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2018年10月4日木曜日

今度は債券の番だ(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークスが顧客向けのメモを先日公開していました(9月26日付)。今回の主な内容は、彼らの本業である債券の市場環境についてですが、株式市場についても若干触れていますので、印象に残った文章をご紹介します。(日本語は拙訳)

The Seven Worst Words in the World [PDF] (Oaktree Capital Management)

この文章を結ぶ前に、私の見方をご紹介しておきたいと思います。株式には高い値がつけられていますが、しかし(テクノロジーやソーシャル・メディアのような、いくつかの特定のグループを除けば)極端に高いというほどではありません。他の資産クラスと比較すれば、特にそうだと言えます。そのため、株式が金融市場におけるトラブルの震源になるとは思えません。今日の株式の位置づけは、2005年から2006年の頃と似通っているように見受けられます。金融危機を引き起こすような役割は当時ほとんど、あるいはまったく果たしていませんでした。(ただし当然ながら、株式投資家も痛みから免れることはできませんでした。たとえそうであっても、50%超の下落に見舞われたのです)。

2007年から2008年にかけて生じた危機をもたらした主な原因は、株式ではありませんでした。そうではなく、サブプライム証券やその他のものから組成されたり、借入比率を高められた投資商品のほうでした。それらは、債券やデリバティブやあらゆる種類の金融工学から生まれた産物によって彩られていました。言い換えれば、証券や債券そのものではなく、前述した諸々をそれらの中へ取り込んだものでした。

おそらく今回においては、「ひろく一般的なものとなり、リスクに見合うかを考慮せずに投資家がリターンを追い求め、上述したような攻撃的な行動の対象となっている」のは、主として公募債や私募債です。それゆえに、次に問題が発生したときに爆心地で発見されるのは、おそらく債券関連の商品になると思われます(後略)。

Before closing, I want to share my view that equities are priced high but (other than a few specific groups, such as technology and social media) not extremely high - especially relative to other asset classes - and are unlikely to be the principal source of trouble for the financial markets. I find the position of equities today similar to that in 2005-06, from which they played little or no role in precipitating the Crisis. (Of course, that didn’t exempt equity investors from pain; they were hit nevertheless with declines of more than 50%.)

Instead of equities, the main building blocks for the Crisis of 2007-08 were sub-prime mortgage backed securities, other structured and levered investment products fashioned from debt, and derivatives, all examples of financial engineering. In other words, not securities and debt instruments themselves, but the uses to which they were put.

This time around, it’s mainly public and private debt that’s the subject of highly increased popularity, the hunt by investors for return without commensurate risk, and the aggressive behavior described above. Thus it appears to be debt instruments that will be found at ground zero when things next go wrong.(p. 9)

「現在は投資すべきではない」とか「債券に投資すべきではない」とは、一切申し上げていません。私たちオークツリーはこのところ、「前進せよ、ただし慎重に」とのマントラを唱えてきましたし、今もなおそのままです。今後の見通しは悪くないですし、資産価格もそれほど高くはないため、「現金化すべし」あるいは「ほぼ現金化すべし」というほどではありません。機会費用と呼べるであろうペナルティーが実に大きいため、市場から退出することを正当化できない状況です。

しかし上述したことすべてを考慮すれば、上昇分すべてを是が非でも手中にしようとするよりも、下落時に損失を限定することに重きを置く戦略や運用者やアプローチこそ、投資家が選好すべきほうだと私は考えます。その両方を同時に手に入れることはできません。

投資の世界ではほぼあらゆるものが、積極的あるいは消極的になされ得るものです。私の見るところ、現在の市場は注意を払うべき時期だと思われます。

I’m absolutely not saying people shouldn’t invest today, or shouldn’t invest in debt. Oaktree’s mantra recently has been, and continues to be, “move forward, but with caution.” The outlook is not so bad, and asset prices are not so high, that one should be in cash or near-cash. The penalty in terms of likely opportunity cost is just too great to justify being out of the markets.

But for me, the import of all the above is that investors should favor strategies, managers and approaches that emphasize limiting losses in declines above ensuring full participation in gains. You simply can’t have it both ways.

Just about everything in the investment world can be done either aggressively or defensively. In my view, market conditions make this a time for caution. (p. 11)

2018年9月28日金曜日

この良き時代に終わりは来ない(スティーブン・ローミック)

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バリュー・ファンドFPAのマネージャーであるスティーブン・ローミックが、少し前に第二四半期のコメントを公開していたので、ご紹介します。引用する話題は、今後の市場動向を占ったものです。この手の話題は疑念を抱きながら目を通すようにしていますが、今回取り上げるチャートはそれなりに信頼できると感じました。(日本語は拙訳)

Second Quarter 2018 Commentary (FPA Crescent Fund) [PDF]

下図における青色の線は、S&P500の10年平均収益率[過去10年間であげた総リターンの騰落率を年率換算した値]を示しています。一方で緑色(若草色)の線は、家計部門が保有する金融資産のうち株式投資が占める割合を示しています。ただしこちらは10年先に進めて描線するとともに、縦軸の天地を逆転させています。それによって、S&P500収益率との相関関係がいっそう明確になるように表現しています。


この図において緑色の線は、西暦2010年に最底辺に達しています。ただし先に述べたように縦軸が逆転しているので、実際には頂点に到達していました。さらにグラフを10年分先に進めて描いているので、40%ほどの保有率に達していたのは実のところ10年早く、2000年のことでした。これは言い換えれば、家計部門による株式の保有割合が頂点に達したのは2000年であり、収益率がやがてマイナス一桁の値になることを示唆していたのです。まさしくそのとおりになりました。

この図に示したように、家計部門における金融資産中の[株式]保有率と、市場平均があげる将来リターン率の間にみられる負の相関が、56年間にわたって存在してきたことがはっきりとみられます。

それでは、現在の家計部門が金融資産の面でとっているリスクの度合いは、将来についてなにを言わんとしているでしょうか。それはつまり、米国市場の想定リターン率が一桁前半の数値へ向かおうとしていることです(図中で緑色の線が右端へと向かっている箇所は、青色の線がそちらへ到達することを暗示しています)。(p. 6)

The blue line on this chart below shows the trailing 10-year return of the S&P 500. The green line shows household equity as a percent of household financial assets, shifted forward ten years and flipped upside-down to more clearly depict its correlation to the S&P’s return.

You can see the green line reaching its nadir in 2010. That was really the peak - remember, the chart is flipped. Since it’s also shifted forward ten years, that peak of about 40% really occurred 10 years earlier in 2000. In other words, household investment in stocks hit a high in 2000 and suggested that returns would be negative single digits and that’s what happened.

The inverse relationship between household ownership of financial assets and future market returns has clearly been present for 56 years.

So what does today’s household financial asset exposure suggest about the future? Current exposure suggests that the US market’s projected return will converge towards the [low single digits] (the green line data point to the far right of the chart suggests that the blue line will end up there.)”

大衆が正しかった例は稀有であり、今回も例外とはならないようです。株価が後退する時期には、上昇するときよりも速やかに下落するものです。「この良き時代に終わりは来ない」と投資家が考える時期は、「この苦難の時代が終わるとは思えない」と投資家が考える時期へと姿を変えるのです。(p. 10)

The Crowd is rarely right, and this time is unlikely to prove the exception. When stocks do decline, they tend to fall more quickly than they rise. The good times that investors think will never end morph into bad times that investors think will never end.

2018年6月28日木曜日

人間はコンピューターに勝てるか(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークスが新しいメモを公開しています(6月18日付)。今回は「人間が介在しない投資」として、3つの話題をとりあげています。ETF等のパッシブ投資、クォンツ投資、AI投資です。パッシブ投資に関しては、すこし前のメモを拡充したような内容です。クォンツ投資については概要を説明していますが、AIについては触りだけで、展望や技術的な限界を述べるには至っていません。新著の仕上げに注力しているからか、全体的には「中休み」といった印象を受けました。今回は、その中でも記憶にとどめておきたい箇所を断片的に引用します。(日本語は拙訳)

Investing Without People [PDF] (Oaktree Capital Management)

はじめの引用はクォンツ投資の限界についてです。

繰り返しますが、ジョージ・ソロスは再帰性理論のなかで「市場参加者の行動が市場を変える」と説いています。それゆえ、永続的に勝ち続ける数式など存在しないのでしょう。私からすれば、数量的投資(クォンツ投資)によって優れた成果をあげるには、定期的かつ正確に数式を書き換える能力が不可欠になると思います。投資とは動的なものであるゆえ、クォンツ投資の基礎をなす規則も変わらざるを得ないからです。(p. 11)

To reiterate, George Soros’s Theory of Reflexivity says the behavior of market participants alters the market. Thus no formula will be a winner forever. For me, that means the achievement of superior returns through quantitative investing requires the ability to constantly and correctly update the formula. Since investing is dynamic, the rules relied on in quantitative investing have to be dynamic.

次の引用は、市場参加者のうちパッシブ投資が占める割合についての考察です。個人的にも、この問題について空想することが時折あります。

[適正]価格発見の面でどれだけの投資がパッシブになれば、価値に対して支払う金額を適正に保てなくなるでしょうか。それはだれにもわかりません。株式投資信託が現在保有する資産額のうち、およそ40%がパッシブに運用されています。機関投資家においても、その数字の方向へと進むかもしれません。ただしそれでは不十分だとは思います。[機関投資家の世界では]今もなおほとんどの資金がアクティブに運用されています。つまり現在はまだ、価格を探るさまざまな活動が実施されているわけです。たしかにパッシブ運用の割合が100%になれば十分です。しかし「株式の適正価値を評価したり、企業のことを調査する者がだれもいない世界」を思い描けるものでしょうか。そのような世界があるとしたら、ぜひとも「そこで精を出す唯一の投資家」でありたいと思います。しかし問題なのは、「価格が本源的価値から十分に乖離し始めてアクティブ運用に値するようになるのは、40%から100%の間のどこからか」という点です。今の私には判断できませんが、アクティブ投資の未来のためにいずれは見つけ出せるかもしれません。(p. 5)

How much of the investing that takes place has to be passive for price discovery to be insufficient to keep prices aligned with fair values? No one knows the answer to that. Right now about 40% of all equity mutual fund capital is invested passively, and the figure may be moving in that direction among institutions. That’s probably not enough; most money is still managed actively, meaning a lot of price discovery is still taking place. Certainly 100% passive investing would suffice: can you picture a world in which nobody’s studying companies or assessing their stocks’ fair value? I’d gladly be the only investor working in that world. But where between 40% and 100% will prices begin to diverge enough from intrinsic values for active investing to be worthwhile? That’s the question. I don’t know, but we may find out . . . to the benefit of active investing.

最後の引用は、今回のメモでの白眉と言える文章です。

卓越した投資家とは、定量的分析や会計や財務の面で必ずや他よりも勝っているわけではありません。彼らの強みは主として、「平均的投資家が見過ごしてしまう、定性的あるいは長期的観点における利点を見定める力」にあります。もし[AIのような]コンピューターが同じようにそういった過ちをおかすとすれば、上位数パーセントの傑出した投資家がほどなく引退することはないと思います。(p. 16)

The greatest investors aren’t necessarily better than others at arithmetic, accounting or finance; their main advantage is that they see merit in qualitative attributes and/or in the long run that average investors miss. And if computers miss them too, I doubt the best few percent of investors will be retired anytime soon.

2018年3月20日火曜日

企業の成長、自社株買い、株価について(ウォーリー・ワイツ)

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バリュー志向のマネージャーであるウォーリー・ワイツのインタビュー記事から、さらに引用します。オーソドックスな内容ですが、銘柄選択及び購入価格に関する大切な側面が簡潔に語られています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 企業は、いつ配当を支払うべきですか。あるいはいつ自社株買いをすべきでしょうか。

<ワイツ> [投資先の]企業には、1株当たり事業価値の長期的成長に焦点を置いた資本配分を実施してほしいと考えています。その中で筆頭に挙げたいのが、「高いリターンの得られる機会があれば、その事業に再投資する」という選択肢です。また自社株買いもよいと思います。ただし本源的な事業価値よりもずっと安い値段で株が売買されている場合の話です。反対に、株価が本源的価値よりも高いのであれば、資金の下手な使いかたです。過去を振り返れば、高値のときに熱狂的に買う一方で、安値のときに多く買えなかった経営陣がたくさんいました。しかしその足跡はお粗末の連続だったにもかかわらず、継続株主にとってみれば、自社株買いは1株当たりの価値を増加させる上で非常に効果的な手段になり得ます。そして配当ですが、これは多くの株主にとって魅力的かもしれません。しかし現在の低金利環境では、「利回りを追求する」動きゆえに保証なき株価高騰を招いた例が、数多くみられます。

JR: When should a company pay a dividend or repurchase stock?

WW: We want companies’ capital allocation decisions to be focused on long-term growth in business value per share. Our first choice is reinvestment in the business if the company has high return opportunities to do so. Stock buybacks are great if the stock sells well below its intrinsic business value and terrible if the stock price is above intrinsic value. Historically, many managements have bought enthusiastically at high prices and failed to buy much at cheap prices. However, despite a history of poor execution, buybacks can be very effective in increasing the value per share for remaining shareholders. Dividends can be an attraction for many shareholders, but in this low interest rate environment, it appears that “chasing yield” has resulted in unwarranted stock price inflation in many cases.

