<質問> 近年になって金融経済学者が、高収益で質の高い企業はそうでない企業よりも良い投資先であることを再発見しています。彼らはそのアイデアがどこからきたのか見いだそうとしたところ、バフェットにたどりつきました。そしてバフェットの示した人があなたです。しかしあなたは弁護士だった1950年代や1960年代初期に見抜いておられましたが、そのアイデアにはどうやって到達したのですか。当時のあなたは、まだチャーリー・マンガーではなかったのですから(笑)。
<マンガー> 少しでも常識があれば、他社よりもうまくやっている企業があることはだれにだってわかりますよ。ところがそういった企業には資産や利益などと比較して高い値段が付けられているときます。それでむずかしくなるわけです。だから、このゲームが楽しくなっているわけですね。「他社よりも良い会社はどこなのか」、それをみつけるだけならば、おバカさんでも大儲けできるはずです。しかし価格が上昇し続けることで勝率も変化します。
私にはわかりきっていました。「株式市場は効率的な場所だから、それをしのぐことはだれにもできない」と私の同僚たちは教えられていました。しかしオマハにいたころに、他人より馬のことを熟知していた人たちがパリミュチュエル方式を打ち負かしていたのを私は知っていました(参考記事)。だから、その考えはバカげているとわかっていたのです。そして若いころにビジネス・スクールには一切近づきませんでした。異常な考えに汚染されなかったのは、そのおかげですね(笑)。
その説[=市場効率仮説]を信じたことはないですね。それに、エデンの園には口をきくヘビがいるなどと信じたこともありません。つまり、どうしようもないことを識別する才能はありました。ですが、特別なところはなにもなかったですよ。他人にもできないようなすばらしい眼識など、一切持ち合わせていません。他人よりも少しばかり徹底してバカなことを避けてきただけです。
他人は賢明であろうとしていますが、私がやっているのはバカなことをしないように努めるだけです。人生を歩む上でどうすべきなのか悟ったのです。「バカなことはせずに長生きする」、それだけです。しかしバカなことをしないでいるのは、たいていの人が想像する以上にむずかしいことですよ。
Q (Phil DeMuth): Financial economists in recent years have rediscovered that highly profitable, high quality companies are better investments than other companies. They try to figure out where this idea came from, it takes them back to Buffett, and then Buffett points to Munger. But this is an insight you had in the 1950s, or maybe the early 1960s, when you were an attorney. How did you come upon this idea? You weren't even Charlie Munger then.
[laughter]
Mr. Munger: Everybody with any sense at all knows that some companies are better than others. What makes it difficult is they sell at higher prices in relation to assets, and earnings and so forth, and that takes the fun out of the game. If all you had to do was figure out which companies were better than others, an idiot could make a lot of money. But they keep raising the prices to where the odds change.
I always knew that. They were teaching my colleagues that the stock market was so efficient that nobody could beat it. But I knew people who beat the pari mutuel system in Omaha by knowing more about horses than other people. I knew it was bull. When I was young I never went near a business school so I didn't get polluted by the craziness.
[laughter]
I never believed it. I never believed there was a talking snake in the Garden of Eden. I had a gift for recognizing twaddle, and there's nothing remarkable about it. I don't have any wonderful insights that other people don't have. I just avoided idiocy slightly more consistently than others.
Other people are trying to be smart; all I'm trying to be is non-idiotic. I've found that's all you have to do to get ahead in life, be non-idiotic and live a long time. It's harder to be non-idiotic than most people think.
2015年7月10日金曜日
2015年デイリー・ジャーナル株主総会(9)おバカさんでも大儲けできる
デイリー・ジャーナル社の株主総会の記事から、おなじみの話題ですがチャーリー・マンガー式の投資スタイルについてです。前回分はこちらです。引用元の記事は本シリーズ5回目の投稿と同じです。(日本語は拙訳)
私は、「わたしたちが目指すべきは、奥義の習得を通じた利益追求ではなく、自明の理の日常的な再確認を通じた利益追求だ。聡明さを極めることではなく、常にバカにならないことを目指せ。」という言葉をモットーにしています。これもマンガーの言葉であったと思いますが確かではありません。
返信削除物事をうまくやるにはどうすればよいかと尋ねられるときがあります。そんなときは、どうすればうまくやれないか、どんなやり方がまずいやり方かをしっかり考えてそれをうまく避けるようにすればうまくやれるほうに近づけるはずだと答えています。人間は単純明快で即効性のある答えを欲しがる性質があるようで、このような答えのウケはあまりよくありません(笑)
ブロンコさん、コメントをありがとうございます。
削除チャーリー・マンガー的な哲学を実践されているとのことで、参考になりました。彼の好むアイデアが現実の局面でどのように働いて、どのような影響や反応を生むのか。その具体的な経験談をうかがえるのは、わたしにとっては大切なことです。どうもありがとうございました。
またよろしくお願い致します。