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2012年10月12日金曜日

(回答)ビジネス・スクールの学生への質問

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前回の問い「たくさんの量を売りたい場合に値上げするのが正解なもの」に対する回答です。あくまでもチャーリー・マンガー自身によるものであり、これが唯一絶対のものではないと思います。(日本語は拙訳)

1番目は「贅沢品」です。値上げをすることで、製品を「見せびらかす」力が高まります。たとえば、これみよがしに消費する人にとってみれば、買った品物の持つ効用が大きくなります。そして人は値段が高ければ、よい製品だろうと考えがちです。これによって売れ行きが伸びることがよくあります。

2番目としては「贅沢品以外」にもいえることで、上記の2番目に述べたのと同じ理由によるものです。金額が高ければ価値も高いはずだと消費者が仮定することを、高価な金額自体に語らせるわけです。このやりかたは、殊に産業用途の製品においてやりやすいでしょう。高い信頼性が重要な要因だからです。

3番目には、値上げによって得られた追加利益を使って、製品や販売システムを改善するといった合法的な行動をとるやりかたがあります。

最後は、値上げによって得られた追加利益を使って、さらなる売上増加を図るために、たとえば購買代理人に対して事実上の賄賂をわたします。投資信託業界における手数料の慣習などがその一例です。これは最終消費者に害をもたらすもので、非合法だったり倫理に反するやりかたです。[私が気に入っている回答はこれですが、誰からも答えてもらえませんでした]

1. Luxury goods: Raising the price can improve the product's ability as a 'show-off' item, i.e., by raising the price the utility of the goods is improved to someone engaging in conspicuous consumption. Further, people will frequently assume that the high price equates to a better product, and this can sometimes lead to increased sales.

2. Non-luxury goods: same as second factor cited above, i.e., the higher price conveys information assumed to be correct by the consumer, that the higher price connotes higher value. This can especially apply to industrial goods where high reliability is an important factor.

3. Raise the price and use the extra revenue in legal ways to make the product work better or to make the sales system work better.

4. Raise the price and use the extra revenue in illegal or unethical ways to drive sales by the functional equivalent of bribing purchasing agents or in other ways detrimental to the end consumer, i.e., mutual fund commission practices. [This is the answer I like the most, but never get.]”


4つの回答はいずれも抽象的な表現にとどまっていますが、チャーリー本人は具体的な事例を思い浮かべているはずです。なお1番目と2番目の回答の話題は、過去記事「誤判断の心理学(10)値段が高けりゃ、品質も一番」で取り上げています。3番目の回答に該当する具体例は、たとえば東京ディズニーリゾートを経営しているオリエンタルランドあたりでしょうか(参考資料: IRプレゼンテーション資料2012年9月 スライドの20ページ目)。

2012年10月10日水曜日

(問題)ビジネス・スクールの学生への質問(チャーリー・マンガー)

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コモディティー事業の話題を何度か取り上げましたが(前回記事)、今回は「価格」の話題で、チャーリー・マンガーによる問いかけをご紹介します。回答は次回にご紹介しますので、ご興味をもたれた方はどうぞお考えになってみてください。なおチャーリーは4つの回答を要求していますが、これは便宜的なものと捉えています。商売の話ですから、より幅広く考えることができるほど望ましいはずです。引用元はおなじみの『Poor Charlie's Almanack』です。(日本語は拙訳)

2つのビジネス・スクールで次のような質問を投げかけたことがあります。「みなさんは供給曲線と需要曲線のことを学習されたと思います。価格を値上げするにつれて売れる量が減少し、反対に価格を下げると売れる量が増加する。これはみなさんが習ったとおりですよね」。学生はそろってうなずきました。「それではお聞きしますが、たくさんの量を売りたい場合に値上げするのが正解なものとしては、どんな例が挙げられますか。いくつかの例を教えてください」。そう質問すると、なんとも不気味な静寂がしばらく続きました。しかし最後には2校のどちらでも、50人に1人ぐらいの割合で例を1つ挙げることができました。ただし近年になってからは、それができるのはスタンフォードのビジネス・スクールだけです。入るのが難しい学校ですね。しかも私が聞きたかったほうの答えを挙げられた人はいまだ皆無です。

この問題に対する回答は4種類のものがあります。第一の種類を答える人はいましたが、他のものを挙げる人はほとんどいませんでした。

Question: “I have posed at two different business schools the following problem. I say, “You have studied supply and demand curves. You have learned that when you raise the price, ordinarily the volume you can sell goes down, and when you reduce the price, the volume you can sell goes up. Is that right? That's what you've learned?” They all nod yes. And I say, “Now tell me several instances when, if you want the physical volume to go up, the correct answer is to increase the price?” And there's this long and ghastly pause. And finally, in each of the two business schools in which I've tried this, maybe one person in fifty could name one instance. But only one in fifty can come up with this sole instance in a modern business school ? one of the business schools being Stanford, which is hard to get into. And nobody has yet come up with the main answer that I like.”

Answer: “There are four categories of answers to this problem. A few people get the first category but rarely any of the others.


