ot

2013年3月2日土曜日

2012年度バフェットからの手紙(1)100年間はぐっすり眠れる

バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2012年度「株主のみなさんへ」を公開しました。前年度とは趣がやや異なり、今回は例年通りの構成で、一般的なものよりもバークシャー固有の経営状況を説明する話題が多かったように感じました。しかし一株主としては勉強になる文章が多く、追加投資を考えるきっかけになりそうです。

ウォーレンの書き物は通読する価値がありますが、ここでは個人的にご紹介したいと感じた文章を何度かにわけてとりあげます。(日本語は拙訳)

まずはアメリカビジネスの見通しについて。

アメリカのビジネスは今後も良好でしょう。そしてビジネスの成否と一蓮托生である以上、株式のほうもきっとうまくいくと思います。もちろん、後退する時期は周期的にやってくるでしょうが、投資家や経営者はすごく有利な立場でゲームに参加しているのです。(20世紀をふりかえると、費用のかさんだ戦争が4回あり、多くの景気後退に加えて大恐慌もおきました。しかしダウ工業平均は66から11,497ポイントへと、17,320%上昇しました。さらには100年間を通じてかなりの配当がでていたことも忘れてはなりません)

ゲーム自体が望ましいものなのですから、タロット占いでめくったカードや、「専門家のみなさん」がくだす予言や、事業活動の上で生じる潮の満ち引きといったものに応じて出たり入ったりをくりかえすのは、とんでもない間違いだと思います。ゲームに参加しているのと比べて、参加しないリスクのほうがずっと大きい。チャーリーとわたしはそう確信しています。(PDFファイル5ページ)

American business will do fine over time. And stocks will do well just as certainly, since their fate is tied to business performance. Periodic setbacks will occur, yes, but investors and managers are in a game that is heavily stacked in their favor. (The Dow Jones Industrials advanced from 66 to 11,497 in the 20th Century, a staggering 17,320% increase that materialized despite four costly wars, a Great Depression and many recessions. And don’t forget that shareholders received substantial dividends throughout the century as well.)

Since the basic game is so favorable, Charlie and I believe it’s a terrible mistake to try to dance in and out of it based upon the turn of tarot cards, the predictions of “experts,” or the ebb and flow of business activity. The risks of being out of the game are huge compared to the risks of being in it.


個人的な見解ですが、ウォーレンが触れている「ゲーム」とはあくまでも「素晴らしいビジネス」のことで、単なる「株式市場」ではありません。それは、今回の書簡を通読すれば感じられることです。

次は一転して、慎重な姿勢について。リーマンショックの際に破綻した各社が受けた一発撃沈を思い起こさせます。

わたしどもはデリバティブのポートフォリオの一部を少しずつ縮小しています。その中にはバークシャーが引き受けることになる、保険と似たようなリスクを有するものが含まれています(一方、電力ガス事業では操業上の理由からデリバティブを使い続けます)。一部の例外があるものの、新規の契約では担保を供することが要求されますが、そうするつもりはありません。市場はときに尋常ならざる動きをすることがあるからです。金融界において青天の霹靂ともなれば、山と積み上げてきたわれわれのキャッシュがものをいうときです。ですから、そのようなリスクにバークシャーをさらすつもりはありません。

チャーリーとわたしは、幾重にもわたって冗長なまでに流動性を確保しておく経営方針をとっております。また実際にキャッシュを流出させるような、いかなるたぐいの責務も負わないようにしています。そのせいで、100年間のうちの99年間はリターンを減少させることになりますが、100年目になって他社が軒並みコケたときでも生き残ることができます。そのうえ、100年間を通してぐっすり眠れる夜をすごせます。(同14ページ)

We continue to wind down the part of our derivatives portfolio that involved the assumption by Berkshire of insurance-like risks. (Our electric and gas utility businesses, however, will continue to use derivatives for operational purposes.) New commitments would require us to post collateral and, with minor exceptions, we are unwilling to do that. Markets can behave in extraordinary ways, and we have no interest in exposing Berkshire to some out-of-the-blue event in the financial world that might require our posting mountains of cash on a moment’s notice.

Charlie and I believe in operating with many redundant layers of liquidity, and we avoid any sort of obligation that could drain our cash in a material way. That reduces our returns in 99 years out of 100. But we will survive in the 100th while many others fail. And we will sleep well in all 100.


最後はおまけです。バークシャーのビジネスを説明する本文とは違って、5月の株主総会に関するウォーレンの文章はジョーク連発でした。この調子ですと、総会参加者総数は新記録を更新しそうです。

総会での質疑応答の際に会場を後にするようでしたら、チャーリーが話をしている順番のときにお願いします。(同21ページ)

If you decide to leave during the day's question periods, please do so while Charlie is talking.

0 件のコメント:

コメントを投稿