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2012年6月18日月曜日

結婚式の介添え(チャーリー・マンガー)

ウォーレン・バフェットは温厚な性格が人を惹きつけますが、対するチャーリー・マンガーには気軽に話しかけにくい雰囲気があります。このシリーズでは、そんなチャーリー・マンガーがあまり表に出さない、もうひとつの顔をご紹介します。引用元は『Poor Charlie's Almanack』です。

今回は、彼と同じ名前を受け継いだ息子、チャールズ・T・マンガー・ジュニアが見た父親の思い出です。

15歳の頃に家族でサン・バレーへスキー休暇に行ったときのことです。最終日に、帰宅便の飛行機に乗る時刻が迫っていたのですが、父はわたしを連れてそれまで乗っていた赤いジープで雪道へ戻りました。別の道を10分ぐらい進んだところで、ガソリンスタンドに立ち寄りました。わたしは、ガソリンがタンクにまだ半分残っているのをみて驚きました。けっこう残っているのにどうして、とたずねたところ、父は諭すように言いました。「いいかい、チャーリー。他の人から車を借りたら、ガソリンは満タンにして返すものだよ」

わたしがスタンフォードに入学した年に、ある知り合いが車を貸してくれることになりました。その人がわたしをよく知っているというよりも、共通の友人が強く説得してくれたおかげでした。借りた車は赤のアウディ・フォックス、ガソリンタンクには半分入っていました。はたと、昔のジープのことを思い出しました。それで車を返す前にガソリンを満タンにしておいたのです。知り合いのほうも気づいてくれました。それがきっかけで、我々は良き友人としてつきあうことになったのです。結婚式のときには、彼に介添えをつとめてもらいました。

スタンフォードを卒業した後になって、例の休暇のときに滞在した家とジープは、父の友人のリック・ゲリンのものだったことを知りました。リックがサン・バレーへ戻ったときには車は問題なかったでしょうし、そもそもガソリンが減っていても気がつかなかったと思います。そうだとしても、父は公正を重んじ、配慮を忘れなかったでしょう。そのようにしてわたしは、どうすればよい友人を得られるか、さらにはその友情を保つにはどうしたらよいかを教わったのです。

On the last day of a family ski vacation in Sun Valley when I was fifteen or so, my dad and I were driving back in the snow when he took a ten-minute detour to gas the red jeep we were driving. He was pressed for time to have our family catch the plane home, so I was surprised to notice as he pulled into the station that the tank was still half-full. I asked my dad why we had stopped when we had plenty of gas, and he admonished me: “Charlie, when you borrow a man's car, you always return it with a full tank of gas.”

My freshman year at Stanford, an acquaintance lent me his car, more because friends we had in common twisted his arm than that he knew me all that well. The tank was half-full, and the Audi Fox was red. So I remembered the jeep and topped the tank before I brought the car back. He noticed. We've had a lot of good times since, and he stood as a groomsman at my wedding.

After Stanford, I learned that on that vacation we had been staying at Rick Guerin's house and driving Rick Guerin's jeep. Rick is one of my dad's friends who, on his return to Sun Valley, certainly wouldn't have been troubled, and was unlikely even to notice, if his jeep had less gas than when he left it. My dad still didn't skip a point of fairness and consideration. So I was taught that day not only how to get a good friend, but also how to keep one.

4 件のコメント:

  1. == No title ==
    チャーリーのそういうとこはなんだか好きですね。
    たしか、株主総会でも親族(孫?)らも一般の人と同様に朝から列に並んでいた?ってのを見た気がします。

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  2. == No title ==
    いい話ですね!いつも楽しみにしてます。
    友達が一番大事ですね。バフェットもよく分かれた女房より奪い取って去っていった友達に会いたいといった逸話をよく言ってますね。
    英語の原文を記載していただいてますが、ついつい、うまい訳の日本語だけ読んで満足してしまいます。反省。バフェットからの手紙もなかなか手をつけられません。。。

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  3. == isさん、情報ありがとうございます ==
    isさん、こんにちは。
    親族が並んでいたという情報をありがとうございました。チャーリー夫妻の結婚祝いに集まった一族の写真が本書に載っているのですが、総勢30名を超えた大家族でした。小さい子供さんもたくさんいました。isさんのご覧になった映像のほうを是非みてみたいものです。
    それでは失礼します。

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  4. == NIGHT0878さん、いつもありがとうございます ==
    NIGHT0878さん、こんにちは。
    ウォーレン・バフェットの例の逸話は、わたしも好きです。きっと彼なら、いつもの調子で笑いながら話すのでしょうね。
    英語の翻訳は、珍訳・迷訳満載で申しわけありません。原文の雰囲気が少しでも表現できればと願いつつ、えいやっと登録ボタンを押してしまっております。
    バフェットからの手紙は学ぶべきものが多いですね。わたしも読み飛ばしている箇所が多いので、きちんと読み直していきたいと考えております。
    それではまたよろしくお願いします。失礼します。

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