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2016年1月2日土曜日

早すぎることと誤っていることが区別できないとき(セス・クラーマン)

金融危機の影響で株式市場が底をつけた2009年3月に、OID誌(Outstanding Investor Digest)がセス・クラーマンの記事を掲載した号を発行していました。インターネット上を検索したところ、同記事のPDFファイルがアップロードされていたため、一部を引用してご紹介します。なお同誌はバリュー投資家に人気のある投資雑誌で、インタビューや講演をとりあげた記事が秀逸です。(日本語は拙訳)

seth-klarman-oid-interview-march-2009 [PDF] (Above Average Odds Investing)

はじめは、2008年初めの頃にセス・クラーマンが抱いていた市場全般に対する見方です。
彼は[2008年の早い時期に書かれたアニュアル・レポートの]最後でこう触れていた。「いわゆる『2008年1月のバーゲン』が本当に割安だったのか、それともバリューに飢える投資家を誘う単なる危険な誘惑だったのだろうか。それが明らかとなるには、かなりの時間がかかると思います」。そして彼が記した判断は、言うまでもなく正しかったのである。

and finally, that, “We will not be certain until much later whether the so-called bargains of January, 2008 were truly undervalued or merely dangerous temptations to value-starved investors.” Well, needless to say, that verdict is in.

次は、2008年10月にセス・クラーマンが講演した際の発言からです。
<クラーマン> 何年も前からですが、「自分のポートフォリオを運用する投資家として、いちばん恐れることは何か」との質問を受けることがありました。それに対して、「よくある非常に割高な水準から下落する際に、早すぎる時点で買いに踏み切っていること」と答えました。市場が崩壊する可能性はわかっていました。しかし「市場が頂点を付けた1年後、つまり30%下落した1930年に私がいたらどうなっただろうか」と何度か想像してみました。その当時、魅力的なバーゲンがあったのはまちがいないでしょう。しかしそれからの3年間に市場が大きく下落したことで粉々にされたのも確実だと思います。1929年を100%とすると、20%を下回る水準まで下落したからです。70が20に下落する場合と100が20に下落する場合をくらべても、20に落ちたときにはほぼまったく同じように感じられるでしょう。早すぎることと誤っていることは、ときとして区別できなくなるわけです。(p. 2)

For years, when someone asked me what my biggest fear was as an investor in managing my portfolio, my answer was that it was buying too soon on the way down from often very overvalued levels. I knew a market collapse was possible. And sometimes, I imagined that I was back in 1930 after the market had peaked the year before, and then dropped 30%. Surely, there would've been some tempting bargains then. And just as surely, you'd have been crushed by the market's subsequent plunge over the next three years - down to below 20% of 1929 levels. A fall from 70 to 20, and from 100 to 20, would feel almost exactly the same by the time you hit 20. Sometimes being too early becomes indistinguishable from being wrong.

なお「早すぎることと誤っていることの区別」については、以前取り上げたハワード・マークスの記事「連続正解数1回」でも触れられています。

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