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2019年2月20日水曜日

2018年の投資をふりかえって(10)買増し銘柄:しまむら(8227),銀ETF(SLV)および新規購入銘柄:アップル(AAPL)

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残りの3銘柄については、簡潔に触れる程度とします。なお、本シリーズの前回分記事はこちらです。

■しまむら(8227)
業績が不調な当社は、不況期に伸長することを期待してヘッジ的な意味で株式を保有しつづけるつもりでした。そのため、株価が下落するにつれて漫然と買い増ししたところがあります。客数減少がいずれ底を打って収益悪化もとまるだろうと、自分に言い聞かせてきた面もあります。しかし経営努力がなかなか実らない現状を辛抱するよりも、損切りをして他社に乗り換えたほうがいいとも感じるようになってきました。どちらの道を選ぶか、経営状況をみながら今年中には判断をくだしたいと考えています。

なお現在の株価は9,200円程度で、今期末のEPSは500円程度と想定されるため、単純にPERであらわすと18倍強になります。

しまむら株価チャート約1年分(赤矢印は購入、青矢印は売却)

■iShares シルバー・トラスト(SLV)
この銘柄も、なかばヘッジ的な意味で保有しています。ただししまむらとは違って単なるコモディティーなので、下落時にはそれなりの確信をもって買い増ししています。そして価格が上昇して損益がプラスにすれば、一部を適宜売却しています。残念ながら中核ポジションは継続保有のままなので、ずいぶんと長期間にわたってまともな利益をあげられないでいます。

SLV株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

■アップル(AAPL)
12月と今年の1月に、それぞれ1回ずつ購入しました。今後の株価下落を期待しており、現在の株価では買い増ししないつもりです。

AAPL株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

2019年2月18日月曜日

2018年の投資をふりかえって(9)買増し銘柄:日東電工(6988)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社は大阪に本社をおくメーカーです。おもな製品としては、最終製品に組み込まれる材料や作業中に使用される資材を生産しています。たとえば、スマートフォン向けのディスプレイ関連部材や自動車向けのフィルム及びテープがあげられます。近年は核酸医薬品の新薬開発を手がけたり、買収を通じて製造に携わったりしており、電子機器向けに偏重した収益構造の転換を模索しています。

当社の株式はずっと前にほぼ処分し、一口しか手元に残していませんでした。しかし材料関連の企業としては経営姿勢が敏捷だと感じていたため、監視は続けていました。

<現在の株価と売買実績>
現在の株価は5,800円前後で、1年前の半値ほどに下落しました。今期(2019年3月期)の予想EPSは460円で予想PERは13倍程度になりますが、当社も財務が良好なので、PERの数字よりも過小評価されているととらえています。例によって昨秋に株価が下落したため、久しぶりに追加購入しました。

日東電工株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

<業績などに対する所感>
今期第3四半期までの業績は、売上高6,300億円、粗利益1,960億円、営業利益840億円、純利益600億円でした。営業利益率は13%、ROEの水準は10%程度です。これは利益額が前年同期比で25%ほど低下した上での数字です。業績悪化のおもな要因は、大黒柱の事業であるスマートフォン向け部材の販売低迷にあります。

当社はおそらく戦略的に、モバイル端末や映像機器そして自動車といった技術発展の著しい業界や分野を事業領域に選んでいると受けとめています。積極的に市場機会を求め、他社をしのぐ速さで競争力のある製品を実現し、見返りとして高い利益率を享受したいと考えているように見えます。これは裏返せば、景気変動や特殊要因の影響を大きく受けやすい収益基盤を招いていますが、当社にはそのリスクをある程度許容できる良好な財務体質があります。厳しい時期がやってきても、研究開発のペースを維持できるでしょうし、機に乗じて他社を買収できる余地もあります。急成長は望めないと思いますが、長期にわたって成長を見守っていきたいと感じさせる企業のひとつです。

2019年2月16日土曜日

2018年の投資をふりかえって(8)買増し銘柄:メック(4971)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)

当社は兵庫県を本拠地とする化学薬品会社です。おもな事業としては、たとえばスマートフォンやディスプレイに搭載されるような、電子基板を製造する工程で利用される薬剤を製造販売しています。具体的な製品例としては、基板樹脂と銅配線の密着性を向上させる加工機能を持った薬品(CZシリーズ)があります。

<現在の株価>
現在の株価は1,100円強で、前年度(2018年12月期)の実績EPSは90円強でした。実績PERは約12倍となります。

<株式の売買実績>
昨年の9月いっぱいまでは株価が比較的安定していたものの(2,000円前後)、その後の3か月間で大きく下落して半値になりました。継続して買い増し始めたのは10月中旬ごろからで(その前にも買っています)、年明けまで適宜買いつづけました。なお一昨年(2017年)の段階では、持ち株を一部売却しました。

メック株価チャート約1年分(赤矢印は購入)


<業績などに対する所感>
前年度の業績は、売上高が110億円、営業利益が22億円、純利益が17億円でした。収益性としては、粗利益率が60%強、営業利益率が約20%、ROAが9%強と、高水準です。

市場環境としては、電子機器や部品の軽薄短小化・高性能化が一定の方向に進む間は、当社が扱うような製品がますます要求されるでしょうから、ひきつづき追い風がつづくと予想します。

小さくないリスクとしては、知的資産の流出による売上機会喪失が想定されます。ただし当社製品の付加価値は、研究開発や製造そして顧客に対する導入支援や品質評価の協調によって生じると思われるため、経営陣が職務面での人事制度に留意すれば、リスク軽減は可能だと考えます。

当社製品の関わる最終製品は耐久消費財や資本財であるため、景気変動の影響は当然ながら受けることでしょう。しかし当社に対する投資方針は、さらなる成長を期待して継続保有のままで、株価下落時にはさらに買い増しするつもりです。

2019年2月8日金曜日

2018年の投資をふりかえって(7)現状維持銘柄:クラレ(3405),日精ASB機械(6284),マニー(7730),任天堂(7974),バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)

■クラレ(3405)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社に対する市場からの評価は、もうひとつの状態が続いています。低評価は化学セクター全般でも見られますが、当社のPERは12倍前後、PBRは約1倍にとどまっています。しかし、表面的にはのれん代の償却が足を引いているので、実力は1割高く見積もっていいでしょう。FY2017までの5年間におけるEPS成長率は年率10%強で、十分な水準に達しています。中長期的な成長余地も残されており、たとえば拡大が期待できる領域としては、ビニルアセテートの米州展開やジェネスタそして買収した活性炭部門があげられます。一方で大黒柱の光学用ポバールフィルムでは、現状維持が目標かと思われます。

当社への投資を一言でいうと、「地味すぎてつまらない」といったところでしょうか(ただしプレゼントのカレンダーは秀逸です)。今後の投資方針としては、ある程度の持ち株削減は検討するものの、継続保有していくつもりです。

■日精エー・エス・ビー機械(6284)
(直近の過去記事はこちら)

当社はプラスチック容器を成型する機械を製造販売する会社です。創業家の青木家が経営する当社では、父(大一氏)から子(高太氏)へと社長が交代した時期がありましたが、3年ほど前に父社長体制へと回帰し、現在は会長兼CEOを務められています。交代の理由は知りませんが、業績は現在も拡大傾向にあり、この5年間での利益成長率は約10%と、及第点の業績だと思います。現行の経営体制が継続してほしいと願いますが、現CEOの年齢は70代半ばになるため、CEO交代の時期は遠くなさそうです。