<質問> 低成長率の現代において、利益をともなった成長ができる企業に投資するのは、どれほど大切なのでしょうか。

<ワイツ> 成長は、事業の価値を算出するのに重要な要素です。しかし私たちにとって問題なのは、事業価値に対する株価であって、成長率そのものではありません。近年では、将来の見通しが立つ成長というものが稀になってきています。また[余剰の]価値がとぼしくなってきたせいで、代金を支払いすぎた投資家が多くいるに違いありません。そのような見方をとってきたことが、近年における私たちの相対的成績に、影響を及ぼしてきました。しかし「たとえ素晴らしい企業だとしても、払い過ぎるのは投機的である」と強く思います。

JR: How important is it to invest in companies that can grow profitably in this low-growth world?

WW: Growth is an important factor in calculating business value. What matters to us, though, is stock price relative to business value, not a growth rate, per se. Predictable growth has been rare in recent years, and we believe that many investors have been over-paying because of its scarcity value. This opinion has impacted our relative performance in recent years, but we believe that over-paying for even a great business is speculating.

備考です。自社株買いと事業拡大のどちらを優先すべきかについては、ウォーレン・バフェットが昨年書いたレターでも取り上げられていました。

2016年度バフェットからの手紙(1)自社株買いについて

2018年3月8日木曜日

割引率および割安度について(ウォーリー・ワイツ)

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バリュー・ファンドのマネージャーであるウォーリー・ワイツのインタビュー記事をひきつづき引用します(前回分の投稿はこちら)。今回の話題はDCF法で使う「割引率」と、適正価格からどれだけ割安であれば購入に踏み切るのかの「割安度」の話です。オーソドックスな内容ですが、取り組む上での工夫や具体的な数字に触れていて、参考になります。(日本語は拙訳)

<質問> 調査対象の企業に対しては、どれも同じ割引率を使いますか。それともリスクや他の要因にもとづいて必要なリターン率を決めますか[=つまり割引率を適宜調整するか]。

<ワイツ> 同じ割引率を使って[評価]モデルを作成しています。現在適用しているのは9%です。しかし各企業には「事業の質」を評価した異なった点数を与えますから、モデル中で正当化された「残存倍率」[残存価値を算出する方法で使われる乗数]にそれが影響してきます。また、将来の予想キャッシュフローがどれだけ正確なのか、その信頼性は企業によって異なります。そのため、ポートフォリオ・マネージャーが「価値」からどれだけ割り引くかは、各々異なってきます。他の人たちも、そういったものと同様の要因を調整する際に、それぞれの割引率を使っているはずだと思います。ただし、企業分析中の異なった段階においてですが。

<質問> すばらしい企業には妥当な金額を出すのですか。そうでなければ、少なくとも安全余裕をどの程度とりますか。

<ワイツ> チャーリー・マンガーが示してきた「素晴らしい企業をそこそこの値段で買う」とする見識を、ウォーレン・バフェットは確信していますね。その「素晴らしい」企業と、それよりもずっと普通の企業に違いはありますが、もし価値を正しく測ることができるのであれば、その違いは評価プロセスにおいてひとまとめにすべきです。評価額から安全をみるための余裕率(私たちの標準としては最低でも30%)を妥協すべきではありません。

しかし、あらゆる株が高く、絶対的な意味で安いものがないようなときは、相対的価値という考えがしのびこんできます。手元に現金が残っていても私たちのように気にかけない運用者は、数少ないと思います(現金比率が20から25%になることもあります)。しかし今日の市場では、実のところ私たちががっちり保有している株式に、購入時の決まりとして価格対価値比を70%とした制限をずっと超えたものがあります。「70%以上の値段でもポジションを取り始めたり買い増ししたりするのか」、わたしたちもそう見られるようになってしまいました。そういった数字に何か特別な意味合いはないのですが、しかし安値で買ったときのほうが(それが安全余裕です)、良いリターンを達成する確率が高いことはわかっています。

JR: Do you use the same discount rate for every business you are researching or do you adjust your required rate of return based on risk and/or other factors?

WW: We use the same discount rate, currently 9%, for each of our models. However, we use varying “business quality” scores for different companies and this impacts the warranted “terminal multiple” in the model. Also, our confidence in the accuracy of the estimates of future cash flows will vary from company to company, and the portfolio manager will vary their required (price) discount from “value” accordingly. We believe that others who use varying discount rates are adjusting for these same factors, but at a different stage of the analysis.

JR: Will you pay a fair price for a great business? If not, what is the minimum margin of safety you require?

WW: Warren Buffett credits Charlie Munger with convincing him of the wisdom of “paying a fair price for a great business.” The differences between a “great” business and a more ordinary one should be incorporated in the valuation process so if value (V) is measured correctly, we shouldn’t have to compromise on the discount from full value that we seek (generally at least a 30% discount).

However, when all stocks seem expensive and nothing seems cheap in absolute terms, the concept of relative value creeps in. We are willing to hold more in cash reserves than most managers (sometimes as much as 20-25%), but in today’s market, we find ourselves holding onto stocks with price-to-value (P/V) ratios well above our 70% threshold for buying. We have even been known to pay over 70% to initiate or add to a position. There is nothing magic about any of these numbers, but we know that the odds of earning high returns are better when we buy at a cheaper price (the margin of safety).

2018年2月24日土曜日

ヨギ・ベラの卓見(ウォーリー・ワイツ)

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前回の投稿につづいて、ウォーリー・ワイツのインタビュー記事を引用します。今回の話題は「価格決定力」と「価値評価」についてです。ウォーレン・バフェットと同じように、ちょっとした冗談を折り込むのがワイツ氏も上手ですね。マネー・マネージャーとしての研鑽を積んでおられるようです。(日本語は拙訳)

<ロトンティ> 最近お書きになった文章の中で、「ほとんどの業界において企業側の価格決定力が弱くなった。それというのも、インターネットを利用して価格をすみやかに比較できる能力を、買い手側が手にしたからだ」としています。それではどのような種類の企業であれば、今もなお強力な価格決定力を確実に持っていると思いますか。

<ワイツ> 強力な価格決定力とは、手元に維持するのが難しいものです。今でもそれが存在すると考えられるのは、たとえばライセンスに守られた独自製品やニッチ製品、フランチャイズ契約、特許が挙げられます。また莫大な初期投資を必要とする事業であれば、優位性があるかもしれません。しかし資本がごく安価に調達できたり横溢している時期に、安全といえる企業はほとんどないでしょう。ほかには「ネットワーク効果」が発揮されることで、市場を「勝者の総取り」によって独占できるかもしれません。しかしこれも優位性が営々とつづくものは、きわめてわずかです。

<ロトンティ> 価値評価をどのように考えていますか。ディスカウンティド・キャッシュ・フロー(DCF)分析を使いますか。売却金額を定めていますか。また、好みの評価指標がありますか。たとえばPER、PBR、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)利回りはどうですか。

<ワイツ> 私たちが信奉している理論が2つあります。第一に、「事業の価値は、将来得られるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いたものである」こと。第二に、「事業価値は、いずれ株価に反映されるであろう」ことです。しかしヨギ・ベラが言ったように、「理論と実践に理論上の違いはないが、実践してみると違いはある」ものです。

おなじみの評価指標は、様々な文脈を考慮して使わなければ、ほとんど意味がありません。DCF分析も同様にかなり鈍い道具で、「科学的精度を有する」という幻想を生み出しかねません。以前からの冗談でこんなものがあります。「DCFで使う割引率と掛けて、ハッブル宇宙望遠鏡と解く」。その心は、「数度動かせば、別の惑星系が見える」。

そうであれ、私たちが念入りに調べる企業については、DCFモデルを必ず作成しています。ただしモデルが一点の場所として示す「価値」は、すなわち購入に踏み切れと指示するものではありません。しかしモデルを構築するアナリストはその作業を通じて、当該企業がどのように機能しているか必然的に理解することになります。またモデルが存在すること自体によって、私たちの投資検討チームが企業の魅力や価値を議論・討議しやすくなります。

FCFについて一点申し上げますと、その定義は使う人それぞれによって異なっています。私たちは「随意利用可能な」キャッシュ・フローの意味で使っています。これは保守・保全費用を支払った後の現金収支[原文はcash earnings]を指しており、成長を期した投資費用は含みません。一例をあげると、ホテルは客室を定期的に改装する必要がありますが、これは保守・保全費用になります。一方、新規の客室棟を建て増す場合は成長投資、すなわち「随意」分となります(この差異は財務諸表上で明確ではないこともありますが、違いがある点を認識しておくことが大切です)。

「売却目標」についてですが、企業価値の見積もりや計算に変更があったり、株価が満額あるいは割高だと思われたり、さらには資本投下先としてもっと魅力的な対象が他にある場合に売却します。

JR: You recently wrote that the pricing power of companies in most industries has decreased because of the shopper’s ability to quickly compare prices using the Internet. Which types of companies do you believe still have strong pricing power?

WW: Strong pricing power is hard to come by. Unique products and niches protected by licenses, franchise agreements, patents, etc. still exist. Businesses that require huge, upfront capital investments can have an advantage, but in a period of very cheap and abundant capital, few companies are safe. “Network effects” can lead to “winner take all” market dominance, but again, very few advantages are permanent.

JR: How do you think about valuation? Do you use discounted cash flow analysis? Do you set sell targets? Do you have a preferred valuation ratio such as price-to-earnings (P/E), price-to-book (P/B), free cash flow (FCF) yield?

WW: We believe in the theory that (1) the value of a business is the present value of its future cash flows and that (2) business value is likely to eventually be reflected in its stock price. However, as Yogi said, “In theory there is no difference between theory and practice. In practice, there is.”

Popular valuation ratios mean very little without lots of context. Discounted cash flow analysis is also a very blunt instrument which can create the illusion of scientific precision. There’s an old joke that DCF discount rates are like the Hubble Telescope…move it a couple of degrees and you’re in a different solar system.”

We do make DCF models on all the companies we get serious about, though. While the single point “value” that comes out of the model doesn’t dictate our buying decision, building the model forces the analyst to understand how the business works and the model itself facilitates discussion/debate among our investment team about the attractiveness and value of the business.

One note on “FCF”: Practitioners differ on the definition of “free cash flow.” We talk about “discretionary” cash flow. That is, cash earnings after maintenance capex but before growth investments. For example, regular refurbishment of hotel rooms is required - maintenance capex. Adding a new wing of rooms is discretionary - growth capex. (The difference may not always be clear from financial statements but the distinction is important.)

As for “sell targets,” we sell if our estimate or calculations change, if a stock becomes fully/over-valued, or if we have a more attractive alternative use of the capital.

さて本日2月24日(土)の夜10時には、バークシャー・ハサウェイの年次報告書(及び「バフェットからの手紙」)が公開される予定です。新たな副会長2名の件は、必ずや取り上げられることでしょう。また現在の金利環境についても触れそうな印象があります。そして、アップル社や暗号通貨の話題は登場するでしょうか。

2018年2月20日火曜日

バリュー投資家ウォーリー・ワイツのインタビュー

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ときどき取り上げるバリュー志向のファンド・マネージャー、ウォーリー・ワイツ氏が顧客向けレターの最新版を公開していました。そのなかで、株式投資情報サイトのモトリー・フールから受けたインタビュー記事が転載されていますので、一部をご紹介します。(日本語は拙訳)

Value Matters: Fourth Quarter 2017 Letter to Investors (Weitz Investment Management, Inc.)

(前略)その一方で、投資からのリターンがなだらかに、あるいは想定可能なスケジュールにもとづいて得られることはありません。株式市場から「冷や飯を食わされる」期間がしばらく続くことには、すっかり慣れっこになっています。私たちの場合、「安い株を買い、高い株を売る」ことのどちらも、早い時期に実行することがよくあります。しかし作為的な低金利環境がここまで継続していることや、[証券が]高い評価を受けている現状や経済及び地政学的なリスクに直面しても投資家が無頓着でいることを過小評価していました。その結果、慎重を期した私たちのポートフォリオに対して、相対的リターンという意味でマイナスの影響をもたらしました。

そのようなやりかたで私たちが投資するのは、「長期にわたる投資期間でみたときに、成功する確率を最大化できる」と考えているからです。顧客であるみなさんから寄せられた資金は、大学進学にかかる費用や引退後に快適な生活水準を保つといった長期的な目標に向けたものと受けとめています。そのため、短期的な成績競争には重きを置いていません(資産が大幅に増加する年があっても、やぶさかではありませんが)。

(中略)

自分たちの投資プロセスやそれを実践する能力については、満足しています。それが不朽の原則にもとづいているからです。そして、「論理的に価値を測定できる資産は、高低どちらへも誤った値付けが必ず生じる」と考えています。なぜならば、「投資家はときに感情に従い、高値で買って安値で売る」ものだからです。ウォーレン・バフェットが言っているように、私たちのやるべきことは「他人が恐れをなすときに買い、他人が欲深いときに売る」ことにあります。先だってモトリー・フールから受けたインタビューの記事を、以下に一部再掲します。私たちの取り組むバリュー投資がどのようなものなのか、思い起こす際のお役に立てれば幸いです。

On the other hand, investment returns do not arrive smoothly or on a predictable schedule. We are very accustomed to being “out of step” with the stock market for stretches of time. We are often early both in buying cheap stocks and selling expensive ones. However, we underestimated the persistency of artificially low interest rates as well as investor complacency in the face of high valuations and both economic and geopolitical risks. As a result, our overly cautious portfolio positioning has had a negative impact on our relative returns.

