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2012年6月30日土曜日

集団を頼るよう隠れた脳が指令する

前々回にご紹介した『隠れた脳』から、今回は集団行動に関する話題を引用します。

進化の歴史を見れば、集団でいるほうが、安全が保たれる。ときとしてそれが裏目に出る場合もあるが、私たちの脳は、総合的にうまくいく手段がわかるよう進化しているし、進化で身につけた自己保存のための本能は、必然的に単純である。警報が鳴ると不安が引き起こされ、集団を頼るよう隠れた脳が指令する。それは私たちの祖先の時代から、集団でいたほうが危険にさらされる可能性が低く、安心と安全が手に入りやすかったからだ。

しかし今の時代、集団でいる安心感を優先すると、個人が危険にさらされるケースが以前より増えた。それは現代の危険があまりにも複雑で、一体何が起こっているのか、誰にもわからない場合が多いからだ。私はここで、集団の行動は常に間違っていると言いたいわけではない。集団は誰も気づかないうちに、個人の自主性を奪ってしまうことがあると言いたいだけだ。同僚たちは間違っているかもしれないが、彼らについていくほうが、自分で考えて行動するよりはるかに楽だ。集団は安心を与えてくれる一方、自主性は不安を引き起こす。しかし災害に巻き込まれた状況では、不安こそが正しい反応なのだ。根拠のない安心は死を招きかねない。
(p.168)


ちなみに、上に挙げた引用が登場する場面では、911アメリカ同時多発テロ事件のときにWTCで働いていた人たちを取り上げて、何が生死をわけたのか考察しています。

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