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2015年4月2日木曜日

不要な時にたくさんあり、必要な時にほとんどない(ハワード・マークス)

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ハワード・マークスの新しいメモが公開されていました。今回は流動性(Liquidity)についてです。いつものように機関投資家向けの文章なので、そのまま個人投資家に当てはまるものではありませんが、本質的な考えは同じだと思います。今回引用するのは「流動性のイロハ」に当たる文章です。(日本語は拙訳)

Liquidity [PDF] (Oaktree Capital Management)

たいていの場合、資産を売却したい気持ちが高まるほど(保有しているのが怖くなったから)、保有者がそれを売却できる能力は減少します(保有することをだれもが恐れるから)。そのためまず言えるのが、流動性を必要としないときほど流動的になりがちな点で、もう一つ言えるのが、もっとも必要とするちょうどそのときこそ流動性は手に入れにくい点です(今月初めに公開されたバークシャー・ハサウェイの2014年度年次書簡で、ウォーレン・バフェットは忌避しているものを次のように表現しています。「そういった現金相当物は、要求に応じて流動性を提供され、実際そうなりますが、本当に必要なときはそうなりません」)。実際のところ、売るときよりも買うときのほうが流動的になりがちだと言えます。(p.2)

Usually, just as a holder's desire to sell an asset increases (because he has become afraid to hold it), his ability to sell it decreases (because everyone has also become afraid to hold it). Thus (a) things tend to be liquid when you don't need liquidity, and (b) just when you need liquidity most, it tends not to be there. (In the 2014 Berkshire Hathaway Annual Letter, released early this month, Warren Buffett expresses his dislike for "substitutes for cash that are claimed to deliver liquidity and actually do so, except when it is truly needed.") The truth is, things often seem more liquid when you buy than when you go to sell.

10年に一度の暴落がきたときに流動性を供給して大安売りを買いあされるようにと、常に大量の現金のまま備えておく。しかし、それが良い考えだとは言えないかもしれません。部分最適同然かもしれないからです。1990年から1991年、2001年から2002年、そして2008年から2009年であれば、そのやりかたでうまくいったでしょう。しかしこの25年間でそれ以外だった19年間は、一体どうなったでしょうか。

非流動性に対する不安が昂じることで、それを避けようとする投資家が行き過ぎた行動をとる可能性があります。たとえば、その性質上長期投資のアプローチを許されている機関投資家が、投資する対象を素早く退出できるものに限定することがあります。これは慎重さゆえの判断なのでしょうか、それとも単に部分最適しているだけなのでしょうか。脅威の実現する可能性が合理的に考えられる上での反応なのか、それとも危機に際した記憶(「先の戦争を戦った」)が鮮明だからでしょうか。現実的なものなのか、あるいはポートフォリオ全体を今すぐ現金化したいという非合理的な願望によるものでしょうか。それとも、上司や投資委員会からの売却命令に常に従えるようにする決まりだからでしょうか。(他の条件がすべて同じであれば)流動性とは良いものです。しかし、予想される換金要求よりも大量の流動性を持つようにポートフォリオを構成するのは、賢明と言えるでしょうか。流動性は無料ではないことを思い返してください。たいていは、別で使われた場合のリターンという形での費用がかかっています。

私が思うに、この流動性の問題に取り組む最良の方法は、ポートフォリオをとらえる上で流動性の高いものから完璧に非流動的なものまで層をなしていると考えるやりかたです。ある時点における各階層の適切なサイズは、各投資家の固有の状況によって決まります。また同じように、市場がサイクルにおいてどの位置にあるかも検討材料になります。

言うまでもなく、各層の大きさを決める上で現実が許す以上の非流動性は背負い込まないことです。2008年には深刻な結末をむかえた基金がありました。ポートフォリオに必要と考えられる条件には、次のようなものがあります。第一に、ポートフォリオの保有者が現在の運営上必要とする現金需要を満たすこと。第二に、ロックアップ中の[投資先]ファンドが分配をしない間、資金の減少を賄えること。第三に、下落した価格で資産を売却せねばならない事態を避けられること。そのため、状況が悪いときでもそれらのニーズを満たせるように、ポートフォリオの流動性を設定すべきです。

しかし、悪いとは一体どう悪いということでしょうか。直近で悪かった年に対応できればよいのか、それとも直近で悪かった年の5回分の平均か、それとも過去最悪の年か、あるいは別の観点の悪さか。それについては、なんらかの判断を下す必要があります。(p.5)

But it may not be a good idea to always sit with a large amount of cash so as to be able to provide liquidity and scoop up bargains in a once-a-decade crash. This may equate to sub-optimizing. It would have paid off in 1990-91, 2001-02 and 2008-09, but what about the other 19 years in the last 25?

A high degree of concern over illiquidity can push investors to avoid it to excess. For example, institutions whose realities could permit a long-term investment approach sometimes decide to invest only in things they can get out of quickly. Is this prudence, or merely sub-optimizing? Is it done in response to a threat that has a reasonable likelihood of materializing, or to a crisis while it is fresh in memory ("fighting the last war")? Is it realistic, or the result of an irrational desire to be able to turn the whole portfolio into cash in short order? Or is it done in orders to always be able to comply with a sell order from the boss or the investment committee? Liquidity is a good thing (everything else being equal). But is it smart to require that a portfolio be able to provide more liquidity than is ever likely to be called on? Let's remember that liquidity isn't free. There's usually a cost, and it comes in the form of return forgone.

I think the best way to deal with the issue of liquidity is to think of the portfolio in terms of layers ranging from highly liquid to totally illiquid. The appropriate size for each layer at a given point in time is a function of each investor's specific situation, as well as the position of the market in its cycle.