The reason we invest the way we do is that we think it gives us the highest probability of success over long investment periods. We are investing client capital with an eye to funding long-term goals such as college education and improving the quality of life in retirement. We are not focused on short-term performance contests (though we are not opposed to outsized annual gains from time to time).

We feel good about our investment process and our ability to implement it because we think it is based on timeless principles. We believe that assets with logically measurable values become mispriced—both on the high and low sides—because investors’ emotions lead them to, on occasion, buy high and sell low. Our job, as Warren Buffett has said, is to “buy when others are fearful and to sell when they are being greedy.” A portion of our recent interview published by The Motley Fool is reproduced on the following pages. Hopefully, it will provide a good reminder of how we approach our version of value investing.

ここからがインタビュー記事になります。

ワイツ資産管理会社における連携作業及び利益について
創業者ウォーリー・ワイツが語る、見込み投資先のみつけかたと評価方法
2017年11月、モトリー・フール社ジョン・ロトンティ記

<ジョン・ロトンティ> 質の高いビジネスをどのように定義していますか。

<ウォーリー・ワイツ> ある著名な投資家がすばらしいビジネスについて次のように定義したことがあります。「原価は1円、売値は100円。そして中毒性があること」。この冗談はやがて魅力を失います、次の一言が付け加えられてからですね。「ただし顧客の命を奪うこと」。おそらくだれもが次のような事業を保有したいと考えることでしょう。まずは、大幅な競争優位性(バフェット言うところの「濠」(moat))を持っていること。2番目に、余剰の現金を生み出すこと。3番目に、当該事業において高いリターンを生み出す再投資の機会を有していること。そして4番目に、経営者が誠実であると共に、強力な資本配分の能力を持っており、株主を事業上のパートナーとして処遇し、長期的視点から1株当たりの企業価値を成長させることに注力する人物であること、です。

<ロトンティ> 投資に関するチェックリストをお使いですか。もしそうであれば、どのような項目をあげられているのか、少しばかり教えていただけないでしょうか。

<ワイツ> 正式なリストは作成していません。しかし作るとすれば、「質の高いビジネス」に関する属性が筆頭にくると思います。「生存能力」や「支配力の継続性」に関する項目がいくつか来るでしょう。「慎重な形で」借り入れを活用することは気にしませんが、会社の財務が十分な強靭さを持ち、想像し得るほぼすべての困難時にも耐えられる点は要求します。「パラシュートは、ほぼ常に開いていますから」では不十分です。スカイダイビングをするつもりはありません。

<ロトンティ> どのようにして投資対象の範囲を狭めているのか、またその範囲がどれほど広いものなのか、ご説明いただけますか。

<ワイツ> 正式のスクリーニングはあまりやりません。しかし10名からなるアナリストとポートフォリオ・マネージャーは、各々が投資候補の案を収集しています。読み物をしたり、各社と対話をしたり、投資業界内で話を交わしたり(バイサイド[機関投資家]とセルサイド[証券会社]の両方)などです。そして、あげられた投資候補について調査分析し、議論します。そのような精査を通過したものが、購入対象となったり、あるいは価格が適切と思われる時期が来たときに実際に投資する対象として、「待機」リストに加えられます。

<ロトンティ> 好みの業界や、あるいは避けている業界がありますか。

<ワイツ> 理屈の上では、投資候補に対して広く柔軟性をもって取り組んでいます。しかしながら、その企業がどのように機能しているのか理解できることが不可欠ですし、5年から10年後にどんな様子になっており、その期間内にどれだけの現金を生み出せるのか、それらを妥当に見積もれることも必要です。「予測可能であること」を要求するので、コモディティー関連あるいは競争が厳しくて急激に変化するビジネスには、あまり興味がありません。「軽資本」で済み、ケーブルテレビのような継続契約のビジネスのほうが好みです。正味で現金を生み出し、そこそこの借入で済む企業がいいですね。

[以降もインタビューは続く]

Collaboration and Profit at Weitz Investment Management
Founder Wally Weitz talks about how he finds and evaluates potential investments.
By John Rotonti • The Motley Fool • November 2017

John Rotonti:How do you define a high-quality business?
Wally Weitz: One well-known investor used to define a great business as one whose product cost a penny, sold for a dollar, and was addicting. That joke lost its appeal when people began to add, “but it kills its customers.” We would probably all like to own businesses that (1) have significant competitive advantages (Buffett’s “moat,”) (2) generate excess cash, (3) have high return reinvestment opportunities in the business, and (4) management with integrity and strong capital allocation skills who treat shareholders like partners in the business and who focus on long-term growth in the per share value of the business.

JR: Do you use an investing checklist? If so, would you mind sharing a few of those checks?
WW: We don’t have a formal list. If we did, the attributes of a “high-quality business” listed in No. 1 would be on it. There would also be some “viability” and “staying power” items. We are fine with the “prudent” use of leverage, but we insist that a company’s balance sheet be strong enough to withstand almost any conceivable type of adversity. “The parachute almost always opens” is not good enough—we don’t go sky-diving.

JR: Please explain how you narrow down your investable universe and how large that universe is.
WW: We do not do much formal screening, but each of our ten analysts and portfolio managers collects potential ideas from reading, interacting with other companies, talking to others in the investment business (both buy side and sell side), etc. Potential ideas are researched and discussed. Those that survive scrutiny may be bought or placed on the “on-deck” list for future investment when the price is right.

JR: Are there any industries you tend to prefer? Or avoid?
WW: We have great theoretical flexibility in what we may invest in. However, we need to be able to understand how the business works, to be able to make a reasonable estimate of what it will look like in 5-10 years and how much cash it will generate over that period. The need for predictability tends to lessen our interest in commodity related or highly competitive and rapidly changing businesses. We tend to favor “capital-light” and subscription businesses like cable TV. We like net cash generators and companies with modest leverage.

質の高いビジネス(high-quality business)に関する話題は、過去記事でも何度か登場しています。たとえば、以下のような記事があります。

・企業はすばらしくても自分はがっかり(アーノルド・ヴァンデンバーグ)
・レストランを品定めするように(ジョン・テンプルトン)

2018年2月8日木曜日

かつて私も早すぎた(ハワード・マークス)

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前回の投稿につづいて、ハワード・マークスの最新メモから、これで最後の引用です。(日本語は拙訳)

経済活動が好調な時期には、リスクが頭をもたげることはなく、リスクを取る者が大儲けします。そしてリスクの小さな別の候補はリターンの魅力に欠けるため、投資家は良識を脱ぎ捨ててしまい、「値段が高いことは、自分にとって問題ではない」と判断します。これは往々にしてあやまちとなりますが、そうなるまでに何年もかかることがあります。

箔をつけるために、その見方を支持する文章を引用します。

「マクロ的環境が今後も良好である限り、株価は『発行者の利益成長、それゆえ本源的価値の成長』を大きく上回る勢いで引き続き上昇しうる」、そのような見解に基づいているせいか、市場はきわめて快適な場所のようです。また市場参加者の中で適切な価値評価水準、つまり資産とその価格を繋ぐものに気をとめる者はごくわずかです。そのような状況が重なっていることから、私たちは「いずれ必ずや悪い結末に至る」と考えています..。

安定した経済や、低水準の金利、莫大なキャッシュフロー、楽観視著しい投資家、といった今日みられる諸要素が組み合わさることで、「巧拙どちらの投資対象にも資本は向けられ、『リスクは敬遠すべきもの』とはほとんど捉えられることのない」環境が創り出されました。

顧客向けのメモ「あなたは投資家、それとも投機家?」の中で、私がこの文章を書いたのは1997年のことです。現在の私と同じように、当時の私も慎重でした。そして「実はそれで正しかった」、そうなるまでに3年近くかかりました。これは「書いたときには間違っていた」という意味ではありません..。時期が早すぎたのです。(p. 4)

At times when the economy does well, risk doesn’t rear its head, risk-takers prosper and the returns on low-risk alternatives are unattractive, investors tend to drop their prudence and conclude that high prices aren’t a problem in and of themselves. This usually turns out to be a mistake, but it can take years.

For authority, I’ll cite a passage that seconds that view:

The market seems extremely comfortable with the proposition that as long as the macro-environment remains benign, stocks prices can continue to appreciate at rates that far outstrip the growth of their issuers’ profits, and thus the growth of their intrinsic value. Few market participants seem concerned about appropriate valuation levels - the relationship between assets and their prices - and this is a condition that we think must eventually have negative consequences. . . .

Today’s combination of a stable economy, low interest rates, enormous cash flows and strong investor optimism has created a climate in which capital is available for both good investments and bad, and in which risk is rarely seen as something to be shunned.

I wrote that in 1997, in a clients-only memo entitled “Are You an Investor or a Speculator?” I was cautionary then, like I am now. And it took almost three years for that to turn out to be correct. That doesn’t mean it wasn’t correct when it was written . . . just early.

「早すぎる」予測については、以下の過去記事でも取り上げています。

・連続正解数1回(ハワード・マークス)
・早すぎることと誤っていることが区別できないとき(セス・クラーマン)

2018年2月4日日曜日

今日の市場について両面から考える(悲観面)(ハワード・マークス)

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ハワード・マークスのメモから、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<悲観視すべき諸要素> 前述した楽観的要素とは反対に、悲観的なものをみると、「(a)見通しは明るいものの、悪化する恐れのあるファンダメンタル上の要因」あるいは「(b)そういった順風なマクロ的要因ゆえに高値を付けられている価格や、その価格を生み出している投資家の行動」を取り巻く要素ばかりです。

・差し迫った見通しではないにせよ、不確実さそのものを表しており、懸念を持ち始めるべき事柄が散見されます。具体的には、「長期的にみた経済の成長性が鈍化する可能性や、金利およびインフレ率が上昇する可能性、景気への刺激をねらいとしてきた金融政策が反転したことや連銀による市場操作が証券の売越しへと転じたことによる影響、自動化が進展することによる雇用に対する影響、中国の成長に依存する世界的な状況、政治および地政学的なテール・リスク[発生確率は微小ながらも、甚大な影響を及ぼすリスク]」があげられます。しかし市場が上昇するにつれ、それらの話題はいずれも取りざたされなくなったようです。

・金利は上昇していくでしょうが(ほとんどの資産クラスにおいて競争を生じさせ、資産価格が低下する理由となります)、どれだけ上がるのかはわかりません。

・マクロ的な経済環境を特徴づける要素には、「息の長い」あるいは「著しく上昇した」と表現されているものが見受けられます。たとえば現在の景気回復は、過去最長の部類に入ります。GDP成長率はこの十年間にみられた振れ幅のなかで最上位に位置しますし、利益率は平均を大きく上回っています。この状況は今後も継続し、さらには向上するかもしれませんが、その可能性は低いと思います。また「今後1年半にわたって景気は後退しない」との雰囲気がただよっていますが、もしそうなれば今回の景気回復は1850年以来最長となります。もちろん不可能ではないですが、やはりその可能性は低いと思います。

・価値評価を表す数値のほとんどが、著しく割高か(株式時価総額対GDPを示したバフェット指数や、PSR、VIX、債券利回り、プライベート・エクイティーが事業を売買する際の[収益に対する金額の]倍率、不動産における還元利回り)、あるいは史上最大級の値(PER、CAPE別名シラーP/E)を付けています。過去をふりかえると、それらの水準に至った後の経済活動は落ちこんでいました。それゆえに、今日において投資に踏み切るかどうかを判断する際には、「今回はこれまでと違う」という信念に頼らざるを得ません。

・大多数の資産クラスにおける見込みリターン率は、史上最低の水準です。

・今ここにある「低リターン率の世界」において、それでも好成績をしぼりだそうとする投資家は、私が呼ぶところの「好リスク的行動」に手を染めている状況にあります。彼らは資産を高値で買い付け、リスキーかつ貧弱に組み上げた判断を受け入れています。そのような空気の中で「慎重な」投資家が伝統的な安全基準を主張するのは、むずかしいことです。ですから、そういったリスクを是認したくない投資家は(つまり「ダンスは勘弁」な人は)、蚊帳の外でたたずむことになるかもしれません。

・その結果、私が7月に出したメモの中で「市場は高値ながらも、続伸すると思われる」と記したことに対して、好意的な反応が数多くあげられました。しかし「資産や市場が高値だと感じつつも、なお上昇する可能性があると考えるがゆえに継続保有する」、そのような行動がどれほど健全だと言えるでしょうか。「置いてきぼりを避けたい」[英略称:FOMO]ことも、投資家が大胆果敢になる大きな理由となります。ただしその行動は、もっとも危険でもあります。

・市場のみせる挙動は、投資家側がどれだけ均衡がとれているかを示唆しています。それは現実離れしている(それゆえに反転しがち)と言えるかもしれません。たとえば2017年は「S&P500が高値から安値へと下落する際に、3%以上さがったことが一度もなかった」史上初めての年でした。同様に年後半の6か月間でみたときに、VIX指数(S&P500指数のオプション価格から示唆される価格変動性の水準を示す指標)の終値が10未満となった日数が40日間を超えました。6か月間でみたときに7回以上そこまで低かったことは、過去に例がありません(ニューヨーク・タイムズ、1月14日付記事より)。

・今日では投資上の判断をくだす際に、「現金や財務省証券から得られる、お話にならない程度のリターンとくらべた相対リターン」に基づくことが多いようです。また「割高な市場はさらに進む」と信じ込み、さらには「置いてきぼりを食いたくない」との思いも影響していることでしょう。これは絶対リターンや、本源的価値と比較した上での妥当な価格に基づく行動ではありません。それゆえに現在は、私の同僚であるジュリオ・ハレラがかつて述べた状況になっています。「価値評価の技は打ち捨てられ、今やモメンタムがすべてを決める」と。(p. 2)

Negatives - As opposed to the positives listed above, most of the negatives surround either (a) positive fundamental factors that have the potential to deteriorate or (b) the high prices being paid for those macro-positives, and the investor behavior creating those prices.

