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2018年6月20日水曜日

2018年バークシャー株主総会(9)ウェルズ・ファーゴについて(了)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴ等の不祥事に関する話題は今回でおわりです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> それは、ティノ・デ・アンジェリスという名の人間があらわれたときのことです[詐欺事件の首謀者]。たしかニュージャージー州のベイヨンだったと思いますが...

スキャンダルが発生した後の、1964年に開催されたアメックスの株主総会には、実はわたしも参加しました。その席で、ある参加者が監査人に歩み出るよう要求しました。

具体的な名前は挙げませんが、ある大手会計事務所の一員だった監査人がマイクのところへ足を進めました。そして次のように質問されました。「当社はあなたがたに昨年いくら支払ったのですか」。

その監査人は答えました。質問者はさらに問いただしました。「それでは、ここから15kmほど離れたベイヨンに赴いて、タンクの中に油がどれだけ残っているか調べてきてほしいと言われたら、一体いくらの追加費用をわれわれに要求するのですか」(微笑)。

実はちょっとした出来事がありました。ある人物がベイヨンの酒場から[会社に]連絡してきて、詐欺話が進んでいると知らせてくれていたのです。しかしアメックス側はそのことを聞きたくなかったため、耳を傾けませんでした。[参考サイト]

強大な企業がその後にむかえたのは、彼らいわく「息も絶え絶えの状態」でした。ですから、過ちとはいずれ犯してしまうものなのです。

いつかはバークシャーでも不愉快なニュース沙汰になることは、請け合います。それが何かはわかりません。しかし繰り返しになりますが、その後わたしたちがどのように行動するか、それがいちばん大切です。

そのような状況で尻込みしていたことが、わたしにも何度かあります。そのたびにチャーリーは、「何か行動を起こせ」と小突いてきました。ですから、みなさんが知らないところでチャーリーもいろいろと活躍してきたのです(微笑)。

(この質疑応答は、おわり)

And when some guy named Tino De Angelis in, I think it was Bayonne, New Jersey -

In fact, I went to the annual meeting in 1964 of American Express after the scandal developed, and somebody asked if the auditor would step forward.

And the auditor from one of the big firms, which I won’t mention, came up to the microphone, and somebody said, “How much did we pay you last year?”

And the auditor gave his answer, and then the questioner said, “Well, how much extra would you have charged us to go over to Bayonne, which was ten miles away, and check whether there’s any oil in the tanks?” (Laughs)

So it - you know, here was something - a tiny little operation - some guy was calling him from a bar in Bayonne and telling him this phony stuff was going on, and they didn’t want to hear it. They shut their ears to it.

And then what emerged was one great company after this kind of, what they thought was a near-death experience. So it’s - we’re going to make mistakes.

I will guarantee you that we will get some unpleasant news at Berkshire. I don’t know what it’ll be, you know - the most important thing is we do something about it.

And there have been times when I procrastinated, and Charlie has been the one that jabs me into action. And so he’s performed a lot of services you don’t know about. (Laughter)

2018年6月16日土曜日

2018年バークシャー株主総会(8)ウェルズ・ファーゴについて(3)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴに関する話題がさらにつづきます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それには賛成ですね。これからのウェルズ・ファーゴは、そういった悪事が露見しなかった場合よりも、いい企業になりますよ。

<ウォーレン・バフェット> あるいは「悪事を起こさなかった場合」よりも、良くなると思います。

<チャーリー> そのとおり。しかし、ハーヴェイ・ワインスタイン[映画『パルプ・フィクション』などのプロデューサー]もずいぶんと行動を改めたようですね(笑いと拍手)。

あれはたしかに不始末でしたよ。ただし彼らはそのことを心底わかっており、痛く混乱していますから、同じことは繰り返したくないと思っているでしょう。

さすれば、「将来に最良の振舞いをみせる銀行は、どこになりそうか」と問われたときに、ウェルズ・ファーゴの可能性も十分あると思いますね。

<ウォーレン> さきほど示したニューヨーク・タイムズ紙の1942年3月12日付紙面の裏側をみると、求人欄があります。その一部を占める大きめの欄には、「男性求む」と書いてあります。そして別の欄には「女性求む」とあります。

それでは、当時のニューヨーク・タイムズ紙がそうしていたことは正当だったのでしょうか。ご存知のように、同紙は優れた新聞です。しかし、人間とはあやまちを犯すものなのです。

「求人広告の掲載箇所を分ける」という発想は、広告を受けた際にいろいろ考えて出てきたのかもしれません。「求人が来たら、どの職業が適切かを考えながら、男女に分けるとしよう」と。あるいは、求人側が適切な割り振りを考えたのかもしれません。

世間ではおろかなことが数多くなされています。先に述べたように、1970年代初期のガイコは適切な引当金を計上できたのに、無視していました。つまり彼らは、新規の顧客に対してあやまった金額を請求していたのです。実際よりも少ない損失で済むと考えていたからです。

そういったことは、ウォール街を喜ばせたいがために行った部分も間違いなくあると思います。あるいは、ものごとがどのように進むのか正視したくなかったのかもしれません。しかし、その同社が目を見張るほどの強力な会社となりました。そうです、今では米国における[自動車]保険加入世帯の13%を占めています。

引当金だけでなく、破産が目前にせまった時期におのずと知ることになった困難によって高じたものに対しても、同社は目を向けるようになりました。42年前の..

<チャーリー> あれは、今回のウェルズ・ファーゴよりもずっとひどかったですね。彼らが大昔にしたことは、実にひどいものでしたよ。ねえ。

<ウォーレン> そのとおりです。彼らは大成功していたので、引当金の見直しを怠っていました。そしてアメックスは、1963年の委託倉庫会社に関する分として数ドルしか確保しませんでした。その後はご存知のように、その会社がアメックス本体を没落させるのではないかと恐れるようになったのです。

(もう1回つづく)

CHARLIE MUNGER: Well, I agree with that. I think Wells Fargo is going to be better going forward than it would have been if these leaks had never been discovered.

WARREN BUFFETT: Or happened.

CHARLIE MUNGER: Yeah, so I think it’s - it - but I think Harvey Weinstein has done a lot for improving behavior, too. (Laughter)

It was clearly an error, and they’re acutely aware of it and acutely embarrassed, and they don’t want to have it happen again.

You know, if I had to say which bank is more likely to behave the best in the future, it might be Wells Fargo, of all of them.

WARREN BUFFETT: This New York Times that I have here from March 12th, 1942, if you go toward the back of it, in the classified section, you have one big section that says, “Help Wanted Male,” and another one that says, “Help Wanted Female.”

You know, was the New York Times doing the right thing in those days? You know, I think the New York Times is a terrific paper. But people make mistakes.

And you know, the idea of classifying between - taking ads and saying, “Well, we’ll take them and divide them up between men and women, what jobs we think are appropriate,” or that the advertiser thinks is appropriate.

We do a lot of dumb things in this world. And GEICO, as I say, in the early 1970s, they just ignored - and you can do it in the setting of proper reserves, which mean they charged the wrong price to new customers because they thought their losses were less than they were.

And I’m sure some of that may have been a desire to please Wall Street or just because they didn’t want to face how things were going. But it came out incredibly stronger. You know, and now it’s got 13 percent of the households in the United States insured.

And it came out with an attention to reserves and that sort of thing that was heightened by the difficulties that they’d found themselves in where they almost went bankrupt. Forty-two -

CHARLIE MUNGER: It was a lot more stupid than Wells Fargo. It was really stupid what they did way back, right?

WARREN BUFFETT: Yeah. They had the world by the tail, and then they quit looking at the reserve development. But - and American Express was just picking up a few dollars by having the field warehousing company in 1963. And, you know, they were worried whether it was going to sink the company.

2018年6月12日火曜日

2018年バークシャー株主総会(7)ウェルズ・ファーゴについて(2)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答からウェルズ・ファーゴに関する話題、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> 当社はアメリカン・エキスプレスの株式を買いましたが、わたしがパートナーシップを運営していた時分に行った投資で、同社が最良のものでした。アメックス株を買ったのは1964年のことでした。「アメリカン・エキスプレス委託倉庫」という会社に関して、まちがったことを企んだ人がいたからです。

また当社はガイコ社(GEICO)の株を大量に買いました。その金額は4千万ドルで、同社株式の半数に達しました。ウォール街の出す収益や成長予測に合わせようと企んだ人がいたときのことです。その当時、同社では適正な引当金を計上しませんでした。

それゆえにアメックスは1964年に大きな痛手を受けました。それゆえにガイコは1976年に大損害を被りました。そして、相当な規模の従業員を解雇するといった対策をとることになりました。しかしそのおかげで、きれいな白紙に戻ったのです。

その後のアメックスがどこへ向かったのかは一目瞭然ですし、ガイコがどこへ向かったのかもご存知のとおりです。

ですから、「非常に大規模な組織には、いずれは問題を起こすものもある」ことは、特別な事実でもなんでもありません。実際のところほとんどすべての銀行、さらにはすべての大銀行では、ひとつやふたつ問題を抱えてきたものです。

ですから、投資という観点そしてモラルという観点から、企業としてのウェルズ・ファーゴが将来どのように歩むかを考えた場合、競争相手である他の大銀行とくらべて劣っているところは、なんら思い当たりません。

彼らは大きな過ちをおかしました。当社の保有分株式には今もなお多大な未実現益がありますが、それは[売却か継続保有かの]判断材料にはなりません。しかし...

