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2017年7月6日木曜日

2016年度バフェットからの手紙(10)バークシャーの保有資金について

2016年度「バフェットからの手紙」から、短めの文章をいくつか引用します。今回はバークシャーが連結ベースで保有する現金資産の話題です。バークシャーの現状を把握する「いろは」のひとつにあたると思います。(日本語は拙訳)

当社の貸借対照表における「現金及び等価物」860億ドルのうち(わたしとしては米国財務省証券T-Billも含めています)の95%が、米国内に籍をおく事業体によって保有されています。つまりどのような資金還流税であっても、その課税対象にはなりません。このことを理解しておくのは大切です。さらには、それ以外の資金を米国内へ還流させる場合でも、わずかな税金しか発生しません。それら資金の多くは、かなりの法人税が課されている国であげた益金だからです。資金を本国へ送金する際には、そういった既払い分と連邦税が相殺されることになります。

このような説明は重要です。というのも、現金が潤沢な多くの米国企業は、その資金の大きな割合を非常に小さな税率しかかからない法的管轄域で保有しているからです。そういった企業は、それらの資金を米国へ持ち込む際に課される税金が大幅に削減されるよう望んでいますし、それが適切な行動だったとなるかもしれません。しかしそれまでの間は、その資金をどのように使えるかという点において、そういった企業は行動を制限されています。言い換えれば、海外にある現金は本国にある現金とは「単純に同じ価値とは言えない」わけです。

バークシャーは地理的にみて好ましい場所で現金を保有していますが、それを部分的に相殺している点があります。現金の多くを当社の保険子会社が保有している点です。それらの資金を投資目的で使う方策はいろいろと考えられますが、もし親会社であるバークシャーが保有していたら堪能できたはずの無制限な選択肢ほどではありません。また子会社の各保険会社から親会社へと多額の現金を毎年配分する能力もありますが、こちらも同じように限界があります。結局のところ、各保険会社の手元にある現金は非常に有用な資産ではあるものの、親会社の階層で保有する現金にくらべると、若干ながら価値が落ちるきらいがあります。(PDFファイル19ページ)

It’s important for you to understand that 95% of the $86 billion of “cash and equivalents” (which in my mind includes U.S. Treasury Bills) shown on our balance sheet are held by entities in the United States and, consequently, is not subject to any repatriation tax. Moreover, repatriation of the remaining funds would trigger only minor taxes because much of that money has been earned in countries that themselves impose meaningful corporate taxes. Those payments become an offset to U.S. tax when money is brought home.

These explanations are important because many cash-rich American companies hold a large portion of their funds in jurisdictions imposing very low taxes. Such companies hope - and may well be proved right - that the tax levied for bringing these funds to America will soon be materially reduced. In the meantime, these companies are limited as to how they can use that cash. In other words, off-shore cash is simply not worth as much as cash held at home.

Berkshire has a partial offset to the favorable geographical location of its cash, which is that much of it is held in our insurance subsidiaries. Though we have many alternatives for investing this cash, we do not have the unlimited choices that we would enjoy if the cash were held by the parent company, Berkshire. We do have an ability annually to distribute large amounts of cash from our insurers to the parent - though here, too, there are limits. Overall, cash held at our insurers is a very valuable asset, but one slightly less valuable to us than is cash held at the parent level.

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