* While the outlook isn’t dire, a number of subjects do represent genuine uncertainties and provide basis for concern: the possibility of slow long-term economic growth, the potential for rising interest rates and inflation, the impact of reversing stimulative monetary policy and the Fed switching to being a net seller of securities, the implications for employment as automation increases, the world’s dependence on China’s growth, and political and geopolitical tail risks. As the markets have risen, talk of all these things seems to have gone quiet.

* We know interest rates are likely to rise (creating competition for most asset classes and arguing for lower asset prices).We just don’t know by how much.

* Some of the elements characterizing the macro-economic environment can be described as “long in the tooth” or “unusually elevated.” For example, the current recovery is one of the longest ever; the GDP growth rate is at the top of the range for the last decade; and profit margins are well above average. Things like these can continue or even get better, but the odds are against it. It feels as if we may get through the next 18 months without a recession, but if we do, that’ll make this the longest recovery since the 1850s. Certainly not impossible, but against the odds.

* Most valuation parameters are either the richest ever (Buffett ratio of stock market capitalization to GDP, price-to-sales ratio, the VIX, bond yields, private equity transaction multiples, real estate capitalization ratios) or among the highest in history (p/e ratios, Shiller cycle-adjusted p/e ratio). In the past, levels like these were followed by downturns. Thus a decision to invest today has to rely on the belief that “it’s different this time.”

* Prospective returns in the vast majority of asset classes are some of the lowest in history.

* The need of investors to wring out good returns in this “low-return world” is causing them to engage in what I call pro-risk behavior. They’re paying high prices for assets and accepting risky and poorly structured propositions. In such a climate, it’s hard for “prudent” investors to insist on traditional levels of safety. Investors who don’t want to sign on for risk (that is, who “refuse to dance”) can be constrained to the sidelines.

* As a result, we see a lot of the reaction that greeted my July memo: “the market’s expensive, but I think it has further to go.” How healthy can it be when investors think an asset or market is rich but they’re holding anyway because they think it might go up some more? Fear of missing out (or “FOMO”) is one of the more powerful reasons for investor aggressiveness, and also one of the most dangerous.

* Market behavior implies a level of equanimity on investors’ part that could prove unrealistic (and thus subject to reversal). For example, 2017 was the first year in history in which the S&P 500 didn’t decline from high to low by more than 3% at least once. Likewise, in a six-month period late in the year, the VIX (an indicator of the level of volatility implied by investors’ pricing of S&P 500 options) closed below a reading of ten more than 40 days; never before had it done so more than six times in a six-month period (The New York Times, January 14).

* It appears many investment decisions are being made today on the basis of relative return, the unacceptability of the returns on cash and Treasurys, the belief that the overpriced market may have further to go, and FOMO. That is, they’re not being based on absolute returns or the fairness of price relative to intrinsic value. Thus, as my colleague Julio Herrera said the other day, “valuation is a lost art; today it’s all about momentum.”

2018年1月28日日曜日

今日の市場について両面から考える(楽観面)(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークスが新しいメモを公開していました(1月23日付)。今回は2つの話題をとりあげています。ひとつめはおなじみの話題で「現在の市場環境について」で、もうひとつは「トランプ減税について」です。その前者の中で楽観面と悲観面に触れた箇所を、今回と次回の投稿でそれぞれご紹介します。(日本語は拙訳)

Latest Thinking [PDF] (Oaktree Capital Management)

<楽観視できる諸要素> 直近2回のメモ[先のもの後のもの]では主な話題として注意を払うべき理由に触れましたが、その一方ではっきりさせておきたいことがあります。現在の状況において楽観視できる点がいくつかあることを、私としても認識している点です。そのほとんどは、「まずは健全なるマクロ経済的見通し、それゆえにEPS増加の可能性」といったファンダメンタルズに連なる必要があります。

・米国経済は前進し続けており、2009年に始まった景気回復は史上最も長期にわたる事例に含まれます(現時点で103か月目)。また外国の諸経済も、「世界全体の成長」という稀なできごとに加わっています。各国の経済は減速せずに勢いを増しつつあるものばかりで、今すぐ失速するようには思えません。

・景気回復に過剰な進行がみられないため、いずれは不況がやってくるにせよ、極端なものとなる必然性はありません。いわば「膨張なきところに、破裂もない」わけです。

・オバマ政権時代に景気回復が思わしくなかった理由として、資本投資(回復期にしばしば過熱する領域)の水準が低調だったこともあげられます。これは、「この大統領はビジネスに興味を示さず、規制に力を入れる傾向があるようだ」と、企業が不安視したことによるものと思われます。ビジネスに対して非友好的な環境下で長期的な投資に踏み切りたいと考える者はいません。対照的にトランプ大統領は、ビジネスに好意的であり、規制緩和を進めることを明言している点は、非常に明確です。この変化によって企業経営者の間で、楽観や自信や「衝動(アニマル・スピリット)」が高まりました。それらは自己強化していく大きな可能性を有しています。それゆえに、たとえば2017年の第1-3四半期には、設備投資額が年率換算で6.2%増加しました。

・今回の税制改正によって税率が引き下げられたことで、連邦税を納める企業の手元には資金が残ることになります。また米国企業が海外に滞留させていた多額の国外利益が還流されます。その結果、企業の利益やキャッシュフロー、そしておそらくは資本投資(以下参照)においても、概して強い追い風が吹くでしょう。

・失業率は4.1%まで低下しました。この60年間でほぼ最低の水準であり、これは「完全雇用状態」に近づいていることを意味します(ただし労働市場に参加している成人の比率が、実に低い状況ですが)。余剰の労働力がほとんど残っていないため、「ここしばらくのGDP成長は賃金増へと転換され、それゆえにさらなる需要増へと回帰する」と考えるのは妥当なものと思われます。

・今日における見込みリターン率は低い数値であるものの、この低金利の状況下では妥当だとみなされています。

・世界的に低水準のインフレーションが続いていることは、各国の中央銀行がインフレを制御するために金利を上げ急ぐ必要がないことを意味します。ハイパーインフレをうかがわせる明確な理由は見当たりません。

・それゆえに、「可能性が高い」とのただし書きが付きますが、「金利は今後しばらくの間、限定された範囲でゆっくりと上昇する」と期待できるかもしれません。

・懐の中は別として、投資家の心理状態を「熱狂的」あるいは「向こうみず」とは表現できません(ただし、直近になって強くなってきてはいます)。市場では「懐疑の壁を少しずつ登る」状況が何年間も続いてきました。これは昔から言われる言い回しで、健全な上昇を表現しています。熱狂やリスク考慮不足によるものではなく、むしろ一連の問題を認知しているからこそ生じるものです。

・市場の下落を引き起こす触媒として、次のようなものが知られています。景気後退、インフレの高騰、相当な高金利、中銀による政策の大失敗、ワシントンにおける政治的な機能停止、戦争などです。しかし現在の状況ではそれらが起こる確率として、ほどほどの数値以上を当てはめることはできないと言えます。

Positives - Whereas in my last two memos I talked primarily about reasons to be cautious, I want to make it clear here that I do recognize the positives in the current situation. Most of them have to do with fundamentals - primarily the healthy macro-economic outlook and thus the potential for increasing EPS.

* The U.S. economy is chugging along, and the recovery that started in 2009 has become one of the longest in history (103 months old at this point). The rest of the world’s economies are joining in for that rare thing, worldwide growth. Most economies seem to be gaining rather than losing steam, and they don’t appear likely to run out of it anytime soon.

* Since the economic recovery hasn’t been marked by excesses to the upside, when a recession eventually does occur, it doesn’t have to be extreme. In short, no boom, no bust.

* One of the reasons for the sluggish recovery during the Obama administration was the low level of capital investment (a frequent site of excesses during recoveries). I think that was due to corporate concern over the president’s seeming indifference to business and his tendency to regulate. No one wants to make long-term investments in an inhospitable environment for business. In contrast, it’s very clear that President Trump is committed to being a pro-business president and a deregulator. This change has led to a rise in optimism, confidence and “animal spirits” among corporate executives, things that have great potential to be self-reinforcing. Thus, for example, in the first three quarters of 2017, capital spending rose at an annualized rate of 6.2%.

* The recent tax law will put money into the pockets of corporations that pay U.S. taxes by reducing their tax rate, and it will result in the repatriation of large amounts of foreign profits that U.S. companies have been holding abroad. The results will generally be very positive for corporate profits, cash flows and perhaps capital investment (see below).

* The unemployment rate is down to 4.1%, nearly the lowest level in 60 years, meaning we’re nearing “full employment” (albeit with an unusually low percentage of adults participating in the workforce). With so little employment slack remaining, it seems reasonable to think near-term GDP growth will translate into wage gains, and thus back into further increases in demand.

* Although low, today’s prospective returns are described as being reasonable in the context of low interest rates.

* The low levels of inflation worldwide mean central bankers needn’t rush to raise interest rates to restrain it. There’s no obvious reason to predict hyperinflation.

* Thus the near-term rise in interest rates - while probable - can be expected to be gradual and limited in scope.

* Except in pockets, investor psychology can’t be described as euphoric and imprudent (although it has been strengthening of late). For years the markets have been “climbing a wall of worry,” an old-fashioned phrase used to describe a healthy ascent that’s occurring not because of euphoria and risk-obliviousness, but rather despite a catalog of perceived ills.

* The known catalysts for a market downturn - recession, ballooning inflation, much-higher interest rates, major central bank missteps, a governmental breakdown in Washington, and war - can’t be assigned probabilities that are more than modest.

2018年1月8日月曜日

強気相場がますます高騰する可能性を感じる(ジェレミー・グランサム)

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GMOのジェレミー・グランサムが1月3日付で、「私見」と断り書きをした文章を公開していました。今回の株式市場がこれからどうなるのか、過去のバブルを振り返った上で、以前の彼とはずいぶん異なる見解を披露しています。冒頭部及びまとめの部分を中心にご紹介します。(日本語は拙訳)

Bracing Yourself for a Possible Near-Term Melt-Up (A Very Personal View) (GMO) [PDF]

バリュー投資を奉じる投資家の一員たる私自身が、今やなんとも興味深い場所に位置しているものだと感じています。「現在の市場は、米国史上において最も高値をつけた時期のひとつだ」と認識する一方で、巨大株式バブルの歴史を研究する一人として、「長く続いてきた今回の強気相場において、急騰期あるいは高騰期に踏み入ったことを示す兆候が現在観察できる」ことを認める自分がいるからです。市場が高値をつけていることを示すデータは、明解で現実のものです。「現在の価格が際立って高い」との結論を株式市場分析から得るのと同様に、たしかなものだと言えます。それとは対照的に、「株価高騰が続く」とする私見は、統計的要因と心理的要因を混ぜ合わせたところから導いています。ただしそれらの要因は、それぞれが大きく異なった過去の時期に基づいており、それがために利用可能な情報の多くが容易には比較できません。さらには、米国それも数件の事例に著しく依存しています。しかしながらおかしなことに、今回のバブルという意味では、「割高だ」とする単純な事実よりも、統計的ではないデータのほうがより説得力があると感じられます。読者のみなさんも、どうなのかは判断できないことでしょう。それはともかく、この文章で私がやるべきことは、統計的なものだけでなくあけっぴろげなものも合わせて、なるべく明瞭に証拠を示すことであります。(p. 1)

I find myself in an interesting position for an investor from the value school. I recognize on one hand that this is one of the highest-priced markets in US history. On the other hand, as a historian of the great equity bubbles, I also recognize that we are currently showing signs of entering the blow-off or melt-up phase of this very long bull market. The data on the high price of the market is clean and factual. We can be as certain as we ever get in stock market analysis that the current price is exceptionally high. In contrast, my judgment on the melt-up is based on a mish-mash of statistical and psychological factors based on previous eras, each one very different, so that much of the information available is not easily comparable. It also leans very heavily on a few US examples. Yet, strangely, I find the less statistical data more compelling in this bubble context than the simple fact of overpricing. Whether you will also, dear reader, remains to be seen. In any case, my task in this note is to present the evidence, both statistical and touchy-feely, as clearly as I can.

