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2018年10月24日水曜日

2018年バークシャー株主総会(21)官僚主義について(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、官僚主義に関する話題です。前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それは、本社の要員が30名で、その半数が社内監査役とくれば、米国の大企業を経営するふつうのやりかたとは言えないでしょうな。

当然ながらもここで興味深いのが、当社は大企業ゆえに優位性をいくぶん失っている点です。しかしまた当社では、巨大官僚主義が招く数々の不利な点も持ち合わせていないですよ。本社を中心にして、会議また会議が延々連なるといったことがないからですね。

つまり正味でみれば、小規模な間接部門かつ分権型の方式を採用していることで、当社は大きく優位に立ってきたと思いますよ。さらにはそういったことが、凄腕で高潔な事業家を当社の一員に招き入れる要因にもなったでしょうね。

概して言えば、当社の今あるシステムはものの見事に機能してきたわけです。幾多の会社にみられるような、減らせば効率が上がる雇用状況ではないと思いますね。当社のやりかたでうまくいっているわけですから、それを変えることはまず考えにくいですよ。

<ウォーレン> そのとおりです。当社はさしずめ「ゼロベース未満予算」と言えると思います(笑)。

ぜひとも、本社のあるべき手本として、大幅に模倣され...

<チャーリー> これは単なる費用削減の話ではないですよ。官僚主義を消滅させることで、より良い意思決定がくだせるようになるわけです。

<ウォーレン> まさしくそのとおりです。

<チャーリー> 官僚主義とは、さながら癌だと言えますね。その振る舞いも、まさしく癌のようです(拍手)。

我々は非常なる反官僚主義でやっています。そのおかげで、良かったことがいろいろありましたよ。そう考えると当社は、頂点に達していたアンハイザー・ブッシュ社とはまるっきり異質な会社ですね。

CHARLIE MUNGER: Well, if you’ve got 30 people at headquarters and half of those are internal auditors, that is not the normal way of running a big company in America.

And what’s interesting about it is, obviously, we lose some advantages from big size. But we also lose certain disadvantages from having a big bureaucracy with endless meeting after meeting after meeting around headquarters.

And net, I think we’ve been way ahead with our low overhead, diversified method. And also, it makes our company attractive to very able, honorable people who have companies.

So generally speaking, the existing system has worked wonderfully for us. I don’t think we have the employment that could be cut effectively that a lot of other places have. And I think our methods have worked so well that we’d be very unlikely to change them.

WARREN BUFFETT: Yeah. I think if some - at headquarters, you could say we have kind of subzero-based budgeting. (Laughter)

And we hope that the example of headquarters is, to a great extent, emulated by our -

CHARLIE MUNGER: But it isn’t just the cost reduction. I think the decisions get made better if you eliminate the bureaucracy.

WARREN BUFFETT: Oh yeah.

CHARLIE MUNGER: I think a bureaucracy is sort of like a cancer. And it functions sort of like a cancer. (Applause)

And so, we’re very anti-bureaucracy. And I think it’s done us a lot of good. In that case, we’re quite different from, say, Anheuser-Busch at its peak.

2018年10月20日土曜日

2018年バークシャー株主総会(20)官僚主義について(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回はおなじみの話題、企業における官僚主義についてです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

25. 「官僚主義とは、癌のごとし」

<ウォーレン・バフェット> 次はベッキーがお願いします。

<ベッキー・クイック(質問者の代行)> 奥さんと共にロンドンに在住されている、アンガス・ハントンさんからの質問です。バークシャー・ハサウェイの株主になってから30年以上になるとのことです。

質問の内容は次のとおりです。「3Gパートナーズと提携して投資したクラフト・ハインツ等の会社では、ゼロベース予算がうまく機能していると報じられています。それでは、バークシャー・ハサウェイという巨大企業における別の領域の各経営者が、そういった費用削減の手法を使うと期待してよいものでしょうか」。

<ウォーレン> そうですね。概して言えば各社の経営者が、ゼロベース予算という点で多くの変化が生じるような位置づけにあるとは期待していません。これは、「始終そのように考えていないとは、一体全体どういうことなのか」とも言うことができます。

3G社の面々はおそらく主として要員の面で、また他の費用についても同様に、1ドルの費用が1ドルの価値を生み出していない支出が多々みられる状況に陥っていました。

そのため彼らは、そうあるべきではないと当初は考えていた状況へと、急速に変化させました。

そうだとしても、当社配下の各社経営陣に望みたいことは、たとえばGEICOの例では、同社を支配下に置いてから従業員の数が8,000名から39,000名になったと覚えています。しかし同社は、ものの見事に生産的な会社です。つまり、3G社のやりかたが何千人もの要員を取り除くには及ばないだろうということです。

その一方で、「それこそ大勢の要員を取り除くことができるものの、事業が端(はな)から非常に高収益であるがゆえに、人減らしを進めていない組織」を思い浮かべることもできます。

たばこ会社ではそのことが実際に起こっています。あまりにも儲かるので、あらゆる種類の人たちを抱えたまま、要員を減らす必要がありませんでした。ただただ、金が入ってきたのです。

当社配下の各経営者は、必要な費用以外をかけずして顧客満足度をできるだけ高めるために、異なった手段をとっています。

当社の経営者のなかには、ゼロベース予算あるいはそれと似たものを使っているところもあるかと思います。予算がわたしに提出されたことは一度もありません。つまり、わたしたちから要求したことが一度もないという意味です。バークシャーでは予算を立てたことがないのです。

当社では、連結ベースでの月次決算を作成していません。各社から個々に報告を出してもらってはいます。しかし余計な時間を費やして、4月末や5月末に連結の数字を出すといった作業をするべき理由などありません。

[事業の状況という意味で]今どこにいるのかは承知しています。フォーチュン500社のなかで月次の連結決算を作成していないのが当社だけなのは、おそらく間違いないでしょう。しかしバークシャーでは不要なことはしません。大企業でなされているさまざまな仕事は、不必要なものです。だからこそ、3Gは折に触れて機会を見出せるわけです。

チャーリーはどうですか。

(つづく)

25. “A bureaucracy is sort of like a cancer”

WARREN BUFFETT: OK, Becky?

BECKY QUICK: This question comes from Angus Hanton (PH), who - he and his wife are based in London, and he says they’ve been shareholders in Berkshire Hathaway for over 30 years.

He says, “We have all read about the zero-based budgeting that has been so effective with Kraft Heinz and other investments that you’ve done with 3G Partners. Can we expect these cost-reduction techniques to be used by your managers in other parts of the Berkshire Hathaway enterprise?”

WARREN BUFFETT: Well, in general, we do not expect the managers, generally, to get in the position where there would be a lot of change in terms of zero-based budgeting. In other words, why in the world aren’t you thinking that way all of the time?

The 3G people have gone into certain situations where there were - probably primarily in personnel, but in other expenses as well - a lot of expenses that were not delivering a dollar of value per dollar expended.

And so, they made changes very fast that - to a situation that probably shouldn’t have existed in the first place.

Whereas, we hope that our managers - take a GEICO. GEICO’s gone from, I think, 8,000 to 39,000 people since we bought control. But they’re all very productive. I mean, you would not find a way for a 3G operation to take thousands of people out of there.

On the other hand, I can think of some organizations where you could take a whole lot of people out, where it isn’t being done because the businesses are very profitable to start with.

That’s what happened with the tobacco companies, actually. They were so profitable that they had all kinds of people around that didn’t - weren’t really needed. But they - the money just flowed in.

So I - our managers have different techniques of keeping track of - or of - trying to maximize customer satisfaction at the same time that they don’t incur other than necessary costs.

And I think, probably, some of our managers may well use something that’s either zero-based budgeting or something akin to it. They do not submit budgets - never have - to me. I mean, they’ve never been required to. We’ve never had a budget at Berkshire.

We don’t consolidate our figures monthly. I mean, I get individual reports on every company. But there’s no reason to have some extra time spent, for example, by having consolidated figures at the end of April, or consolidated figures at the end of May.

We know where we stand. And - you know, I’m sure we’re the only company that - probably in the whole Fortune 500 - that doesn’t do it. But we don’t do unnecessary things around Berkshire. And a lot of stuff that’s done at big companies is unnecessary. And that’s why a 3G finds opportunities from time to time.

Charlie?

2018年10月16日火曜日

<新訳>誤判断の心理学(序)バフェットの祖父に倣う理由

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チャーリー・マンガーによる「誤判断の心理学<新訳>」から、前回に続いて序文の後半部をとりあげます。まだはじまりの段階から力の入った文章で、本作に対するチャーリーの意気込みが感じられます。(日本語は拙訳)

第一の理由として考えられるのは、そもそも我が性格が、伝統的な知恵にふくまれる誤りを診断し、語りたがることにあります。私のような心持ちを抱く人にとって、過ごし行く年月を容易くするためには、ものごとを精査論駁することが常でした。ただしそうであっても、若さゆえの無作法が人生を通じてことごとく咎め(とがめ)られたとは思ってもいません。

私がそう決めた第二の理由は、ディオゲネスが次の問いを立てた際の心情に賛同しているからです。「だれをも攻撃したことのない哲学者が、いったい何の役に立つものか」と。

もっとも強く抱いている理由が、3番目と最後のものです。私は心理学というものを自分なりのやりかたで配列することに魅了されるようになりました。私からすれば、そのほうがずっと有用だからです。また死んでしまう前には、次にあげる3名がみせた遺産の残しかたを、ある程度模倣してみたいと思いました。ジョン・バニヤンの『天路歴程』における主要人物と、ベンジャミン・フランクリン、そして私にとっての初めての雇い主アーネスト・バフェット[ウォーレンの祖父]です。バニヤンの著作には「真理を求める老勇者」という荘重たる呼び名をつけられた騎士が登場しますが、彼は命脈果てるときに、ただひとつ残された実利的な遺産を残しました。「わが剣は、意のままに扱える者へ残すことにしよう」と[過去記事]。もし我が剣を見誤ったとしても、それを的確に見定めようとしていたならば、その人物と同じように私も気にかけないこととします。たとえ、剣を手にして振るおうとすることを望まない人が大勢いたとしても。あるいは、そうしようとする者が、おのれの役には立たないと判断したとしても。それからベン・フランクリンは、自伝やアルマナックその他を残してくれたおかげで、私にとってすこぶる役に立ちました。アーネスト・バフェットもそれと同じ趣きで、『雑貨屋を経営する方法と、釣りから学んだ事柄』を残したことで、できるかぎりのことをしてくれました。「私にとって有益だった人物」という範疇に含める上で、3人目の例が最良かどうかは申しません。しかしこのことは触れておきましょう。アーネスト・バフェットにつづく4代にわたる子孫たちを知っており、彼らを見てきたからこそ、私はますます確信をもって、その一族の開祖を模倣するのです。

One reason may be that my nature makes me incline toward diagnosing and talking about errors in conventional wisdom. And despite years of being smoothed out by the hard knocks that were inevitable for one with my attitude, I don't believe life ever knocked all the boy's brashness out of the man.

