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2019年2月27日水曜日

2018年度バフェットからの手紙(3)自社株買いおよび業績報告について

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2018年度「バフェットからの手紙」より、「自社株買いと業績報告」に触れた一節を取りあげます。おなじみの話題と言えるでしょうが、ジョークのほうはあいかわらず軽快で楽しめます。なお、本シリーズ前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

自社株買いおよび業績報告について

バークシャーでは自社株の買戻しを折に触れて行うつもりだと、前のほうの文章で記しました。まさにわたしどもの狙いどおりに、当社の本源的価値より安い値段で買い戻すことができれば、その自社株買いは、当社の株主をやめていく人たちと、これからも株主であり続ける人たちの、どちらにとっても利益となります。

実際のところ、売却組の方々にとって自社株買いによる恩恵はごくわずかです。わたしどもは注意深く購入するため、バークシャーの株価にはわずかな影響しか与えないと思われるからです。そうだとしても、買い手が市場に加わることは、売り手にとっていくらか好都合となります。

一方で継続株主にとっての利点は、はっきりしています。去り行くパートナーが市場に示す価格を、たとえば1ドルであるべきところを90セントとするならば、継続株主にとっては当社が自社株を買うほど、1株当たりの本源的価値が実際に増していきます。当然ですが、自社株買いは価格にうるさい必要があります。割高な株をむやみに買うことは、[自社の]価値を破壊する行為です。これは派手好きあるいは終始楽天的な多数のCEOが犯してきた事実です。

「自社株買いを熟慮検討する」と企業が言及するときには、パートナーたる全株主に対して、企業価値を適正に評価するために必要な情報が、提供されなければなりません。チャーリーおよびわたしが本文書で果たそうとしているのは、そのための情報を提供することです。「誤解を招く情報や不適切な情報を知らされたがために、当社の株式を売り戻す」、パートナーたるみなさんには、そのような事態にはなってほしくありません。

しかしながら、わたしどもによる価値算定に同意できない売り手の方がいるかもしれません。また、人によってはバークシャー株よりも魅力を感じる投資先があるかもしれません。後者の方々のなかには、その選択が正しい方もおられるでしょう。当社よりもはるかに大きな成果をあげる株がいくつもあることに、疑う余地はないからです。

さらにはただ単純に、「資本を蓄積し続けるのではなく、自分や家族が使う側に回る時期だ」と決断する株主もいるでしょう。チャーリーもわたしも今のところは、そういった人たちのなかに加わるつもりはありません。あれこれと消費するのは、もっと年老いてからにしたいと思います。

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バークシャーで54年間にわたって経営上の判断を下してきた際に、わたしどもが念頭に置いていたのは、去り行く株主のことではなく、今後も共にありつづける株主の観点でした。それゆえにチャーリーともども、今四半期の業績のことはまったく意識しておりません。

実際のところバークシャーは、Fortune 500社のなかで月次の売上報告書や貸借対照表を作成していない、おそらく唯一の企業だと思います[Fortune 500最新の順位では、バークシャーは第3位]。もちろんですが、ほとんどの子会社が出してくれる月次の財務報告を、わたしは都度確認しています。しかしバークシャー全体としての収益や財務状況は、チャーリーもわたしも四半期ごとにしか把握していません。

さらに言えば、バークシャー全体を統括する予算は立案していません(ただし各々の子会社としては、それを有用とみなす会社が多々あります)。そのような道具が存在しないということは、つまり四半期の「目標値」達成など親会社では気にかけていないことを意味します。当社の各経営陣はその手の数値目標を忌避するやりかたを、重要なメッセージとして受けとめてくれます。そして、わたしたちが大切にしている社内文化を強めることにつながっています。

チャーリーとわたしは幾年月にわたって、企業におけるあらゆる悪しき行為をみてきました。会計面だけでなく事業運営においても同じで、「ウォール街の期待に応えたい」との経営上の欲望に誘われたゆえの所業でした。たとえば四半期末の押し込み販売や、保険金等支払増加に対するお目こぼしや、秘密積立金の取り崩しといった例があげられますが、「金融街」を失望させまいとの「罪のない」偽りで始めたつもりが、「徹頭徹尾の偽装」に向けた第一歩を踏み出していたのかもしれません。CEOとしては「今回だけ一度きり」のつもりで数字を触ったのかもしれませんが、それで打ち止めになることは滅多にありません。さらには、「不正と言ってもわずかだから」と上司が容認するのですから、部下においても同じような行動がたやすく正当化されてしまうでしょう。

バークシャーのわたしどもが披露すべき相手は、アナリストでもなく、解説者でもありません。チャーリーとわたしが働いているのは、わがパートナーたる株主のみなさんのためです。わたしどもの手元にあげられてくる数字は、みなさんへそのままお送りします。(PDFファイル6ページ目)

Repurchases and Reporting

Earlier I mentioned that Berkshire will from time to time be repurchasing its own stock. Assuming that we buy at a discount to Berkshire’s intrinsic value – which certainly will be our intention – repurchases will benefit both those shareholders leaving the company and those who stay.

True, the upside from repurchases is very slight for those who are leaving. That’s because careful buying by us will minimize any impact on Berkshire’s stock price. Nevertheless, there is some benefit to sellers in having an extra buyer in the market.

For continuing shareholders, the advantage is obvious: If the market prices a departing partner’s interest at, say, 90¢ on the dollar, continuing shareholders reap an increase in per-share intrinsic value with every repurchase by the company. Obviously, repurchases should be price-sensitive: Blindly buying an overpriced stock is value-destructive, a fact lost on many promotional or ever-optimistic CEOs.

When a company says that it contemplates repurchases, it’s vital that all shareholder-partners be given the information they need to make an intelligent estimate of value. Providing that information is what Charlie and I try to do in this report. We do not want a partner to sell shares back to the company because he or she has been misled or inadequately informed.

Some sellers, however, may disagree with our calculation of value and others may have found investments that they consider more attractive than Berkshire shares. Some of that second group will be right: There are unquestionably many stocks that will deliver far greater gains than ours.

In addition, certain shareholders will simply decide it’s time for them or their families to become net consumers rather than continuing to build capital. Charlie and I have no current interest in joining that group. Perhaps we will become big spenders in our old age.

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For 54 years our managerial decisions at Berkshire have been made from the viewpoint of the shareholders who are staying, not those who are leaving. Consequently, Charlie and I have never focused on current-quarter results.

Berkshire, in fact, may be the only company in the Fortune 500 that does not prepare monthly earnings reports or balance sheets. I, of course, regularly view the monthly financial reports of most subsidiaries. But Charlie and I learn of Berkshire’s overall earnings and financial position only on a quarterly basis.

Furthermore, Berkshire has no company-wide budget (though many of our subsidiaries find one useful). Our lack of such an instrument means that the parent company has never had a quarterly “number” to hit. Shunning the use of this bogey sends an important message to our many managers, reinforcing the culture we prize.

Over the years, Charlie and I have seen all sorts of bad corporate behavior, both accounting and operational, induced by the desire of management to meet Wall Street expectations. What starts as an “innocent” fudge in order to not disappoint “the Street” – say, trade-loading at quarter-end, turning a blind eye to rising insurance losses, or drawing down a “cookie-jar” reserve – can become the first step toward full-fledged fraud. Playing with the numbers “just this
once” may well be the CEO’s intent; it’s seldom the end result. And if it’s okay for the boss to cheat a little, it’s easy for subordinates to rationalize similar behavior.

At Berkshire, our audience is neither analysts nor commentators: Charlie and I are working for our shareholder-partners. The numbers that flow up to us will be the ones we send on to you.

2019年2月26日火曜日

2018年度バフェットからの手紙(2)米国に吹きつづける追い風(後)

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2018年度「バフェットからの手紙」からの引用です。前回のつづき、「米国に投資する優位性」の話題です。(日本語は拙訳)

政府の財政赤字をとらえて、あいも変わらず破滅の事態を唱える人たちは(わたし自身もお決まりのように、たびたびそうしてきましたが)、「わが国の国家債務は、この77年間で400倍ほどに増加した」と言及するかもしれません。つまりは4万%というわけです。もしもその増加を予見して、底なしの赤字や通貨価値喪失の可能性にたじろいでいたら、どうなっていたでしょうか。みずからを「保護する」ために、114ドル75セントを使う先として株式は見合わせ、そのかわりに3.25オンス分のゴールドを選んでいたかもしれません。

予測にしたがってそのような守りに出たことで、どのような結果が得られたと思いますか。その場合に現在手にしていた資産は、4,200ドル相当になっていたはずです。米国企業に対して管理費不要の単純な投資をすることで得られた成果の、1%未満にとどまる数字です。かの魅力的な金属は、アメリカ人の意欲には及びませんでした。