In sizing those layers, it's clear that no investor should shoulder more illiquidity than its realities permit, as happened in 2008 with serious consequences for some endowments. Portfolios may be required to (a) meet their owners' needs for current cash with which to operate, (b) fund capital drawdowns at a time when lock-up funds aren't making distributions, or (c) enable the owners to avoid having to sell assets at depressed prices. Thus portfolio liquidity should be set so these needs can be met in bad times.

But how bad is bad? Should the portfolio have to respond to the last bad year, the average of the last five bad years, the worst year ever... or something worse? These decisions require judgment.

2014年3月16日日曜日

いつか来た道(セス・クラーマン)

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ヘッジファンドBaupostのボスであるセス・クラーマンが、ファンドの投資家向けに昨年度のレターを出していました。彼の文章がおもてに出てくることは少ないのですが、今回は以下のサイトで一部が引用されていました。そのうちのさらに一部(文章全体の末尾の箇所)をご紹介します。(日本語は拙訳)

Seth Klarman 2013 Letter To Investors: The Truman Show (Outlier Allocators)

「やがて、いつの日か」

いつの日か金融市場は再び下降するでしょう。いつの日か株式や債券市場が上昇することは政府の政策ではなくなるでしょう。今日や明日でないにしても、たぶんいつかやってきます。いつの日かQE(量的緩和政策)は終わりを告げ、現金が無料ではなくなるでしょう。いつの日か企業破たんが認められるようになり、いつの日か経済は再び縮小するでしょう。投資家はいつかどこかで何らかの形で資金を失い、投機よりも資産を保全することがふたたび好まれるようになるでしょう。いつの日か金利は上昇し、債券価格は下落するでしょう。そして固定金利の金融商品を保有することで期待されるリターンは、ほぼリスクに見合ったものへと立ち返るでしょう。

いつの日かプロの投資家が仕事に出てきたときに恐怖が市場を襲い、野火のように広がっていくでしょう。悪いニュースが流れ込み、市場は厳しく下落するでしょう。

「いつか来た道」

市場が反転すれば、投資家が見聞きしていたあらゆる物事は上下が逆転し、表裏が反転するでしょう。「下落は買いどき」は「何をねぼけていたのだ」に置き換わり、もうこれ以上悪くならないと投資家が確信するときに、まさにそこから悪くなっていくでしょう。あのころならいつでもリスクを回避できたのにとか、投資で儲けたことによるどんな喜びよりも損失を出す痛みのほうがずっと不愉快なことを、苦々しくも思い返すでしょう。買うほうが売るよりも易しかったとか、弱気相場ではゴキブリホイホイへと変わる投資があまりにも多いこと、つまり「入口はあっても出口はない」ことを知らしめてくれるでしょう。いつもは相関しないはずの投資が、一時的ながらも著しく連動するようになるでしょう。弱気相場になると投資家は常に試されるようになり、その上でさらに試されます。貧弱なポジションをとっていて準備のできていない者はだれでも、下落の道は長くつづくと感じるでしょう。無傷で切り抜けられる者はほとんどおらず、いたとしてもわずかにとどまるでしょう。

6年前には身のほどを知らない投資家がたくさんいました。賢さを鼻にかけたものの試練にさらされていなかった仕組商品が焦げ付き崩壊したことで、巨大金融機関はひざを屈することとなりました。金融機関や機関投資家は危機的な損失に苦しみました。そして生き残った者は、これからはもっと慎重にやって、おごることなく、短期的に考えないようにとみずからに誓いを立てました。

しかしここにふたたび熱狂的な環境へと足を踏み入れたことで、あらゆる理屈を超えて価格が上昇する証券が出てきました。借り入れの姿が戻ってきた市場や資産クラスが増えて、注意を払うことは一般的でないとみられる一方で、リスクをとるほうがより慎重な道のりとみなされるようになりました。2008年に学んだ教訓が一時的でしかなかったのも当然です。傲慢と恐れ、そして天井とどん底は避けがたく繰り返していきます。この上昇が終わるのはいつなのか、それはわかりません。しかしいつかは終わります。そして終わりがくれば流れが逆転することはたしかです。その心構えができている人はわずかでしょうし、実際に用意ができている人もわずかでしょう。

"Someday…"

Someday, financial markets will again decline. Someday, rising stock and bond markets will no longer be government policy - maybe not today or tomorrow, but someday. Someday, QE will end and money won't be free. Someday, corporate failure will be permitted. Someday, the economy will turn down again, and someday, somewhere, somehow, investors will lose money and once again come to favor capital preservation over speculation. Someday, interest rates will be higher, bond prices lower, and the prospective return from owning fixed-income instruments will again be roughly commensurate with the risk.

Someday, professional investors will come to work and fear will have come to the markets and that fear will spread like wildfire. The news flow will be bad, and the markets will be tumbling.

"Here We Are Again"

When the markets reverse, everything investors thought they knew will be turned upside down and inside out. "Buy the dips" will be replaced with "what was I thinking?" Just when investors become convinced that it can't get any worse, it will. They will be painfully reminded of why it's always a good time to be risk-averse, and that the pain of investment loss is considerably more unpleasant than the pleasure from any gain. They will be reminded that it's easier to buy than to sell, and that in bear markets, all too many investments turn into roach motels: "You can get in but you can't get out." Correlations of otherwise uncorrelated investments will temporarily be extremely high. Investors in bear markets are always tested and retested. Anyone who is poorly positioned and ill-prepared will find there's a long way to fall. Few, if any, will escape unscathed.

Six years ago, many investors were way out over their skis. Giant financial institutions were brought to their knees when untested structured products that were too-clever-by-half turned toxic and collapsed. Financial institutions and institutional investors suffered grievous losses. The survivors pledged to themselves that they would forever be more careful, less greedy, less short-term oriented.

