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2012年2月27日月曜日

今年も反省します(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットは「株主のみなさんへ」の中で、自社の経営状況の概要を説明します。他社のトップも同じようなことをしていますが、ウォーレンが大きく違うのは、自分のあやまりを認め、おおやけにする点です。普通の勤め人の感覚だと何ということはないのですが、ある種の人たちにとっては反省できない事情があるのでしょう。大株主という立場を割り引いたとしても、多くの人がウォーレンに親しみを持つのは、そういう当たり前感覚をきちんと持っているからだと思います。前回に続いて今回も、2011年度「株主のみなさんへ」からの引用です。(日本語は拙訳)

なお、ウォーレンは各種の証券投資で名実ともに大投資家となりましたが、今では事業会社を数多く買収し、利益の大半はそれらの子会社があげています。前年度(2011年度)は大震災の支払いで保険事業は低採算でしたが、一般事業(電力エネルギー、鉄道、その他)を合計すると、純利益は5,000億円強でした。

このグループに属する子会社[バークシャーでの報告上の分類。製造、サービス、小売事業が属する] の販売する商品は、ロリポップ[お菓子]からジェット飛行機にまでわたります。すばらしい経済特性を謳歌するものは、純有形資産比で25%から100%超の税引後利益をあげています。それ以外は12%から20%の、そこそこの利益をあげています。しかし、ひどく残念な利益にとどまるものもいくつかあります。資産を配分するのが私の仕事ですが、そこで重大な失敗をおかしたからです。買収対象ビジネスが持つ競争力か、あるいはその所属業界の経済情勢の先行きを見誤ったのです。買収に先立っては10年、20年先を見通そうとするのですが、ときには不十分でした。チャーリーのほうが当たっていました。しくじった買収先の何件かは、検討時に「棄権」とだけ言っていたからです。

This group of companies sells products ranging from lollipops to jet airplanes. Some of the businesses enjoy terrific economics, measured by earnings on unleveraged net tangible assets that run from 25% after-tax to more than 100%. Others produce good returns in the area of 12-20%. A few, however, have very poor returns, a result of some serious mistakes I made in my job of capital allocation. These errors came about because I misjudged either the competitive strength of the business being purchased or the future economics of the industry in which it operated. I try to look out ten or twenty years when making an acquisition, but sometimes my eyesight has been poor. Charlie’s has been better; he voted no more than “present” on several of my errant purchases. (PDFの11ページ目)


ここで重要なのはウォーレンの謝罪ではなく、投資の失敗の原因です。「買収対象ビジネスが持つ競争力か、あるいはその所属業界の経済情勢の先行きを見誤った」としています。これは経営管理や戦略以前の、根本的な次元のものです。以前取り上げた記事「10秒ください」をふりかえってみてください。ウォーレンの判断基準に優先順位がついていますが、フィルター1とフィルター2に見事に当てはまっています。

チャーリー・マンガーは言っています。「自分で痛い目にあうよりも、他人の過ちから学べ」。ウォーレンの反省を他山の石としたいものです。

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