また、この国が果たしてきた信じがたいほどの繁栄は、超党派的なとりくみによってもたらされました。1942年以降の大統領のうち、共和党から7名、民主党からも7名が選出されました。彼らが公職を果たす間に、この国は幾度となく困難に直面しました。容易に広まるインフレーションは長期にわたり、プライム・レート(最優遇貸出金利)は21%を記録し、賛否両論だった金食い虫の戦争が何度かあり、大統領が辞任し、住宅価格が広範に暴落し、金融面で麻痺的なパニックが生じ、その他もろもろの問題がありました。それらはいずれもぞっとする見出しを飾りましたが、どれも今では歴史となりました。

セント・ポール大聖堂の設計者だったクリストファー・レンは、ロンドンに位置するその教会に埋葬されました。彼の墓のそばには、次のような銘が刻まれています(原文はラテン語)。「我がための記念碑を求めん人は、御身のまわりをご覧ぜよ」。米国経済が演じてきた様子に否定的な人は、彼の言葉を噛みしめたほうがよいと思います。

話の起点だった1788年に戻ります。この地に、さほどのものはありませんでした。わずかばかりの熱意ある者たちと、夢を現実に変えることを目的とした、芽生えたばかりの統治体制があっただけでした。連銀の推計によると、今日における我が国の家計資産は108兆ドルに達するとのことです。およそ想像もできない金額に達しています。

留保利益がバークシャー繁栄のカギとなってきたことを、この文章のはじめ[未訳部分]でどのように描写していたか、覚えておられるでしょうか。それと同じことが米国についても言えました。国家会計の場合、「貯蓄」という言葉がそれに相当します。ですから、わたしたちは貯蓄をしなければなりません。もしもご先祖様たちが、貯えをせずに生みだしたものをすべて消費していたら、なにも投資されず、生産性も向上せず、生活水準が大きく改善されることもなかったのですから。

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「バークシャーが果たした成功の多くは、『米国に吹きつづける追い風』と呼ぶべきものによって生じたに過ぎない」ことを、チャーリーともども喜んで認めたいと思います。米国の企業や個人が、なしとげてきた成果を指して「独力で果たした」と豪語するのは、尊大の極みです。ノルマンディーの崖に整然と並ぶ白色の質素な十字形の石を想い起せば、そのように語る者たちが恥ずかしく思えることでしょう。

世界中には、わたしたちと同じように輝かしい未来をひかえた国がいくつもあります。わたしたちはそのことを大いに喜ぶべきです。あらゆる国々が発展すれば、アメリカ人はますます豊かになるとともに、いっそうの安全を享受できます。バークシャーとしては、多大なる資金を国外へ投資したいと願っています。

ただし次にくる77年間においても、当社のおもな収益源はほぼまちがいなく、「米国に吹きつづける追い風」によってもたらされると思います。わたしたちの背後にそのような力がひかえていたのは、実に幸運、空前絶後の幸運でした。(PDFファイル13ページ目)

(この節、おわり)

Those who regularly preach doom because of government budget deficits (as I regularly did myself for many years) might note that our country’s national debt has increased roughly 400-fold during the last of my 77-year periods. That’s 40,000%! Suppose you had foreseen this increase and panicked at the prospect of runaway deficits and a worthless currency. To “protect” yourself, you might have eschewed stocks and opted instead to buy 3 1⁄4 ounces of gold with your $114.75.

And what would that supposed protection have delivered? You would now have an asset worth about $4,200, less than 1% of what would have been realized from a simple unmanaged investment in American business. The magical metal was no match for the American mettle.

Our country’s almost unbelievable prosperity has been gained in a bipartisan manner. Since 1942, we have had seven Republican presidents and seven Democrats. In the years they served, the country contended at various times with a long period of viral inflation, a 21% prime rate, several controversial and costly wars, the resignation of a president, a pervasive collapse in home values, a paralyzing financial panic and a host of other problems. All engendered scary headlines; all are now history.

Christopher Wren, architect of St. Paul’s Cathedral, lies buried within that London church. Near his tomb are posted these words of description (translated from Latin): “If you would seek my monument, look around you.” Those skeptical of America’s economic playbook should heed his message.

In 1788 – to go back to our starting point – there really wasn’t much here except for a small band of ambitious people and an embryonic governing framework aimed at turning their dreams into reality. Today, the Federal Reserve estimates our household wealth at $108 trillion, an amount almost impossible to comprehend.

Remember, earlier in this letter, how I described retained earnings as having been the key to Berkshire’s prosperity? So it has been with America. In the nation’s accounting, the comparable item is labeled “savings.” And save we have. If our forefathers had instead consumed all they produced, there would have been no investment, no productivity gains and no leap in living standards.

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Charlie and I happily acknowledge that much of Berkshire’s success has simply been a product of what I think should be called The American Tailwind. It is beyond arrogance for American businesses or individuals to boast that they have “done it alone.” The tidy rows of simple white crosses at Normandy should shame those who make such claims.

There are also many other countries around the world that have bright futures. About that, we should rejoice: Americans will be both more prosperous and safer if all nations thrive. At Berkshire, we hope to invest significant sums across borders.

Over the next 77 years, however, the major source of our gains will almost certainly be provided by The American Tailwind. We are lucky – gloriously lucky – to have that force at our back.

個人的な見解ですが、今回のウォーレンは重層的なメッセージをのせて、文章を書いたように感じられました。翻訳する際には文中で登場する話題を都度調べるものですが、そのおかげで思い至った次第です。教養があり、それなりに注意を払いながら本文書を読む英米系の読者であれば、それらのメッセージに自然と気がつくことでしょう。いつの日か余韻に導かれて読み返したくなる、佳作と評したい一節でした。

2019年2月25日月曜日

2018年度バフェットからの手紙(1)米国に吹きつづける追い風(前)

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バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが、2/23(土)付けで2018年度の「バフェットからの手紙」を公開しています。拙訳付きで順次ご紹介するつもりですが、今年は一般向けの話題から取りあげます。例によって、米国に投資することの優位性を説いた話題です。

SHAREHOLDER LETTER 2018 [PDF] (Berkshire Hathaway)

米国に吹きつづける追い風

この3月11日をむかえると、わたしが米国企業にはじめて投資してから77年間が経ったことになります。あれは西暦1942年のことで、当時のわたしは11歳でした。6歳のときから貯め始めたお金114ドル75セントをつぎ込んで、シティーズ・サービス社の優先株を3株買いました。資本家になったことでうれしく感じたものです。

それではここで、わたしが株式をはじめて購入したその年から先立つこと、77年間の2周分をさかのぼってみます。西暦1788年、そこから話が始まります。ジョージ・ワシントンがこの国の初代大統領に就任する1年前になります。77年間という時代を三度くりかえすだけで、新たにうまれた国家がこれほどまでに発展するとは、当時のだれに想像できたでしょうか。

1942年に先立つ二度の77年間を経過する間に、4百万人の人口、すなわち全世界人口の1%のさらに半分ほどが暮らしていた米国は、世界で最も権勢を誇る国家へと成長しました。しかし1942年のあの春には、危機に直面していました。米国が3か月前に参戦した戦争のさなかで、ほかの連合国と同様に大打撃を被っていました。連日届くニュースは悪い知らせばかりでした。[過去記事]

しかし危急を告げる見出しがつづいても、3月11日時点でほぼすべてのアメリカ人が「この戦争には勝利する」と確信していました。その楽観的な見方は戦勝だけに限ったものではありませんでした。「現在の自分たちが手にしてきたよりもはるかにすぐれた生活を、子々孫々にわたって迎えられるだろう」と、根っからの悲観主義者は別として、アメリカ人は信じていたのです。

当然ですがこの国の人々は、行く手につづく道が平坦ではないことを覚悟していました。たしかに、そんなことは一度もありませんでした。米国史が始まってまもないころには、南北戦争という試練に直面しました。その内戦では全アメリカ人男子の4%が命を落とし、ひいてはリンカーン大統領が公の場で次のように問いかけることとなりました。「かほどの自由を創り出し、平等たらんと勤しむ人々の国家が、長きにわたって存続し得るだろうか」と。また大恐慌で苦しんだ1930年代は、失業者があふれかえった仮借なき時代でした。

それにもかかわらず、わたしが株式を購入した1942年の米国では、戦後における成長がすでに見込まれていました。そうなって然るべきだと信じられていました。この国がなしとげた発展をあらわすには、実のところ「傑出屈指」という言葉がぴったりなのかもしれません。

その証拠となる数字を当てはめてみましょう。もしも当時のわたしが114.75ドルの資金を、手数料不要のS&P500インデックス・ファンドに投資しており、受取配当金を全額再投資したとすれば、(本文書公開前の最新データが入手できる日付である)2019年1月31日現在のわたしの持ち分は、(税引き前で)60万6,811ドルへ成長したことになります。5,288倍に増えています。あるいはその当時に、年金基金や大学基金といった非課税の組織で100万ドルを投資していれば、約53億ドルに増加していたことになります。

もうひとつ計算を付け加えておきます。かならずや驚くと思いますよ。もし、そういった架空の組織がさまざまな「助力者」に対して、たとえば資産運用業者や投資顧問があげられますが、報酬として資産額のわずか1%相当を毎年支払ったとすれば、どうなったでしょうか。資産の増加幅は半減し、26億5千万ドルにとどまったことでしょう。S&P500が77年間にわたって年率11.8%の成長を実際につづけてきたなかで、その数字が10.8%へさがってしまうと、そのような結果を招いてしまうわけです。(PDFファイル12ページ目)

(つづく)

The American Tailwind

On March 11th, it will be 77 years since I first invested in an American business. The year was 1942, I was 11, and I went all in, investing $114.75 I had begun accumulating at age six. What I bought was three shares of Cities Service preferred stock. I had become a capitalist, and it felt good.

