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2018年1月24日水曜日

2017年の投資をふりかえって(2)モザイク(MOS)

(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
資源系の企業である当社は、カリウム及びリン鉱石を採掘し、おもに肥料として生産・販売する米国企業です。見聞きしない社名ですが、合併前の片割れが「カーギルからスピンオフした肥料部門」と書けば、その位置づけがなんとなく想像できるかと思います。生産高の世界シェアでみた事業規模は、塩化カリウムが第4位、リン酸が第2位です。近年はブラジル市場への展開を重点的に進めており、今年早々には同業他社であったヴァーレの一部門を買収しました(これにより、リン酸のシェアが第1位の規模に上昇)。

<株価動向と投資成績について>
当社の株価は低迷がつづき、2017年末時点で25.7ドルでした。それに対して平均購入単価は36.5ドルで、-30%程度の含み損です(それ以外に確定した損失がありますが、その金額以上に受取配当金があったので、相殺されています)。下図で赤矢印が株式購入、青は売却を示しています。


MOS株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
コモディティーを扱う企業ゆえに、その業績は対象製品の市場価格によってほぼ決定されます。当社に投資し始めた2013年以降は、塩化カリウム及びリン酸の両肥料ともに価格下落の傾向がつづき、業績そして株価低迷につながったと受けとめています。

以下の図は、塩化カリウムの市場価格のチャートです。(IndexMundiより)

塩化カリウム月次価格(USD/t)(2013-2017年)

以下の図は、当社の業績と販売価格を示したチャートです。図中の略語は、DAPがリン酸、MOPが塩化カリウムを意味しています。


市場価格低迷を招いた原因をさらにさかのぼれば、次のような要因が寄与していたものと想像します。

・穀物全般の豊作がつづき、穀物の市場価格も下落したこと。
・原油価格が下落し低迷したこと。
・ドル高基調だったこと。
・ロシアとベラルーシのカリウム生産者同士の関係が改善しなかったこと。(両社は、生産者側が大きな優位性を取り戻すカギとみられていました)
・主要需要家側(中国及びインド)が在庫コントロールの主導権を大きく取り戻し、ひいては価格面でもリードしていると思われること。
・リン酸市場において、中国生産者の輸出が伸長し、価格低下圧力になったこと。

また当社固有の低迷要因としては、次のようなものが考えられます。

・故障や天災による操業停止や修繕が、想定以上に発生したこと。

<今後の投資方針>
当社に投資するにあたって「資源高リスクをヘッジする」意味合いを含んでいたので、ポートフォリオ全体を占める割合は小さなままでした。そのため株価下落の影響は小さく、当面は継続保有するつもりです。製品の市場価格が高騰する以前の水準にほぼ回帰した以上、今後の価格動向を当てる自信はありませんが、一方で以前の投稿で触れたような長期的な市場環境は継続するとみており、急いであきらめるつもりはありません。

当社への投資を再検討する上で、現時点での好材料と受けとめている点は次のとおりです。

・製品の市場価格が改善傾向を示してきたこと。
・事業者の集約再編が進んでいること。
・業績低迷に伴って、コストダウン(販管費)が進んだこと。
・当社内の新規生産拠点が立ち上がってきたこと。
・自社株買いが進み、発行済み株式数が減少していること。

また個人的に想定不足だったリスクは次のとおりです。

・リン酸部門の主力生産拠点がフロリダ州に集中しており、ハリケーンの被害を受けやすいこと。さらに二次的影響として、環境問題につながるリスクがあること。

投資し始めてから4年間ほどが経ちましたが、「投資先として他企業以上にこだわる価値があるのかと言えば、それほどの魅力はないだろう」と考え直しました。そのため製品の市場価格上昇に伴って株価がある程度上昇すれば、持ち株を段階的に売却していずれ全処分すると考えています。

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