But here we are again, mired in a euphoric environment in which some securities have risen in price beyond all reason, where leverage is returning to many markets and asset classes, and where caution seems radical and risk-taking the more prudent course. Not surprisingly, lessons learned in 2008 were only learned temporarily. These are the inevitable cycles of greed and fear, of peaks and troughs. Can we say when it will end? No. Can we say that it will end? Yes. And when it ends and the trend reverses, here is what we can say for sure. Few will be ready. Few will be prepared.


蛇足その1です。おとといの3/14(金)に市場全体が下落しました(TOPIXで-3.22%)。その際に、新規の銘柄へ若干ながら投資しました。常々考えている買値の基準とくらべて2割は高かったのですが、自分自身に対する言い訳はともかく、セス・クラーマンの言うとおり「買いは易し」だと実感しました。

蛇足その2です。セス・クラーマンの書く原文には印象に残るリズムがよく登場します。彼に限らず、著名なマネージャーの書く文章には工夫が凝らされており、顧客をうまく惹きつけていると思います。セス・クラーマンの文章では簡潔で清潔感のあるレトリックが使われており、わたしがよく読む書き手の中ではもっとも詩的な匂いが感じられる文章です。

蛇足その3です。今回の原文記事では映画"The Truman Show"の話題が登場しています。1998年に公開された同作品は、わたしも劇場で鑑賞しました。映画『マスク』が公開されたときにジム・キャリーのファンになってから、彼がシリアスな作品に登場するのを待っていたときの一本でした。その年観た封切作品の中で3本指に入るお気に入りでした。いい作品です。

2014年2月16日日曜日

バークシャー・ハサウェイの現金比率

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前々回の投稿ではスティーブン・ローミックが率いるファンドの現金比率を取り上げました。今回はウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイについて過去10年間ほどの推移をみてみます。原資料は同社の10-K及び10-Qです。

<金融資産における現金比率>
はじめの図はおもな金融資産(現預金、債券、株式)の構成比を示したものです。ここで「その他の投資」という項目も登場していますが、2008年以降に大きく発生しています。これはゴールドマン・サックスやGE社などへの優先株投資の割合が大きいため、債券に近いものとみなしました。


この図からは次のようなことがみてとれます。

1. 現預金の比率は低下傾向
しかし、金融危機以降は横ばいがつづいています。

2. 2013年9月末時点で、現預金や債券の割合は全体の4割程度
債券投資のうちの1/3は外国政府債で、もう1/3は一般企業の債券です。米国財務省証券や地方政府債の比率は大きくありません。その意味で、完全に流動的であるとは言いきれない保有構成です。

3. 現預金や債券比率が相対的に高水準だったのは2004-2006年
当時は純利益も横ばい基調であり、そのせいか株価も停滞していました。

この図をもとにすれば、バークシャーにおける現金+債券の比率は4割程度に達していると判断できます。

<総資産における現金比率>
しかしバークシャーにはもうひとつ重要な側面が残っています。買収した事業会社に関する資産です。それら子会社の資産を含めた上でバークシャーの資本配分の推移を示したものが、次の図です。


さきほどの観察と大きく変わるのが次の2点です。

1. 事業会社の割合が増加
現預金等の比率が低下すると共に、特に2006年から事業会社の比率が増加しつづけています。これはおもにエネルギー会社で株式転換したり鉄道会社を買収し、さらに資本を継続投下したためです。ここで留意したいのは、それら企業自身も借入れを行っていることです。そのため、グロスの資産という観点ではレバレッジがかかっています。

2. 現預金や債券等の割合は10%強まで低下

このことから、バークシャーの資本政策からは次のようなねらいがうかがえます。

1. 相対取引でビジネスを買うことに活路を見いだすこと
現在のバークシャーの資本規模では、それを有効に生かせる機会が株式市場ではなかなかみつからない、と解釈できます。2008年の金融危機のときには投資する機会があったと思われますが、多くはゴールドマンやGEといった企業へ優先株の形で投資されました。これには、金融危機を側面から救済する目的があったのかもしれません。それでもさらなる下落に備えて余剰現金を残す必要があり、結局は1987年のコカ・コーラ的な買いには到らなかったのかと想像します。

2. 償却期間の長い投資を早い段階で実行すること
よく言われるように、今後予想されるインフレに備えて先払いしたほうが有利な投資にバークシャーは注目しているようにみえます(鉄道やエネルギー会社)。そのためには、安くはない値段であっても、相対取引によって早めに機会を手にしておいたほうがよいと判断しているように思えます。

個人的には、このアイデアは参考にしていきたいと感じています。「ゴールドに投資するよりもビジネスに投資したほうがよい」と発言した真意が感じられるやりかただとも思います(過去記事)。

<総資産の構成(金額ベース)>
最後の図です。上の図は資産を比率ベースで示していますが、絶対額ベースにすると以下の図になります。


この図をみると、現預金+債券の絶対額は微増しています。増加した余剰資金を消化するのが精一杯のようにもみえます。

<おわりに>
バークシャーのことを「ウォーレン・バフェットの投資会社」と表現されることがあります。その表現が当たっているのもたしかですが、もうひとつの側面を見落とさないようにしたいと感じています。それはバークシャーが時と共に変容し、今では「ユニークな性質をもった、そこそこ普通の持ち株会社」になったことです。自分自身の資産管理の観点では、先に取り上げたスティーブン・ローミック的なやりかたはわかりやすく、親しみを感じます。しかし資本配分の究極である当社の姿にも、全部まるごとではないにせよ、学べる点は十分に残されていると思います。

2014年2月12日水曜日

風にさからって進もう(スティーブン・ローミック)

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FPAのファンド・マネージャー、スティーブン・ローミックのやりかたには共感しており、何度か取り上げてきました。直近にご紹介した文章はポートフォリオの比率に関するものでしたが(過去記事)、今回ご紹介するのも同じ話題です。基本的な方針は全く変わっていないものの、この3か月間でポートフォリオがどのように微調整されたか要約されています。(日本語は拙訳)

