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2019年2月27日水曜日

2018年度バフェットからの手紙(3)自社株買いおよび業績報告について

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2018年度「バフェットからの手紙」より、「自社株買いと業績報告」に触れた一節を取りあげます。おなじみの話題と言えるでしょうが、ジョークのほうはあいかわらず軽快で楽しめます。なお、本シリーズ前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

自社株買いおよび業績報告について

バークシャーでは自社株の買戻しを折に触れて行うつもりだと、前のほうの文章で記しました。まさにわたしどもの狙いどおりに、当社の本源的価値より安い値段で買い戻すことができれば、その自社株買いは、当社の株主をやめていく人たちと、これからも株主であり続ける人たちの、どちらにとっても利益となります。

実際のところ、売却組の方々にとって自社株買いによる恩恵はごくわずかです。わたしどもは注意深く購入するため、バークシャーの株価にはわずかな影響しか与えないと思われるからです。そうだとしても、買い手が市場に加わることは、売り手にとっていくらか好都合となります。

一方で継続株主にとっての利点は、はっきりしています。去り行くパートナーが市場に示す価格を、たとえば1ドルであるべきところを90セントとするならば、継続株主にとっては当社が自社株を買うほど、1株当たりの本源的価値が実際に増していきます。当然ですが、自社株買いは価格にうるさい必要があります。割高な株をむやみに買うことは、[自社の]価値を破壊する行為です。これは派手好きあるいは終始楽天的な多数のCEOが犯してきた事実です。

「自社株買いを熟慮検討する」と企業が言及するときには、パートナーたる全株主に対して、企業価値を適正に評価するために必要な情報が、提供されなければなりません。チャーリーおよびわたしが本文書で果たそうとしているのは、そのための情報を提供することです。「誤解を招く情報や不適切な情報を知らされたがために、当社の株式を売り戻す」、パートナーたるみなさんには、そのような事態にはなってほしくありません。

しかしながら、わたしどもによる価値算定に同意できない売り手の方がいるかもしれません。また、人によってはバークシャー株よりも魅力を感じる投資先があるかもしれません。後者の方々のなかには、その選択が正しい方もおられるでしょう。当社よりもはるかに大きな成果をあげる株がいくつもあることに、疑う余地はないからです。

さらにはただ単純に、「資本を蓄積し続けるのではなく、自分や家族が使う側に回る時期だ」と決断する株主もいるでしょう。チャーリーもわたしも今のところは、そういった人たちのなかに加わるつもりはありません。あれこれと消費するのは、もっと年老いてからにしたいと思います。

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バークシャーで54年間にわたって経営上の判断を下してきた際に、わたしどもが念頭に置いていたのは、去り行く株主のことではなく、今後も共にありつづける株主の観点でした。それゆえにチャーリーともども、今四半期の業績のことはまったく意識しておりません。

実際のところバークシャーは、Fortune 500社のなかで月次の売上報告書や貸借対照表を作成していない、おそらく唯一の企業だと思います[Fortune 500最新の順位では、バークシャーは第3位]。もちろんですが、ほとんどの子会社が出してくれる月次の財務報告を、わたしは都度確認しています。しかしバークシャー全体としての収益や財務状況は、チャーリーもわたしも四半期ごとにしか把握していません。

さらに言えば、バークシャー全体を統括する予算は立案していません(ただし各々の子会社としては、それを有用とみなす会社が多々あります)。そのような道具が存在しないということは、つまり四半期の「目標値」達成など親会社では気にかけていないことを意味します。当社の各経営陣はその手の数値目標を忌避するやりかたを、重要なメッセージとして受けとめてくれます。そして、わたしたちが大切にしている社内文化を強めることにつながっています。

チャーリーとわたしは幾年月にわたって、企業におけるあらゆる悪しき行為をみてきました。会計面だけでなく事業運営においても同じで、「ウォール街の期待に応えたい」との経営上の欲望に誘われたゆえの所業でした。たとえば四半期末の押し込み販売や、保険金等支払増加に対するお目こぼしや、秘密積立金の取り崩しといった例があげられますが、「金融街」を失望させまいとの「罪のない」偽りで始めたつもりが、「徹頭徹尾の偽装」に向けた第一歩を踏み出していたのかもしれません。CEOとしては「今回だけ一度きり」のつもりで数字を触ったのかもしれませんが、それで打ち止めになることは滅多にありません。さらには、「不正と言ってもわずかだから」と上司が容認するのですから、部下においても同じような行動がたやすく正当化されてしまうでしょう。

バークシャーのわたしどもが披露すべき相手は、アナリストでもなく、解説者でもありません。チャーリーとわたしが働いているのは、わがパートナーたる株主のみなさんのためです。わたしどもの手元にあげられてくる数字は、みなさんへそのままお送りします。(PDFファイル6ページ目)

Repurchases and Reporting

Earlier I mentioned that Berkshire will from time to time be repurchasing its own stock. Assuming that we buy at a discount to Berkshire’s intrinsic value – which certainly will be our intention – repurchases will benefit both those shareholders leaving the company and those who stay.

True, the upside from repurchases is very slight for those who are leaving. That’s because careful buying by us will minimize any impact on Berkshire’s stock price. Nevertheless, there is some benefit to sellers in having an extra buyer in the market.

For continuing shareholders, the advantage is obvious: If the market prices a departing partner’s interest at, say, 90¢ on the dollar, continuing shareholders reap an increase in per-share intrinsic value with every repurchase by the company. Obviously, repurchases should be price-sensitive: Blindly buying an overpriced stock is value-destructive, a fact lost on many promotional or ever-optimistic CEOs.

When a company says that it contemplates repurchases, it’s vital that all shareholder-partners be given the information they need to make an intelligent estimate of value. Providing that information is what Charlie and I try to do in this report. We do not want a partner to sell shares back to the company because he or she has been misled or inadequately informed.

Some sellers, however, may disagree with our calculation of value and others may have found investments that they consider more attractive than Berkshire shares. Some of that second group will be right: There are unquestionably many stocks that will deliver far greater gains than ours.

In addition, certain shareholders will simply decide it’s time for them or their families to become net consumers rather than continuing to build capital. Charlie and I have no current interest in joining that group. Perhaps we will become big spenders in our old age.

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For 54 years our managerial decisions at Berkshire have been made from the viewpoint of the shareholders who are staying, not those who are leaving. Consequently, Charlie and I have never focused on current-quarter results.

Berkshire, in fact, may be the only company in the Fortune 500 that does not prepare monthly earnings reports or balance sheets. I, of course, regularly view the monthly financial reports of most subsidiaries. But Charlie and I learn of Berkshire’s overall earnings and financial position only on a quarterly basis.

Furthermore, Berkshire has no company-wide budget (though many of our subsidiaries find one useful). Our lack of such an instrument means that the parent company has never had a quarterly “number” to hit. Shunning the use of this bogey sends an important message to our many managers, reinforcing the culture we prize.

Over the years, Charlie and I have seen all sorts of bad corporate behavior, both accounting and operational, induced by the desire of management to meet Wall Street expectations. What starts as an “innocent” fudge in order to not disappoint “the Street” – say, trade-loading at quarter-end, turning a blind eye to rising insurance losses, or drawing down a “cookie-jar” reserve – can become the first step toward full-fledged fraud. Playing with the numbers “just this
once” may well be the CEO’s intent; it’s seldom the end result. And if it’s okay for the boss to cheat a little, it’s easy for subordinates to rationalize similar behavior.

At Berkshire, our audience is neither analysts nor commentators: Charlie and I are working for our shareholder-partners. The numbers that flow up to us will be the ones we send on to you.

2019年2月26日火曜日

2018年度バフェットからの手紙(2)米国に吹きつづける追い風(後)

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2018年度「バフェットからの手紙」からの引用です。前回のつづき、「米国に投資する優位性」の話題です。(日本語は拙訳)

政府の財政赤字をとらえて、あいも変わらず破滅の事態を唱える人たちは(わたし自身もお決まりのように、たびたびそうしてきましたが)、「わが国の国家債務は、この77年間で400倍ほどに増加した」と言及するかもしれません。つまりは4万%というわけです。もしもその増加を予見して、底なしの赤字や通貨価値喪失の可能性にたじろいでいたら、どうなっていたでしょうか。みずからを「保護する」ために、114ドル75セントを使う先として株式は見合わせ、そのかわりに3.25オンス分のゴールドを選んでいたかもしれません。

予測にしたがってそのような守りに出たことで、どのような結果が得られたと思いますか。その場合に現在手にしていた資産は、4,200ドル相当になっていたはずです。米国企業に対して管理費不要の単純な投資をすることで得られた成果の、1%未満にとどまる数字です。かの魅力的な金属は、アメリカ人の意欲には及びませんでした。

また、この国が果たしてきた信じがたいほどの繁栄は、超党派的なとりくみによってもたらされました。1942年以降の大統領のうち、共和党から7名、民主党からも7名が選出されました。彼らが公職を果たす間に、この国は幾度となく困難に直面しました。容易に広まるインフレーションは長期にわたり、プライム・レート(最優遇貸出金利)は21%を記録し、賛否両論だった金食い虫の戦争が何度かあり、大統領が辞任し、住宅価格が広範に暴落し、金融面で麻痺的なパニックが生じ、その他もろもろの問題がありました。それらはいずれもぞっとする見出しを飾りましたが、どれも今では歴史となりました。

セント・ポール大聖堂の設計者だったクリストファー・レンは、ロンドンに位置するその教会に埋葬されました。彼の墓のそばには、次のような銘が刻まれています(原文はラテン語)。「我がための記念碑を求めん人は、御身のまわりをご覧ぜよ」。米国経済が演じてきた様子に否定的な人は、彼の言葉を噛みしめたほうがよいと思います。

話の起点だった1788年に戻ります。この地に、さほどのものはありませんでした。わずかばかりの熱意ある者たちと、夢を現実に変えることを目的とした、芽生えたばかりの統治体制があっただけでした。連銀の推計によると、今日における我が国の家計資産は108兆ドルに達するとのことです。およそ想像もできない金額に達しています。

留保利益がバークシャー繁栄のカギとなってきたことを、この文章のはじめ[未訳部分]でどのように描写していたか、覚えておられるでしょうか。それと同じことが米国についても言えました。国家会計の場合、「貯蓄」という言葉がそれに相当します。ですから、わたしたちは貯蓄をしなければなりません。もしもご先祖様たちが、貯えをせずに生みだしたものをすべて消費していたら、なにも投資されず、生産性も向上せず、生活水準が大きく改善されることもなかったのですから。

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「バークシャーが果たした成功の多くは、『米国に吹きつづける追い風』と呼ぶべきものによって生じたに過ぎない」ことを、チャーリーともども喜んで認めたいと思います。米国の企業や個人が、なしとげてきた成果を指して「独力で果たした」と豪語するのは、尊大の極みです。ノルマンディーの崖に整然と並ぶ白色の質素な十字形の石を想い起せば、そのように語る者たちが恥ずかしく思えることでしょう。

世界中には、わたしたちと同じように輝かしい未来をひかえた国がいくつもあります。わたしたちはそのことを大いに喜ぶべきです。あらゆる国々が発展すれば、アメリカ人はますます豊かになるとともに、いっそうの安全を享受できます。バークシャーとしては、多大なる資金を国外へ投資したいと願っています。

ただし次にくる77年間においても、当社のおもな収益源はほぼまちがいなく、「米国に吹きつづける追い風」によってもたらされると思います。わたしたちの背後にそのような力がひかえていたのは、実に幸運、空前絶後の幸運でした。(PDFファイル13ページ目)

(この節、おわり)

Those who regularly preach doom because of government budget deficits (as I regularly did myself for many years) might note that our country’s national debt has increased roughly 400-fold during the last of my 77-year periods. That’s 40,000%! Suppose you had foreseen this increase and panicked at the prospect of runaway deficits and a worthless currency. To “protect” yourself, you might have eschewed stocks and opted instead to buy 3 1⁄4 ounces of gold with your $114.75.

And what would that supposed protection have delivered? You would now have an asset worth about $4,200, less than 1% of what would have been realized from a simple unmanaged investment in American business. The magical metal was no match for the American mettle.

Our country’s almost unbelievable prosperity has been gained in a bipartisan manner. Since 1942, we have had seven Republican presidents and seven Democrats. In the years they served, the country contended at various times with a long period of viral inflation, a 21% prime rate, several controversial and costly wars, the resignation of a president, a pervasive collapse in home values, a paralyzing financial panic and a host of other problems. All engendered scary headlines; all are now history.

Christopher Wren, architect of St. Paul’s Cathedral, lies buried within that London church. Near his tomb are posted these words of description (translated from Latin): “If you would seek my monument, look around you.” Those skeptical of America’s economic playbook should heed his message.

In 1788 – to go back to our starting point – there really wasn’t much here except for a small band of ambitious people and an embryonic governing framework aimed at turning their dreams into reality. Today, the Federal Reserve estimates our household wealth at $108 trillion, an amount almost impossible to comprehend.

Remember, earlier in this letter, how I described retained earnings as having been the key to Berkshire’s prosperity? So it has been with America. In the nation’s accounting, the comparable item is labeled “savings.” And save we have. If our forefathers had instead consumed all they produced, there would have been no investment, no productivity gains and no leap in living standards.

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Charlie and I happily acknowledge that much of Berkshire’s success has simply been a product of what I think should be called The American Tailwind. It is beyond arrogance for American businesses or individuals to boast that they have “done it alone.” The tidy rows of simple white crosses at Normandy should shame those who make such claims.

There are also many other countries around the world that have bright futures. About that, we should rejoice: Americans will be both more prosperous and safer if all nations thrive. At Berkshire, we hope to invest significant sums across borders.

Over the next 77 years, however, the major source of our gains will almost certainly be provided by The American Tailwind. We are lucky – gloriously lucky – to have that force at our back.