市場環境としては、プラスチック容器が環境問題の大きな要因として取り上げられており、当社にとっては逆風です。しかし容器軽量化には化石燃料削減の利点もあり、プラスチックの利用が大きく減退する時期はまだ先のことと予想します。また当社自身も環境問題を緩和するための取り組みを検討実施しているとのことです(決算説明会資料より)。

当社に対する投資方針は、そもそもの買値が低かったこともあり、継続保有のままです。ただし昨年の株価が高かった時期には、つなぎ売りをしました。

■マニー(7730)
(直近の過去記事はこちら)

当社にはほとんど投資しておらず(過去記事で触れました)、その動向はほぼ監視していません。しかし利益率が高く、市場拡大がまだ期待でき、経営陣がゆるぎない方針にもとづいて指揮をとっている以上、市場評価が高いからと言って当社の株を売り急ぐ必要はないと考えるようになりました。

■任天堂(7974)
(直近の過去記事はこちら)

現在の当社は岩田元社長が蒔いたタネを大きく育てている段階にあり、その背後で利益水準の安定化をめざしていると受けとめています。以下のような施策が並行して講じられているからです。

1. サブスクリプション型オンライン・サービスの導入
2. ソフトウェアのダウンロード販売
3. スマートフォン・ゲームのタイトル拡大
4. ソフトウェア開発体制の効率化(携帯機と据置機の融合)
5. Switchの拡販深耕(世帯当たり複数台の保有)
6. テーマパーク及び映画の展開
7. Microsoft陣営との雪解け

これらを推進するためにやるべき仕事は十分にあり、現段階で盛大な戦略を掲げる必要はないと考えます。そしてある程度の完成形である現行機Switchが一定の成功をおさめた以上、次世代機では大きな冒険をしないだろうと想像します。そうであれば、長期的(-10年)に利益が安定する可能性が、ある程度高まる(50%程度)と予測します。

当社への投資方針は継続保有のままです。現在の株価3万円前後は、個人的には容認できる水準です。

■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
(直近の過去記事はこちら)

昨年の12月になって市場全体と同じように、当社の株価も下落しました。そこで久しぶりに当社の株を買おうかと、クリスマス・イブに指値の買い注文を出して床に就きました。翌朝になって箱を開けてみると、プレゼントは届いていませんでした。

2019年2月2日土曜日

2018年の投資をふりかえって(6)一部売却銘柄:ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社が営んでいる事業は、「鉱山会社に対して資金を提供し、その対価として将来産出される銀やゴールド等の鉱産品を、低水準の固定価格で買い取る契約を結ぶ」ものです。端的に言えば、「価格変動を伴う将来キャッシュ・フローに対して、前払いするビジネス」です。

<株式の売買実績と現在の株価>
株価が比較的好調だった時期(年始、春、年央)に一部を売却しました。現在の株価は20$前後です。

WPM株価チャート約1年分(青矢印は売却)

一方でシルバーの価格が年を通じて低迷していたため、ETFのSLVを適宜買い増ししました。個人的に興味を持っている主な対象は、現在でも銀です。そのため以前の投稿でも書いたように、当社とSLVを比較して割安だと思えるほうへ資金を移せるように、適宜売買していく方針です。

<業績などに対する所感>
当社についても2点ほど、大きな話題と小さな話題をとりあげます。

・税務当局との和解
国外子会社との移転価格に関して係争中だったカナダ税務当局と12月に和解し、当初危惧されていた大規模なペナルティーを受けずに済むことになりました。同様の他社事案の動向を受けて少し前から楽観視する流れもありましたが、見事に軟着陸しました。カナダ以外(おもにケイマン子会社)からの収入には課税されないことになり、前納分の追徴課税も還付されます。「ペナルティーを被る確率が高い」と覚悟して個人的には持ち株を減らしていたものの、杞憂におわりました。

ただし移転価格税制が将来厳格に改定される可能性はゼロではないため、当社のような企業に投資する際には、そのリスクはひきつづき念頭におく必要があるかと思います。

・金銀以外を産出する鉱床への投資
当社が設立されたころに事業対象としていたのは、銀を産出する鉱山へのストリーミング案件でした。その後になって事業領域をゴールドにも拡大し、さらにはパラジウムやコバルトへのストリーミングも始めました。コバルトはリチウムイオン電池の正極材材料として使われており、電気自動車時代における重要な鉱物資源のひとつとみなされています。「シルバー・ウィートン」という社名だった当社は、希少鉱物を産する鉱床を対象とした投資会社へと変貌しつつあります。

2019年1月30日水曜日

2018年の投資をふりかえって(5)一部売却銘柄:マイクロソフト(MSFT)

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(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株式の売買実績と現在の株価>
年の終盤になって一部を売却したものの、持ち株全体からすると若干絞りこんだ程度でした。当社に対する基本的な投資方針は、継続保有のままです。

直近の株価は105$前後で、実績EPSは2.13$だったものの、当社でもトランプ減税を機に国外利益を本国へ還流させたマイナスの影響があったため、実力は3.5$程度だったでしょうか。いずれにせよ、「株価倍率が割安である」とは言いにくい水準です。

MSFT株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
当社の成長を支える2つの面について記します。1件目は表面的には目立たないものの増収著しい「クラウド事業」について、2件目は華々しい印象を残しながらも収益貢献はそれほどでもない「企業買収」についてです。

・クラウド事業の伸長
サティア・ナデラ氏が現CEOに昇進してから事業展開を加速させたクラウド事業は、ひきつづき急激に成長しています。当社の主力事業のひとつになると思われるAzure(アジュール)の2018年度成長率は、90%前後でした。大きく先行しているアマゾンAWSの市場シェアとは20ポイント程度離れていますが、これから加わる顧客層の性質を考えれば、肉薄できる確率は50%以上あると想像します。そこまで及ばないとしても、寡占をめざすプレーヤーにとって現在のクラウド市場(IaaS, PaaS)は、緊張感がありながらも心地よいビジネスの場であると思われます。イノベーションの継続と市場の拡大が好循環を生み出し、規模の経済へつながっていると想像できるからです。

・企業買収を通じた潜在顧客の囲い込み
当社はさまざまなIT系企業を買収して技術的資産を獲得していますが、近年の買収において金額的に大型だった企業LinkedInやGitHubはそれにとどまるものではありませんでした。サービスの利用者、すなわちコミュニティーの場を買い取る類の案件で、言わば「R&Dよりもマーケティングに重心をおいた」買収でした。会計面における目先の費用対効果は小さいですが、潜在顧客をまとめて手に入れた価値は小さくないと考えます。コミュニティーの熱量を維持していければ、長期的・継続的・伝播的なリターンが期待できます。Office, Dynamics, Azureといったサービスの拡販につながると共に、潜在的な要望をすくいあげて新サービス開発につなげる場としても有用です。当たりはずれがはっきりしやすいソフトウェア資産よりも、毀損されにくい価値を有しているかもしれません。利益の刈取りを急ぎすぎないことを願っています。

2019年1月28日月曜日

2018年の投資をふりかえって(4)一部売却銘柄:モザイク(MOS)

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当社は3大肥料のうち、主としてリン酸及びカリウムを採掘・生産・販売する米国企業です。

<株式の売買実績と現在の株価>
2018年秋になって株価が高まったので、ある程度の株数を売却しました。現在の株価は30$強で、一方の昨年度実績EPSは-0.31$ですが、今期は為替差損の逆風が大きいなかで、第3四半期までに0.93$の利益を上げています。

