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2015年6月12日金曜日

2015年デイリー・ジャーナル株主総会(6)ポスコ社について

デイリー・ジャーナル社の株主総会の記事から、チャーリー・マンガーの質疑応答です。前回分と同様にPart2の記事から引用します。(日本語は拙訳)

<質問> デイリー・ジャーナル社が保有するポスコ社の株式についてどう考えておられるのか、お聞かせください。

<マンガー> 非常に興味深い事例ですよ。世界がいかに厳しいところなのか、実際に現われていますね。ポスコは世界中で最も効率的な製鉄会社です。非常に長い期間にわたって、自国内の市場をほぼ独占してきました。にもかかわらず、世界中のどこも持たない非常に重要な製鉄技術を有するにもかかわらず、ふつうの一般的な製鉄会社と同じようにポスコは製品を販売しているのです。

激しい競争がつづく現代の社会では、コモディティー化を避けるのは非常に難しいことです。ダウ・ケミカル社のようなところでもそうでした。博士号を有する化学者を何千人と擁していたものの、彼らが生み出した複雑な化学製品はすべてコモディティーと化してしまいました。ポスコを築いた人たちと同様に有能かつ明晰だった人たちが直面したのは、低調な市場や好ましくない価格といったことだったのです。

コモディティー化したビジネスで儲けを出すことがどれだけ難しくて危険か。また、巨大な優位性があると考えたもののうち、どれだけ多くの事業がコモディティー化しうるのか。この件はそういったことを示していますね。ポスコの例をあげたことで、あなたはこの会合に対してすばらしい貢献を果たしましたよ。どれだけ難しいことなのか、ポスコの秀逸な事例はまさに示しています。これはだれにとっても、考える材料になりますね。

Q: Would you give us your thoughts on the Posco [PKX] position in the Daily Journal Portfolio?

Mr. Munger: It's a very interesting example, as a matter of fact, that shows how hard the world is. That is the most efficient steel company in the world, and it had pretty close to a local monopoly of a whole country for a long, long time. In spite of that, in spite of having some very important steel technology they have that nobody else in the world has, Posco is selling like an ordinary commoditized steel company.

It's very hard to avoid being commoditized in high powered competition in the modern world. In places like Dow Chemical [DOW], have all our complex chemical products commoditized in spite of the fact they've got thousands of PhD chemists, and people as talented and brilliant as the people who created Posco just find the markets low and the prices bad and so forth.

It shows how hard and dangerous it is to make money in a commoditized business, and how many businesses that you formerly thought were hugely advantaged can be commoditized. So, you've done a wonderful service to this meeting by raising the case of Posco. Posco's an excellent example for everybody to think about. It really shows how hard it is.

チャーリー・マンガーに対して「日本のことを不勉強だ」と、以前の投稿で書いたことがあります。今回の質疑応答でもその一面が現われているように思えてなりません。ただし、製鉄業界やポスコ社や新日鉄について調べたことがほとんどないので、わたしのほうが事実を正しく把握できていないのかもしれません。そうだとすれば、すなおに謝りたいと思います。

ミクロな点でチャーリーに異議申し立てしましたが、マクロな視点でとらえれば今回もチャーリーの見解は的確だと思います。有用な科学技術や知識は、歴史上のあらゆる場所で分析・移転・流用・盗用されてきたはずです。「製品自体あるいは製造プロセスの優位性によって、いつまでも勝ち続けることはむずかしい」、この重要な忠告を忘れないようにしたいと改めて感じました。

3 件のコメント:

  1. チャーリーはポスコ社の優位性について語る一方で、昨年ポスコ社へのポジションを大きく減らしているのは気になります。事実なら売却後に語っていることになるので。
    http://www.gurufocus.com/StockBuy.php?GuruName=Charlie+Munger

    私も製鉄業界は土俵の外ですし、その意図はチャーリーにしかわかりませんが。

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  2. 失礼しました。改めて読み直したところチャーリーは「ポスコのような競争力を持った企業でもコモディティー化を避けることは難しい」といったことを述べていたのですね。それならば大きくポジションを減らした行動も理解できます。

    早合点で浅慮なコメントしてしまい大変失礼いたしました。

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    1. リュウジさん、自己完結型のコメントをありがとうございます。

      ウォン高が修正されれば悪くはないと思うのですが、当然ながらチャーリーは長期的な通貨価値の推移も念頭に入れて考えているでしょうね。

      またよろしくお願いします。みじかいですが失礼します。

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