今回は、数年前から投資して2014年に若干ながらも買い増しした企業2社をとりあげます。日進工具とクラレです。日進工具に投資を始めたのは2011年の秋から、そしてクラレは2012年の秋からです。以下のリンクにあるとおり、両社ともに過去2年間の投稿でも取りあげました。
2013年の投資をふりかえって(3)継続投資銘柄:日進工具
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(日進工具)
2013年の投資をふりかえって(4)継続投資銘柄:クラレ
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(クラレ)
なお2014年の新規投資銘柄としてサンリオ(8136)をあげましたが、同社については昨年に一度投稿していますので、今回は省略します(過去記事)。購入した株式はそのまま保有しており、今後も継続するつもりです。当社の第2四半期決算説明会動画を観たところ、鳩山常務の出番が増えていました。彼の表情はいつもどおりに戻ったようで、社内での位置づけが少し好転したように感じられました。欧州での訴訟問題もあり、当社のためにバリバリ働いているのではないでしょうか。
■日進工具(6157)
- 当社Webサイト
- Yahoo Japan! 株価
<事業の状況>
スマートフォン向けや自動車向けの需要が伸びているとのことで、業績は好調です。設備の増設を検討されているようで、好調な時期はどこの会社も似たような匂いが感じられます。
<株価の状況>
当社は2012年の秋に株式分割(1:2)を行いましたが、昨年2014年秋にも再び1:2の分割を行いました。その影響があったのか、前半は横ばいだった株価が7月から上昇しました。年初に867円(分割調整後)だった株価が年末には1,665円となり、上昇率は90%強でした。
一昨年の2013年に買い増ししたときは購入数が少なかったので、2014年に買うならばもう少しまとめて、との意識はありました。が、振り返ってみるとそれほどにはなりませんでした。買った時期は上図の赤矢印で、2月、4月、5月でした。その後に株価が上昇してからは買い増ししていません。
■クラレ(3405)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan 株価
<事業の状況>
上述した日進工具とはちがって、当社に対する市場の評価はもうひとつの1年でした。しかし事業や会社のほうは変化があり、個人的には当社のほうを注視しています。
まず変化のひとつめは、昨年も触れたデュポン社からの部門買収が完了した件です。この部門が製造している主要製品に、ビニル・アセテート・モノマー(VAM)と呼ばれる原料があります。これは当社の主力製品である光学用ポバールフィルムやエバールの原料であるため、今回の買収で上流の領域を統合したことになります。このことは当社が長期的な戦略を遂行する上で重要な一歩になる、と想像します。それというのも、当社はポバールやエバールでとことんやっていく覚悟を持っており、そのためには原料供給の面で不安を残したくないからです。後顧の憂いを断っておき、そして北南米市場で大きな前進を遂げる。これがビニル・アセテート系事業における当社の長期戦略です(と書きましたが、単なるわたしの妄想です)。
もうひとつは、この1月から社長が交代して新中期計画が始まると共に、組織が変更された点です。当社の稼ぎ頭である光学用ポバールフィルムがこれまで属していた事業部門は、「ビニルアセテートカンパニー」でした。ここには他の主力製品群であるポバール樹脂やエバールも含まれており、各々の業績が混合して示されていました。しかし1月からの組織体制では、これが2つに分割されます。(光学用も含む)ポバールフィルムの事業はデュポンから買収したGLS部門等とまとめられて、「ビニルアセテートフィルムカンパニー」になりました。一方、ポバール樹脂とエバールは「ビニルアセテート樹脂カンパニー」です。この組織変更には、「ポバール樹脂やエバールさん、助けがなくても自分たちだけでしっかり利益を増やしなさいよ」という意図が感じられます。前述した個人的妄想につながる部分です。さらに一般投資家の視点という意味では、主力事業の成績を個別に把握しやすくなるのでは、と期待しています(当社発表資料[PDF])。(2015/2/17追記:決算発表会の説明映像によれば、ビニルアセテート系事業の情報開示は、分割せずにひとつにまとめるとのことです)
その光学用ポバールフィルムで少し暗い話題があります。第2四半期の決算説明会で質疑が交わされたように、当社顧客の日東電工が自社開発した材料(コーディングPVA)をもとに製造した偏光版フィルムが、セット・メーカーに採用されたようです(iPhone 6?)。一方で当社は超超広幅(かつ薄膜)の製造ラインを新たに稼働させており、ターゲットとするアプリケーション領域が遷移しているようにみえます。各社のアナリストはこの件を心配し続けていますが、わたしも自分なりにリスク要因として念頭に置くようにしています。ただし、この事業が具体的にどのように縮小(あるいは持続)するのか、正直なところよくわかりません。
さて当社は会計期を変更したため、この1月から新会計年度になります。そのため年末のタイミングで業績修正が発表されましたが、デュポンからの買収関連に伴う評価損等で、純利益が50億円減少するとのことでした(当社発表資料[PDF])。「高値を払ったつけが回った」と非難を受けるかもしれませんが、それは前社長である伊藤文大会長の責任です。50億円は、彼から新社長伊藤正明氏に向けた餞別でしょう。バランス・シートの掃除がそれなりに済んで、新たな一歩を気持ちよく踏み出せると思います。
<株価の状況>
年初が1,253円、年末が1,378円と、上昇率は10%弱でした。買い増しをしたのは下図の赤矢印で、1月下旬から2月上旬でした。いつもと同じで、ポートフォリオに影響を及ぼせない程度の数量にとどまりました。
<おまけ>
新体制、新中期計画ということで、当社の企業CMのヒロインも変更になりました。当社のサイト「クラレ ミラバケッソ キャンペーンサイト」から、黒島結菜さんの映像をお借りしました。
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しかし、広告などのキャンペーンで女性を起用する慣習は、繊維業界の名残か何かで続けているのでしょうかね。
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