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2013年9月2日月曜日

「最良」の投資家になる方法(ボブ・ロドリゲス)

わたしの好きなファンド・マネージャー、ボブ・ロドリゲス氏がバリュー投資の情報誌からのインタビューに応じていました。彼のファンドFPAのWebサイトに、記事が掲載されているPDFファイルがアップロードされています。今回は、同氏が語る見事な運用ぶりの秘訣をご紹介します。(日本語は拙訳)

Value Investor Interview with Bob Rodriguez and Dennis Bryan (FPA) (PDFファイル)

<質問> ファンドのポートフォリオは現在30銘柄を下回っていますね。これはいつものことですか。

<デニス・ブライアン> 概して言えば、20から40の銘柄を保有しています。そのうち上位10銘柄がポートフォリオ全体の40-50%を占めています。この水準まで集中させているのは、保有するどの銘柄でも差をつけることができるようにと考えているためです。私たちの信条からすればもっと集中しても問題ないのですが、銘柄数をしぼりすぎると価格変動が大きくなり、顧客のほうでよく問題になってしまうのです。

<ボブ・ロドリゲス> 実際に私は、1984年の6月30日からこの方針をとりつづける実験をしたことがあります。IRA口座[個人が運用する退職年金口座。運用時は非課税]を開設し、そこで当社のキャピタル・ファンド(Capital Fund)が保有する株式だけにずっと投資してきました。ただし銘柄数は最大5つまでに限定しました。株を買うのはファンドが買い付けた後になってから、売るのもファンドが売却した後に、と決めました。これを始めてから2009年12月31日までに、その最終日は私が運用の第一線から引退した日ですが、キャピタル・ファンドは複利でおよそ年率15%増加しました。一方のIRA口座は、複利で年率24%増でした。その上乗せ分がなぜ生じたのかを考えると、集中度を高めたことと、他者が感情的になって資金の出入りを決めることに左右されなかったのが原因だと思います。このやりかたをする私こそ、「最良」の投資家だったのです。(p.4)

Your portfolio today has fewer than 30 positions. Is that typical?

DB: Generally speaking, we have 20 to 40 positions, with 40-50% of the portfolio in the top ten. That level of concentration is simply a function of wanting every position to potentially be a difference maker. Philosophically we would have no problem with concentrating even more, but clients often have a problem with the volatility that comes with having fewer holdings.

RR: I actually have an experiment going on this front since June 30, 1984. I have an IRA account that was set up then and over that period has only been invested in stocks that the Capital Fund has owned, but with never more than five holdings at a time. I'll buy a stock only after the fund buys it and sell only after the fund sells it. From June 30, 1984 to December 31, 2009, when I stepped down from lead management, the Capital Fund had compounded at approximately 15% per year. But this IRA account had a compound rate of return of 24%. I attribute that premium to the higher concentration and to the fact that at no point has this account been affected by the inflows and outflows resulting from others' emotional decision making. I was the only investor.


すぐれた投資家の行動を注視するやりかたは、少し前にも取り上げました。上で引用したボブ・ロドリゲスの場合は自分で自分を参考にしていて若干趣向が異なっていますが、同類としてあつかえると思います。

共食いをさがせ(モーニッシュ・パブライ)
マクドナルド、いただきます(モーニッシュ・パブライ)

ところで、年率24%増だと約3年間で2倍になる計算です。いわゆる10年強で10倍のペースですね。これを課税口座で達成するのは容易ではないと感じています。証券投資というものは、つくづく興味深い世界だと思います。

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