Let’s now travel back through the two 77-year periods that preceded my purchase. That leaves us starting in 1788, a year prior to George Washington’s installation as our first president. Could anyone then have imagined what their new country would accomplish in only three 77-year lifetimes?

During the two 77-year periods prior to 1942, the United States had grown from four million people – about 1⁄2 of 1% of the world’s population – into the most powerful country on earth. In that spring of 1942, though, it faced a crisis: The U.S. and its allies were suffering heavy losses in a war that we had entered only three months earlier. Bad news arrived daily.

Despite the alarming headlines, almost all Americans believed on that March 11th that the war would be won. Nor was their optimism limited to that victory. Leaving aside congenital pessimists, Americans believed that their children and generations beyond would live far better lives than they themselves had led.

The nation’s citizens understood, of course, that the road ahead would not be a smooth ride. It never had been. Early in its history our country was tested by a Civil War that killed 4% of all American males and led President Lincoln to openly ponder whether “a nation so conceived and so dedicated could long endure.” In the 1930s, America suffered through the Great Depression, a punishing period of massive unemployment.

Nevertheless, in 1942, when I made my purchase, the nation expected post-war growth, a belief that proved to be well-founded. In fact, the nation’s achievements can best be described as breathtaking.

Let’s put numbers to that claim: If my $114.75 had been invested in a no-fee S&P 500 index fund, and all dividends had been reinvested, my stake would have grown to be worth (pre-taxes) $606,811 on January 31, 2019 (the latest data available before the printing of this letter). That is a gain of 5,288 for 1. Meanwhile, a $1 million investment by a tax-free institution of that time – say, a pension fund or college endowment – would have grown to about $5.3 Billion.

Let me add one additional calculation that I believe will shock you: If that hypothetical institution had paid only 1% of assets annually to various “helpers,” such as investment managers and consultants, its gain would have been cut in half, to $2.65 billion. That’s what happens over 77 years when the 11.8% annual return actually achieved by the S&P 500 is recalculated at a 10.8% rate.

備考です。リンカーンが語った言葉の訳文は、以下のサイトを参考にしました。

ゲティスバーグ演説 (1863年)|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN (米国大使館の広報・文化交流部)

2019年2月24日日曜日

充実した人生を過ごすための方法(チャーリー・マンガー)

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デイリー・ジャーナル社の会長を務めるチャーリー・マンガーが2月14日の株主総会に出席した後に、CNBCのインタビューに応じていました。トランスクリプトが公開されているので、一部を拙訳にてご紹介します。応対者は、バークシャー担当としておなじみのベッキー・クイック女史です。

CNBC Transcript: Berkshire Hathaway Vice Chairman Charlie Munger Speaks with CNBC’s Becky Quick

<ベッキー・クイック> 本日ここに集まったみなさんには、ビジネスや投資のことよりも、人生についての助言を受けたいと考える人たちが大勢いました。今日の質問には、幸せな長い人生を過ごすための秘訣は何かを求めるものが数多くありました。チャーリーはどのようにお考えで..

<チャーリー・マンガー> たやすいことです。単純そのものですから。

<ベッキー> いったいそれは何ですか。

<チャーリー> あれこれと他人を妬まないこと、恨みがましく思わないこと。手にした収入を浪費しないこと、苦難に遭おうと明朗に努めること。関わりを持つのは信頼のおける人とし、為すべきことを為すこと。そういった単純な決まりを守ることが、実りある人生を確かにしてくれます。どれも言い古された教えですよ。[過去記事]

<ベッキー> そのように悟ったのは、何歳ぐらいの頃ですか。

<チャーリー> 7歳ぐらいのときですね。年長者にもイカれ気味の人がいるものだと思ったものです。あの人たちはイレれ気味だなと、つねづね思ったものですよ。しかしそれが良かったのでしょう。世界は不合理に満ちているわけですから。この件については長い間ずっと考え続けてきました。なぜそうなるのか、どうすれば避けられるのか、といったことをです。まさしく、それが良かったわけです。

「明朗たるべし」というのは、それが賢明だからですよ。そんなに難しいことでしょうかね。それでは、憎しみと怨念にふかく浸かりこんだ心境で、朗らかな様子をみせられますか。それは無理でしょう。だったら、なぜそんなところに入り込むのですかね。

BECKY QUICK: Charlie, so many of the people who come here come because they’re looking for advice not on business or investments as much as they’re looking for just advice on life. There were a lot of questions today, people trying to figure out what the secret to life is, to a long and happy life. And-- and I just wonder, if you were--

CHARLIE MUNGER: Now that is easy, because it’s so simple.

BECKY QUICK: What is it?

CHARLIE MUNGER: You don’t have a lot of envy, you don’t have a lot of resentment, you don’t overspend your income, you stay cheerful in spite of your troubles. You deal with reliable people and you do what you’re supposed to do. And all these simple rules work so well to make your life better. And they’re so trite.

BECKY QUICK: How old were you when you figured this out?

CHARLIE MUNGER: About seven. I could tell that some of my older people were a little bonkers. I’ve always been able to recognize that other people were a little bonkers. And it helped me because there’s so much irrationality in the world. And I’ve been thinking about it for a long time, its causes and its preventions, and so forth, that I-- sure it’s helped me.

CHARLIE MUNGER: And -- staying cheerful-- with-- because it’s a wise thing to do. Is that so hard? And can you be cheerful when you’re absolutely mired in deep hatred and resentment? Of course you can’t. So why would you take it on?

2019年2月20日水曜日

2018年の投資をふりかえって(10)買増し銘柄:しまむら(8227),銀ETF(SLV)および新規購入銘柄:アップル(AAPL)

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残りの3銘柄については、簡潔に触れる程度とします。なお、本シリーズの前回分記事はこちらです。

■しまむら(8227)
業績が不調な当社は、不況期に伸長することを期待してヘッジ的な意味で株式を保有しつづけるつもりでした。そのため、株価が下落するにつれて漫然と買い増ししたところがあります。客数減少がいずれ底を打って収益悪化もとまるだろうと、自分に言い聞かせてきた面もあります。しかし経営努力がなかなか実らない現状を辛抱するよりも、損切りをして他社に乗り換えたほうがいいとも感じるようになってきました。どちらの道を選ぶか、経営状況をみながら今年中には判断をくだしたいと考えています。

なお現在の株価は9,200円程度で、今期末のEPSは500円程度と想定されるため、単純にPERであらわすと18倍強になります。

しまむら株価チャート約1年分(赤矢印は購入、青矢印は売却)

■iShares シルバー・トラスト(SLV)
この銘柄も、なかばヘッジ的な意味で保有しています。ただししまむらとは違って単なるコモディティーなので、下落時にはそれなりの確信をもって買い増ししています。そして価格が上昇して損益がプラスにすれば、一部を適宜売却しています。残念ながら中核ポジションは継続保有のままなので、ずいぶんと長期間にわたってまともな利益をあげられないでいます。

SLV株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

■アップル(AAPL)
12月と今年の1月に、それぞれ1回ずつ購入しました。今後の株価下落を期待しており、現在の株価では買い増ししないつもりです。

AAPL株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

2019年2月18日月曜日

2018年の投資をふりかえって(9)買増し銘柄:日東電工(6988)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社は大阪に本社をおくメーカーです。おもな製品としては、最終製品に組み込まれる材料や作業中に使用される資材を生産しています。たとえば、スマートフォン向けのディスプレイ関連部材や自動車向けのフィルム及びテープがあげられます。近年は核酸医薬品の新薬開発を手がけたり、買収を通じて製造に携わったりしており、電子機器向けに偏重した収益構造の転換を模索しています。

当社の株式はずっと前にほぼ処分し、一口しか手元に残していませんでした。しかし材料関連の企業としては経営姿勢が敏捷だと感じていたため、監視は続けていました。

<現在の株価と売買実績>
現在の株価は5,800円前後で、1年前の半値ほどに下落しました。今期(2019年3月期)の予想EPSは460円で予想PERは13倍程度になりますが、当社も財務が良好なので、PERの数字よりも過小評価されているととらえています。例によって昨秋に株価が下落したため、久しぶりに追加購入しました。

日東電工株価チャート約1年分(赤矢印は購入)

<業績などに対する所感>
今期第3四半期までの業績は、売上高6,300億円、粗利益1,960億円、営業利益840億円、純利益600億円でした。営業利益率は13%、ROEの水準は10%程度です。これは利益額が前年同期比で25%ほど低下した上での数字です。業績悪化のおもな要因は、大黒柱の事業であるスマートフォン向け部材の販売低迷にあります。