FPA Crescent Fund Quarterly Commentary 4th Quarter (January 22, 2014) [PDF]

強風が吹く世の中ですが、我々は風に逆らうところがあります。つまり向かい風のときに買い、追い風のときに売りがちだという点です。現在は後者の傾向が強く、ご察しのように我々が株式に資金を投じている割合は、2013年には減少しました。好ましい市場環境だったので、16件の買い持ちポジションを売却しました。1つだけ損失を出しましたが、平均利益は買値の64%でした。また新規に9件を投資しました。その結果、市場が上昇しつづければ残念なこととなりますが、我々の正味株式資産の割合は1年前の61.3%から51.8%へ減少しました。我々の場合、株式の割合を決めるのは株式の価値とリスク対報酬によってであり。株式市場の動向ではありません。仮に明日の株価を今教えてくれたとしても、リスク対報酬の観点で興味をひかなければ、当然ながら我々は売り越すことになります。

現在は安い状況ではありません。GDPと比較した割合でみると、株価は頂点間近に迫っています。これより高かったのはドットコム・バブルの絶頂期だけです。


we live in a windy world but we're in the habit of leaning into it. We tend to buy with the wind in our face, and sell with it at our backs. Right now, there's more of the latter so, as you'd expect, our equity exposure declined during 2013. The favorable market allowed us to sell sixteen long equity positions during the year, at an average gain of 64% from cost, with just one generating a loss. We initiated nine new positions. The byproduct of this - unfortunate if the market continues to rally - is that our net equity exposure declined to 51.8%, down from 61.3% a year ago. We will let valuation and risk/reward guide our exposure, not the stock market. If the market gives us tomorrow's prices today and the risk/reward becomes unattractive, then we are unsurprisingly net sellers.

Things aren't cheap. Equity values, as a percentage of GDP, are near their peaks. The only time they were higher was at the apex of the dot com bubble.

過去記事「株式時価総額とGDPの比較グラフ」でも似たようなグラフをご紹介しています。そちらのグラフとは変動幅が若干異なっているようですが、傾向としては同じ方向を指し示しています。

2013年11月10日日曜日

バリュー投資家ウォーリー・ワイツの現金比率

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ネブラスカ州オマハと言えばウォーレン・バフェットの本拠地です。しかしその土地には、ずっと地味ながらもそれなりに注目されてきた別のバリュー投資家がいます。ウォーリー・ワイツ氏です。今回ご紹介するのは、彼のファンドにおける現在のポートフォリオの現金比率について、米ブルームバーグの記事から引用します。(日本語は拙訳)

Weitz to Yacktman Hoard Cash as Value Managers Find Few Bargains (Washington Post with Bloomberg)
(ワイツからヤクトマンに到るバリュー投資家、掘り出し物がみつからず積みあがる現金)

ミューチュアル・ファンド[=投資信託]のマネージャーであるウォーリー・ワイツは安いと思える株式を買ったことで、過去5年間の成績は同業者の中で上位10%に入った。その彼が、最近はお買い得がほとんどみつからず、手持ち現金が増えるままにしている、と言う。

「すごいアイデアを新しく見つけられるほうがずっと楽しいのですが」、ネブラスカ州オマハにいるワイツに電話でインタビューをすると、そう答えた。彼のファンドのひとつであるワイツ・バリュー・ファンドは預かり資産が1100億円だが、現金や財務省短期証券で保有している割合は9月30日現在で29%になる。「我々は市場がくれるものを頂戴するのですが、今は何もくれませんね」、彼はそう言った。

ワイツが寝かせている現金は、彼の30年間にわたる経歴の中で最高水準に近づいている。これはドナルド・ヤクトマンやチャールズ・ドゥ・ボーといった同業者と同じだ。彼らの話でも、株価は過去最高水準に達しており、お買い得は見出しがたいとのことだった。彼らは、この5年間で株式の上げ相場が4年つづいている現在は現金でいたほうが安全と考え、より高い成績をあえて追いかけない。

プライベート・エクイティーの経営陣レオン・ブラックやウェスリー・エデンスは「行き過ぎた高値になって、売り手市場と化していく」と言っており、ワイツの見解はこれと同調している。またヘッジファンドのマネージャーであるセス・クラーマンは、預かり資産を妥当な水準に保つために資産の一部を顧客へ返還している。

米国株ファンドにおける現金資産の平均は8月31日の時点で、1年前と比較して3.7%から5%へ増加した。シカゴのモーニングスター社のデータによれば、議会が先週合意に達し、暫定的に停止していた連邦政府業務が再開されたことで、S&P500指数が新高値を付け、2013年の上昇率は23%となった。

Wally Weitz, the mutual-fund manager who beat 90 percent of rivals in the past five years by buying stocks he deemed cheap, says bargains are so scarce these days that he's letting his cash holdings swell.

"It's more fun to be finding great new ideas," Weitz, whose $1.1 billion Weitz Value Fund had 29 percent of assets in cash and Treasury bills as of Sept. 30, said in a telephone interview from Omaha, Nebraska. "But we take what the market gives us, and right now it is not giving us anything."

Weitz, whose cash allocation is close to the highest it's been in his three-decade career, joins peers Donald Yacktman and Charles de Vaulx in calling bargains elusive with stocks near record highs. They're willing to sacrifice top performance for the safety of cash as stocks rally for a fourth year in five.

The mutual-fund managers' comments echo private-equity executives Leon Black and Wesley Edens, who say steep prices make this a seller's market. Hedge-fund manager Seth Klarman is returning some client capital to keep assets in check.

The average amount of cash in U.S. equity funds increased to 5 percent as of Aug. 31 from 3.7 percent a year earlier, according to data from Chicago-based Morningstar Inc. That's even as the Standard & Poor's 500 Index rose 23 percent in 2013 after reaching new peaks in the wake of last week's congressional agreement to end the partial U.S. government shutdown.