個人的な見解ですが、今回のウォーレンは重層的なメッセージをのせて、文章を書いたように感じられました。翻訳する際には文中で登場する話題を都度調べるものですが、そのおかげで思い至った次第です。教養があり、それなりに注意を払いながら本文書を読む英米系の読者であれば、それらのメッセージに自然と気がつくことでしょう。いつの日か余韻に導かれて読み返したくなる、佳作と評したい一節でした。

2019年2月25日月曜日

2018年度バフェットからの手紙(1)米国に吹きつづける追い風(前)

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2/23(土)付けで2018年度の「バフェットからの手紙」を公開しています。拙訳付きで順次ご紹介するつもりですが、今年は一般向けの話題から取りあげます。例によって、米国に投資することの優位性を説いた話題です。

SHAREHOLDER LETTER 2018 [PDF] (Berkshire Hathaway)

米国に吹きつづける追い風

この3月11日をむかえると、わたしが米国企業にはじめて投資してから77年間が経ったことになります。あれは西暦1942年のことで、当時のわたしは11歳でした。6歳のときから貯め始めたお金114ドル75セントをつぎ込んで、シティーズ・サービス社の優先株を3株買いました。資本家になったことでうれしく感じたものです。

それではここで、わたしが株式をはじめて購入したその年から先立つこと、77年間の2周分をさかのぼってみます。西暦1788年、そこから話が始まります。ジョージ・ワシントンがこの国の初代大統領に就任する1年前になります。77年間という時代を三度くりかえすだけで、新たにうまれた国家がこれほどまでに発展するとは、当時のだれに想像できたでしょうか。

1942年に先立つ二度の77年間を経過する間に、4百万人の人口、すなわち全世界人口の1%のさらに半分ほどが暮らしていた米国は、世界で最も権勢を誇る国家へと成長しました。しかし1942年のあの春には、危機に直面していました。米国が3か月前に参戦した戦争のさなかで、ほかの連合国と同様に大打撃を被っていました。連日届くニュースは悪い知らせばかりでした。[過去記事]

しかし危急を告げる見出しがつづいても、3月11日時点でほぼすべてのアメリカ人が「この戦争には勝利する」と確信していました。その楽観的な見方は戦勝だけに限ったものではありませんでした。「現在の自分たちが手にしてきたよりもはるかにすぐれた生活を、子々孫々にわたって迎えられるだろう」と、根っからの悲観主義者は別として、アメリカ人は信じていたのです。

当然ですがこの国の人々は、行く手につづく道が平坦ではないことを覚悟していました。たしかに、そんなことは一度もありませんでした。米国史が始まってまもないころには、南北戦争という試練に直面しました。その内戦では全アメリカ人男子の4%が命を落とし、ひいてはリンカーン大統領が公の場で次のように問いかけることとなりました。「かほどの自由を創り出し、平等たらんと勤しむ人々の国家が、長きにわたって存続し得るだろうか」と。また大恐慌で苦しんだ1930年代は、失業者があふれかえった仮借なき時代でした。

それにもかかわらず、わたしが株式を購入した1942年の米国では、戦後における成長がすでに見込まれていました。そうなって然るべきだと信じられていました。この国がなしとげた発展をあらわすには、実のところ「傑出屈指」という言葉がぴったりなのかもしれません。

その証拠となる数字を当てはめてみましょう。もしも当時のわたしが114.75ドルの資金を、手数料不要のS&P500インデックス・ファンドに投資しており、受取配当金を全額再投資したとすれば、(本文書公開前の最新データが入手できる日付である)2019年1月31日現在のわたしの持ち分は、(税引き前で)60万6,811ドルへ成長したことになります。5,288倍に増えています。あるいはその当時に、年金基金や大学基金といった非課税の組織で100万ドルを投資していれば、約53億ドルに増加していたことになります。

もうひとつ計算を付け加えておきます。かならずや驚くと思いますよ。もし、そういった架空の組織がさまざまな「助力者」に対して、たとえば資産運用業者や投資顧問があげられますが、報酬として資産額のわずか1%相当を毎年支払ったとすれば、どうなったでしょうか。資産の増加幅は半減し、26億5千万ドルにとどまったことでしょう。S&P500が77年間にわたって年率11.8%の成長を実際につづけてきたなかで、その数字が10.8%へさがってしまうと、そのような結果を招いてしまうわけです。(PDFファイル12ページ目)

(つづく)

The American Tailwind

On March 11th, it will be 77 years since I first invested in an American business. The year was 1942, I was 11, and I went all in, investing $114.75 I had begun accumulating at age six. What I bought was three shares of Cities Service preferred stock. I had become a capitalist, and it felt good.

Let’s now travel back through the two 77-year periods that preceded my purchase. That leaves us starting in 1788, a year prior to George Washington’s installation as our first president. Could anyone then have imagined what their new country would accomplish in only three 77-year lifetimes?

During the two 77-year periods prior to 1942, the United States had grown from four million people – about 1⁄2 of 1% of the world’s population – into the most powerful country on earth. In that spring of 1942, though, it faced a crisis: The U.S. and its allies were suffering heavy losses in a war that we had entered only three months earlier. Bad news arrived daily.

Despite the alarming headlines, almost all Americans believed on that March 11th that the war would be won. Nor was their optimism limited to that victory. Leaving aside congenital pessimists, Americans believed that their children and generations beyond would live far better lives than they themselves had led.

The nation’s citizens understood, of course, that the road ahead would not be a smooth ride. It never had been. Early in its history our country was tested by a Civil War that killed 4% of all American males and led President Lincoln to openly ponder whether “a nation so conceived and so dedicated could long endure.” In the 1930s, America suffered through the Great Depression, a punishing period of massive unemployment.

Nevertheless, in 1942, when I made my purchase, the nation expected post-war growth, a belief that proved to be well-founded. In fact, the nation’s achievements can best be described as breathtaking.

Let’s put numbers to that claim: If my $114.75 had been invested in a no-fee S&P 500 index fund, and all dividends had been reinvested, my stake would have grown to be worth (pre-taxes) $606,811 on January 31, 2019 (the latest data available before the printing of this letter). That is a gain of 5,288 for 1. Meanwhile, a $1 million investment by a tax-free institution of that time – say, a pension fund or college endowment – would have grown to about $5.3 Billion.

Let me add one additional calculation that I believe will shock you: If that hypothetical institution had paid only 1% of assets annually to various “helpers,” such as investment managers and consultants, its gain would have been cut in half, to $2.65 billion. That’s what happens over 77 years when the 11.8% annual return actually achieved by the S&P 500 is recalculated at a 10.8% rate.

備考です。リンカーンが語った言葉の訳文は、以下のサイトを参考にしました。

ゲティスバーグ演説 (1863年)|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN (米国大使館の広報・文化交流部)

2018年3月24日土曜日

2017年度バフェットからの手紙(8)資本主義を育むところ

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2017年度「バフェットからの手紙」から、ちょっとした話題をひろい集めました。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

バークシャー子会社における買収について。
最後になりますが、買収によって成長してきた[子会社の]プレシジョン・キャストパーツ社が、防食材やパイプ関連のシステム及びコンポーネントを製造しているドイツのヴィルヘルム・シュルツ社を買収しました。ただし、これ以上の説明はご勘弁ください。不動産仲介や建築会社やトラック・ステーションの活動について疎いように、生産現場のこともわたし自身がよく知らないからです。

ありがたいことに、この件で知識を並べ立てる必要はありません。プレシジョン社のCEOを務めるマーク・ドネガンは製造会社における卓越した経営者で、配下のあらゆる事業をうまくいくように仕立てあげているからです。ときに「現物」に賭けるよりも「人物」に賭けたほうが、確かなことがあります。(PDFファイル5ページ目)

Finally, Precision Castparts, a company built through acquisitions, bought Wilhelm Schulz GmbH, a German maker of corrosion resistant fittings, piping systems and components. Please allow me to skip a further explanation. I don’t understand manufacturing operations as well as I do the activities of real estate brokers, home builders or truck stops.

Fortunately, I don’t need in this instance to bring knowledge to the table: Mark Donegan, CEO of Precision, is an extraordinary manufacturing executive, and any business in his domain is slated to do well. Betting on people can sometimes be more certain than betting on physical assets.

年次株主総会おなじみの卓球仲間について。
友人のアリエル・シンが、日曜日にモールのほうにも参加して卓球の勝負を挑む人を待っています。アリエルにお会いしたのは彼女が9歳の時でしたが、そのときすでに彼女から1点も取れませんでした。アリエルは2012年のオリンピックで米国の代表選手を務めました。物おじしない方はぜひ、彼女に挑戦して腕前を試してみてください。開始時刻は午後1時です。昨年はビル・ゲイツがけっこういい勝負をしましたので、今年も挑むと思います(でもアリエルに賭けたほうがいいですよ)。わたし自身は、助言者として参加するにとどめておきます。(PDFファイル14ページ目)

My friend, Ariel Hsing, will be in the mall as well on Sunday, taking on challengers at table tennis. I met Ariel when she was nine, and even then I was unable to score a point against her. Ariel represented the United States in the 2012 Olympics. If you don’t mind embarrassing yourself, test your skills against her, beginning at 1 p.m. Bill Gates did pretty well playing Ariel last year, so he may be ready to again challenge her. (My advice: Bet on Ariel.) I will participate on an advisory basis only.

年次株主総会における質疑応答について。
上述したように、少なくとも54件の質問を受けるつもりです。アナリストやジャーナリスト各氏からは6件ずつ、そして聴衆のみなさんからは18件分です。それ以降、聴衆のみなさんからさらに質問があればお受けします。過去には、チャーリーとわたしで60件以上の質問を受けたことが何度もあります。質疑応答の終了時刻は3時半です。(PDFファイル15ページ目)

All told, we expect at least 54 questions, which will allow for six from each analyst and journalist and for 18 from the audience. After the 54th, all questions come from the audience. Charlie and I have often tackled more than 60 by 3:30.

総数が10数名の本社スタッフについて。
本社に務める仲間は相変わらずの素晴らしい人ばかりです。SECなどの当局に必要な数多くの用件を効率よくさばき、連邦所得税の申告では32,700ページにわたる文書を提出し、州税の申告3,935件を監督し、株主やメディアから寄せられる止むことのない要求に対応し、年次報告書を送付し、この国最大の年次株主総会にむけた準備にいそしみ、取締役会の活動を調整し、このレターに含まれる事実確認を行う、そのような作業の項目は延々と続きます。

彼らは事業上のあらゆる作業を快く受けてくれ、信じられないほど効率的に処理し、容易で快適な日常をわたしが過ごせるように手助けしてくれます。彼らの活動は、バークシャーだけに限定されるものではありません。たとえば、わたしとの質疑対話のためにオマハを訪問しに来る大学生たちが、昨年は200件の申し出のなかから40件が選ばれましたが、それらを対応してくれました。またわたしが受けるあらゆる要請にも応じてくれますし、旅行の準備や、さらには昼食時にハンバーガーとフレンチ・フライ(もちろん、ハインツ・ケチャップがたっぷり)も持ってきてくれます。また年次総会においては、こうあってほしいと願うあらゆるやりかたを以って、快く尽くしてくれます。彼らはバークシャーで働くことを誇りにしてくれますが、そんな彼らと働けることをわたしも誇らしく思います。(PDFファイル15ページ目)

We continue to have a wonderful group at headquarters. This team efficiently deals with a multitude of SEC and other regulatory requirements, files a 32,700-page Federal income tax return, oversees the filing of 3,935 state tax returns, responds to countless shareholder and media inquiries, gets out the annual report, prepares for the country’s largest annual meeting, coordinates the Board’s activities, fact-checks this letter - and the list goes on and on.

They handle all of these business tasks cheerfully and with unbelievable efficiency, making my life easy and pleasant. Their efforts go beyond activities strictly related to Berkshire: Last year, for example, they dealt with the 40 universities (selected from 200 applicants) who sent students to Omaha for a Q&A day with me. They also handle all kinds of requests that I receive, arrange my travel, and even get me hamburgers and French fries (smothered in Heinz ketchup, of course) for lunch. In addition, they cheerfully pitch in to help at the annual meeting in whatever way they are needed. They are proud to work for Berkshire, and I am proud of them.

ウォーレンやチャーリー亡き後の、バークシャーの経営陣について。
最後に最高の話題を。バークシャーの取締役会は2018年初に、新たな取締役としてアジート・ジェインとグレッグ・アベルを選出し、さらには両名を副会長に任命しました。今ではアジートが保険事業を、そしてグレッグがその他の事業を統括しています。チャーリーとわたしは、投資及び資産配分の職務に専念していきます。

アジートとグレッグが当社のために働いてくれているのは、わたしのみならず、株主のみなさんにとっても実に幸運なことだと思います。長らく当社と共にあった両名には、バークシャーという名の血潮が通っています。彼らの性格は才能と合致しており、そのことがすべてを語っています。

5月5日には、ぜひオマハへいらしてください。バークシャーは資本主義を育むところ、その一同が総出でお迎えします。(PDFファイル16ページ目)

I’ve saved the best for last. Early in 2018, Berkshire’s board elected Ajit Jain and Greg Abel as directors of Berkshire and also designated each as Vice Chairman. Ajit is now responsible for insurance operations, and Greg oversees the rest of our businesses. Charlie and I will focus on investments and capital allocation.

You and I are lucky to have Ajit and Greg working for us. Each has been with Berkshire for decades, and Berkshire’s blood flows through their veins. The character of each man matches his talents. And that says it all.

Come to Omaha - the cradle of capitalism - on May 5th and meet the Berkshire Bunch. All of us look forward to your visit.

株式市場が大幅に下落して、さらには円高が進むようであれば、そのときこそ日本人にとってバークシャー株を買う好機だと思います。はたしてその日がやって来るのか、今は成り行きに任せるばかりです。

2018年3月4日日曜日

2017年度バフェットからの手紙(7)CEOの心強い味方、Excel

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2017年度「バフェットからの手紙」から、今回は企業買収に関する節のうち、一般向けの話題を引用します。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

買収について

バークシャーの価値を高める構成要素として、次の4点が挙げられます。ひとつめが、十分な規模を有した単体型の企業買収。ふたつめが、当社がすでに保有している事業に合致した拡張型の買収。3つめが、多岐にわたる既存事業での増収及び利益率の改善。最後の4つめが、株式及び債券に投資している巨額のポートフォリオから得られる投資利益、です。この節では2017年に行った買収についてご説明します。

単体型の新しい案件をさがす際には、主要な資質として次の点を求めています。今後も持続しうる競争力を有していること、有能かつ良質な経営陣がいること、事業運営上不可欠な純有形資産に比して優れたリターンをあげていること、魅力的なリターンが期待できる内部成長の機会があること、そして買収価格が適切であること、です。

2017年に検討した実質的にすべての案件が、上に述べた最後の要件を越えられませんでした。「まばゆい」からは程遠いものの「満足できる」程度の事業であっても、その値段は過去最高を記録していたのです。実際のところ楽観的な買収者勢にとっても、買収価格は納得できないも同然だったと思います。

しかし、なぜ買収側は暴挙に出るのでしょうか。その理由のひとつは、CEOという役職が「大丈夫うまくいきます」という種類の人間を、またもや指名するからです。ウォール街のアナリストや取締役会が、CEOという役職者に対して買収を検討するよう要請するのは、成熟期にある十代の子供に対して、あたかも「ちゃんとセックスするんだぞ」と念を押すかのように思えます。

案件を切望しはじめたCEOは、買収を正当化した将来の見通しを出すはずです。部下たちは声援を送るとともに、事業領域の拡大ぶりや、企業規模に応じて増加しがちな報酬の水準を描いてくれるものです。多額の手数料をかぎつけた投資銀行家も、同じように褒め上げるでしょう(「髪を切ったほうがいいかな」とは床屋に訊ねないように)。買収先の業績推移では買収を正当化するのに不足がある場合、大幅な「シナジー」[重複部門の削減など]が業績予想に盛り込まれます。[Excelなどの]スプレッドシートが残念な数字を出すことはありません。

破格の安価で借入れできる機会が2017年には潤沢にあったことで、買収活動に拍車がかかりました。割高な買収をしようとも、借入金によって資金を調達していれば、結局のところ一株当たり利益は増加するのが常ですから。対照的にバークシャーでは、買収案件を評価する際には増資を前提にしています。全額借入れは好みませんし、多額の借入金を特定の事業に割り当てるのは、概して見当違いです(ある種の例外は別とします。たとえばクレイトン社が有する貸付ポートフォリオ用の債務や、当局の規制を受けている公益事業での固定資産に関する債務)。さらにシナジーは考慮に入れませんし、実際にそれが発揮された例もあまりみかけません。

借入れを避けてきたことで、当社のリターンは何年にもわたって抑えられてきました。しかしチャーリーもわたしも、夜にはぐっすり眠れています。「必要のないものを手にいれるために、手元の必要なものを危険にさらす」、そんなことをするのは正気を失っているに違いない、と二人とも思っています。50年前から、そう考えていました。信頼してくれる若干の友人や親族の資金を元に、それぞれが投資パートナーシップを運営していた頃です。そして100万名になる「パートナー」がバークシャーに加わった今日も、同じように考えています。

このところの買収日照りにもかかわらず、「非常に大きな買収ができる機会が、やがてはいくつかあらわれる」とわたしたちは信じています。それまでの間は、次の単純な決めごとに従うばかりです。「慎重さに欠けた行動を他人がとるほどに、わたしたちはますます慎重に身を処すること」。(PDFファイル3ページ目)

Acquisitions

There are four building blocks that add value to Berkshire: (1) sizable stand-alone acquisitions; (2) bolt-on acquisitions that fit with businesses we already own; (3) internal sales growth and margin improvement at our many and varied businesses; and (4) investment earnings from our huge portfolio of stocks and bonds. In this section, we will review 2017 acquisition activity.