MOS株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>

米中貿易戦争の影響もあるせいか肥料価格が前年比で上昇しており、当社の売上高増加・利益改善につながっています。また社内における事業の状況としては、年の早い時期にもたついたものの、それ以降は順調に推移してきました。サウジアラビアでのJVはまだ立ち上げ中ですが、買収が完了したヴァーレの肥料部門が収益拡大に大きく寄与しました。またカリウムの新鉱山K3が一部稼働を始めており、中長期的な費用削減の施策が進行中です。さらには、環境対策のうるさいフロリダ州でリン鉱床拡張プロジェクトの許可を得たことで、長期的な資源枯渇リスクを低減しています。

DAP価格の5年間推移(引用元: www.indexmundi.com)


しかし以前にも書いたように、当社への投資方針としては残りの持ち株も株価上昇期に売却し、ひとまず資金を引きあげる予定です。コモディティーである以上、肥料ビジネスの業績は市場価格に左右されます。そして今日まで観察してきた価格変動サイクルを振り返ると、市場価格の動向(特に安値とその期間)を合理的に予想する自信が、以前のようには持てなくなりました。ひいては、当社の企業価値をみつもる自信も減少しました。農業関連の企業に投資することを望んではいましたが、当社のような企業の株式は永続的に保有するよりも「安買高売」したほうが、少なくとも個人的には取り組みやすいと考えるようになりました。

2019年1月20日日曜日

2018年の投資をふりかえって(3)一部売却銘柄:日進工具(6157)、インテル(INTC)

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(本シリーズの前回分記事はこちらです)

■日進工具(6157)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は2,400円強で、前年度の実績EPSは150円強でした。そのため、実績PERは16前後となります。

<株式の売買結果>
2月上旬にかけて株価が上昇している間は、持ち株を段階的に売却しました。その後、株価が下落を始めてからは売却をやめて、残りの持ち株を維持しました。

(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
景気拡大に合わせて、当社の業績も続伸しています。電子機器やそれに使われる部品の小型化・高性能化が漸次進んでおり、微細化を追求する当社の事業にとっては、ひきつづき追い風の環境にあると思われます。景気後退局面がくれば、金型や部品の加工に使われる当社製品への需要も減退するでしょうが、その後の回復期になれば市場規模はさらに拡大すると想像します。現在の状況及び株価水準であれば、継続保有したいと考えています。


■インテル(INTC)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は49$強で、前年度の実績EPSは2$弱でした。実績PERは24.5前後となります。ただし今期は第3四半期までにEPS3.35$の利益をあげています。

<株式の売買結果>
10月中に何度かに分けて売却しました。振り返ってみると、直近では株価がもっとも低迷していた時期でした。売却した理由は主として個人的な理由によるものですが、当社における技術面での行き詰まりに意気消沈していた部分も、若干ありました。(この技術的問題はその後に好転。後述)

(青矢印は売却)

当社へ投資したそもそもの目的は、マイクロソフトへの投資をヘッジする意味にありました。しかし現在までのところは、逆の位置づけになってしまいました。業績と比較した市場からの評価はマイクロソフトのほうが高く、当社は相対的に低迷しています。ただし企業価値の観点からみれば、現在の市場評価がそれほど正当だとは受けとめていません。

<業績などに対する所感>
当社の現状において注視している点2つを記します。

・10nmノード製品の開発遅延による余波
当社が先だって発表した声明によれば、技術的な問題をともかく解消して、10nmプロセスで製造する実質的に最初の量産製品を、年末にむけて出荷できる見通しが立ったようです。しかし数年にわたる開発遅延によって、微細化実現時期の面で当社が保ってきた優位性は、少なくとも現在においてはほとんどなくなったように思われます。つまり製品の優位性、ひいては価格競争力が低下するリスクが大きくなったと判断します。さらに、当社からの製品供給を重大なリスクと考える顧客が策を講じる傾向が強くなっていくとも想像します。当社の最重要な競争力が損なわれたわけですから、株式市場からの評価が低迷し続けるのも、ある程度は納得できます。

一方で、失敗に終わった今回の技術的挑戦において直面したさまざまな問題から得られた知見も少なくないと想像します。そして「転んでもただでは起きぬ」、その失敗を成功につなげる猶予が残されていると考えます。当社の製品を要望する顧客とのつながりや、実際に製品を製造する有形資産は、依然として健在です。短中期的にはむずかしいでしょうが、中長期的(3-7年程度)には今回の技術的なマイナスをある程度取り返せる可能性があると評価します。現在の株価水準にはその可能性が織り込まれていないように感じられます。

・事業領域の広範囲化
メモリー事業から開始した当社の事業は、その後にPC用CPU等の事業にうつって大成功し、現在はデータ・センター向け製品でも大きな利益をあげています。近年はネットワーク機器や4G/5Gモデムや自動運転車載用デバイス/システム、そして祖業だったメモリー事業にも再び取り組んでいます。これらの取り組みを全体としてとらえれば、自動運転を契機として自動車社会のコンピュータ化およびネットワーク化が急速に進むことを見越した、横断的な収益機会を追求し始めたと見受けられます。

当社IR資料より。2018/11/12開催の
UBS Global Technology Conference

そのような大きな市場において、他社との戦いから逃げずにあらゆる領域を事業の対象とする姿勢は、大切だと思います。自社が手がけない領域があると、そこを制圧した競合他社が事業領域を拡大浸食してくるリスクが大きくなるからです。端末(=自動車)からデータセンターに至るまでのあらゆる処理(センサー、通信、演算、データ保存)を実行する製品を事業対象とする企業戦略は、当社のような規模を持った企業だからこそ可能だと言えます。その一方で、他社からの切り崩しを抑制するために不可欠な戦略だとも思われます。つまり、当社が現状維持あるいは成長を望むのであれば、必然的に進まざるを得ない経営の方向だと受けとめています。

事業領域拡大に伴う大きなリスクとして、社内における官僚主義的体質の悪化が予想されます。当社では新CEOを選定中で、今年中には決定すると思われます。その人物に求められるのは、従来よりも多岐にわたる競争の激しい事業群を束ねることのできる手腕です。新CEOによる実績があらわれてくる時期、少なくとも2,3年後までは安易にはあきらめずに動向を追っていきたいと考えています。

2019年1月12日土曜日

2018年の投資をふりかえって(2)全売却銘柄:クックパッド(2193)

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(本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
よく知られているように、当社は家庭料理のレシピを検索・投稿できるサービスを提供しています。主な収益源は2つで、有料会員向けのプレミアム・サービスと、Webやサイネージ等の広告です。サービス提供は国内にとどまらず、国外向けにも展開・拡充しています。ただし買収によって各国のレシピ情報等を自社資産としてきたことで資本投資がかさんだ一方、国外における有料会員や広告の事業はほとんど立ち上げておらず、諸外国からの収益貢献が大きな課題となっています。

<株価動向と売買の概要>

(赤矢印は株式購入、青矢印は売却)

当社への投資を検討し始めたのは2年ほど前からで、投資に踏み切ったのは1年と少しほど前からでした(2017年12月中旬の株価は600円強)。しかし結局のところ、保有期間が1年にも達しないうちに資金を引き揚げることにしました。業績が逐次悪化するとともに株価がかなり下落した時点で失敗を認め、全売却して損失を確定させました(最低売却価格は8月中旬の425円と、当初からの下落率は約30%)。

