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2015年10月30日金曜日

投資における意思決定の良否を判定するには(ハワード・マークス)

オークツリー会長ハワード・マークスの新しいレターが公開されています(10月22日付)。スポーツに関する各種の話題と投資の類似点をとりあげています。今回引用するのは、アメフトの重要な試合で下された判断が運悪く負けにつながった件から展開した話題です。(日本語は拙訳)

Inspiration from the World of Sports [PDF] (Oaktree Capital Management)

ナシーム・ニコラス・タレブは著書の中で、「起こり得た数々の歴史」について触れています。私はこれを「十分起こり得たが、そうならなかった別の事態」と表現しています。たしかに[今年のスーパーボウルで]シーホークスは負けました。しかし彼らが勝利し、[コーチのピート・]キャロルの下した判断がその違いをもたらしていたかもしれないのです。そうであれば彼はやり玉にはあげられず、ヒーローとなっていたでしょう。ですから、下した判断の良否を評価するには結果にもとづくだけでは足りず、以下の点も考慮しなければなりません。第一にその判断を下したプロセスの品質、第二にその判断が当たる先験的確率(当たるかどうかを問うこととは大きく異なります)、第三に下されたかもしれなかった他の諸判断、第四に起こり得る可能性が十分にあった全ての事象、第五に最も成功する確率が高かったのはどの判断か、です。(p. 8)

In his book, Taleb talks about “alternative histories,” which I describe as “the other things that reasonably could have happened but didn't.” Sure, the Seahawks lost the game. But they could have won, and Carroll’s decision would have made the difference in that case, too, making him the hero instead of the goat. So rather than judge a decision solely on the basis of the outcome, you have to consider (a) the quality of the process that led to the decision, (b) the a priori probability that the decision would work (which is very different from the question of whether it did work), (c) the other decisions that could have been made, (d) all of the events that reasonably could have unfolded, and thus (e) which of the decisions had the highest probability of success.

短い文章で要約していますが、列挙された箇所は投資プロセスを磨く上で重要だと感じました。これらの作業をろくに実施していない身なので、具体的な効果を例示することはできません。しかし事後に反省してフィードバックすることはプロセス改善の基本ですし、そのなかで運勢の要素を排除しようとする工夫がみられる点は、真剣さという意味でも大いに学べると思います。

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