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2014年5月20日火曜日

(問題)顧客の不正をとめるには(チャーリー・マンガー)

チャーリー・マンガーの(再考)世知入門、22回目です。今回もすばらしい話ですがちょうど問答形式に分けられるので、解答にあたる後半部は次回の投稿でご紹介します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なお、答え自体はむずかしいものではありません。他人の気持ちをうまく誘導できる人であれば、自然にやっていることだと思います。

<質問者> Outstanding Investors Digest[バリュー投資家に好評のインタビュー誌]に掲載されていたあなたに関する記事のおわりで、資産運用マネージャーの中で付加価値を生み出しているのはごくわずかな人だけだ、とありました。ここで話をお聞きしているのは未来の法律家たちですが、仕事を通じて価値を加えられるようになるにはどうしたらよいか、何か推奨して頂けますか。

<マンガー> 正しく考えられる人ならば、大きな価値を加えられると思います。また勇気を必要とするときに大いなる自信を以って介入することを賢くも学んだとしたら、これも大きな価値をもたらします。はたまた職場や顧客や自分が気にかけている者を破滅に導くバカげたことが起きないように防いだり止めたりできれば、大きな価値を生んだことになります。

みなさんにも建設的な妙技を使いこなすことはできますよ。ひとつ例をあげてみましょう。スキャデン・アープス[全米最大級の法律事務所]のジョー・フロム[ミスター買収と呼ばれた有名な弁護士]は、[ハーバードでの]学生時代のクラスメートでした。彼が弁護士としてあれほどまでに成功した理由のひとつは、印象に残るちょっとしたたとえ話をひねり出すのがとても上手だったことです。彼のたとえ話は要所を衝いており、うまく働きました。そうです、顧客などを良い方向へと仕向けたいときに少しばかりおもしろい例をつかって説得するのは、非常に有益なやりかたです。

それができるのはひとつの才覚と言えます。ですから、世界中のジョー・フロムは生まれつき才能のある人ばかりだと思うかもしれません。しかし彼はその才能に磨きをかけてきたのです。そのような能力は、だれにでもある程度は備わっています。だから、みなさんも能力を磨くことができます。

ときには、[非合法]すれすれの案件に関わることもあるでしょう。たとえば顧客が脱税したいと考えているとします。税法なぞ限界のむこうに押しやってしまおうと持ち出す彼は、そうしないと首を縦に振ってくれません。せっかくできたイカサマをやり逃したと思うと、残念な気持ちで朝からヒゲも剃れないぐらいです。世の中にはそのような人たちがいるのです。もっと激しく燃えるように生きなければ、と感じる性質の人種です。

そのような状況に接する方法として、2つのやりかたが考えられます。ひとつめは、「彼のためには働けません」と避けて通る方法です。もうひとつはこうです。「生活の状況を考えると、彼の仕事を受ける必要がある。しかし彼のために働くからといって、欺こうと考えたのは私ではない。ならば、仕事を引き受けよう」。

もうひとつ考えられるのは、本当に彼がバカなことをやりたがっているのであれば、「あなたのやっていることは間違いですよ。私には良くないことだと思えます」と彼に言うやりかたです。しかし、これはうまくいかないでしょう。

そのやりかたでは相手の怒りを招くだけです。彼のほうが年長でしょうから、説得に応じるどころか、こう反論してくるでしょう。「そういう君は一体何様だ。この世の道徳を決めるのは自分だ、とでも思っとるのかね」。(この項つづく)

Q: At the end of your article in OID, you mentioned that only a select few investment managers actually add value. Since you're speaking to an audience of future lawyers, what would you encourage us to do in order to be able to add value in our profession?

To the extent you become a person who thinks correctly, you can add great value. To the extent you've learned it so well that you have enough confidence to intervene where it takes a little courage, you can add great value. And to the extent that you can prevent or stop some asininity that would otherwise destroy your firm, your client, or something that you care about, you can add great value.

And there are constructive tricks you can use. For example, one reason why my old classmate, Joe Flom of Skadden Arps, has been such a successful lawyer is that he's very good at dreaming up little, vivid examples that serve to pound the point home in a way that really works. It's enormously helpful when you're serving clients or otherwise trying to persuade some in a good cause to come up with a little humorous example.

The ability to do that is a knack. So you could argue that the Joe Floms of the world are almost born with a gift. But he's honed the gift. And to one degree or another, all of you were born with the gift. And you can hone it, too.

Occasionally, you get into borderline stuff. For instance, suppose you've got a client who really wants to commit tax fraud. If he doesn't push the tax law way beyond the line, he can't stand it. He can't shave in the morning if he thinks there's been any cheating he could get by with that he hasn't done. And there are people like that. They just feel they aren't living aggressively enough.

You can approach that situation in either of two ways: (A) You can say, "I just won't work for him," and duck it. Or, (B) you can say, "Well, the circumstances of my life require that I work for him. And what I'm doing for him doesn't involve my cheating. Therefore, I'll do it."

And if you see he wants to do something really stupid, it probably won't work to tell him, "What you're doing is bad. I have better morals than you."

That offends him. You're young. He's old. Therefore, instead of being persuaded, he's more likely to react with, "Who in the hell are you to establish the moral code of the whole world?"

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