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2015年3月3日火曜日

2014年度バフェットからの手紙(2)これから50年間のバークシャー(後)

ウォーレン・バフェットによる2014年度「バフェットからの手紙」から、「第2部バークシャー未来編」の後半部です。前半部はこちらです。(日本語は拙訳)

(2015/3/7 誤訳を修正しました。"can't help but")

・バークシャー以上に株主のことを考える会社は出てこないでしょう。わたしどもは30年以上にわたって、株主に関する原則(年次報告書117ページ参照)を毎年確認しなおしてきました。文章のはじまりはいつも同じ言葉です。「わたしたちは企業の形態をとっていますが、みなさんのことをパートナーととらえています」。みなさんに誓ったこの約束が、反故にされることはありません。

非常に見識豊かな当社の取締役会はビジネス志向で物事を考えることができ、パートナーシップ上の取り決めをいつでも実行できる準備ができています。お金欲しさに仕事を引き受けている人はいません。まず他ではみられない取り決めによって、当社の取締役はしるしとしての報酬を受け取っています。そのかわり、彼らは保有するバークシャー株を通じて、また重要な企業において良き責務を果たすことで得られる満足によって報われています。

彼らやその家族が保有する当社の株式は、多くの場合非常に多額なものですが、(オプションや付与によって実現したものではなく)市場から購入したものです。それに加えて、当社の取締役や役員には賠償責任保険をかけていません。これは、ほぼすべての一定規模の公開企業とは異なる点です。バークシャーの取締役が履いている靴は、自前のものなのです。

わたしたちの文化がいっそう確実に継続するよう、後任の取締役会長には息子のハワードを選ぶのはどうかと示唆してきました。ただし役員は兼務させません。そう願う理由はただひとつ、CEOとしてまちがった人間を雇ったことがわかれば、会長が断固として行動する必要がでてきます。そのときに交代させやすい、と考えたからです。ただし保証できますが、バークシャーでこの問題が起こるのは、他のどの公開企業とも同じように非常に低い確率です。しかしわたしが取締役として仕えた公開企業19社では、ダメなCEOが会長を兼任している場合、その人物を解任するのは非常に困難でした。(その行動はたいてい実行されますが、ほぼ必ずやかなり遅くなってからです)

ハワードが選任されれば、報酬はゼロですし、時間を費やす仕事は他の取締役に要求されるものと同じです。彼の役目は単なる安全弁です。彼以外の取締役がCEOに対して疑念を抱き、別の取締役が同じように疑問に感じているかを知りたいときに、ハワードに問い合わせるわけです。複数の取締役が恐れを抱いていれば、ハワードが会長の役目を発揮して、その問題を手早くそして適切に解決することになります。

・正しいCEOを選ぶことは最重要課題であり、バークシャーの取締役会では多くの時間を費やしています。バークシャーの経営とは主として資本配分を遂行することですが、それと同時に当社の事業子会社を率いる傑出した経営者を選び、その人物を逃さぬことも仕事です。当然ながらその仕事には、必要に応じて子会社のCEOを交代させることも含まれます。それらの義務ゆえに、バークシャーのCEOとなる人物には、合理的で沈着冷静、そして断固として行動に移ることのできる資質が要求されます。さらにビジネスを広く理解しており、人間のとる行動をうまく洞察できる人です。そして自分の限界をわかっていることも大切です。(IBMのトム・ワトソン・シニアはこう言いました、「私は天才ではないが、ある領域ではうまくやれる。だから、そこにこだわるよ」)

その人物の性格も決定的な要素です。バークシャーのCEOは会社に身を捧げるべきで、彼自身にではありません(不慣れな単語はやめておこうと男性形を使いましたが、CEOを決めるのが性別であってはなりません)。必要な額をはるかに超える報酬を得ずにはいられないものです。しかし重要なのは、とことん気前の良い報酬をもらっている競争相手に負けじと、エゴやがめつさに突き動かされないことです。たとえ彼の果たした業績が競争相手を大きくしのいでいてもです。CEOの行動は、そのもとに連なる経営者に対して甚大な影響をもたらします。株主の利益にかなうことこそ、彼ら経営者にとっての最上の仕事である。それが明快になっていれば、わずかな例外は別として、その考え方を受け入れてくれるでしょう。

後任者のCEOには、もうひとつ特別な強さが要求されます。事業に衰退をもたらすABCを撃退する力です。ABCとは傲慢(Arrogance)、官僚主義(Bureaucracy)、自己満足(Complacency)の3つです。企業におけるそれらの癌が転移すると、最強の企業であっても低迷する可能性があります。それを証明できる実例は莫大な数にのぼりますが、友好的な関係のままでいたいので、掘り出す事例は遠い過去のものだけにしておきます。

