<質問者> あなたのもとで働く人たちに対して、ご自身が実行しているとおっしゃっていたのと同じことができるような雰囲気をうまく醸し出せたことはありますか。たとえば、確約や一貫性を示す傾向についてどうでしょうか[参考記事]。
<マンガー> ひどいまちがいの場合がほとんどですが、それがためにせざるを得なかったことがあります。
<質問者> そういった傾向をみんなが捨て去り、安心してあやまちを認められる環境を作り上げるにはどうされたのでしょうか。
たとえば今年早々に来られたインテルの人は、自分たちにとって一番むずかしかったこととして、「ペンティアムCPU問題のときに自分たちがまちがった道を歩んでいたことを認め、方向転換しなければならなかったこともそうだった」と話していました。複雑になった組織においてそうするのは非常にむずかしいことだと思います。そのようなときには、どのように進めるのでしょうか。
<マンガー> インテルの人々は最先端の科学によって困難な課題をチームで解決するという、首尾一貫した文化を築いています。それはバークシャー・ハサウェイとは根本的に違うものです。バークシャーは持ち株会社なので、本社の仕事としてやるべき資本配分を行う以外には、あらゆる権限を委譲してきました。
概していえば我々は、配下の賛嘆極まる諸氏に対して権限を持たせる方針をとってきました。彼らとうまくやっていくのは、おしなべて容易です。彼らに惚れこみ、称賛しているからです。ビジネスを前に進めるのであればどんな発明や現実認識であれ良しとする文化を、彼らは創り出してきました。過去に出した結論がまちがっていたことを認めるのも、その現実認識に含まれています。
我々の会社はまったくもって別の種類のものです。アンディ・グローブ[インテルの元CEO]のやったことが私やウォーレンに同じようにできるかと言えば、まったくわかりません。その種の領域に関する強みを持ち合わせていないのです。我々が心底惚れ込んでいる優れた人たちとやっていくという点では、それなりにうまくやれます。が、欠点もあります。たとえば私は上の空だったり、頑固だったりと言われることがあります。インテルに行ったら、ただの厄介者かもしれません。
しかし、過去に出した結論を見直すという点ではウォーレン共々非常にうまくやっています。その技量を磨く中で仕事をしてきました。そうしないと、たびたび災厄に見舞われることになりますからね。
Q: Have you been successful in creating an atmosphere where people below you can do the same things you're talking about doing yourself? For example, you talked about the tendency towards commitment and consistency….
Mostly about the terrible mistakes it causes you to make.
Q: How have you created an atmosphere comfortable (enough) for people to abandon that tendency and admit that they've made a mistake?
For example, someone here earlier this year from Intel talked about problems that occurred with their Pentium chip. One of the most difficult things for them to do was to realize they'd been going about it the wrong way and turn course. And it's very difficult to do that in a complex structure. How do you foster that?
Intel and its ilk create a coherent culture where teams solve difficult problems on the cutting edge of science. That's radically different from Berkshire Hathaway. Berkshire is a holding company. We've decentralized all the power except for natural headquarters-type capital allocation.
By and large, we've chosen people we admire enormously to have the power beneath us. It's easy for us to get along with them on average because we love and admire them. And they create the culture for whatever invention and reality recognition is going on in their businesses. And included in that reality recognition is the recognition that previous conclusions were incorrect.
But we're a totally different kind of company. It's not at all clear to me that Warren or I would be that good at doing what Andy Grove does. We don't have special competence in that field. We are fairly good at relating to brilliant people we love. But we have defects. For example, some regard me as absent-minded and opinionated. I might be a mess at Intel.
However, both Warren and I are very good at changing our prior conclusions. We work at developing that facility because, without it, disaster often comes.
2014年1月6日月曜日
過去に出した結論を見直すことについて(チャーリー・マンガー)
チャーリー・マンガーの(再考)世知入門の12回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
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