In our search for new stand-alone businesses, the key qualities we seek are durable competitive strengths; able and high-grade management; good returns on the net tangible assets required to operate the business; opportunities for internal growth at attractive returns; and, finally, a sensible purchase price.

That last requirement proved a barrier to virtually all deals we reviewed in 2017, as prices for decent, but far from spectacular, businesses hit an all-time high. Indeed, price seemed almost irrelevant to an army of optimistic purchasers.

Why the purchasing frenzy? In part, it’s because the CEO job self-selects for “can-do” types. If Wall Street analysts or board members urge that brand of CEO to consider possible acquisitions, it’s a bit like telling your ripening teenager to be sure to have a normal sex life.

Once a CEO hungers for a deal, he or she will never lack for forecasts that justify the purchase. Subordinates will be cheering, envisioning enlarged domains and the compensation levels that typically increase with corporate size. Investment bankers, smelling huge fees, will be applauding as well. (Don’t ask the barber whether you need a haircut.) If the historical performance of the target falls short of validating its acquisition, large “synergies” will be forecast. Spreadsheets never disappoint.

The ample availability of extraordinarily cheap debt in 2017 further fueled purchase activity. After all, even a high-priced deal will usually boost per-share earnings if it is debt-financed. At Berkshire, in contrast, we evaluate acquisitions on an all-equity basis, knowing that our taste for overall debt is very low and that to assign a large portion of our debt to any individual business would generally be fallacious (leaving aside certain exceptions, such as debt dedicated to Clayton’s lending portfolio or to the fixed-asset commitments at our regulated utilities). We also never factor in, nor do we often find, synergies.

Our aversion to leverage has dampened our returns over the years. But Charlie and I sleep well. Both of us believe it is insane to risk what you have and need in order to obtain what you don’t need. We held this view 50 years ago when we each ran an investment partnership, funded by a few friends and relatives who trusted us. We also hold it today after a million or so “partners” have joined us at Berkshire.

Despite our recent drought of acquisitions, Charlie and I believe that from time to time Berkshire will have opportunities to make very large purchases. In the meantime, we will stick with our simple guideline: The less the prudence with which others conduct their affairs, the greater the prudence with which we must conduct our own.

今回までの投稿で、一般向けの話題はひととおりご紹介できたかと思います。これにて本シリーズは終わりとなります。ただし「保険事業」に関する節から文章を適宜切り出して、改めて取り上げるかもしれません。

もうひとつ、こちらはおまけです。今回の文章でウォーレンは「非常に大きな買収ができる機会」としていましたが、もう一歩具体的な情報が入った話を、昨年の株主総会で発言していました。あくまでもトランスクリプトでの確認で、買収とも株式投資とも言ってはいませんでしたが。

2018年3月3日土曜日

2017年度バフェットからの手紙(6)大暴落が待っている

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2017年度「バフェットからの手紙」から、前回につづく文章です。(日本語は拙訳)

短期でみたときに価格が無秩序に変動するせいで、長期的な価値の成長ぶりを覆い隠す鮮明な例が、バークシャー自身にもあります。この53年間において当社は利益を再投資し、複利が持つ魔法の力を利かせつづけることで、会社の価値を高めてきました。年を追うごとに前進してきました。しかしバークシャー株のほうは、実に激しい下落を4回経験しました。その惨状ぶりは次のとおりです。

期間高値安値下落率
1973年3月~1975年1月9338-59.1%
1987年10月2日~1987年10月27日4,2502,675-37.1%
1998年6月19日~2000年3月10日80,90041,300-48.9%
2008年9月19日~2009年3月5日147,00072,400-50.7%

「借入金に頼って株を保有してはならない」、その理由を説明するために、わたしにはこれ以上のものを取りそろえることはできません。短期的には、株価がどれだけ下落するのか言い当てる術はありません。借入れた金額が少なく、下落市場によって持ち株が即座には脅かされなくても、おぞましい見出しや絶句するような解説に触れれば、心中穏やかではいられないかもしれません。平静を保てなければ、適切な判断は下せないものです。

当社(や他社)の株式はこれからの53年間に、上の表と同じような下落に見舞われることでしょう。しかし、それがいつ起こるのかは誰にもわかりません。いつであろうと信号機が黄色を飛ばして、青から赤に変わるかもしれないからです。

しかし大幅な下落が生じたときに、債務に縛られていない者の手にはめったにない機会がやってきます。そのときこそ、[文筆家の]キップリングが詩作『もしもー』にしたためた文章を噛みしめるときです。

もしも、どんな君のことにも周りが心乱しても、落ち着いていられれば、
もしも、辛抱強い君がずっと飽きずに待っていられれば、
もしも、君の頭で考えられて、それ自体を目的と取り違えなければ、
もしも、だれからも疑われるときに己を信じていられれば、
世界は君のものであり、すべてはそこにあるのだから。

(PDFファイル9ページ目。この節、おわり)

Berkshire, itself, provides some vivid examples of how price randomness in the short term can obscure long-term growth in value. For the last 53 years, the company has built value by reinvesting its earnings and letting compound interest work its magic. Year by year, we have moved forward. Yet Berkshire shares have suffered four truly major dips. Here are the gory details:

Period High Low Percentage Decrease
March 1973-January 1975 93 38 (59.1%)
10/2/87-10/27/87 4,250 2,675 (37.1%)
6/19/98-3/10/2000 80,900 41,300 (48.9%)
9/19/08-3/5/09 147,000 72,400 (50.7%)

This table offers the strongest argument I can muster against ever using borrowed money to own stocks. There is simply no telling how far stocks can fall in a short period. Even if your borrowings are small and your positions aren’t immediately threatened by the plunging market, your mind may well become rattled by scary headlines and breathless commentary. And an unsettled mind will not make good decisions.

In the next 53 years our shares (and others) will experience declines resembling those in the table. No one can tell you when these will happen. The light can at any time go from green to red without pausing at yellow.

When major declines occur, however, they offer extraordinary opportunities to those who are not handicapped by debt. That’s the time to heed these lines from Kipling’s If:

“If you can keep your head when all about you are losing theirs . . .
If you can wait and not be tired by waiting . . .
If you can think - and not make thoughts your aim . . .
If you can trust yourself when all men doubt you . . .
Yours is the Earth and everything that’s in it.”

備考です。今回の「バークシャー株暴落」の話題は、昨年開催されたデイリー・ジャーナル社の株主総会で、チャーリー・マンガーも口にしていました(過去記事)。この経験は彼らにとって錨(いかり)のような役割を果たしているのかもしれませんね。

もうひとつ、こちらは蛇足です。上の文中で暴落時の日付が記されていたので、自分の売買記録を確認してみました。バークシャーのB株、2009年3月5日に購入していました。分割前の株価で2,339.75ドルでした。ただし、その数日後の3月9日に買った株のほうが安かったです。こちらは2,302.9ドルでした。ウォーレンの日付と若干ずれているのは、B株だったからか、それとも取引時間中だったからか。どちらにせよ、「バイ・アメリカン」と宣言したウォーレンが正しかったと認められるのは、まだ先のことでした。

2018年3月2日金曜日

2017年度バフェットからの手紙(5)定番の教え:株式投資の捉えかた

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2017年度「バフェットからの手紙」から、バークシャーが手がけている投資について触れた節をご紹介します。今回分の後半はウォーレンの主張としておなじみの内容ですが、読むたびに姿勢を正される気がします。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

投資の状況について

以下の表は、当社が投資した普通株のうち、年末時点で市場評価額が大きかった15件を並べたものです。ただしクラフト・ハインツ社の3億2,544万2,152株は含んでいません。バークシャーは同社の支配会社に名を連ねているので、「持分」法によって会計報告することになっているからです。貸借対照表上にはクラフト・ハインツ社の株式分として、GAAP準拠の数字で176億ドルを計上しています。一方でその市場価格は253億ドル、取得原価は98億ドルでした。



* バークシャーの子会社各社が設立している年金基金が保有する株式は除きます。
** この数字は実際の購入価格であり、税額計算時の基礎となるものです。一方、GAAP上の「費用」はいくつかの点で異なっています。GAAPの規則では減損が要求されているからです。

上記の銘柄の中には、トッド・コームズあるいはテッド・ウェシュラーが手掛けているものも複数含まれています。彼らはわたしと共にバークシャーにおける投資業務を担当しています。二人ともわたしから独立しており、おのおのが120億ドル以上の資産を運用しています。毎月出してくれるポートフォリオの概略をみてから、彼らが下した決定を知ることもよくあります。彼らの運用資産は合算すると250億ドルですが、そのなかにはバークシャーの一部の子会社が設立している年金からの受託分、80億ドル超が含まれています。上述したように、年金における投資分はバークシャーの持ち株を示した上の表には含まれていません。

* * * * * * * * * * * *

チャーリーとわたしは、バークシャーが保有している普通株のことを、市場で取引されているものではありますが、発行元企業の所有権だとみなしています。「株価チャート」の形状や、アナリストが発表する「目標」株価や、メディアに登場する解説者の意見、そういったものに基づいて売買するための「単なる銘柄コード」、とは考えていません。そうではなく、投資先の事業が成功を収めれば(ほとんどはそうなると信じていますが)、わたしたちがした投資も同じように成功を収める、と確信しているだけです。その見返りがそこそこで終わることもあるでしょう。逆に、キャッシュ・レジスターが鳴り響いて止まないこともあるでしょう。あるいは、手痛い失敗をすることもあると思います。しかし全体としてみれば、いずれはかなりの成果を手にできるはずです。米国では、株式に投資する者には追い風が吹いているのです。

当社の株式ポートフォリオ、これを「さまざまな公開企業に分散させた『少数株主としての所有権』」と称しますが、そこからバークシャーが2017年に受け取った配当金は37億ドルになりました。この数字はGAAP準拠の報告値に含まれていますし、四半期及び年次報告で言及している「営業利益」にも含まれています。

しかしその配当金の金額では、当社の保有株式から生まれ出る「真の」利益を十全にはとらえていません。「株主に関する事業上の原則」を何十年にもわたって掲載してきましたが(年次報告書19ページ)、その原則6で次のように記しています。「投資先企業があげた利益のうち内部留保されたものは、少なくとも同じ金額がキャピタル・ゲインの形で将来還元されることを期待する」と。

GAAPで定められた新たな規則によって、未実現損益を毎回の会計報告に記載するように強制されたこともあり、当社における譲渡益(及び損失)の認識額には波が生じると思います。しかし当社の投資先が留保する利益は、それらをひとまとまりとして捉えれば、いずれはそれ相応のキャピタル・ゲインの形でバークシャーに還元される、と確信しています。

上述してきた「価値の蓄積」と「留保利益」のつながりは、短期的には感知できないと思います。株価とは、年ごとに蓄積される本来的な価値にはどうやら縛られずに、騰落するものです。しかしやがては、度々引用されてきたベン・グレアムの格言が、真実だったとわかる日がきます。「短期でみれば、市場とは投票機である。しかし長期になれば、秤量機に変わる」日が。

* * * * * * * * * * * *

(この節、次回につづく)

Investments

Below we list our fifteen common stock investments that at yearend had the largest market value. We exclude our Kraft Heinz holding - 325,442,152 shares - because Berkshire is part of a control group and therefore must account for this investment on the “equity” method. On its balance sheet, Berkshire carries its Kraft Heinz holding at a GAAP figure of $17.6 billion. The shares had a yearend market value of $25.3 billion, and a cost basis of $9.8 billion.

[The table is omitted by the blog author.]

* Excludes shares held by pension funds of Berkshire subsidiaries.
** This is our actual purchase price and also our tax basis; GAAP “cost” differs in a few cases because of write-downs that have been required under GAAP rules.

Some of the stocks in the table are the responsibility of either Todd Combs or Ted Weschler, who work with me in managing Berkshire’s investments. Each, independently of me, manages more than $12 billion; I usually learn about decisions they have made by looking at monthly portfolio summaries. Included in the $25 billion that the two manage is more than $8 billion of pension trust assets of certain Berkshire subsidiaries. As noted, pension investments are not included in the preceding tabulation of Berkshire holdings.

* * * * * * * * * * * *

Charlie and I view the marketable common stocks that Berkshire owns as interests in businesses, not as ticker symbols to be bought or sold based on their “chart” patterns, the “target” prices of analysts or the opinions of media pundits. Instead, we simply believe that if the businesses of the investees are successful (as we believe most will be) our investments will be successful as well. Sometimes the payoffs to us will be modest; occasionally the cash register will ring loudly. And sometimes I will make expensive mistakes. Overall - and over time - we should get decent results. In America, equity investors have the wind at their back.

From our stock portfolio - call our holdings “minority interests” in a diversified group of publicly-owned businesses - Berkshire received $3.7 billion of dividends in 2017. That’s the number included in our GAAP figures, as well as in the “operating earnings” we reference in our quarterly and annual reports.

