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2012年5月15日火曜日

製品差別化戦略と模倣コスト

少し古い本ですが『企業戦略論 競争優位の構築と持続』(3分冊)を読んでいます。邦訳では副題にまわっていますが、原書のほうのタイトルは『Gaining and Sustaining Competitive Advantage』と投資家好みの直球です。また原書は第4版まで改訂されていますが、かなりいい値段がついています。

さて、今回は中巻から「製品差別化」について引用します。

まずは、製品やサービスを差別化する利点と注意点です。
製品差別化戦略を実行することにより、企業は自社の製品やサービスに対し、平均総コストを上回る価格を付与でき、それによって経済価値を生み出すことができる。製品の差別化に成功した企業は、外部環境のさまざまな脅威を減らし、かつ外部環境に存在する機会を活用することができる。しかし、ある戦略がその企業に単に経済価値をもたらすのみならず、持続的競争優位を生じさせるには、その戦略が稀少で模倣コストの大きな内部組織上の強みと弱みに裏打ちされていなければならない。
(p.138)

次に、製品やサービスを差別化する代表例です。他社がそれらを模倣しようとするときの難易度を3つの観点で評価しています。(*マークが多いほど、模倣コストが高くなる傾向)。

#製品差別化の源泉歴史的経路依存性因果関係不明性社会的複雑性
1製品の特徴や機能---
2製品の品揃え***
3他企業との連携*-**
4製品のカスタマイゼーション*-**
5製品の複雑性*-*
6消費者マーケティング-**-
7機能横断的なリンケージ****
8タイミング****-
9ロケーション***--
10評判********
11流通チャネル*****
12アフターサービスとサポート****

3つの観点の説明は、次のとおりです。
  • 歴史的経路依存性
    企業がたどってきた歴史的経緯に独自のものがあり、模倣コストに影響すること。
  • 因果関係不明性
    因果関係はよくわからないが、競争優位に関係すること。
  • 社会的複雑性
    企業がシステマチックに管理したりコントロールしたりする能力の限界を超えているようなこと。たとえば、企業内におけるマネジャーたちの相互コミュニケーション能力、企業文化、サプライヤーや顧客の間での自社の評判などである。

模倣コストが高くつくと評価されているものの中に、8.タイミングと10.評判が含まれているのが興味ぶかいです。「タイミング」は先行者有利の好例ですし、一方の「評判」は時間をかけて築くものです。大成功している企業を思い浮かべると、そのどちらも兼ね備えているように思えてきます。

3 件のコメント:

  1. == No title ==
    バフェットも評判を特に気にしていますよね
    持続的な競争優位を維持するのに直感的に理解していたんでしょうか
    というか上・中・下と三巻あるんですかー
    また出費が増えそうです

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  2. == バフェットについては、わたしも感じていました ==
    raccoonさん、こんにちは。
    たしかに、ウォーレンは評判を大切にしてますね。raccoonさんも考えていらっしゃると思いますが、この点は「正義漢」チャーリー・マンガーもすごく気にしているはずです。評判を大切にする会社という観点では、バークシャーはディズニーに匹敵するかもしれませんね。
    ところで、上・中・下と三巻あるんですよ。ですので、こちらの記事あたり、いかがでしょうか。
    http://betseldom.blogspot.com/2011/11/mf-04.html

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  3. == No title ==
    あ、そうか、図書館を利用するという方法もありましたか^^;
    こんな単純なことに気付かなかった・・・わざわざURLまで貼っていただいてありがとうございます。

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