同社のことは投資先としてわたしは気に入っていますし、ティム・スローンが経営者でいてくれてありがたいと思います。彼は現在、別の人たちがしでかした過ちを正している最中です。

かつてわたしは、ソロモン社で生じたあやまちを正そうとしました。そのときにはデリック・モーンが見事に手助けしてくれました[過去記事]。またマンガー・トーレス&オルソン法律事務所のみなさんにも、同じように助けてもらいました。つまりは、この手のことは起こるものなのです。ただしそうなった場合には、できるだけの手を打たねばなりません。

チャーリーが言うように、「1オンスの予防は1ポンドの治療にあらずして、1トンの治療の如し」です[過去記事]。そしてすべてに攻め入るべきです。チャーリーはいつもわたしの背中を押して、明るみになった不愉快な問題を攻め立てるように強要しました。他のすべてはうまくいっているのに、それだけが容易でないということもありました。

正確なところは知りませんが、あらゆる組織でも時には見られる悪事を、ウェルズはあきらかに働いていました。そしてそれを極端な地点まで激化させていました。

しかし、ウェルズ・ファーゴがそのような逸話を社史に残したくなかったと願いつつも、「非常に巨大な優良銀行になる日はやってこない」とみなす理由はないと思います。

ガイコはいっそう強固になりましたし、アメックスもずっと強力になりました。つまりここで問われるのは、「各種の問題を発見したときに、自分がどのように行動するか」なのです。

チャーリーはどうですか。

(さらにつづく)

We bought our American Express stock - that was the best investment I ever made in my partnership years - we bought our American Express stock in 1964 because somebody was incented to do the wrong thing in something called the American Express Field Warehousing Company. We bought -

A very substantial amount of GEICO we bought that became half the - half of GEICO, for $40 million because somebody was incented to meet Wall Street estimates of earnings and growth. And they didn’t focus on having the proper reserves.

And that caused a lot of pain at American Express in 1964. It caused a lot of pain at GEICO in 1976. It caused a layoff of a significant portion of the workforce, all kinds of things. But they cleaned it up.

They cleaned it up, and look where American Express has moved since that time. Look at where GEICO has moved since that time.

So the fact that you are going to have problems at some very large institutions is not unique. In fact, almost every bank has - all the big banks have had troubles of one sort or another.

And I see no reason why Wells Fargo as a company, from both an investment standpoint and a moral standpoint going forward, is in any way inferior to the other big banks with which it competes on -

It - they made a big mistake. It cost - I mean, we still got - I mean we have a large, unrealized gain in it, but that doesn’t have anything to do with our decision-making. But the -

I like it as an investment. I like Tim Sloan as a manager, you know, and he is correcting mistakes made by other people.

I tried to correct mistakes at Salomon, and I had terrific help from Deryck Maughan as well as a number of the people at Munger, Tolles. And I mean, that is going to happen. You try to minimize it.

Charlie says that, “An ounce of prevention isn’t worth a pound of cure, it’s worth about a ton of cure.” And we ought to jump on everything. He’s pushed me all my life to make sure that I attack unpleasant problems that surface. And that’s sometimes not easy to do when everything else is going fine.

And at Wells, they clearly - and I don’t know exactly what - but they did what people at every organization have sometimes done, but it got accentuated to an extreme point.

But I see no reason to think that Wells Fargo, going forward, is other than a very, very large, well-run bank that had an episode in its history it wished it didn’t have.

But GEICO came out stronger, American Express came out stronger. The question is what you do when you find the problems.

Charlie?

投資先企業を検討するという意味で、今回の文章はケーススタディとしていろいろと勉強になりました(個人的に思い至った観点は、順列、stickiness、バックアップの3つでした)。

2018年6月8日金曜日

2018年バークシャー株主総会(6)ウェルズ・ファーゴについて(1)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会における質疑応答から、今回はバークシャーの主要投資先であるウェルズ・ファーゴの話題です。優良銀行として成長してきた同社がさまざまな不正を働いていたことが、この数年間で明らかになりました。ウォーレン・バフェットが同社に対してどのような見解を示すのか、話の内容は平易ですが、継続投資先としての是非をどのように判断するかという点では、今回の話題は株式投資上級者向けかと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

10. 「大きな過ち」を乗り越えて、ウェルズ・ファーゴは強くなる

<ウォーレン・バフェット> 次の質問は、アンドリューさん、いいですか。

<アンドリュー・ロス・ソーキン> ウォーレン、よろしくおねがいします。イリノイ州シカゴ在住のポール・スピーカー氏からの質問です。なお、彼は今日ここに参加しているはずだと思います。

質問の内容は次のとおりです。「あなたが語った言葉のなかで、かなり有名で、もっとも優れた見方を示していると思われるものに、次のようなものがあります」

「『たびたび水漏れする船だとわかったら、穴をふさぐ作業に奮闘するよりも、別の船舶に乗り換えることに注力したほうが生産的だ』と」

「ウェルズ・ファーゴ社では許可されていない会計上の各種スキャンダルが生じましたが、それらを考慮すると、つまり自動車保険の重複分を契約して顧客に料金を請求したことや、同社自身の過失による遅延によって生じた期限超過に関してモーゲージの保有者(抵当権者)から料金を不当に徴収したことや、さらにはモーゲージの金利を固定するために不適切な手数料を顧客に課したこと、あるいはFRBによって同社に課された制裁すなわち総資産の増加を禁じられたこと、そして先に述べた諸々の悪しき行為に対して連邦政府の規制当局が10億ドル超の罰金を最近になって定めたこと、それらを考えたときにウェルズ・ファーゴが慢性的に水漏れを起こす船だとしたら、どの程度の水漏れであればバークシャーは船を乗り換えようと検討するのでしょうか」(拍手)。

<ウォーレン・バフェット> そうですね、ウェルズ・ファーゴの件ですが..

ウェルズ・ファーゴという会社は「動機づけがもたらす有効性」を証明してしまいました。会社が間違った動機づけをしてしまったのです。あれは悪いことでした。

しかし彼らはもっと大きな失敗をおかしました。いつだれがどのようにかは正確には知りませんが、「欠陥のある動機づけ体系を有している事実を無視したこと」がそうです。たとえば、「存在するはずのない口座を開設する」といった異常なたぐいのことを、従業員が実行するようにうながしました。

これはバークシャーでは大罪とされています。ただし今ここにいる間にも、バークシャーでだれかがあやまちを犯しているのは、わたしたちも承知しています。

37万7千名にのぼる全従業員が、ベン・フランクリンのような人物と同じように世間で振舞うなどと、望むことはできません。ここで話をしている間に良からぬことがどれだけ起きているのか、10件なのか20件なのか、あるいは50件なのかはわかりません。

大切なのは、「回避可能なあらゆる悪しきことを助長しないように」とわたしたちが考えている点です。そして問題を起こしていることを把握したときには、何か手を打たなければなりません。そのことが決定的なカギとなります。

ウェルズ・ファーゴはそうしませんでしたし、ソロモン[・ブラザーズ社]もしませんでした。しかし実際のところ、当社が投資したなかでもっとも成功した各社は、それと同様の失敗をおかした会社でした。

(つづく)

10. Wells Fargo will emerge stronger after its “big mistake”

WARREN BUFFETT: OK, Andrew?

ANDREW ROSS SORKIN: Hi Warren. This question comes from Paul Spieker (PH) of Chicago, Illinois. I believe he may be here today.

He writes, “One of your more famous and perhaps most insightful quotes goes as follows:

″‘Should you find yourself in a chronically leaking boat, energy devoted to changing vessels is likely to be more productive than energy devoted to patching leaks.’

“In light of the unauthorized accounting scandal at Wells Fargo, of its admission that it charged customers for duplicate auto insurance, of its admissions that it wrongly fined mortgage holders in relation to missing deadlines caused by delays that were its own fault, of its admission that it charged some customers improper fees to lock in mortgage interest rates, of the sanction placed upon it by the Federal Reserve prohibiting it from growing its balance sheet, and of the more than recent $1 billion penalty leveled by federal regulators for the aforementioned misbehavior, if Wells Fargo company is a chronically leaking boat, at what magnitude of leakage would Berkshire consider changing vessels?”

WARREN BUFFETT: Yeah, well, Wells Fargo (Applause) -

Wells Fargo is a company that proved the efficacy of incentives, and it’s just that they had the wrong incentives. And that was bad.

But then they committed a much greater error - and I don’t know exactly how or who did it or when, but - ignoring the fact that they had a faulty incentive system which was incenting people to do things that were kind of crazy, like opening nonexistent accounts, et cetera.

And, you know, that is a cardinal sin at Berkshire. We know people are doing something wrong, right as we sit here, at Berkshire.

You can’t have 377,000 employees and expect that everyone is behaving like Ben Franklin or something out there. They - we - I don’t know whether there are ten things being done wrong as we speak, or 20, or 50.

The important thing is, we don’t want to incent any of that if we can avoid it, and if we find - when we find it’s going on, we have to do something about it. And that is absolutely the key to it.

And Wells Fargo didn’t do it, but Salomon didn’t do it. And the truth is, we’ve made a couple of our greatest investments where people have made similar errors.

2018年2月16日金曜日

2017年の投資をふりかえって(3)サンリオ(8136)

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(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

当社の株を買ったのは2014年5月で、株価が大きく下落した時期でした。少なからぬリスクがあると承知はしていましたが、その後懸念していたリスクが発現し、昨年2017年6月に全売却するまでの投資成績は、散々な結果に終わりました。本投稿では当社における近年の業績を振り返り、教訓を書き記しておきます。

<株価動向と投資成績について>
現在の株価は1,900円前後です。一方、株の全売却時は2,100円程度でした。平均購入単価は約2,600円で、現物買い持ちだけをみた投資成績は赤字でした。受取配当金とつなぎ売りをしていた時期の利益も含めれば赤字ではないものの、それでも黒字幅はおしるし程度のものでした。投下した資金の割合が小さかったため、ポートフォリオ全体でみた資本効率にはほとんど影響していませんが、結果的には実行する意味のない投資でした。

下図の株価チャート上に、取引時期を示してあります。赤矢印が株式購入、青が売却、緑がつなぎ売り、黄がその買戻しです。

サンリオ株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
当社が営む主な事業形態は以下の3つです。

a. 自社キャラクターを活用した物販
b. 自社キャラクターのライセンス
c. テーマパーク

当社の前副社長であり、次代を担うはずだった辻邦彦氏(故人)は経営上の重要課題として「b. 自社キャラクターのライセンス」事業の強化を掲げていました。そこで2008年に社外から鳩山玲人(れひと)氏を迎え入れ、海外展開を強力に推進して、劇的な増収増益を果たしました。

(再掲)サンリオ営業利益の推移(2013年度まで)

