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2020年4月17日金曜日

なにをどうすれば、こう上がるのか(ハワード・マークス)

ハワード・マークスが矢継ぎ早にメモを公開していました(4月14日付)。今回中心となる話題は二つで、ひとつめは新型肺炎に対する政治的対応について、ふたつめは連銀による金融面での対応についてです。

Knowledge of the Future [PDF] (Oaktree Capital Management)

政治的対応については、むずかしい判断を取り上げていました。具体的には、ロックダウンを緩和して経済活動を再開することのマクロ的なトレードオフの是非についてです。ここでは、同じく著名な投資家エドワード・ランパートの言葉を借りて、冷徹な観点から選択肢を提示していました。一方でミクロ的な観点では、以前と同じ状態に少なくとも即座には復帰できないことも触れており、個々人の事情を慮っていました。全体としてみれば、個人的には同意できる主張でした。

もうひとつの話題は、連銀による無制限の金融緩和についてです。ボロ債券の底値買いを身上とする彼の立場からすれば、極端なまでの連銀の救済対応は商売上の好機を早々につぶすことにつながります。米国における投資家の一人としてその恨み節を公表した、といった具合の文章でしょうか。今回ご紹介するのは、その結びに当たる部分です。(日本語は拙訳)

どうやら市場は、将来に関する判断を下したようです。米国における[新型肺炎の]死者数は2万3000人を超えて、なお増加中です。失業保険の週次給付申請は、過去最大だった数字の10倍に達しています。そして、今四半期のGDP減少率は史上最悪になると予想されています。しかし、世間は治療体制やワクチン開発の見通しを歓迎しており、また投資家は「連銀と財務省が痛みを抑制してV字回復をもたらしてくれる」と判断しました。古くから言われているように、「連銀と闘うことはできない」、つまり連銀は望むところを達成できるわけで、投資家はそれに対して信を置いているのです。それゆえ、3月23日に底を打ったS&P500指数は23%上昇しました。過去に市場が上昇した局面では押しなべて資金抑制が懸念されましたが、今回はほとんど問題視されていない状況です。

しかし、義理の息子で芸術家のジャスティン・ビールは、これを不可解に感じています。土曜日のことですが、彼はこう話してくれました。「わたしにはわからんですよ。ウィルスが猛威をふるい、商売は休業中、一方で政府はそこらじゅうにカネをばらまいている。税収が減ること必至にもかかわらずですよ。なにをどうすれば、市場はこんなに激しく上昇するのですかね」。それは行方が開けたときに、露わとなるのでしょう。

The market seems to have passed judgment with regard to the future. U.S. deaths have reached 23,000 and continue to rise. Weekly unemployment claims are running at 10 times the all-time record. The GDP decline in the current quarter is likely to be the worst in history. But people are cheered by the outlook for therapies and vaccines, and investors have concluded that the Fed/Treasury will reduce the pain and bring on a V-shaped recovery. There’s an old saying that “you can’t fight the Fed” - that is, the Fed can accomplish whatever it wants - and investors are buying it. Thus, the S&P 500 has risen 23% since its bottom on March 23, and there’s little concern about the retrenchments that typically have been part of past market rallies.

But Justin Beal, my artist son-in-law, is mystified. “I don’t get it,” he told me on Saturday. “The virus is rampant, business is frozen, and the government’s throwing money all over the place, even though tax revenues have to be down. How can the market be rising so strongly?” We’ll find out as the future unfolds.

備考です。「芸術家のジャスティン・ビール」氏との姻戚関係をたどってみると、彼はどうやらハワードの継子の夫のようです。

・Nancy Marks, Justin Beal, Jane Hait, Sasha Puryear, Howard Marks at Sies Marjan and OMA Celebrate the opening of Countryside, The Future / id : 4229659 by Ryan Kobane/BFA.com


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