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2013年5月10日金曜日

資本主義、万歳(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その12、ひきつづき会計士の話題です。この一節でのチャーリーの皮肉は強烈です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

この[-音声不明瞭-]な文明において、いったい誰がそんな考えにみちた会計をやっているのでしょうか。そう、われらが一流の会計士です。よろこんで一族に迎え入れたい人物です。恥ずべきことなど、みじんも持たない人たちです。アプトン・シンクレアが指摘していた人物のようですね。食っていくために信じなければならないことを彼らは信念としているのです。その会計士たちには我慢しがたい考えがあります。合理性が要求される場面では現実性があること、つまり将来になってから回収されるものは合理的に判断されなければならない、という考えです。実際のところ、ここから何が感じられますか。原告側の弁護士が彼らを訴えてきて、仕事ができなくなってしまう。会計士たちはそんな風に感じているのです。彼らにとって、これは耐えられないことです。そうであれば現実と向き合うよりも、数字をまちがったままにしておき、その数字ゆえに我々が経験したようなごたごたが生じるほうをえらびます。単に自分にとって気楽な会計上の取扱いを無意識に選んでいるのです。これは、ジュールズ・スタイン眼科研究所の外科医を思い起こさせます。私は彼にこう質問しました。「白内障の手術をするのに、まったくもって時代遅れなやりかたをするのはなぜですか」。私の左目がダメになる前に、正しくもそれを診断した天才は答えました。「チャーリー、これは人に教えるにはもってこいの手術法なんですよ」。作り話などではありませんよ。実際にインターンたちを訓練するならば、ものすごくいい経験になります。ジュールズ・スタイン眼科研究所の彼が時代遅れのやりかたで白内障の手術をするのを、どうしてやめることになったのかわかりますか。彼に手術してもらうのを患者がこぞって拒否したからです。これぞ資本主義が成しとげた栄光のひとつですね。あまりに愚かしい人に対しては、拒絶という手段によって顧客はしばしば現実をみせつけることができるのです。

Who in the hell would have this kind of accounting that had any sense of all in a [audio unintelligible] civilization? It’s our leading accountants, the people you’d be glad to have marry into your family. And not one of them has the least tinge of shame. They are like Upton Sinclair, they believe what they have to believe to make a living. What the accountants can’t stand is the idea that if you made them do what rationality requires, make this thing realistic - make it a reasonable judgment about what is going to be really collected in the future. What’s really sound here? They sense that plaintiffs’ lawyers will sue them and they really won’t be able to do it. That is unendurable to them. They would rather have the figures all wrong and the figures create the kind of a mess that we’ve had than face reality. On a subconscious level, they just choose the accounting that makes it easy for them to do. It’s like a surgeon once said [at] the Jules Stein Eye Institute [when] I asked him, ‘Why are you doing a totally obsolete cataracts operation?’ This guy was a genius who correctly diagnosed my left eye before it went out for good and he said, ‘Charlie, it’s such a wonderful operation to teach.’ I’m not inventing this story. I mean, if you are really training a bunch of interns, I mean, this was a hell of a wonderful experience and you know how he stopped doing an obsolete cataracts operation at the Jules Stein Eye Institute? When the patients all voted with their feet. That is one of the glories with capitalism. If people are asinine enough, the customers will frequently bring reality to bear by voting with their feet.


余談です。チャーリーはずっと前から片目がほとんどみえないことは、よく知られた事実です。おなじように隻眼として知られる投資家にマイケル・バーリ(過去記事など)がいますが、彼もチャーリーの講演に深く共感しているとしていました。

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