That dividend figure, however, far understates the “true” earnings emanating from our stock holdings. For decades, we have stated in Principle 6 of our “Owner-Related Business Principles” (page 19) that we expect undistributed earnings of our investees to deliver us at least equivalent earnings by way of subsequent capital gains.

Our recognition of capital gains (and losses) will be lumpy, particularly as we conform with the new GAAP rule requiring us to constantly record unrealized gains or losses in our earnings. I feel confident, however, that the earnings retained by our investees will over time, and with our investees viewed as a group, translate into commensurate capital gains for Berkshire.

The connection of value-building to retained earnings that I’ve just described will be impossible to detect in the short term. Stocks surge and swoon, seemingly untethered to any year-to-year buildup in their underlying value. Over time, however, Ben Graham’s oft-quoted maxim proves true: “In the short run, the market is a voting machine; in the long run, however, it becomes a weighing machine.”

* * * * * * * * * * * *

2018年3月1日木曜日

2017年度バフェットからの手紙(4)バフェットらしいあざやかな教訓

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2017年度「バフェットからの手紙」から、「賭け」の話題は今回でおわりです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

投資という行動には、「将来になってからもっと多くの消費ができるように、今日の消費を辛抱すること」が含まれます。「リスク」とは、この目的が達成できない可能性を指す言葉です。

その基準に従えば、「無リスク」とされていた長期債へ2012年の時点で投資するのは、普通株に長期投資するよりもずっとリスキーな選択でした。2012年から2017年にかけてのインフレ率が年間1%だとしても、プロテジェとわたしが手放した米国債の購買力は減っていたでしょう。

ただし早々に申し上げておきたいのですが、「明日や来週、あるいは来年であってさえも、短期の国内債券とくらべると株式のほうがリスキーである」ことは、たしかにそのとおりです。はるかにリスキーです。しかし投資期間が長期になるにつれ、米国株からなる分散されたポートフォリオのリスクは、債券よりも累進的に小さくなっていきます。ただし、「その時点での金利と比較して妥当な株価収益率で株式を買うこと」という条件が付きます。

長期的視野に基づいている投資家、たとえば年金基金や大学基金、倹約派の個人投資家は、投資上の「リスク」を量るために、ポートフォリオにおける債券対株式の比率を使うのは、たいへんな間違いです。ポートフォリオに含まれた質の高い債券でさえ、リスクを増加させることがしばしばあります。

* * * * * * * * * * * *

さて、わたしたちの果たした「賭け」から得られた最後の教訓になります。それは「大局的で『易しい』判断に付き従い、行動を慎むこと」です。10年にわたる賭けの間、[プロテジェ側が選択した]200名を超すヘッジ・ファンドのマネージャー諸氏が何万回と売買を繰り返したのは、ほぼ間違いないと思います。彼らのほとんどは判断を下す際に熟考し、どれもうまい一手だと信じていたのは、疑うところがないでしょう。投資の判断を下す前には、10-K[有価証券報告書]から学んだり、経営陣と対話したり、業界紙を読んだり、ウォール街のアナリストと意見交換をしたことでしょう。

一方プロテジェとわたしのほうは、調査や識見や才気のいずれに頼ることもなく、10年間でただ一度だけ、投資上の決定を下しました。保有していた債券を、100倍超になる利益倍率で(売却金額/利回り = 95.7/0.88)、売却すると決めただけでした。なおその際の「利益」とは、残りの5年間にわたって増加することのない値です。

売却後に手にする両者の資金は、バークシャーという名の単一の証券へと移ります。それはすなわち、多岐にわたる堅実な事業を保有したことになります。利益の留保分が使えるのですから、バークシャーの価値が年率8%に満たない成長にとどまるとは思えませんでした。たとえ景気がそこそこ程度だとしてもです。

このように幼稚園程度の分析が済んだところで、プロテジェとわたしは債券から株式への交換を実行し、一息つきました。いずれ8%が0.88%を上回るのは確実だろうと思っていました。それも「大幅に」ですよ。

(この節、おわり)

Investing is an activity in which consumption today is foregone in an attempt to allow greater consumption at a later date. “Risk” is the possibility that this objective won’t be attained.

By that standard, purportedly “risk-free” long-term bonds in 2012 were a far riskier investment than a long-term investment in common stocks. At that time, even a 1% annual rate of inflation between 2012 and 2017 would have decreased the purchasing-power of the government bond that Protege and I sold.

I want to quickly acknowledge that in any upcoming day, week or even year, stocks will be riskier - far riskier - than short-term U.S. bonds. As an investor’s investment horizon lengthens, however, a diversified portfolio of U.S. equities becomes progressively less risky than bonds, assuming that the stocks are purchased at a sensible multiple of earnings relative to then-prevailing interest rates.

It is a terrible mistake for investors with long-term horizons - among them, pension funds, college endowments and savings-minded individuals - to measure their investment “risk” by their portfolio’s ratio of bonds to stocks. Often, high-grade bonds in an investment portfolio increase its risk.

* * * * * * * * * * * *

A final lesson from our bet: Stick with big, “easy” decisions and eschew activity. During the ten-year bet, the 200-plus hedge-fund managers that were involved almost certainly made tens of thousands of buy and sell decisions. Most of those managers undoubtedly thought hard about their decisions, each of which they believed would prove advantageous. In the process of investing, they studied 10-Ks, interviewed managements, read trade journals and conferred with Wall Street analysts.

Protege and I, meanwhile, leaning neither on research, insights nor brilliance, made only one investment decision during the ten years. We simply decided to sell our bond investment at a price of more than 100 times earnings (95.7 sale price/.88 yield), those being “earnings” that could not increase during the ensuing five years.

We made the sale in order to move our money into a single security - Berkshire - that, in turn, owned a diversified group of solid businesses. Fueled by retained earnings, Berkshire’s growth in value was unlikely to be less than 8% annually, even if we were to experience a so-so economy.

After that kindergarten-like analysis, Protege and I made the switch and relaxed, confident that, over time, 8% was certain to beat .88%. By a lot.

最初の印象で「あっさり」と書きましたが、表面的な読み方ゆえの感想でした。くりかえし読むほどに、教訓や人生哲学やさまざまな教えが読み取れ、あいかわらず勉強になる文章だと感じるようになりました。なお、他の節もひきつづき取り上げるつもりです。

2018年2月28日水曜日

2017年度バフェットからの手紙(3)バカだねと思われることが必要なとき

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2017年度「バフェットからの手紙」から、前回に続いて「賭け」の話題です。(日本語は拙訳)

最終的な「賭け」の結果は、次のようになりました。

暦年 ファンドA ファンドB ファンドC ファンドD ファンドE S&Pファンド
2008 -16.5% -22.3% -21.3% -29.3% -30.1% -37.0%
2009 11.3% 14.5% 21.4% 16.5% 16.8% 26.6%
2010 5.9% 6.8% 13.3% 4.9% 11.9% 15.1%
2011 -6.3% -1.3% 5.9% -6.3% -2.8% 2.1%
2012 3.4% 9.6% 5.7% 6.2% 9.1% 16.0%
2013 10.5% 15.2% 8.8% 14.2% 14.4% 32.3%
2014 4.7% 4.0% 18.9% 0.7% -2.1% 13.6%
2015 1.6% 2.5% 5.4% 1.4% -5.0% 1.4%
2016 -3.2% 1.9% -1.7% 2.5% 4.4% 11.9%
2017 12.2% 10.6% 15.6% N/A 18.0% 21.8%
累計 21.7% 42.3% 87.7% 2.8% 27.0% 125.8%
年率 2.0% 3.6% 6.5% 0.3% 2.4% 8.5%

(注)プロテジェ・パートナーズとの合意によって、各ファンド・オブ・ファンズの名称は非公開としました。ただしわたし自身は、年次監査報告を受け取っています。なお2016年のファンドA・B・Cの数字は、昨年記載した内容から若干改訂しました。またファンドDは2017年中に解散したため、年間損益率の平均値は運営されていた9年間の成績をもとに算出してあります。

5本のファンド・オブ・ファンズは素早い駆け出しをみせ、2008年にはどれもがインデックス・ファンドを負かしました。しかしその後はまるでうまくいきませんでした。つづく9年間はどの年も、ファンド・オブ・ファンズ全体としてみればインデックス・ファンドから遅れを取ったのです。

あえて申し上げておきますが、その10年の間で株式市場の動向に異例なところは何もありませんでした。2007年の終わりごろに投資の「専門家」各氏に依頼して、普通株の長期的収益率を予想してもらえば、その平均値は8.5%に近い数字になったでしょう。これはS&P500が実際に記録した数字です。そのような環境であれば、儲けをあげるのは易しいことです。実際のところ、ウォール街の「助力者」たちが手にした総額は、びっくり仰天の金額でした。しかしながらその人たちが大いに潤った一方で、彼らに資金を投じた多くの投資家にとっては、失われた10年間となりました。

投資の成績はたゆたうものですが、手数料を遠慮されることはありません。

* * * * * * * * * * * *

今回の「賭け」によって、投資におけるもうひとつの重要な教訓があらわになりました。市場はおおむね合理的ですが、ときにおかしな行動をとります。その際に現れる機会をつかむには、まばゆい知性は必要ありません。経済学の学位も、アルファやベータといったウォール街で使われる専門用語になじんでいる必要もありません。そうではなく投資家に必要なのは、群集心理にみられる恐怖や熱狂から距離をおき、一握りの単純なファンダメンタルを凝視できる力です。かなりの期間にわたって、平凡と思われたりあるいはアホとさえ思われたりする道を、あえて選べる心持ちも欠かせません。

プロテジェとわたしは当初、最終的に必要な100万ドルを用意するために、財務省発行の額面50万ドルの割引債(ストリップスと呼ばれることがあります)をそれぞれ購入しました。その債券を買う価格が、それぞれ31万8,250ドルだったのです。これは1ドルに対して64セントを若干下回る値段でした。この金額を払うことで、10年後に50万ドルずつを受け取る算段でした。

その名称からおわかりになると思いますが、両者が買った債券には利子が支払われません。しかし(割り引いた値段で購入しているため)、満期まで保有すれば年率にして4.56%の利益が得られます。当初は年ごとに得られるリターンだけを考えており、2017年末に債券が満期を迎えることで、賭けの勝者側が指定する慈善先に100万ドルを贈るつもりでした。

しかし購入した後になって、債券市場で実に奇妙なことが起こりました。2012年の11月に、満期日まで残り5年ほどとなったわたしたちの債券が、額面価格の95.7%で買われていたのです。その値段になると、満期までの利回りは年率1%以下でした。正確には0.88%でした。

なんとも貧相なリターンなので、わたしたちが債券に投資していることが、米国株に投資するのとくらべてひどく間抜けなように思えました。S&P500であれば、すなわちそれは「米国におけるビジネスを時価総額によって適宜重みづけした大断面」のようなものですが、株主資本(つまり純資産)利益率にして年率10%を大きく上回る稼ぎを、長期間にわたってあげてきたのですから。

2012年11月、つまりわたしたちがこの件を考え直した時点で、S&P500に投資することで受け取れる配当金のリターンは年率2.5%、つまりわたしたちが購入した財務省証券の利回りの約3倍でした。しかも配当金が増額されていくのは、まず間違いないと言えました。それだけではなく、500社を構成する各社は莫大な資金を留保していました。各社はその資金を使って事業を拡大したり、よくあるように自社株を買い戻すことでしょう。どちらであろうと、いずれは1株当たり利益を大幅に増加させるはずです。1776年以来いつもそうだったように、いかなる困難な時期が来ようと、米国経済は前進し続けてきたのです。

2012年の末に債券と株式の間で評価の釣り合いが大幅に乱れたことで、プロテジェとわたしは次の点を合意しました。「両者が購入した債券を当初の予定より5年早く売却し、得られた資金でバークシャーのB株を11,200株買うこと」です。その結果、ガールズ・インクのオマハ事務所が先月受け取った金額は、当初望まれていた100万ドルではなく、222万2,279ドルとなりました。

お断りしておきますが、2012年に債券から乗り換えた後のバークシャーが、きわだった業績を残したわけではありません。しかし傑出する必要はなかったのです。結局のところ、バークシャー株からあがる利益が、年間利回り0.88%の債券に勝てばいいだけのことでした。獅子奮迅の働きは不要でした。

債券をバークシャー株に交換することの唯一のリスクは、2017年末の株式市場が極端に弱い事態にめぐり合ってしまうことでした。しかしその可能性は非常に小さい(いつであろうといくらかは存在します)だろうと、両者ともに考えていました。そう結論付けた理由は2つあります。ひとつめは、2012年末のバークシャー株が妥当な値段だったことです。ふたつめは、「賭け」が終わりとなるまでの5年間のうちに、バークシャーがほぼ確実に資産を大幅に蓄積させると考えられたからです。ただし、そうではあっても交換によって生じる、今回の慈善に関するあらゆるリスクを排除するために、2017年末にバークシャーの11,200株を売却しても100万ドルに満たない場合には、わたしが不足分を埋め合わせる旨、合意しました。(PDFファイル11ページ目)

(この節、まだつづきます)

Here’s the final scorecard for the bet:

[The performance chart is omitted by the blog author.]

Footnote: Under my agreement with Protege Partners, the names of these funds-of-funds have never been publicly disclosed. I, however, have received their annual audits from Protege. The 2016 figures for funds A, B and C were revised slightly from those originally reported last year. Fund D was liquidated in 2017; its average annual gain is calculated for the nine years of its operation.

The five funds-of-funds got off to a fast start, each beating the index fund in 2008. Then the roof fell in. In every one of the nine years that followed, the funds-of-funds as a whole trailed the index fund.

Let me emphasize that there was nothing aberrational about stock-market behavior over the ten-year stretch. If a poll of investment “experts” had been asked late in 2007 for a forecast of long-term common-stock returns, their guesses would have likely averaged close to the 8.5% actually delivered by the S&P 500. Making money in that environment should have been easy. Indeed, Wall Street “helpers” earned staggering sums. While this group prospered, however, many of their investors experienced a lost decade.

Performance comes, performance goes. Fees never falter.

* * * * * * * * * * * *

The bet illuminated another important investment lesson: Though markets are generally rational, they occasionally do crazy things. Seizing the opportunities then offered does not require great intelligence, a degree in economics or a familiarity with Wall Street jargon such as alpha and beta. What investors then need instead is an ability to both disregard mob fears or enthusiasms and to focus on a few simple fundamentals. A willingness to look unimaginative for a sustained period - or even to look foolish - is also essential.

Originally, Protege and I each funded our portion of the ultimate $1 million prize by purchasing $500,000 face amount of zero-coupon U.S. Treasury bonds (sometimes called “strips”). These bonds cost each of us $318,250 - a bit less than 64¢ on the dollar - with the $500,000 payable in ten years.

As the name implies, the bonds we acquired paid no interest, but (because of the discount at which they were purchased) delivered a 4.56% annual return if held to maturity. Protege and I originally intended to do no more than tally the annual returns and distribute $1 million to the winning charity when the bonds matured late in 2017.