2013年11月4日月曜日

ガソリンたっぷりの人たち(スティーブン・ローミック)

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FPAのファンド・マネージャーであるスティーブン・ローミックが四半期のレターを出していました。今回は、ポートフォリオの比率に関する話題を引用します。(日本語は拙訳)

FPA Crescent Fund Quarterly Commentary 3rd Quarter (October 8, 2013)

ここ最近の状況ですが、ガソリンたっぷりの人たちがご親切なことに、潜在的な損得勘定を考えるともう魅力がないと思える水準まで、我々の投資先の価格を押し上げてくれました。 頭は正直に、そして心は冷静でいたいと願う以上、この機会に乗じていくらか売却する以外には手がないと考えました。その結果、現在の保有株式銘柄数は46となり、2012年に最大だった時より7つ減少しました。2013年にポートフォリオからはずした11社への投資はすべて利益をだし、平均64%のゲインをあげました。銘柄数が減り、また魅力的な機会が少なくなったことで、買い持ち分の株式合計の割合は2012年末に63.8%だったものが54.2%まで縮小しました。しかし個々の証券のエスクポージャー[価格変動リスクの度合い]はそれに比例して減少してはいません。ほかよりも株価が好調な企業があったところで、それが常に正当だとは言えないからです。[当ファンド]クレセントの正味分の状況としては、有効流動性[=現金等価物]の割合が39.4%へ上昇しました。以前にも述べましたが、機会がめぐってきたときには、この流動性がきっとふたたび我々の味方となってくれるでしょう。

In the meantime, we've taken advantage of the kindness of others who seem to have plenty of petrol and have bid up many of our investments to a point where we find the risk/reward unattractive. To remain intellectually honest and clinically dispassionate, we have found ourselves with little alternative but to make some sales. The number of equity positions now number 46 as a result - 7 fewer than our 2012 peak. Each of the eleven companies purged from the portfolio in 2013 were profitable investments, posting an average gain of 64%. Fewer names and little in the way of attractive opportunities have caused our gross long equity exposure to shrink to 54.2%, down from 63.8% at 2012 year-end. Individual security exposure has not declined ratably, however, as some companies have seen their stock prices perform better than others, and not always justifiably. The net result is that Crescent's available liquidity has increased to 39.4%. As has occurred in the past, we expect that liquidity will inevitably be our friend again once opportunity returns.

2013年7月23日火曜日

長い目で見て、より利益のあがる銘柄には投資しない(セス・クラーマン)

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ファンド・マネージャーのセス・クラーマンの著書『Margin of Safety』からのご紹介です。今回は投資成績を評価する際の2つの方針、絶対的基準と相対的基準の話題です。前回同様、第7章「バリュー投資思想の本質をなすもの」(At the Root of a Value-Investment Philosophy)から引用します。(日本語は拙訳)

なお相対的基準による評価については、以前の投稿でとりあげられています。

絶対的な評価基準で成績を追求する投資家は、相対的な評価基準で追求する投資家とくらべると、長期的な視点で臨むことが多い。相対評価志向の投資家は一般的に、長期にわたって成績が低迷するのを嫌がったり、我慢することができない。そのため、なんであろうと現時点で人気があるものに投資する。それ以外のことをすると、短期的な成績を危うくするからだ。魅力ある絶対リターンが長期にわたって続くことが明らかであっても、短期的には成績が低迷するおそれがあるならば、相対評価志向の投資家は実のところ、その機会をやり過ごすかもしれない。それに反して絶対評価志向の投資家は、成果を得るまで時間がかかるかもしれないが、損失を出すリスクが小さい不人気の銘柄を好む傾向がある。

絶対評価志向と相対評価志向が明らかに大きく異なるのは、余裕資金を投資する戦略の違いにもあらわれている。相対評価志向の投資家は、通常はどんなときでも全額投資の道をえらぶ。というのは現金を残していると、市場が上昇しているときに遅れをとってしまいがちだからだ。彼らの目標は最低でも市場と同水準、願わくば市場に勝つことである。そのため、特定の投資先へ早々に投じられていない現金があれば、市場と連動するインデックスへ投資せざるをえない。

それとは反対に絶対評価志向の投資家は、お買い得がみつからないときには余剰現金を寝かせたままにすることを良しとする。現金は流動性が高い上に、ちょっとしたリターンを生んでくれる。ときには名目ベースでうれしい利率、つまりインフレ率を上回ってくれたりする。現金はその流動性ゆえに、最小限の取引費用で他の投資先へとすばやく振り向けられるという自由をもたらしてくれる。加えて、他のものを保有するのとは異なり、現金には機会費用(将来、掘出し物を棒に振った場合の損失)を課されるリスクがない。というのは、市場が下落しても現金の価値は低下しないからだ。(p.108)

Absolute-performance-oriented investors usually take a longer-term perspective than relative-performance-oriented investors. A relative-performance-oriented investor is generally unwilling or unable to tolerate long periods of underperformance and therefore invests in whatever is currently popular. To do otherwise would jeopardize near-term results. Relative-performance-oriented investors may actually shun situations that clearly offer attractive absolute returns over the long run if making them would risk near-term underperformance. By contrast, absolute-performance-oriented investors are likely to prefer out-of-favor holdings that may take longer to come to fruition but also carry less risk of loss.

One significant difference between an absolute- and relative-performance orientation is evident in the different strategies for investing available cash. Relative-performance-oriented investors will typically choose to be fully invested at all times, since cash balances would likely cause them to lag behind a rising market. Since the goal is at least to match and optimally beat the market, any cash that is not promptly spent on specific investments must nevertheless be invested in a market-related index.

