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2015年1月6日火曜日

想像力の欠如(ハワード・マークス)

先月に公開されたハワード・マークスのメモは「石油情勢から得た教訓」と題しています。6ページにわたる本文で、人の予想がはずれやすい事例やその原因、そこから波及する影響に関する考察などが記されています。いつものように勉強になる文章ですが、石油ガス業界に投資をしている方にはやや物足りなく感じるかもしれません。それというのも、このセクターは現在進行形の投資候補です。ハワード・マークスと言えどもひとりの商売人ですから、重要な洞察や見解を容易に明かすことはできないのだろうと思います。

個別(セクター)の投資候補については深くは語れないものの、「知恵」につながる彼らしい文章はいくつか残してくれました。今回はそのひとつをご紹介します。この話題の第一人者はチャーリー・マンガーですが、彼を敬愛するハワード・マークスもとりあげてくれました。複数の成功者が同じ話題を強調する場合、その重要性は推して知るべしと思います。(日本語は拙訳)

The Lessons of Oil (Oaktree Capital Management) [PDF]

「想像力の欠如」について、2つめの側面を考えてみましょう。極端な結末を想像できる人など、ほとんどいません。それを乗り越えようにも、石油に関する現在の状況を見れば、潜在的なあらゆる影響範囲を理解するのがいかに難しいか、示されているとおりです。事態の展開に対して間近に迫る影響であれば、だれでも容易に把握できるものです。しかし二次的な結果、あるいは三次・四次的な結果を理解できる人はほとんどいません。それらの後続的要因が資産価格に反映されるときには、「飛び火した」と表現されがちです。2007年にサブプライム危機が不動産担保証券や住宅建設業界に影響することは、だれの目にも明らかでした。しかしみんなが銀行業界や経済全般も同様に案じるようになったのは、2008年になってからだったのです。

Turning to the second aspect of "the failure of imagination" and going beyond the inability of most people to imagine extreme outcomes, the current situation with oil also illustrates how difficult it is to understand the full range of potential ramifications. Most people easily grasp the immediate impact of developments, but few understand the "second-order" consequences . . . as well as the third and fourth. When these latter factors come to be reflected in asset prices, this is often referred to as "contagion." Everyone knew in 2007 that the sub-prime crisis would affect mortgage-backed securities and homebuilders, but it took until 2008 for them to worry equally about banks and the rest of the economy.

以下は、関連する過去記事です。4回に分けて投稿してあります。

結果の結果のそのまた結果(チャーリー・マンガー)
地獄の底がふさわしい(カリフォルニア州の労災制度)
ニーダーホッファー式履修法(返報的傾向の応用)
経済学者リカードの盲点(高次にわたる影響の検討不足)

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