この投資が失敗につながった原因は少なくとも2つあります。第一に、株式投資の基本方針として株価下落を買い増しの機会としているものの、当社については継続投資する自信が持てなくなった点、つまり自分にとってはそもそも投資すべき対象ではなかったことです。第二に、購入株数を投機的な気持ちで拙速に増やしたこと。これによって傷口を広げました。

現在の株価300円強は、当社の財務面から測ると相当なまでに割安です。これは、滞留させた現金を経営陣がどのように使うのか、その姿勢に対して市場が疑念を抱いている結果だと想像します。そういった状況にある企業の株式は、いつかは再評価されることがあるものです。しかし、だからといって当社のような「一杯に詰まった貯金箱」タイプの投資候補には安易に近寄るべきではない、その哲学を厳守すべきだと改めて感じました(同じような失敗を、以前にも何度か繰り返しています)。

<当社へ投資した理由>
主な理由として次の2点がありました。

・資本効率の高さ
情報を扱う企業であり、また利用者が作成したコンテンツを自社の資源として利用できることから、少なくとも現行事業の利益率は高く、魅力に感じました。さらには、自社に蓄積された利用者の行動データを活用して新規事業につなげる余地が残されている点や、利用者のコミュニティーが形成されている点にも惹かれました。これらは無形資産として働き得ると捉えたからです。

・市場評価額の割安さ
これは現在も変わらず、1株当たり200円超の純現金資産を有しています。

<当社への投資をやめた理由>
一方で、投資を考え直した理由は次のとおりです。

・社員数増加に見合った収益機会の増加が、見通せないこと
当社の業績を監視している間に、従業員数が漸次増加しました。この理由として2方向の要因が考えられます。ひとつはお家騒動で抜けた欠員補充であり、もうひとつは新規事業展開のための要員追加です。しかしいずれであろうと、投資の是非を判断した時点での収益性は定常的ではなかったと言えます。売上高が横ばいあるいは低下する局面において要員コスト増が利益を圧迫する事例はよく見受けられますが、わかったつもりでいながら過小評価していました。この踊り場がいつまで継続するのか、個人的にはうまく判断できません。

・社員(特に技術系)の言葉から利益追求の意識があまり感じられないこと
あくまでも主観的な印象なので、説明は控えます。しかし業績が盤石であればともかく、そうでなければ金儲けやコストに対する意識を企業ぐるみで高めてほしいとは、一般論として感じています。

<教訓>
・企業価値を見積もる際に、「将来提供され得る新規事業」については、利益貢献を見込む以上に費用増加を意識すること。

・余剰資金が多くても有効的に使えていない企業の価値を評価する際には、その稚拙さを割り引いて考えること。

2019年1月4日金曜日

2018年の投資をふりかえって(1)全般について

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全般的にみると、年末近くまでは高値の銘柄を順次売却すると共に、つなぎ売りとその買い戻しに終始しました。しかし年末近くになってからは方針を転換し、証券を少しずつながら購入しました。12月になってから株価が大きく下落したことで苦い感覚が何年かぶりによみがえりましたが、買いの時期が始まったことに対して心躍らせている部分もあります。ふりかえる時期がもっと後であれば、2018年は転換期だったとはっきり言えるのかもしれません。

さて例年と同じように、銘柄ごとの売買概況を以下に列挙します(銘柄コード順)。また昨年度分の同じ話題の記事はこちらです。

<新規購入(New Buy)>
・アップル(AAPL)

<買増し(Add)>
・メック(4971)
・日東電工(6988)
・しまむら(8227)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)

<現状維持(Hold)>
・クラレ(3405)
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・日進工具(6157)
・インテル(INTC)
・モザイク(MOS)
・マイクロソフト(MSFT)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・クックパッド(2193)

次回以降の投稿では、各銘柄に対する所感を簡潔ながら記したいと思います。

2018年6月20日水曜日

2018年バークシャー株主総会(9)ウェルズ・ファーゴについて(了)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴ等の不祥事に関する話題は今回でおわりです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> それは、ティノ・デ・アンジェリスという名の人間があらわれたときのことです[詐欺事件の首謀者]。たしかニュージャージー州のベイヨンだったと思いますが...

スキャンダルが発生した後の、1964年に開催されたアメックスの株主総会には、実はわたしも参加しました。その席で、ある参加者が監査人に歩み出るよう要求しました。

具体的な名前は挙げませんが、ある大手会計事務所の一員だった監査人がマイクのところへ足を進めました。そして次のように質問されました。「当社はあなたがたに昨年いくら支払ったのですか」。

その監査人は答えました。質問者はさらに問いただしました。「それでは、ここから15kmほど離れたベイヨンに赴いて、タンクの中に油がどれだけ残っているか調べてきてほしいと言われたら、一体いくらの追加費用をわれわれに要求するのですか」(微笑)。

実はちょっとした出来事がありました。ある人物がベイヨンの酒場から[会社に]連絡してきて、詐欺話が進んでいると知らせてくれていたのです。しかしアメックス側はそのことを聞きたくなかったため、耳を傾けませんでした。[参考サイト]

強大な企業がその後にむかえたのは、彼らいわく「息も絶え絶えの状態」でした。ですから、過ちとはいずれ犯してしまうものなのです。

いつかはバークシャーでも不愉快なニュース沙汰になることは、請け合います。それが何かはわかりません。しかし繰り返しになりますが、その後わたしたちがどのように行動するか、それがいちばん大切です。

そのような状況で尻込みしていたことが、わたしにも何度かあります。そのたびにチャーリーは、「何か行動を起こせ」と小突いてきました。ですから、みなさんが知らないところでチャーリーもいろいろと活躍してきたのです(微笑)。

(この質疑応答は、おわり)

And when some guy named Tino De Angelis in, I think it was Bayonne, New Jersey -

In fact, I went to the annual meeting in 1964 of American Express after the scandal developed, and somebody asked if the auditor would step forward.

And the auditor from one of the big firms, which I won’t mention, came up to the microphone, and somebody said, “How much did we pay you last year?”

And the auditor gave his answer, and then the questioner said, “Well, how much extra would you have charged us to go over to Bayonne, which was ten miles away, and check whether there’s any oil in the tanks?” (Laughs)

So it - you know, here was something - a tiny little operation - some guy was calling him from a bar in Bayonne and telling him this phony stuff was going on, and they didn’t want to hear it. They shut their ears to it.

And then what emerged was one great company after this kind of, what they thought was a near-death experience. So it’s - we’re going to make mistakes.

I will guarantee you that we will get some unpleasant news at Berkshire. I don’t know what it’ll be, you know - the most important thing is we do something about it.