Absolute-performance-oriented investors, by contrast, are willing to hold cash reserves when no bargains are available. Cash is liquid and provides a modest, sometimes attractive nominal return, usually above the rate of inflation. The liquidity of cash affords flexibility, for it can quickly be channeled into other investment outlets with minimal transaction costs. Finally, unlike any other holding, cash does not involve any risk of incurring opportunity cost (losses from the inability to take advantage of future bargains) since it does not drop in value during market declines.


「機会費用」という言葉の重要性は、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーのどちらも強調しています。以下は過去記事へのリンクです。

超低金利を甘受する(ウォーレン・バフェット)
一文で済ませていいのですか(チャーリー・マンガー)

2013年5月21日火曜日

バークシャーがいるニッチの世界(ウォーレン・バフェット)

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少し前にも取り上げましたが(過去記事)、2013年5月開催のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会のトランスクリプトがあちこちで公開されているようです。以下のノートからお借りして、個人的に印象に残った質疑応答を何点かご紹介していきます。

Berkshire Hathaway Annual Meeting 2013 (PDFファイル) (csinvesting)

<質問17: ダグ・カース> ウォーレン、いいですか!

<ウォーレン・バフェット> ダグさん、いいですよ!!

<ダグ> あなたの投資した対象があげるリターンは、あなたご自身の評判に帰するところが大きいと思いますが、後継の方に代わるとどうなるものでしょうか。

<ウォーレン> わたしの後を継ぐ人は、市場で問題が生じた際にわたしより多額の資金を扱っていると思います。そういうときに資金が残っている人はほとんどいませんし、その資金を投じようとする人はさらに稀です。そんな動乱のときに資本を有しているというのは並大抵ではなく、多額の資金を以って二つ返事で応じられるというのは、際立った存在なのです。わたしの後継者も、よそからお願いされたら喜んで資金を投じると思いますよ。バークシャーというのは、市場がパニックになった時に電話をもらう会社です。2008年には何度かありましたし、2011年にも一度ありました。これはバークシャーの主要業務ではないのですが、ダウ平均が数日間のうちに1,000ポイントでも下落したときには、きっとご連絡いただけると思います。わたしがいなくなった後でも同じことをやれば、バークシャーの評判はもっと強固になるでしょう。「バークシャー」ブランドはいっそう高まるはずです。

<チャーリー・マンガー> 初期のころのウォーレンは、競争が少なかったので大成功をおさめられました。その後、競争は激しくなりましたが、現在の我々は巨大なビジネスへ資金を提供するというニッチの世界にいます。彼らは他人からコントロールされたくないので、そうするのですね。この世界ではあまり競争がありません。ですから過去と同じ場所にとどまるべきだったとするのは、不合理な考えです。よそには連絡がいってないのですから。

<ウォーレン> 他のところは、資金がない上にすぐに動こうとも考えていなかったのですね。この領域はわれわれにぴったりです。わたしが去った後でも、そういった特質はバークシャーに残り続けるでしょう。

<チャーリー> それこそ私の望むところですね。

Q17, Doug Kass: [assertively] Warren, …

WB: [assertively] Doug, …

Q17, cont: Much of your returns from your investments have been premised on your reputation, what about successor?

WB: My successor will have more capital than me when markets are in distress. At those times few people have capital and even fewer have willingness to commit. It is unusual to have capital at times of turbulence, when ability to say yes quickly with large sums sets you apart. I would not worry about that successor being willing to deploy and being called upon. Berkshire is the 1-800- number when there are panics in markets. It happened a couple times in 2008 and once in 2011. Not our main business, but if Dow falling down a 1000 points for a few days, they will call Berkshire. Our reputation will become even more solidified, when Berkshire does it when I'm not around. It becomes even more the Berkshire brand.

CM: In the early days, Warren had huge success because competition was small. Then competition was more intense. Now we are in in the niche of offering capital to big businesses who don't want to be controlled by somebody else - and this is less competitive. It is ridiculous to think the past was a place we should have stayed. The other people are not getting calls.

WB: They don't have money and are not willing to act immediately. This area is very much our own. These qualities will remain with Berkshire after I'm gone.

CM: That is what I like about it.

昨年の総会でも、本質的に同じ話題が登場していました(過去記事)。チャーリーやウォーレンが繰り返して話してくれるこの話題は、「大切なこと」だけれど「なかなか身につかないこと」ととらえています。

2013年5月18日土曜日

全額投資について(セス・クラーマン)

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ファンド・マネージャーのセス・クラーマンの著書『Margin of Safety』からの引用です。前回につづいて今回も第3章「成績競争にいそしむ機関投資家、負けるのは顧客」(The Institutional Performance Derby: The Client Is the Loser)からご紹介します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

繰り返しになりますが、Wikipediaによれば、同氏のファンドBaupostは預かり資産3兆円近くに達するヘッジファンドです。

資金全額を常時投資することについて

機関投資家は常に資金全額を投資することを自ら強要しているため、あまり柔軟に対応できないことが多い。自分の仕事は銘柄を選ぶことであり、マーケット・タイミング(投資する時期)をはかることでない、と彼らの多くは解釈している。顧客のほうがマーケット・タイミングを判断した上で、全額を投資するように資金をゆだねている、と機関投資家は信じているのだ。

資金全額を常時投資するとなれば、投資という仕事はたしかに単純なものとなる。投資家は現時点で有効な最善の投資をえらぶだけでよくなるからだ。相対的にみたときの魅力の多寡が投資をきめる唯一の判断基準となり、絶対的な水準には照らしあわせないことになる。全額投資するという単なる規則にしたがって基準以下の投資をする人は、投資における利点という重要な基準を残念ながら理解していないか、うしなっている。よくて月並みなリターンを生むにおわり、悪ければこれからくる良き投資機会を失うという高い機会費用を支払った上で、巨額の損失に至るリスクもかかえることになる。

