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2012年5月19日土曜日

心理学的な落とし穴を避ける考え方(チャーリー・マンガー)

人が判断を誤る心理学的な要因を、チャーリー・マンガーは「誤判断の心理学」と銘打って説明しています(過去記事)。そして、それらの注意点を自分自身の考え方に組み込むには、ものごとを2段階で分析するのがよいと説いています。今回ご紹介する一説は短いですが、個人的にはとても重要なものと捉えています。(日本語は拙訳)

まず考えるのは、ある対象に興味をもつことになった本当の理由は何かということです。それは興味と関係するもので、かつ理にかなっている必要があります。そして次に、潜在意識下で何が影響を及ぼしているのかを考えます。これは、脳が無意識のうちに働いて起こることで、たいていは役に立っているのですが、間違えていることもよくあります。

First, what are the factors that really govern the interests involved, rationally considered? And second, what are the subconscious influences where the brain at a subconscious level is automatically doing these things ? which, by and large, are useful but which often misfunction?


具体的な例で考えてみます。興味の対象は、わたしが最近注目している銘柄、任天堂の株価です。同社の株価は現在10,000円を下回っています(5/18(金)終値が9,360円)。

では、初めの分析です。同社の株価に注目しているのはなぜでしょうか。その理由は次の2つの観点でみて割安と考えているからです。簿価の観点、それから収益還元法の観点です。簿価のほうは客観的な数字で表せますが、将来の収益予測は恣意的な判断に任され、不確実なものです。

次に潜在意識下の影響を分析します。なぜ株価10,000円が割安だと感じているのでしょうか。是非はともかく、自分の心の底をさらってみます。
  1. 同社に関するさまざまな情報を読み、理解したつもりでおり、新製品はそれなりに売れるだろうと考えているから。
  2. 岩田社長の人当たりのよい対応に好印象を抱いているから。
  3. ここ1年以上にわたって株価を監視してきた間に、半値まで下落したから。
  4. 最高値70,000円とくらべて、株価が大きく下落したから。
  5. Yahooの掲示板や世間の評価が否定的で、それらを逆張り指標と考えているから。
ここまで進めば、最後は逆ひねりの出番です(過去記事)。潜在意識が考えたことに誤りや落ち度がないか、検証します。上に挙げた1.と2.は心理学的な落とし穴かもしれず、判断を誤らせているかもしれません。そこで、客観的なデータなどで正当性を示す必要があります。3.から5.の要因は、最初の分析とは合理的な因果関係がないようです。単に、同社の株を買いたい気持ちを助長しているように思えます。これらの影響を割り引くにはどうすればいいのか。この場合もキーワードは「客観視」や「合理的」でしょうが、なかなか悩みどころです。

しかし、潜在意識をさぐるというのは自分自身のことだからか、難しいものですね。

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