私の予想のまとめ(まったくの個人的見解によるもの)

・株価の高騰あるいはバブルの最終期が今後6か月から2年にわたって生じる可能性が、例えば50%以上の確率で考えられます。

・もし株価高騰が続いたとすれば、そのあとにバブルの破裂あるいは価格下落が生じる確率は、相当高い(例えば90%以上の確率)と思われます。

・もし株価高騰の後に下落が生じるとすれば、50%程度の下落率になる可能性がかなりあると思われます。

・そのような下落が生じた後には、1998年以前の水準だった15倍超の倍率まで反騰する可能性がかなり高い(2/3以上)と思われます。ただし直近20年間で見られた傾向の平均には若干とどかないでしょう。それ以降の傾向は、以前に記したレター『鳴動ならんや、さめざめと』で触れた航路を進み、従前の平均へとゆるやかに近づいていくと思われます。(p. 12)

Summary of my guesses (absolutely my personal views)

- A melt-up or end-phase of a bubble within the next 6 months to 2 years is likely, i.e., over 50%.

- If there is a melt-up, then the odds of a subsequent bubble break or melt-down are very, very high, i.e., over 90%.

- If there is a market decline following a melt-up, it is quite likely to be a decline of some 50% (see Appendix).

- If such a decline takes place, I believe the market is very likely (over 2:1) to bounce back up way over the pre 1998 level of 15x, but likely a bit below the average trend of the last 20 years, as the trend slowly works its way back toward the old normal on my“Not with a Bang but a Whimper” flight path.

以下の図は、現在の株式市場がやがてバブルの頂点に達すると仮定したS&P500のチャートです(グランサム氏による予想)。3400や3700という数字が書かれています。

(p. 4)

最後におまけです。ビットコイン相場と過去のバブル相場における頂点を対比したチャートです。(緑色:ビットコイン、えんじ色:南海バブル、紺色:チューリップ・バブル、黄色:1929年世界恐慌時のS&P500)

(p. 11)

2017年12月20日水曜日

投資家トッド・コームズの仕事量

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バークシャー・ハサウェイのトッド・コームズと言えば、ウォーレン・バフェットが次の世代を見すえて運用を任せているマネー・マネージャーの一人です(もうひとりは、テッド・ウェシュラー)。半年以上前のものですが、彼がどのように仕事に取り組んでいるのか触れた記事がありましたので、ご紹介します。同様の話題について過去にも投稿しましたが、補完する内容が語られています。(日本語は拙訳)

EXCLUSIVE: Warren Buffett's money managers, Todd Combs and Ted Weschler, speak (Yahoo! Finance)

「朝は7時か8時にオフィスに着いて、夜の7時か8時まで読み物をしていますね」、彼は笑いながらそう答えた。「家に帰って家族と会った後は、眠りに就くまでベッドの中でさらに1,2時間読んでいます。想像がつくと思いますが、1週間にかかってくる電話はほんの3,4件ほどですから、仕事に割込みが入ることはごくわずかです。ついてくれているアシスタントの女性がすばらしく、私の読むものについて熟知していますし、ある程度はなんでも用意してくれます。私が印をつけて彼女に戻す、といった若干のやり取りをするわけです。ファイリングなどは、きちんとした決まりを定めてあります。しかし文字通り1日に12時間、あらゆるものについて読んでいます」。

(中略)

「ええ、読む対象もあらゆる範囲にわたっています。当然なのは、まず新聞です。それから、250社前後の公開企業を毎四半期監視しているので、各社の四半期報告書には目を通しています。さらにはSEC[証券取引委員会]に提出された各種報告書も数多く読みます。また[業績発表説明会の]トランスクリプトも多々読んでいます。聴くよりも読んだほうが速いですし、会話で出てくる双方の小競り合いも飛ばせますから」。

「SECへの提出資料をいろいろ読むほかに、業界誌もいろいろと数十誌購読しています。それから、相談できるすばらしいアナリストが一人いて、チャネルの現状を調べる際に手伝ってくれます。たとえば、顧客や供給者や元従業員などと話ができるわけです。実のところ、「実際にそうだったらどうなのか」という見方をするように心がけています。どの証券を調べる際にも、『企業全体を保有していたらどうなるだろうか』という感覚で取り組むようにしています」。

“I get in around 7 or 8, and I read until about 7 or 8 at night,” he says with a laugh. “And I go home, and see my family, and then I’ll read for another hour or two in bed at night. And you know, there might only be three to four phone calls the entire week. So there are very, very few interruptions. I have a great assistant who knows everything that I read, and she kinda provides everything, and there’s a back and forth between us where I’ll mark it up, and give it back to her. And we have a system for filing and so forth. But it’s literally just reading about 12 hours a day of everything I just mentioned.”

*

“Well it runs the gamut as well. I would say certainly newspapers. I follow about 250 public companies every quarter. And so I go through, for each quarter each one of those companies, their quarterly reports. So a lot of S.E.C. filings. A lotta transcripts. I can read a transcript much faster than I can listen to the conference call. And you weed out some of the friction there as well.

“So a lot of S.E.C. filings. A lotta trade magazines. There are a couple dozen of those that I subscribe to. And then I have a wonderful analyst who helps me with channel checks where we talk to customers, suppliers, ex-employees and so forth. We’re really trying to get a view of what it would be like - every security that we look at, we’re really trying to get a sense of what it would be like to own the entire business.”

トッドの仕事ぶりは、まさしくGEICO時代のルー・シンプソンを思い出させますね(参考記事)。

2017年12月16日土曜日

パッシブはアクティブである(GMO)

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ジェレミー・グランサムのファンドGMOのサイトに掲載されていた「S&P500の価値評価」の文書から、もう少し引用します。なお同文書が読者として想定しているのは、機関投資家だと思われます。そのため、投資を生業としていない一般の個人投資家には当てはめにくい指摘があります。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

パッシブの道を選ぶことはアクティブな判断である
人間には、ここしばらくに起きたできごとを延長して将来を予想する性質があります。絶対的および相対的基準のどちらにおいても、米国株式が著しい成績をあげてきたことで、多くの人によって「米国株こそ保有すべき唯一の資産であり、それをパッシブに保有するやりかたがもっとも安あがりだ」と推奨される理由が、容易にうかがえます。

そうだとしてもパッシブを選んだ判断は、アクティブに決めた結果だと言えます。そして現在の投資家が十分な注意を向けていない重大なリスクがそこに存在するのではないか、と私たちは考えています。多くの投資家がパッシブ運用をますます強要するにつれて、アクティブ運用による各種の投資機会が増加しています。S&P500指数に連動したパッシブ運用へ資産を配分すると決めることは、長期的リターンを決定づけるものとして私たちが最も重要だと信じている要因、すなわち価値評価水準(valuation)を無視することを意味しています。そこに至っては、みずからを「投資家である」と語る資格はありません。「投機家」と名乗ることはできますが、「投資家」ではありません。パッシブ運用を選ぶことは、アクティブ投資家が持つある能力を排除することになります。それは、「指数を構成する証券の中で、とんでもなく割高な銘柄の割合を減らす」能力です(当然ながら私たちの好みは株式の銘柄選択においても同様で、価値評価に基づいたやりかたです)。史上3番目に割高な米国株市場に際して、パッシブな指数における構成比率と同じ配分をすることは、いずれは非常に高くつく決定だと私たちは考えています。それにもかかわらず、パッシブ投資は今もなお人気のある選択肢です。米国株市場におけるパッシブなインデックス投資の占める割合は、30%前後に至っています。(p. 8)

(中略)

絶対的な面からみると、投資機会は乏しくきわめて困難な状況です。しかしながら、現在のように資産価格が完璧と言える状況であれば、資産への値付けを大きく変動させても、失望を招くことはほとんどないでしょう。そうであれば私たちからは、現金的な短期性資産を大量に保有することをお勧めします(私たちの資産配分方針も同様です)。クマのプーさんが語った不滅の忠告を思い返してみてください。「なにもしないことのありがたさはバカにできないよ」。お好みであれば、次のように覚えておくのもよいでしょう。「することが何もなければ、何もするな」[過去記事1, 過去記事2]。(p. 111)

Going passive is an active decision
Human nature is to extrapolate the recent past. It is easy to see, given the strong performance of US equities in both absolute and relative terms, why many are suggesting they are the only asset you need to own. And the cheapest way of owning them is passively.

However, the decision to be passive is still an active decision - and we would suggest one with important risks that investors are not paying adequate attention to today. As more and more investors turn to passively-managed mandates, the opportunity set for active management increases. A decision to allocate to a passive S&P 500 index is to say that you are ignoring what we believe is the most important determinant of long-term returns: valuation. At this point, you are no longer entitled to refer to yourself as an investor. You may call yourself a speculator, but not an investor. Going passive eliminates the ability of an active investor to underweight the most egregiously overpriced securities in the index (we obviously prefer a valuation-based approach for stock selection as well). When faced with the third most expensive US equity market of all time, maintaining a normal weight in a passive index seems to us to be a decision that will likely be very costly. Yet despite this, it remains a popular path, with around 30% of all assets in the US equity market in the hands of passive indexers (see Exhibit 9).

*

In absolute terms, the opportunity set is extremely challenging. However, when assets are priced for perfection as they currently are, it takes very little disappointment to lead to significant shifts in the pricing of assets. Hence our advice (and positioning) is to hold significant amounts of dry powder, recalling the immortal advice of Winnie-the-Pooh, “Never underestimate the value of doing nothing”or, if you prefer, remember - when there is nothing to do, do nothing.

2017年12月4日月曜日

S&P500に対する価値評価(GMO)

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今回は、ジェレミー・グランサム氏のファンドGMOのWebサイトで公開されている文書から、S&P500の価値評価(valuation)の状況について触れた文章を一部ご紹介します。(日本語は拙訳)

The S&P 500: Just Say No (Matt Kadnar and James Montier; GMO White Paper) [PDF]

S&P500に対する価値評価

我々が行うあらゆることの基盤となるものが、価値評価です。ですから、まずは現在のS&P500が受けている評価の状況に対して受託者スミス氏[説明省略]が抱いている悩みから始めましょう。はじめに独自のフレームワークを用いることで、我々が実施している価値評価を見て回ります。次に、リターンに寄与する要因を理解していきます。

どのような証券市場においても、発生するリターンは4つの要素に分解できます。長期的にみた場合、リターンは配当(成長及び利回り)によってのみ、ほとんどが説明できます。株式の保有者は「企業が長期的成長のために費やせるように」と資本を提供しているのですから、報酬を受ける必要があります。その報酬は、企業がリスキーな投資から生み出すキャッシュフローから利益や配当の形でまかなわれます。

証券という資産クラスを保有することで儲けをあげる際に、寄与する要因として他に考えられるものは、株価倍率(PER)そして利益率上昇の2つです(これらを合わせて「価値評価要素」と我々は呼んでいます)。それら4つの要素はひとつの個性を形成しています。つまり、リターンは常に4つの要素へと(事後的に)分解できるという性格です。図表1では、西暦1970年以降におけるS&P500のリターン[黒]を4要素(利益[青]、配当[黄]、利益率[えんじ]、PER[緑])に分解しています。利益率[えんじ]とPER[緑]は非常に長期にわたって、基本的に横ばいに推移してきました。前述したように長期間でみると、生じたリターンの多くは配当がもたらしています。


これと同じ分割手法を直近7年間に当てはめてみると、図表2に示すように異なった展開があらわれます。予想されるとおり、利益と配当は成長しています。しかし大幅に拡大したPER[緑]と利益率[えんじ]が4つの中で最も強く押し上げたことで、リターンに対して著しく寄与しています。これは短期間にみられるよくある例であり、価値評価要素の移り変わりがリターンの変動性を司っています。


もし利益と配当が見事なまでに安定していれば(現在はそのとおりですが)、「この7年間に味わったすばらしいリターンをS&P500が今後ももたらし続ける」と信じるのは、「この7年間と同じように、PERと利益率が今後も拡大し続ける」と信じるのと同じことになります。歴史を振り返ると、この仮定が存在した記録は、慎ましく言っても極めてわずかしか残されていません。「直近の状況が際限なく継続する」と仮定するのはおどろくほど容易なことですが、資産を扱う市場においてそのような仮定をするのは、この上なく危険です。おそらく現在のS&P500がそうであるように、割高な市場においては特にそうだと言えます。(p. 1)

Valuation of the S&P 500

The bedrock of everything we do is valuation, so let’s begin addressing Trustee Smith’s concerns with a look at the current valuation of the S&P 500. We will start our tour of valuation by examining our own framework. This in turn starts by understanding the drivers of return.

For any equity market, the return achieved can be broken down into four component parts. In the long term, the return is almost exclusively driven by dividends (growth and yield). Equity owners need to be compensated for providing capital to companies to help fund their long-term investments. That compensation comes from the cash flows the companies generate from their risky investments via earnings and dividends.