常時全額投資という方針は、相対評価志向と通じるものがある。市場に打ち勝ち、かつ大きく離されないことが目的だとすると(特に短期的な視野で)、100パーセント投資しつづけるのは理にかなっている。あえて待機するよう指示されている以外のファンドは、市場の成績を下回らないためには資金を市場へ投下せざるをえない。

それとは対照的に、絶対評価志向にもとづく投資家は、絶対的な価値基準に見合うときだけ投資に踏みきる。見合った機会がふんだんにあり、なおかつ確信に足る魅力があるときだけ全額投資をえらぶだろうし、その条件がどちらも満たされなければもっと少ない金額しか投資しない道を好むだろう。投資の世界では、なにもしないことが最善というときがある。しかし機関投資家のマネージャーは競争相手の大多数が同じほうへ傾かないかぎり、この別案を採用したがらない。(p.44)

Remain Fully Invested at All Times

The flexibility of institutional investors is frequently limited by a self-imposed requirement to be fully invested at all times. Many institutions interpret their task as stock picking, not market timing; they believe that their clients have made the market-timing decision and pay them to fully invest all funds under their management.

Remaining fully invested at all times certainly simplifies the investment task. The investor simply chooses the best available investments. Relative attractiveness becomes the only investment yardstick; no absolute standard is to be met. Unfortunately the important criterion of investment merit is obscured or lost when substandard investments are acquired solely to remain fully invested. Such investments will at best generate mediocre returns; at worst they entail both a high opportunity cost - foregoing the next good opportunity to invest - and the risk of appreciable loss.

Remaining fully invested at all times is consistent with a relative-performance orientation. If one's goal is to beat the market (particularly on a short-term basis) without falling significantly behind, it makes sense to remain 100 percent invested. Funds that would otherwise be idle must be invested in the market in order not to underperform the market.

Absolute-performance-oriented investors, by contrast, will buy only when investments meet absolute standards of value. They will choose to be fully invested only when available opportunities are both sufficient in number and compelling in attractiveness, preferring to remain less than fully invested when both conditions are not met. In investing, there are times when the best thing to do is nothing at all. Yet institutional money managers are unlikely to adopt this alternative unless most of their competitors are similarly inclined.

2012年10月1日月曜日

超低金利を甘受する(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットの伝記『スノーボール』を書いたアリス・シュローダーへのインタビュー記事がThe Globe and Mailにありましたので、ご紹介します。ウォーレンが余裕資金を満額投資せずに待機させておく話題です。(日本語は拙訳)

引用元の記事: For Warren Buffett, the cash option is priceless

シュローダー女史は、バフェット氏の伝記を書く前から彼のことを何年も追ってきた。その彼女がこう論じる。バフェットにとって現金とは、利益をほとんど上げない種類の資産ではない。むしろ、値段が付けられるコール・オプションと捉えている。現金は他の資産を買うことができるが、そのことと比べてオプションのほうが安いと思えたら、彼はよろこんで超低金利を甘受する、と彼女は言う。

「彼は現金のことをふつうの投資家とは違うようにみています」シュローダー女史はつづける。「現金の選択性、これこそ彼から学んだきわめて重要なことの一つでした。つまり彼は現金をコール・オプションと捉えています。その条件は行使期限なし、あらゆる種類の資産が購入可能、権利行使価格の指定なしです」。

これはすごく根本的な見識だ。というのは投資家が現金のことをオプションと考えるようになると、つまりそれはここぞというときに掘り出し物を買える権利の値段だが、短期的にはほとんど利益を上げられなくても心が揺らがなくなるからだ。(中略)

ネブラスカ州オマハの彼のオフィスでカウチに座って何時間も過ごしたが、読んだり考えたりするばかりで、何も起こらなかった。そうして彼のファイルをひもとく時間が続くうちに、彼女は悟った。バフェット氏はわかりやすい比喩を使って話すことが多いが、実のところ彼の投資はとても複雑なのだと。

Ms. Schroeder argues that to Mr. Buffett, cash is not just an asset class that is returning next to nothing. It is a call option that can be priced. When he thinks that option is cheap, relative to the ability of cash to buy assets, he is willing to put up with super-low interest rates, said Ms. Schroeder, who followed Mr. Buffett for years before she became his biographer.

“He thinks of cash differently than conventional investors,” Ms. Schroeder says. “This is one of the most important things I learned from him: the optionality of cash. He thinks of cash as a call option with no expiration date, an option on every asset class, with no strike price.”

It is a pretty fundamental insight. Because once an investor looks at cash as an option - in essence, the price of being able to scoop up a bargain when it becomes available - it is less tempting to be bothered by the fact that in the short term, it earns almost nothing.

Much of that time was spent on the couch in his office in Omaha, Neb., where she said nothing much happens but a lot of reading and thinking. In that time, and the hours spent digging through his files, she said she discovered that while Mr. Buffett likes to speak in folksy aphorisms, in fact, his investing is very complicated.

2012年8月24日金曜日

ポートフォリオの現金比率(ウォーレン・バフェット、1957年)

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今回はウォーレン・バフェットのパートナーシップ時代のレター(1957年度)からの引用です。おなじみになってきましたが、ポートフォリオの資産配分の話題です。(日本語は拙訳)

わたしたちのポートフォリオの価値は、1956年末よりも1957年末のほうが高いことは間違いありません。全般的に価格が安く、辛抱した末でないとお目にかかれないような破格の値段で証券が買える機会を、さらに享受できたからです。先に申し上げたようにポートフォリオ中の最大の銘柄は、パートナーシップによっては資産の10%から20%を占めています[バフェットは複数のパートナーシップを組んでいた]。いずれすべてのパートナーシップで資産の20%を占めるようにするつもりですが、急ぐべきではないと考えます。当然のことですが値段が上がっていくときよりも、横ばいか、下げているときに株を買うのがわたしたちにとっては一番だからです。そんなわけですのでポートフォリオのある程度の割合は、いついかなるときでも利益を出さないままかもしれません。辛抱することになりますが、この方針をとれば長い目でみたときにもっとも利益が得られるに違いないからです。

I can definitely say that our portfolio represents better value at the end of 1957 than it did at the end of 1956. This is due to both generally lower prices and the fact that we have had more time to acquire the more substantially undervalued securities which can only be acquired with patience. Earlier I mentioned our largest position which comprised 10% to 20% of the assets of the various partnerships. In time I plan to have this represent 20% of the assets of all partnerships but this cannot be hurried. Obviously during any acquisition period, our primary interest is to have the stock do nothing or decline rather than advance. Therefore, at any given time, a fair proportion of our portfolio may be in the sterile stage. This policy, while requiring patience, should maximize long term profits.