当社はおそらく戦略的に、モバイル端末や映像機器そして自動車といった技術発展の著しい業界や分野を事業領域に選んでいると受けとめています。積極的に市場機会を求め、他社をしのぐ速さで競争力のある製品を実現し、見返りとして高い利益率を享受したいと考えているように見えます。これは裏返せば、景気変動や特殊要因の影響を大きく受けやすい収益基盤を招いていますが、当社にはそのリスクをある程度許容できる良好な財務体質があります。厳しい時期がやってきても、研究開発のペースを維持できるでしょうし、機に乗じて他社を買収できる余地もあります。急成長は望めないと思いますが、長期にわたって成長を見守っていきたいと感じさせる企業のひとつです。

2019年2月16日土曜日

2018年の投資をふりかえって(8)買増し銘柄:メック(4971)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)

当社は兵庫県を本拠地とする化学薬品会社です。おもな事業としては、たとえばスマートフォンやディスプレイに搭載されるような、電子基板を製造する工程で利用される薬剤を製造販売しています。具体的な製品例としては、基板樹脂と銅配線の密着性を向上させる加工機能を持った薬品(CZシリーズ)があります。

<現在の株価>
現在の株価は1,100円強で、前年度(2018年12月期)の実績EPSは90円強でした。実績PERは約12倍となります。

<株式の売買実績>
昨年の9月いっぱいまでは株価が比較的安定していたものの(2,000円前後)、その後の3か月間で大きく下落して半値になりました。継続して買い増し始めたのは10月中旬ごろからで(その前にも買っています)、年明けまで適宜買いつづけました。なお一昨年(2017年)の段階では、持ち株を一部売却しました。

メック株価チャート約1年分(赤矢印は購入)


<業績などに対する所感>
前年度の業績は、売上高が110億円、営業利益が22億円、純利益が17億円でした。収益性としては、粗利益率が60%強、営業利益率が約20%、ROAが9%強と、高水準です。

市場環境としては、電子機器や部品の軽薄短小化・高性能化が一定の方向に進む間は、当社が扱うような製品がますます要求されるでしょうから、ひきつづき追い風がつづくと予想します。

小さくないリスクとしては、知的資産の流出による売上機会喪失が想定されます。ただし当社製品の付加価値は、研究開発や製造そして顧客に対する導入支援や品質評価の協調によって生じると思われるため、経営陣が職務面での人事制度に留意すれば、リスク軽減は可能だと考えます。

当社製品の関わる最終製品は耐久消費財や資本財であるため、景気変動の影響は当然ながら受けることでしょう。しかし当社に対する投資方針は、さらなる成長を期待して継続保有のままで、株価下落時にはさらに買い増しするつもりです。

2019年2月12日火曜日

政治と経済が衝突するところ(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークス会長が、新しい顧客向けメモを公開していました(1月30日付)。今回のテーマは、経済界に対する政治の介入についてです。最初の話題はトランプ大統領による関税引き上げについてで、つづく本題が、民主党左派や左派寄りのエリザベス・ウォーレン議員が掲げる、富裕層に対する課税強化や企業統治の社会主義化といった話題になります。今回引用するのは、政治家からのそういった介入に対する、経済人としてのハワード・マークスの反論です。(日本語は拙訳)

Political Reality Meets Economic Reality [PDF] (Oaktree Capital Management)

多数派が富裕層に対して没収的重税を課すことの長期的な波及効果を、[民主党]左派の方々は理解しているのでしょうか。本当にそうすべきだと考えているのでしょうか。さらなる蓄財をめざす意欲に水を差すことが(あるいは成功をおさめた米国人が外国籍への変更に魅力を感じるようになることが)、大多数の人たちにとっての生活向上につながるのでしょうか。概して言えば、米国人は累進課税制度を容認しています。しかしその制度が懲罰的であったり、意欲を損なうものであってはなりません。たとえば2015年には、納税額でみた上位5%の人が(所得額全体の37%分を得て)全所得税の60%分を支払いました。上位1%に至っては(所得額全体の21%分を得て)39%分の支払いでした。左派の政治家諸氏にうかがいますが、それらの税率が「公正」なものだと言えるのでしょうか。そして税率をさらに上げることで、まだなお公正だと言えるのでしょうか。

(ここで個人的な見解をはっきりさせておきますが、最高額の所得を得ている人たちに対する税率を上げる余地は、明らかにまだ残されていると考えています。第一に、現在の最高税率37%は、106年間になる米国所得税史上を通じて最低の水準にあります。第二に、配当及び譲渡所得に関しては、かなり低い税率にとどまっています。「あらゆる種類の所得は、同じように課税されるべきだ」とする議論は、なされて然るべきかもしれません)

[社会という]システムを改善するにはいくつもの方法があります。しかし「資本主義は悪しきものである」と吹聴する際に、その利点を認識していないのは問題だと思います。資本主義体制を批判する政治家が、(自分のiPhoneから)ツイッターやフェイスブックといった媒体を使っている姿は皮肉なものです。政治集会に駆け付ける際には航空機や乗用車を使い(おそらくウーバーのような相乗りサービスを活用していることでしょう)、スターバックス・コーヒーの店先で会合を開き、そういった模様はケーブルテレビ会社のニュース網を通じて報道されています。それらはどれもイノベーションです。「事業が成功すれば、企業保有者としての報酬を収穫できる」という前提にもとづいた上で、「大きなリスクをとって起業しようとする人を奨励するシステム」から生まれたものなのです。

もし彼らがそのことを考えていたら、人々がそれなしでは生活できないと思うもの、たとえば医薬品から始まり、日用品、サービス、テクノロジーといったイノベーションの羅列は、まちがいなくずっと長くなるでしょう。もし利益目的や富の蓄積につながる可能性がないとしたら、今日の私たちはそれらのうちのどれだけを手にできていたでしょうか。また、そういった利益獲得が期待できないとしたら、これから将来のイノベーションは一体だれがもたらしてくれるのでしょうか。この件について非資本主義国家は、どのような実績を残してきたでしょうか。ソ連やキューバ、ベネズエラといった国家がです。

米国で生じた経済的発展の大半が、生産増加や生活向上を果たそうと考える人々によって成し遂げられてきました。それらを除外してしまえば、一体なにが残るでしょうか。下層に位置する人たちが手にできるものは、彼らが憤慨を向ける多くの上層の人たちよりも少なくなるでしょう。しかし上をめざす人たちの尽力がなければ、だれであろうと享受できるものは減ってしまいます(参考になると思う文章を付録に載せました[未訳])。そのようなわけで、資本主義に対する否定的な感情が高まり、そのもとで成功をおさめる人たちに対する反感が強まることを、私は憂慮しています。(p. 11)

Does the left understand the long-term consequences of the majority imposing confiscatory taxes on the rich, and do they really want them? Will reducing the incentive to earn more (or incentivizing successful Americans to transfer their citizenship to other nations) really result in the betterment of most people? Americans generally accept the concept of progressive tax rates. But they must not be punitive and de-motivating. Note in this regard that in 2015, the top 5% of taxpayers (with 37% of all income) paid 60% of all income taxes, and the top 1% (with 21% of income) paid 39%. To the political left: are those proportions of taxes paid “fair”? And would it still be fair if they were much higher?

(I want to make clear that I believe room does exist for increases in tax rates on the biggest earners since (a) today’s top rate of 37% is one of the lowest in the 106-year history of the U.S. income tax and (b) dividends and capital gains are taxed at rates that are far lower still. It could be argued that all forms of income should be taxed the same.)

While there are ways in which the system can be improved, I consider it problematic when people denounce capitalism without acknowledging its benefits. It’s ironic to think of politicians criticizing the capitalist system via platforms like Twitter and Facebook (accessed on their iPhones); at rallies reached via airlines and cars (perhaps employing ride-sharing services such as Uber); in meetings over a Starbucks coffee; and via cable news networks. All of these are innovations that came out of a system that encourages people to take significant risks to start companies on the premise that they’ll reap the rewards of ownership if their businesses succeed.

I'm sure if they thought about it, the list of innovations these people wouldn’t want to live without – ranging from drugs to consumer products, to services, to technology – would be a long one. Which of those would we have today if not for the profit motive and the possibility of ending up with accumulated wealth? And in the absence of those expectations, to whom would we look for the innovations of the future? How’s the record of non-capitalist countries such as the U.S.S.R., Cuba and Venezuela in this regard?

A great deal of America’s economic progress has resulted from people’s aspiration to make more and live better. Take that away and what do we have? The people at the bottom won’t have as many at the top to resent. But without the contributions of those who aim for the top, everyone will have less to enjoy (see the appendix for an informative parable). This is why I worry about the rise of negative sentiment toward capitalism and antipathy toward those who succeed under it.