しかし2014年初に前社長が突然死去したことで、当社の創業者で故人の父親でもある辻信太郎社長が実権を握り直しました。そして鳩山氏が加わった以降の成長路線を覆し、みずからが従来進めていた路線に回帰しました。そのなかで、海外ライセンス事業における鳩山氏主導体制をやめてしまいました。それ以降、すなわちポスト鳩山時代における業績は下図のようになります。

サンリオ営業利益の推移(2016年度まで)

鳩山時代に積み上げられた海外ライセンス契約からの利益は、年を追うごとに減少しています。鳩山氏が注力していた欧州及び米州のライセンス事業が壊滅的で、元の木阿弥となりました。業績不振の理由として当初は『アナと雪の女王』の影響を挙げていましたが、俯瞰してとらえると鳩山氏の尽力が失われたことが大きな要因だと想像します。

なお業績に関してアジア向けライセンスが伸長していること、そして国内アトラクション(=テーマパーク)の赤字幅が縮小してきた点は評価できます。しかし欧米ライセンスの退潮を埋めるまでには至っていません。

経営陣としての権限や海外での担当領域を剥奪されていった鳩山氏は、それでもアニメーションに関する新規事業の責任者として在籍していました。しかし、とうとう2016年5月に取締役を退任されました。退任発表日の翌日に株を全処分すべきでしたが、その事実を真剣に受け止めていなかったせいで、機会をのがしました。

<教訓>
当たり前のことですが、「一般投資家の利益を考えない経営がなされている企業に、投資してはならない」ことを実感しました。鳩山氏以前の時代と同じように、当社における最大のリスクは「経営者リスク」であることを再認識しました。

話は変わりますが、ときに簡易生命表(PDF)を参照することがあります。たとえば、しまむらの創業者である島村恒俊氏は、まもなく92歳になります(生年月日はWikipediaによる)。92歳の平均余命は3.65年となっています。一方、サンリオの現社長は12月に90歳になったところです。90歳の平均余命は4.28年です。

2018年1月24日水曜日

2017年の投資をふりかえって(2)モザイク(MOS)

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(当社について前回とりあげた過去記事はこちらです。また本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
資源系の企業である当社は、カリウム及びリン鉱石を採掘し、おもに肥料として生産・販売する米国企業です。見聞きしない社名ですが、合併前の片割れが「カーギルからスピンオフした肥料部門」と書けば、その位置づけがなんとなく想像できるかと思います。生産高の世界シェアでみた事業規模は、塩化カリウムが第4位、リン酸が第2位です。近年はブラジル市場への展開を重点的に進めており、今年早々には同業他社であったヴァーレの一部門を買収しました(これにより、リン酸のシェアが第1位の規模に上昇)。

<株価動向と投資成績について>
当社の株価は低迷がつづき、2017年末時点で25.7ドルでした。それに対して平均購入単価は36.5ドルで、-30%程度の含み損です(それ以外に確定した損失がありますが、その金額以上に受取配当金があったので、相殺されています)。下図で赤矢印が株式購入、青は売却を示しています。


MOS株価チャート(2013-2017年)

<業績の概要>
コモディティーを扱う企業ゆえに、その業績は対象製品の市場価格によってほぼ決定されます。当社に投資し始めた2013年以降は、塩化カリウム及びリン酸の両肥料ともに価格下落の傾向がつづき、業績そして株価低迷につながったと受けとめています。

以下の図は、塩化カリウムの市場価格のチャートです。(IndexMundiより)

塩化カリウム月次価格(USD/t)(2013-2017年)

以下の図は、当社の業績と販売価格を示したチャートです。図中の略語は、DAPがリン酸、MOPが塩化カリウムを意味しています。


市場価格低迷を招いた原因をさらにさかのぼれば、次のような要因が寄与していたものと想像します。

・穀物全般の豊作がつづき、穀物の市場価格も下落したこと。
・原油価格が下落し低迷したこと。
・ドル高基調だったこと。
・ロシアとベラルーシのカリウム生産者同士の関係が改善しなかったこと。(両社は、生産者側が大きな優位性を取り戻すカギとみられていました)
・主要需要家側(中国及びインド)が在庫コントロールの主導権を大きく取り戻し、ひいては価格面でもリードしていると思われること。
・リン酸市場において、中国生産者の輸出が伸長し、価格低下圧力になったこと。

また当社固有の低迷要因としては、次のようなものが考えられます。

・故障や天災による操業停止や修繕が、想定以上に発生したこと。

<今後の投資方針>
当社に投資するにあたって「資源高リスクをヘッジする」意味合いを含んでいたので、ポートフォリオ全体を占める割合は小さなままでした。そのため株価下落の影響は小さく、当面は継続保有するつもりです。製品の市場価格が高騰する以前の水準にほぼ回帰した以上、今後の価格動向を当てる自信はありませんが、一方で以前の投稿で触れたような長期的な市場環境は継続するとみており、急いであきらめるつもりはありません。

当社への投資を再検討する上で、現時点での好材料と受けとめている点は次のとおりです。

・製品の市場価格が改善傾向を示してきたこと。
・事業者の集約再編が進んでいること。
・業績低迷に伴って、コストダウン(販管費)が進んだこと。
・当社内の新規生産拠点が立ち上がってきたこと。
・自社株買いが進み、発行済み株式数が減少していること。

また個人的に想定不足だったリスクは次のとおりです。

・リン酸部門の主力生産拠点がフロリダ州に集中しており、ハリケーンの被害を受けやすいこと。さらに二次的影響として、環境問題につながるリスクがあること。

投資し始めてから4年間ほどが経ちましたが、「投資先として他企業以上にこだわる価値があるのかと言えば、それほどの魅力はないだろう」と考え直しました。そのため製品の市場価格上昇に伴って株価がある程度上昇すれば、持ち株を段階的に売却していずれ全処分すると考えています。

2018年1月4日木曜日

2017年の投資をふりかえって(1)全般について

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2017年にとった基本方針はここ数年と変わらず(過去記事2015年)、「市場からの評価水準が高い銘柄を順次売却して、保有株式数を減らす」ことでした。また売却はしないものの価格下落リスクが大きいと考えた銘柄については、ヘッジ的な売り(つなぎ売りなど)をしました。結果的にヘッジ・ポジション全体からは損失を出しましたが、あくまでも保険代とみなしており、今年も同様の方針をとるつもりです。

一方、証券を買うほうについては、年末近くになってから1銘柄を新規購入したものの、実質的には休業状態でした。悲観的な見方が織り込まれていない株価は、正直なところ苦手です。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(銘柄コード順)。

<新規購入(New Buy)>
・クックパッド(2193); まだわずかな規模の買いにとどめています。

<買増し(Add)>
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・しまむら(8227)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・インテル(INTC)
・マイクロソフト(MSFT)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・クラレ(3405)
・メック(4971)
・日進工具(6157)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM); 以前のシルバー・ウィートン(SLW)から社名が変更されました。
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・サンリオ(8136)

つづく投稿では、このところ業績(および株価)が思わしくなかった銘柄について、簡潔ながら反省と共にふりかえりたいと思います。

2017年7月20日木曜日

『日進工具のニッチトップ戦略』(元会長、後藤勇氏(故人))

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震災後の2011年から投資している企業に、日進工具(6157)という小さな会社があります(過去記事の一例はこちら)。同社の会長だった後藤勇氏は、先月開催された株主総会の直前に69才でお亡くなりになりました。過去に一度総会に参加した際に、細々とした質問にも気軽に答えてくださったことを覚えています。「カラッとした陽気な性格の、たたき上げの創業者一族経営者」という印象の方でした。

同氏は2年前に『日進工具のニッチトップ戦略』という本を出版されていました。その中から印象に残った箇所をご紹介します。ひとつめの引用は、製造を担当していた同氏が営業の最前線も担当することになった頃の話です。

飛び込み営業を始めた初期においては、訪問先から「エンドミルは大手メーカーのもので間に合っているから、テストカットなどしなくてよい」とか、「今、忙しいから、帰れ」-など、罵声に近い言い方を何度もされた。

"営業担当として、訪問先からのお断りをいかにして乗り越えるか"-追い詰められていた私は、いろいろ考えた。

こうした局面においては、他社の営業担当は、サンプル品を置いて、後日、再訪問して売り込むケースが見られた。お客様からも「サンプルを置いていけ」とよく言われた。

私はこれをやらず、訪問先から材料と機械を借りて、私が自ら段取りを行い、切削加工してみせた。すると、お客様は関心を示し、加工で困っていることなどを話し始めてくれた。入社以来、地道に製造に携わり、培ってきた知識とノウハウが役立ったのだ。嬉しかった。いわゆる"実演販売"である。

同時に、大切なことを学んだ。それは、顧客は製品の価値を理解して購入して下さるのだから、絶対に、大幅な値引き販売、安易なサンプル品提供などは行わないことである。あわせて、常に、顧客のニーズを探求し、これをベースに製品開発する重要性も学んだ。これを怠ると、他社製品との差別化が進まず、過当競争を招き、その結果、価格の維持が困難になる。大事なことは、使い手と作り手双方に利益をもたらす"価値の等価交換"である。(p. 29)

"実演販売"の部分は心理的なうまいやりかたが何重にも組み込まれていて、つくづく感心しました。

もうひとつは株式投資家にはおなじみの概念、「逆張り」についてです。

中小企業にとって、優秀な人材を確保することは、至難の業に近い。このため、私は、常に、世の中が不景気な時に、意欲的に、社員を採用するようにしている。不景気になると、大企業は採用を必要最小限に止める。この時こそ、中小企業にとってはチャンスとなる。

また、機械を設備する時も同様で、不景気の時に行うようにしている。不景気になると、売り手市場から買い手市場になるので、納期が早まり、手間の掛かる特別仕様に対しても柔軟に対応してくれる。それに、価格交渉も有利となる。

工場用地の取得や工場建設に関しても、事情は同じ。土地の価格交渉でも有利だし、建設資材は値下がりし、工期も早まる。

私は、こうした不景気での対応を"逆張り経営"と称し、これを実践してきた。この結果、大きな成果を生み出すことができた。

ただし、常に、思い切った"勇気"と"決断"を要した。社内では、「人は不足していないのに、なぜ、不景気な時に社員を採用するのか」といった反対の声が聞かれた。機械を設備する時も同じで、「今は間に合っているのだから、わざわざ、不景気な時に設備することはない」など、ブーイングに近い声が私の耳に届いた。