After our purchase, however, some very strange things took place in the bond market. By November 2012, our bonds - now with about five years to go before they matured - were selling for 95.7% of their face value. At that price, their annual yield to maturity was less than 1%. Or, to be precise, .88%.

Given that pathetic return, our bonds had become a dumb - a really dumb - investment compared to American equities. Over time, the S&P 500 - which mirrors a huge cross-section of American business, appropriately weighted by market value - has earned far more than 10% annually on shareholders’ equity (net worth).

In November 2012, as we were considering all this, the cash return from dividends on the S&P 500 was 2.5% annually, about triple the yield on our U.S. Treasury bond. These dividend payments were almost certain to grow. Beyond that, huge sums were being retained by the companies comprising the 500. These businesses would use their retained earnings to expand their operations and, frequently, to repurchase their shares as well. Either course would, over time, substantially increase earnings-per-share. And - as has been the case since 1776 - whatever its problems of the minute, the American economy was going to move forward.

Presented late in 2012 with the extraordinary valuation mismatch between bonds and equities, Protege and I agreed to sell the bonds we had bought five years earlier and use the proceeds to buy 11,200 Berkshire “B” shares. The result: Girls Inc. of Omaha found itself receiving $2,222,279 last month rather than the $1 million it had originally hoped for.

Berkshire, it should be emphasized, has not performed brilliantly since the 2012 substitution. But brilliance wasn’t needed: After all, Berkshire’s gain only had to beat that annual .88% bond bogey - hardly a Herculean achievement.

The only risk in the bonds-to-Berkshire switch was that yearend 2017 would coincide with an exceptionally weak stock market. Protege and I felt this possibility (which always exists) was very low. Two factors dictated this conclusion: The reasonable price of Berkshire in late 2012, and the large asset build-up that was almost certain to occur at Berkshire during the five years that remained before the bet would be settled. Even so, to eliminate all risk to the charities from the switch, I agreed to make up any shortfall if sales of the 11,200 Berkshire shares at yearend 2017 didn’t produce at least $1 million.

2018年2月27日火曜日

2017年度バフェットからの手紙(2)10年越しの賭けの結果

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2017年度「バフェットからの手紙」からの引用が続きます。今回からの話題は、ウォーレンが前年度にとりあげた「賭け」の続きです(日本語は拙訳)。やはり今回も、この話題が一般(=非株主)向けのメイン・テーマだと思います。本シリーズの前回分投稿はこちらです。

なお、前年度分を紹介した投稿は以下のとおりです。未読の方は先に読まれることをお勧めします。

2016年度バフェットからの手紙(3)100歳になっても生きているだろうか
2016年度バフェットからの手紙(4)S&P500ファンドの威力
2016年度バフェットからの手紙(5)手数料は眠らない
2016年度バフェットからの手紙(6)アクティブ勢VSパッシブ勢
2016年度バフェットからの手紙(7)あのサルのように運が良ければ
2016年度バフェットからの手紙(8)金持ちはどう感じているのか
2016年度バフェットからの手紙(9)金持ちが熟練者と出会うとき

終わりをむかえた「例の賭け」から得られた、投資に関する意外な教訓

2007年12月19日にわたしが始めた10年越しの賭けについて、9割がた進んだ昨年の段階で、詳細な報告をしました(年次報告書に含めたその全文は、今回の年次報告書[PDF]の24-26ページに再掲してあります)。そして今では最終的な数字がそろいました。さまざまな観点において目を見張る結果でした。

賭けを始めた理由は2つありました。ひとつめは、わたしが拠出する31万8,250ドルをもとに、不相応なほど大きな金額に増やしたかったためです。わたしの予想する通りにものごとが進めば、2018年の初めにガールズ・インクのオマハ事務所へ寄付されることになる資金です。ふたつめは、わたしが確信していることを広く知ってもらいたかったからです。つまりそれは、「アクティブな運用者が関わらないS&P500のインデックス・ファンドを選ぶことで、実質的に費用のかからない投資となるわたしのやりかたが、ほとんどの資産運用のプロよりも優れた成績を、いずれは達成する」という考えです。ただしその「助力者」たる方々は、敬意を払われた上に、金銭面での見返りも厚遇されるとは思いますが。

この問題に取り組むことには、はなはだしく重要な意味があります。米国の投資家は毎年多額の費用を投資助言者へ支払っています。さまざまな階層にわたるがゆえの費用が課されることもよくあります。そのような投資家を全体としてとらえたときに、はたして支払った金額にふさわしい対価を受けているのでしょうか。実際のところ、助言者に対する総支出に対してなにかを受け取っているのでしょうか。

賭けの相手となったプロテジェ・パートナーズはS&P500の成績を上回ることをねらって、5本の「ファンド・オブ・ファンズ」を選択しました。彼らが選んだこの数が、少ないということはありません。ファンド・オブ・ファンズを5本選んだということは、結局のところ200本のヘッジ・ファンドへ投資することになったからです。

ウォール街では投資助言会社として知られているプロテジェは、実質的に5名の投資専門家を選んだことになります。さらには各々がヘッジ・ファンドを運営している、投資の専門家を数百名抱えたことになります。これは、「頭脳とアドレナリンと自信に満ちたエリートからなる要員のそろった集団」ということになります。

5本のファンド・オブ・ファンズそれぞれを運営するマネージャーには、さらに有利な点がありました。みずからのポートフォリオに含まれているヘッジ・ファンドを、10年の間に入れ替えることができた点です。実際のところ彼らは、新たな「スター」へ資金を投下し、その一方で運用者の神通力が失われたヘッジ・ファンドからは資金を引き揚げました。

プロテジェ側の役者諸氏は、成功に対する大きな見返りを約束されていました。ファンド・オブ・ファンズの運営者だけでなく、選択された各ヘッジ・ファンドの運営者も、儲けの大幅な部分が分配されることになっていたのです。たとえそれが単に市場全体が上昇したときであっても、です。(わたしたちがバークシャーを経営し始めた以降で10年にわたる期間を考えたとき、1年ずつずらすと都合43回ありましたが、S&P500はそのすべてにおいて、プラスだった年数がマイナスだった年数を上回りました)

成功に応じて受けられるそういった見返りは、本来は強調すべきところを、おいしくて巨大なケーキの上に塗り伸ばされていました。たとえファンドが10年の間に投資家の資金を失ったとしても、運用者諸氏は大金持ちになることができたでしょう。資産額に対する割合が、平均にして「驚きの2.5%前後」にのぼる固定手数料を、ファンド・オブ・ファンズへ投資する者が毎年支払うとなれば、それも実現する話です。その手数料の一部はファンド・オブ・ファンズ5本の各運用者へ、そして残りは下位にあたるヘッジ・ファンドの200名超にのぼる運用者へとわたったのです。(PDFファイル10ページ目)

(この節、つづく)

“The Bet” is Over and Has Delivered an Unforeseen Investment Lesson

Last year, at the 90% mark, I gave you a detailed report on a ten-year bet I had made on December 19, 2007. (The full discussion from last year’s annual report is reprinted on pages 24 - 26.) Now I have the final tally - and, in several respects, it’s an eye-opener.

I made the bet for two reasons: (1) to leverage my outlay of $318,250 into a disproportionately larger sum that - if things turned out as I expected - would be distributed in early 2018 to Girls Inc. of Omaha; and (2) to publicize my conviction that my pick - a virtually cost-free investment in an unmanaged S&P 500 index fund - would, over time, deliver better results than those achieved by most investment professionals, however well-regarded and incentivized those “helpers” may be.

Addressing this question is of enormous importance. American investors pay staggering sums annually to advisors, often incurring several layers of consequential costs. In the aggregate, do these investors get their money’s worth? Indeed, again in the aggregate, do investors get anything for their outlays?

Protege Partners, my counterparty to the bet, picked five “funds-of-funds” that it expected to overperform the S&P 500. That was not a small sample. Those five funds-of-funds in turn owned interests in more than 200 hedge funds.

Essentially, Protege, an advisory firm that knew its way around Wall Street, selected five investment experts who, in turn, employed several hundred other investment experts, each managing his or her own hedge fund. This assemblage was an elite crew, loaded with brains, adrenaline and confidence.

The managers of the five funds-of-funds possessed a further advantage: They could - and did - rearrange their portfolios of hedge funds during the ten years, investing with new “stars” while exiting their positions in hedge funds whose managers had lost their touch.

Every actor on Protege’s side was highly incentivized: Both the fund-of-funds managers and the hedge-fund managers they selected significantly shared in gains, even those achieved simply because the market generally moves upwards. (In 100% of the 43 ten-year periods since we took control of Berkshire, years with gains by the S&P 500 exceeded loss years.)

Those performance incentives, it should be emphasized, were frosting on a huge and tasty cake: Even if the funds lost money for their investors during the decade, their managers could grow very rich. That would occur because fixed fees averaging a staggering 2.5% of assets or so were paid every year by the fund-of-funds’ investors, with part of these fees going to the managers at the five funds-of-funds and the balance going to the 200-plus managers of the underlying hedge funds.

2018年2月26日月曜日

2017年度バフェットからの手紙(1)減税及び会計基準変更による影響

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2/24(土)付けで2017年度の「バフェットからの手紙」を公開しています。今回は全16ページと、少なくとも今世紀に入ってから最も短いレターです。一読した印象も「地味であっさり」といったところですが、よく考えれば大切な文章も当然ながら見受けられます。これからまじめに読み込むつもりです。

今回は冒頭の文章から、拙訳付きでご紹介します。言葉通り、バークシャーの株主に向けた話題です。

SHAREHOLDER LETTER 2017 [PDF] (Berkshire Hathaway)

バークシャー・ハサウェイの株主のみなさんへ、

2017年度において、バークシャーの純資産は653億ドル増加しました。その結果、クラスA株及びクラスB株のいずれにおいても、1株当たりの簿価は23%増えています。過去53年間において(すなわち現経営陣が就任した後のことですが)、1株当たりの簿価は19ドルから21万1,750ドルに増加しました。これは年率にして19.1%の増加率になります。

巻頭にあげた[業績推移の]表は、30年間にわたって同じ書式を使ってきました。しかし2017年度は、これまでのお決まりから大きく逸脱しています。バークシャー内で達成したこと以外のものが、当社利益の大幅な部分を占めたからです。

そうではあるものの、650億ドルになる利益は現実のものですから、ご安心ください。ただし、バークシャー自身の活動によって得た金額は、360億ドルにとどまっています。残りの290億ドルは、議会が連邦税法を改定したことによって、12月にもたらされたものです。(税務的な面によってバークシャーが得た利益に関する詳細は、年次報告書のK32やK-89~K-90ページをご参照ください)

そのような財務上の事実があることをお断りしましたので、早速バークシャーの経営状況についてご説明したいと思います。しかし、もう1件だけお待ちください。GAAP(米国会計基準)に規定された新たな会計基準について、触れておかねばならないからです。この改定によって今後提出される四半期及び年次の会計報告では、バークシャーの純利益の数字が大幅に変形したものとなります。それによってメディアに登場する解説者や投資家が誤解してしまうことが、たびたび生じると思われます。

新たな規則は、「株式投資における未実現損益の期間増減額を、純利益の数字へ含めて報告書に記載しなければならない」点を要求しています。そのことで、GAAPに準拠する当社の経営成績は、実に荒々しく気まぐれに変動することになるでしょう。バークシャーは市場で取引されている株式を1,700億ドル保有しています(ただしクラフト・ハインツ社の当社持ち分を除く)。それら持ち株の評価額は、四半期ごとの会計期間において100億ドル以上容易に変動します。そのような規模で旋回する数字を報告利益に加えることは、当社の営業成績を描き出すまさしく重要な数字を台無しにします。バークシャーが示す「稼ぎ」は、分析しようにも役に立たないものとなるでしょう。

この新たな規則によって、コミュニケーション上の問題も併せて生じます。この問題は以前からも存在していました。「[証券売却時の]実現損益を当社の純利益に含めるように」と、会計規則が強制していたからです。そのため、過去の四半期及び年度ごとの決算発表の際には、「それらの実現益には気を取られないように」とみなさんに常々警告してきました。なぜならば未実現損益と同様に、その数字も不規則に変動するからです。

証券を売却した理由の大半は、その時期にそうするのが賢明だと思えたからでした。「なんとかして報告利益に影響させたい」と考えたわけではありません。その結果、ポートフォリオ全体が残念な成績の間に大幅な実現益を計上したことが、当社では往々にしてありました(その反対もありました)。

未実現益に関する新たな規則は、実現益に適用されている現行の規則がもたらした歪曲を、一層悪化させると思われます。そのため、みなさんが納得のいく数字を得られるように、それに必要な調整値を四半期ごとに説明する労苦を、わたしたちは背負うことになります。しかし決算発表時に映像で流れる解説はたちまち反応を受けがちですし、新聞の見出しでは必ずと言っていいほど前年比でみたGAAP純利益の増減に焦点を当てています。その結果、メディアはときに数字を強調した報道を行い、多くの読者や視聴者を不必要に怖がらせたり、煽り立てたりします。

わたしたちはこの問題を緩和するために、「決算報告の発表時期を、金曜日の遅い時刻つまり市場が終了してから少し後、あるいは土曜日の早朝にする」との慣習をつづけたいと考えています。それによって市場が開く月曜日までに、みなさんが分析にかける時間をなるべく多くとれるようになり、また資産運用者たるプロの方々が自分たちの見解を含めた解説を配布する余裕ができるでしょう。そうだとしても、会計のことがチンプンカンプンな株主の間では、かなりの戸惑いが生じると思われます。

バークシャーがもっとも心を砕いていること、それは1株当たり調整後利益を生む力を増加させることです。その指標はわたしだけではなく、長きにわたるパートナーであるチャーリー・マンガーも傾注しています。またみなさんもそうであってほしい、と両名とも望んでいます。それでは、引き続いて2017年度の星取表を説明します。(PDFファイル2ページ目)

To the Shareholders of Berkshire Hathaway Inc.:

Berkshire’s gain in net worth during 2017 was $65.3 billion, which increased the per-share book value of both our Class A and Class B stock by 23%. Over the last 53 years (that is, since present management took over), per-share book value has grown from $19 to $211,750, a rate of 19.1% compounded annually.

The format of that opening paragraph has been standard for 30 years. But 2017 was far from standard: A large portion of our gain did not come from anything we accomplished at Berkshire.

The $65 billion gain is nonetheless real - rest assured of that. But only $36 billion came from Berkshire’s operations. The remaining $29 billion was delivered to us in December when Congress rewrote the U.S. Tax Code. (Details of Berkshire’s tax-related gain appear on page K-32 and pages K-89 - K-90.)

After stating those fiscal facts, I would prefer to turn immediately to discussing Berkshire’s operations. But, in still another interruption, I must first tell you about a new accounting rule - a generally accepted accounting principle (GAAP) - that in future quarterly and annual reports will severely distort Berkshire’s net income figures and very often mislead commentators and investors.