GMやIBM、シアーズ・ローバック、USスチール社が輝いていた時代には、彼らは壮大な産業の頂点に君臨し、その強さは攻略不能と考えられていました。しかしわたしが非難した上記の破滅的行動によって、やがて各社は深みへと、CEOや取締役が長らく考えることもできなかった深みへと落ちていきました。彼らが一時期有していた強靭な資金力や歴史的な収益力を守り通すことはできませんでした。

バークシャーがさらに大きく成長した時に、衰退を招くそのような力を遠ざけられるのは、用心深い上に断固たる行動をとれるCEOだけです。チャーリーがなにを願っているのか、忘れてはなりません。「どこで死ぬのかわかったら、決してそこには行かないよ」。わたしたちの持つ非経済的な価値が失われてしまえば、バークシャーの有する経済的価値の多くも同じようにおしゃかになるでしょう。バークシャーが持つ特別な文化を維持していく上で、「経営トップの声色」がカギとなります。

幸運なことに、将来のCEOが当社で成功していくために必要な構成はきちんとできています。バークシャーでは権限移譲が大幅に進んでおり、それは官僚主義に立ち向かう最良の対抗策として働きます。また事業運営という観点でみれば、バークシャーは巨大企業ではなく、大企業の集合体と言えます。本社で委員会組織を持ったことはありませんし、子会社に対して予算を提出するように要求したことも皆無です(ただし多くの子会社では、内部的に重要な道具として使っています)。法務を担当する部署もありませんし、他社が当然と考えている部門もありません。人事、広報、IR、戦略、企業買収など、みなさんの思いつくものはどれもです。

もちろんわたしたちには監査機能があり、きちんと活動しています。ただぼんやりしているわけではありません。しかしわたしどもは子会社の各経営者をかなりのところまで信頼しており、彼らは管理監督責任を熱心に果たして事業を運営しています。結局のところ、当社に買収される前にもまったく同じことをやってきたのです。さらには、ときどき起こるわずかな例外を除けば、わたしどもが信頼することで、相次ぐ指示や終わりなきレビュー、そして階層をなす官僚主義がもたらすよりも良い結果が生じます。チャーリーそしてわたしは、立場が逆であればこうしてほしいと考えることに合致するやりかたで、子会社の各経営者と接するように努めてきました。

・当社の取締役諸氏は、将来のCEOは社内の候補者から選ぶべきと考えています。取締役会がよく知るようになった人たちからです。同じように、次のCEOは職務を長く続けられるように比較的若い人であるべきとも考えています。CEOの統治年数が10年間をずっと超えることで、バークシャーはもっともうまく運営されると思います(若い犬に昔の技を教えるのは大変ですから)。さらに、65歳では引退しないだろうと思います(ところでみなさん、もう気づいていましたか)。

バークシャーが実施する企業買収、そして大規模かつ個別に対応する投資活動では、どちらの場合でも相手先がバークシャーのCEOと親密で安心してくれることが重要です。そのような満足感を育てて関係を強固にしていくには、時間がかかります。しかし、その見返りは甚大なものとなり得ます。

わたしを含む取締役陣は、わたしの後をついでCEOとなるのにふさわしい人物をすでに見つけています。わたしが死んだり退任した翌日から職務を負うことのできる後任者です。ある種の重要な点においては、その人物はわたしよりもうまく仕事ができると思います。

・[証券への]投資はバークシャーにとって非常に重要なものでありつづけるでしょうから、専門家が取り扱うことになります。彼らはCEOに対して報告をあげることになります。というのも、一般的に言って投資面でくだす決定は、バークシャーの事業や買収活動と連携する必要がでてくるからです。しかし全体としてみれば、当社の投資責任者たちは仕事をする上で大幅な自治が認められます。そしてこの領域でも、これから何十年とやっていける優れた形態ができています。トッド・コームズとテッド・ウェシュラーです。彼らがバークシャーの投資チームに加わって数年が経ちました。彼らはあらゆる面で最上の人物であり、買収先を評価する際にCEOをある側面から補佐する能力を持っています。

すべてを考慮すると、チャーリーやわたしが舞台から去った後の時代には、バークシャーは理想的な位置につくことになります。当社には適切な人たちがそろっています。適切な取締役や各子会社の経営者、そしてそれらの経営者陣を導く後継者たちです。さらにわたしたちの文化は、あらゆる役職にわたって組み込まれています。またわたしたちの仕組みは再生させることができます。良き文化も悪しき文化も、かなりの割合でみずからを永続させるために同じものを選びます。わたしたちと似た価値をいだく事業所有者や経営者は、非常に好ましい理由によって、稀なるとこしえの住みかとなるバークシャーにこれからも惹きつけられることでしょう。