そうした時、私は、「責任はすべて社長にある」とし、信念を持って、実行した。(p. 155)

よくあるエピソードなのかもしれませんが、厳しい時期に投資に踏み切れる経営者こそ、視点を共有できるという意味で投資家が探すべき経営者だと思います。

2016年2月14日日曜日

最近の株式購入状況(2016/2/12)

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おとといの2/12(金)にポートフォリオ中の株価が大幅に下落したため、日本株を少しまとめて買い増ししました。具体的には以下の2銘柄です。

・従来から保有している主力銘柄の一社
・クラレ(3405)

また、今年に入ってから株価下落につれてポツポツと買い増した銘柄は以下のとおりです。

・モザイク(MOS)
・メック(4971)

景気循環を考えると悪化が進むのはこれからで、循環的な銘柄を買うには時期が早すぎるようにも思えます。しかしそれでも買ってしまうのは、精神的な弱さを克服できておらず、ビジネスライクなプロセスが徹底されていないせいだと自覚しています。安いと思っても、本物の安さはずっと先で待っている。何をいついくらでどれだけ買うのか、その選択が迫られる投資とは実におもしろい行為だと思います。

2016年1月4日月曜日

2015年の投資をふりかえって(1)全般について

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2015年にとった投資上の行動も一昨年(2014年)とほぼ同じようなものでした。要約すると次のとおりです。

・シルバー関連の銘柄を買い増しした。
・従来からの主力銘柄を売却して持ち分を減らした。
・その他の銘柄は現状維持。

価格水準の観点からみれば、価格下落がつづいたコモディティー関連の銘柄を買い増しした一方、割高あるいは割高気味となった日本株を売却し、価格水準がそれほど過熱していない銘柄は現状維持のままとしたのが、基本的な方針でした。

ただしシルバー関連銘柄は価格変動に応じて持ち株数を調整したり、損失を確定させることで、平均購入単価を下げました。また現状維持などの銘柄では、つなぎ売りをして価格下落時に買い戻したものもありました。

銘柄ごとの売買概況は以下のとおりです(各分類での並び順は、持ち株の評価額が大きなものから)。

<新規購入(New Buy)>
・メック(4971); 9/29に購入したのみで、全ポートフォリオ中の割合は微小です。

<買増し(Add)>
・シルバー・ウィートン(SLW)
・iSharesシルバーETF(SLV)
・モザイク(MOS)

<現状維持(Hold)>
・マイクロソフト(MSFT)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・クラレ(3405)
・インテル(INTC)
・任天堂(7974)
・サンリオ(8136); ただし1単元だけ売却しました。
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・しまむら(8227)
・日東電工(6988)
・マニー(7730)

<一部売却(Reduce)>
・従来からの主力銘柄
・日進工具(6157)

2015年11月16日月曜日

ニッチとは居心地の良い場所(日東電工髙﨑社長)

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今週号の日経ビジネス(2015年11月16日号 No.1816)で日東電工がとりあげられていました。髙﨑社長のインタビュー記事もあり、興味深い内容でした。同社の強みが感じられた文章を以下に引用します。

はじめは髙﨑社長の発言です。

<問> ニッチを重視すると言っても、ニッチな分野は市場規模も限られます。どう稼ぐのでしょうか。

<答> もうかるかどうかではなく、もうけるんですよ。ニッチと言うと「隙間」というイメージがあるかもしれませんが、我々の考え方はちょっと違います。市場規模が小さいというより、競合がなかなか入れない「居心地の良い場所」が我々の定義するニッチです。

ここを守り続ければいずれ大きな事業に育つ可能性もある。今は大きな収益基盤となっている液晶パネル向けの偏光板だって 、最初は電卓など小さい市場からスタートしているんです。

<問> 模倣対策はどうしているんですか。

<答> そこは、ビジネスモデルから特許でバチッと押さえます。過去にたくさん苦い汁を吸っていますからね。

特許で守らなければ、どんなに良い物ができても、すぐまねされて、あっという間に追いつかれます。それこそ世界中で特許を取っておかないと戦えない。攻めの特許戦略が必要なんです。(p. 80)

もうひとつはCTOの西岡氏による説明です。

「『こんな製品があればいいのに』と思ったお客さんは、それを作ってくれそうな企業に相談する。結果的に、様々な分野で市場シェアの高い製品を抱える我々の元に、顧客ニーズが集まるようになる。そうした情報を照らし合わせることで、ものになりそうな技術、なりにくそうな技術の見極めができる」(p. 75)

蛇足です。数年前に当社へ投資してから少しずつ売却し、現在は1単元を残すのみです。名残惜しくて売り切れない。当社もそんな企業のひとつです。

2015年4月26日日曜日

エクソンモービル前CEO;短期の価格予測は重視しない(『石油の帝国』)

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投資候補として石油ガス業界に注目していることもあり、業界の筆頭企業エクソンモービル社を取りあげた著書『石油の帝国』を少し前に読了しました。同社や業界環境を知ることができたのはもちろんですが、ある種のエンターテイメントとしても楽しんで読めました。同社のことは以前から「あつかましい企業」の最右翼とみなしていました。本書を読み始めてもその通りで、むしろ想像していた以上にあつかましい企業行動の描写がつづきます。主役がアンチヒーロー的な存在なので感情移入しづらく、読みにくさをはらんでいる反面、サスペンス小説や映画のような展開が目白押しで、意図せずして話に引き込まれました。そしてある話題では当社を応援している自分に気づき(ベネズエラの案件)、著者の巧みな文章と構成に感心させられました。

今回は同書から一部を引用します。はじめは、同社の社風を表した3か所の文章です。

エクソンのように世界的に散らばった事務所や製油所、油田等で何万人もの従業員を抱えた大規模で多様性に富んだ会社においては、「規律ある結果を得るための唯一の方法は、やりすぎるくらい徹底することだ。つまり、机をたたき脅しをかけなければ、これだけ大規模な従業員たちは易きに流れ、凡庸な結果しか残せない」と彼は考えた。[前CEOのレイモンド氏](p.46)

ブッシュ政権による野心的なエネルギー外交が開始されたころのエクソンモービルのプーチン政権との関係はこのような状態だった。サハリンは成功裏に船出した。しかし、そこには条件をめぐる厳しい闘いがあった。ロシア流の脅しとはったりによる交渉カルチャーは、エクソンモービルが得意とするものでもあった。エクソンモービルとロシアは、似た者同士だった。初期の厳しい交渉姿勢こそがプーチンをサハリンに歩み寄らせた、と幹部たちは確信していた。(p.257)

ブッシュは、アメリカ政府は石油外交としてプーチンの再交渉要求を押し返す用意がある、と言った。ティラソン[現CEO]は大統領に謝意を表したが、その後、ワシントン事務所を通じて、手出しをしないことを要望する、とブッシュ政権に伝えてきた。エクソンモービルのKストリート事務所がホワイトハウスに伝えたことは、要するに、プーチンは我々が相手にしている各国元首の中では比較的おとなしいほうであり、自分たちで処理したほうが上手くいく、ということだった。(p.417)

もうひとつは、同社による需給予測や価格予測についてです。なお同社のWebサイトでは一般向けの需給予測資料『The Outlook for Energy: A View to 2040』[PDF]を公開しています。わたしも参考にしています。

エクソンモービルの経営戦略企画部門の書庫には、1940年代ごろからの、エネルギー需要と石油価格についての20年予測が所蔵されていた。(中略)分析の結果判明したことは、1980年代に、エクソンの予測担当者たちは将来について半分正しく半分間違っていた、ということだった。彼らは、2000年の世界のエネルギー消費量見通しについては、わずか1パーセントの誤差で正確に予想していた。特筆すべき成功だった。しかしながら、石油価格の見通しについては大きく外していた。1970年代の急変動や高騰を踏まえて予想した価格トレンドは高すぎた。この失敗を分析してみて、レイモンドたちは2つの結論にたどり着いた。1つ目は、新たな油層の発見を助ける技術革新をあまりにも軽視していたことだった。これがグローバルな供給を増やし価格を抑えていた。2つ目は、地政学的な変化が石油価格に及ぼす影響が非常に大きいため、需要と供給の均衡のみに依拠した通常の価格見通しは現実的ではない、ということである。(中略)「我々は短期の価格予測はできない。ではどうやってビジネスをするのか?」レイモンドは同僚に尋ねた。答えは、「堅実でムラなく管理すること、そしてファンダメンタルを正しく保つようにすることだ」と返事が返ってきた。価格を予測することよりも、レイモンドは量を予測することに力を入れた。世界の消費者が必要とする石油その他エネルギー資源の量及び供給可能な量である。(p.304)

蛇足の話題です。上の文章で「あつかましい」企業と書きましたが、これは私企業が存続発展する上での必要条件ととらえています(少なくとも一時的には)。社会人道的には称賛しかねるものの、生物学的な見方をすれば「あつかましさ」が種(しゅ)の相対的な適応度を高めると考えるからです。名を成した大企業をあげれば、それぞれのニッチで「あつかましさ」を発揮した歴史が思い当たります。従業員に対して(京都系等の部品メーカー)、下請け企業に対して(自動車OEMメーカー)、国民に対して(大銀行)、世界に対して(エクソンやロッキード・マーティン)、パートナー企業に対して(任天堂)、競合他社に対して(マイクロソフトやインテル)、消費者に対して(製薬・嗜好品メーカーや公益企業)、子会社のCEOをよいしょして(ウォーレン・バフェット)。大切なのは「あつかましさ」が度を越さないことです。いかにして変曲点のこちら側に踏みとどまるか。経営をアートと呼ぶのもそのひとつだと思います。

2015年4月16日木曜日

シェールオイルについて(エクソンモービルCEOレックス・ティラソン)

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少し前にエクソンモービル社をえがいた『石油の帝国』を読了し、その流れで先だって同社が開催したアナリスト向けミーティングのトランスクリプトを読みました。目新しい情報はあまりなかったように思います。が、現在の市場動向に振り回されることなく以前からの基本戦略を踏襲しようとする経営姿勢は、同書に描かれているとおりでいかにも同社らしいと感じました。今回引用するのは、CEOのティラソン氏がアナリストの質問に答える形で、原油の価格動向とシェールオイル業界について触れた部分です。(日本語は拙訳)