And there have been times when I procrastinated, and Charlie has been the one that jabs me into action. And so he’s performed a lot of services you don’t know about. (Laughter)

2018年6月16日土曜日

2018年バークシャー株主総会(8)ウェルズ・ファーゴについて(3)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴに関する話題がさらにつづきます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それには賛成ですね。これからのウェルズ・ファーゴは、そういった悪事が露見しなかった場合よりも、いい企業になりますよ。

<ウォーレン・バフェット> あるいは「悪事を起こさなかった場合」よりも、良くなると思います。

<チャーリー> そのとおり。しかし、ハーヴェイ・ワインスタイン[映画『パルプ・フィクション』などのプロデューサー]もずいぶんと行動を改めたようですね(笑いと拍手)。

あれはたしかに不始末でしたよ。ただし彼らはそのことを心底わかっており、痛く混乱していますから、同じことは繰り返したくないと思っているでしょう。

さすれば、「将来に最良の振舞いをみせる銀行は、どこになりそうか」と問われたときに、ウェルズ・ファーゴの可能性も十分あると思いますね。

<ウォーレン> さきほど示したニューヨーク・タイムズ紙の1942年3月12日付紙面の裏側をみると、求人欄があります。その一部を占める大きめの欄には、「男性求む」と書いてあります。そして別の欄には「女性求む」とあります。

それでは、当時のニューヨーク・タイムズ紙がそうしていたことは正当だったのでしょうか。ご存知のように、同紙は優れた新聞です。しかし、人間とはあやまちを犯すものなのです。

「求人広告の掲載箇所を分ける」という発想は、広告を受けた際にいろいろ考えて出てきたのかもしれません。「求人が来たら、どの職業が適切かを考えながら、男女に分けるとしよう」と。あるいは、求人側が適切な割り振りを考えたのかもしれません。

世間ではおろかなことが数多くなされています。先に述べたように、1970年代初期のガイコは適切な引当金を計上できたのに、無視していました。つまり彼らは、新規の顧客に対してあやまった金額を請求していたのです。実際よりも少ない損失で済むと考えていたからです。

そういったことは、ウォール街を喜ばせたいがために行った部分も間違いなくあると思います。あるいは、ものごとがどのように進むのか正視したくなかったのかもしれません。しかし、その同社が目を見張るほどの強力な会社となりました。そうです、今では米国における[自動車]保険加入世帯の13%を占めています。

引当金だけでなく、破産が目前にせまった時期におのずと知ることになった困難によって高じたものに対しても、同社は目を向けるようになりました。42年前の..

<チャーリー> あれは、今回のウェルズ・ファーゴよりもずっとひどかったですね。彼らが大昔にしたことは、実にひどいものでしたよ。ねえ。

<ウォーレン> そのとおりです。彼らは大成功していたので、引当金の見直しを怠っていました。そしてアメックスは、1963年の委託倉庫会社に関する分として数ドルしか確保しませんでした。その後はご存知のように、その会社がアメックス本体を没落させるのではないかと恐れるようになったのです。

(もう1回つづく)

CHARLIE MUNGER: Well, I agree with that. I think Wells Fargo is going to be better going forward than it would have been if these leaks had never been discovered.

WARREN BUFFETT: Or happened.

CHARLIE MUNGER: Yeah, so I think it’s - it - but I think Harvey Weinstein has done a lot for improving behavior, too. (Laughter)

It was clearly an error, and they’re acutely aware of it and acutely embarrassed, and they don’t want to have it happen again.

You know, if I had to say which bank is more likely to behave the best in the future, it might be Wells Fargo, of all of them.

WARREN BUFFETT: This New York Times that I have here from March 12th, 1942, if you go toward the back of it, in the classified section, you have one big section that says, “Help Wanted Male,” and another one that says, “Help Wanted Female.”

You know, was the New York Times doing the right thing in those days? You know, I think the New York Times is a terrific paper. But people make mistakes.

And you know, the idea of classifying between - taking ads and saying, “Well, we’ll take them and divide them up between men and women, what jobs we think are appropriate,” or that the advertiser thinks is appropriate.

We do a lot of dumb things in this world. And GEICO, as I say, in the early 1970s, they just ignored - and you can do it in the setting of proper reserves, which mean they charged the wrong price to new customers because they thought their losses were less than they were.

And I’m sure some of that may have been a desire to please Wall Street or just because they didn’t want to face how things were going. But it came out incredibly stronger. You know, and now it’s got 13 percent of the households in the United States insured.

And it came out with an attention to reserves and that sort of thing that was heightened by the difficulties that they’d found themselves in where they almost went bankrupt. Forty-two -

CHARLIE MUNGER: It was a lot more stupid than Wells Fargo. It was really stupid what they did way back, right?

WARREN BUFFETT: Yeah. They had the world by the tail, and then they quit looking at the reserve development. But - and American Express was just picking up a few dollars by having the field warehousing company in 1963. And, you know, they were worried whether it was going to sink the company.

2018年6月12日火曜日

2018年バークシャー株主総会(7)ウェルズ・ファーゴについて(2)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答からウェルズ・ファーゴに関する話題、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> 当社はアメリカン・エキスプレスの株式を買いましたが、わたしがパートナーシップを運営していた時分に行った投資で、同社が最良のものでした。アメックス株を買ったのは1964年のことでした。「アメリカン・エキスプレス委託倉庫」という会社に関して、まちがったことを企んだ人がいたからです。

また当社はガイコ社(GEICO)の株を大量に買いました。その金額は4千万ドルで、同社株式の半数に達しました。ウォール街の出す収益や成長予測に合わせようと企んだ人がいたときのことです。その当時、同社では適正な引当金を計上しませんでした。

それゆえにアメックスは1964年に大きな痛手を受けました。それゆえにガイコは1976年に大損害を被りました。そして、相当な規模の従業員を解雇するといった対策をとることになりました。しかしそのおかげで、きれいな白紙に戻ったのです。

その後のアメックスがどこへ向かったのかは一目瞭然ですし、ガイコがどこへ向かったのかもご存知のとおりです。

ですから、「非常に大規模な組織には、いずれは問題を起こすものもある」ことは、特別な事実でもなんでもありません。実際のところほとんどすべての銀行、さらにはすべての大銀行では、ひとつやふたつ問題を抱えてきたものです。

ですから、投資という観点そしてモラルという観点から、企業としてのウェルズ・ファーゴが将来どのように歩むかを考えた場合、競争相手である他の大銀行とくらべて劣っているところは、なんら思い当たりません。

彼らは大きな過ちをおかしました。当社の保有分株式には今もなお多大な未実現益がありますが、それは[売却か継続保有かの]判断材料にはなりません。しかし...

同社のことは投資先としてわたしは気に入っていますし、ティム・スローンが経営者でいてくれてありがたいと思います。彼は現在、別の人たちがしでかした過ちを正している最中です。

かつてわたしは、ソロモン社で生じたあやまちを正そうとしました。そのときにはデリック・モーンが見事に手助けしてくれました[過去記事]。またマンガー・トーレス&オルソン法律事務所のみなさんにも、同じように助けてもらいました。つまりは、この手のことは起こるものなのです。ただしそうなった場合には、できるだけの手を打たねばなりません。

チャーリーが言うように、「1オンスの予防は1ポンドの治療にあらずして、1トンの治療の如し」です[過去記事]。そしてすべてに攻め入るべきです。チャーリーはいつもわたしの背中を押して、明るみになった不愉快な問題を攻め立てるように強要しました。他のすべてはうまくいっているのに、それだけが容易でないということもありました。

正確なところは知りませんが、あらゆる組織でも時には見られる悪事を、ウェルズはあきらかに働いていました。そしてそれを極端な地点まで激化させていました。

しかし、ウェルズ・ファーゴがそのような逸話を社史に残したくなかったと願いつつも、「非常に巨大な優良銀行になる日はやってこない」とみなす理由はないと思います。

ガイコはいっそう強固になりましたし、アメックスもずっと強力になりました。つまりここで問われるのは、「各種の問題を発見したときに、自分がどのように行動するか」なのです。

チャーリーはどうですか。

(さらにつづく)

We bought our American Express stock - that was the best investment I ever made in my partnership years - we bought our American Express stock in 1964 because somebody was incented to do the wrong thing in something called the American Express Field Warehousing Company. We bought -

A very substantial amount of GEICO we bought that became half the - half of GEICO, for $40 million because somebody was incented to meet Wall Street estimates of earnings and growth. And they didn’t focus on having the proper reserves.