チャーリー・マンガーはさまざまな講演で歯ごたえのある問いかけをしていますが、個人的には今回のものも難しかったです。4問正解で100点満点とすると、自己採点で30点ぐらいでした。

2012年9月24日月曜日

複数のモデルが相乗的に働く「とびっきり効果」(チャーリー・マンガー)

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前々回の投稿で「経営者が適切なアクションをとれない」原因として複数の心理学的傾向が働いているのでは、と書きました。これが適切かどうかはともかく、このように複数の原動力が同時に働くときには注意して考えるように、とチャーリー・マンガーが説いています。今回は彼の名言"Lollapalooza effects"をとりあげます。日本語は拙訳で、「とびっきり効果」と訳しました。

これはとても重要なので忘れないようにしてください。とくに大きな力というのは、100種にわたるモデルのどれかからくることが多いのです。そして複数のモデルが結合すると、「とびっきり効果」(lollapalooza effects)が生じます。2つや3つ、4つの力がすべて同じ方向へ向かって働くわけです。単なる足し算では終わらずに、物理学で言うところの臨界量のようなものになることがよくあります。臨界に達したときには核爆発が起きますし、臨界に達しなければ特に何も起きません。それぞれの力は順次追加されていくこともありますし、破断点や臨界量に達した時点で合わさることもあります。

もっとよくあるのは、それらの100種類ものモデルからくる力同士が、部分的に対立してしまうことです。その場合、心ならずも大きなトレードオフをしなければなりません。しかしトレードオフができなかったり、そもそもトレードオフが存在するのを認識できていない人は、ただのおばかさんです。真剣に考えている人たちからすれば厄介ものでしょう。ですから、そういったモデルがどのように結合するのか認識しなければなりません。生物学者のジュリアン・ハクスリーが言ったことの本質を悟るべきです。「生命とは、まさに次にくるものとの関連性である」。モデルを頭の中に叩き込んだ上で、お互いにどう関連するのか、そして関連によってどんな効果が生じるのか想像しなければならないのです。(Outstanding Investor Digest誌、1997年12月29日号)

The most important thing to keep in mind is the idea that especially big forces often come out of these one hundred models. When several models combine, you get lollapalooza effects; this is when two, three, or four forces are all operating in the same direction. And, frequently, you don't get simple addition. It's often like a critical mass in physics where you get a nuclear explosion if you get to a certain point of mass - and you don't get anything much worth seeing if you don't reach the mass. Sometimes the forces just add like ordinary quantities and sometimes they combine on a breakpoint or critical-mass basis.

More commonly, the forces coming out of these one hundred models are conflicting to some extent. And you get huge, miserable tradeoffs. But if you can't think in terms of tradeoffs and recognize tradeoffs in what you're dealing with, you're a horse's patoot. You clearly are a danger to the rest of the people when serious thinking is being done. You have to recognize how these things combine. And you have to realize the truth of biologist Julian Huxley's idea that 'Life is just one damn relatedness after another.' So you must have the models, and you must see the relatedness and the effects from the relatedness.(Outstanding Investor Digest, December 29, 1997)


ご参考になる過去記事は次のとおりです。

2012年6月5日火曜日

単に読めばいいというものではない(チャーリー・マンガー)

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今回は読書のしかたについて、「本の虫」チャーリー・マンガーの考えを『Poor Charlie's Almanack』から引用します。(日本語は拙訳)

我々はたくさん読みますよ。たくさん読まないで賢くなったという人は聞いたことがないですね。ただし、読むだけでは不十分です。そこからなにかアイデアを得ようとする姿勢が必要ですし、その上で理にかなった行動に結びつけなければなりません。ほとんどの人は、正しいアイデアをつかめていないか、アイデアはわかっていても何をしたらよいかわかっていないのです。

We read a lot. I don't kow anyone who's wise who doesn't read a lot. But that's not enough: You have to have a temperament to grab ideas and do sensible things. Most people don't grab the right ideas or don't know what to do with them.


きっとチャーリーは、自分のまわりにいる人たちを観察してきて、このような結論に至ったのでしょうね。チャーリーの言うとおり、個人的にはどちらにも当てはまっています。

2012年2月15日水曜日

文明の進歩、自身の向上(チャーリー・マンガー)

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前々回(ゴルフと同じです)、それから前回(最高の助言)と、学ぶことについて取り上げましたが、今回は学び方について、チャーリー・マンガーの一言です。おなじみの「Poor Charlie's Almanack」からの引用です。(日本語は拙訳)

文明が進歩できたのは発明の方法が発明されてからだったように、自分自身を向上させるには、まず学ぶ方法を学ばなければなりません。

Just as civilization can progress only when it invents the method of invention, you can progress only when you learn the method of learning.

