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2013年4月23日火曜日

DNAには刻まれていないこと(ウォーレン・バフェット)

ウォーレン・バフェットが母校ネブラスカ大学のインタビューに応じた古い記事がscribdにアップロードされていましたので、ご紹介します。2001年当時のものです。今回引用した話題は2つ、「MBAについて」「ビジネスにおける望ましい性向」についてです。それ以外にも、テクノロジー投資などの話題が取り上げられています。(日本語は拙訳)

Buffett Nebraska Business Interview 2001 (PDFファイル) (scribd)

<質問者> MBAは今日の学生にとって重要な学位だとお考えですか。

<ウォーレン> ビジネスに興味があったり、その世界に進むのでしたら、MBAはとても役に立ちます。しかし本当に大切なのは、どのような心持ちで授業に臨むか、この主題に興味を持てるかということです。会計などの授業を苦役や必須要件とみているのでしたら、全体像を見失っています。どんな授業でも楽しむことはできるものです。会計学を習得するのは新しい外国語を身につけるのと同じようなもので、けっこう楽しいですよ。必要なのは、さぐり出そうとする姿勢です。対象に近づいて、発見するのです。会計学はビジネスを解き明かすロゼッタ・ストーンと言えるでしょう。いっぽう経済学というのも、人間はいかに貪欲な望みに対処し、そういった望みを満たすためのシステムをつくりだしたかが冒頭から記述されており、魅力的な学問です。すばらしい内容です。まさに世界はそのように動いています。ビジネスは日常のできごとであり、経済学の一部分を占めるものです。ブラックホールのような表現しかねるものではなく、それなりに理解できるものです。ですからビジネスを通じて、世界がどのようにして動いているかを学ぶことができます。18か19歳で世界のことを学び、この広い世の中の動きを理解できるようになります。我が国の一人あたりのGDPは20世紀の間に6倍になりました。6倍というのがどういうことが考えてみてください。なぜこの国でそうなったのに、よそではそうならなかったのか。アメリカは世界の一部分を占めるにすぎませんが、非常に重要な位置づけにあります。そういったことを理解し、これからの人生という観点に立ってあらゆるものごとをみつめるのは、すばらしいことだと思います。

Cynthia: Do you think an MBA is an important degree for students to have today?

Warren: If you are interested in business, or likely to be in business, an MBA is very useful. But, what is really important is what you bring to a class in terms of being interested in the subject. If you view a course like accounting as a drudge and a requirement, you are missing the whole game. Any course can be exciting. Mastering accounting is like mastering a new language, it can be so much fun. The attitude should be one of discovery, that you are coming there and discovering. Accounting is the Rosetta Stone of business. Economics is fascinating, the first page of economics describes how mankind deals with insatiable wants and creates the systems to fulfill these wants. It’s great stuff. Really how the world works. Business is a subsection, a fairly understandable subsection, not like black holes, which are fairly hard to visualize, but business is every day stuff and you are learning how the world works. You are 18-19 years old and learning about the world, understanding how this great world works. The GDP per capita in the 20th century increased 6 to 1. Think of that, six times. Why does that work here in the U.S., why doesn’t it work other places? The U.S. is a small part of the universe, but a very important part and understanding that and seeing everything else against that backdrop for the rest of your life is fabulous. (PDFファイル5ページ目)


<質問者> わたしどもの学生は常々、あなたがどんな人を雇うのか知りたがっています。どのような点にご注目されているのですか。

<ウォーレン> 3つのことに留意しています。知性とエネルギー、それから誠実さです。知性面はずば抜けている必要はなく、そこそこあれば十分でしょう。たとえばレイ・クロック[マクドナルドの創業者]は頭のいい人でしたがそれだけではなく、商売における正しい原則に従い、情熱をもって仕事に勤しみ、自分のビジネスと向き合いました。みなさんの学校でビジネスを勉強している学生は、知性とエネルギーのどちらもお持ちかと思います。しかし誠実さというものは人間のDNAには刻み込まれていません。学生のみなさんの年頃でしたら、還暦をむかえる頃にどんな人間になっていたいか、いろいろ選べるでしょう。ですが誠実さが欠けていれば、それを体現することはできません。習慣という鎖は、ときに重すぎて外せなくなるからです。学生のみなさんは自分の鎖をこしらえることができます。自分が尊敬する人に質問してみてください、あなたが称賛する人というのはどういう人ですか、と。寛大で慎みがあり、思いやりのある人、そんな答えがかえってくるものです。真似をするならそういう人が一番です。

Cynthia: Our students are always interested in knowing what you look for when you hire someone? What specific qualities do you seek?

Warren: You look for three things, you look for intelligence, you look for energy and you look for integrity. You don’t need to be brilliant, just reasonably intelligent, Ray Kroc, for example, has good intelligence, which he combined with good business principles and passion for business and a passion for his particular business. Every business student you have has the requisite intelligence and requisite energy. Integrity is not hard wired into your DNA. A student at that age can pretty much decide what kind a person they are going to be at sixty. If they don’t have integrity, they never will. The chains of habit are sometimes too heavy to be broken. Students can forge their own chains. Just pick a person to admire and ask why you admire them, usually it is because they are generous, decent, kind people, and those are the kind of people to emulate. (PDFファイル6ページ目)


「寛大で慎みがあり、思いやりのある人」と言えば、まさしくウォーレンご本人のことですね。「慎み」については少し採点が甘いかもしれませんが。

なお「習慣の鎖」のことはチャーリー・マンガーも触れていました(過去記事)。二人が口にしているという事実こそ、その内容がいかに大切かを物語っていますね。

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