A second reason for my decision is my approval of the attitude of Diogenes when he asked: "Of what use is a philosopher who never offends anybody?"

My third and final reason is the strongest. I have fallen in love with my way of laying out psychology because it has been so useful for me. And so, before I die, I want to imitate to some extent the bequest practices of three characters: the protagonist in John Bunyan’s Pilgrim’s Progress, Benjamin Franklin, and my first employer, Ernest Buffett. Bunyan’s character, the knight wonderfully named “Old Valiant for Truth,” makes the only practical bequest available to him when he says at the end of his life: “My sword I leave to him who can wear it.” And like this man, I don’t mind if I have misappraised my sword, provided I have tried to see it correctly, or that many will not wish to try it, or that some who try to wield it may find it serves them not. Ben Franklin, to my great benefit, left behind his autobiography, his Almanacks, and much else. And Ernest Buffett did the best he could in the same mode when he left behind "How to Run a Grocery Store and a Few Things I Have Learned about Fishing." Whether or not this last contribution to the genre was the best, I will not say. But I will report that I have now known four generations of Ernest Buffett's descendants and that the results have encouraged my imitation of the founder.

バニヤンの老騎士に倣おうとチャーリーが語るくだりは、私自身も以前から感じていたことなので、そっくり共感できました。

2018年10月12日金曜日

2018年バークシャー株主総会(19)年率0.5%は絶対に越えさせない(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、長期債に関する話題、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それはもう、金融当局が預金金利を引き下げたのは公正とは言えなかったですね。彼らが支払う金額と同じ程度が、 およそ年配者の定期預金口座へと支払われるわけですから。しかしながら、金融危機に対して適切に戦うためには、たぶんそうせざるを得なかったのでしょうね。

そうは言っても、公正でなかったのはたしかですよ。状況も普通ではありませんでした。金利があれほどまでに引き下げられ、長きにわたって低いままだったことは、我が人生を通じて一度きりのことでしたよ。

多くの人々にとっては、実に不公平なことでしたね。しかしこの会場にいるみなさんには、はなはだ有用でした。というのは、バークシャー株も含めて資産価格を上昇させたからです。ですから我々はみな、その範疇外だった人ばかりというわけです(笑)。今後もそのままであってほしいと望みますがね(笑)。

<ウォーレン・バフェット> 先ほどお見せした新聞が刊行されたのは1942年のことでした。当時の政府は全国民の愛国心に訴えかけました。学校に通っていたころのわたしたちは、貯金切手を買ったものです。当初は「米国戦時債」と呼ばれていましたが、やがて「米国国防債」に変わり、さらには「米国貯金債」になりました(笑)。まあ、「戦争債券」と呼んでいました。

18.75ドル分ですと、10年後に25ドル戻ってきました。その件によってわたしは、3ドル出して10年後に4ドルになる場合、複利で年率2.9%になることを学びました。当時は、小さな字で印字しておく必要がありました。

「年率2.9%で10年間」という投資がうまいものではないことは、11歳の子供であっても理解できました。しかしそれでもわたしたちは、その戦争債券を買いました。つまりそれも、戦争がもたらしたもののひとつだったわけです。

そして政府にはわかっていました。第二次世界大戦の戦費を調達したおかげで、やがて急激なインフレーションがやってくることを、です。

実際には、この国で大々的なケインズ主義的行動が起こりました。しかし、それはケインズに従う道を選んだせいではありません。戦争によって莫大な財政赤字を抱えたからでした。国の債務はGDP比で120%にのぼりました。まさに空前の、一大ケインズ主義的実験場となりました。そしてそこに立ち戻った米国は、かつてみたことのないような繁栄の波に乗ることとなりました。「棚からぼたもち」というのも、ときには起こるものです。

しかし連邦政府は(音声不明瞭)、あらゆる国民の資金を10年固定の利率2.9%で預かりました。ですから財務省債券はそれ以降ずっと、魅力に欠けていたと思いますよ(笑)。ただし1980年代の初期を除きます。当時はそういうものだったのです。

つまり財務省発行の割引債を買うことで、その後の人生30年間を通じて複利で年率14%程度の利益が事実上得られる権利を、確定できた機会が現実にあったのです。

ですから市場という場所では、実に奇妙なことがときには起こるわけです。その際に大切なのは、それに備えるのみならず、それが起きたときに行動に移すことです。

チャーリーは、戦争債券を買ったことがありますか。

<チャーリー> いや、一度もないですね。

<ウォーレン> なかったですか。たしか昔は..

<チャーリー> 戦争のころには、金なんてこれっぽちもなかったですよ(笑)。

<ウォーレン> なるほど。それはうまい理由でしたね(笑)。

CHARLIE MUNGER: Well, it really wasn’t fair for our monetary authorities to reduce the savings rates, paid mostly to our old people with savings accounts, as much as they did. But they probably had to do it to fight the Great Recession, appropriately.

But it clearly wasn’t fair. And the conditions were weird. In my whole lifetime, it’s only happened once that interest rates went down so low and stayed low for a long time.

And it was quite unfair to a lot of people. And it benefited the people in this room enormously because it drove asset prices up, including the price of Berkshire Hathaway stock. So we’re all a bunch of undeserving people - (laughter) - and I hope that we continue to be so. (Laughter)

WARREN BUFFETT: At the time this newspaper came out in 1942, it was - the government was appealing to the patriotism of everybody. As kids, we went to school and we bought Savings Stamps to put in - well, they first called them U.S. War Bonds, then they called them U.S. Defense Bonds, then they called them U.S. Savings Bonds. (Laughs) But they were called war bonds then.

And you put up $18.75 and you got back $25 in ten years. And that’s when I learned that that $4 for three - in ten years - was 2.9 percent compounded. They had to put it in small print then.

And even an 11-year-old could understand that 2.9 percent compounded for ten years was not a good investment. But we all bought them. It was - you know, it was part of the war effort, basically.

And the government knew - I mean, you knew that significant inflation was coming from what was taking place in finance, in World War II.

We actually were on a massive Keynesian-type behavior, not because we elected to follow Keynes, but because war forced us to have this huge deficit in our finances, which took our debt up to 120 percent of GDP. And it was the great Keynesian experiment of all time, and we backed into it, and it sent us on a wave of prosperity like we’ve never seen. So you get some accidental benefits sometimes.

But the United States government (inaudible) every citizen to put their money into a fixed-dollar investment at 2.9 percent compounded for ten years. And I think Treasury bonds have been unattractive ever since - (laughs) - with the exception of the early ’80s. That was something at that time.

I mean, you really had a chance to buy - you had a chance to invest your money by buying zero-coupon Treasury bonds, and in effect, guarantee yourself that for 30 years you would get a compounded return, you know, something like 14 percent for 30 years of your lifetime.

So every now and then, something really strange happens in markets and the trick is to not only be prepared but to take action when it happens.

Charlie, did you ever buy any war bonds?

CHARLIE MUNGER: No. No. I never bought war bonds.