2012年1月21日土曜日

実に愚かしい罪(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーは人の生き方について指針となる発言をすることがありますが、なかでも妬むことを厳しく戒めています。おなじみの「Poor Charlie's Almanack」からの引用で、チャーリーの発言をティルソンがメモしたものです。(日本語は拙訳)

普通の投資アドバイザーなら賛成しないかもしれませんが、自分の資産がまあ満足できるほどになっていて、誰か他の人が、たとえばリスキーな株式に投資して、より速くお金持ちになろうとしていても、そんなことは気にしないのが正しいのです。自分より速く金持ちになる人がいるのが当たり前のことで、別に悲しむことではありません。

Here's one truth that perhaps your typical investment counselor would disagree with: If you're comfortably rich and someone else is getting richer faster than you by, for example, investing in risky stocks, so what?! Someone will always be getting richer faster than you. This is not a tragedy.


自分より速く金を稼ぐ人のことを気にかけるのは、大罪の一つです。この「妬み」というのは実に愚かしい罪で、これだけが、[7つの大罪のうち]自分にとって何も楽しいことがないものです。つらいばかりで、ちっとも楽しくない。そんな思いを抱えている人たちに加わりたいとは思わないでしょう。

The idea of caring that someone is making money faster [than you are] is one of the deadly sins. Envy is a really stupid sin because it's the only one you could never possibly have any fun at. There's a lot of pain and no fun. Why would you want to get on that trolley?


2011年12月10日土曜日

チャーリー・マンガーの名言「手持ちの道具がかなづちだけだと」

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手持ちの道具がかなづちだけだと、あらゆるものが釘に見えてくる。

To a man with only a hammer, every problem looks pretty much like a nail.

意訳すれば「ばかの一つ覚え」あたりですが、こちらのほうが広がりのある言い回しだと感じます。自分で答えを見つけたつもりでも、結局は前提条件が誤っていたり、見当違いだったということは、よくあることです。でも、答えあわせをした後に「なんだ、そんなことか」と自分の誤りや情報収集不足を軽視しがちで、思考能力を改善するきっかけにつながらないものです。マンガーはこの「かなづち」の警句を好んでとりあげ、一直線的な思考では複雑な問題は解決しがたいと繰り返しています。問題解決や意思決定の誤りをへらすには、例えばこれまでに取り上げた多面的に捉えてみたり逆から考え直してみるのが効果的だというわけです。

2011年12月3日土曜日

何を避けるべきか

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チャーリー・マンガーを読み解くのにぴったりな「Seeking Wisdom」という本があります。「Poor Charlie's Almanack」の横に並んでいます。副題も野心的で"From Darwin To Munger"、ど真ん中に投げていますね。"Backward thinking"を取り上げた短い章があり、Wescoの年次総会(2000年度)でのチャーリーの発言が引用されています。

人生やビジネスで成功するには、たいていは、何を避けるべきか分別を持つことから始まるものです。早死にしたり、間違った相手と結婚しないようにね。

A lot of success in life and success in business comes from knowing what you really want to avoid - like early death and a bad marriage.


知性あふれるチャーリー自身も、それなりに失敗を重ねてきた人物です。年長者としての言葉には重みがあります。20年前の私に言い聞かせたい言葉です。

2011年11月24日木曜日

チャーリー・マンガーの名言「逆だ、いつでも逆からやるんだ」

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マンガーの発言の中で、もっとも記憶に残りやすいものといえば、今回のものか、あるいはもうひとつ「ハンマー」でしょうか。覚えやすいからといって安い言葉ではなく、意思決定や問題解決において大きな力を発揮するものです。「Poor Charlie's Almanack」に収録されている講演その1 Harvard School Commencement Speech(June 13, 1986)からの引用になります。(日本語は拙訳)

偉大なる代数学者ヤコビは、同じ文句を繰り返していたことで知られています。「逆だ、いつでも逆からやるんだ」。ヤコビのいうように、難題の多くが逆方向からせめたときこそ上手に解けるのは、当然といえるでしょう。

The great algebraist, Jacobi, had exactly the same approach as Carson and was known for his constant repetition of one phrase: "Invert, always invert." It is in the nature of things, as Jacobi knew, that many hard problems are best solved only when they are addressed backward.


次回の投資の投稿に続きます。

2011年11月17日木曜日

ほとんどの人より、うまくいくやりかた(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが物事を考えるときのやりかたは、私にとっては大きな課題です。チャーリーは折に触れて生涯学習の重要性を説いていますが、この引用を読むと合点がいきますね。おなじみの「Poor Charlie's Almanack」からの引用です。(日本語は拙訳)

私が信じてやまないのは、あるやりかたをとれば、ほとんどの人よりもうまくいくということです。頭のいい人だったら普通は習得できるもので、どういうことかというと、USC[=南カリフォルニア大学]のビジネススクールで前に話しましたが、頭の中にメンタルモデル用の格子枠を用意するわけです。そして、経験したり、本を読んだりして学んだ大切なことを[格子に]組みこんでいくわけです。そういうのがあれば、物事がだんだんうまく結びつくようになり、認識力が増していくようになります。

I've long believed that a certain system - which almost any intelligent person can learn - works way better than the systems that most people use. As I said at the U.S.C. Business School, what you need is a latticework of mental models in your head. And you hang your actual experience and your vicarious experience(that you get from reading and so forth) on this latticework of powerful models. And with that system, things gradually get to fit together in a way that enhances cognition.