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2019年1月20日日曜日

2018年の投資をふりかえって(3)一部売却銘柄:日進工具(6157)、インテル(INTC)

(本シリーズの前回分記事はこちらです)

■日進工具(6157)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は2,400円強で、前年度の実績EPSは150円強でした。そのため、実績PERは16前後となります。

<株式の売買結果>
2月上旬にかけて株価が上昇している間は、持ち株を段階的に売却しました。その後、株価が下落を始めてからは売却をやめて、残りの持ち株を維持しました。

(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
景気拡大に合わせて、当社の業績も続伸しています。電子機器やそれに使われる部品の小型化・高性能化が漸次進んでおり、微細化を追求する当社の事業にとっては、ひきつづき追い風の環境にあると思われます。景気後退局面がくれば、金型や部品の加工に使われる当社製品への需要も減退するでしょうが、その後の回復期になれば市場規模はさらに拡大すると想像します。現在の状況及び株価水準であれば、継続保有したいと考えています。


■インテル(INTC)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は49$強で、前年度の実績EPSは2$弱でした。実績PERは24.5前後となります。ただし今期は第3四半期までにEPS3.35$の利益をあげています。

<株式の売買結果>
10月中に何度かに分けて売却しました。振り返ってみると、直近では株価がもっとも低迷していた時期でした。売却した理由は主として個人的な理由によるものですが、当社における技術面での行き詰まりに意気消沈していた部分も、若干ありました。(この技術的問題はその後に好転。後述)

(青矢印は売却)

当社へ投資したそもそもの目的は、マイクロソフトへの投資をヘッジする意味にありました。しかし現在までのところは、逆の位置づけになってしまいました。業績と比較した市場からの評価はマイクロソフトのほうが高く、当社は相対的に低迷しています。ただし企業価値の観点からみれば、現在の市場評価がそれほど正当だとは受けとめていません。

<業績などに対する所感>
当社の現状において注視している点2つを記します。

・10nmノード製品の開発遅延による余波
当社が先だって発表した声明によれば、技術的な問題をともかく解消して、10nmプロセスで製造する実質的に最初の量産製品を、年末にむけて出荷できる見通しが立ったようです。しかし数年にわたる開発遅延によって、微細化実現時期の面で当社が保ってきた優位性は、少なくとも現在においてはほとんどなくなったように思われます。つまり製品の優位性、ひいては価格競争力が低下するリスクが大きくなったと判断します。さらに、当社からの製品供給を重大なリスクと考える顧客が策を講じる傾向が強くなっていくとも想像します。当社の最重要な競争力が損なわれたわけですから、株式市場からの評価が低迷し続けるのも、ある程度は納得できます。

一方で、失敗に終わった今回の技術的挑戦において直面したさまざまな問題から得られた知見も少なくないと想像します。そして「転んでもただでは起きぬ」、その失敗を成功につなげる猶予が残されていると考えます。当社の製品を要望する顧客とのつながりや、実際に製品を製造する有形資産は、依然として健在です。短中期的にはむずかしいでしょうが、中長期的(3-7年程度)には今回の技術的なマイナスをある程度取り返せる可能性があると評価します。現在の株価水準にはその可能性が織り込まれていないように感じられます。

・事業領域の広範囲化
メモリー事業から開始した当社の事業は、その後にPC用CPU等の事業にうつって大成功し、現在はデータ・センター向け製品でも大きな利益をあげています。近年はネットワーク機器や4G/5Gモデムや自動運転車載用デバイス/システム、そして祖業だったメモリー事業にも再び取り組んでいます。これらの取り組みを全体としてとらえれば、自動運転を契機として自動車社会のコンピュータ化およびネットワーク化が急速に進むことを見越した、横断的な収益機会を追求し始めたと見受けられます。

当社IR資料より。2018/11/12開催の
UBS Global Technology Conference

そのような大きな市場において、他社との戦いから逃げずにあらゆる領域を事業の対象とする姿勢は、大切だと思います。自社が手がけない領域があると、そこを制圧した競合他社が事業領域を拡大浸食してくるリスクが大きくなるからです。端末(=自動車)からデータセンターに至るまでのあらゆる処理(センサー、通信、演算、データ保存)を実行する製品を事業対象とする企業戦略は、当社のような規模を持った企業だからこそ可能だと言えます。その一方で、他社からの切り崩しを抑制するために不可欠な戦略だとも思われます。つまり、当社が現状維持あるいは成長を望むのであれば、必然的に進まざるを得ない経営の方向だと受けとめています。

事業領域拡大に伴う大きなリスクとして、社内における官僚主義的体質の悪化が予想されます。当社では新CEOを選定中で、今年中には決定すると思われます。その人物に求められるのは、従来よりも多岐にわたる競争の激しい事業群を束ねることのできる手腕です。新CEOによる実績があらわれてくる時期、少なくとも2,3年後までは安易にはあきらめずに動向を追っていきたいと考えています。

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