Exxon Mobil's (XOM) CEO Rex Tillerson Hosts 2015 Analyst Meeting (Transcript) (Seeking Alpha)

<ティラソン> 世界中の地政学的イベントによって、ある程度の供給量が阻害されてきました。そのことが長期にわたってものごとを維持してきた、というのが私の見方です。しかし昨年になってからマーケットは実際に起こっていることを認識しはじめ、それで価格の訂正が始まったのだと思います。つまり、供給が需要を超過しているだけの問題です。その期間がどれだけ継続するかを言葉で表すのは常に困難なことですが、いくつか気づいた点があります。そのひとつが、北米でのタイトオイル[シェールオイル等]の供給は、一部の人たちが考えているよりも弾力的な点です。それと直接は関連しないものの、この5年から7年間にシェールガスの領域で生じた掘削リグの稼働本数の減少から類推できることがあります(以降、音声不良)。

[シェールガス田における]リグの稼働数は、1,600基超から現在の280基まで減少しました。しかしリグが減少している環境下で、ガスの生産能力は日産550億立方フィートから740億立方フィート へと50%増加しています。価格の下落動向はもっとひどいもので、8.25ドルから3ドル以下まで落ち込みました。しかしタイトオイルはあきらめたらどうかと示唆してはいません。それらの知見から学べるものがある、というのが私の考えです。最初に申した見解、つまり北米のタイトオイルはある人たちが予想する以上に弾力的な動向を示すものと考えられるわけです。

The geopolitical events of the world were keeping some supplies disrupted. And so, I think that's what supported things for a long time until last year the market began to realize what was happening. And I think that's when the correction occurred. So it's simply supply outstripping demand. In terms of the duration, it's always hard to say the duration, but I would just make a few observations. One, I think the North American tight oil supply is more resilient than some people think it is. And I would draw some -- not direct correlation, but I would draw some analogy from the shale gas experience of the last 5 to 7 years where reductions of rig counts [Technical Difficulty].

Where rig counts went from north of 1600, down to 280 today and gas capacity went from 55 billion cubic feet a day to 74 billion cubic feet a day, a 50% increase in a declining rig environment, and a terribly declining price environment, $8.25 to south of $3. Now I am not suggesting you're going to have a lay down on tight oil, but I think there are a few lessons you can learn from observing that. So I think the first comment, I'll make is I think North America tight oil is going to be more resilient than some people think it's going to be.

『石油の帝国』については、あらためて取り上げるつもりです。読みごたえたっぷりの著作です。

2015年2月19日木曜日

バークシャー・ハサウェイのIBM株保有状況(2014年12月末)

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バークシャー・ハサウェイの持ち株状況(13F-HR)が2月17日に更新されています(EDGARの検索結果)。ウォーレン・バフェットはIBMを買い増ししていました。持ち株の増加数は約650万株、取得金額はたとえば11億ドル程度かと予想します(期間中の最高株価190ドルと最低株価150ドルの中間である170ドルで取得したと仮定)。実際には暴落した10月20日あたりで購入したでしょうから、もう少し安かったものと思われます。なお、前回期間から株数が増加した割合は1割程度です。


一方の売却株で目についたのはエクソン・モービル(XOM)です。こちらは全株(約4100万株)を処分しており、売却金額は37億ドル程度です(IBMと同様、最高株価97ドルと最低株価86ドルの中間である約91ドルで売却と仮定)。

2015年2月2日月曜日

2014年の投資をふりかえって(8)その他:日精ASB,任天堂,しまむら,ツムラ

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2014年の投資に関する振りかえりは、今回で最後です。昨年と保有数の変わらない2社(日精エー・エス・ビー機械、任天堂)と、購入したもののすぐに売却した2社(しまむら、ツムラ)について、簡単に触れます。

■日精エー・エス・ビー機械(6284)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

以下のリンク先は、昨年の振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(6)継続投資銘柄:日精ASB機械

日精エー・エス・ビー機械(6284)株価の推移(2014年)

株価は年始が2,600円、年末が3,000円でした。上昇率は15%です。

当社への投資はポートフォリオ中に占める割合が小さいため、業績を細かく確認することなく放置したままでした。半値近くまで下がる局面がありましたが、持ち株数は昨年と変わらずです。決算資料によれば受注残は前年度以上の数字ですが(当社発表資料最終ページ[PDF])、円安が進んでいる影響は割り引いてとらえています。当社は景気変動が大きい製造装置業界に属しており、下りの局面では売上げが大きく低下すると予想します。ですが現在の株価ではあえて売買はせず、今年も継続保有したいと考えています。


■任天堂(7974)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

以下のリンク先は、昨年の振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(5)継続投資銘柄:任天堂

任天堂(7974)株価の推移(2014年)

株価は年始が14,010円、年末が12,605円でした。下落率は10%強です。

先週発表された第3四半期決算では、営業利益が下方修正されました。400億円から200億円への減額です(当社発表資料[PDF])。ただしそれは早い時期からある程度予想できたものです。今期発売した主な自社製品は、実質的にマリオカート8(WiiU)、ポケモンのリメイク作品(3DS)とスマブラ新タイトル(3DS及びWiiU)の3.5本と言える状況だったからです(この2月にはゼルダのリメイクが3DSで発売予定)。実質的にこれだけのバリエーションと既発売の作品と他社製品で、前年度並みのソフトウェア売上げを計上しています。

来期はWiiUの大型自社製品がいくつか発売されますが(ゼルダ、スターフォックス等)、個人的に注目している製品があります。5月に発売予定のスプラトゥーンです。

(下の映像は、2014年6月のE3で公開されたものです)



この作品からは「前向きなニンテンドー」らしさが感じられ、来期のWiiU拡販の試金石として働くのではないかと想像しています。ただし中心的な遊びかたがインターネット対戦型のソフトのようで、当社としては微妙なマーケティングと思える節もあります。ですが、北米での評判や売上げに注目したいと思います。

今期の当社は「定番ゲーム屋」さんとして消費者に受け入れられる施策を堅実に実行してきたと受けとめています。来期2015年度には、まいた種の成果がある程度実るだろうと思われます。ただし当社が掲げている基本戦略「ゲーム人口の拡大」の視点からみると、ほとんど前進していないようです(トモダチコレクションの国外販売は評価できます)。現在は収益基盤を取り戻すことで精いっぱい、といったところでしょうか。「消費者に新しいオドロキを与える」ことが当社らしい商売のやりかたですから、次の回ではぜひ期待したいものです。

最後に備考です。昨年の投稿で、当社の研究開発費が急増した話題をとりあげました。以下のグラフは、今期までの3年間にわたる研究開発費の推移です。

(データの出所: 当社四半期報告書)

これをみると、昨年度の増加は期末に集中しており、金額も突出しています。どうやら、ゲームソフト開発に資金を大量投下したというよりも、新開発棟での業務開始に備えた物品やソフトウェアの購入に使われた、とみるべきだったようです。


■しまむら(8227)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

しまむら(8227)株価の推移(2014年)

当社の株を購入したのは、昨年4月中旬に株価が90万円を下回った頃でした。そして8月のはじめに売却しました。ただし1単元だけ残しています。現在は模索の時期に入ったようにみえる当社ですが、今回もかつてのように殻を破って新たな段階へと進めるのでしょうか。優良企業である当社には、それなりの金額を投資したい気持ちもあります。株価がふたたび下がる時機がくれば、購入を検討しなおすつもりです。


■ツムラ(4540)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

当社については過去の投稿で一度取りあげています。
『復活を使命にした経営者』、芳井順一会長によるツムラ再生の物語

ツムラ(4540)株価の推移(2014年)

しまむらと同様、当社も昨年投資に踏み切り、時を置かず売却した会社です。両社に共通するのは、良好な業績をあげており、すばらしい企業文化を持っており、そして輸入型の企業であることです。円安の時期だからこそ、市場からの評価が低迷して株式を購入する機会が生まれるのでしょう。ですが、購入した株価水準が納得できなかったため、早々に売却しました(損失を確定しました)。次に機会があるかどうかわかりませんが、そのときがくれば今度は継続保有したいと考えている会社です。

2015年1月28日水曜日

2014年の投資をふりかえって(7)継続銘柄:モザイク

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■モザイク(MOS)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価


肥料を採掘・生産・販売する当社に投資し始めたのは、2013年の夏からです。以下のリンク先はそのときの振りかえり記事です。

2013年の投資をふりかえって(8)新規投資銘柄:モザイク

<株価の状況>
年初の株価が47.27$、年末は45.65$となり、3.5%の下落でした。現在の株価は47.94$です。発表されたばかりの最新の業績予想を反映すると、当社の2014年度実績EPSは約2.6$、PERは約18.5になります。過去1年間の配当実績が1$、配当利回りは2%強です。

MOS株価チャート(2014年)

<事業の状況>
当社の2大事業であるカリウムとリン肥料はコモディティーであり、業績はそれらの販売価格に左右されます。2013年夏にカリウム業界で大きな事件が発生したことで、カリウム肥料の価格が大きく下落しました(リンも連れ安の状態です)。それから1年以上が経過しましたが、価格の大幅回復には至っていません。カリウムの主要生産者であるウラルカリ社とベラルーシカリ社がいまだに関係を改善していないことが、価格低迷がつづく大きな原因だと思われます(併せて、穀物価格も低迷しています)。ただし後述するように、ウラルカリの供給体制に変化があり、価格改善の動きが出てきています。またインドで政権が交代したことも、需要回復そして価格改善につながる材料とみられています(肥料に対する補助金政策の見直し)。

(以下の2つのチャートは、いずれもIndexMundiからお借りしたものです)

塩化カリウム月次価格(USD/t)

一方のリン肥料の価格は底を打ち、ある程度(450$/t)の水準まで回復しました。ただしこの水準では利益をあげるのが厳しい生産者も少なくないので、価格がもう一段階上がるのではと予想しています。

リン酸二アンモニウム月次価格(USD/t)