The new rule says that the net change in unrealized investment gains and losses in stocks we hold must be included in all net income figures we report to you. That requirement will produce some truly wild and capricious swings in our GAAP bottom-line. Berkshire owns $170 billion of marketable stocks (not including our shares of Kraft Heinz), and the value of these holdings can easily swing by $10 billion or more within a quarterly reporting period. Including gyrations of that magnitude in reported net income will swamp the truly important numbers that describe our operating performance. For analytical purposes, Berkshire’s “bottom-line” will be useless.

The new rule compounds the communication problems we have long had in dealing with the realized gains (or losses) that accounting rules compel us to include in our net income. In past quarterly and annual press releases, we have regularly warned you not to pay attention to these realized gains, because they - just like our unrealized gains - fluctuate randomly.

That’s largely because we sell securities when that seems the intelligent thing to do, not because we are trying to influence earnings in any way. As a result, we sometimes have reported substantial realized gains for a period when our portfolio, overall, performed poorly (or the converse).

With the new rule about unrealized gains exacerbating the distortion caused by the existing rules applying to realized gains, we will take pains every quarter to explain the adjustments you need in order to make sense of our numbers. But televised commentary on earnings releases is often instantaneous with their receipt, and newspaper headlines almost always focus on the year-over-year change in GAAP net income. Consequently, media reports sometimes highlight figures that unnecessarily frighten or encourage many readers or viewers.

We will attempt to alleviate this problem by continuing our practice of publishing financial reports late on Friday, well after the markets close, or early on Saturday morning. That will allow you maximum time for analysis and give investment professionals the opportunity to deliver informed commentary before markets open on Monday. Nevertheless, I expect considerable confusion among shareholders for whom accounting is a foreign language.

At Berkshire what counts most are increases in our normalized per-share earning power. That metric is what Charlie Munger, my long-time partner, and I focus on - and we hope that you do, too. Our scorecard for 2017 follows.

2017年7月10日月曜日

2016年度バフェットからの手紙(12)譲渡益や受取配当金の所得税率

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2016年度「バフェットからの手紙」から、譲渡益と配当金のそれぞれにかかる税金の話題です。(日本語は拙訳)

配当と税金について学んでおいたほうがよい事柄がいくつかありますので、それらを取り上げたうえで、投資に関する本章をおわりにしたいと思います。ほとんどの他社と同じようにバークシャーでも、譲渡益として稼ぐ金額よりも受け取る配当金のほうがかなり多額になります。「譲渡益こそ、税金面で有利なリターンが得られる手段だ」とふだんから考えておられる株主のかたは、たぶん驚かれるかと思います。

しかしここで、企業における金勘定を説明しておきます。ある会社が譲渡益を1ドル発生させると、35セントの連邦所得税が課されます(同様に、所得税を課す州も多いです)。しかし内国企業から受け取る配当金に課される税率のほうは、受取り側の状況によって異なりますが一貫して低い値です。

非保険会社の場合、つまり親会社であるバークシャー・ハサウェイのことですが、連邦税の実質税率は受け取った配当金1ドルにつき10.5セントです。さらには、投資先を20%超保有する非保険会社の場合、その配当金1ドルにつき7セントしか課税されません。たとえば当社はクラフト・ハインツ社の27%を、親会社自身ですべて保有しています。そのため同社から受け取る多額の配当金には、その税率が適用されます。(配当金に対する法人税率が低いことの理由は、配当金を支払う側である投資先企業が、配分することになる損益に対してすでに自社の段階で法人税を支払っているためです)

バークシャーの保険子会社では、非保険会社に適用されるよりもいくぶん高い税率が配当金にかかっています。しかしそれでも譲渡益に課税される35%よりもかなり低い税率です。損害保険会社には、受取配当金のほとんどに対して14%の税金が課されます。もし投資先が米国籍であり、なおかつその20%超を保有している場合は、税率が11%前後へ下がります。

税金に関する今回の勉強はここまでです。

Before we leave this investment section, a few educational words about dividends and taxes: Berkshire, like most corporations, nets considerably more from a dollar of dividends than it reaps from a dollar of capital gains. That will probably surprise those of our shareholders who are accustomed to thinking of capital gains as the route to tax-favored returns.

But here’s the corporate math. Every $1 of capital gains that a corporation realizes carries with it 35 cents of federal income tax (and often state income tax as well). The tax on dividends received from domestic corporations, however, is consistently lower, though rates vary depending on the status of the recipient.

For a non-insurance company - which describes Berkshire Hathaway, the parent - the federal tax rate is effectively 10.5 cents per $1 of dividends received. Furthermore, a non-insurance company that owns more than 20% of an investee owes taxes of only 7 cents per $1 of dividends. That rate applies, for example, to the substantial dividends we receive from our 27% ownership of Kraft Heinz, all of it held by the parent company. (The rationale for the low corporate taxes on dividends is that the dividend-paying investee has already paid its own corporate tax on the earnings being distributed.)

Berkshire’s insurance subsidiaries pay a tax rate on dividends that is somewhat higher than that applying to non-insurance companies, though the rate is still well below the 35% hitting capital gains. Property/casualty companies owe about 14% in taxes on most dividends they receive. Their tax rate falls, though, to about 11% if they own more than 20% of a U.S.-based investee.

And that’s our tax lesson for today.

今年分の拙訳付きご紹介も、ひとまずは終わりです。

2017年7月8日土曜日

2016年度バフェットからの手紙(11)永久に保有?

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2016年度「バフェットからの手紙」から、証券の保有方針に関する話題を引用します。「ウォーレン後」に備えた布石のようにも読める文章です。(日本語は拙訳)

ときに株主の方やメディアからのコメントで、「当社には『永久に』保有しつづけると決めている株式がある」とほのめかすものがあります。たしかに保有株式のなかには、目の見えている間に(視力のことですよ)売却するつもりがないものもあります。しかしわたしどもは、「バークシャーには永久に保有する証券がある」とは確約していません。

この点について混乱を招いているのは、本書[2016年度の年次報告書;PDFファイル]の110-111ページに載せている「事業経営上の原則その11」の読みかたが大まかすぎるせいかもしれません。当社の年次報告書にその文章を含めるようになったのは1983年でした。その原則は支配下の事業に対しては適用されますが、保有する市場流通証券に対してはそうではありません。今年からは「その11」の最後に一文を付け加えました。わたしどもがいかなる市場流通証券も売却可能なものとみなしていることを、株主のみなさんが確実に理解できるようにするためです。とは言うものの現段階では、そのような売却は起こりそうにありません。(PDFファイル22ページ)

Sometimes the comments of shareholders or media imply that we will own certain stocks “forever.” It is true that we own some stocks that I have no intention of selling for as far as the eye can see (and we’re talking 20/20 vision). But we have made no commitment that Berkshire will hold any of its marketable securities forever.

Confusion about this point may have resulted from a too-casual reading of Economic Principle 11 on pages 110 - 111, which has been included in our annual reports since 1983. That principle covers controlled businesses, not marketable securities. This year I’ve added a final sentence to #11 to ensure that our owners understand that we regard any marketable security as available for sale, however unlikely such a sale now seems.

2017年7月6日木曜日

2016年度バフェットからの手紙(10)バークシャーの保有資金について

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2016年度「バフェットからの手紙」から、短めの文章をいくつか引用します。今回はバークシャーが連結ベースで保有する現金資産の話題です。バークシャーの現状を把握する「いろは」のひとつにあたると思います。(日本語は拙訳)

当社の貸借対照表における「現金及び等価物」860億ドルのうち(わたしとしては米国財務省証券T-Billも含めています)の95%が、米国内に籍をおく事業体によって保有されています。つまりどのような資金還流税であっても、その課税対象にはなりません。このことを理解しておくのは大切です。さらには、それ以外の資金を米国内へ還流させる場合でも、わずかな税金しか発生しません。それら資金の多くは、かなりの法人税が課されている国であげた益金だからです。資金を本国へ送金する際には、そういった既払い分と連邦税が相殺されることになります。

このような説明は重要です。というのも、現金が潤沢な多くの米国企業は、その資金の大きな割合を非常に小さな税率しかかからない法的管轄域で保有しているからです。そういった企業は、それらの資金を米国へ持ち込む際に課される税金が大幅に削減されるよう望んでいますし、それが適切な行動だったとなるかもしれません。しかしそれまでの間は、その資金をどのように使えるかという点において、そういった企業は行動を制限されています。言い換えれば、海外にある現金は本国にある現金とは「単純に同じ価値とは言えない」わけです。

バークシャーは地理的にみて好ましい場所で現金を保有していますが、それを部分的に相殺している点があります。現金の多くを当社の保険子会社が保有している点です。それらの資金を投資目的で使う方策はいろいろと考えられますが、もし親会社であるバークシャーが保有していたら堪能できたはずの無制限な選択肢ほどではありません。また子会社の各保険会社から親会社へと多額の現金を毎年配分する能力もありますが、こちらも同じように限界があります。結局のところ、各保険会社の手元にある現金は非常に有用な資産ではあるものの、親会社の階層で保有する現金にくらべると、若干ながら価値が落ちるきらいがあります。(PDFファイル19ページ)

It’s important for you to understand that 95% of the $86 billion of “cash and equivalents” (which in my mind includes U.S. Treasury Bills) shown on our balance sheet are held by entities in the United States and, consequently, is not subject to any repatriation tax. Moreover, repatriation of the remaining funds would trigger only minor taxes because much of that money has been earned in countries that themselves impose meaningful corporate taxes. Those payments become an offset to U.S. tax when money is brought home.

These explanations are important because many cash-rich American companies hold a large portion of their funds in jurisdictions imposing very low taxes. Such companies hope - and may well be proved right - that the tax levied for bringing these funds to America will soon be materially reduced. In the meantime, these companies are limited as to how they can use that cash. In other words, off-shore cash is simply not worth as much as cash held at home.

Berkshire has a partial offset to the favorable geographical location of its cash, which is that much of it is held in our insurance subsidiaries. Though we have many alternatives for investing this cash, we do not have the unlimited choices that we would enjoy if the cash were held by the parent company, Berkshire. We do have an ability annually to distribute large amounts of cash from our insurers to the parent - though here, too, there are limits. Overall, cash held at our insurers is a very valuable asset, but one slightly less valuable to us than is cash held at the parent level.

2017年7月4日火曜日

2016年度バフェットからの手紙(9)金持ちが熟練者と出会うとき

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2016年度「バフェットからの手紙」から、「ロング・ベッツ」の話題は今回で終わりです。(日本語は拙訳)

公務員が加入している年金基金に、多額の金銭的損害が生じました。それら基金の多くは痛々しいまでに積み立て不足ですが、「巨額の手数料を払ったあげく、投資の成績はお粗末」という往復ビンタをくらったことも、その原因の一部です。運用資産に生じた不足分は、地元の納税者が何十年もかけて埋め合わせなければいけないでしょう。

人間の行動とは変わらないものです。裕福な個人や年金基金、財団などは、「投資上の『特別な』助言を受ける資格がある」と、これからも感じ続けることでしょう。そのような期待を抜け目なく利用できる助言者は、大金持ちになれると思います。今年の秘薬はヘッジ・ファンドになるかもしれない。あるいは来年は別のものかもしれない。その手の約束が目白押しに続くとどんな結末になりそうか、ある警句が次のように予言しています。「金のある者が経験のある者と出会えば、ついには経験のある者に金がわたり、金のある者の手元には経験が残る」と。

昔のことですが、オマハの市場で卸売業者として働いていた義理の兄であるホーマー・ロジャーズに尋ねたことがあります[スーザンの姉ドッティーの配偶者]。「農家や畜産家をどう説得したら、食肉業界大手4社(スウィフト、クダヘイ、ウィルソン、アーマー)の買い付け人へ豚や牛を売りさばく仕事を任せてもらえるのですか」。結局は豚は豚であって、どの動物にどれだけの価値があるか、専門家である買い手はきっかり知り尽くしているわけです。さらに、もうひとつ質問しました。「他の人よりも良い成績をあげる代理人がいるのは、一体どういうわけですかね」。

残念そうなまなざしを向けながら、ホーマーはこう答えました。「ちがうんだ、ウォーレン。彼らにどうやって売るかではなくて、どう話すかなんだよ」。市場で使えたその技は、今もなおウォール街で使えています。

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最後になりますが、ウォール街には良き友人も多くいますので、このあたりで仲直りできればと思います。買収案件を持ってきてくれる投資銀行には、たとえ膨大な金額であってもバークシャーは喜んで手数料をお支払いします。さらに言いますと、当社に在籍している2名の投資マネージャーには、好成績をおさめた際に多額の報酬を支払っており、かなうならばもっと多額を払いたいと望んでおります。

新約聖書の言葉に倣えば(エフェソ書3:18)、「手数料」という単純な3文字の言葉をウォール街へ投げかけたときに、その言葉から流れ出すエネルギーの「高さ、深さ、長さ、広さ」がどのようなものか承知しています。そのエネルギーがバークシャーへ価値をもたらしてくれるのでしたら、よろこんで高額の小切手を切りたいと思います。

(この章おわり)

Much of the financial damage befell pension funds for public employees. Many of these funds are woefully underfunded, in part because they have suffered a double whammy: poor investment performance accompanied by huge fees. The resulting shortfalls in their assets will for decades have to be made up by local taxpayers.

Human behavior won’t change. Wealthy individuals, pension funds, endowments and the like will continue to feel they deserve something “extra” in investment advice. Those advisors who cleverly play to this expectation will get very rich. This year the magic potion may be hedge funds, next year something else. The likely result from this parade of promises is predicted in an adage: “When a person with money meets a person with experience, the one with experience ends up with the money and the one with money leaves with experience.”

Long ago, a brother-in-law of mine, Homer Rogers, was a commission agent working in the Omaha stockyards. I asked him how he induced a farmer or rancher to hire him to handle the sale of their hogs or cattle to the buyers from the big four packers (Swift, Cudahy, Wilson and Armour). After all, hogs were hogs and the buyers were experts who knew to the penny how much any animal was worth. How then, I asked Homer, could any sales agent get a better result than any other?

Homer gave me a pitying look and said: “Warren, it’s not how you sell ‘em, it’s how you tell ‘em.” What worked in the stockyards continues to work in Wall Street.

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And, finally, let me offer an olive branch to Wall Streeters, many of them good friends of mine. Berkshire loves to pay fees - even outrageous fees - to investment bankers who bring us acquisitions. Moreover, we have paid substantial sums for over-performance to our two in-house investment managers - and we hope to make even larger payments to them in the future.

To get biblical (Ephesians 3:18), I know the height and the depth and the length and the breadth of the energy flowing from that simple four-letter word - fees - when it is spoken to Wall Street. And when that energy delivers value to Berkshire, I will cheerfully write a big check.