WARREN BUFFETT: No. Used to be like take me -

CHARLIE MUNGER: I didn’t have any money when I was in the war. (Laughter)

WARREN BUFFETT: That’s a good reason not to buy. (Laughs)

2018年10月8日月曜日

2018年バークシャー株主総会(18)年率0.5%は絶対に越えさせない(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回は長期債に関する話題です。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

24. 現在の利回りでの長期債投資は「正気の沙汰とは思えない」

<ウォーレン・バフェット> 次は質問所7番の方、お願いします。

<質問者: 聴衆の一人> おはようございます。米国債市場についてお聞きしたいと思います。オーラ・ラーソンと申します。サンフランシスコのベイ・エリアに住んでいます。

金融業界で働いた経験はありませんが、はじめて買った株はバンクーバー証券取引所で鉱山会社のペニー株でした。それから云十年か経って結婚した後に、妻からバークシャー株を買うようにけしかけられました。結局あれは、うまい決断だったと思っております(笑)。

さて質問です。連銀やインフレ率の値について新聞で読むことがありますが、入札にかけられる財務省証券の供給量がまちがいなく増加するとされています。それでは、利回りや金利が今後どうなると予想されていますか。

<ウォーレン> そうですね、正直なところわかりません。ただし良い点があります。それがわかる人はだれもいない点です。FRBの一員にもわからないはずです。

この話題には、さまざまな変数がかかわってきます。わたしたちが一つわかっているのは、現在の利率近辺においては、投資の対象として長期債がひどくまずいという点です。

そのため当社が待機させている資金は、基本的にすべて財務省[短期]証券にしています。たしか、ほとんどの満期は4カ月程度だったと思います。

最近になって利率が上がってきました。そのおかげで2018年になってから、おそらく最低でも5億ドルは、昨年度の同じ投資にくらべて税引前利益が増えたと思います。

しかし資金をそのままにしているのは、その形で保有しつづけたいからではありません。なにか他のことに使うために、そうやって待っているわけです。

しかし、基本的に現在の利率で長期債に投資しようと考えるのは、狂気の沙汰だと言えるのではないでしょうか。FRBは現在、「年間のインフレ率を2%にしたい」と公言しているわけですから。超長期債の利回りでも、3%をそれほど大きくは上回っていません。個人で買う場合には税が課されますから、そのなかから所得税をいくばくか支払うことになります。

つまり、税引き後では2.5%のリターンにしかなりません。つまりFRBはこう言っているのです。「持てるかぎりの力を尽くそうとも、インフレ調整後の利回りが年率0.5%を越えることは絶対に許さない」と。

それはつまりわたしとしては、ペニー株[低位株、たとえば1株5ドル以下の銘柄。シケモク投資の候補になり得る]に戻るつもりはありませんが、現時点では生産的なビジネスあるいは生産的な資産へこだわりたいということになります。

しかし債券市場で来年になにが起こることはと言えば、そうですね、何兆ドルもの資金を手にした人たちが、どの満期のものを保有するのが最良かなどと思案しているわけです。そのようなゲームの中に入ってもわたしたちが優位に立てるような手札は、なにひとつ持っていません。

チャーリーはどうですか。

(つづく)

24. Long-term bonds are “almost ridiculous” at current rates

WARREN BUFFETT: OK. Station 7.

AUDIENCE MEMBER: Good morning. And I have a question related to the bond market - U.S. Treasury bond market. And my name is Ola Larsson (PH). I live in the San Francisco bay area.

And I never worked in the financial industry. I started out buying penny mining stocks on the Vancouver Stock Exchange. And then decades later, I got married. And my wife convinced me to buy Berkshire shares. That was probably a good decision. (Laughter)

So my question is, I read the newspapers about the Federal Reserve and the inflation numbers. And there must be an increase supply of Treasury bonds that must go to auction. And my question is how would - what do you expect that to impact yield or interest rate?

WARREN BUFFETT: Yeah. The answer is, I don’t know. And the good news is, nobody else knows, including members of the Federal Reserve and everyone -

There are a lot of variables in the picture. And the one thing we know is we think that long-term bonds are a terrible investment, and we - at current rates or anything close to current rates.

So basically all of our money that is waiting to be placed is in Treasury bills that, I think, have an average maturity of four months, or something like that, at most.

The rates on those have gone up lately, so that in 2018, my guess is we’ll have at least $500 million more of pretax income than we would’ve had in the bills last year.

But they still - it’s not because we want to hold them. We’re waiting to do something else.

But long-term bonds - they’re basically, at these rates - it’s almost ridiculous when you think about it. Because here the Federal Reserve Board is telling you we want 2 percent a year inflation. And the very long bond is not much more than 3 percent. And of course, if you’re an individual, then you pay tax on it. You’re going to have some income taxes to pay.

And let’s say it brings your after-tax return down to 2 1/2 percent. So the Federal Reserve is telling you that they’re going to do whatever’s in their power to make sure that you don’t get more than a half a percent a year of inflation-adjusted income.

And that seems to me, a very - I wouldn’t go back to penny stocks - but I think I would stick with productive businesses, or productive - certain other productive assets - by far.

But what the bond market does in the next year, you know - you’ve got trillions of dollars in the hands of people that are trying to guess which maturity would be the best to own and all that sort of thing. And we do not bring anything to that game that would allow us to think that we’ve got an edge.

Charlie?

2018年10月4日木曜日

今度は債券の番だ(ハワード・マークス)

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オークツリーのハワード・マークスが顧客向けのメモを先日公開していました(9月26日付)。今回の主な内容は、彼らの本業である債券の市場環境についてですが、株式市場についても若干触れていますので、印象に残った文章をご紹介します。(日本語は拙訳)

The Seven Worst Words in the World [PDF] (Oaktree Capital Management)

この文章を結ぶ前に、私の見方をご紹介しておきたいと思います。株式には高い値がつけられていますが、しかし(テクノロジーやソーシャル・メディアのような、いくつかの特定のグループを除けば)極端に高いというほどではありません。他の資産クラスと比較すれば、特にそうだと言えます。そのため、株式が金融市場におけるトラブルの震源になるとは思えません。今日の株式の位置づけは、2005年から2006年の頃と似通っているように見受けられます。金融危機を引き起こすような役割は当時ほとんど、あるいはまったく果たしていませんでした。(ただし当然ながら、株式投資家も痛みから免れることはできませんでした。たとえそうであっても、50%超の下落に見舞われたのです)。

2007年から2008年にかけて生じた危機をもたらした主な原因は、株式ではありませんでした。そうではなく、サブプライム証券やその他のものから組成されたり、借入比率を高められた投資商品のほうでした。それらは、債券やデリバティブやあらゆる種類の金融工学から生まれた産物によって彩られていました。言い換えれば、証券や債券そのものではなく、前述した諸々をそれらの中へ取り込んだものでした。

おそらく今回においては、「ひろく一般的なものとなり、リスクに見合うかを考慮せずに投資家がリターンを追い求め、上述したような攻撃的な行動の対象となっている」のは、主として公募債や私募債です。それゆえに、次に問題が発生したときに爆心地で発見されるのは、おそらく債券関連の商品になると思われます(後略)。

Before closing, I want to share my view that equities are priced high but (other than a few specific groups, such as technology and social media) not extremely high - especially relative to other asset classes - and are unlikely to be the principal source of trouble for the financial markets. I find the position of equities today similar to that in 2005-06, from which they played little or no role in precipitating the Crisis. (Of course, that didn’t exempt equity investors from pain; they were hit nevertheless with declines of more than 50%.)

Instead of equities, the main building blocks for the Crisis of 2007-08 were sub-prime mortgage backed securities, other structured and levered investment products fashioned from debt, and derivatives, all examples of financial engineering. In other words, not securities and debt instruments themselves, but the uses to which they were put.

This time around, it’s mainly public and private debt that’s the subject of highly increased popularity, the hunt by investors for return without commensurate risk, and the aggressive behavior described above. Thus it appears to be debt instruments that will be found at ground zero when things next go wrong.(p. 9)

「現在は投資すべきではない」とか「債券に投資すべきではない」とは、一切申し上げていません。私たちオークツリーはこのところ、「前進せよ、ただし慎重に」とのマントラを唱えてきましたし、今もなおそのままです。今後の見通しは悪くないですし、資産価格もそれほど高くはないため、「現金化すべし」あるいは「ほぼ現金化すべし」というほどではありません。機会費用と呼べるであろうペナルティーが実に大きいため、市場から退出することを正当化できない状況です。

しかし上述したことすべてを考慮すれば、上昇分すべてを是が非でも手中にしようとするよりも、下落時に損失を限定することに重きを置く戦略や運用者やアプローチこそ、投資家が選好すべきほうだと私は考えます。その両方を同時に手に入れることはできません。

投資の世界ではほぼあらゆるものが、積極的あるいは消極的になされ得るものです。私の見るところ、現在の市場は注意を払うべき時期だと思われます。

I’m absolutely not saying people shouldn’t invest today, or shouldn’t invest in debt. Oaktree’s mantra recently has been, and continues to be, “move forward, but with caution.” The outlook is not so bad, and asset prices are not so high, that one should be in cash or near-cash. The penalty in terms of likely opportunity cost is just too great to justify being out of the markets.

But for me, the import of all the above is that investors should favor strategies, managers and approaches that emphasize limiting losses in declines above ensuring full participation in gains. You simply can’t have it both ways.

Just about everything in the investment world can be done either aggressively or defensively. In my view, market conditions make this a time for caution. (p. 11)

2018年9月28日金曜日

この良き時代に終わりは来ない(スティーブン・ローミック)

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バリュー・ファンドFPAのマネージャーであるスティーブン・ローミックが、少し前に第二四半期のコメントを公開していたので、ご紹介します。引用する話題は、今後の市場動向を占ったものです。この手の話題は疑念を抱きながら目を通すようにしていますが、今回取り上げるチャートはそれなりに信頼できると感じました。(日本語は拙訳)

Second Quarter 2018 Commentary (FPA Crescent Fund) [PDF]

下図における青色の線は、S&P500の10年平均収益率[過去10年間であげた総リターンの騰落率を年率換算した値]を示しています。一方で緑色(若草色)の線は、家計部門が保有する金融資産のうち株式投資が占める割合を示しています。ただしこちらは10年先に進めて描線するとともに、縦軸の天地を逆転させています。それによって、S&P500収益率との相関関係がいっそう明確になるように表現しています。


この図において緑色の線は、西暦2010年に最底辺に達しています。ただし先に述べたように縦軸が逆転しているので、実際には頂点に到達していました。さらにグラフを10年分先に進めて描いているので、40%ほどの保有率に達していたのは実のところ10年早く、2000年のことでした。これは言い換えれば、家計部門による株式の保有割合が頂点に達したのは2000年であり、収益率がやがてマイナス一桁の値になることを示唆していたのです。まさしくそのとおりになりました。

この図に示したように、家計部門における金融資産中の[株式]保有率と、市場平均があげる将来リターン率の間にみられる負の相関が、56年間にわたって存在してきたことがはっきりとみられます。

それでは、現在の家計部門が金融資産の面でとっているリスクの度合いは、将来についてなにを言わんとしているでしょうか。それはつまり、米国市場の想定リターン率が一桁前半の数値へ向かおうとしていることです(図中で緑色の線が右端へと向かっている箇所は、青色の線がそちらへ到達することを暗示しています)。(p. 6)

The blue line on this chart below shows the trailing 10-year return of the S&P 500. The green line shows household equity as a percent of household financial assets, shifted forward ten years and flipped upside-down to more clearly depict its correlation to the S&P’s return.