2019年2月8日金曜日

2018年の投資をふりかえって(7)現状維持銘柄:クラレ(3405),日精ASB機械(6284),マニー(7730),任天堂(7974),バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)

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(本シリーズの前回分記事はこちら)

■クラレ(3405)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

当社に対する市場からの評価は、もうひとつの状態が続いています。低評価は化学セクター全般でも見られますが、当社のPERは12倍前後、PBRは約1倍にとどまっています。しかし、表面的にはのれん代の償却が足を引いているので、実力は1割高く見積もっていいでしょう。FY2017までの5年間におけるEPS成長率は年率10%強で、十分な水準に達しています。中長期的な成長余地も残されており、たとえば拡大が期待できる領域としては、ビニルアセテートの米州展開やジェネスタそして買収した活性炭部門があげられます。一方で大黒柱の光学用ポバールフィルムでは、現状維持が目標かと思われます。

当社への投資を一言でいうと、「地味すぎてつまらない」といったところでしょうか(ただしプレゼントのカレンダーは秀逸です)。今後の投資方針としては、ある程度の持ち株削減は検討するものの、継続保有していくつもりです。

■日精エー・エス・ビー機械(6284)
(直近の過去記事はこちら)

当社はプラスチック容器を成型する機械を製造販売する会社です。創業家の青木家が経営する当社では、父(大一氏)から子(高太氏)へと社長が交代した時期がありましたが、3年ほど前に父社長体制へと回帰し、現在は会長兼CEOを務められています。交代の理由は知りませんが、業績は現在も拡大傾向にあり、この5年間での利益成長率は約10%と、及第点の業績だと思います。現行の経営体制が継続してほしいと願いますが、現CEOの年齢は70代半ばになるため、CEO交代の時期は遠くなさそうです。

市場環境としては、プラスチック容器が環境問題の大きな要因として取り上げられており、当社にとっては逆風です。しかし容器軽量化には化石燃料削減の利点もあり、プラスチックの利用が大きく減退する時期はまだ先のことと予想します。また当社自身も環境問題を緩和するための取り組みを検討実施しているとのことです(決算説明会資料より)。

当社に対する投資方針は、そもそもの買値が低かったこともあり、継続保有のままです。ただし昨年の株価が高かった時期には、つなぎ売りをしました。

■マニー(7730)
(直近の過去記事はこちら)

当社にはほとんど投資しておらず(過去記事で触れました)、その動向はほぼ監視していません。しかし利益率が高く、市場拡大がまだ期待でき、経営陣がゆるぎない方針にもとづいて指揮をとっている以上、市場評価が高いからと言って当社の株を売り急ぐ必要はないと考えるようになりました。

■任天堂(7974)
(直近の過去記事はこちら)

現在の当社は岩田元社長が蒔いたタネを大きく育てている段階にあり、その背後で利益水準の安定化をめざしていると受けとめています。以下のような施策が並行して講じられているからです。

1. サブスクリプション型オンライン・サービスの導入
2. ソフトウェアのダウンロード販売
3. スマートフォン・ゲームのタイトル拡大
4. ソフトウェア開発体制の効率化(携帯機と据置機の融合)
5. Switchの拡販深耕(世帯当たり複数台の保有)
6. テーマパーク及び映画の展開
7. Microsoft陣営との雪解け

これらを推進するためにやるべき仕事は十分にあり、現段階で盛大な戦略を掲げる必要はないと考えます。そしてある程度の完成形である現行機Switchが一定の成功をおさめた以上、次世代機では大きな冒険をしないだろうと想像します。そうであれば、長期的(-10年)に利益が安定する可能性が、ある程度高まる(50%程度)と予測します。

当社への投資方針は継続保有のままです。現在の株価3万円前後は、個人的には容認できる水準です。

■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
(直近の過去記事はこちら)

昨年の12月になって市場全体と同じように、当社の株価も下落しました。そこで久しぶりに当社の株を買おうかと、クリスマス・イブに指値の買い注文を出して床に就きました。翌朝になって箱を開けてみると、プレゼントは届いていませんでした。

2019年2月4日月曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(4)トリュフ犬のような者ばかり

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、前書き部にあたる本文が続きます。個人的にはいくぶん耳が痛い内容でした。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

いくぶん後になってから、単なる好奇心で次の問いを思い巡らせるようになりました。「いったいどうして破滅的なカルト集団が、ある土日をまるまる費やせば、相当まともな普通の人たちの多くを洗脳してゾンビに変えてしまい、その後もずっと正気に戻ることなくそのままにしておけるのだろうか」と。結局のところ、さまざまな分野の書物を読んで思索を重ねれば、カルトに関するこの疑問に対して適切な答えがいずれみつかるだろうと、納得するに至りました。

それから、社会性昆虫についても興味を持つようになりました。女王バチや女王アリ(クロナガアリ)といった子孫を残す個体が、空中を舞いながらの乱交をひとたび果たすことで、その寿命を通常とは大きく異なる長さ、きっかり20倍に延ばせる事実には感嘆しました。またアリたちが成し遂げてきた途方もない繁栄にも魅了されました。行動する上でのアルゴリズムをかぞえるほどしか持たない彼らが、みずからの属する生物コロニー内では徹底した協力関係を築き、一方でコロニー外のアリに対しては、たとえそれが同種のアリであろうとも、ほぼ必ずや凄惨きわまる殺戮を徹底的に遂行するなかで、あれほどの進化的成功をおさめてきたわけですから。

かつてのように意欲を持って、壮年に至るまでには心理学の教科書を繰るべきだったのかもしれませんが、そうはしませんでした。ドイツの格言が見通している行く末に、私も当てはまっていたわけです。「少年老い易く、学成り難し」と。しかし後にわかったように、当時ほとんどの教科書に載っていた学術的心理学から長期間にわたって遠ざかっていたのは、幸運だったのかもしれません。当時の内容ではカルトの疑問をうまく明かせなかったでしょうし、しばしば見られる書きっぷりと言えば、まるで少年が蝶を収集するかのように心理学的実験を扱ったものばかりでした。さらなる蝶を求め、収集家仲間とのやり取りをますます求める一方で、収集して手元にあるものを総合しようと望む様子はほとんどみられなかったのです。そしてようやく心理学の教科書を手にとったときに、偉大なる経済学者ジェイコブ・ヴァイナーの示した見解が想い起こされました。「学者のなかには、トリュフ犬のような者が大勢いる」と。ほかはすべて不器用ながらも、ある狭い目的にだけ適するように訓練飼育された動物のことです。さらに愕然としたのが、人間のありようを決める上で「生まれか、育ちか」の寄与する割合が相対的にどれだけなのかに関して、とほうもなく非科学的な考察を何百ページも費やしていた件でした。そのようなわけで心理学の入門書では、根本的な問題を多かれ少なかれ適切に扱っていないと判断したのです。「心理上の傾向というものが数多く存在し、人間の生活においてこれまでにも織りなされてきたように、それらはこれからも営々と分かちがたく関わりあっていく」ことをです。しかしながら入門書の著者諸氏の多くは、関連しあう諸傾向がうみだす効果をときほぐそうとはしませんでした。おそらく著者らは複雑なものごとを扱う上で、自分たちの専門分野に新たな貢献者が加わってほしくなかったのでしょう。さらにはサミュエル・ジョンソンがある女性に対して答えた言葉も、著者らが欠かした理由だと言えるかもしれません。自分が編纂した辞書のなかで「pastern」という単語の定義が誤っている理由を問いただされた際に、サミュエル・ジョンソンは次のように答えたのです。「ただ単に知らなかったのですよ」と。最後にもうひとつ、「心理的に生じる典型的なおろかさに対して、代表的な対処策を書き記すこと」に、著者らはまるで関心を持ちませんでした。それゆえに、まさしく私が興味を持っている話題については、彼らはほとんど触れることがなかったのです。(p. 445)

Pure curiosity, somewhat later, made me wonder how and why destructive cults were often able, over a single long weekend, to turn many tolerably normal people into brainwashed zombies and thereafter keep them in that state indefinitely. I resolved that I would eventually find a good answer to this cult question if I could do so by general reading and much musing.

I also got curious about social insects. It fascinated me that both the fertile female honeybee and the fertile female harvester ant could multiply their quite different normal life expectancies by exactly twenty by engaging in one gangbang in the sky. The extreme success of the ants also fascinated me - how a few behavioral algorithms caused such extreme evolutionary success grounded in extremes of cooperation within the breeding colony and, almost always, extremes of lethal hostility toward ants outside the breeding colony, even ants of the same species.

Motivated as I was, by midlife I should probably have turned to psychology textbooks, but I didn't, displaying my share of the outcome predicted by the German folk saying: “We are too soon old and too late smart." However, as I later found out, I may have been lucky to avoid for so long the academic psychology that was then laid out in most textbooks. These would not then have guided me well with respect to cults and were often written as if the authors were collecting psychology experiments as a boy collects butterflies—with a passion for more butterflies and more contact with fellow collectors and little craving for synthesis in what is already possessed. When I finally got to the psychology texts, I was reminded of the observation of Jacob Viner, the great economist, that many an academic is like the truffle hound, an animal so trained and bred for one narrow purpose that it is no good at anything else. I was also appalled by hundreds of pages of extremely nonscientific musing about comparative weights of nature and nurture in human outcomes. And I found that introductory psychology texts, by and large, didn't deal appropriately with a fundamental issue: Psychological tendencies tend to be both numerous and inseparably intertwined, now and forever, as they interplay in life. Yet the complex parsing out of effects from intertwined tendencies was usually avoided by the writers of the elementary texts. Possibly the authors did not wish, through complexity, to repel entry of new devotees to their discipline. And, possibly, the cause of their inadequacy was the one given by Samuel Johnson in response to a woman who inquired as to what accounted for his dictionary's misdefinition of the word "pastern.” “Pure ignorance,” Johnson replied. And, finally, the text writers showed little interest in describing standard antidotes to standard psychology-driven folly, and they thus avoided most discussion of exactly what most interested me.

