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2016年1月6日水曜日

フィランソロピー円卓会議での朝食会(チャーリー・マンガー)

本ブログでは、チャーリー・マンガーの講演・講話を集めた『Poor Charlie's Almanack』に収録されている原文を、当方の和訳付きでご紹介してきました。今回からは講演その7(Talk Seven)を全訳でご紹介します。2000年3月にITバブルが弾けて、株式市場が下落しはじめた時期の講話です。いつものように、インターネット上に原文がアップロードされているサイトがありますので、お急ぎの方はたとえば以下のサイトをご参照ください。

The Philanthropy Round Table (Mungerisms)

なお本シリーズを以って、同書に収録されている全11話をひとまず取りあげたことになります。

フィランソロピー円卓会議での朝食会
2000年11月10日

今日は、米国普通株の価格が上昇したことで生じた、いわゆる「資産効果」について話をします。

まずは早々に申し上げますが、「資産効果」が経済学における学問的原理の一部であることは、認めざるを得ません。それから、私自身は経済学に関する講義をひとつも履修していませんし、マクロ経済的な変化を予測して儲けようとしたことはビタ一文ない点も付け加えておきます。

それにもかかわらず、「現在の極端な状況下で普通株が『資産効果』に対してもたらす影響力を、博士号を取得した経済学者のほぼ全員が過小評価している」と私は判断しています。

次の2点は異論がないと思います。第一に、消費の傾向は株価が上がれば上向きへ、株価が下がれば低迷する方向へと影響を受ける点。第二に、消費という傾向がマクロ経済学的に著しく重要な要素である点。しかしながら、「資産効果」の規模や発生時期だったり、それが他の効果とどのように相互作用するかについては、その分野の専門家同士でも見解が一致していません。たとえば、消費が拡大することで株価を押し上げる傾向が生じる一方、株価自身の上昇につられて消費が押し上げられる、といった明らかに複雑な相互作用についてです。もちろんですが消費が横ばいであっても、株価上昇によって企業があげる利益を増加させることができます。たとえば株価がひきつづき上昇傾向の際に、年金費用の計上を減額するやりかたです。つまるところは、物理学の理論のように鮮やかなものとはほど遠く、まるでうまく解けないかもしれない。「資産効果」は、そのような数学的パズルを伴っているのです。

Breakfast Meeting of the Philanthropy Roundtable
November 10, 2000

I am here today to talk about so-called “wealth effects” from rising prices for U.S. Common stocks.

I should concede, at the outset, that “wealth effects” are part of the academic discipline of economics and that I have never taken a single course in economics, nor tried to make a single dollar, ever, from foreseeing macroeconomic changes.

Nonetheless, I have concluded that most Ph.D. economists underappraise the power of the common-stock-based “wealth effect”, under current extreme conditions.

Everyone now agrees on two things. First, spending proclivity is influenced in an upward direction when stock prices go up and in a downward direction when stock prices go down. And, second, the proclivity to spend is terribly important in macroeconomics. However, the professionals disagree about size and timing of “wealth effects”, and how they interact with other effects, including the obvious complication that increased spending tends to drive up stock prices while stock prices are concurrently driving up spending. Also, of course, rising stock prices increase corporate earnings even when spending is static, for instance, by reducing pension cost accruals after which stock prices tend to rise more. Thus, “wealth effects” involve mathematical puzzles that are not nearly so well worked out as physics theories and never can be.

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