このあいまいな言葉Moatとは具体的に何を指すのか、を記した本があります。『千年投資の公理』です。わざと売れないようにしたのかと思える日本語の題名ですが、原題は簡明で「The Little Book That Builds Wealth」です。米モーニングスターのリサーチ部門責任者だった著者パット・ドーシーは、Moatの例として次の4つを挙げています。
1.無形資産
例えば、ブランド、特許、行政の認可など。
2.顧客の乗り換えコスト
顧客にとって手放しがたいこと。
3.ネットワーク効果
利用する人の数が増えることで物やサービスの価値が上がること。
4.コストの優位性
生産過程や場所、規模、独自のアクセスなどによって製品やサービスをライバルよりも安い価格で提供できること。
一方、以下は「誤解されている堀」として、要注意としています。
1.すばらしい製品
他社によって容易にコピーされないか。
2.大きなマーケットシェア
容易にマーケットシェアを奪われないか。
3.ムダのない業務執行
簡単にまねのできない独自の過程に基づくものでなければ、継続的な優位性にはならない。
4.優れた経営陣
天まで昇る人気を誇ったあと、地に落ちた経営者がどれほどいたか。
余談ですが、本書の裏表紙の推薦文にGEICOのルー・シンプソンが含まれています。これだけでも、本書の価値を裏付けてくれます。GEICOはバークシャー・ハサウェイの中核的な保険会社です。最近になって引退しましたが、ルーは長い間GEICOの株式運用に携わり、見事な成績を挙げてきました。ウォーレンも株主への手紙(2006年度PDFファイル16ページ目)で激賞しています。
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