・バークシャーを特別なものとしている重要なもうひとつの部分を称賛しないのは、注意が足りないというものです。それは株主のみなさんです。他の巨大企業ではみられない所有者の基盤を、バークシャーはまさしく有しています。この事実は昨年の年次総会で極端な形で披露されました。委任状による決議が提案されたのです。

決議: 当社は必要を超える資金を保有しており、株主はウォーレンのように何十億ドルも持たぬ以上、取締役会は重要なる年次株式配当を検討すること。

その決議を提案した株主が総会の場に姿をみせることはありませんでした。そのため、この決議は公式な提案にはなりませんでした。それにもかかわらず、委任状は集計されており、彼らは啓発していました。

当然のことながら、A株を保有するのは比較的少数の株主で、彼らの経済的な持ち分は多額になりますが、配当に関する問いに対して89対1の割合で「反対」と答えました。

注目すべき投票は、B株の保有者によるものでした。彼らは数十万名になり、あるいは100万名に達しているかもしれません。彼らの投票は「反対」が660,759,855票で「賛成」が13,927,026票でした。比率にして47対1になります。

取締役の推奨案は「反対」でしたが、会社としてはそれ以外に株主へ影響を加えようとはしませんでした。それにもかかわらず、投票数の98%が事実上こう言ったのです。「配当は要らんから、利益全額を再投資してくれ」。大小にかかわらず朋友たる株主のみなさんが、わたしども経営陣の持つ考えと協調しているのは、実に見事なことで、報われたと感じました。

みなさんのようなパートナーがいてくださり、わたしは幸運な男です。

ウォーレン・E・バフェット

・No company will be more shareholder-minded than Berkshire. For more than 30 years, we have annually reaffirmed our Shareholder Principles (see page 117), always leading off with: "Although our form is corporate, our attitude is partnership." This covenant with you is etched in stone.

We have an extraordinarily knowledgeable and business-oriented board of directors ready to carry out that promise of partnership. None took the job for the money: In an arrangement almost non-existent elsewhere, our directors are paid only token fees. They receive their rewards instead through ownership of Berkshire shares and the satisfaction that comes from being good stewards of an important enterprise.

The shares that they and their families own - which, in many cases, are worth very substantial sums - were purchased in the market (rather than their materializing through options or grants). In addition, unlike almost all other sizable public companies, we carry no directors and officers liability insurance. At Berkshire, directors walk in your shoes.

To further ensure continuation of our culture, I have suggested that my son, Howard, succeed me as a nonexecutive Chairman. My only reason for this wish is to make change easier if the wrong CEO should ever be employed and there occurs a need for the Chairman to move forcefully. I can assure you that this problem has a very low probability of arising at Berkshire - likely as low as at any public company. In my service on the boards of nineteen public companies, however, I've seen how hard it is to replace a mediocre CEO if that person is also Chairman. (The deed usually gets done, but almost always very late.)

If elected, Howard will receive no pay and will spend no time at the job other than that required of all directors. He will simply be a safety valve to whom any director can go if he or she has concerns about the CEO and wishes to learn if other directors are expressing doubts as well. Should multiple directors be apprehensive, Howard's chairmanship will allow the matter to be promptly and properly addressed.

・Choosing the right CEO is all-important and is a subject that commands much time at Berkshire board meetings. Managing Berkshire is primarily a job of capital allocation, coupled with the selection and retention of outstanding managers to captain our operating subsidiaries. Obviously, the job also requires the replacement of a subsidiary's CEO when that is called for. These duties require Berkshire's CEO to be a rational, calm and decisive individual who has a broad understanding of business and good insights into human behavior. It's important as well that he knows his limits. (As Tom Watson, Sr. of IBM said, "I'm no genius, but I'm smart in spots and I stay around those spots.")

Character is crucial: A Berkshire CEO must be "all in" for the company, not for himself. (I'm using male pronouns to avoid awkward wording, but gender should never decide who becomes CEO.) He can't help but earn money far in excess of any possible need for it. But it's important that neither ego nor avarice motivate him to reach for pay matching his most lavishly-compensated peers, even if his achievements far exceed theirs. A CEO's behavior has a huge impact on managers down the line: If it's clear to them that shareholders' interests are paramount to him, they will, with few exceptions, also embrace that way of thinking.