2012年5月22日火曜日

パニックのどん底で(チャーリー・マンガー)

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少し前の投稿の続きで、バークシャー・ハサウェイの年次株主総会での質疑応答から引用します。まずはウォーレン・バフェットがマクロの捉え方を語りますが、途中でチャーリー・マンガーが投資のタイミングについてさらっと発言しています。

<質問者> よっぱらい相手のこの市場ですので、市場全体に関わる問題を警戒して取引を控えるようなことがありますか。

<バフェット> 意外に思われるかもしれませんが、チャーリーとマクロの話題をするときは、ビジネスを売り買いする話はしないのです。ビジネスを買うのは、よくわかっているビジネスがみつかって、気に入ったときですね。世の中にはよいニュースも悪いニュースもありますが、そのときのムードとかも関係しています。そういうのは世の常だと思います。わたしが初めて株を買った頃を思い出すと、1942年の6月ですね、ミッドウェー海戦で[日本に]負けるだろうと思われていた頃です。敗戦が続き、次々と軍艦を建造していたので、年上の友人たちは街を去っていきました。2008年の10月に寄稿した例の文章[Buy American]はもう少しあとのほうがよかったですが、当時も株は十分安かったのです。

<マンガー> パニックのどん底になったときに使えるように、我々は流動性を確保しておいたのですよ。

<バフェット> そこそこ十分な金額でしたね。つまり忘れてはならないのは、明日も市場に参加できるように備えておくことです。チャーリーはデイリー・ジャーナルという小さな会社の経営者ですが、2008年になって彼は会社の余剰資金を使っていくつかの会社の株を買いました。お金は寝かせておくのではなく、使う時期だったからです。

<マンガー> こほん(咳払い)。

<バフェット> チャーリー、どこの会社の株だったのですか。ああ、そういえば彼に聞いても何も出てこないのでしたね(笑)。

Q20 - Cliff Gallant: In this drunken market, have systemic fears ever made you pause?

WB: You’ll probably find this interesting. CM and I have never had a discussion on buying or selling a business where we have talked about macro affairs. If we find a business we understand and we like it we buy it. There will always be good and bad news, it depends on moods, etc. There is a ton of that. I bought my first stock in June of 1942. We were losing the war, Battle of Midway. My older friends had disappeared, we were building battleships and we were losing. In Oct 2008 I wrote that article, should have been a few months later, but stocks were cheap.

CM: We kept liquid reserves at bottom of panic that could have been spent.

WB: A fair amount of liquid reserves. First rule is to be able to play tomorrow. Charlie runs a little company called the Daily Journal, and when 2008 came along, he bought a few stocks, that was the time to use the money not sit on it.

CM: [Cough]

WB: Was that the name of a stock Charlie? You don’t get anything out of him. [laughter]

ちなみに、デイリー・ジャーナルが投資した企業の一つは、ウェルズ・ファーゴ(WFC)ではないかと噂されています。JPモルガン・チェースがこけている今、アメリカで最良とみなされている銀行です。

余談ですが、2009年の春に同社の株価が10ドル以下に下がったので「そろそろWFCの勉強でもして、少し投資してみるか」と考えたことがありました。しかし、のんきにかまえていたせいで、あっというまに20ドル強まで値を戻してしまい、結局は買えずじまいでした。チャーリーは「備えよ、常に」と説いています。そういう反省もあり、自分の興味から外れた企業のことも勉強したいと感じるようになりました(過去記事)。

2012年5月9日水曜日

なすすべもなく見守る(セス・クラーマン)

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気に入った銘柄の「株価が下がったら買い増しする」というのは、ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーもとっている方針です(過去記事)。ヘッジ・ファンドのマネージャー、セス・クラーマンも同様のことを著書『Margin of Safety』で取り上げていますので、ご紹介します。(日本語は拙訳)

売買の際にもっとも肝心な点は、価格の変動に対して適切に応じることです。価格が下落し続けるとパニックになりがちですが、こういうときにこわがらない術を身につけなければなりません。反対に、価格が上昇しているときには浮かれて欲をださないように自制すべきです。それでは売買について学ぶべきこと、まずは前半の買い方です。わたしの考えでは、ある証券に投じる予定の資金満額を使って一度に買ってしまうやりかたは、基本的にはとるべきではありません。そうしないと、買った後に価格下落が続き、予備の資金がないまま、なすすべもなく見守ることになるかもしれないからです。一部だけを買うようにすれば、株価が下がっても残りの資金を使って平均購入単価を下げられます。

The single most crucial factor in trading is developing the appropriate reaction to price fluctuations. Investors must learn to resist fear, the tendency to panic when prices are falling, and greed, the tendency to become overly enthusiastic when prices are rising. One half of trading involves learning how to buy. In my view, investors should usually refrain from purchasing a “full position” (the maximum dollar commitment they intend to make) in a given security all at once. Those who fail to heed this advice may be compelled to watch a subsequent price decline helplessly, with no buying power in reserve. Buying a partial position leaves reserves that permit investors to “average down,” lowering their average cost per share, if prices decline.