価格水準は別として、当社の事業自体は順調に進展しています。ひとつは販売量の状況です。リン肥料(DAP)は第3四半期の実績で前年比20%増の3.3Mt、カリウム肥料(MOP)は30%増の1.38Mtでした。いずれも価格が低下したところで需要が増加しているわけですから、経済学的な法則がすなおに働いています。業績見通しの上方修正が先日発表されましたが、需要状況は好ましい状態です。価格が見直されていく段階にあると受けとめています。

もうひとつは事業拡張への投資です。ひきつづき市場拡大が期待できるブラジルでは、流通案件の買収が12月に完了しました。またリン事業で競合していたCFインダストリーズ社から買収した部門(フロリダのリン鉱山)も統合されました。この買収は「市場低迷時に競争環境が集約整理される」典型的な事例で、当社にとってはありがたい案件だったと思います。その他に以前から遂行中のプロジェクト(カリウム鉱山のK3増強や、サウジの国営企業Ma'aden社とのリン事業JV)がありますが、第3四半期決算の発表資料によれば順調に推移しているとのことです。

<当社に対する投資方針>
当社への投資を評価するにあたって、現在の株価ではPER水準が高い点を指摘すべきでしょう。前述したように現在のPERは約18.5です。1/22現在のS&P500が18.6なので(3か月遅れの決算ベース)、ほぼ同じ水準です。

コモディティーの適正価格を見積もるのはむずかしい仕事なので、個人的には供給側のコストを基準にして判断しています。シルバーへの投資でも触れたように、採算割れの供給は長続きできないからです。カリウム業界は寡占が進んでいることから、現在の価格水準でも生産者は利益をあげられます。そのため、利益確保のために価格を無理に上昇させる理由はありません。リン業界は先にも触れたように450$/tの価格ではほとんど利益が出ない企業もあると考えます。もしリン肥料の価格改善が1割程度進むとすれば、当社の利益水準は現在の5-10%増しになると予想されます。しかしそうだとしてもPERはそれほど下がらず、割安とは言いがたい株価です。

そうだとしたら、そもそも2013年夏の事件で暴落した株価を割安だと判断したこと自体が甘かったのでしょうか。この可能性は自分でも折に触れて考え直しています。当時は、いずれ商品価格がもっと回復する可能性を評価していたのですが(特にカリウム肥料)、その判断が甘いのではないかと。

超長期的(10年以上)にみれば、肥料価格が上昇する可能性は高いと思います。しかし中長期的にどうなるかは、正直なところ読めません。しかし逆に言えば、これは機会にもつながります。当社はカリウムとリン事業の利益バランスが比較的とれており、両事業とも大手です。厳しい価格低迷がつづいても、生存できる確率は相対的に高いと期待できます。逆に、競合他社の資産を安く取得できる機会がうまれます。一方で以前の投稿でも触れたように、食糧政策では政治や気象・天災といった巨大リスクを考慮する必要があります。そのため、甘い見積もりと思われるかもしれませんが、若干のリスク・プレミアムは上乗せできると考えています。

つまり現在の株価水準は無条件に安いと言える水準ではないと考えますが、次のような点を考慮すると、中長期的にはまずまずの利益が期待できる投資対象かと判断しています。

・キャッシュフローを再投資することによる販売数量の増加
・それと併せて、規模の経済が進展することによる利益率の向上
・突発的リスクに対するプレミアム
・肥料成分バランスの見直しから生じる販売水準の改善(インドや中国では窒素系が優位)
・超長期的なインフレ傾向による肥料価格の上昇
・低迷期にも競争力を強化できる潜在的な可能性

その一方で、最近の原油価格下落は穀物需要の低迷につながる可能性があります(バイオ燃料)。これは、上記の追い風を相殺するリスク要因としてあげられると思います。

具体的な持ち株数についてですが、上記の株価チャートに示したように正味で少し売却しました(赤矢印が購入、青は売却)。しかし基本的には継続保有したいと考えています。そうは言っても、ずっと有望なコモディティー関連の銘柄をみつけたときには、乗り換える可能性はあります。

最後に、「カリウム肥料業界の問題児」ウラルカリ社の近況について触れておきます。同社の状況はインターネット上のニュースでも散見されますが、業界紙である化学工業日報でも事故の状況をとりあげていました(2015年1月8日)。かん水が流入して問題となったソリカムスク2鉱山は、閉山するリスクが高いようです。年間の生産能力が約2Mtなので、市場シェアの数%に相当します。さて、今年は需要側が動いてくれるでしょうか。

(写真はPotash Investing Newsから、孫借りしました)

ソリカムスク2鉱山から3.5Km離れた地点での陥没(30m * 40m)

2015年1月24日土曜日

2014年の投資をふりかえって(6)継続銘柄:インテル

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■インテル(INTC)
- 当社Webサイト(IR)
- Google Finance 株価

以下のリンク先は、昨年に新規投資を始めた際の振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(9)新規投資銘柄:インテル

<株価の状況>
年始が25.96$、年末が36.29$で、40%弱の上昇でした。現在の株価は36$強で、予想配当は0.96$ですから、配当利回り(予想)は約2.6%です。


<事業の状況>
当社では2003年春にCEOが交代し、現在はエンジニア出身のブライアン・クルザニッチ氏が指揮をとっています。2014年度の業績はクラウドがあいかわらず好調だったことに加えて、Windows XPのリプレースの影響もあり、売上高が559億ドル(前期比6%増)、純利益が117億ドル(22%増)になりました。大きな課題であるモバイル向け領域(スマートフォンやタブレット)では、年初に掲げた野心的な販売目標(タブレット用で4,000万個)を達成しました(4,600万個)。力技でねじふせる戦略を選び、それをきちんと遂行できるのは、当社が伝統的に有してきた強みなのかもしれません。クルザニッチCEOの新体制がうまく機能している証拠のひとつと受けとめています。

当社の動向のうち、小さな取り組みながらも評価したい点が2つあります。ひとつはIoT(Internet of Things; 車載などの機器やウェアラブル等のさまざまな物体のインターネット接続化)分野での取り組みです。2013年には小型SoC(System on a Chip)のQuark、2014年には小型プラットフォーム(統合チップ)のEdisonを、そして今年は年頭のCESでボタン大のCurie(キュリー)モジュールを発表しました。IoT事業における売上高は21億ドル(前期比19%増)の段階ながら、それらの製品には市場やイノベーション面での主導権を握ろうとする意欲が表れています。

CurieをつまんでいるクルザニッチCEO(同社Webサイトより)

懸案であるスマートフォン用プロセッサー市場では、先行する他社と競争できる製品を必死に開発中だと思われます。本格的な攻勢に出られるのは、2016年あるいは2017年になってからでしょう。しかしIoT向け市場は立ち上がってから時間が経っておらず、当社が足場を築くことは今からでもできます。IoT市場では、適用される分野によっては小型かつ低コストなチップが要求されます。これは当社が先行している微細化路線の方向性と合致します。実験的ながらも実製品を開発販売して多様な機会をさぐることによって、市場に認知してもらえるだけでなく、市場の本質を早くつかむ可能性を高められると想像します。

ふたつめの点は、モバイル向けプロセッサーのファブレス開発企業2社と提携した件です。相手企業(いずれも中国企業)は、ロックチップ社(Rockchip)及びスプレッドトラム社(Spreadtrum;実際には親会社の紫光集團と提携)です。どちらの提携においても、当社の設計方式(インテル・アーキテクチャー)にもとづいて、モバイル向けSoCを共同で設計・製造・販売することを合意しました。これは、当社がこれから奪おうとしている市場の一部を譲ることを意味します。そのためこれらの提携を結んだのは、ローエンド向け市場からの売上げを高めるよりも、他社の力を借りることでインテル・アーキテクチャーのすそ野を広げて、開発者コミュニティーやエコシステムの拡大をはかるほうを選んだためだと想像します。提携先企業が脅威になるほど成長したとしても、ARMアーキテクチャーが脅威でいるよりはマシでしょうから、この提携は現実的な選択だと思います。

最後に、今期の業績についてです。先日の決算発表会で今期の業績予想が発表されました。売上高の増加はひとケタ中位、そして粗利益率は前期比で低下と平凡な数字にとどまりました。市場からは失望視されている節もあります。見通しの中で確度が高いと思えるものは、スマートフォンやタブレット向けプロセッサーの赤字幅が縮小する点です(コストダウンが中心のため)。そして未知数なのがWindows10需要です。Windows10がねらう大きな目標のひとつは、企業で採用されているWindows7からの切り替えでしょうから、本命の商機は来期以降になります。その一方で消費者にも強く訴えるものがあれば、今年の年末商戦で当社製品を搭載したPCの需要増が期待できるかもしれません。

<当社に対する投資方針>
マイクロソフトと同様に、当社に対するPERの評価も上昇しました。実績EPSは2.31$で、PERにすると16倍弱です。モバイル向け事業の赤字幅が来期から縮小すれば利益は数%上乗せされることが見込まれますが、それを考慮しても株価の水準はまずまずの段階にきています。株価上昇の期待だけでなく、下落する可能性も十分考えられます。そのため、当社の株式もマイクロソフトと同じように売却したいところですが、これもまたマイクロソフトと同じように長く保有したいと考えている企業です。マイクロソフトと違うのは売上高が景気に左右されやすい点であり、不況になれば株価の下落幅も大きくなると思います。それは覚悟の上で、継続保有したいと考えています。

2015年1月20日火曜日

2014年の投資をふりかえって(5)継続銘柄:マイクロソフト他

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2014年は、ポートフォリオの大半は手を付けることがなく、そのままの状態でした。全体としてみれば、好業績や市場からの評価の変化を享受できたように思えます(だからといって、今年も同じように期待できるとは考えていません)。気にとめている企業の四半期決算はそれなりに確認しましたが、そうでない企業はざっと数字に目を通しただけでした。今回と次回と次々回でポートフォリオ中のおもな現状維持銘柄について、ひととおり触れたいと思います。なお記述順は、ポートフォリオにおける評価金額の大きなものからです。また過去にブログで触れていない銘柄(従来からの保有分)は、取りあげていません。

■マイクロソフト(MSFT)
- 当社Webサイト(IR)
- Google Finance 株価

以下のリンク先は、過去2年間における振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(1)継続投資銘柄:マイクロソフト
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(マイクロソフト)