2017年6月28日水曜日

2016年度バフェットからの手紙(8)金持ちはどう感じているのか

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2016年度「バフェットからの手紙」から「ロング・ベッツ」の話題を引用します。この章は、今回も含めてあと2回です。(日本語は拙訳)

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アメリカの投資家に対してもっとも貢献した人を讃えて彫像を建てるとすれば、すぐに思い当たるのはジャック・ボーグルでしょう[前述したヴァンガード・ファンドの創始者]。「きわめて費用の安いインデックス・ファンドへ投資すべきだ」とジャックは何十年間もずっと投資家へ訴えてきました。革新をめざす運動をつづける間、ふつうであればマネージャーへと流れていく富のうち、わずかなパーセントしか彼は収集しませんでした。ちなみに、そういったマネージャーは投資家に対して大きな見返りを約束するものの、付加価値をまったく提供できなかったり、あるいはわたしが始めた勝負のようにマイナスにすることもあります。

初期のころのジャックは、資産運用業界から再三コケにされていました。しかし今日では、「自分の蓄えから出したお金が、他のことよりもずっとすぐれた成績をあげている」と認めてくれる投資家が何百万人もいて、自分はその手助けをしていることに彼は満足しています。そういった投資家にとってジャックはヒーローですし、わたしにとっても彼はヒーローです。

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これまでにわたしは、「投資について助言してほしい」とたびたび求められてきました。それに対して答える過程で、人間というものについて山のように学ぶことができました。わたしがよくお薦めするのは、費用の安いS&P500インデックス・ファンドでした。まあまあの食い扶持しか持たない友人たちはたいてい、わたしの助言に沿ってくれました。見事なことだと思います。

しかし一方で、超裕福な人や機関投資家や年金基金がわたしからの同じ助言に従ったことは一度もなかったはずです。そのかわりに彼らは、わたしの考えに対して丁重な礼を返すと、高額の報酬を要求するマネージャーがうたう魅惑の歌に惹かれて立ち去っていきました。あるいは機関投資家の場合、「コンサルタント」という名の別の種類の「超」助言者を求めることも、よくありました。

しかしそのようなプロの助言者には、ある問題が待っています。顧客に対して「S&P500を模倣するインデックス・ファンドへの投資を毎年追加しつづけるように」と指導する投資コンサルタントなぞ、想像できますか。それは彼らにとって職業的な自殺行為です。反対に、運用先を小幅に動かすようにと毎年のように推奨すれば、多額の手数料が超助言者へ流れ込むことになります。そのとき「流行している投資『スタイル』や現在の経済的動向を考慮すると、なぜそのように変更することが適切なのか」を説明する際に、彼らは内輪で通用する業界用語を使うことがよくあります。

裕福な人たちというものは、「最上の食べものや教育、娯楽、住居、美容外科、スポーツ観戦のチケット、その他諸々を得ることは、持って生まれた定めである」と感じて生きてきました。「大衆が入手できるものよりもはるかに優れたものを、手に入れるために金銭を使うべき」と感じているのです。

実際のところ金持ちは、生活上のさまざまな局面において最上級の製品やサービスを要求しています。それがために、裕福な個人や年金基金や大学基金といったたぐいの資産的「エリート」は、数千ドルしか投資資金のない人たちにも利用できる金融商品やサービスを粛然と契約する際に、大きな問題を抱えることになります。たとえ渦中の商品が期待値ベースで最良の選択肢だとはっきりしていても、金持ちの場合はふつう、そのような拒否反応のほうが勝つのです。非常に大まかな計算ではありますが、わたしの見積もりでは、投資に関する卓越した助言を求めるエリートたちを全体としてとらえると、過去10年間で1千億ドル以上も無駄にしています。計算してみてください、数兆ドルに対して手数料がわずか1%であっても十分でしょう。もちろんですが、10年前にヘッジ・ファンドへ資金を投じた人すべてが、S&Pの成績からおくれを取ったわけではないと思います。しかしわたしが見積もった「全体としてとらえたときの不足分」は、まちがいなく保守的な計算だと思っています。

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If a statue is ever erected to honor the person who has done the most for American investors, the handsdown choice should be Jack Bogle. For decades, Jack has urged investors to invest in ultra-low-cost index funds. In his crusade, he amassed only a tiny percentage of the wealth that has typically flowed to managers who have promised their investors large rewards while delivering them nothing - or, as in our bet, less than nothing - of added value.

In his early years, Jack was frequently mocked by the investment-management industry. Today, however, he has the satisfaction of knowing that he helped millions of investors realize far better returns on their savings than they otherwise would have earned. He is a hero to them and to me.

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Over the years, I’ve often been asked for investment advice, and in the process of answering I’ve learned a good deal about human behavior. My regular recommendation has been a low-cost S&P 500 index fund. To their credit, my friends who possess only modest means have usually followed my suggestion.

I believe, however, that none of the mega-rich individuals, institutions or pension funds has followed that same advice when I’ve given it to them. Instead, these investors politely thank me for my thoughts and depart to listen to the siren song of a high-fee manager or, in the case of many institutions, to seek out another breed of hyper-helper called a consultant.

That professional, however, faces a problem. Can you imagine an investment consultant telling clients, year after year, to keep adding to an index fund replicating the S&P 500? That would be career suicide. Large fees flow to these hyper-helpers, however, if they recommend small managerial shifts every year or so. That advice is often delivered in esoteric gibberish that explains why fashionable investment “styles” or current economic trends make the shift appropriate.

The wealthy are accustomed to feeling that it is their lot in life to get the best food, schooling, entertainment, housing, plastic surgery, sports ticket, you name it. Their money, they feel, should buy them something superior compared to what the masses receive.

In many aspects of life, indeed, wealth does command top-grade products or services. For that reason, the financial “elites” - wealthy individuals, pension funds, college endowments and the like - have great trouble meekly signing up for a financial product or service that is available as well to people investing only a few thousand dollars. This reluctance of the rich normally prevails even though the product at issue is -on an expectancy basis - clearly the best choice. My calculation, admittedly very rough, is that the search by the elite for superior investment advice has caused it, in aggregate, to waste more than $100 billion over the past decade. Figure it out: Even a 1% fee on a few trillion dollars adds up. Of course, not every investor who put money in hedge funds ten years ago lagged S&P returns. But I believe my calculation of the aggregate shortfall is conservative.

2017年6月24日土曜日

2016年度バフェットからの手紙(7)あのサルのように運が良ければ

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2016年度「バフェットからの手紙」から引用します。前回のつづきです。(日本語は拙訳)

上に記したわたしの主張を単純な方程式へ入れてみたいと思います。もし投資の世界全体がグループA(アクティブ投資家)とグループB(不動な投資家)で構成されているとしたら、グループBの費用控除前の成績は平均点そのものとなる定めにあります。これはグループAも同じです。つまり、費用の安いグループのほうが勝者となるわけです(理論的なこだわりがあってささいながらも触れておきたいのですが、この公式にはわずかに修正すべき点があります。詳細に触れるほどのものではありませんが)。グループAの費用が不当なほど高いとしたら、大幅に差をつけられてしまうでしょう。

もちろんですが、腕利きの人たちのなかにはS&Pをしのぐ成績を長期間にわたってあげることが明白な人もいるでしょう。ただしこれまでわたしが見てきたなかで、この難題を成し遂げるだろうと早い段階から期待できたプロは10名程度にとどまりました。

わたしが知らない人のなかには、わたしが見出したそのような人たちと同じ能力を持つ人が、数百人あるいはたぶん数千人にのぼるのは間違いないはずです。けっきょくは、不可能でも何でもない仕事だからです。ただし問題なのは、好成績をあげようとするマネージャーの大多数が失敗におわる点です。「資金を出してほしい」とみなさんへ要求する人はどうでしょうか。やはり、「うまくやり遂げられる例外的な人」ではない可能性がかなり高いと思います。ビル・ルーアン[=セコイア・ファンドの創業者]は実にすばらしい人物でした。それだけではなく、60年前に「まずまちがいなく長期間にわたって卓越した投資成績をもたらす」と思えた人物でした。その彼が、ここで取り上げている話題についてうまく言い表しています。「資産運用の世界では、ものごとは革新者から始まって、模倣者が引き継ぎ、やがてヘボの大群へと伝わっていくのだ」と。

「高給取りのマネージャーで、なおかつ報酬に見合った価値を提供してくれる」という稀な人物をさがす作業がなおさら複雑になるのは、「素人で起こるのとまさしく同じように、投資のプロにおいても短期的にみると運が良かっただけ」という事実があるからです。たとえば年のはじめに1,000人のマネージャーが市場の予測をしたとします。するとかなりの確率で、9年間連続して正解を出す人が少なくとも一人はいます。もちろんサルが1,000匹いても同じように、知恵をたたえた預言者のように見える1匹を輩出するでしょう。しかし違う点がひとつあります。幸運なサルのほうには、投資を任せようと列をなす者の姿がみられない点です。

最後になりますが、「投資で成功したがために失敗を産み出す」、そのような働きをする3つのつながり合った現実があります。はじめに「成績が良いと早々に資金の奔流を呼び集める点」です。次に「投資資金が山と積みあがることで、かならずや成績の重しとなる点」です。数百万ドルならばたやすくても、数十億ドルでは手を焼くようになります(涙)。3つめに「それにもかかわらず、ほとんどのマネージャーが新規の追加資金を求める点」です。これは彼ら個人の方程式のせいです。つまりは、「運用資産が増えれば、受取り手数料も増える」わけです。

わたしにしてみれば、その3点に何ら新しいところはありません。1966年1月に、わたしは4,400万ドルの資産を運用していました。そのときに有限責任パートナーに向けて次のように書きました。「規模が大きくなることは、今後の成績にとって有益ではなく有害になりやすい。そう強く感じています。わたし個人の成績ではそうならないかもしれませんが、みなさんの成績ではおそらくそうなるでしょう。そのようなわけで、バフェット・パートナーシップ・リミテッド(BPL)の新たなパートナーは今後は迎え入れないつもりです。妻のスージーにはすでに言ってあります。『次の子供ができたとしても、その子たち用のパートナーシップは他をあたってほしい』と」。

締めくくりましょう。ウォール街の住人が何兆ドルもの資産を管理していて高額な手数料をとっているのであれば、とびぬけた利益を刈り取れるのはふつうはマネージャーのほうであって、顧客のほうではありません。規模が大きかろうが小さかろうが、どちらの投資家も低コストのインデックス・ファンド一筋でやったほうがいいと思います。

So that was my argument - and now let me put it into a simple equation. If Group A (active investors) and Group B (do-nothing investors) comprise the total investing universe, and B is destined to achieve average results before costs, so, too, must A. Whichever group has the lower costs will win. (The academic in me requires me to mention that there is a very minor point - not worth detailing - that slightly modifies this formulation.) And if Group A has exorbitant costs, its shortfall will be substantial.

There are, of course, some skilled individuals who are highly likely to out-perform the S&P over long stretches. In my lifetime, though, I’ve identified - early on - only ten or so professionals that I expected would accomplish this feat.

There are no doubt many hundreds of people - perhaps thousands - whom I have never met and whose abilities would equal those of the people I’ve identified. The job, after all, is not impossible. The problem simply is that the great majority of managers who attempt to over-perform will fail. The probability is also very high that the person soliciting your funds will not be the exception who does well. Bill Ruane - a truly wonderful human being and a man whom I identified 60 years ago as almost certain to deliver superior investment returns over the long haul - said it well: “In investment management, the progression is from the innovators to the imitators to the swarming incompetents.”

Further complicating the search for the rare high-fee manager who is worth his or her pay is the fact that some investment professionals, just as some amateurs, will be lucky over short periods. If 1,000 managers make a market prediction at the beginning of a year, it’s very likely that the calls of at least one will be correct for nine consecutive years. Of course, 1,000 monkeys would be just as likely to produce a seemingly all-wise prophet. But there would remain a difference: The lucky monkey would not find people standing in line to invest with him.

Finally, there are three connected realities that cause investing success to breed failure. First, a good record quickly attracts a torrent of money. Second, huge sums invariably act as an anchor on investment performance: What is easy with millions, struggles with billions (sob!). Third, most managers will nevertheless seek new money because of their personal equation - namely, the more funds they have under management, the more their fees.

These three points are hardly new ground for me: In January 1966, when I was managing $44 million, I wrote my limited partners: “I feel substantially greater size is more likely to harm future results than to help them. This might not be true for my own personal results, but it is likely to be true for your results. Therefore, . . . I intend to admit no additional partners to BPL. I have notified Susie that if we have any more children, it is up to her to find some other partnership for them.”

The bottom line: When trillions of dollars are managed by Wall Streeters charging high fees, it will usually be the managers who reap outsized profits, not the clients. Both large and small investors should stick with low-cost index funds.

2017年6月20日火曜日

2016年度バフェットからの手紙(6)アクティブ勢VSパッシブ勢

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用です。「ロング・ベット」が続きます。(日本語は拙訳)

今回の勝負でヘッジ・ファンドへ投資していた人たちは残念な成績を被りましたが、これが将来も繰り返されるのは、ほぼまちがいないだろうと思います。勝負開始の際にロング・ベッツのウェブサイトへ寄せた説明のなかで、なぜそのような持論を抱いているのか理由を表しました(今でもまだ載ったままです)。わたしが力説した内容は次のとおりです。

2008年1月1日に開始してから2017年12月31日までの10年間におけるS&P500の成績は、手数料・原価・経費を除いて計算すると、ヘッジ・ファンドに投資するファンド群よりも良い結果をおさめるでしょう。

証券市場では、非常に優秀な多くの人が平均を超える結果をあげようと考えて、行動を始めます。ここでは彼らのことを「アクティブ投資家」と呼ぶことにします。

彼らの反対になるのが「パッシブ投資家」で、その性質からすると平均前後の成績をあげることになります。彼らのポジションを総体としてみれば、多かれ少なかれインデックス・ファンドの成績と同じ程度になるでしょう。ですから、アクティブ投資家たち全体における損益も、同じように平均前後になるはずです。ただし、アクティブ投資家にははるかに多額の費用がかかってきます。そのためすべてを考慮すると、それらの費用を引いた後のアクティブ投資家全体としての成績は、パッシブ投資家の成績よりも悪くなるでしょう。

多額の年間手数料、多額の成功報酬、そして頻繁に発生する売買の費用といった要素すべてがアクティブ投資家の方程式に加えられることで、コストは飛躍的に増加します。ヘッジ・ファンドに投資するファンドでは、この費用の問題がなおさら強烈です。というのも、投資先のヘッジ・ファンドが要求する多額の手数料の上に、ファンド・オブ・ファンズの手数料が積み重なるからです。

ヘッジ・ファンドの運営には、優秀な人たちが何名もかかわっています。しかし自分自身の労苦がみずからを無力化する側面が大きい以上、彼らの有するIQをもってしても、投資家へ課す費用を打ち破ることはできないでしょう。投資家を平均して考えれば、ある程度の期間でみたときに良い成績をあげるのは、低コストのインデックス・ファンドへ投資したときであって、一群のファンド・オブ・ファンズへの投資ではないと思います。


In my opinion, the disappointing results for hedge-fund investors that this bet exposed are almost certain to recur in the future. I laid out my reasons for that belief in a statement that was posted on the Long Bets website when the bet commenced (and that is still posted there). Here is what I asserted:

Over a ten-year period commencing on January 1, 2008, and ending on December 31, 2017, the S&P 500 will outperform a portfolio of funds of hedge funds, when performance is measured on a basis net of fees, costs and expenses.

