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2012年2月1日水曜日

自然災害リスクの王様、東京

この報告書「Megacities ? Megarisks Trends and challenges for insurance and risk management」(2005年版)を知ったのは数年前のことでした。作成したのは、Munich Re.(ミュンヘン再保険)、巨大災害リスクを飯の種のひとつにしている会社です。少し前の資料なのでご存知の方も多いかもしれませんが、世界中の50の大都市における自然災害リスクが定量化され、掲載されています。東京(圏)はリスクの指標となる数値が710で最高値でした。これは次に大きいサンフランシスコ湾岸の167を大きく引き離し、「最も高くつく都市」となっています。

浜岡原発が稼動している限り、東海地震が心配されている東京が1位なのは当然だろうと捉えていました。むしろ「遠い国でも、ちゃんと日本のことを見ているんだな」と感じたものです。まあ、再保険屋なので当たり前ですね。昨年の大地震以降、浜岡原発での発電はとまっているため、東京のリスクは以前よりは小さくなっているでしょうが、再保険業界では別の観点も含めた上でリスクを再評価していることでしょう。

ところで、同報告書にあった写真(下のものです)が頭に残っていたので、今回は地震ではなく、富士山噴火リスクについてご紹介します。内閣府の富士山火山防災協議会が作成した富士山ハザードマップ検討委員会報告書から、想定される被害についてです。








7. 噴火の被害想定 (7.54MB / PDF)
・(鉄道) 車輪やレールの導電不良による障害や踏み切り障害等による輸送の混乱
・(航空) 空気中の火山灰による運行不能
・(電気・ガス) 交通の被害等による機能低下
・(水道) 水の濁りが浄水場の排水処理能力を上回り、給水量が減少
・(畑作物) 2cm以上の降灰がある範囲では1年間収穫が出来なくなる
・(稲作) 0.5mmの降灰がある範囲では1年間収穫が出来なくなる
・(健康) 目・鼻・咽・気管支の異常(最大1,250万人に影響。有珠山等の事例から、2cm以上の降灰がある範囲では、何らかの健康被害が出るとした)

雨が降った場合には、電気は「碍子からの漏電による停電(最大約100万世帯)」と被害が拡大(桜島の事例より1cm 以上の降灰がある範囲で停電が起こり、その被害率は18%とした)
降灰が想定される地域はこの資料にあります。









この手の被害予測は当てるのが難しいでしょうから、被害感の参考資料として捉えています。

また地震や火山噴火リスクはいつ起こるかわからないので、個人的には投資面で大がかりなヘッジはしていません。あえて挙げると、固定資産の再建にお金がかかりすぎる企業には近寄らないことと、大きな事件が起きて市場が暴落したときに買える資金をそれなりに残しておくこと、の2点です。

最後に、前にも挙げましたが富士山の近い会社ファナックの有価証券報告書から、同社のリスク認識です。
12 一極集中によるリスク
当社商品は資本財であり、研究所、工場を日本国内に集中させ、そこで開発、製造された製品を全世界に供給することにより、効率化を図っております。
地震、富士山噴火等の自然災害や、長時間にわたる停電などが発生した場合に、当社の開発、製造能力に対する影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また当社工場から各市場への納入途上において何らかのトラブルが発生した場合、物流コストの増加や納入遅延による売上の機会損失などが生じ得ます。(後略)

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