The two other ways to make money from owning an equity asset class are from multiple (P/E) or margin expansion (collectively we call these elements the valuation components). Together these four components make an identity - we can (ex post) always decompose returns into these factors. In Exhibit 1, we show a return decomposition for the S&P 500 since 1970 based on these four factors (earnings, dividends, margins, and P/Es). Margins and P/Es are basically flat over this very long time period. As we stated above, over the long term, the returns achieved have been delivered largely by dividends.

Using this same decomposition over the last seven years, we see quite a different story in Exhibit 2. Earnings and dividends have grown as one would expect, but P/E and margin expansion have significantly contributed to returns with multiple expansion actually providing the biggest boost of the four. This is typical of short-term periods, where the volatility of returns is dominated by shifts in the valuation components.

If earnings and dividends are remarkably stable (and they are), to believe that the S&P will continue delivering the wonderful returns we have experienced over the last seven years is to believe that P/Es and margins will continue to expand just as they have over the last seven years. The historical record for this assumption is quite thin, to put it kindly. It is remarkably easy to assume that the recent past should continue indefinitely but it is an extremely dangerous assumption when it comes to asset markets. Particularly expensive ones, as the S&P 500 appears to be.

2017年11月16日木曜日

経済予測のおもな役割(ジョン・ケネス・ガルブレイス)

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Clipper Fundという名のバリュー志向のファンドがあります。一昔前にその動向を追いかけていたのですが、2006年にマネージャーが変更になると公表されてからは遠ざかっていました。最近になって何とはなしにWebサイトにアクセスしたところ、現マネージャーの名前に不意を突かれました。その名もクリストファー・デービス氏、『デービス王朝 知られざる偉大な投資家一族』で取り上げられている一族の3代目でした。

例によって同書の内容はきれいさっぱり忘れましたが、好印象だけは残っていました。そこでClipperのサイトに掲載されている文章を読んでみたところ、なるほどと感じる部分がありました。ポートフォリオ構成(上位からバークシャー、アルファベット、アマゾン)や現金比率をみると、バリュー志向派の代表格であるFPAファンドやセス・クラーマンとは対極的な位置づけにあるように思えます。しかし競争優位性や複利成長を長期的視点でとらえて資金を投じているとすれば、バリューに焦点を当てて投資しているとも考えられます。きちんと読み込んではいませんが、おそらくそこにデービス家の投資哲学があるのでしょう。

(個人的には、いわゆるバリュー対グロースという対比はしていません。よく言われるように、「バリュー投資」という言葉自体が同義語反復だと受けとめています。看板に掲げているのはご容赦ください)

さて今回は、同氏が書いた第二四半期のレビューから一部を引用してご紹介します(日本語は拙訳)。なお邦題のセンスから予想がつくと思いますが、上記翻訳書の出版元はパンローリング社です。

SEMI-ANNUAL REVIEW 2017 (Clipper Fund) [PDF]

投資の見通し

- 短期的予測へ応じるのではなく、長期的な観点に立ったポートフォリオを構築すること。今日の市場でみられるリスク要因には、利益率が頂点に達した企業、長期債、割高な配当銘柄がある。-

偶像破壊的な経済学者として知られたジョン・ケネス・ガルブレイスが示した風刺に、次のような有名なものがあります。「経済予測の主たる役割とは、『占星術は敬服すべきものだ』と思わせることである」。下図において[掲載省略]、ウォール街の選りすぐりのストラテジストが予測する株式市場の年次リターン率を実績値と対比していますが、そこにはガルブレイスの持つ見識の深慮さが示されています。図をみれば楽観的すぎる予測の年もあれば、悲観的すぎる年もあります。しかし予測が正しかったことは一度もありませんでした。

これと同じように、金利が動く方向や通貨の変動動向、経済指標や地政学上のできごとといった短期的予測の多くにおいても、予測というものが不可能なことが当てはまります。成功をめざす投資家は将来起こり得る幅広い可能性に備えるべきで、そういった役に立たない予測に反応すべきではありません。それゆえに、長期的視点に立ったポートフォリオを運用することは、大洋航海向けの船舶を建造することと似ていると言えるでしょう。各種の状況は予測不能であるからにして、免れぬ嵐に耐える強さを有しながら、目的地へ到着できるに足る船速を兼ね備えねばなりません。私たちは無意味な予測ではなく有意義な備えをすることに力を注いできました。そうすることで、投資家の財産を何十年間にもわたって築き上げてきました。

投資先セクターや経済、市場、資産クラスは、長期的な周期を通じて変動するものがほとんどですから、現在はそのどこに位置するのか把握することが投資家の取るべき最初の一歩になります。周期における好ましい部分の大半において、熱に浮かされた投資家によって価格がバブルへと向かいがちです。他方で周期の谷にやってくると投資家は悲観的になり、価格は割安の色を深めます。長期投資家にとってみれば、周期上の頂点とはリスクを意味するものですが、周期上の深部では好機が訪れてくるものです。

その周期構成のリスク側において頂点に達しようとする3つの領域が、今日ではみられます。ひとつめは、8年以上続いてきた景気拡大のおかげで企業の利益率が過去最高に達した点です。平均的な企業における利益成長や株価にとっては、この潮流はすばらしい追い風となってきました。逆に、周期の反対側に回る頃には、多くの企業において利益が減少するでしょうし、株価もそれに伴うでしょう。私たちはポートフォリオを構成する上でこのリスクを踏まえ、利益率の面で好ましい見通しを有している企業を入念に選択し、他方で利益率低下がいっそう見込まれる大多数の企業を避けるように注力しています。

ふたつめは、昨年に何度か上昇したものの、金利が50年来の低水準を保ちつづけている点です。その結果、多くの投資家が債券を「安全」なものとみなし、いつの日か利率が上昇する際には債券価格が下落することを忘れてしまいました。現実問題として、上昇率が1%という比較的小さな幅であっても、長期債の価格は20%以上切り落とされるでしょう。下図に示すように[掲載省略]、今日の債券の評価額には株式と比較するとかなりの昂ぶりが織り込まれています。そのため、株式は今後何十年にもわたって債券よりも大幅に良好なリターンをあげると思われます。

最後となる3つめは、現在の株式市場において投資家が配当利回りに熱をあげている点です。その結果、いわゆる「配当夢中株」が大幅に過大評価されている例が数多く見られます。たとえば、もっとも広範に保有されている配当重視型の投資信託及びETFにおいて、最大規模の構成銘柄は実にPER25倍で現在売買されています。しかしそれらの企業では、配当金を賄うために利益の83%が費やされているのです。衝撃的なのは、そういった企業の売上高が、この5年間にわたって年率1.2%ずつ減少してきた事実です。このように、企業における利益率、金利、そして「配当夢中株」は、周期上の極端な地点へ接近していると思われます。それらの3点は、私たちがポートフォリオに持ち込まないよう慎重に対処しているリスクの典型たるものです。

Investment Outlook

- Avoid reacting to short-term forecasts; instead build a portfolio for the long term. Risks in today’s market include companies with peak profit margins, long-term bonds and overvalued dividend darlings. -

The iconoclastic economist John Kenneth Galbraith famously quipped the “primary function of economic forecasting is to make astrology look respectable.” By contrasting the predictions of Wall Street’s top strategists for annual stock market returns with what actually happened, the chart below shows the wisdom of Galbraith’s insight. In some years, the predictions proved too optimistic and in others too pessimistic. But at no point, did the forecasts get it right.

The same unpredictability applies to many short-term forecasts including those related to the direction of interest rates, currency moves, economic indicators, and geopolitical events. Instead of reacting to such useless forecasts, successful investors must be prepared for a wide range of possible outcomes. In this way, managing a portfolio for the long term is similar to building a ship for an ocean crossing. Because conditions may be unpredictable, investors must balance the strength needed to endure the inevitable storms with the speed required to reach their destination. By focusing on sensible preparation rather than worthless predictions we have built wealth for our investors over decades.

Since most sectors, economies, markets, and asset classes move through long cycles, the first step for investors is understanding where they are in the cycle. In the most favorable parts of cycles, prices tend toward bubbles as investors become euphoric. In the troughs of cycles, prices move toward bargain levels as investors become pessimistic. For long-term investors, cyclical peaks represent risk and cyclical troughs present opportunities.

Today, on the risk side of the equation, three areas appear to be approaching cyclical peaks. First, following more than eight years of economic expansion, corporate profit margins have reached an all-time high. This trend has provided a wonderful tailwind for the average company’s earnings growth and stock price. The other side of this cycle could lead to lower earnings at many companies with their share prices likely to follow suit. Recognizing this risk, we have focused our Portfolio on carefully selected companies with a favorable outlook for profit margins while avoiding the majority of companies where we believe margin compression is more likely.

Second, despite some uptick over the last year, interest rates remain near 50 year lows. As a result, many investors have come to view bonds as “safe,” forgetting that when interest rates eventually rise, bond prices will fall. In fact, a relatively modest 1% increase in interest rates would lop more than 20% off the price of a long-term bond. As shown in the chart below, bond valuations today reflect considerable euphoria compared to stocks. As a result, stocks are likely to produce far better returns than bonds in the decades ahead.

Third, within the stock market, investors have become infatuated by current dividend yield. As a result many of the so-called dividend darlings seem significantly overvalued. For example, the largest positions in the most widely held dividend mutual funds and exchange traded funds (ETFs) currently trade at a heady 25 times earnings while paying out 83% of earnings to cover their dividends. Shockingly, over the last five years, the revenue at these companies has actually declined at a rate of 1.2% per year. As with profit margins and interest rates, these dividend darlings seem to be approaching a cyclical extreme and therefore represent a risk we are careful to avoid in our Portfolio.

2017年10月24日火曜日

いずれ来たる下落を見やった投資家3名の言葉

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今回は、バリュー志向のマネージャーが市場の下落について最近触れていた文章を3つご紹介します。(日本語は拙訳)

はじめは、バリュー・ファンドFPAクレセントのマネージャーとしてよく取り上げているスティーブン・ローミック氏の文章です。彼が書いた第3四半期の顧客向けレター[PDF]から引用します。

たいていの場合、わたしたちが株価を追いかけるのは下落しているときだけです。しかし資金があふれ返っている現在の世界は、喜んで金額を上積みする投資家ばかりの状況です。そのようなわけでわたしたちは、クレセント・ファンドが旨とする保守的な姿勢を維持する道を選んでいるわけです。

「辛抱強く書き物を読み、経営者と対話し、きちんと考える」、これが取り得る最良の道だと確信します。[先日亡くなった]トム・ペティが書いたように、そして私たちもちょうど1年前の結びで書いたように、「待っている間がいちばんつらい」ものです。

We typically only chase price when it is falling. Today though, a world awash in capital has found investors willing to pay ever higher prices. We, therefore, prefer to maintain Crescent’s conservative posture.

We believe the best course is to patiently read, speak to business managers, and just think. As Mr. Petty wrote and as we closed exactly a year ago, “The waiting is the hardest part.”

次はウォーリー・ワイツ氏の文章です。「オマハのバリュー・マネージャー」として知られる人物で、彼についても何度か取り上げたことがあります。こちらも第3四半期の顧客向けレターからの引用です。

投資の世界では、こんな古いジョークがあります。新しく登場した巨大なビジネスの盛衰過程において、成長が鈍化して楽観的過ぎた見通しが実現不可能だったとわかると、成長株投資家は持ち株をGARP投資家(Growth At a Reasonable Price; 成長株を妥当な金額で買う)へ売却します。つづいてその株はバリュー投資家へ売られ、最終的にはどん底バリューを待ち受けていた連中の手にわたる、という筋書きです。それぞれの段階において買い手となる者は、「失望は一時的にすぎない、あるいは株価が下落したおかげで十分に割安になっている」と評価します。その際に、深刻な問題を抱えた「落下するナイフ」と、一時的に誤解されている割安な証券とを判別できること、それが決め手となります。

There is an old joke in the investment business that in the life cycle of a great new business, as growth slows and overly optimistic projections fail to materialize, growth investors sell to GARP (growth at a reasonable price) buyers, who sell to value investors, with the shares ultimately ending up in the hands of the deep value crowd. At each stage, the new buyers are making the assessment that the disappointment is temporary or that the stock price has declined enough to create a bargain. The trick is to be able to distinguish between the seriously troubled “falling knife” and the temporarily misunderstood undervalued security.

最後がチャーリー・マンガーです。今年の2月に開催されたデイリー・ジャーナル社の株主総会で彼が発言した内容です。

私からすれば、市場の下落は人生に付き物だと考えますね。長期にわたってこのゲームに関わるつもりならば、そうする必要がでてきます。値段が半分まで下落したときでも、やたらと思い悩まずにやり過ごせますよ。より良い生き方を心がけていれば、資産半減の事態となっても、沈着冷静・端麗優雅に受け流せるでしょう。下落を回避しようとは試みないように。結局はやって来ることです。「自分には来ない」と言う人は、十分果敢に投資していないからですよ。

I regard it as a part of manhood. If you’re going to be in this game for the long haul which is the way to do it. You better be able to handle a 50% decline without fussing too much. Conduct your life so you can handle a 50% decline with aplomb and grace. Don’t try to avoid it. It will come. And if it doesn’t come I’d say your not being aggressive enough”.

