ot

2012年4月24日火曜日

ブラジルが一緒に詰めて輸出しているもの

前回記事に続いて『食の終焉』からの引用の最終回です。今回は農業や畜産業で成長著しいブラジルについてです。

農家がいまだに分厚い表土の恩恵を受けているアメリカ中西部や黒海地方とは違い、南米の森林地帯の多くは表土が薄く、有機物の少ない強酸性の土壌であるため、開墾され作付けが行われても、ほかの地域で行われてきたような集約的農業に十分に耐えられない。そのような土地では、有機物の消失が急速に進み、それによって収穫量が徐々に落ち込み、表土流出の危険性が高まると、農家はその土地を放棄して新しい土地に移るしかないが、そのためにまた新たな森林伐採が必要となる。言ってみれば、ブラジルは輸出する大豆の袋や冷凍鶏肉の箱の中に、安い労働力やすでに逼迫している水資源や土資源を一緒に詰めて輸出しているようなものなのだ。

育種の専門家で、中南米で調査を行ったジョージア大学のチャールズ・ブラマー(Charles Brummer)教授は言う。「ブラジルが次の100年も作付け面積を増やせると考えるのは馬鹿げている。彼らは沼地を干拓したり、森林の伐採をさらに進めたりすることはできるだろう。しかし、それはすでに彼らが、延命措置によって生きていることを意味している」(p.399)

ブラジルはこれからの経済成長が期待されている大国として明るい面ばかりみていましたが、それなりの影がかくれているのですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