You can see the green line reaching its nadir in 2010. That was really the peak - remember, the chart is flipped. Since it’s also shifted forward ten years, that peak of about 40% really occurred 10 years earlier in 2000. In other words, household investment in stocks hit a high in 2000 and suggested that returns would be negative single digits and that’s what happened.

The inverse relationship between household ownership of financial assets and future market returns has clearly been present for 56 years.

So what does today’s household financial asset exposure suggest about the future? Current exposure suggests that the US market’s projected return will converge towards the [low single digits] (the green line data point to the far right of the chart suggests that the blue line will end up there.)”

大衆が正しかった例は稀有であり、今回も例外とはならないようです。株価が後退する時期には、上昇するときよりも速やかに下落するものです。「この良き時代に終わりは来ない」と投資家が考える時期は、「この苦難の時代が終わるとは思えない」と投資家が考える時期へと姿を変えるのです。(p. 10)

The Crowd is rarely right, and this time is unlikely to prove the exception. When stocks do decline, they tend to fall more quickly than they rise. The good times that investors think will never end morph into bad times that investors think will never end.

2018年9月24日月曜日

<新訳>誤判断の心理学(チャーリー・マンガー)

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本ブログではチャーリー・マンガーの講演を順次ご紹介してきました。ただし「誤判断の心理学」と銘打った講演は抄訳にとどまっていました。今回からのシリーズでは同講演の全訳を拙訳にてご紹介します。引用元原書の版はExpanded Third Editionです。なお「講演」と呼んではいるものの、実際には各種講演をもとにした新たな「書き下ろし」エッセイとのことです。

誤判断の心理学
チャーリー・マンガーの講演3件から抜粋してまとめられた初出の文章。2005年にチャーリー自身が改訂し、相当量の文章が加筆修正された。

前書き

15年ほど前に心理学の話をしたときの各講演録を読み返してみたところ、当初の内容のほぼすべてを含みながらも、より論理的で、ずっと長い「講演」を生み出せることに気がつきました。

しかし、そうすることで次の4つの不利益が生じるだろうと、即座に思い至りました。

第一に、その長い「講演」は論理的にずっと完成された内容に書き上げられるはずだったので、多くの読者が当初の講演以上に退屈かつ混乱すると思われた点です。心理的傾向における独特の定義を扱う際に、心理学の教科書やユークリッド[数学]を連想させるようなやりかたをとるつもりでしたから、その可能性は考えられました。一体だれが、気晴らしのために教科書を読んだり、ユークリッドを学びなおそうと考えるものでしょうか。

第二に、私が身につけた心理学に関する知識のうち正式と言えるやりかたのものが、15年前にわずか3冊の教科書に目をとおした程度だった点です。そのため、心理学の分野でその後に発展したことは、事実上なにも知りません。さらに、長き論説にはみずからの推考を含み、はるかに学術的な心理学に対して批判をくだすことでしょう。このように素人がプロの領域へと侵入すれば、その領域の先生方が苦く受けとめるものも当然です。私のあやまちを嬉々として探し出し、私が開陳した批判に対して自説を以って反論する労を厭わないかもしれません。そのような新たな批判に、なぜ私が直面する必要があるのでしょうか。情報の面で優位な上に弁の立つ批判者からの追及を待ち望む人など、いったいどこにいるのでしょうか。

第三に、わが考察を披露した長き改訂版が、私に対して好意を持つまいと過去に心を決めた人たちから、必ずや批判を受ける点です。表現面や本質的な面に対する反論もあるでしょうが、そのほかにもあるでしょう。一介の老人が「伝統的な知恵にはろくに目を向けない態度を示す一方で、自分がなにひとつ受講したことのない教科に登場する話題を『まくし立てる』」姿に対して、傲慢とみる見解です。ハーバード・ロースクール時代からの旧友であるエド・ロスチャイルドは常々、そのようにまくし立てる心情を「靴用ボタン・コンプレックス」と呼んでいました。家族関連の知り合いが、靴用ボタンの事業で優勢的な地位を占めた後になってから、あらゆる話題を予言的に話していた様子にちなんで付けた呼び名でした。

第四に、私自身が間抜けぶりをさらしてしまう可能性がある点です。そういった非常に憂慮すべき4つの点があるにもかかわらず、以前の文章を拡充した版を発表することに決めました。私が何十年間にわたって成功を収めることができたのは、仕事やその方策において失敗する可能性が低い行動だけに限定してきたからこそと言えます[参考文献]。しかし今や私は、これから歩む道を選択しました。重大な個人的便益が得られることはなく、家族の一員や友人には確実に痛みをもたらすと共に、みずから醜態をさらしかねない道をです。それでは、なぜそのような道を歩むのでしょうか。

(つづく)

The Psychology of Human Misjudgment
Selections from three of Charlie's talks, combined into one talk never made, after revisions bv Charlie in 2005 that included considerable new material.

PREFACE

When I read transcripts of my psychology talks given about fifteen years ago, I realized that I could now create a more logical but much longer "talk," including most of what I had earlier said.

But I immediately saw four big disadvantages.

First, the longer "talk," because it was written out with more logical completeness, would be more boring and confusing to many people than any earlier talk. This would happen because I would use idiosyncratic definitions of psychological tendencies in a manner reminiscent of both psychology textbooks and Euclid. And who reads textbooks for fun or revisits Euclid?

Second, because my formal psychological knowledge came only from skimming three psychology textbooks about fifteen years ago, I know virtually nothing about any academic psychology later developed. Yet, in a longer talk containing guesses, I would be criticizing much academic psychology. This sort of intrusion into a professional territory by an amateur would be sure to be resented by professors who would rejoice in finding my errors and might be prompted to respond to my published criticism by providing theirs. Why should I care about new criticism? Well, who likes new hostility from articulate critics with an information advantage?

Third, a longer version of my ideas would surely draw some disapproval from people formerly disposed to like me. Not only would there be stylistic and substantive objections, but also there would be perceptions of arrogance in an old man who displayed much disregard for conventional wisdom while "popping-off' on a subject in which he had never taken a course. My old Harvard Law classmate, Ed Rothschild, always called such a popping-off "the shoe button complex," named for the condition of a family friend who spoke in oracular style on all subjects after becoming dominant in the shoe button business.

Fourth, I might make a fool of myself. Despite these four very considerable objections, I decided to publish the much-expanded version. Thus, after many decades in which I have succeeded mostly by restricting action to jobs and methods in which I was unlikely to fail, I have now chosen a course of action in which (1) I have no significant personal benefit to gain, (2) I will surely give some pain to family members and friends, and (3) I may make myself ridiculous. Why am I doing this?

蛇足ですが、チャーリーがなにかを説明するときには、冗長とも思える前振りを語ります。もちろんそれには理由があって、そのひとつが過去記事「<旧約>誤判断の心理学(24)他人に何かを頼むとき」で示されていると思います(再帰的なリンクになっている点にご注目を)。

2018年9月20日木曜日

ミクロがわかってもマクロがわかるとは言えない(『次なる金融危機』)

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次なる金融危機』という本を読みました。本書の主張をまとめると、「家計部門や企業(除金融)部門の債務が、GDPと比較して高い割合へ上昇するほどに、経済危機を招きやすく、かつ回復も遅れる」というものでした。主流の経済学派からは大きく逸れた見解らしいですが、一市民としての感覚からすれば納得できる仮説だと感じました。なお同書の著者は、過剰債務がみられる国として中国などを挙げ、大きな揺り返しがやってくること必至と予測しています。

その本題とは別に、同書から今回ご紹介するのはハード・サイエンス関連の話題です。本ブログで取り上げる話題のひとつに、「ものごとを分析する際には還元的に捉えよ」というものがあります。その「還元的分析」に関して注意をうながすような文章がありましたので、引用します。

以上のようなわけで、ミクロ経済学からマクロ経済学を導くことはできない。だが、だからといって、ブランシャールが言うように、広く受け容れられてきた分析的マクロ経済学の核心、つまりその検討と展開の場が、夢想かもしれないことを意味しない。すべての経済学者が賛成する基礎から出発して、マクロ経済学を導き出す道が存在するのだ。だが、実際にその道を進むには、これまで主流派が避けてきた考え--複雑性を受け容れねばならない。

高い層の現象を低い層のシステムから直接的に推定するのは不可能だという発見は、今では純正な科学では共通の認識だ。それが複雑なシステムにおける、いわゆる「創発(エマージェンス)だ。 [参考記事]

ひとつの複雑システムの支配的な諸性質は、考えられた単独の要素の性質よりも、むしろ要素の相互作用に由来する。(中略)

(マクロ経済学のような)高いレベルの現象は(ミクロ経済学のような)低いレベルの現象から導き出され得るし、また導き出されねばならない、という信念の誤りについては、1972年--ルーカスが講演するよりも前に--ノーベル物理学賞受賞者のフィリップ・アンダーソンがつぎのように述べていた。

「この種の考えの主な誤りは、還元主義的な仮説が決して『構築主義的』な仮説を意味しないことだ。あらゆる事柄を単純な法則に還元できる能力は、そうした法則から出発して宇宙を再構築する能力を意味しない」

