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2012年4月3日火曜日

私がウォール街で見てきたこと(ロバート・ルービン)

ロバート・ルービンがゴールドマン・サックスに転職する前は、ある法律事務所に勤めていました。そこで株式公開の仕事に携わったことで、投資に興味を持つようになります。分析手法のよりどころとしたのは、ベンジャミン・グレアムの『証券分析』。今回は株式投資に対する彼の見方をご紹介します。前回と同じ『ルービン回顧録』からの引用です。

今日でも、私はこれ[ベン・グレアムのやりかた]が株に投資する唯一の賢明な方法だと考えている。企業活動全体の経済的価値を考えるときと同じように、株の経済的価値を分析すべきなのだ。製鉄所であれハイテク企業であれ、その企業が将来見込める収益に、ほかの基本的要因 - リスクやバランスシートに載らない資産など - を加味した現在の価値に相当する。長期的に見れば、株価はこの経済的価値を反映しているのだが、長い間その価値から大きく乖離することもある。投資家はときどきこの現実を見失ってしまうらしく、その結果、当然ながら予測しうる事態を招く。最新の例では、2000年と2001年にインターネット業界と通信業界の株が暴落したとき、多くの投資家が価値判断ではなく流行にしたがった結果、多大の損害をこうむった。このことと関連しているが、もうひとつ別のポイントとしてあげられるのが、最大のチャンスは往々にして時流に逆らうところにあることである。

市場のとらえ方として、グレアムとドッドのアプローチも、私のハーバード時代からの懐疑主義に合致していた。市場を眺めて、価格が市場の大方の見方を反映していない証券を見つけようとすることに、私は大きな魅力を感じた。市場は効率的だというのが、不動の学術的原則である。つまり株価は、その株に関するあらゆる既知の情報や判断を織り込んでいるというのである。この効率的市場論に付随して、長期的には誰も市場の効率に勝てないということも指摘される。しかし私がウォールストリートで見てきたことのすべてが - そして金融理論に関するもっと最近の考え方の多くが - そうではないことを物語っている。当然ながら大半の投資家は、いや、たいていの専門家でさえ、市場に勝つことはできない。しかし、よりよい分析、よりよい判断、より強い自制心を兼ね備えていれば、一部の者にはそれが可能だろう。 (p.100)

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