2019年2月2日土曜日

2018年の投資をふりかえって(6)一部売却銘柄:ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)

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当社が営んでいる事業は、「鉱山会社に対して資金を提供し、その対価として将来産出される銀やゴールド等の鉱産品を、低水準の固定価格で買い取る契約を結ぶ」ものです。端的に言えば、「価格変動を伴う将来キャッシュ・フローに対して、前払いするビジネス」です。

<株式の売買実績と現在の株価>
株価が比較的好調だった時期(年始、春、年央)に一部を売却しました。現在の株価は20$前後です。

WPM株価チャート約1年分(青矢印は売却)

一方でシルバーの価格が年を通じて低迷していたため、ETFのSLVを適宜買い増ししました。個人的に興味を持っている主な対象は、現在でも銀です。そのため以前の投稿でも書いたように、当社とSLVを比較して割安だと思えるほうへ資金を移せるように、適宜売買していく方針です。

<業績などに対する所感>
当社についても2点ほど、大きな話題と小さな話題をとりあげます。

・税務当局との和解
国外子会社との移転価格に関して係争中だったカナダ税務当局と12月に和解し、当初危惧されていた大規模なペナルティーを受けずに済むことになりました。同様の他社事案の動向を受けて少し前から楽観視する流れもありましたが、見事に軟着陸しました。カナダ以外(おもにケイマン子会社)からの収入には課税されないことになり、前納分の追徴課税も還付されます。「ペナルティーを被る確率が高い」と覚悟して個人的には持ち株を減らしていたものの、杞憂におわりました。

ただし移転価格税制が将来厳格に改定される可能性はゼロではないため、当社のような企業に投資する際には、そのリスクはひきつづき念頭におく必要があるかと思います。

・金銀以外を産出する鉱床への投資
当社が設立されたころに事業対象としていたのは、銀を産出する鉱山へのストリーミング案件でした。その後になって事業領域をゴールドにも拡大し、さらにはパラジウムやコバルトへのストリーミングも始めました。コバルトはリチウムイオン電池の正極材材料として使われており、電気自動車時代における重要な鉱物資源のひとつとみなされています。「シルバー・ウィートン」という社名だった当社は、希少鉱物を産する鉱床を対象とした投資会社へと変貌しつつあります。

2019年1月30日水曜日

2018年の投資をふりかえって(5)一部売却銘柄:マイクロソフト(MSFT)

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<株式の売買実績と現在の株価>
年の終盤になって一部を売却したものの、持ち株全体からすると若干絞りこんだ程度でした。当社に対する基本的な投資方針は、継続保有のままです。

直近の株価は105$前後で、実績EPSは2.13$だったものの、当社でもトランプ減税を機に国外利益を本国へ還流させたマイナスの影響があったため、実力は3.5$程度だったでしょうか。いずれにせよ、「株価倍率が割安である」とは言いにくい水準です。

MSFT株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
当社の成長を支える2つの面について記します。1件目は表面的には目立たないものの増収著しい「クラウド事業」について、2件目は華々しい印象を残しながらも収益貢献はそれほどでもない「企業買収」についてです。

・クラウド事業の伸長
サティア・ナデラ氏が現CEOに昇進してから事業展開を加速させたクラウド事業は、ひきつづき急激に成長しています。当社の主力事業のひとつになると思われるAzure(アジュール)の2018年度成長率は、90%前後でした。大きく先行しているアマゾンAWSの市場シェアとは20ポイント程度離れていますが、これから加わる顧客層の性質を考えれば、肉薄できる確率は50%以上あると想像します。そこまで及ばないとしても、寡占をめざすプレーヤーにとって現在のクラウド市場(IaaS, PaaS)は、緊張感がありながらも心地よいビジネスの場であると思われます。イノベーションの継続と市場の拡大が好循環を生み出し、規模の経済へつながっていると想像できるからです。

・企業買収を通じた潜在顧客の囲い込み
当社はさまざまなIT系企業を買収して技術的資産を獲得していますが、近年の買収において金額的に大型だった企業LinkedInやGitHubはそれにとどまるものではありませんでした。サービスの利用者、すなわちコミュニティーの場を買い取る類の案件で、言わば「R&Dよりもマーケティングに重心をおいた」買収でした。会計面における目先の費用対効果は小さいですが、潜在顧客をまとめて手に入れた価値は小さくないと考えます。コミュニティーの熱量を維持していければ、長期的・継続的・伝播的なリターンが期待できます。Office, Dynamics, Azureといったサービスの拡販につながると共に、潜在的な要望をすくいあげて新サービス開発につなげる場としても有用です。当たりはずれがはっきりしやすいソフトウェア資産よりも、毀損されにくい価値を有しているかもしれません。利益の刈取りを急ぎすぎないことを願っています。

2019年1月28日月曜日

2018年の投資をふりかえって(4)一部売却銘柄:モザイク(MOS)

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当社は3大肥料のうち、主としてリン酸及びカリウムを採掘・生産・販売する米国企業です。

<株式の売買実績と現在の株価>
2018年秋になって株価が高まったので、ある程度の株数を売却しました。現在の株価は30$強で、一方の昨年度実績EPSは-0.31$ですが、今期は為替差損の逆風が大きいなかで、第3四半期までに0.93$の利益を上げています。

MOS株価チャート約1年分(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>

米中貿易戦争の影響もあるせいか肥料価格が前年比で上昇しており、当社の売上高増加・利益改善につながっています。また社内における事業の状況としては、年の早い時期にもたついたものの、それ以降は順調に推移してきました。サウジアラビアでのJVはまだ立ち上げ中ですが、買収が完了したヴァーレの肥料部門が収益拡大に大きく寄与しました。またカリウムの新鉱山K3が一部稼働を始めており、中長期的な費用削減の施策が進行中です。さらには、環境対策のうるさいフロリダ州でリン鉱床拡張プロジェクトの許可を得たことで、長期的な資源枯渇リスクを低減しています。

DAP価格の5年間推移(引用元: www.indexmundi.com)


しかし以前にも書いたように、当社への投資方針としては残りの持ち株も株価上昇期に売却し、ひとまず資金を引きあげる予定です。コモディティーである以上、肥料ビジネスの業績は市場価格に左右されます。そして今日まで観察してきた価格変動サイクルを振り返ると、市場価格の動向(特に安値とその期間)を合理的に予想する自信が、以前のようには持てなくなりました。ひいては、当社の企業価値をみつもる自信も減少しました。農業関連の企業に投資することを望んではいましたが、当社のような企業の株式は永続的に保有するよりも「安買高売」したほうが、少なくとも個人的には取り組みやすいと考えるようになりました。

2019年1月24日木曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(3)首から上にあるものは

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、前書き部にあたる本文が続きます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

我が探求の道を進むにあたり、次に説明する2つの考えかたが、力強い支えとなってくれました。第一に、なにかを見極めようとする際に、徹底して逆から考えるやりかたを長期間にわたってとってきたことです。偉大なる代数学者ヤコビの教え「逆だ、いつでも逆からやれ」という言葉に導かれたのです。良き判断を下したいがためにしたことと言えば、悪しき判断の実例を収集し、そのような結末をむかえない方法を思案するばかりでした。第二に、悪判断の実例を熱心に収集する際に、専門領域を区切る境界などまるで気にしなかったことです。規模が大きくて重大な柵越え級のおろかさが、他人の専門領域において容易に見出せるというのに、ちっぽけで取るに足らない上に探すのも一苦労なおろかさを、みずからの専門領域において新たに探さねばならないのは、一体どういうわけでしょうか。そもそものところ、実世界における問題が各分野の境界内にきちんと収まっておらず、飛び出して向こう側へ移っていることが、私には見て取れました。「2つの物事がねじれ合って連携して分かちがたくなっているときに、片方だけを考えて反対側を考えない」、なんであろうとそのようなやりかたには疑いを抱いていました。そんな限定されたやりかたでは、ジョン・L・ルイスが示した不朽の言葉どおりになると危惧したからです。「首から上にあるものは、頭ではなく毛髪だけ」。(p. 444)

I was greatly helped in my quest by two turns of mind. First, I had long looked for insight by inversion in the intense manner counseled by the great algebraist, Jacobi: “Invert, always invert.” I sought good judgment mostly by collecting instances of bad judgment, then pondering ways to avoid such outcomes. Second, I became so avid a collector of instances of bad judgment that I paid no attention to boundaries between professional territories. After all, why should I search for some tiny, unimportant, hard-to-find new stupidity in my own field when some large, important, easy-to-find stupidity was just over the fence in the other fellow's professional territory? Besides, I could already see that real-world problems didn't neatly lie within territorial boundaries. They jumped right across. And I was dubious of any approach that, when two things were inextricably intertwined and interconnected, would try and think about one thing but not the other. I was afraid, if I tried any such restricted approach, that I would end up, in the immortal words of John L. Lewis, "with no brain at all, just a neck that had haired over.”