アンダーソンは、物理学で、とくに「ミクロ」から「マクロ」へと延ばす(外挿する)態度を排斥した。そうした排斥が素粒子の振る舞いにあてはまるならば、人間の行動にはどれほど多く応用されねばならないのだろうか。

「素粒子の大きな複雑な集合体の振る舞いは、少数の粒子の性質の単純な外挿として理解されるべきではない、ということが分かる。そうではなくて、複雑性のそれぞれのレベルにおいて、新しい性質が現れるのだ。だから、新しい振る舞いの理解には、他の場合と同じように、その性質について私が基本的と思う研究を必要とする」

アンダーソンは、科学には階層が存在するという考えをすすんで受け容れた。つまり、諸科学をほぼ直線的に階層として配列できるというわけだ。その着想に従えば、「科学Xの基本的存在は、科学Yの法則に従う」(表1を参照)。しかし、彼は、X欄のどの科学もY欄の相当する科学の応用版として扱えるという考えを排斥した。

表1
XY
固体物理学もしくは多体物理学素粒子物理学
化学多体物理学
分子生物学化学
細胞生物学分子生物学
......
心理学生物学
社会科学心理学

「だが、この階層は、科学Xは『単なる応用Y』を意味するのではない。各段階でまったく新しい法則、考え、一般化を要する。それにはインスピレーションや創造性が、前段階と同じ程度に必要だ。心理学は応用生物学ではなく、生物学は化学の応用ではない」(p. 28)

なお本書の主張は冒頭に示したとおりですし、引用文を読まれてお気づきと思われますが、本書を読むために自腹で購入する必要はないと思います。あくまでも個人的な意見ですが。

2018年9月16日日曜日

2018年バークシャー株主総会(17)若きバークシャー株主諸君に告ぐ

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答からおなじみの話題、「バフェット以後」についてです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

22. マンガーいわく、「我らが立ち去った後でも、心を移さず、株を売らぬべし」

<ジョナサン・ブラント> いいですか。

<キャロル・ルーミス> わたしの番を飛ばしていますよ。

<ウォーレン・バフェット> ええと、キャロルを飛ばしましたか。

<キャロル> そうです。

<ウォーレン> それはすみません。

<キャロル> いいですよ。

<ウォーレン> はい、それではお願いします。

<キャロル> この質問は軽い話題ではないと思います。モントリオールのギデオン・ポラックさんからの質問です。

彼はこう訊ねています。「1965年にあなたが指揮をとり始めてからバークシャー・ハサウェイの様相が変わったことは、世間が広く認めるところだと思います。当時のバークシャーは北東部で織物を製造する会社でした。それが今では、フォーチュン500のうちの第4位に位置する企業となりました。

「それでは、これからの50年間ではどうなるのでしょうか。2068年までのバークシャーはどのような姿をしているか、ご意見を披露していただけますか」。

<ウォーレン> それはずいぶん先のことだと思います(笑)。

残念ですが、わたしにはわかりません。50年前のときにも、今のようになっているなどわかりませんでした。

つまり、ある種の原則に従っていくとは思います。しかしそのころには、わたしとは違った考えをする人たちを見つけだして、会社を任せていると思います。また世の中も違っていることでしょう。

ただし、「世界中のどの大企業に劣らず、株主のことを考える企業」であってほしいとは強く願っていますし、そうなるに違いないと思います。株主をパートナーとして扱うでしょうし、自分たちを利するものとして会社の資金を使おうと考えるのではなく、自分の資金とまったく同じように使うことを心がけると思います。それ以外のことがどうなるかは、知るすべはないでしょう。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> 私からは、若手の株主諸君に申し上げたいですね。我々が消え去った後に、さまざまな友人からの導きにしたがって、みなさんがバークシャー株を売却し、別のものに取り組むのであれば、そのほうが悪い結果につながると思いますよ(笑)。

ですから、「そのまま信頼せよ」と申し上げましょう(拍手)。

まあ、すでにそうしてしまったご家庭も数多くあるでしょうが。

<ウォーレン> みなさんからこれほど称賛されたのですから、次からはわたしも彼と同じように答えることにします(笑)。


22. Munger: Keep the faith and don’t sell your stock when we’re gone

WARREN BUFFETT: Jonathan?

JONATHAN BRANDT: Hello ?

CAROL LOOMIS: You skipped me.

WARREN BUFFETT: Did I skip ? I skipped Carol?

CAROL LOOMIS: Yup.

WARREN BUFFETT: Oh. I’m sorry.

CAROL LOOMIS: OK.

WARREN BUFFETT: OK.

CAROL LOOMIS: This question, and I would concede it is not a small one, comes from Gideon Pollack of Montreal.

He says, “The world knows generally how the looks of Berkshire Hathaway have changed since you began to run the company in 1965. Berkshire was then a tiny northeastern, textile company. And now it is the number-four company on the Fortune 500.

“What about the next 50 years? Could you give us your view of what Berkshire looks like in 2068?”

WARREN BUFFETT: I think it’ll look a long way away. (Laughter)

No, the answer is I don’t know. And I didn’t know, 50 years ago, what it would like now, I mean -

It will be based on certain principles. But where that leads, you know, we will find out and we’ll have people that are thinking about different things than I am. And we’ll have a world that’s different. But -

We will be - I very much hope and believe that we will be - that we’ll be as shareholder-oriented as any large company in the world. We will look at our shareholders as partners and we will be trying to do with their money exactly what we’d do with our own, not seeking to get an edge on them. And who knows what else will be happening then?

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, I want to talk to the younger shareholders in the group. Those of you who, after we are gone, sell your Berkshire stock and do something else with it, helped by your many friends, I think are going to do worse. (Laughter)

So I would advise you to keep the faith. (Applause)

By the way, some of that has already happened in many families.

WARREN BUFFETT: I’ll give his answer next time now that I see it get all of that applause. (Laughter)

ウォーレン以降のバークシャーがどうなるのか。以下の過去記事ではチャーリーがその予想を披露しています。

2014年度マンガーからの手紙(4)ウォーレン・バフェットが去った後

2018年9月12日水曜日

中国が米国にもたらした、ささやかで劇的な日常(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーのインタビューのつづきです。今回は質問者が投げかけた下世話な問いに対して、チャーリー・マンガーは直接的には答えず、そのかわりにコスモポリタニズム的な話題を展開しています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

なお文中に登場する著作『プーア・チャーリーの暦(Poor Charlie’s Almanack)』は、チャーリーの主要な講演をまとめた本です(ほかに、チャーリーに関連する文章も掲載されています)。ご存知とは思いますが、本ブログでは同書に含まれる全講演を訳出してあります。それらの記事に関する目次は以下のとおりです。ただし「講演その11: 誤判断の心理学(Talk 11: The Psychology of Human Misjudgment)」は抄訳にとどめていたため、遠からず全訳に取り組むつもりです。

(目次)チャーリー・マンガーの主要記事

<質問者> バークシャーの年次総会に参加するために、今年は1万名を超える中国人がオマハにやってきました。総会では中国に関する話題がよく取り上げられています。マンガーさんのお話しでは、「中国の将来は非常に明るく、中国での潜在的な投資先をこれまでに探してきた」とのことでした。それでは、現在の中国は投資環境の面でどういった時期にあるとお考えですか。現在の中国市場は、ちょうど米国市場の1973年や1974年、あるいは1982年のような段階でしょうか。また中国で物色されているのは、どの領域のものでしょうか。

<チャーリー・マンガー> 実に奇妙な事態だということは承知していますよ。ニューヨーク・タイムズ紙からは、「なぜバークシャー・ハサウェイやチャーリー・マンガーが、かの人々に人気があるのか」という質問を受けました。例の書物『プーア・チャーリーの暦(Poor Charlie’s Almanack)』のせいもあるでしょうが、それではなぜ中国人はあの本を好むのでしょうか。その答えは儒教を感じさせるからだと思いますね。中国には儒教の教えが深く根差しています。裕福だったり権力を有していたとしても、礼節を重んじることが要求されます。絶えず学ぶことを忘れず、品格と分別をもって行動することを良しとします。年を経てさらに充実し、働き続けるわけです。そういった教えはひとつの国に限定されはしませんが、おどろくべきことにウォーレン・バフェットや私が、儒教的な価値観を重要視してきたさまざまな人たちと同じように振舞ってきたのも事実です。

それから、ウォーレンや私が実のところ中国人を好んでいる、という理由もありますよ。もちろん人間とは自分を好む相手のことを好むものです。それでは、なぜオマハの二人組が中国人をひいきにするのだと思いますか。実は、多くの中国人が理解していない点があるのですね。米国人という観点から中国をながめると、こんな感じになるのですよ。中国人がはじめてやってきたころ、ここではシエラネバダ山脈を越える大陸横断鉄道を敷設しようとしていました。冬のさなかにひどい山道を通って険しい山々を越えようとする仕事で、だれにも果たせませんでした。不可能でした。人々が死に至ったのも、ひどく難事業だったからです。そこで、1万5千人ほどの中国人労働者が呼ばれました。当時の彼らは奴隷も同然でした。その労働者を冬季の山へと送り込み、鉄道を敷設するように言い渡しました。すると彼らは成し遂げたのです。アメリカ人だけでは成し得なかったことをです。もちろんそのことが非常に好ましい印象を残しました。そして月日は流れ、現在はアジアからの移民がたくさんやってきています。そういったアジア出身の人たちが米国で何を成し遂げたでしょうか。アジアからやってきた人たちは早々に、医者や法律家、学者、事業家などになりました。目ざましい成功をおさめました。以前の交響楽団をみれば、中国人は含まれていなかったものです。しかし今日では、練習をしている人たちをながめたときに、難易度の高いあらゆる楽器をうかがえば、そこには中国人の顔がみられます。この国で大きな成功を収めつつある人には有名な人たちもおり、当然ながらそのことは大きな問題とはなっていません。ですから、我々が中国人を好むのも当たり前と言えるわけです。

