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2018年5月28日月曜日

2018年バークシャー株主総会(4)ウォーレン・バフェット直伝の教え(了)

バークシャー・ハサウェイ株主総会でウォーレン・バフェットが質疑応答の前に語った「究極の教え」は、今回で最後です。次回からは質疑応答の部を取りあげますが、大多数の投資家(少なくとも米国在住の投資家)にとっては、今回のものが「株式投資について知っておくべき、最良かつ唯一の見解」だと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

ちょっとおもしろい話題がありますので、もうひとつほど触れたいと思います。たとえば1万ドルが手元にあったときに、絶望的破滅を予言する人物が周囲にいたとします。そのような話は人生を通じて繰り返し耳にするでしょうから、その1万ドルを使ってゴールド(純金)を買ってしまったとします。

1万ドルあれば、[1942年]当時は300トロイオンス分のゴールドを買うことができました。企業であれば、再投資をして工場を増やしたり、新たな発明を起こしたりするものですが、金庫に保管してあるゴールドを毎年思い出したとしても、300オンスのまま変わりはありませんでした。

ゴールドであれば、目で見て確認できますし、そっと撫でることもできます。つまり「自分の望むがまま」にできます(笑)。

しかし、ゴールドはなにも生みだしません。まったく何も生み出しませんでした。

1942年3月に手に入れたままのゴールド300オンスは、今日ではいくらになっているでしょうか。正解は、およそ40万ドルです。

ですから、もし生産的な資産ではなく、ゴールドのように非生産的な資産を選ぶとすれば、結局はどうなるでしょうか。生産的な資産であればより多くの儲けをあげて再投資したり配当を出したり、自社株買いもあるでしょうから、それが何であろうと、非生産的な資産よりも100倍以上の価値を手にできると思います。[ウォーレンの語った原文では、文章がねじれていると思われる]

言い換えれば、これは「新聞の見出しなどを読んでおびえる度に、『あっちへ逃げ込め』と教えてくれる人にしたがって金銭的価値の保存先[ゴールド等]を買ったとすれば、それによって得られる儲けは1セント以下にとどまる一方、資金を米国企業に投じていれば儲けは1ドルになる」とも言えます。[過去記事]

この国では、これ以上は思いつかないほどの強い追い風が、わたしたちの背後から吹きつづけていました。そのようななかで事業を営むというのは、実に並はずれたことだと思います。まさに投資家にとって、うってつけの場所です。つまり、まちがった株を買うか、まちがった時期に調子に乗らない限り、失敗のしようがないのです。

しかし米国の大断面と言える企業群[=S&P500 ETFなど]を保有し、また時間をかけて定期的に資金を投じれば、なにも生み出せない資産を保有するのとは比較にならないほどの利益を得ることができます。

さらにはっきり言いますと、株式を頻繁に売り買いしたり、投資の助言をする者に手数料を払ったりするのも論外です。

ちなみに、わたしからの助言と言いますか、今回説明した回顧的な助言などに従うという方がおられましたら、わたしからお話しするのは朝飯前です(笑)。

もちろん、その助言にしたがう場合には問題がひとつ出てきます。好意的に接してくれていた株式売買業者が飢え死にしてしまう点です。

ですから、罪滅ぼしのために彼らの葬儀には参列したほうがいいもしれません。しかし実のところ、このやりかたのほうが、相当大きな割合に至る投資のプロよりも、あるいはアクティブに投資する人よりも、ずっと良い成果を残せるでしょう。このような肩肘の張らない哲学に基づいて達成できる成績に対して、それを凌駕して成功裏におわろうとするのは、非常にむずかしい仕事です。

その上、会計のことや、株式市場に関する専門用語やその類のもの、さらには連銀が次にどんな手を打つのか、あるいは今後の金利引上げが3回なのか4回なのか、それとも2回なのか、そういったことを詳しく知る必要もありません。

実際のところ投資を続けていく際に、そういったものはまるで重要ではありません。「なぜそこに投資したのか理解できているものにこだわり、どう取り組めばいいのかわからないものには目もくれない」、大切なのはそのような哲学を胸に刻むことです。

(この話題は、おわり)

I would like to make one other comment because it’s a little bit interesting. Let’s say you’d taken that $10,000 and you’d listened to the prophets of doom and gloom around you, and you’ll get that constantly throughout your life. And instead, you’d used the $10,000 to buy gold.

Now for your $10,000 you would have been able to buy about 300 ounces of gold. And while the businesses were reinvesting in more plants, and new inventions came along, you would go down every year in your - look in your safe deposit box - and you’d have your 300 ounces of gold.

And you could look at it, and you could fondle it, and you could - I mean, whatever you wanted to do with it. (Laughter)

But it didn’t produce anything. It was never going to produce anything.

And what would you have today? You would have 300 ounces of gold just like you had in March of 1942, and it would be worth approximately $400,000.

So if you decided to go with a nonproductive asset - gold - instead of a productive asset, which actually was earning more money and reinvesting and paying dividends and maybe purchasing stock - whatever it might be - you would now have over 100 times the value of what you would have had with a nonproductive asset.

In other words, for every dollar you had made in American business, you’d have less than a penny by - of gain - by buying in this store of value, which people tell you to run to every time you get scared by the headlines or something of the sort.

It’s just remarkable to me that we have operated in this country with the greatest tailwind at our back that you can imagine. It’s an investor’s haven - I mean, you can’t really fail at it unless you buy the wrong stock or just get excited at the wrong time.

But if you’d - if you owned a cross-section of America and you put your money in consistently over the years, there’s just - there’s no comparison against owning something that’s going to produce nothing.

And there - frankly - there’s no comparison with trying to jump in and out of stocks and pay investment advisors.

If you’d followed my advice, incidentally - or this retrospective advice - which is always so easy to give - (Laughs)

If you’d follow that, of course you - there’s one problem. Your friendly stock broker would have starved to death.

I mean, you know, and you could have gone to the funeral to atone for their fate. But the truth is, you would have been better off doing this than a very, very, very high percentage of investment professionals have done, or people have done that are active that - it’s very hard to move around successfully and beat, really, what can be done with a very relaxed philosophy.

And you do not have to be - you do not have to know as much about accounting or stock market terminology or whatever else it may be, or what the Fed is going to do next time and whether it’s going to raise three times or four times or two times.

None of that counts at all, really, in a lifetime of investing. What counts is having a philosophy that you’ve - that you stick with, that you understand why you’re in it, and then you forget about doing things that you don’t know how to do.

いつになるかわかりませんが、ウォーレンが去った後の投資の世界では、有象無象が跋扈しはじめると想像します。しかし今回のウォーレンは公式の場で助言を直接語り、映像記録として公開されるように手を打ちました。ですから一般投資家は何にも惑わされることなく、彼の助言を折に触れて思い出し、その導きにひかれて歩み続ければよいだけだと思います。

単なる私見ですが、ウォーレンは今回の発言を以って一通りの手を打ち終えたと感じました(株主に対する助言はすでに済ませ、バークシャーの主要経営陣も定まり、今回の発言が一般投資家向け、という意味において)。

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