And that caused a lot of pain at American Express in 1964. It caused a lot of pain at GEICO in 1976. It caused a layoff of a significant portion of the workforce, all kinds of things. But they cleaned it up.

They cleaned it up, and look where American Express has moved since that time. Look at where GEICO has moved since that time.

So the fact that you are going to have problems at some very large institutions is not unique. In fact, almost every bank has - all the big banks have had troubles of one sort or another.

And I see no reason why Wells Fargo as a company, from both an investment standpoint and a moral standpoint going forward, is in any way inferior to the other big banks with which it competes on -

It - they made a big mistake. It cost - I mean, we still got - I mean we have a large, unrealized gain in it, but that doesn’t have anything to do with our decision-making. But the -

I like it as an investment. I like Tim Sloan as a manager, you know, and he is correcting mistakes made by other people.

I tried to correct mistakes at Salomon, and I had terrific help from Deryck Maughan as well as a number of the people at Munger, Tolles. And I mean, that is going to happen. You try to minimize it.

Charlie says that, “An ounce of prevention isn’t worth a pound of cure, it’s worth about a ton of cure.” And we ought to jump on everything. He’s pushed me all my life to make sure that I attack unpleasant problems that surface. And that’s sometimes not easy to do when everything else is going fine.

And at Wells, they clearly - and I don’t know exactly what - but they did what people at every organization have sometimes done, but it got accentuated to an extreme point.

But I see no reason to think that Wells Fargo, going forward, is other than a very, very large, well-run bank that had an episode in its history it wished it didn’t have.

But GEICO came out stronger, American Express came out stronger. The question is what you do when you find the problems.

Charlie?

投資先企業を検討するという意味で、今回の文章はケーススタディとしていろいろと勉強になりました(個人的に思い至った観点は、順列、stickiness、バックアップの3つでした)。

2018年6月8日金曜日

2018年バークシャー株主総会(6)ウェルズ・ファーゴについて(1)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会における質疑応答から、今回はバークシャーの主要投資先であるウェルズ・ファーゴの話題です。優良銀行として成長してきた同社がさまざまな不正を働いていたことが、この数年間で明らかになりました。ウォーレン・バフェットが同社に対してどのような見解を示すのか、話の内容は平易ですが、継続投資先としての是非をどのように判断するかという点では、今回の話題は株式投資上級者向けかと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

10. 「大きな過ち」を乗り越えて、ウェルズ・ファーゴは強くなる

<ウォーレン・バフェット> 次の質問は、アンドリューさん、いいですか。

<アンドリュー・ロス・ソーキン> ウォーレン、よろしくおねがいします。イリノイ州シカゴ在住のポール・スピーカー氏からの質問です。なお、彼は今日ここに参加しているはずだと思います。

質問の内容は次のとおりです。「あなたが語った言葉のなかで、かなり有名で、もっとも優れた見方を示していると思われるものに、次のようなものがあります」

「『たびたび水漏れする船だとわかったら、穴をふさぐ作業に奮闘するよりも、別の船舶に乗り換えることに注力したほうが生産的だ』と」

「ウェルズ・ファーゴ社では許可されていない会計上の各種スキャンダルが生じましたが、それらを考慮すると、つまり自動車保険の重複分を契約して顧客に料金を請求したことや、同社自身の過失による遅延によって生じた期限超過に関してモーゲージの保有者(抵当権者)から料金を不当に徴収したことや、さらにはモーゲージの金利を固定するために不適切な手数料を顧客に課したこと、あるいはFRBによって同社に課された制裁すなわち総資産の増加を禁じられたこと、そして先に述べた諸々の悪しき行為に対して連邦政府の規制当局が10億ドル超の罰金を最近になって定めたこと、それらを考えたときにウェルズ・ファーゴが慢性的に水漏れを起こす船だとしたら、どの程度の水漏れであればバークシャーは船を乗り換えようと検討するのでしょうか」(拍手)。

<ウォーレン・バフェット> そうですね、ウェルズ・ファーゴの件ですが..

ウェルズ・ファーゴという会社は「動機づけがもたらす有効性」を証明してしまいました。会社が間違った動機づけをしてしまったのです。あれは悪いことでした。

しかし彼らはもっと大きな失敗をおかしました。いつだれがどのようにかは正確には知りませんが、「欠陥のある動機づけ体系を有している事実を無視したこと」がそうです。たとえば、「存在するはずのない口座を開設する」といった異常なたぐいのことを、従業員が実行するようにうながしました。

これはバークシャーでは大罪とされています。ただし今ここにいる間にも、バークシャーでだれかがあやまちを犯しているのは、わたしたちも承知しています。

37万7千名にのぼる全従業員が、ベン・フランクリンのような人物と同じように世間で振舞うなどと、望むことはできません。ここで話をしている間に良からぬことがどれだけ起きているのか、10件なのか20件なのか、あるいは50件なのかはわかりません。

大切なのは、「回避可能なあらゆる悪しきことを助長しないように」とわたしたちが考えている点です。そして問題を起こしていることを把握したときには、何か手を打たなければなりません。そのことが決定的なカギとなります。

ウェルズ・ファーゴはそうしませんでしたし、ソロモン[・ブラザーズ社]もしませんでした。しかし実際のところ、当社が投資したなかでもっとも成功した各社は、それと同様の失敗をおかした会社でした。

(つづく)

10. Wells Fargo will emerge stronger after its “big mistake”

WARREN BUFFETT: OK, Andrew?

ANDREW ROSS SORKIN: Hi Warren. This question comes from Paul Spieker (PH) of Chicago, Illinois. I believe he may be here today.

He writes, “One of your more famous and perhaps most insightful quotes goes as follows:

″‘Should you find yourself in a chronically leaking boat, energy devoted to changing vessels is likely to be more productive than energy devoted to patching leaks.’

“In light of the unauthorized accounting scandal at Wells Fargo, of its admission that it charged customers for duplicate auto insurance, of its admissions that it wrongly fined mortgage holders in relation to missing deadlines caused by delays that were its own fault, of its admission that it charged some customers improper fees to lock in mortgage interest rates, of the sanction placed upon it by the Federal Reserve prohibiting it from growing its balance sheet, and of the more than recent $1 billion penalty leveled by federal regulators for the aforementioned misbehavior, if Wells Fargo company is a chronically leaking boat, at what magnitude of leakage would Berkshire consider changing vessels?”

WARREN BUFFETT: Yeah, well, Wells Fargo (Applause) -

Wells Fargo is a company that proved the efficacy of incentives, and it’s just that they had the wrong incentives. And that was bad.

But then they committed a much greater error - and I don’t know exactly how or who did it or when, but - ignoring the fact that they had a faulty incentive system which was incenting people to do things that were kind of crazy, like opening nonexistent accounts, et cetera.

And, you know, that is a cardinal sin at Berkshire. We know people are doing something wrong, right as we sit here, at Berkshire.

You can’t have 377,000 employees and expect that everyone is behaving like Ben Franklin or something out there. They - we - I don’t know whether there are ten things being done wrong as we speak, or 20, or 50.