私が思うに、中国本土で暮らす普通の人たちは、米国でうまくいっている中国のイメージがどのようなものかを理解していませんね。これから極端な話をしますが、だれも想像していなかったでしょうし、だれも口にしたことがないことです。それというのも、かつて中国ではひどい貧困が続きましたし、人口が多すぎました。そこで、アメリカ人の夫婦が子宝に恵まれなければ、中国へおもむいて非常に貧しい家庭から中国人の女の子を養女に迎えることができました。ほどなくすると、米国における主要なあらゆる都市の人たちは、遠い中国の農地で産まれた望まれぬ女の子を引き取ってきたことで、「良い赤ちゃんを迎え入れた」と考えるようになりました。そういった赤ん坊は平均してみると、米国人の子供たちよりも健全に成長していきます。だから養子を欲しがる人たちはだれもが、米国の子供を欲しがらないのです。彼らが求めるのは中国人の女の子です。ことごとく立派に育ったからですね。中国本土の人たちは、それがどれだけ極端なことだったのか理解していません。米国におけるあらゆる町で起きてきたことなのですよ。米国のあらゆる私立学校では、中国の田舎から棄てられた女の子たちであふれています。彼女たちが取る成績はオールA、そのうえ表彰も受けています。当然ながら、このことは良い印象をもたらしました。全米でみられる、実に劇的なできごとですよ。

Question: There are more than 10,000 Chinese who came to Omaha to attend this year’s Berkshire’s annual meeting. China is a focus among those topics. Mr. Munger mentioned that the future of China would be very bright and you had already looked for potential targets in China. What kind of investment environment period is China now in? Is China’s market like the U.S. market in 1973, 1974 or even 1982? And what areas have you looked at to find your potential targets in China?

Munger: I know it’s very peculiar, and The New York Times asked me why are these people so interested in Berkshire Hathaway and Charlie Munger. Partly the book ("Poor Charlie’s Almanac"), yes, but why do the Chinese like the book? I think the answer is it sounds Confucian. China has a deep Confucian ethos. They want people to act modestly even though they are rich and powerful. They want people to constantly keep learning and behave with dignity and reason, and improves as they get old and keep working. Those lessons are not confined to one country. But it just happens that Warren Buffett and I act like much of the people who take Confucianism very seriously.

The other reason is that Warren and I really like the Chinese. And of course everybody likes people who like them. Now you say, why have the Chinese got so popular with the couple of Omaha boys? There’s something that a lot of Chinese don’t understand. If you look at China with a viewpoint of a U.S. citizen, here is what you see. The Chinese first came in here, trying to build the Sierra, the trans-continental railroad, in the winter through horrible passes in the steep mountains. Nobody could do it. It was impossible. They were dying and it was just too hard. So they brought in like 15,000 Chinese labors, who in those days were practically slaves, and they took those labors to the mountains in the winter and said you build the railroad. And they did. And the Americans couldn’t do it by themselves. That of course made a very favorable impression. While fade in fade out, now we have Asians immigrants. What have those Asians done in America? Well they come in and rapidly become doctors, lawyers, professors, businessmen and so forth, and succeeded mightily. If we go to a symphony orchestra, which used to have no Chinese. Every instrument that’s hard to play, and pick someone that are doing practice, you look up the instruments, there’s a Chinese face. Of course we find people popular who are succeeding so much in our country and not causing a lot of troubles. So naturally we like the Chinese.

And I don’t think the ordinary person on mainland China understands what an image of success China has in the United States. And the most extreme thing of all, nobody could have anticipated and nobody ever talks about it, it’s because there was so much poverty in China and it was so overpopulated, if an American couple were unable to have children of their own, they can always go to China and adopt a Chinese girl of a very poor family. So in every important city of America, people soon learned they got better babies, taking the unwanted Chinese girls from the remote Chinese farms. Those babies on average work out better than their own children. So everybody if they want to adopt a child they don’t want an American child. They want a Chinese girl. And of course all those girls worked out well. And most people in China don’t realize how extreme that’s been. That’s happened in every American city. Every American private school is full of the discarded Chinese girls from the Chinese countryside. They are getting all As and winning prizes. Of course they made a favorable impression. It’s just dramatic it’s all over America.

2018年9月8日土曜日

2018年バークシャー株主総会(16)お嬢さん、お供の爺やは私です

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、中国株式市場の話題です。リー・ルー同席インタビューのシリーズと同じように、チャーリー・マンガーは中国を推していますが、ウォーレン・バフェットが主役のこの場では、簡潔な発言にとどめています。なお、本シリーズ前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

21. 中国株に対してバフェットよりも興味を示すマンガー

<ウォーレン・バフェット> 次は質問所6番の方、お願いします。

<聴衆からの質問者> バフェットさん、マンガーさん、おはようございます。中国株に注力した調査業務を営んでいる上海のホライゾン・インサイト社から参りました、ステフィー・ユーと申します。当社の顧客には、中国における投資信託会社が多数あります。彼らは非常に若く、つまり相対的に若いほうなので、運用している資金は少額です。

そこで質問ですが、もし現時点でポートフォリオの資金が10億ドルだけだとしたら、おふたりは投資先をどこへ変更なさいますか。中国のような新興市場のほうが投資の機会が多いとお考えですか。よろしくお願いします。

<ウォーレン> そうですね、もし資金が10億ドルだとしたら、市場規模が30兆ドルになる米国で機会を探すだろうと思います。概して言えば、他の国よりもよく理解しているからです。何千億ドルの資金を抱えた状態で探すよりも、まあそうですね、成績にある程度差をつけられる投資先を発見できると思います。

ただし、新興国の市場を除外する必要はないと思います。15年ほど前でしたか、いい機会がありました。興味深いものがあったからです。週末に韓国市場の銘柄一覧を読み進めていたところ、昔の経験を思い出したかのように感じました。それで、小型の株をいくつか買いました。そうですね、韓国企業あるいは米国企業の水準からみても小さくはありませんでした。かなり大きな会社でした。

15あるいは20件ほど見つけました。定量的にみて割安だったので、いくつかを自分用に買いました。

資金が少額であれば、現在は不可能なことでも果たせる機会があります。ただしいつであっても、わたしとしてまずはじめに米国内を注視したいと考えています。そして...

他の国々についても調べてみましたが、非常に小さな市場には足を踏み入れないと思います。それというのも、売買実行や課税の面でもむずかしい点が数多くあり得るからです。

米国や中国や英国といった国々で見つからないのであれば、たぶん他の場所でも見つからないでしょう。みつけたと思うかもしれませんが、きっとそれはおなじみのものではなく、別種のゲームかもしれません。わたしたちにとって問題なのは規模であって、地理的なものではありません。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> 割合でみれば、私のほうがずっと中国株に投資してきましたね。ですからお嬢さん、共に歩んでいるのは私ですよ(笑)。

<ウォーレン> なるほど。それでは具体的な名前をあげますか。その株式には名前があるのですか。それとも..(笑)

<チャーリー> いや、言いませんね(バフェット笑)。

<ウォーレン> 次はキャロル、お願いします。

<キャロル・ルーミス> 次の質問は...

<ウォーレン> すみませんが、付け加えることがもうひとつありました。中国ではさまざまな機会を見つけることと思います。「米国で同じ程度の資金を有する人よりも、ずっと良い狩場にいるわけだ」とチャーリーは発言していました。そうですよね。

<チャーリー> そう言いましたよ。

<ウォーレン> そうです。まだ若い市場でありながらも十分に巨大な市場ですから、そうなるのも当然かと思います。というのは..

市場とは、年月を経るにつれて効率的になっていくようです。30年前の日本ではワラントの値付けがおかしなことになったりと、諸々が非常に奇妙な状況になりました[バブル期のワラント債など]。しばらくしてそのことに気づく人が出てくると、その状況は消滅しました。市場が進展すると、非常に奇妙なことが起こり得るものです。チャーリーも賛成してくれると思いますが、どうですか。

<チャーリー> そのとおり。

<ウォーレン> なるほど。

21. Munger is more interested than Buffett in Chinese stocks

WARREN BUFFETT: OK. Station 6?

AUDIENCE MEMBER: Hi, good morning, Mr. Buffett and Mr. Munger. My name is Stephie Yu from Horizon Insights, a China-focused research firm based in Shanghai. So I have a lot of mutual fund clients in China, who are very young - relatively younger - and they manage a smaller portion of funds.

So my question is, if you only have $1 billion in your portfolio today, how would you change your investments? Would you consider more investment opportunities in emerging markets such as China? Thank you.

WARREN BUFFETT: Yeah. I would say, if I were working with a billion, I would probably find - within a $30 trillion market in the United States, where I understood things better, generally, than I do around the world - I’d probably find opportunities there that would be better, incidentally, by some margin, than what we can find for hundreds of billions.

But I wouldn’t - there’s no way I’d rule out emerging markets. There was a time, 15 years ago or so, when just because it was kind of interesting and it took me back to my youth, I - on the weekend, I went through a directory of Korean stocks. And I bought - and these were small stocks - well, they weren’t small by standards of either Korean or American business. They were big, big companies.

But I found 15 or 20 in - that were statistically cheap and bought some of each one myself.