My successor will need one other particular strength: the ability to fight off the ABCs of business decay, which are arrogance, bureaucracy and complacency. When these corporate cancers metastasize, even the strongest of companies can falter. The examples available to prove the point are legion, but to maintain friendships I will exhume only cases from the distant past.

In their glory days, General Motors, IBM, Sears Roebuck and U.S. Steel sat atop huge industries. Their strengths seemed unassailable. But the destructive behavior I deplored above eventually led each of them to fall to depths that their CEOs and directors had not long before thought impossible. Their one-time financial strength and their historical earning power proved no defense.

Only a vigilant and determined CEO can ward off such debilitating forces as Berkshire grows ever larger. He must never forget Charlie's plea: "Tell me where I'm going to die, so I'll never go there." If our noneconomic values were to be lost, much of Berkshire's economic value would collapse as well. "Tone at the top" will be key to maintaining Berkshire's special culture.

Fortunately, the structure our future CEOs will need to be successful is firmly in place. The extraordinary delegation of authority now existing at Berkshire is the ideal antidote to bureaucracy. In an operating sense, Berkshire is not a giant company but rather a collection of large companies. At headquarters, we have never had a committee nor have we ever required our subsidiaries to submit budgets (though many use them as an important internal tool). We don't have a legal office nor departments that other companies take for granted: human relations, public relations, investor relations, strategy, acquisitions, you name it.

We do, of course, have an active audit function; no sense being a dammed fool. To an unusual degree, however, we trust our managers to run their operations with a keen sense of stewardship. After all, they were doing exactly that before we acquired their businesses. With only occasional exceptions, furthermore, our trust produces better results than would be achieved by streams of directives, endless reviews and layers of bureaucracy. Charlie and I try to interact with our managers in a manner consistent with what we would wish for, if the positions were reversed.

・Our directors believe that our future CEOs should come from internal candidates whom the Berkshire board has grown to know well. Our directors also believe that an incoming CEO should be relatively young, so that he or she can have a long run in the job. Berkshire will operate best if its CEOs average well over ten years at the helm. (It's hard to teach a new dog old tricks.) And they are not likely to retire at 65 either (or have you noticed?).

In both Berkshire's business acquisitions and large, tailored investment moves, it is important that our counterparties be both familiar with and feel comfortable with Berkshire's CEO. Developing confidence of that sort and cementing relationships takes time. The payoff, though, can be huge.

Both the board and I believe we now have the right person to succeed me as CEO - a successor ready to assume the job the day after I die or step down. In certain important respects, this person will do a better job than I am doing.

・Investments will always be of great importance to Berkshire and will be handled by several specialists. They will report to the CEO because their investment decisions, in a broad way, will need to be coordinated with Berkshire's operating and acquisition programs. Overall, though, our investment managers will enjoy great autonomy. In this area, too, we are in fine shape for decades to come. Todd Combs and Ted Weschler, each of whom has spent several years on Berkshire's investment team, are firstrate in all respects and can be of particular help to the CEO in evaluating acquisitions.

All told, Berkshire is ideally positioned for life after Charlie and I leave the scene. We have the right people in place - the right directors, managers and prospective successors to those managers. Our culture, furthermore, is embedded throughout their ranks. Our system is also regenerative. To a large degree, both good and bad cultures self-select to perpetuate themselves. For very good reasons, business owners and operating managers with values similar to ours will continue to be attracted to Berkshire as a one-of-a-kind and permanent home.

・I would be remiss if I didn't salute another key constituency that makes Berkshire special: our shareholders. Berkshire truly has an owner base unlike that of any other giant corporation. That fact was demonstrated in spades at last year's annual meeting, where the shareholders were offered a proxy resolution:

RESOLVED: Whereas the corporation has more money than it needs and since the owners unlike Warren are not multi billionaires, the board shall consider paying a meaningful annual dividend on the shares.

The sponsoring shareholder of that resolution never showed up at the meeting, so his motion was not officially proposed. Nevertheless, the proxy votes had been tallied, and they were enlightening.

Not surprisingly, the A shares - owned by relatively few shareholders, each with a large economic interest - voted "no" on the dividend question by a margin of 89 to 1.

The remarkable vote was that of our B shareholders. They number in the hundreds of thousands - perhaps even totaling one million - and they voted 660,759,855 "no" and 13,927,026 "yes," a ratio of about 47 to 1.

Our directors recommended a "no" vote but the company did not otherwise attempt to influence shareholders. Nevertheless, 98% of the shares voting said, in effect, "Don't send us a dividend but instead reinvest all of the earnings." To have our fellow owners - large and small - be so in sync with our managerial philosophy is both remarkable and rewarding.

I am a lucky fellow to have you as partners.

Warren E. Buffett

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