The important thing is, we don’t want to incent any of that if we can avoid it, and if we find - when we find it’s going on, we have to do something about it. And that is absolutely the key to it.

And Wells Fargo didn’t do it, but Salomon didn’t do it. And the truth is, we’ve made a couple of our greatest investments where people have made similar errors.

2018年2月16日金曜日

2017年の投資をふりかえって(3)サンリオ(8136)

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(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

当社の株を買ったのは2014年5月で、株価が大きく下落した時期でした。少なからぬリスクがあると承知はしていましたが、その後懸念していたリスクが発現し、昨年2017年6月に全売却するまでの投資成績は、散々な結果に終わりました。本投稿では当社における近年の業績を振り返り、教訓を書き記しておきます。

<株価動向と投資成績について>
現在の株価は1,900円前後です。一方、株の全売却時は2,100円程度でした。平均購入単価は約2,600円で、現物買い持ちだけをみた投資成績は赤字でした。受取配当金とつなぎ売りをしていた時期の利益も含めれば赤字ではないものの、それでも黒字幅はおしるし程度のものでした。投下した資金の割合が小さかったため、ポートフォリオ全体でみた資本効率にはほとんど影響していませんが、結果的には実行する意味のない投資でした。

下図の株価チャート上に、取引時期を示してあります。赤矢印が株式購入、青が売却、緑がつなぎ売り、黄がその買戻しです。

サンリオ株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
当社が営む主な事業形態は以下の3つです。

a. 自社キャラクターを活用した物販
b. 自社キャラクターのライセンス
c. テーマパーク

当社の前副社長であり、次代を担うはずだった辻邦彦氏(故人)は経営上の重要課題として「b. 自社キャラクターのライセンス」事業の強化を掲げていました。そこで2008年に社外から鳩山玲人(れひと)氏を迎え入れ、海外展開を強力に推進して、劇的な増収増益を果たしました。

(再掲)サンリオ営業利益の推移(2013年度まで)

しかし2014年初に前社長が突然死去したことで、当社の創業者で故人の父親でもある辻信太郎社長が実権を握り直しました。そして鳩山氏が加わった以降の成長路線を覆し、みずからが従来進めていた路線に回帰しました。そのなかで、海外ライセンス事業における鳩山氏主導体制をやめてしまいました。それ以降、すなわちポスト鳩山時代における業績は下図のようになります。

サンリオ営業利益の推移(2016年度まで)

鳩山時代に積み上げられた海外ライセンス契約からの利益は、年を追うごとに減少しています。鳩山氏が注力していた欧州及び米州のライセンス事業が壊滅的で、元の木阿弥となりました。業績不振の理由として当初は『アナと雪の女王』の影響を挙げていましたが、俯瞰してとらえると鳩山氏の尽力が失われたことが大きな要因だと想像します。

なお業績に関してアジア向けライセンスが伸長していること、そして国内アトラクション(=テーマパーク)の赤字幅が縮小してきた点は評価できます。しかし欧米ライセンスの退潮を埋めるまでには至っていません。

経営陣としての権限や海外での担当領域を剥奪されていった鳩山氏は、それでもアニメーションに関する新規事業の責任者として在籍していました。しかし、とうとう2016年5月に取締役を退任されました。退任発表日の翌日に株を全処分すべきでしたが、その事実を真剣に受け止めていなかったせいで、機会をのがしました。

<教訓>
当たり前のことですが、「一般投資家の利益を考えない経営がなされている企業に、投資してはならない」ことを実感しました。鳩山氏以前の時代と同じように、当社における最大のリスクは「経営者リスク」であることを再認識しました。

話は変わりますが、ときに簡易生命表(PDF)を参照することがあります。たとえば、しまむらの創業者である島村恒俊氏は、まもなく92歳になります(生年月日はWikipediaによる)。92歳の平均余命は3.65年となっています。一方、サンリオの現社長は12月に90歳になったところです。90歳の平均余命は4.28年です。

2018年1月24日水曜日

2017年の投資をふりかえって(2)モザイク(MOS)

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(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
資源系の企業である当社は、カリウム及びリン鉱石を採掘し、おもに肥料として生産・販売する米国企業です。見聞きしない社名ですが、合併前の片割れが「カーギルからスピンオフした肥料部門」と書けば、その位置づけがなんとなく想像できるかと思います。生産高の世界シェアでみた事業規模は、塩化カリウムが第4位、リン酸が第2位です。近年はブラジル市場への展開を重点的に進めており、今年早々には同業他社であったヴァーレの一部門を買収しました(これにより、リン酸のシェアが第1位の規模に上昇)。

<株価動向と投資成績について>
当社の株価は低迷がつづき、2017年末時点で25.7ドルでした。それに対して平均購入単価は36.5ドルで、-30%程度の含み損です(それ以外に確定した損失がありますが、その金額以上に受取配当金があったので、相殺されています)。下図で赤矢印が株式購入、青は売却を示しています。


MOS株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
コモディティーを扱う企業ゆえに、その業績は対象製品の市場価格によってほぼ決定されます。当社に投資し始めた2013年以降は、塩化カリウム及びリン酸の両肥料ともに価格下落の傾向がつづき、業績そして株価低迷につながったと受けとめています。

以下の図は、塩化カリウムの市場価格のチャートです。(IndexMundiより)

塩化カリウム月次価格(USD/t)(2013-2017年)

以下の図は、当社の業績と販売価格を示したチャートです。図中の略語は、DAPがリン酸、MOPが塩化カリウムを意味しています。


市場価格低迷を招いた原因をさらにさかのぼれば、次のような要因が寄与していたものと想像します。

・穀物全般の豊作がつづき、穀物の市場価格も下落したこと。
・原油価格が下落し低迷したこと。
・ドル高基調だったこと。
・ロシアとベラルーシのカリウム生産者同士の関係が改善しなかったこと。(両社は、生産者側が大きな優位性を取り戻すカギとみられていました)
・主要需要家側(中国及びインド)が在庫コントロールの主導権を大きく取り戻し、ひいては価格面でもリードしていると思われること。
・リン酸市場において、中国生産者の輸出が伸長し、価格低下圧力になったこと。

また当社固有の低迷要因としては、次のようなものが考えられます。

・故障や天災による操業停止や修繕が、想定以上に発生したこと。

<今後の投資方針>
当社に投資するにあたって「資源高リスクをヘッジする」意味合いを含んでいたので、ポートフォリオ全体を占める割合は小さなままでした。そのため株価下落の影響は小さく、当面は継続保有するつもりです。製品の市場価格が高騰する以前の水準にほぼ回帰した以上、今後の価格動向を当てる自信はありませんが、一方で以前の投稿で触れたような長期的な市場環境は継続するとみており、急いであきらめるつもりはありません。

当社への投資を再検討する上で、現時点での好材料と受けとめている点は次のとおりです。

・製品の市場価格が改善傾向を示してきたこと。
・事業者の集約再編が進んでいること。
・業績低迷に伴って、コストダウン(販管費)が進んだこと。
・当社内の新規生産拠点が立ち上がってきたこと。
・自社株買いが進み、発行済み株式数が減少していること。

また個人的に想定不足だったリスクは次のとおりです。

・リン酸部門の主力生産拠点がフロリダ州に集中しており、ハリケーンの被害を受けやすいこと。さらに二次的影響として、環境問題につながるリスクがあること。

投資し始めてから4年間ほどが経ちましたが、「投資先として他企業以上にこだわる価値があるのかと言えば、それほどの魅力はないだろう」と考え直しました。そのため製品の市場価格上昇に伴って株価がある程度上昇すれば、持ち株を段階的に売却していずれ全処分すると考えています。

