「さらなる上昇を期待する愚者たちの殿堂」の一番奥にあるのは鏡だった。その建物に入ったことを知らずにいたバフは、みずからを慎重なる投資家とみなしていた。彼が保有していたのはクズ企業ではなく、結局は偉大な企業の株式だけだったからだ。市場は一貫して彼の判断を正当化したので、バフは確信と自分のイメージを強めるばかりだった。最高の成果をあげている銘柄をやめて別のものに手を出すことは、ひどく投機的だと考えていたのは明らかだった。彼はリスク回避志向の投資家を自認しており、さらには「バリュー」投資家ともみなしていた。流入する資金で株を買い、増えた持ち分をそのまま保有する。それが彼のモットーだった。
輝いていたバフの流れ星のひとつが地に堕ちるときもある。幸運なことに他の投資信託の同業者たちも、おそらく同じ銘柄を同じ比率で保有していただろう。そのとき彼がやることとは、ある株に失望させられて価格が下落した時にみなさんがいつもやることと同じである。消し飛ばすのだ。結局のところ、獲得した利益を安定した成長パターンへと操作する能力のない企業など、信用することはできない。同じことが再び起こるかもしれないし、お仲間もみんな同じように考えて消し飛ばすことがわかってもいた。
バフは多くの企業を保有している。彼の株は上昇しているが、然るべき理由があるとは限らず、単に上昇しているからという理由だけのこともある。「なぜ上がらないのか、その理由がだれにも考えられない」という事実が、それらの銘柄がさらに上がる証拠として受けとめられているのだ。
At the end of the Hall of Greater Fools is a mirror. Buff, unaware of entering the building, actually thinks of himself as a prudent investor. After all, he owns no junk, only the shares of great businesses. And the market's constant vindication of his judgment only reinforces his conviction and self-image. Obviously, selling his best performers to dabble in anything else would be wildly speculative and he has convinced himself that he is a risk-averse investor, even a "value" investor. Buying and holding, using inflows to add to positions, is his watchword.
Occasionally, one of Buff's shooting stars falls to earth; fortunately, his compatriots at other mutual funds probably owned it in about the same proportion. Then he does what you should always do when a stock disappoints and plunges in price: He blows it out. You can't, after all, trust a company that is incapable of massaging earnings into a steady growth pattern; why, the same thing might happen again. And he knows all his compadres are thinking the same thing and blowing it out, too.
Buff has a lot of company. His stocks are going up, not necessarily because they should but because they do. That no one can think of why they wouldn't is taken as evidence that they will rise further.
2015年10月16日金曜日
上がらない理由が考えられないから上がる(セス・クラーマン)
セス・クラーマンが1999年に発表したバリュー投資家に関するエッセイのその6です。バフ・T・ウォーレン氏の話がつづきます。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)
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