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2018年10月16日火曜日

<新訳>誤判断の心理学(序)バフェットの祖父に倣う理由

チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」から、前回に続いて序文の後半部をとりあげます。まだはじまりの段階から力の入った文章で、本作に対するチャーリーの意気込みが感じられます。(日本語は拙訳)

第一の理由として考えられるのは、そもそも我が性格が、伝統的な知恵にふくまれる誤りを診断し、語りたがることにあります。私のような心持ちを抱く人にとって、過ごし行く年月を容易くするためには、ものごとを精査論駁することが常でした。ただしそうであっても、若さゆえの無作法が人生を通じてことごとく咎め(とがめ)られたとは思ってもいません。

私がそう決めた第二の理由は、ディオゲネスが次の問いを立てた際の心情に賛同しているからです。「だれをも攻撃したことのない哲学者が、いったい何の役に立つものか」と。

もっとも強く抱いている理由が、3番目と最後のものです。私は心理学というものを自分なりのやりかたで配列することに魅了されるようになりました。私からすれば、そのほうがずっと有用だからです。また死んでしまう前には、次にあげる3名がみせた遺産の残しかたを、ある程度模倣してみたいと思いました。ジョン・バニヤンの『天路歴程』における主要人物と、ベンジャミン・フランクリン、そして私にとっての初めての雇い主アーネスト・バフェット[ウォーレンの祖父]です。バニヤンの著作には「真理を求める老勇者」という荘重たる呼び名をつけられた騎士が登場しますが、彼は命脈果てるときに、ただひとつ残された実利的な遺産を残しました。「わが剣は、意のままに扱える者へ残すことにしよう」と[過去記事]。もし我が剣を見誤ったとしても、それを的確に見定めようとしていたならば、その人物と同じように私も気にかけないこととします。たとえ、剣を手にして振るおうとすることを望まない人が大勢いたとしても。あるいは、そうしようとする者が、おのれの役には立たないと判断したとしても。それからベン・フランクリンは、自伝やアルマナックその他を残してくれたおかげで、私にとってすこぶる役に立ちました。アーネスト・バフェットもそれと同じ趣きで、『雑貨屋を経営する方法と、釣りから学んだ事柄』を残したことで、できるかぎりのことをしてくれました。「私にとって有益だった人物」という範疇に含める上で、3人目の例が最良かどうかは申しません。しかしこのことは触れておきましょう。アーネスト・バフェットにつづく4代にわたる子孫たちを知っており、彼らを見てきたからこそ、私はますます確信をもって、その一族の開祖を模倣するのです。

One reason may be that my nature makes me incline toward diagnosing and talking about errors in conventional wisdom. And despite years of being smoothed out by the hard knocks that were inevitable for one with my attitude, I don't believe life ever knocked all the boy's brashness out of the man.

A second reason for my decision is my approval of the attitude of Diogenes when he asked: "Of what use is a philosopher who never offends anybody?"

My third and final reason is the strongest. I have fallen in love with my way of laying out psychology because it has been so useful for me. And so, before I die, I want to imitate to some extent the bequest practices of three characters: the protagonist in John Bunyan’s Pilgrim’s Progress, Benjamin Franklin, and my first employer, Ernest Buffett. Bunyan’s character, the knight wonderfully named “Old Valiant for Truth,” makes the only practical bequest available to him when he says at the end of his life: “My sword I leave to him who can wear it.” And like this man, I don’t mind if I have misappraised my sword, provided I have tried to see it correctly, or that many will not wish to try it, or that some who try to wield it may find it serves them not. Ben Franklin, to my great benefit, left behind his autobiography, his Almanacks, and much else. And Ernest Buffett did the best he could in the same mode when he left behind "How to Run a Grocery Store and a Few Things I Have Learned about Fishing." Whether or not this last contribution to the genre was the best, I will not say. But I will report that I have now known four generations of Ernest Buffett's descendants and that the results have encouraged my imitation of the founder.

バニヤンの老騎士に倣おうとチャーリーが語るくだりは、私自身も以前から感じていたことなので、そっくり共感できました。

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