A lot of very smart people set out to do better than average in securities markets. Call them active investors.

Their opposites, passive investors, will by definition do about average. In aggregate their positions will more or less approximate those of an index fund. Therefore, the balance of the universe - the active investors - must do about average as well. However, these investors will incur far greater costs. So, on balance, their aggregate results after these costs will be worse than those of the passive investors.

Costs skyrocket when large annual fees, large performance fees, and active trading costs are all added to the active investor’s equation. Funds of hedge funds accentuate this cost problem because their fees are superimposed on the large fees charged by the hedge funds in which the funds of funds are invested.

A number of smart people are involved in running hedge funds. But to a great extent their efforts are self-neutralizing, and their IQ will not overcome the costs they impose on investors. Investors, on average and over time, will do better with a low-cost index fund than with a group of funds of funds.

2017年6月16日金曜日

2016年度バフェットからの手紙(5)手数料は眠らない

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用です。ウォーレンが始めた「ロング・ベット」のつづきです。(日本語は拙訳)

インデックス・ファンドの現在までの成績は、複利ベースで年率7.1%増でした。過去の株式市場をみれば、これがふつうの数字だと容易にわかることでしょう。ここで重要な事実を述べておきます。この勝負の期間となった9年間において市場がきわめて低調に推移したとすると、相対的な成績でみればヘッジ・ファンドのほうが有利になるでしょう。彼らの多くが「空売り」のポジションを大きくとるからです。反対に、株式がきわめて高いリターンをあげれば、9年の歳月はインデックス・ファンドの追い風となるでしょう。

ところが実際はそのどちらとも異なり、わたしとしては「ニュートラル」と呼びたい運用環境になりました。2016年までに5本のファンド・オブ・ファンズが達成した複利ベースでのリターンは、平均すると年率2.2%にとどまりました。つまりそれらのファンドに100万ドル投資すれば、22万ドルの利益が得られたことになります。しかしインデックス・ファンドに投資していれば、85万4千ドルの利益が得られていたでしょう。

ここで念頭においていただきたいのは、基盤になっている100本以上のヘッジ・ファンドを運営するすべてのマネージャーが、最善を尽くすことに対して巨額の金銭的な見返りを得られることになっていた点です。さらに、テッドが選んだ5本のファンド・オブ・ファンズのマネージャーも同様です。彼らも、最高のヘッジ・ファンドを運営するマネージャーを選ぶよう動機づけられていました。選んだヘッジ・ファンドの成績によって手数料を受ける決まりにしていたからです。

どちらの階層のマネージャーも、ほとんどが正直で頭のいい人ばかりだったのはまちがいないと思います。しかし彼らに対して投資した人にとっての成績は散々でした。まさに散々の一言です。ところがなんとも、関わっていたすべてのファンド及びファンド・オブ・ファンズが課していた多額の固定手数料は、ファンドの成績からすればまるで見合っていないのですが、過ぎ去った9年間を通じてマネージャー諸氏の報酬として降り注ぐためのものとなったのです。ゴードン・ゲッコーであればたぶん、「手数料が眠ることはない」と言い表すでしょう。[映画Wall Street: Money Never Sleepの主人公。演者はマイケル・ダグラス]

わたしたちの勝負において基盤となった投資先ヘッジ・ファンドのマネージャーが有限責任のパートナーから受ける報酬を平均としてみると、ヘッジ・ファンド標準として広まっている「2と20」をやや下回る程度でした。この「2と20」の意味ですが、まずは年間2%の固定手数料がかかります。これは損失が巨大であっても取られる金額です。そして利益が出た場合はその20%分が取られます。(成績が良い年の後に悪い年が来たとしても)返金されることはありません。このような不均衡な構成のもとで、運用対象となる資産を積み上げるだけの能力がヘッジ・ファンドの運用者にあれば、投資成績がお粗末だったとしてもマネージャーの多くは途方もない金持ちになれます。

手数料の話はまだ終わっていません。ファンド・オブ・ファンズのマネージャーにも同じような支払いが必要でしたね。ここまでの金額に追加して、たいていは資産額の1%と定めた固定手数料が取られます。さらには、ファンド・オブ・ファンズ5本全体の成績がひどいものだったとしても好調な年が続いたファンドもあったので、好成績に見合った手数料が徴収されます。それらの結果、9年間を合計すると5本のファンド・オブ・ファンズが達成した利益全体のうち、私の計算ではおよそ60%が(ごくごくごっくん!)、2階層にわたるマネージャーへと振り向けられていました。何百名もの有限責任パートナーが苦労することなく、さらには実質的に費用をかけることもなしに自分自身で達成できたかもしれない成績をはるかに下回った対価としては、いただけないものでした。

The compounded annual increase to date for the index fund is 7.1%, which is a return that could easily prove typical for the stock market over time. That’s an important fact: A particularly weak nine years for the market over the lifetime of this bet would have probably helped the relative performance of the hedge funds, because many hold large “short” positions. Conversely, nine years of exceptionally high returns from stocks would have provided a tailwind for index funds.

Instead we operated in what I would call a “neutral” environment. In it, the five funds-of-funds delivered, through 2016, an average of only 2.2%, compounded annually. That means $1 million invested in those funds would have gained $220,000. The index fund would meanwhile have gained $854,000.

Bear in mind that every one of the 100-plus managers of the underlying hedge funds had a huge financial incentive to do his or her best. Moreover, the five funds-of-funds managers that Ted selected were similarly incentivized to select the best hedge-fund managers possible because the five were entitled to performance fees based on the results of the underlying funds.

I’m certain that in almost all cases the managers at both levels were honest and intelligent people. But the results for their investors were dismal - really dismal. And, alas, the huge fixed fees charged by all of the funds and funds-of-funds involved - fees that were totally unwarranted by performance - were such that their managers were showered with compensation over the nine years that have passed. As Gordon Gekko might have put it: “Fees never sleep.”

The underlying hedge-fund managers in our bet received payments from their limited partners that likely averaged a bit under the prevailing hedge-fund standard of “2 and 20,” meaning a 2% annual fixed fee, payable even when losses are huge, and 20% of profits with no clawback (if good years were followed by bad ones). Under this lopsided arrangement, a hedge fund operator’s ability to simply pile up assets under management has made many of these managers extraordinarily rich, even as their investments have performed poorly.

Still, we’re not through with fees. Remember, there were the fund-of-funds managers to be fed as well. These managers received an additional fixed amount that was usually set at 1% of assets. Then, despite the terrible overall record of the five funds-of-funds, some experienced a few good years and collected “performance” fees. Consequently, I estimate that over the nine-year period roughly 60% - gulp! - of all gains achieved by the five funds-of-funds were diverted to the two levels of managers. That was their misbegotten reward for accomplishing something far short of what their many hundreds of limited partners could have effortlessly - and with virtually no cost - achieved on their own.

2017年6月12日月曜日

2016年度バフェットからの手紙(4)S&P500ファンドの威力

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2016年度「バフェットからの手紙」からの引用で、ウォーレンが始めた賭けの話題がつづきます。(日本語は拙訳)

さて、ここからはわたしが行った賭けとその後についてです。バークシャーの2005年度年次報告書で、「ある程度の年月でみると、プロが運用するアクティブ投資を全体としてみたときのリターンは、ズブの素人がじっとしたまま達成する数字に及ばない」と論じました。顧客全体としてみると、さまざまな「助力者ら」の課す巨額な手数料のおかげで、単に自動運用されていて費用の安いインデックス・ファンドへ素人が投資するよりもむずかしい状況に置かれていると説明したのです。(2005年度の報告書にのせた論述を、今回の年次報告書[PDFファイル]の114~115ページにそのまま再掲しましたので、ごらんください)

そのあとに続けて、賭け金50万ドルの勝負を公けに募りました。その内容は、「かなりの長期間でみたときに、おしるし程度の手数料で済む管理者不要なS&P500のインデックス・ファンドの成績に匹敵できる『少なくとも5本以上のヘッジ・ファンドで構成される一群』を、投資業界のプロの方で選び出せる人はいない」とするものです。高額の手数料がかかりますが、ヘッジ・ファンドはすごく人気がある投資用のヴィークルです。そして勝ち負けを決める時期は10年後とし、わたしの勝負札には手数料の安いヴァンガードS&Pファンドを選びました。「さあ、ファンド・マネージャーのみなさんがこぞってあらわれて、自分たちの仕事を擁護するだろう」と腰を落ちつけて待ち望みました。彼らは、5つのファンドの中に自分のものも含めることができるわけです。結局のところ、マネージャーである彼らの腕前に何十億ドルを賭けるようにと他人を焚きつけてきたのですから、その彼らが自分の資金から少しばかりを危険にさらすことになっても、こわがる必要はないはずです。

ところが聴こえてきたのは、しんとした静寂ばかりでした。みずからの銘柄選定の技量を売り込むことで、めまいがするほどの富を集めてきた、そんな数千名ものプロの資産運用者がいるはずです。しかし、わたしの出した挑戦に挑んできたのはただ一人でした。彼の名はテッド・サイディーズ、プロテジェ・パートナーズの共同マネージャーを務める人物でした。彼は有限責任のパートナーから集めた資金をもとにファンド・オブ・ファンズ、言いかえれば「複数のヘッジ・ファンドへ投資するファンド」を設立した資産運用者でした。

賭けの前には、テッドのことは知りませんでした。しかし彼には好感を持っていますし、自分の資金を自分の信じるものへと投じる気構えは見事だと思います。わたしに対して正直でしたし、賭けの状況を監視するために両者が必要なあらゆるデータを提供してくれる点でも細密周到でした。

プロテジェ・パートナーズ側の10年間にわたる勝負札として、テッドはファンド・オブ・ファンズを5本選びました。そしてそれらの成績の平均をとり、わたし側のヴァンガードS&Pインデックス・ファンドと比較しました。5本のファンドは100本以上のヘッジ・ファンドへと投資していました。これはつまり、「ひとつのマネージャーがあげる成績の良しあしによって、5本全体としての成績がねじ曲げられることがない」という意味になります。

もちろんですが、投資先のヘッジ・ファンドで手数料がかかっていましたし、それぞれのファンド・オブ・ファンズでもその上に積み重なる形で手数料をとって運営していました。この二重構成では、基礎部分にあたるヘッジ・ファンドのほうで、より大きな手数料が課されていました。そしてそれぞれのファンド・オブ・ファンズでは、「ヘッジ・ファンドのマネージャーを選び抜く」という暗黙の了解を得た技量の代金として、追加の手数料を要求したわけです。

以下に、開始後9年間の勝負の経過を挙げました。わたしの勝ち分すべてを受けられる慈善先として、[NPO法人]ガールズ・インクのオマハ事務所を設定してありますが、この数字からすればまちがいなく、かの団体は来年の正月に勇んで通知の手紙を開けるだろうと思います。

暦年 ファンドA ファンドB ファンドC ファンドD ファンドE S&Pファンド
2008 -16.5% -22.3% -21.3% -29.3% -30.1% -37.0%
2009 11.3% 14.5% 21.4% 16.5% 16.8% 26.6%
2010 5.9% 6.8% 13.3% 4.9% 11.9% 15.1%
2011 -6.3% -1.3% 5.9% -6.3% -2.8% 2.1%
2012 3.4% 9.6% 5.7% 6.2% 9.1% 16.0%
2013 10.5% 15.2% 8.8% 14.2% 14.4% 32.3%
2014 4.7% 4.0% 18.9% 0.7% -2.1% 13.6%
2015 1.6% 2.5% 5.4% 1.4% -5.0% 1.4%
2016 -2.9% 1.7% -1.4% 2.5% 4.4% 11.9%
累計 8.7% 28.3% 62.8% 2.9% 7.5% 85.4%

(注)プロテジェ・パートナーズとの合意によって、ファンド・オブ・ファンズの名称は非公開としました。ただしわたし自身は、年次の監査報告を確認しています。

Now, to my bet and its history. In Berkshire's 2005 annual report, I argued that active investment management by professionals - in aggregate - would over a period of years underperform the returns achieved by rank amateurs who simply sat still. I explained that the massive fees levied by a variety of “helpers" would leave their clients - again in aggregate - worse off than if the amateurs simply invested in an unmanaged low-cost index fund. (See pages 114 - 115 for a reprint of the argument as I originally stated it in the 2005 report.)

Subsequently, I publicly offered to wager $500,000 that no investment pro could select a set of at least five hedge funds - wildly-popular and high-fee investing vehicles - that would over an extended period match the performance of an unmanaged S&P-500 index fund charging only token fees. I suggested a ten-year bet and named a low-cost Vanguard S&P fund as my contender. I then sat back and waited expectantly for a parade of fund managers - who could include their own fund as one of the five - to come forth and defend their occupation. After all, these managers urged others to bet billions on their abilities. Why should they fear putting a little of their own money on the line?

What followed was the sound of silence. Though there are thousands of professional investment managers who have amassed staggering fortunes by touting their stock-selecting prowess, only one man - Ted Seides - stepped up to my challenge. Ted was a co-manager of Protege Partners, an asset manager that had raised money from limited partners to form a fund-of-funds - in other words, a fund that invests in multiple hedge funds.

I hadn’t known Ted before our wager, but I like him and admire his willingness to put his money where his mouth was. He has been both straight-forward with me and meticulous in supplying all the data that both he and I have needed to monitor the bet.

For Protege Partners’ side of our ten-year bet, Ted picked five funds-of-funds whose results were to be averaged and compared against my Vanguard S&P index fund. The five he selected had invested their money in more than 100 hedge funds, which meant that the overall performance of the funds-of-funds would not be distorted by the good or poor results of a single manager.

Each fund-of-funds, of course, operated with a layer of fees that sat above the fees charged by the hedge funds in which it had invested. In this doubling-up arrangement, the larger fees were levied by the underlying hedge funds; each of the fund-of-funds imposed an additional fee for its presumed skills in selecting hedge-fund managers.

Here are the results for the first nine years of the bet - figures leaving no doubt that Girls Inc. of Omaha, the charitable beneficiary I designated to get any bet winnings I earned, will be the organization eagerly opening the mail next January.

[The performance chart is omitted by the blog author.]

Footnote: Under my agreement with Protege Partners, the names of these funds-of-funds have never been publicly disclosed. I, however, see their annual audits.