2017年10月16日月曜日

現在の株高を説明する2つの要因(ジェレミー・グランサム)

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資産運用会社GMOのジェレミー・グランサム氏は、慎重派のマネージャーとして何度か取り上げてきました。しかし昨年後半あたりからの彼は警戒的な主張を弱め、市場の続伸を是認(あるいは諦観)するような見解を述べています。今回は、GMOが四半期ごとに公表しているレターから引用します。統計好きの彼らしく、「2つの指標が市場参加者の心理をあたため続けてきたことが、株高を導いている」と説明しています。(日本語は拙訳)

Why Are Stock Market Prices So High? (GMO Quarterly Letter 2Q 2017) [PDF]

投資や経済の世界では、この20年の間にほぼすべてのことが変化したものの、不変だったものがひとつあります。それは「人間の性質」です。私たちはそのことを多かれ少なかれ証明できますし、少なくとも株式市場における場合はそうだと言えます。

15年前に[同僚の]ベン・インカーと共に、S&P500のPER水準がどのように遷移するかを説明しようと考えて単純なモデルを構築しましたが、最近になって変更を加えました。ただしそのモデルは、PERの水準が理にかなっていることや相応であることを正当化したり、あるいは将来の株価を予測したりすることを狙ったものではありません。影響を及ぼす主たる要因に対して、市場がどのような典型的反応を示してきたのか、その傾向を表すだけのものです。モデルに含まれる要因のうち、格別に重要なものが2つあります。ひとつめが利益率で、高い値のほうが望ましいです。もうひとつがインフレーションで、こちらは安定的かつ低い値が望まれますが、低すぎる場合は除きます。(中略)

直近20年間で生じた大きな変化を理解するために試みてきたことから飛躍すると、まったくもって行動的な取り組みだけとなりました。妥当か否かはともかくとして、投資家は高い利益率にご執心ですし、微々たるものであっても安定した成長を好みます。その反対にインフレーションを嫌います。1925年から1997年の間、投資家の考えはずっとそうでした。そして新たな時代である1997年から2017年の間にも、まったく同じ考えを抱いてきました。つまり投資家の振る舞いという意味からすれば、「新たな時代に入った」とは到底言えません。相関係数にして0.9と、高い精度で以前と同じことを繰り返しています。1929年そして1965年に生じた市場の頂点では、どちらにおいても非常に短い期間でしたが、利益率とインフレの両方が好ましい数字でした。それとは対照的に、1997年から2017年に至るまでのほぼすべての期間において、投資家にとって好ましい状況がつづきました。ただし範疇外として、市場が下落した非常に短い期間が二度ありましたが。

市場とはこれほど容易に説明できるものなのでしょうか。まあ、実に92年分ありますからね。それでは私たち投資家は、この情報をもとに何ができるのか考えてみましょう。まずひとつ言えるのは、もし利益率やインフレ率が従来の標準的水準に戻る時期がやってくるとすれば、市場のPERも従来の平均へと実際に回帰するでしょう。反対にそのような期間がめぐってこないのであれば、PERはおそらく高いままでしょう。またそれとは別にわかることとして、市場の暴落を期待するのであれば、(2008年から2009年に起こったように)利益率が大幅に下落するか、(1979年から81年当時のように)インフレ率が劇的に上昇し続けるか、あるいはそれらの強力な組み合わせが起こるのを待つべきです。当然ながらそのいずれも起こる可能性はありますが、たぶん起こらないと思われますし、少なくともここしばらくはないと思います。

PERの遷移を説明するために私たちがとった行動的アプローチは、過去に試みてきた「各種要因のごった煮」よりも単純な公式で済みます。しかし少し前に書いたレター「鳴動ならんや、さめざめと」[原題はNot With A Bang But A Whimper。T.S.エリオットの詩の一部]のパート1やパート2で触れた論議と著しく似ています。どちらのアプローチにおいても支配的なのが、利益率の役割です。利益率が上昇することで利益の額を直接増加させるのみならず、利益額に適用されるPER倍率も上昇させます。同様にインフレも、どちらのアプローチでも2番目に強力な要因です。もちろんながら低インフレは金利を低下させ、「ごった煮」に含まれる重要な要素になると思われます。(PDFファイル10ページ)

In an investing and economic world in which almost everything seems to have changed in the last 20 years, one thing has remained constant: human nature. And, we can more or less prove it. At least in the case of the stock market.

Ben Inker and I designed a simple model 15 years ago to explain the shifts in P/E levels of the S&P 500. Recently we updated it. Our model does not attempt to justify the P/E levels as logical or deserved, nor does it attempt to predict future prices. It just shows what has tended to be the market’s typical response over the years to major market factors. By far, the two most important of these are profit margins, the higher the better, and inflation, where stable and lower is better, except not too low.

Now, cutting across that previous attempt to understand these major changes in our new 20-year era, comes an entirely behavioral approach. Whether sensibly or not, investors love high margins and like stable growth even if it’s modest, and hate inflation. They felt this way from 1925 to 1997 and they felt exactly the same way in our new era of 1997 to 2017. So, behaviorally it is absolutely not a new era. It is precisely - to a 0.90 correlation - the same ole same ole. The peaks of 1929 and 1965 delivered favorable margins and inflation inputs but for a very short while in both cases. In contrast, the period of 1997 to 2017 has delivered to investors their preferred conditions almost the entire time, with only two very quick time-outs for market breaks.

Can the market really be this easy to explain? Well, it has been for 92 years! And what can we investors do with this information? It tells us that if we re-enter a period of old normal profits and old normal inflation, the market’s P/E will indeed mean revert to its old average. And if we don’t re-enter such a period, the P/Es are likely to stay high. It tells us separately that if we expect a market crash, we should also expect to have a crash in margins (as we did in 2008-09) or a truly dramatic rise in sustained inflation (as we did in 1979-81) or some powerful combination. All of which is possible of course, but I think improbable, at least in the near term.

This behavioral approach to explaining shifts in P/Es is certainly a much simpler equation than my previous stew-of-factors approach. But it does have some powerful similarities to my earlier arguments found in Parts 1 and 2 of “Not With A Bang But A Whimper." In both approaches, the role of profit margins is dominant. Improved margins not only move the earnings up directly, but also the P/E multiplier applied to those earnings. Inflation is also a strong secondary factor in both approaches, for low inflation, of course, drives down the interest rates, which appear to be an important ingredient in the stew.

直近2回の暴落(2000年からのITバブル崩壊と2007年からの世界金融危機)を「非常に短い下落期間」とまとめるあたりは、さすがに投資界の重鎮です。長期的にみればたしかにその通りですが、思い切った投資ができるのは個人的にはそのような時期しかないので、「非常に短い期間」に備えて流動性に気を遣うこのごろです。

2017年9月12日火曜日

風船の空気について(ハワード・マークス)

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前回のメモは過去最大の反響を呼んだということで、ハワード・マークスが返歌に相当するメモを早々に公開していました。そのなかからいくつかの部分を訳付きでご紹介します。

今回とりあげる文章は、「現在の市場がどのような状況なのか」を簡潔にまとめた箇所です。最後の一言は結論の一面を見事に表現しており、文筆家としての腕前も巧妙だと感じました。(日本語は拙訳)

memo from Howard Marks: Yet Again? [PDF] (Oaktree Capital Management)

市場の状況

市場がどのように上昇してきたか私の考えを示したことに対して、多くの議論が生じました。私を指して「超弱気筋」と評する人には、強く反論しました。このメモの中で示したように、端的に言えば市場が「愚かしいほどのバブルではないが、まさに割高で、それゆえにリスキーである」ことは確実だと思います。

今日の全般的な投資環境を描写するに際して、「バブル」という言葉を使うつもりはありません。バブルが形成されて破裂した直近の2回は、1998年から2002年までと、2005年から2009年まででした。だからといって、あらゆる価格上昇はバブルまで達し、それゆえに続けて暴落がやってくることを意味するものではありません。

・現段階の市場心理を指して、「熱狂」や「有頂天」と描写することはできません。現在ただよっている不確実性や、好調な時期が次々と永遠に来るわけではないという事実を、ほとんどの人は承知しています。

・今回の回復局面では景気が過熱しなかったため、大きな不況がくる必要もありません。

・2007年に諸銀行の負債比率が到達した水準によってメルトダウンが引き起こされた様子を、私たちは目撃しました。しかし現在の水準は、その当時の一部分ほどにとどまっています。

・重要なのは、サブプライム・モーゲージやサブプライム・ローン担保証券がカギとなる要因だったことです。それらが道を誤ったことで、世界金融危機が引き起こされました。しかし影響の大きさと疑わしい程度のどちらにおいても、当時のそれらに相当するものは、今日では見当たりません。

先に記したように、現在は注意が必要な時期であって、全面的退避の時期ではありません。暴落を予期する理由はまったくありません。ただし、つらい価格訂正が訪れる可能性はあります。あるいはいつからか長期間にわたって、市場の論理に沿うことで今よりも妥当な水準へと単に下落したり、利益増の業績にもかかわらず現状維持のままであったりするかもしれません(しかしながら、我がパートナーのシェルドン・ストーンが言うように、ほとんどの場合において「風船の空気は抜けるときのほうが速い」ものです)。(p. 9)

The State of the Market

There has been a lot of discussion about how elevated I think the market is. I’ve pushed back strongly against people who describe me as “super-bearish.” In short, as I wrote in the memo, I believe the market is “not a nonsensical bubble - just high and therefore risky.”

I wouldn’t use the word “bubble” to describe today’s general investment environment. It happens that our last two experiences were bubble-crash (1998-2002) and bubble-crash (2005-09). But that doesn’t mean every advance will become a bubble, or that by definition it will be followed by a crash.

- Current psychology cannot be described as “euphoric” or “over-the-moon.” Most people seem to be aware of the uncertainties that are present and of the fact that the good times won’t roll on forever.

- Since there hasn’t been an economic boom in this recovery, there doesn’t have to be a major bust.

- Leverage at the banks is a fraction of the levels reached in 2007, and it was those levels that gave rise to the meltdowns we witnessed.

- Importantly, sub-prime mortgages and sub-prime-based mortgage backed securities were the key ingredient whose failure directly caused the Global Financial Crisis, and I see no analog to them today, either in magnitude or degree of dubiousness.

It’s time for caution, as I wrote in the memo, not a full-scale exodus. There is absolutely no reason to expect a crash. There may be a painful correction, or in theory the markets could simply drift down to more reasonable levels - or stay flat as earnings increase - over a long period (although most of the time, as my partner Sheldon Stone says, “the air goes out of the balloon much faster than it went in”).

2017年8月16日水曜日

インデックス投資も同じ道を帰る(ハワード・マークス)

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前回につづいて、ハワード・マークスによるパッシブ投資に関する話題です。(日本語は拙訳)

パッシブ投資が低額の手数料や経費ゆえに魅力的であるということは、つまりファンドの組成者は規模の大きさを強調しなければなりません。インデックス・ファンドよりも高い手数料を得るとともに利益のあがる規模に到達させようとして、ETFのスポンサーは「さらにスマート」で、しかも厳密にはパッシブでない媒体へと変更することを考えました。それゆえにETFを組成する際に、株式の分類(バリュー型か成長型か)や特性(ボラティリティーが低いか高いか)、あるいは業種や地理的な位置といった、諸々の特殊な切り口による領域からの要求を満たすようにしたのです。「成長型でいてバリューがあり、投資先として優良な企業で、株価のボラティリティーは小さく、モメンタム志向である」、これらすべてを求める人に応じたパッシブ型ETFも複数存在します。極端なところでは、次のような企業へパッシブに投資するファンドから選べるようにもなりました。経営陣の男女比に偏りが少ない企業、「聖書的責任投資」に適合した企業[=聖書の教えを遵守した企業への投資]、そして医療マリファナ、肥満解消、ミレニアル世代向け、ウィスキー及び蒸留酒といった分野に注力する企業、です。

しかし、投資を実行する媒体がそれほど狭い領域に焦点を当ててしまうと、「パッシブ」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。広汎な領域にわたるインデックスから逸脱すれば、まず定義の上で支障がありますし、さらに非パッシブな個別の判断が必要になってきます。個別要因を反映した保有株式を誇張するパッシブなファンドは、「スマート・ベータ・ファンド」と呼ばれています。しかし今日ではてんで尊敬されないアクティブ志向の運用者よりも、それらの株式を選択する規則を決めた人のほうが若干でもスマート(賢い)とは、一体だれが言えるのでしょうか。これはすなわち、先述したブレグマン言うところの「語義的投資」です。つまり、「株式を選択する理由は、貼り付けられたラベルをもとにしており、定量的分析によるものではない」という意味です。上述した特性のうちの多くを株式が有しているかどうか判断する絶対的基準はないことになります。

「スマートな」商品が商業的規模に達してほしいと組成者が考えている場合、「時価総額が最大規模であり、かつ流動性がもっとも高い諸々の株式」に大きく依存しがちな点が重要です。たとえばETF内にアップル社の株式が含まれていれば、実に大きな規模のファンドとなり得ます。それゆえに今日では、テクノロジー株や成長株、バリュー株、モメンタム志向、大型株、優良企業株、低ボラティリティー、配当株、レバレッジ株を看板に掲げている各種のETFには、アップル株が含まれています。