2018年1月4日木曜日

2017年の投資をふりかえって(1)全般について

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2017年にとった基本方針はここ数年と変わらず(過去記事2015年)、「市場からの評価水準が高い銘柄を順次売却して、保有株式数を減らす」ことでした。また売却はしないものの価格下落リスクが大きいと考えた銘柄については、ヘッジ的な売り(つなぎ売りなど)をしました。結果的にヘッジ・ポジション全体からは損失を出しましたが、あくまでも保険代とみなしており、今年も同様の方針をとるつもりです。

一方、証券を買うほうについては、年末近くになってから1銘柄を新規購入したものの、実質的には休業状態でした。悲観的な見方が織り込まれていない株価は、正直なところ苦手です。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(銘柄コード順)。

<新規購入(New Buy)>
・クックパッド(2193); まだわずかな規模の買いにとどめています。

<買増し(Add)>
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・しまむら(8227)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・インテル(INTC)
・マイクロソフト(MSFT)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・クラレ(3405)
・メック(4971)
・日進工具(6157)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM); 以前のシルバー・ウィートン(SLW)から社名が変更されました。
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・サンリオ(8136)

つづく投稿では、このところ業績(および株価)が思わしくなかった銘柄について、簡潔ながら反省と共にふりかえりたいと思います。

2017年7月20日木曜日

『日進工具のニッチトップ戦略』(元会長、後藤勇氏(故人))

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震災後の2011年から投資している企業に、日進工具(6157)という小さな会社があります(過去記事の一例はこちら)。同社の会長だった後藤勇氏は、先月開催された株主総会の直前に69才でお亡くなりになりました。過去に一度総会に参加した際に、細々とした質問にも気軽に答えてくださったことを覚えています。「カラッとした陽気な性格の、たたき上げの創業者一族経営者」という印象の方でした。

同氏は2年前に『日進工具のニッチトップ戦略』という本を出版されていました。その中から印象に残った箇所をご紹介します。ひとつめの引用は、製造を担当していた同氏が営業の最前線も担当することになった頃の話です。

飛び込み営業を始めた初期においては、訪問先から「エンドミルは大手メーカーのもので間に合っているから、テストカットなどしなくてよい」とか、「今、忙しいから、帰れ」-など、罵声に近い言い方を何度もされた。

"営業担当として、訪問先からのお断りをいかにして乗り越えるか"-追い詰められていた私は、いろいろ考えた。

こうした局面においては、他社の営業担当は、サンプル品を置いて、後日、再訪問して売り込むケースが見られた。お客様からも「サンプルを置いていけ」とよく言われた。

私はこれをやらず、訪問先から材料と機械を借りて、私が自ら段取りを行い、切削加工してみせた。すると、お客様は関心を示し、加工で困っていることなどを話し始めてくれた。入社以来、地道に製造に携わり、培ってきた知識とノウハウが役立ったのだ。嬉しかった。いわゆる"実演販売"である。

同時に、大切なことを学んだ。それは、顧客は製品の価値を理解して購入して下さるのだから、絶対に、大幅な値引き販売、安易なサンプル品提供などは行わないことである。あわせて、常に、顧客のニーズを探求し、これをベースに製品開発する重要性も学んだ。これを怠ると、他社製品との差別化が進まず、過当競争を招き、その結果、価格の維持が困難になる。大事なことは、使い手と作り手双方に利益をもたらす"価値の等価交換"である。(p. 29)

"実演販売"の部分は心理的なうまいやりかたが何重にも組み込まれていて、つくづく感心しました。

もうひとつは株式投資家にはおなじみの概念、「逆張り」についてです。

中小企業にとって、優秀な人材を確保することは、至難の業に近い。このため、私は、常に、世の中が不景気な時に、意欲的に、社員を採用するようにしている。不景気になると、大企業は採用を必要最小限に止める。この時こそ、中小企業にとってはチャンスとなる。

また、機械を設備する時も同様で、不景気の時に行うようにしている。不景気になると、売り手市場から買い手市場になるので、納期が早まり、手間の掛かる特別仕様に対しても柔軟に対応してくれる。それに、価格交渉も有利となる。

工場用地の取得や工場建設に関しても、事情は同じ。土地の価格交渉でも有利だし、建設資材は値下がりし、工期も早まる。

私は、こうした不景気での対応を"逆張り経営"と称し、これを実践してきた。この結果、大きな成果を生み出すことができた。

ただし、常に、思い切った"勇気"と"決断"を要した。社内では、「人は不足していないのに、なぜ、不景気な時に社員を採用するのか」といった反対の声が聞かれた。機械を設備する時も同じで、「今は間に合っているのだから、わざわざ、不景気な時に設備することはない」など、ブーイングに近い声が私の耳に届いた。

そうした時、私は、「責任はすべて社長にある」とし、信念を持って、実行した。(p. 155)

よくあるエピソードなのかもしれませんが、厳しい時期に投資に踏み切れる経営者こそ、視点を共有できるという意味で投資家が探すべき経営者だと思います。

2016年2月14日日曜日

最近の株式購入状況(2016/2/12)

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おとといの2/12(金)にポートフォリオ中の株価が大幅に下落したため、日本株を少しまとめて買い増ししました。具体的には以下の2銘柄です。

・従来から保有している主力銘柄の一社
・クラレ(3405)

また、今年に入ってから株価下落につれてポツポツと買い増した銘柄は以下のとおりです。

・モザイク(MOS)
・メック(4971)

景気循環を考えると悪化が進むのはこれからで、循環的な銘柄を買うには時期が早すぎるようにも思えます。しかしそれでも買ってしまうのは、精神的な弱さを克服できておらず、ビジネスライクなプロセスが徹底されていないせいだと自覚しています。安いと思っても、本物の安さはずっと先で待っている。何をいついくらでどれだけ買うのか、その選択が迫られる投資とは実におもしろい行為だと思います。

2016年1月4日月曜日

2015年の投資をふりかえって(1)全般について

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2015年にとった投資上の行動も一昨年(2014年)とほぼ同じようなものでした。要約すると次のとおりです。

・シルバー関連の銘柄を買い増しした。
・従来からの主力銘柄を売却して持ち分を減らした。
・その他の銘柄は現状維持。

価格水準の観点からみれば、価格下落がつづいたコモディティー関連の銘柄を買い増しした一方、割高あるいは割高気味となった日本株を売却し、価格水準がそれほど過熱していない銘柄は現状維持のままとしたのが、基本的な方針でした。

ただしシルバー関連銘柄は価格変動に応じて持ち株数を調整したり、損失を確定させることで、平均購入単価を下げました。また現状維持などの銘柄では、つなぎ売りをして価格下落時に買い戻したものもありました。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(各分類での並び順は、持ち株の評価額が大きなものから)。

<新規購入(New Buy)>
・メック(4971); 9/29に購入したのみで、全ポートフォリオ中の割合は微小です。

<買増し(Add)>
・シルバー・ウィートン(SLW)
・iSharesシルバーETF(SLV)
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・マイクロソフト(MSFT)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・クラレ(3405)
・インテル(INTC)
・任天堂(7974)
・サンリオ(8136); ただし1単元だけ売却しました。
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・しまむら(8227)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)

<一部売却(Reduce)>
・従来からの主力銘柄
・日進工具(6157)