And there are opportunities with smaller amounts of money to do things that we just can’t do. And - but I - my first inclination always would be to comb through things in the United States. And -

But I’ve combed through - in other countries. I probably wouldn’t get into very, very small markets because there can be a lot of difficulties even in market execution and taxation, (inaudible).

You can find - if you can’t find it, you know, in America and China and Britain and a few other places - (laughs) - you probably aren’t going to find it someplace else. You may think you’ve found it. But that may be - it may be a different game than you know. Our problem is size, not geography.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, I already have more stocks in China than you do, as a percentage, so I’m with the young lady. (Laughter)

WARREN BUFFETT: OK. Well, you can - you want to name names? Do these stocks have names- Or - (Laughs)

CHARLIE MUNGER: No, I don’t. (Buffett laughs)

WARREN BUFFETT: Carol?

CAROL LOOMIS: This question is -

WARREN BUFFETT: I should just add one thing. You will find plenty of opportunities in China. Charlie would say you’ve got a better hunting ground than even a person with similar capital in the United States. Would you agree with --

CHARLIE MUNGER: Yes, I do.

WARREN BUFFETT: Yeah, yeah. So - and in the sense they’re - it’s logical that should be the case because it’s a younger market, but still a large market. So that -

Markets probably work toward efficiency as they age. Japan had this very strange situation with warrants being priced out of line and all of that 30 years ago. And people notice after a while and it disappears. But there can be - some very strange things happen in markets as they develop. I think you’d agree with that, Charlie, wouldn’t you?

CHARLIE MUNGER: Absolutely.

WARREN BUFFETT: Yeah.

2018年9月4日火曜日

投資先は3つ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーのインタビューのつづきです。ひとつめの話題は彼の投資先についてです。おなじみの話題ながらも、これまた最重要な投資哲学を体現しています。もうひとつの話題は読書についてです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> マンガーさんが生涯を通じてもっとも満足した投資とは何ですか。また、いちばん悔いの残った投資は何ですか。

<チャーリー・マンガー> バークシャー・ハサウェイ株は1株につき16ドルで買いましたが、今では30万ドル近くで取引されていますね。非常に優れた投資先でしたよ。長い期間にわたりましたが、長期的な視点にたった投資でしたからね。投資をともにする仲間は好ましい人たちですし、投資した各社も気に入っています。同社に資金を据えたきりで50年以上になりますが、驚くなかれ、実にうまくいきました。その手の話はほかにもいろいろありますよ。リー・ルーと組んで中国に投資してきましたが、一体何だったか、13年あるいは15年だったか、さまざまな証券を買いましたが、売ったものはほとんどありませんね。失敗した投資はそれほど多くはなかったですよ。少しはありましたが、多くはありませんでした。まずい投資先をあれこれと抱えていたりはしませんね。マンガー家で保有している株式は、基本的には3つです。バークシャー・ハサウェイとコストコ、もうひとつがリー・ルーの運営しているパートナーシップです。齢95になる私の保有しているのが、3種類ですよ。金持ちになるために、あれこれと違ったものを保有する必要はないですね。

Question: Mr. Munger, what is your most satisfactory and what is your most unsatisfactory investment in your life time?

Munger: My Berkshire Hathaway stock cost me $16 a share, and it’s now selling for almost $300,000 a share. That’s been a very good investment. It took a long time, and it was a long-term investment. I like the people I was investing with and I like the companies I was investing in. I just sat there for more than 50 years and low and behold it’s worked out really well. And there are lots of stories like that. Li Lu and I have been investing together in China for what? Thirteen years or 15 years? And we have bought a lot of securities and we sold very few. I’ve not made very many bad investments. There have been small ones but not very many. I don’t have many bad investments. Basically the Mungers have three stocks - Berkshire Hathaway, Costco and Li Lu’s partnership. Well along my 95th years, three things. You don’t need to own different things to get rich.

<質問者> 1年間で何冊の本をお読みになりますか。どんな分野の本を読まれますか。

<チャーリー> 流し読みする本と、きちんと読む本を合わせて、毎週20冊読んでいますね。伝記をたくさん読みますし、歴史も読みます。ほとんどがノンフィクションですよ。

Question: How many books do you read every year and what subjects are they?

Munger: I either skim through or read through 20 books week. I read a lot of biographies, and some history. I read almost no fiction.

2018年8月30日木曜日

(解答)なぜリスは周囲に危険を告げるのか

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前回の投稿で取り上げたリスの問題に対する解答部です。引用元の本は『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』です。

リスの行動は、その声が意味論的情報を伝えないとした場合にのみ意味をなす。リスの「タカ警報」を考えてみよう。まず、それはぴいーっという高い音の声だ--実験が明らかにしたところでは、タカはその位置を特定しにくい。つまりリスは自分の位置についてタカにはほとんど知らせていないのだ。次に、自分だけが遮蔽物に向かって逃げると、かえって目立つ。一群のリスが一斉に逃げ回る中の1匹でいる方がよい。タカに目をつけられる可能性が小さくなるからだ。同様に、高い鳴き声を聞いて遮蔽物を求めて逃げるリスは、その場に立っているリスよりタカに食べられる可能性は低い。つまり淘汰はタカを察知したときに声を上げるリス、また高い声を聞いたときに遮蔽物目指して逃げるリスの方に有利に作用する傾向がある。人類がこの状況を見るとき、われわれはリスが情報を伝えていると解釈する。しかしそうなっているわけではない。この行動は単純に、有効だからということで世代を超えて伝えられる形質にすぎない。この種の行動が進化するには、リスがお互いの行動を知っている必要もない。単語も言語もない。ただ進化の力があるだけだ。(p. 464)

2018年8月28日火曜日

(問題)なぜリスは周囲に危険を告げるのか(『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』)

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少し前の投稿で取りあげた『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』の文章から、もう1点ご紹介します。今回の内容はリスの生態に関するパラドックス的な問題です。この手の問題を解くには該当分野におけるミクロな専門知識が欠かせないと考えがちですが、例によってチャーリー・マンガー的な取り組みをすれば、きれいに答えを出せるかもしれません。次回の投稿で解答部をご紹介しますので、どうぞお考えになってください。

なお私自身の成績ですが、あいにく今回はよく考えずに文章を読み進めてしまったので、0点です。もったいない読書の仕方だと反省しました。

事象についての当初の解釈が間違っているかもしれない例を一つだけ挙げよう。開けた土地に住むジリス(地上生活をするリス)のいくつかの種にとっては、2種類の捕食者がいる。スピードに任せて空中から襲ってくるタカと、地上でこっそりと忍び寄って襲ってくるアナグマだ。リスが捕食者を察知すると、二つの防御方式のいずれかを選ぶ(もう擬人的な言い方をしている)。アナグマを察知すると、巣穴の入り口まで戻って直立姿勢を維持する。アナグマはその姿勢を見て、リスはそのアナグマを察知しているので、襲っても時間とエネルギーの無駄だということを知る。タカを察知したときは、直近の遮蔽物に向かってまっしぐらに走る。リスは2種類の警戒音も出す。アナグマの場合は、粗い、かたかたという音を立て、タカの場合は、高い、ぴーいーという音を出す。近辺の他のリスはこの音を聞いて、アナグマ警報なら巣穴に戻り、タカ警報なら遮蔽物に向かって走る。人はまずあたりまえのように、リスは声をかけ合って、要するに「注意しろ、あたりにアナグマがいるぞ、巣に戻った方がいい」とか「あっ、タカだ、そこから逃げろ」とかのことを言っているのだと思うものだ。しかしそうなのだろうか。

捕食者を察知しての個々のリスの行動が示すように、いずれのリスも、関心は自らの身を守ることにある。実際、進化論はそうならざるをえないことを言う。リスは知り合いの運命を気にしてはいられないだろう。しかしリスの警戒音が意味を持つ情報を伝えるとすれば--リス語で「アナグマだ」とか「タカだ」と声を上げているとすれば--パラドックスにぶつかる。淘汰で有利になるのは、黙ってこそこそと逃げて、他のお人好しが食べられるようにするリスの方だろう。声を上げる集団の中の声を上げない個体が淘汰では有利で、そういうリスが自分の遺伝子を伝える。しかしそれではすぐに、声を上げないリスばかりの集団になるはずだ。声を上げる本能はどこから生じるのか。(p. 463)

2018年8月24日金曜日

2018年バークシャー株主総会(15)配当は要らんから全部再投資してくれ

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、特別配当そしておなじみの話題である自社株買いについてです。本シリーズ前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

20. バークシャーが特別配当を出す可能性は「非常に低い」

<ウォーレン・バフェット> グレッグさん、次をお願いします。

<グレッグ・ウォーレン> この質問も、ウォーレンがもっと最近発言された内容に対してです。そのため、「こちらの質問のほうが、くみしやすい」とは言いかねます(バフェットが軽く笑う)。

あなたが最近おはなしされたなかで、「株主へ資本を返還する方法として、配当金よりも自社株買いのほうを好む」とありました。昨年の年次総会で触れたときには、バークシャーの現金残高は増えつづけ、1,500億ドルの限界に達すると、株主へ弁明しがたくなるとのことでした。

普通配当を設定しないことの論理は理解できます。しかし一度かぎりの特別配当であれば、バークシャーの有する超過資本の大きな部分を、株主へ返還するのに効果的な選択肢になり得ると思います。その場合、「普通配当金を恒久的に支払う」とほのめかす必要がありません。

ただし特別配当には、簿価及びBPSがただちに減少する欠点があります。それとは対照的に、自社株買いを大規模に行えば、簿価は減少するもののバークシャーの株式数は減少し、BPSへの影響を抑えることになります。

