆候が現在観察できる」ことを認める自分がいるからです。市場が高値をつけていることを示すデータは、明快で現実のものです。「現在の価格が際立って高い」との結論を株式市場分析から得るのと同様に、たしかなものだと言えます。それとは対照的に、「株価高騰が続く」とする私見は、統計的要因と心理的要因を混ぜ合わせたところから導いています。ただしそれらの要因は、それぞれが大きく異なった過去の時期に基づいており、それがために利用可能な情報の多くが容易には比較できません。さらには、米国それも数件の事例に著しく依存しています。しかしながらおかしなことに、今回のバブルという意味では、「割高だ」とする単純な事実よりも、統計的ではないデータのほうがより説得力があると感じられます。読者のみなさんも、どうなのかは判断できないことでしょう。それはともかく、この文章で私がやるべきことは、統計的なものだけでなくあけっぴろげなものも合わせて、なるべく明瞭に証拠を示すことであります。(p. 1)

I find myself in an interesting position for an investor from the value school. I recognize on one hand that this is one of the highest-priced markets in US history. On the other hand, as a historian of the great equity bubbles, I also recognize that we are currently showing signs of entering the blow-off or melt-up phase of this very long bull market. The data on the high price of the market is clean and factual. We can be as certain as we ever get in stock market analysis that the current price is exceptionally high. In contrast, my judgment on the melt-up is based on a mish-mash of statistical and psychological factors based on previous eras, each one very different, so that much of the information available is not easily comparable. It also leans very heavily on a few US examples. Yet, strangely, I find the less statistical data more compelling in this bubble context than the simple fact of overpricing. Whether you will also, dear reader, remains to be seen. In any case, my task in this note is to present the evidence, both statistical and touchy-feely, as clearly as I can.

私の予想のまとめ(まったくの個人的見解によるもの)

・株価の高騰あるいはバブルの最終期が今後6か月から2年にわたって生じる可能性が、例えば50%以上の確率で考えられます。

・もし株価高騰が続いたとすれば、そのあとにバブルの破裂あるいは価格下落が生じる確率は、相当高い(例えば90%以上の確率)と思われます。

・もし株価高騰の後に下落が生じるとすれば、50%程度の下落率になる可能性がかなりあると思われます。

・そのような下落が生じた後には、1998年以前の水準だった15倍超の倍率まで反騰する可能性がかなり高い(2/3以上)と思われます。ただし直近20年間で見られた傾向の平均には若干とどかないでしょう。それ以降の傾向は、以前に記したレター『鳴動ならんや、さめざめと』で触れた航路を進み、従前の平均へとゆるやかに近づいていくと思われます。(p. 12)

Summary of my guesses (absolutely my personal views)

- A melt-up or end-phase of a bubble within the next 6 months to 2 years is likely, i.e., over 50%.

- If there is a melt-up, then the odds of a subsequent bubble break or melt-down are very, very high, i.e., over 90%.

- If there is a market decline following a melt-up, it is quite likely to be a decline of some 50% (see Appendix).

- If such a decline takes place, I believe the market is very likely (over 2:1) to bounce back up way over the pre 1998 level of 15x, but likely a bit below the average trend of the last 20 years, as the trend slowly works its way back toward the old normal on my“Not with a Bang but a Whimper” flight path.

以下の図は、現在の株式市場がやがてバブルの頂点に達すると仮定したS&P500のチャートです(グランサム氏による予想)。3400や3700という数字が書かれています。

(p. 4)

最後におまけです。ビットコイン相場と過去のバブル相場における頂点を対比したチャートです。(緑色:ビットコイン、えんじ色:南海バブル、紺色:チューリップ・バブル、黄色:1929年世界恐慌時のS&P500)

(p. 11)

2018年1月4日木曜日

2017年の投資をふりかえって(1)全般について

2017年にとった基本方針はここ数年と変わらず(過去記事2015年)、「市場からの評価水準が高い銘柄を順次売却して、保有株式数を減らす」ことでした。また売却はしないものの価格下落リスクが大きいと考えた銘柄については、ヘッジ的な売り(つなぎ売りなど)をしました。結果的にヘッジ・ポジション全体からは損失を出しましたが、あくまでも保険代とみなしており、今年も同様の方針をとるつもりです。

一方、証券を買うほうについては、年末近くになってから1銘柄を新規購入したものの、実質的には休業状態でした。悲観的な見方が織り込まれていない株価は、正直なところ苦手です。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(銘柄コード順)。

<新規購入(New Buy)>
・クックパッド(2193); まだわずかな規模の買いにとどめています。

<買増し(Add)>
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・しまむら(8227)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・インテル(INTC)
・マイクロソフト(MSFT)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・クラレ(3405)
・メック(4971)
・日進工具(6157)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM); 以前のシルバー・ウィートン(SLW)から社名が変更されました。
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・サンリオ(8136)

つづく投稿では、このところ業績(および株価)が思わしくなかった銘柄について、簡潔ながら反省と共にふりかえりたいと思います。