以下の文章は、バロンズ誌が今月(7月)早々の記事で触れねばならなかった見解です。

時価総額加重平均型のインデックスでは、買い手は個別の選択をせずに、すでに比重過多な(そして割高であることも多い)銘柄で満たしている。一方、比重の小さい銘柄は無視されたままである。これでは「安く買って、高く売る」の反対だ。

このところ上位の成績をおさめている銘柄は、時価総額を増大させながら、ファンドの大きなポジションを占めるようになっています。このことは、「ETFに資本が集まった際にはそれらの銘柄を大量に買い付けねばならず、株価上昇をさらに煽る」ことを意味します。それゆえに現在つづいている上昇局面では、パッシブ投資を実行する媒体の一部が自動的に買い付けるがために、構成比率が大きくて流動性の高い大型銘柄がその恩恵を受けてきました。単に割高だからといって株式購入をとどめる選択肢を有していないからです。

西暦2000年のテクノロジー株と同様、永久機関のようにみえるこの現象が、永久に働き続けることはないでしょう。もし[インデックス・]ファンドがそれらの株式をまさに放出すれば、それゆえにETFでも同じことが起こり、過度なまでに買われてきた銘柄は、過度なまでに売られる定めとなります。そして、市場が収縮する時期に売却しなければならないとしたら、過度なまでに保有している大人気銘柄を買ってくれる相手を見つけるには、インデックス・ファンドやETFは一体どこを探せばいいものでしょうか。このようにパッシブな買い付けによって生じた価格上昇は、結局は循環的なものであって永続しないだろうと思います。

最後にもうひとつ、株式市場におけるシステミックなリスクを考慮せねばなりません。ブレグマン言うところの「インデックス真っ盛りの、大規模かつ大混雑したモメンタム売買」です。S&P指数上昇に寄与する割合をますます増加させているのは、一握りの銘柄、つまりFAANG銘柄とその他若干です。つまり、株式市場の健全さが過大評価されている可能性があります。

上述したすべての要因が、パッシブな媒体、特にスマート・ベータETFが持つと考えられている有効性に対して疑問を投げかけています。

・「アップル社の株は安全株なのか。それとも、このところ好調な成績をおさめている株なのか」。その違いについて、きちんと思案している人がいるのでしょうか。
・異なるやり方を標榜している種々のパッシブな媒体に対して資金を投じている人は、自身の期待している分散効果や流動性や安全性を確保できているのでしょうか。
・個々の保有銘柄やポートフォリオ構成について慎重に分析することもなく、意思決定の対象にもせず、さらには価格によらず買い付けを実行する。そのようなプロセスへ投資家がこぞって手持ちの資金を投じる実態について、何を考えたらよいのでしょうか。

The low fees and expenses that make passive investments attractive mean their organizers have to emphasize scale. To earn higher fees than index funds and achieve profitable scale, ETF sponsors have been turning to "smarter," not-exactly-passive vehicles. Thus ETFs have been organized to meet (or create) demand for funds in specialized areas such as various stock categories (value or growth), stock characteristics (low volatility or high quality), types of companies, or geographies. There are passive ETFs for people who want growth, value, high quality, low volatility and momentum. Going to the extreme, investors now can choose from funds that invest passively in companies that have gender-diverse senior management, practice "biblically responsible investing," or focus on medical marijuana, solutions to obesity, serving millennials, and whiskey and spirits.

But what does "passive" mean when a vehicle's focus is so narrowly defined? Each deviation from the broad indices introduces definitional issues and non-passive, discretionary decisions. Passive funds that emphasize stocks reflecting specific factors are called "smart-beta funds," but who can say the people setting their selection rules are any smarter than the active managers who are so disrespected these days? Bregman calls this "semantic investing," meaning stocks are chosen on the basis of labels, not quantitative analysis. There are no absolute standards for which stocks represent many of the characteristics listed above.

Importantly, organizers wanting their "smart" products to reach commercial scale are likely to rely heavily on the largest-capitalization, most-liquid stocks. For example, having Apple in your ETF allows it to get really big. Thus Apple is included today in ETFs emphasizing tech, growth, value, momentum, large-caps, high quality, low volatility, dividends, and leverage.

Here's what Barron's had to say earlier this month:

With cap-weighted indexes, index buyers have no discretion but to load up on stocks that are already overweight (and often pricey) and neglect those already underweight. That's the opposite of buy low, sell high.

The large positions occupied by the top recent performers - with their swollen market caps - mean that as ETFs attract capital, they have to buy large amounts of these stocks, further fueling their rise. Thus, in the current up-cycle, over-weighted, liquid, large-cap stocks have benefitted from forced buying on the part of passive vehicles, which don't have the option to refrain from buying a stock just because its overpriced.

Like the tech stocks in 2000, this seeming perpetual motion machine is unlikely to work forever. If funds ever flow out of equities and thus ETFs, what has been disproportionately bought will have to be disproportionately sold. It's not clear where index funds and ETFs will find buyers for their over-weighted, highly appreciated holdings if they have to sell in a crunch. In this way, appreciation that was driven by passive buying is likely to eventually turn out to be rotational, not perpetual.

Finally, the systemic risks to the stock market have to be considered. Bregman calls "the index universe a big, crowded momentum trade." A handful of stocks - the FAANGs and a few more - are responsible for a rising percentage of the S&P's gains, meaning the stock market's health may be overstated.

All the above factors raise questions about the likely effectiveness of passive vehicles - and especially smart-beta ETFs.

- Is Apple a safe stock or a stock that has performed well of late? Is anyone thinking about the difference?
- Are investors who invest in a number of passive vehicles described in different ways likely to achieve the diversification, liquidity and safety they expect?
- And what should we think about the willingness of investors to turn over their capital to a process in which neither individual holdings nor portfolio construction is the subject of thoughtful analysis and decision-making, and in which buying takes place regardless of price?

2017年8月12日土曜日

インデックス投資において考慮すべき点(ハワード・マークス)

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ハワード・マークスの最新レターからもうひとつ、インデックス・ファンドなどのパッシブ投資に関する話題をご紹介します。今回は、彼の示す小気味よい考察に啓発されました。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

パッシブ投資及びETFについて

50年前になりますが、シカゴ大学の[経営]大学院に到着してすぐに、「市場効率性」のおかげで次のことを教わりました。第一に、資産価格はリスク調整後の利回りが妥当となるように決定されること。第二に、それに対する例外を一貫して見つけ続けられる者はいないこと、です。言い換えれば、「市場に勝つことはできない」とするものでした。私たちを教える先生たちはさらに、「各銘柄を少数ずつ買い付けることで、銘柄選定の専門家を上回る負けしらずの低コストな手段ができる」というアイデアを考え出しました。

その示唆を実践に移した人がジョン・ボーグルです。前年にバンガードを創設していた彼は、1975年に「ファースト・インデックス投資信託」を始めました。これが、商業ベースの大きさに達した最初のインデックス・ファンドです。S&P500を模倣するように設計されたその媒体は、のちに「バンガード・500・インデックス・ファンド」と改名されました。

インデックス連動あるいはパッシブ投資の考えはその後40年の間に徐々に成長し、2014年には株式投資信託における預かり資産の20%を占めるまでになりました。この10年間ほどはアクティブ運用者が概して劣った成績に甘んじていることや、ETFつまり売買の手間をより簡素にしてくれた上場投資信託が創設されたことを考慮すれば、アクティブ投資からパッシブ投資への移行は加速してきました。今日では強力な潮流となり、株式投信における全資産の37%を占めるまで拡大しています。この10年間にインデックス・ファンドやETFに流入した資金は、1兆4千億ドルでした(それに対して、アクティブ運用型の投資信託からは1兆2千億ドルが流出しました)。

投資におけるあらゆる流行と同様、パッシブ投資は次のような長所ゆえにあたたかく歓迎されています。

・ここ10年間前後をみると、パッシブなポートフォリオの成績がアクティブ投資を上回っていたこと。
・パッシブ投資であれば、インデックスに負けないことが保証されていること。
・パッシブな仕組みにかかる手数料や経費はずっと安価であり、アクティブ型の運用に対して永続的な優位を確立できること。

こういったことは、パッシブ投資やインデックス・ファンドやETFが不敗を企図したものだと述べているのでしょうか。いいえ、まったくもって違います。

・パッシブ投資家は「引けを取る」リスクからは保護されるものの、それと同時に「上回る」可能性を放棄することになる。
・アクティブ投資家の一部で近年の成績が平均に届かなかったことが、永続的ではなくて循環的なものだったことが明かされるかもしれない。
・この数年間の所産としてETFが約束している流動性は、特に高利回り債のような流動性の低い領域に投資するものほど、大規模な弱気相場での試練を受けていない。

さらに何点か、考慮に値することがあります。

まず、パッシブ投資という知恵がどこから生じたものなのか、思い出してほしいと思います。それは、「アクティブ投資家のとる行為が、妥当な資産価格を導いている」ことに信を置く点からです。だからこそ、割安なものが見当たらないことになります。しかし、株式投資の過半数がパッシブな運用によるものとなったら、一体どうなるでしょうか。おそらく価格は自由になって「妥当な水準」から発散し、割安銘柄(及び割高銘柄)が現在よりもありふれたものとなるに違いありません。それがすなわち「アクティブ運用者が勝利できる」約束とはならないものの、彼らの努力が実を結ぶために必要な条件を明らかに満たすことでしょう。

当社の顧客である年金基金で投資担当役員を務めている方から、次の質問を受けました。「うちの財務担当役員が提案してきたのですよ。アクティブ運用者はみんな放り出して、全資産をインデックス・ファンドやETFに投じようと。どうしたものですかね」。私からは単純な返答をしました。「ではその方に質問してみてください。投資する資産がどれだけの金額であれば、それを分析検討する者が皆無であっても、安心していられますか、と」。

「バスケット方式による機械的投資」によって、数兆ドルの資金が盲目的に動かされています。この呼び名は、ホライゾン・キネティクス・ファンドの[共同創業者である]スティーブン・ブレグマンが付けたものです。銘柄に対する価値評価に関してETFが疑問を抱くことはありません。すなわちファンダメンタルを分析する者がいないため、価格発見の面でなにも寄与しません。パッシブ投資へ資金がさらに移動するようであれば、アクティブ運用者のもとで働くアナリストの数は減少するでしょう。しかし同時に、パッシブ型ファンドのポートフォリオ構成を司るルールをだれが決めるのか、それについても思いを巡らせるべきです。

(この項つづく)

Passive Investing/ETFs

Fifty years ago, shortly after arriving at the University of Chicago for graduate school, I was taught that thanks to market efficiency, (a) assets are priced to provide fair risk-adjusted returns and (b) no one can consistently find the exceptions. In other words, "you can't beat the market." Our professors even advanced the idea of buying a little bit of each stock as a can't-fail, low-cost way to outperform the stock-pickers.

John Bogle put that suggestion into practice. Having founded Vanguard a year earlier, he launched the First Index Investment Trust in 1975, the first index fund to reach commercial scale. As a vehicle designed to emulate the S&P 500, it was later renamed the Vanguard 500 Index Fund.

The concept of indexation, or passive investing, grew gradually over the next four decades, until it accounted for 20% of equity mutual fund assets in 2014. Given the generally lagging performance of active managers over the last dozen or so years, as well as the creation of ETFs, or exchange-traded funds, which make transacting simpler, the shift from active to passive investing has accelerated. Today it's a powerful movement that has expanded to cover 37% of equity fund assets. In the last ten years, $1.4 trillion has flowed into index mutual funds and ETFs (and $1.2 trillion out of actively managed mutual funds).

Like all investment fashions, passive investing is being warmly embraced for its positives:

- Passive portfolios have outperformed active investing over the last decade or so.
- With passive investing you're guaranteed not to underperform the index.
- Finally, the much lower fees and expenses on passive vehicles are certain to constitute a permanent advantage relative to active management.

Does that mean passive investing, index funds and ETFs are a no-lose proposition? Certainly not:

- While passive investors protect against the risk of underperforming, they also surrender the possibility of outperforming.
- The recent underperformance on the part of active investors may well prove to be cyclical rather than permanent.
- As a product of the last several years, ETFs' promise of liquidity has yet to be tested in a major bear market, particularly in less-liquid fields like high yield bonds.

Here are a few more things worth thinking about:

Remember, the wisdom of passive investing stems from the belief that the efforts of active investors cause assets to be fairly priced - that's why there are no bargains to find. But what happens when the majority of equity investment comes to be managed passively? Then prices will be freer to diverge from "fair," and bargains (and over-pricings) should become more commonplace. This won't assure success for active managers, but certainly it will satisfy a necessary condition for their efforts to be effective.

One of my clients, the chief investment officer of a pension fund, told me the treasurer had proposed dumping all active managers and putting the whole fund into index funds and ETFs. My response was simple: ask him how much of the fund he's comfortable having in assets no one is analyzing.

As Steven Bregman of Horizon Kinetics puts it, "basket-based mechanistic investing" is blindly moving trillions of dollars. ETFs don't have fundamental analysts, and because they don't question valuations, they don't contribute to price discovery. Not only is the number of active managers' analysts likely to decline if more money is shifted to passive investing, but people should also wonder about who's setting the rules that govern passive funds' portfolio construction.