<株価の状況>
年始が37.41$で、年末には46.45$でした。上昇率は24%強です。現在の株価は46$強で、予想配当は1.24$ですから、配当利回りは約2.6%です。


<事業の状況>
当社の前CEOだったスティーブ・バルマーが2014年2月に退任して、新CEOに生え抜きのサティア・ナデラ氏が就任しました。次期CEOとして個人的に予想していたのはノキアのCEOだったスティーブン・エロップ氏ですが、1年間の実績を見るかぎりではサティア・ナデラを選んで正解だったと思います。サティアは実際的なレイオフや現実的な製品戦略・協業を確立・実行し、淀んでいたようにもみえた当社の空気を変えようとしています。スティーブ・バルマーの「マーケティング」主導路線を改め、「エンジニア」主導の企業文化へと向きを変えているようにもみえます。そのような空気はハイテク企業にとっては欠かせないもので、いずれ人材採用にも良い影響を及ぼしてくると想像します。

サティア・ナデラ(当社Webサイトより)

昨年の経営陣交代でサティア以上に画期的だったのは、ビル・ゲイツが会長を退任して、後任にジョン・トンプソン氏が就任したことです。創業者であるビル・ゲイツの立場では意思決定の際にバイアスがかかりやすかったでしょうが、他社での経験が豊富なトンプソン氏に交代したことで、経営判断の質が以前より向上したように思えてなりません。当社がくだす大きな経営判断は、トンプソン会長による厳しいテストを必ず受けることになるでしょう。これは今後も注視していきたい点です

ジョン・トンプソン(当社Webサイトより)

もう2点ほど触れます。まずはOffice365の成長についてです。当社の業績を昨年度(FY2014)とその前期(FY2013)で比較すると、粗利益が約23億ドル増加して598億ドルになりました。そのうち企業向け部門が占める増加幅の割合は100%超で(つまり消費者向けやOEM向けのWindowsでは粗利益が減少しています)、その中でも利益成長に大きく貢献していると思われる製品がOffice365です。

Office365の販売形態は月額(や年額)使用料を支払うサブスクリプションであり、1契約あたりの売上金額の貢献度は従来方式よりも小さくなっていると思われます。しかし事実上永続的に課金できるだけでなく、わずかずつ値上げするのに好都合な契約形態であるため(電力会社やガス会社と似ていますね)、当社の収益基盤を強固にします。ライセンス方式によるソフトウェアの販売は当社でも以前から存在していますが(サーバーにアクセスするCALなど)、看板ソフトであるOffice(及び関連サービス)もその方式へと大きく前進しました。Office365はこの数年間に当社が進めた施策の中でもっとも重要な戦略だったと、個人的には捉えています。

もうひとつがクラウドについてです。上述したOffice365もクラウドで展開されるサービスの一環ですが、その他にOneDriveやAzure、Dynamics CRMがあります。クラウド業界では名だたる企業がしのぎを削っています。現在の最大手はAmazonで変わらず、2番手が当社、そしてGoogleやIBMなどがあげられます。この中でIBMには絶対的な既存顧客がついているので(おもに金融業界や政府部門)別枠と考えることにして、その他の有力企業であるAmazonやGoogleと競争して当社が勝ち残れるかが問題になります。昨年の記事でも喚起しましたが、今でもそれは変わっていません。個人的な答えとして確信までは至っていませんが、当社は勝ち残っていくだろうと予想しています。CEOになる前のサティア・ナデラが担当していた分野も、クラウドを含む企業向けシステムでした。このテーマは自分なりの考えをまとめて、いずれ取り上げたいと思います。

<当社に対する投資方針>
市場からの評価が大きく変化し、現在のPERは18前後と株式購入時より大きく上昇しました(キャッシュフローの観点では、償却額が大きいものの、設備投資も多額となっているのが現状です)。そのため株価の下落リスクも大きくなり、売却したい気持ちもあります。しかし当社の株式は売却せずに保有し続けたいという想いのほうが強く、今後しばらく(数年間か?)の株価下落は甘受するつもりです。


■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価


当社の株価は年始が118.56$で年末が150.15$でした。上昇率は約26%です。当社に関する私見は今回は取りあげず、2014年度の年次報告書が2月末に発表された後に書くつもりです。

2015年1月16日金曜日

2014年の投資をふりかえって(4)買い増し銘柄:日進工具、クラレ

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今回は、数年前から投資して2014年に若干ながらも買い増しした企業2社をとりあげます。日進工具とクラレです。日進工具に投資を始めたのは2011年の秋から、そしてクラレは2012年の秋からです。以下のリンクにあるとおり、両社ともに過去2年間の投稿でも取りあげました。

2013年の投資をふりかえって(3)継続投資銘柄:日進工具
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(日進工具)

2013年の投資をふりかえって(4)継続投資銘柄:クラレ
2012年の投資をふりかえって(3)新規・追加投資編(クラレ)

なお2014年の新規投資銘柄としてサンリオ(8136)をあげましたが、同社については昨年に一度投稿していますので、今回は省略します(過去記事)。購入した株式はそのまま保有しており、今後も継続するつもりです。当社の第2四半期決算説明会動画を観たところ、鳩山常務の出番が増えていました。彼の表情はいつもどおりに戻ったようで、社内での位置づけが少し好転したように感じられました。欧州での訴訟問題もあり、当社のためにバリバリ働いているのではないでしょうか。

■日進工具(6157)
- 当社Webサイト
- Yahoo Japan! 株価

<事業の状況>
スマートフォン向けや自動車向けの需要が伸びているとのことで、業績は好調です。設備の増設を検討されているようで、好調な時期はどこの会社も似たような匂いが感じられます。

<株価の状況>
当社は2012年の秋に株式分割(1:2)を行いましたが、昨年2014年秋にも再び1:2の分割を行いました。その影響があったのか、前半は横ばいだった株価が7月から上昇しました。年初に867円(分割調整後)だった株価が年末には1,665円となり、上昇率は90%強でした。


一昨年の2013年に買い増ししたときは購入数が少なかったので、2014年に買うならばもう少しまとめて、との意識はありました。が、振り返ってみるとそれほどにはなりませんでした。買った時期は上図の赤矢印で、2月、4月、5月でした。その後に株価が上昇してからは買い増ししていません。


■クラレ(3405)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan 株価

<事業の状況>
上述した日進工具とはちがって、当社に対する市場の評価はもうひとつの1年でした。しかし事業や会社のほうは変化があり、個人的には当社のほうを注視しています。

まず変化のひとつめは、昨年も触れたデュポン社からの部門買収が完了した件です。この部門が製造している主要製品に、ビニル・アセテート・モノマー(VAM)と呼ばれる原料があります。これは当社の主力製品である光学用ポバールフィルムやエバールの原料であるため、今回の買収で上流の領域を統合したことになります。このことは当社が長期的な戦略を遂行する上で重要な一歩になる、と想像します。それというのも、当社はポバールやエバールでとことんやっていく覚悟を持っており、そのためには原料供給の面で不安を残したくないからです。後顧の憂いを断っておき、そして北南米市場で大きな前進を遂げる。これがビニル・アセテート系事業における当社の長期戦略です(と書きましたが、単なるわたしの妄想です)。

もうひとつは、この1月から社長が交代して新中期計画が始まると共に、組織が変更された点です。当社の稼ぎ頭である光学用ポバールフィルムがこれまで属していた事業部門は、「ビニルアセテートカンパニー」でした。ここには他の主力製品群であるポバール樹脂やエバールも含まれており、各々の業績が混合して示されていました。しかし1月からの組織体制では、これが2つに分割されます。(光学用も含む)ポバールフィルムの事業はデュポンから買収したGLS部門等とまとめられて、「ビニルアセテートフィルムカンパニー」になりました。一方、ポバール樹脂とエバールは「ビニルアセテート樹脂カンパニー」です。この組織変更には、「ポバール樹脂やエバールさん、助けがなくても自分たちだけでしっかり利益を増やしなさいよ」という意図が感じられます。前述した個人的妄想につながる部分です。さらに一般投資家の視点という意味では、主力事業の成績を個別に把握しやすくなるのでは、と期待しています(当社発表資料[PDF])。(2015/2/17追記:決算発表会の説明映像によれば、ビニルアセテート系事業の情報開示は、分割せずにひとつにまとめるとのことです)

その光学用ポバールフィルムで少し暗い話題があります。第2四半期の決算説明会で質疑が交わされたように、当社顧客の日東電工が自社開発した材料(コーディングPVA)をもとに製造した偏光版フィルムが、セット・メーカーに採用されたようです(iPhone 6?)。一方で当社は超超広幅(かつ薄膜)の製造ラインを新たに稼働させており、ターゲットとするアプリケーション領域が遷移しているようにみえます。各社のアナリストはこの件を心配し続けていますが、わたしも自分なりにリスク要因として念頭に置くようにしています。ただし、この事業が具体的にどのように縮小(あるいは持続)するのか、正直なところよくわかりません。

さて当社は会計期を変更したため、この1月から新会計年度になります。そのため年末のタイミングで業績修正が発表されましたが、デュポンからの買収関連に伴う評価損等で、純利益が50億円減少するとのことでした(当社発表資料[PDF])。「高値を払ったつけが回った」と非難を受けるかもしれませんが、それは前社長である伊藤文大会長の責任です。50億円は、彼から新社長伊藤正明氏に向けた餞別でしょう。バランス・シートの掃除がそれなりに済んで、新たな一歩を気持ちよく踏み出せると思います。

<株価の状況>
年初が1,253円、年末が1,378円と、上昇率は10%弱でした。買い増しをしたのは下図の赤矢印で、1月下旬から2月上旬でした。いつもと同じで、ポートフォリオに影響を及ぼせない程度の数量にとどまりました。


<おまけ>
新体制、新中期計画ということで、当社の企業CMのヒロインも変更になりました。当社のサイト「クラレ ミラバケッソ キャンペーンサイト」から、黒島結菜さんの映像をお借りしました。


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しかし、広告などのキャンペーンで女性を起用する慣習は、繊維業界の名残か何かで続けているのでしょうかね。

