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2013年10月8日火曜日

ただひとつお願いしたこと(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その9です。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> 昨日のワールド・ヘラルド紙で、近親者のいないある億万長者が連邦政府に560万ドルを遺贈したと報じられていました。

<バフェット> それなら私も読みました。

<質問者> その金額では政府が支出する金額の2分間も持ちません。では、あなたにも近親の方がいらっしゃらない上に慈善財団もつくらないとしたら、同じように政府に資産を残しますか。もちろん、あなたの財産を使い切るにはもっとかかると思いますが。

<バフェット> 実は、今日はここに近親の者が一人来ていて、わたしが話すことを観察しているのです。それはともかく別に読んだ話で、自分の全資産を妻へ残した人が、彼女が再婚することを条件にしていました。ですから亡くなった彼のことを悼んだ男性が、少なくとも一人はいたでしょう。さて、慈善活動はなしということですから、むずかしい問題ですね。政府に残すということは、基本的には社会へ残すということになります。それなら高潔で賢い人に託したいですね。単にその年の政府の債務の穴埋めをするのではなく、社会のために使ってくれる人にです。

ある人物や慈善活動がダメだとなれば、まったくのお手あげです。相続税率が実質的に100%となるわけですね。

ここで申し上げておきたいのは、わたしが儲けたお金は社会から頂戴したということです。もしわたしがバングラデシュやペルーのただなかにいたとしたら、たいして役に立たなかったでしょう。この国の経済のような特定の環境にぴったりな能力があったおかげで、この社会でたくさん稼ぐことができました。わたしは自分がこうありたいと思う人生を、そのとおりに生きてきました。その社会にお返しをしないというのは、どこかおかしいと思います。ですから基本的には、わたしの全財産は元の場所へ戻ることになります。ただし、受託者に対して将来どうしてほしいと指示するつもりはありません。ほんのひとにぎりの、非常に高潔で賢明な人が選べればと思っています。大きな集団だと官僚的になりますからね。わたしの財団には6名の受託者がいます。わたしが死んだ後にあの世からあれこれ口を出すよりは、彼らはこの現世でずっといい仕事をしてくれるでしょう。この決めごとで非常に満足しています。ただし、ひとつ彼らにお願いしたことがあります。何か大きなことをやってください、とだけ言いました。小事多数はわたしの信じるところではないですから。

<質問者> どうか150歳や200歳まで長生きされることを心から願っております。あなたのお相手をできる人がずっと必要ですが。

<バフェット> いやいや、どうもありがとうございます。

Q. Yesterday in the World Herald, it was reported that a multi-millionaire with no blood relatives left $5.6 million to the U.S. government.

A. I saw that.

Q. And that money would cover less than two minutes of government spending. If you had no blood relatives and no charitable foundation, would you leave your money to the government? Assuming, of course, it would take longer to spend your fortune.

A. Well, I have one of the blood relatives here today who's monitoring what I'm saying. I read the other day about a fellow who left all of his money to his wife on the condition that she would remarry, so at least one man would mount his passing. I would say this, when you rule out the philanthropic, that gets tough. If you leave it to the government, you're leaving it to society, basically. I would rather leave it to people, very high-grade intelligent people, to spend in the interests of society rather than simply to reduce the debt or the deficit that year.

You know, if you told me that I couldn't leave it to an individual or to charity, I mean, at that point I would be pretty much stuck. It would be like having a 100% estate tax, in effect.

I would say that I got my money from society. If you stuck me down in the middle of Bangladesh or Peru, I wouldn't be worth a damn. I have some talents that are particularly suited to this particular economy. I get a lot from society. I get to live exactly the kind of life I want to live; and then not to give it back to society seems a little crazy to me. So, essentially, everything I have will go back. And, I will not try to direct what the trustees do ahead of time. I just want to pick very high grade people, smart people, very few people because if you get a large group, it will bureaucratize. I've got six trustees on the foundation and they will do a much better job above ground after I die than will be done if I start giving them instructions from beneath the ground. I'm very satisfied with the arrangement. The only thing I've instructed them to do is try and do something big. I don't believe in lots of little things.

Q. Well we certainly hope you live to be 150, 200. Someone with your character needs to stay around.

A. Thank you. Thank you.


ウォーレンが自分の資産をビル・ゲイツの財団に寄贈すると発表したのは、2006年でした。この講演は1994年のものですから、ずいぶん前から将来の方針を決めていたことになります。このような毅然としたいさぎよい姿勢こそ、次の世代をあゆむ者の一人としてお手本にすべきと感じています。

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