ot

2015年6月28日日曜日

2015年デイリー・ジャーナル株主総会(7)アメックスについて

デイリー・ジャーナル社の株主総会の記事から、チャーリー・マンガーがアメックスに関する質問に答えます。前回分投稿のポスコの話題と主題が重なります。なお引用元の記事は本シリーズの5回目の投稿と同じです。(日本語は拙訳)

<質問> アメリカン・エキスプレスについておうかがいしたいのですが、近年になって同社のmoat[経済的な優位性]が狭まったとお考えですか。

<マンガー> コストコの契約を失ったのはよくなかったと思いますね。資本主義というものがいかに厳しいか、この件ももうひとつの事例です。他のどこかが喜んで安値を提示したにちがいありません。現代の資本主義社会では鉄壁の守りとみられる位置を占めるのがどれだけ厳しいか、まさに示しています。あらゆるものがむずかしくなっていくわけです。

すでにある程度儲けた人にとっては、まあそういうものだと思いますよ。アメリカン・エキスプレスは長期にわたって途方もない業績をあげて大きく成長しましたし、これからもますます繁栄するでしょう。しかし、かつてほどには楽ではありません。同社の大将は「ずっと大変だった」と言うと思います。たしかに彼は奮闘してきましたが、我々だってこの業界で懸命に漕ぎつづけました。デイリー・ジャーナル社の出版事業に対して、その頑張りがどれだけ役に立ったでしょうか。そうでしょう、ゲリー。狂ったように漕ぎましたよね。

<CEOのジェラルド・ソルツマン氏> はい、そう努めてきました。大変でした。

<マンガー> そうでしょう。それでどうなったかと言えば、縮小しっぱなしです。世の中というのは甘くないですよ。

Q: I'd like to get your thoughts on American Express [AMEX]. Do you think its moat has narrowed recently?

Mr. Munger: I don't think it was desirable that it lost its contract with Costco [COST]. Again, that's an example of what tough capitalism is. Obviously, other people are willing to do it cheaper. It just shows how tough a position that looks impregnable can be in modern capitalism. It's what makes everything difficult.

To those who already have some money, I think that's just the way it is, and American Express has had a long period of very extreme achievement and prosperity. I think they'll have a lot of prosperity in the future, but it doesn't look quite as easy as it once did. Now, the head guy would say it's always been hard, he's been battling hard, but we paddled hard here too, and what good did it do us in Daily Journal's print business? We paddled like crazy, didn't we Gerry?

Mr. Salzman: We tried. It was hard.

Mr. Munger: Yeah, what happened is you just keep receding and receding. Welcome to adult life.

備考です。コストコがアメックスとの提携をやめる件は、次のニュース記事が示しているもののようですね。VisaとCitiに変更とのことです。

Costco is replacing American Express with Visa and Citi (Business Insider)

2 件のコメント:

  1. バフェットも取得したアメックスの優先株を普通株に転換するときに資本主義がもたらす激烈な競争を理由に売却を検討したようですね。その後方針転換し大株主となったことは周知の事実です。
    ビザやマスターカードといった既存業者との競争だけでなく、オンライン決済業者との競争というテクノロジーの進歩がもたらす競争もまた業界の競争をさらに激烈にする要因になろうかと思われます(テクノロジーの進歩も資本主義がもたらす厳しさですね)。
    平均加盟店手数料率が毎年1~2bp下落しているのは気になるところですが、カード会員平均利用金額やカード請求取扱高はほぼ毎年増加してことや業界全体のパイが大きくなっていることからも
    アメックスはこれからもますます繁栄するというマンガーの見方に賛同します。同時にかつてほど楽には繁栄できないという見方にも異論はありません。

    返信削除
    返信
    1. ブロンコさん、こんにちは。

      アメックスの現状をかいつまんでご説明くださり、どうもありがとうございます。金融関連の企業はほとんど監視していないので、参考になりました。「楽ではないが機会はある」という優れた企業には、好機が来れば適格な投資候補となる可能性を感じます。

      いつもありがとうございます。またよろしくお願い致します。

      削除