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2012年7月4日水曜日

両手があかないときにどうやったのか(チャールズ・ダーウィン)

チャーリー・マンガーは思考や認識の誤りをみつける方法として、科学者ダーウィンのやりかた「持論をくつがえすよう努力する」ことを強調しています(過去記事)。『ダーウィン自伝』を読んだところ、ダーウィン本人がそのやりかたに触れていたのでご紹介します。

私はまた、多年にわたって、次の鉄則を遵守してきた。それは、公表された事実であれ、新しい観察や考えであれ、なんでも私の一般的な結論に反するものに気がついたときには、それを漏れなく、すぐに覚え書きにしておくということである。というのは、このような事実や考えは、都合のよい事実や考えよりもずっと記憶から逃げてしまいやすいということを、私は経験で知っていたからである。この習慣のおかげで、私がすでに気づいてそれに答えようとしたのでない異論が私の見解に向けて提起されるということは、ほとんど起こらなかった。(筑摩叢書 p.111)


このやりかたを身につけるに至っては、科学者の友人たちとの親交も影響していたかもしれません。

私は、結婚以前にも以後にも、他のだれよりもライエルLyellによく会った。かれの心は、明晰さ、注意深さ、健全な判断力、豊富な独創力を特徴としているように思われた。私が地質学についてかれに何か意見を述べると、かれは問題全体を明確に知るまでは信用しようとはせず、そしてしばしば、私がその問題をいっそう明確にみるようにさせた。かれは、私の意見にたいして可能な異論をすべてだしてみせ、それらをだしつくしたあとでもなお長いあいだ疑わしく思っているのがつねであった。(p.87)

このようなやりとりは、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーのようなコンビを思い出させますね。

最後はおまけです。ダーウィンがまだ学生だった頃の思い出です。

しかし、なんといっても、甲虫の採集ほどに私がケンブリッジで熱中し、たのしみにしたことはなかった。それはたんに採集への情熱であった。というのは、私はそれらを解剖したことはなく、外的な特徴を本にでている記述と照らし合わせることもまれでしかなかったからである。しかし、名前だけはなんとかつけた。私の熱中を示す一つの証拠をあげよう。ある日、古い樹皮をひき裂いていると、2匹の珍しい甲虫が見つかったので、1匹ずつ両手につかんだ。ところがさらに3番目の新しい種類のものが見つかった。これをつかまえないのは残念でたまらないので、私は右手につかんでいた1匹を口の中にほうりこんだ。何と! それはものすごく辛い液体を出し、私の舌を焼かんばかりであった。私はやむなくその甲虫を口から吐き出したが、それは逃げ、そしてまた、3番目のやつも逃げてしまった。(p.46)

2 件のコメント:

  1. == No title ==
    自分の考えに固執してしまう.
    私もついついやってしまいがちです.
    話がそれるかもですが.
    持論を展開する時,自分でたてた仮説に「なぜ?」と問うと,答えることができない穴が見つかる.
    仮説で抜けていた穴を埋めると,また新しい「なぜ?」が生まれてくる.
    それを繰り返すことにより,異論が無くなっていく(打破できる).
    よりよいものを生み出すためには「なぜ?」と問う事が必要であると確信しています.
    「なぜ?を5回繰り返す」
    トヨタのカイゼンは本当に凄いなと思いました.
    投資も論理的にやりたいものですね,自分はまだ全然できていませんが...

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  2. == 投資男さん、こんにちは ==
    すばらしいコメントをありがとうございました。
    仮説に対してなぜを問うことは、因果関係を明らかにしたり、合理を判断されたり、データで説得したりと、客観的な視点が要求されるものです。そのような中で、よりよいものが生まれ、研ぎ澄まされていくというのは、どこか自然そのものと似た美しさがありますね。
    トヨタさんは「なぜなぜ」もそうですが、JITやかんばん、自働化といった名物がめじろ押しですね。畏れ多い表現ですが、個人的には日本でもっとも敵にしたくないメーカーだと感じています。
    「なぜなぜ」についてはチャーリー・マンガーも強調していますので、別の機会にご紹介します。
    最後になりますが、売上高営業利益率の記事は興味深く拝見しました。わたしも最重要視している指標です。
    http://betseldom.blogspot.com/2011/12/mf-18.html
    それでは、またよろしくお願いします。
    失礼致します。

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