2019年1月20日日曜日

2018年の投資をふりかえって(3)一部売却銘柄:日進工具(6157)、インテル(INTC)

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(本シリーズの前回分記事はこちらです)

■日進工具(6157)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は2,400円強で、前年度の実績EPSは150円強でした。そのため、実績PERは16前後となります。

<株式の売買結果>
2月上旬にかけて株価が上昇している間は、持ち株を段階的に売却しました。その後、株価が下落を始めてからは売却をやめて、残りの持ち株を維持しました。

(青矢印は売却)

<業績などに対する所感>
景気拡大に合わせて、当社の業績も続伸しています。電子機器やそれに使われる部品の小型化・高性能化が漸次進んでおり、微細化を追求する当社の事業にとっては、ひきつづき追い風の環境にあると思われます。景気後退局面がくれば、金型や部品の加工に使われる当社製品への需要も減退するでしょうが、その後の回復期になれば市場規模はさらに拡大すると想像します。現在の状況及び株価水準であれば、継続保有したいと考えています。


■インテル(INTC)
(当社をとりあげた直近の過去記事はこちら)

<株価の状況>
現在の株価は49$強で、前年度の実績EPSは2$弱でした。実績PERは24.5前後となります。ただし今期は第3四半期までにEPS3.35$の利益をあげています。

<株式の売買結果>
10月中に何度かに分けて売却しました。振り返ってみると、直近では株価がもっとも低迷していた時期でした。売却した理由は主として個人的な理由によるものですが、当社における技術面での行き詰まりに意気消沈していた部分も、若干ありました。(この技術的問題はその後に好転。後述)

(青矢印は売却)

当社へ投資したそもそもの目的は、マイクロソフトへの投資をヘッジする意味にありました。しかし現在までのところは、逆の位置づけになってしまいました。業績と比較した市場からの評価はマイクロソフトのほうが高く、当社は相対的に低迷しています。ただし企業価値の観点からみれば、現在の市場評価がそれほど正当だとは受けとめていません。

<業績などに対する所感>
当社の現状において注視している点2つを記します。

・10nmノード製品の開発遅延による余波
当社が先だって発表した声明によれば、技術的な問題をともかく解消して、10nmプロセスで製造する実質的に最初の量産製品を、年末にむけて出荷できる見通しが立ったようです。しかし数年にわたる開発遅延によって、微細化実現時期の面で当社が保ってきた優位性は、少なくとも現在においてはほとんどなくなったように思われます。つまり製品の優位性、ひいては価格競争力が低下するリスクが大きくなったと判断します。さらに、当社からの製品供給を重大なリスクと考える顧客が策を講じる傾向が強くなっていくとも想像します。当社の最重要な競争力が損なわれたわけですから、株式市場からの評価が低迷し続けるのも、ある程度は納得できます。

一方で、失敗に終わった今回の技術的挑戦において直面したさまざまな問題から得られた知見も少なくないと想像します。そして「転んでもただでは起きぬ」、その失敗を成功につなげる猶予が残されていると考えます。当社の製品を要望する顧客とのつながりや、実際に製品を製造する有形資産は、依然として健在です。短中期的にはむずかしいでしょうが、中長期的(3-7年程度)には今回の技術的なマイナスをある程度取り返せる可能性があると評価します。現在の株価水準にはその可能性が織り込まれていないように感じられます。

・事業領域の広範囲化
メモリー事業から開始した当社の事業は、その後にPC用CPU等の事業にうつって大成功し、現在はデータ・センター向け製品でも大きな利益をあげています。近年はネットワーク機器や4G/5Gモデムや自動運転車載用デバイス/システム、そして祖業だったメモリー事業にも再び取り組んでいます。これらの取り組みを全体としてとらえれば、自動運転を契機として自動車社会のコンピュータ化およびネットワーク化が急速に進むことを見越した、横断的な収益機会を追求し始めたと見受けられます。

当社IR資料より。2018/11/12開催の
UBS Global Technology Conference

そのような大きな市場において、他社との戦いから逃げずにあらゆる領域を事業の対象とする姿勢は、大切だと思います。自社が手がけない領域があると、そこを制圧した競合他社が事業領域を拡大浸食してくるリスクが大きくなるからです。端末(=自動車)からデータセンターに至るまでのあらゆる処理(センサー、通信、演算、データ保存)を実行する製品を事業対象とする企業戦略は、当社のような規模を持った企業だからこそ可能だと言えます。その一方で、他社からの切り崩しを抑制するために不可欠な戦略だとも思われます。つまり、当社が現状維持あるいは成長を望むのであれば、必然的に進まざるを得ない経営の方向だと受けとめています。

事業領域拡大に伴う大きなリスクとして、社内における官僚主義的体質の悪化が予想されます。当社では新CEOを選定中で、今年中には決定すると思われます。その人物に求められるのは、従来よりも多岐にわたる競争の激しい事業群を束ねることのできる手腕です。新CEOによる実績があらわれてくる時期、少なくとも2,3年後までは安易にはあきらめずに動向を追っていきたいと考えています。

2019年1月16日水曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(2)小さな赤いめんどりの教え

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、前回につづいて本文前書き部の文章です。(日本語は拙訳)

さて、私が法律の実務に携わるようになったころには、遺伝的進化が持つ威力に対して畏敬の念を抱いていました。また、乏しい認知的能力しか持たない動物や昆虫と人間の間には、進化的な面で共通点が多々あることを認識していました。人間とは「社会的動物」であり、周囲で目撃した人物の行動から強い影響を自動的に受けるとわかっていましたし、家畜や猿と同じように、人間がそれほど大きくない規模の支配階層のなかで生きていることも承知していました。人はそのなかにおいて権威を重んじ、また自分と同じ階層に属する者たちを好み、協力する傾向があります。その一方で別の階層に属する競争相手に対しては、強い疑念を抱き、はなはだしい敵意を示すものです。

しかし、私が直面していた認知上の事柄を適切にさばいていくには、そのような進化に基づいた汎用的な理論では不適切でした。時をおかずして私の周囲では、実に極端な不合理さが大小問わずある種のお決まりのなかに見て取れるようになったのです。周囲でたびたび見受けられるようになったので、自分が見聞きしたり実際に経験したことを盛り込むことのできるもっと優れた理論構造を獲得しないと、日々こうありたいと望むようには対処できないと考えました。私が理論を追求しつづけてきた年月は、そのときまでに長い期間に達していました。それは難題を解き明かす際に役立ちましたし、猿並みに旺盛な好奇心を満足させる手段という意味で、その理論に心惹かれ続けてきました。また望みの成果をあげようとする際にその理論構造が強力に役立つと、若かりし学生の頃に気がつきました。理論に導かれたことで、私は労苦をかけずに卓越した結果をだせたのです。それに対して他の人たちは理論を習得していなかったため、大変な努力を重ねたにもかかわらず、卓越には至りませんでした。私にとって、良き理論がいつもうまく機能してくれました。それを利用できれば、資金や経済的独立を早い時期に獲得できるでしょうし、やりたいことがなんであれ、それらを遂行する上でおおいに役立つことでしょう。ベン・フランクリンの自助的なやりかたや、童話で繰り返される次のセリフに込められた決意を参考にしながら、私は自前の心理学体系をこつこつと築いてきたのです。「『それなら自分でやりますよ』と小さな赤いめんどりは言いました」(p. 444)

When I started law practice, I had respect for the power of genetic evolution and appreciation of man's many evolution-based resemblances to less cognitively-gifted animals and insects. I was aware that man was a “social animal,” greatly and automatically influenced by behavior he observed in men around him. I also knew that man lived, like barnyard animals and monkeys, in limited size dominance hierarchies, wherein he tended to respect authority and to like and cooperate with his own hierarchy members while displaying considerable distrust and dislike for competing men not in his own hierarchy.

But this generalized, evolution-based theory structure was inadequate to enable me to cope properly with the cognition I encountered. I was soon surrounded by much extreme irrationality, displayed in patterns and subpatterns. So surrounded, I could see that I was not going to cope as well as I wished with life unless I could acquire a better theory-structure on which to hang my observations and experiences. By then, my craving for more theory had a long history. Partly, I had always loved theory as an aid in puzzle solving and as a means of satisfying my monkey-like curiosity. And, partly, I had found that theory-structure was a superpower in helping one get what one wanted, as I had early discovered in school wherein I had excelled without labor, guided by theory, while many others, without mastery of theory, failed despite monstrous effort. Better theory, I thought, had always worked for me and, if now available, could make me acquire capital and independence faster and better assist everything I loved. And so I slowly developed my own system of psychology, more or less in the self-help style of Ben Franklin and with the determination displayed in the refrain of the nursery story: "Then I'll do it myself,' said the little red hen."

