ot

2015年9月6日日曜日

自社株買い資本主義(ジェレミー・グランサム)

前々回の投稿でご紹介したジェレミー・グランサムのレターから、もう一か所引用します。米国資本主義における問題点として、彼は次のような状況をあげて憂慮しています。「米国企業では自社株買いと低金利を背景に株高が進むことで、大量に付与されたストック・オプションの売却益を経営陣が享受している。そのおかげで資本投資に費やされる金額は平均以下にとどまり、雇用も改善しない」。今回ご紹介するのはそれに続く部分で、「自社株買い資本主義」の影響を受けた二次的状況の一端を説明しています。個人的には参考になった文章です。(日本語は拙訳)

新たな高い水準に達したまま進んでいるかにみえる米国企業の利益率ですが、ここでも数字が落ちずにとどまり続ける状況について触れておきます。これまでに、新たなストック・オプション文化によって生じた相互作用のことを論じてきました。自社株買いが高い水準で実施され、そのことが資本投資の水準や経済の成長をどれだけ減じているかについてです。そう、ここでも別の裁定が長々と働く姿がみてとれます。まるで心臓周辺の主要な動脈が閉塞することで、いくつもの微小な動脈を次第に拡張させていくかのようです。つまりはこうです。より長期的な視野に立ち、積極的に拡大をはかる非公開企業は、市場シェアを拡大させていくでしょう。おなじように、プライベート・エクイティーも長期的な優位性を拡大していくと思います。彼らは公開企業よりも多額の資本をすでに投資しているからです。同様にベンチャー・キャピタルも、公開企業に多くをさらわれていたとき以上の機会を手にするでしょう。しかし、そのように資本家の位置関係がゆっくり遷移するよりも若干速いペースで生じると思われる事態があります。それは、事業家や政治家やおそらくは現実的な経済学者さえも、ストック・オプション文化が現在招いているもの、特に低成長と低生産性に対してますます不満を抱くようになることです。(後略) (PDFファイル23ページ目)

Now, let's go back to the similar stickiness in U.S. profit margins, also bouncing along on a seeming new high plateau. I have discussed the interplay of the new stock option culture with its high level of buybacks and how this has reduced the level of capital spending and growth in the economy. Well, here also there are long-winded alternative arbitrage mechanisms, like a heart with clogged major arteries slowly developing a host of widened minor arteries. Private companies with more focus on the long term and more aggressive expansion will have a growing market share. Private equity will also have an incremental long-term advantage: they are already doing more capital spending than traded companies. Venture capital will also have more opportunities than they had previously, when public companies scooped up more of the opportunities. But perhaps slightly faster than this slow capitalist adjustment, businessmen, politicians, and perhaps even some of the more real-world economists will increasingly complain of the current consequences of the stock option culture, especially low growth and low productivity.

0 件のコメント:

コメントを投稿