2015年1月12日月曜日

2014年の投資をふりかえって(3)新規銘柄:シルバー・ウィートン(SLW)他

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シルバーに関する投資対象はいくつかありましたが、そのほとんどはシルバー・ウィートン社とシルバーETF(SLV)でした。シルバー自体については前回の投稿で書きましたので、今回はおもにシルバー・ウィートンを取りあげます。

■シルバー・ウィートン(銘柄コード:SLW, 英名:Silver Wheaton Corp.)
- 当社Webサイト
- Google Finance 株価

<投資に至った背景>
シルバーへの投資自体は以前からつづけていたのですが、近年はETFのひとつSLVへ投資していました(昨年の投稿)。しかし2014年になってもシルバーの価格下落がとまらず、それ以上に株価が下落している鉱山会社に興味を持つようになりました。それまで当社の銘柄コード(SLW)を目にしたことはあったものの、実質的には何も知りませんでした。しかし事業概要の文章を目にして、一般的なシルバー鉱山会社とは商売のやりかたが大きく違っていることがわかり、詳しく調べてみたいと考えるようになりました。

<事業の状況>
当社はカナダのバンクーバーを拠点とする鉱業会社で、シルバーやゴールドを販売して収益をあげています。ただし自前の鉱山を操業するのではなく、鉱山会社に対して資金を提供し、そのかわりに契約対象となる鉱山から産出されるシルバーを一定期間(あるいは当該鉱山での採掘終了まで)にわたって固定価格で買い取る契約を結ぶ事業を展開しています。たとえば契約先企業が生産したシルバーを1オンス当たり5ドルで買い取る契約をしていれば、市場やディーラーに1オンス15ドルで売却すると、粗利益は10ドルになります。彼らは自社を"streaming company"と呼んでいますが、日本語にすると「購買条件付き資本提供会社」といったところでしょうか。

2013年度の業績概要は、売上高が7億ドル、営業利益が4.2億ドル、純利益が3.7億ドルでした。従業員数は30名弱のため固定費が少ないのと、有効税率が低い点が特徴です(税率については後述します)。

契約を結ぶおもな相手企業は、シルバー以外の金属を採掘する鉱山会社です。おもに生産される金属がゴールドや銅、鉛、亜鉛などで、シルバーは副産物として生産されます。契約案件数は約20件で、2013年度に買い取ったシルバーの数量は約26Moz(ミリオン・オンス)でした。シルバー全体の年間新規産出量が約800Mozでしたので、それなりの位置にいます。

鉱山開発を進める企業では、当該鉱山が商業生産を始める前はキャッシュフローの流出がつづきます。そのため、そもそもの当初資金を調達したり、開発プロジェクト中に追加資金を工面するといった財務は、事業活動の初期段階における重要な仕事です。一方、生産が軌道に乗ればキャッシュフローは流入に変わり、シルバー等の副産物収入が減っても許容できると考えるのでしょう。そのため当社が提供するソリューションは、契約先企業にとっても有益なものだと考えられています。

具体的な契約先企業の例としては、次のような会社があります(数字は2013年度)。

・グレンコア・エクストラータ(Glencore Xstrata); 売上高2,396億ドル
・ヴァーレ(Vale); 売上高467億ドル
・バリック・ゴールド(Barrick Gold); 売上高125億ドル
・ゴールドコープ(Goldcorp); 売上高36億ドル

なお近年になって、ゴールドを産出したり鉱山開発している企業と契約を結び、ゴールドを買い取る事業も行っています。CEOのスモールウッド氏によれば、「基本的な投資先はシルバーだが、機会があればゴールドにも投資する」とのことです。

<株価の状況>
当社の株式はNYSEに上場されています(カナダのトロント市場にも上場)。2014年の年初が20.19$、年末が20.33$と、結果的には横ばいでした。現在の株価は21$強です。直近1年間の配当実績は0.26$で、配当利回りは1%強です。


<投資方針>
2014年の9月下旬から11月上旬にかけて集中的に購入しました(上図の赤矢印)。平均購入単価は20$弱でした。ただしETF銘柄のSLVを一部売却した資金も回しているので、その部分は銘柄を乗り換えたことになります(後述します)。

投資する際に当社を評価した大きな点は、次の2つです。

1. 複数の企業と契約し、シルバーやゴールドの調達先を分散していること
そもそもシルバーを副産物として産出する企業と購買契約を結ぶわけですから、ひとつの鉱山から産出される量は限定的です。そのため当社が商売を拡大しようとすれば、必然的に複数企業と取引することになります。しかし、この点がおのずと当社の優位につながると考えます。

契約先企業が複数社にわたることで、経営体が分散されるだけでなく、金属種的な分散(ゴールド、銅、亜鉛など)と地理的な分散が実現します。そして言うまでもなく、それらの契約先企業はシルバーの価格下落リスクからおおむね分離しています。このことは、シルバーの価格下落リスクやその他のリスクが生じても、当社が生存できる確率を高めることに寄与します。

生物学的にたとえれば、当社を「寄生虫」とみなすことができます。宿主が幼少期にあるときに生育を助ける代わりに、残りの生存期間にわたって寄生させてもらいます。ただし合意による寄生ですから、共存関係にあると言えるでしょう。さらに複数各種の宿主に掛け持ちで寄生することで生存確率を高めると共に、段階的に宿主を乗り換えることができます。そして、場合によってはシルバー価格の高騰も期待できます。これは、宿主から頂く栄養分がローヤルゼリーに変わるようなものです。

もうひとつはあくまでも推測に過ぎませんが、操業をつづける複数の鉱山会社と長期の契約を結ぶことで、鉱床から採掘する際の鉱床学的な事実情報を相手先から入手でき、知見を深められる点を評価したいと思います。このような知見は、将来の契約候補先を検討評価する際に役に立ちます。リスクの項目で触れますが、この事業で競争相手に差をつけられるとすれば、「案件に対する目利きの良さ」が重要になると考えます。その点で現在おかれている当社の位置づけは、将来にもつながるものと捉えています。

2. 契約先企業との契約期間が長期であること
当社がシルバーを買い取る期間として、契約条件に「鉱山が経済的寿命をむかえるまで」と定める案件が少なくありません。それ以外でも10年間や20年間といった期間を指定しています。そして、当社が相手先からシルバーを買い取る固定価格はおよそ5ドルです。シルバー主体の鉱山会社の財務を考慮すると、シルバーの価格がこの水準まで下落する可能性は著しく低いと予想します。上述した1.の要因と組み合わせれば、当社にとってシルバーの価格上昇に賭けられる期間が長期間持てることを意味します。

前回の投稿で書きましたが、現在のシルバーは需給バランスの観点から見ると、価格上昇の機会が十分にあると予想します。そうであれば、「シルバーの価格上昇時に市場から高く評価されるシルバー主体の鉱山会社のほうが、投資先として良い選択だろう」と考えるかもしれません。しかしこれも前回触れたように、先物市場の行方が短期的にどうなるのかは予測しがたく、低迷が長く続いても分のある当社に投資したほうがよいと考えました。

<リスク>

1. タックスヘイブン子会社の活用
当社の収益の大半は、ケイマン諸島に設立された子会社が計上しています。また過去においてもタックスヘイブン子会社を使っています。そのため、当社の本社がカナダ本国で課される税率は本来の25%ではなく、大幅に少ない金額にとどまっています。たとえば2012年には、営業利益6億ドルに対して本来のカナダの税率(25%)に従うと、所得税は1億5千万ドルになります。しかし、実際の税額は1,400万ドル強にとどまっています。なおこの件に関連して当社の年次報告書では、カナダの税務当局が当社の2005年度から2010年度の国際取引について現在監査中であることが記載されています。

この件がどのような結末に落ち着くのか予想できません。ただし、あまり厳しく締め上げると、当社がカナダを出ていくことも考えられます。そのため更生や新たな規制が実施されるとしても、ほどほどの水準にとどまるのではないか、と(希望的なのですが)考えています。

2. 今後の事業の拡張発展に対して、特定個人の力量が大きな影響を及ぼすこと
当社が新規の契約を獲得するには、相手先企業の存在が不可欠です。そのほかに、適切なタイミングと資金、そして学術的(鉱床地質学)な洞察力が要求されます。それらがそろうことで、当社にとって質の高い投資案件を得ることができます。この中でもっとも安価に入手できる可能性のあるものが、人材です。たとえば当社のナンバー2の地質学者が別の会社に引き抜かれたら、商売自体は容易に模倣できます。この課題は当社に限らず不変のもので、やがては顕在化するリスクだと予想します。

ただしすでに成立している契約案件は確定的です。そのため、当社の企業価値を判断する上では、あくまでも過去を評価し、将来の発展性はボーナスと考えるようにしています。

3. 他社の参入による事業拡張機会の減少
当社の事業に参入するには、資本と学術的能力と交渉力があれば可能で、参入障壁はあまり高くありません。そのためシルバーやゴールドの価格が高値の水準に戻れば、新規参入が増えると思われます。その場合、当然ながらパイを争うことになり、投下資本利益率は下がるでしょう。

これについては当社経営陣の規律が試されるときであり、ひとりの個人投資家としてできることと言えば、過去の実績を振り返るぐらいです。当社の投資家向けプレゼンテーション資料(2014年9月版)で、過去の契約実績が図示されていました。それによれば、2011年のシルバー価格高騰前後の時期には新規契約を締結していません。このことから、現在の経営陣は一定の規律を保っていると評価できそうです。



■シルバーETF(銘柄コード:SLV、英名:iShares Silver Trust)
- Google Finance 株価

シルバーのETFが上場されてからは、基本的にSLVを対象に資金を投じてきました。しかし上述したように今回はシルバー・ウィートン(SLW)に興味を持ち、SLVのほうはある程度売却して乗り換えることにしました(SLV売却にともなって、損失を確定しました)。ただしSLWとは値動きが異なるため、価格下落時に追加投資する際には、相対的に割安な銘柄のほうにしたいと考えています。


■その他のシルバー関連の投資
上記以外にもシルバーに関する投資先がありましたが、ポートフォリオに占める割合がわずかなので、それらの説明は省略します。なおシルバー関連の全投資を単一の銘柄としてとらえれば、ポートフォリオに占める割合は主力級となりました。