2019年1月12日土曜日

2018年の投資をふりかえって(2)全売却銘柄:クックパッド(2193)

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(本シリーズの前回分記事はこちらです)

<企業の概要>
よく知られているように、当社は家庭料理のレシピを検索・投稿できるサービスを提供しています。主な収益源は2つで、有料会員向けのプレミアム・サービスと、Webやサイネージ等の広告です。サービス提供は国内にとどまらず、国外向けにも展開・拡充しています。ただし買収によって各国のレシピ情報等を自社資産としてきたことで資本投資がかさんだ一方、国外における有料会員や広告の事業はほとんど立ち上げておらず、諸外国からの収益貢献が大きな課題となっています。

<株価動向と売買の概要>

(赤矢印は株式購入、青矢印は売却)

当社への投資を検討し始めたのは2年ほど前からで、投資に踏み切ったのは1年と少しほど前からでした(2017年12月中旬の株価は600円強)。しかし結局のところ、保有期間が1年にも達しないうちに資金を引き揚げることにしました。業績が逐次悪化するとともに株価がかなり下落した時点で失敗を認め、全売却して損失を確定させました(最低売却価格は8月中旬の425円と、当初からの下落率は約30%)。

この投資が失敗につながった原因は少なくとも2つあります。第一に、株式投資の基本方針として株価下落を買い増しの機会としているものの、当社については継続投資する自信が持てなくなった点、つまり自分にとってはそもそも投資すべき対象ではなかったことです。第二に、購入株数を投機的な気持ちで拙速に増やしたこと。これによって傷口を広げました。

現在の株価300円強は、当社の財務面から測ると相当なまでに割安です。これは、滞留させた現金を経営陣がどのように使うのか、その姿勢に対して市場が疑念を抱いている結果だと想像します。そういった状況にある企業の株式は、いつかは再評価されることがあるものです。しかし、だからといって当社のような「一杯に詰まった貯金箱」タイプの投資候補には安易に近寄るべきではない、その哲学を厳守すべきだと改めて感じました(同じような失敗を、以前にも何度か繰り返しています)。

<当社へ投資した理由>
主な理由として次の2点がありました。

・資本効率の高さ
情報を扱う企業であり、また利用者が作成したコンテンツを自社の資源として利用できることから、少なくとも現行事業の利益率は高く、魅力に感じました。さらには、自社に蓄積された利用者の行動データを活用して新規事業につなげる余地が残されている点や、利用者のコミュニティーが形成されている点にも惹かれました。これらは無形資産として働き得ると捉えたからです。

・市場評価額の割安さ
これは現在も変わらず、1株当たり200円超の純現金資産を有しています。

<当社への投資をやめた理由>
一方で、投資を考え直した理由は次のとおりです。

・社員数増加に見合った収益機会の増加が、見通せないこと
当社の業績を監視している間に、従業員数が漸次増加しました。この理由として2方向の要因が考えられます。ひとつはお家騒動で抜けた欠員補充であり、もうひとつは新規事業展開のための要員追加です。しかしいずれであろうと、投資の是非を判断した時点での収益性は定常的ではなかったと言えます。売上高が横ばいあるいは低下する局面において要員コスト増が利益を圧迫する事例はよく見受けられますが、わかったつもりでいながら過小評価していました。この踊り場がいつまで継続するのか、個人的にはうまく判断できません。

・社員(特に技術系)の言葉から利益追求の意識があまり感じられないこと
あくまでも主観的な印象なので、説明は控えます。しかし業績が盤石であればともかく、そうでなければ金儲けやコストに対する意識を企業ぐるみで高めてほしいとは、一般論として感じています。

<教訓>
・企業価値を見積もる際に、「将来提供され得る新規事業」については、利益貢献を見込む以上に費用増加を意識すること。

・余剰資金が多くても有効的に使えていない企業の価値を評価する際には、その稚拙さを割り引いて考えること。

2019年1月8日火曜日

<新訳>誤判断の心理学(0)はじめに(1)

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」、今回から本文に入りますが、しばらくは前書きがつづきます。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

誤判断の心理学

ものごとを考える際に犯しがちな典型的な過ちについて、私はずっと以前からひどく興味を抱いてきました。

しかしながら私が教育を受けた時代には、臨床現場に携わらない心理学が誤判断を理解する際に寄与するなど、主流派の有力者らからはほとんど認知されていませんでした。心理学上の興味の対象は、内輪で論議したり論文の大半を発表したりしていた学者たち一群へ限定されていたのです。そして隔絶された彼らは集団思考に陥っていたため、さまざまな悪影響がおのずと生じていました。

そのような状況で、カルテック[カリフォルニア工科大学]とハーバード・ロースクールを卒業した私は、心理学に対して早々に無関心を決めこんでしまいました。それらの教育機関は、心理学という学問に関する知識を追究し損ねていたのです。そして当然ながら、心理学のことをわかっていない以上、学内で教えていた他の学問と心理学とを統合することもできませんでした。ニーチェの著作に登場する「不自由な脚を誇りとした」人物と同じように、「不明確な」心理学や「あやふやな」心理学者を意図して忌避することを、それらの学校は誇りとしていたのです。[参考記事]

多くの人たちと同様に、私もそのような尊大な心持ちをずいぶんと長期間にわたって抱き続けていました。我々はいったい何を考えていたのでしょうね。たとえばカルテックの講義一覧には、心理学の先生がただ1人しか含まれていない期間が何年間も続いていました。その先生はみずからを「精神分析分野の教授」と称し、「異常心理学」や「文学における精神分析」の両講座を教えていたのです。

ハーバードを巣立つや否や、「心理学を無視する」という役立たずな最低の見方を放りだすために、私は延々とつづく奮闘を始めました。今回は、基礎的な知恵を身につける上で重ねてきた我が長き闘争を語り、締めくくりにざっと要約したいと思います。その後、いくつかの事例を挙げてみます、それらは仕事上での心理だけでなく、心理的な機能不全に対処する面においても、実に鮮明かつ興味深いものばかりです。それから最後に、私がお話ししたことに対して疑問が挙げられれば、それらにお答えして終わりにしたいと思います。さて、長い話になりますよ。(p. 443)

The Psychology of Human Misjudgment

I have long been very interested in standard thinking errors.

However, I was educated in an era wherein the contributions of non-patient-treating psychology to an understanding of misjudgment met little approval from members of the mainstream elite. Instead, interest in psychology was pretty well confined to a group of professors who talked and published mostly for themselves, with much natural detriment from isolation and groupthink.

And so, right after my time at Caltech and Harvard Law School, I possessed a vast ignorance of psychology. Those institutions failed to require knowledge of the subject. And, of course, they couldn't integrate psychology with their other subject matter when they didn't know psychology. Also, like the Nietzsche character who was proud of his lame leg, the institutions were proud of their willful avoidance of "fuzzy" psychology and "fuzzy" psychology professors.

I shared this ignorant mindset for a considerable time. And so did a lot of other people. What are we to think, for instance, of the Caltech course catalogue that for years listed just one psychology professor, self-described as a “Professor of Psychoanalytical Studies," who taught both “Abnormal Psychology” and “Psychoanalysis in Literature"?

Soon after leaving Harvard, I began a long struggle to get rid of the most dysfunctional part of my psychological ignorance. Today, I will describe my long struggle for elementary wisdom and a brief summary of my ending notions. After that, I will give examples, many quite vivid and interesting to me, of both psychology at work and antidotes to psychology-based dysfunction. Then, I will end by asking and answering some general questions raised by what I have said. This will be a long talk.

2019年1月4日金曜日

2018年の投資をふりかえって(1)全般について

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全般的にみると、年末近くまでは高値の銘柄を順次売却すると共に、つなぎ売りとその買い戻しに終始しました。しかし年末近くになってからは方針を転換し、証券を少しずつながら購入しました。12月になってから株価が大きく下落したことで苦い感覚が何年かぶりによみがえりましたが、買いの時期が始まったことに対して心躍らせている部分もあります。ふりかえる時期がもっと後であれば、2018年は転換期だったとはっきり言えるのかもしれません。

さて例年と同じように、銘柄ごとの売買概況を以下に列挙します(銘柄コード順)。また昨年度分の同じ話題の記事はこちらです。

<新規購入(New Buy)>
・アップル(AAPL)

<買増し(Add)>
・メック(4971)
・日東電工(6988)
・しまむら(8227)
・iShares シルバー・トラスト(SLV)

<現状維持(Hold)>
・クラレ(3405)
・日精エー・エス・ビー機械(6284)
・マニー(7730)
・任天堂(7974)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
・従来からの主力銘柄

<一部売却(Reduce)>
・日進工具(6157)
・インテル(INTC)
・モザイク(MOS)
・マイクロソフト(MSFT)
・ウィートン・プレシャス・メタルズ(WPM)
・従来からの主力銘柄

<全部売却(Sell)>
・クックパッド(2193)

次回以降の投稿では、各銘柄に対する所感を簡潔ながら記したいと思います。