もし数年たってバークシャーが1,500億ドルの上限に達した時点で、企業買収や自社株買いの面で市場の評価がひきつづき高いままだとすれば、そのときには株主へ資本を返還する方法として、特別配当を一度実施することを検討されますか。

<ウォーレン> そうですね、もし資本を効率的に使えないと考えるようになれば、株主に資本を返す最良の方法をさがすように努めると思います。そしておそらくは、そうするために特別配当を使う可能性は低いと思います。

そうではなく、もし自社株買いで支払う金額が1株当たりの本源的価値以上にならなければ、自社株買いをする可能性のほうが高いと思います。継続株主のみなさんにとって害になると思えることは、決してなにひとつ実行しません。

ですから、もし株の本源的価値がXだと考えたときに、買い戻す株の対価としてそれほどでもない倍率ながらもXを越える金額を支払わねばならないとしたら、自社株買いは行いません。株主の座から離れる者を厚遇する一方で、継続株主の利益を損なうからです。

しかし、もっとも妥当なことであれば、何であろうとそれを実行するつもりです。ただしその案とは、毎日しなければいけないことではありません。そうそう毎日はみつからないからです。

たしか数年前だったと思いますが、みなさんもご存知のように、当社における配当金支払いの是非が決議にかけられたことがありました。そのときB株を保有する方々は47対1で反対票を投じました。なお、チャーリーやわたしなどの株の分は含まれていません。[過去記事]

ですから、「当社の株主になろうとする時点で、そもそもその人は選択しているのだ」と思います。株主という世界あるいは国中をみても、47対1の投票結果がでることはまったくないと思います。

しかし、当社では株主の一員に加わるという時点で自己選択がなされています。「すべての株主にとって利益になることであれば、なんでもしてほしい」と、株主のみなさんはわたしたちに対して期待を寄せています。当然ながら、「事業を通じて資本を効果的に運用するなど、到底無理だ」とわたしたちが心底考えるようであれば、なんとかして資本を会社から取り出さねばなりません。

取締役の面々をみると、当社の株式を大量に保有しています。ですから、「当社のオーナーであるかのように、彼らは物事を考えるだろう」と期待してよいと思います。だからこそ彼らは取締役会の一員であるわけです。

また「当社の経営陣も、当社のオーナーであるかのように物事を考える」と受けとめてよいと思います。やるべきことを探し続けるよりも妥当だと思えば、当社の全オーナーに対して資金を返還することでしょう。

ただし、この第一四半期ではたしか4月だったと思いますが、正味にして150億ドルに近い金額を投資しました。

その上、世界がいつまでも超低金利であるわけではないですし、相対取引の価格水準が高いままでもないと思います。

ですからわたしたちは、もっとも理にかなったことを実行していきます。しかし、多額の特別配当を一度実施するという状況は、わたしとしては想像しがたいことです。もし株主のみなさんに議案を出せば、チャーリーもわたしも以前の議決には参加しませんでしたが、おそらく大差をつけて否決されると思います。わたしとしてはそうなるほうに喜んで賭けます。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> 既存のシステムがうまく機能し続けているときに、それを変えねばいけないのは何故ですかね。それこそ大多数の株主が、そのやりかたに慣れ親しんでおり、そのやりかたでうまくいっているわけですから。ただし状況が変われば、心を変える準備はできていますよ。事実が変化すればのことですが。

<ウォーレン> そうです。過去にも何度かそうしてきました。

<チャーリー> そのとおり。

<ウォーレン> そうですよ。

<チャーリー> ただし、「少しばかり難儀だった」とは言い添えておきますよ(笑)。

<ウォーレン> いつも彼はそうやって、わたしを引きおろすわけです。

20. “Very unlikely” Berkshire would pay a special dividend

WARREN BUFFETT: OK, Gregg. (Laughter)

GREGG WARREN: Warren, this question’s also based on something you said more recently, so I can’t guarantee it’s going to be any easier. (Buffett laughs)

You recently noted that you prefer share repurchases over dividends as a means for returning capital to shareholders should Berkshire’s cash balances continue to rise and hit the $150 billion threshold you noted as being difficult to defend to shareholders at last year’s annual meeting.

While I understand the rationale for not establishing a regular dividend, a one-time special dividend could be a useful option for returning a larger chunk of Berkshire’s excess capital to shareholders without the implied promise to keep paying a regular dividend forever.

The drawback with the special dividend, though, is that it would lead to an immediate decline in book value and book value per share. Whereas a larger share repurchase effort, while depressing book value, would reduce Berkshire’s share count, limiting the impact on book value per share.

If we do happen to get a few years out and Berkshire does hit that $150 billion threshold, because valuations continue to be too high, both for acquisitions and for the repurchase of company stock, would you consider a one-time special dividend as a means for returning capital to shareholders?

WARREN BUFFETT: Well, if we thought we couldn’t use capital effectively, we would figure - we would try to figure out the most effective way of returning capital to shareholders. And - you could - I would have probably - I think it’d be unlikely we’d do it by a special dividend.

I think it’d be more likely we’d do it by a repurchase, if the repurchase didn’t result in us paying a price above intrinsic value per share. We’re never going to do anything that we think is harmful to continuing shareholders.

So if we think the stock is intrinsically worth X, and we would have to pay some modest multiple even above that to repurchase shares, we wouldn’t do it because we would be hurting continuing shareholders to the benefit of the people who are getting out.

But we will try and do whatever makes the most sense, but not with the idea that we have to do something every day because we simply can’t find something that day.

We had a vote as you know - I don’t know, a few years back - on whether people wanted a dividend. And - the B shares - so I’m not talking my shares or Charlie’s or anything - but the B shares voted 47 to one against it.

So I think through self-selection of who become shareholders - I don’t think shareholders world - or countrywide - on all stocks would vote 47 to one at all.

But we get self-selection in terms of who joins us. And I think they expect us to do whatever we think makes sense for all shareholders. And obviously, if we really thought we never could use the money effectively in the business, we should get it out, one way or another. And -

You’ve got a bunch of directors who own significant - very significant - amounts of stock themselves. And you can expect them to think like owners. It’s the reason they’re on the board.

And you can expect the management to think like owners and - owners will return money to all of the owners if they think it makes more sense than continuing to look for things to do.

But we invested in the first quarter, maybe - have to look it up on the - well, certainly through April - probably close to 15 billion or something like that, net, so -

And we won’t always be in a world of very low interest rates - or high private market prices.

So we will do what makes the most sense. But I can’t see us ever making a special - almost - it’s very unlikely we would just pay out a big, special dividend. I think that if we put that to the vote of the shareholders, and Charlie and I did not vote, I think we would get a big negative vote. And I’d be willing to - be willing to make a bet on that one.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, as long as the existing system continues to work as well as it has, why would we change it? We’ve got a whole lot of people that are accustomed to it, have done well under it. And if conditions change, why, we’re capable of changing our minds, if the facts change.

WARREN BUFFETT: Yeah, and we’ve done that several times.

CHARLIE MUNGER: Yes.

WARREN BUFFETT: Yeah.

CHARLIE MUNGER: Although, I must say, it’s a little hard. (Laughter)

WARREN BUFFETT: He always brings me back to earth.

2018年8月20日月曜日

中国市場の未来は明るい(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーのインタビュー、前回分の投稿のつづきで、長期投資の話題です。赤字で強調した部分では、最重要な哲学にさりげなく触れています。(日本語は拙訳)

<質問者> かつてあなたは「誤った現象ばかりに投資家は目を向けている」とおっしゃいました。そのことについて、どう考えるべきなのでしょうか。真実とはどこにあるのでしょうか。真実にたどりつくにはどうすればいいのでしょうか。

<チャーリー・マンガー> 「市場には真実がある」と考える人が数多くいますね。「値段が動くことで、まさしく市場はなにかを訴えたがっている」と。しかし、バークシャー・ハサウェイやチャーリー・マンガーという人間は、資金を投じる際にそんな風には考えませんよ。我々が思い描くのは、その本源的価値がどれぐらいかであり、なにが取引にあがっているかです。そして「支払う金額以上に価値がある」と思えるときだけ買います。ですから我々は、割安になるのを待ちつづけ、そうなったときに買うことで、長期的な投資ができるように心がけているわけです。市場にいるあらゆるギャンブラー諸氏の様子に、目をやることもありません。私からすれば、彼らは泡沫にまみれていますね。そんな風にして金持ちになろうとするのは、愚かな時間の使いかたですよ。

<リー・ルー> 「真実とは、企業自体が持つ本来の価値である」と彼は答えました。これを理解することによってのみ、本当の儲けをあげることができます。価格の上下動だけを気にかけ、それらの変動に基づいて関連の投資をして儲けをあげるのは、非常に愚かな行動だというわけです。

<質問者> 中国では多くの投資家が、あなたやバフェットさんやリー・ルーさんを崇拝しています。それでは、まだ30年間の歴史しかない中国の資本市場が、御三方のような投資の達人を「生みだす」までに、どれほど時間がかかり、どのような条件が必要とされるでしょうか。

<チャーリー> 中国の市場は、投資で成功する者を数多く生みだしていくと思いますよ。中国人に満ちた香港は、投資家秩序に基づいた優れた証券市場と調和してきました。そのありようは今後何十年にもわたって中国本土全体にも広がり、信認の度合いを深め、規模を増大させていくでしょう。中国の証券市場や投資の取り組みは、長期間にわたって改善されていくと思いますね。当然ながら変動はあるでしょうが、しかし長期的な趨勢としては、ますます発展し、信頼を集め、価格も上昇していくことでしょう。

<リー・ルー> そちらの質問そのものに対する答えではないですが、「投資の達人は必ずや現れる」と彼はおっしゃっています。中国市場が、少しずつ良くなっていくだろうとも。

<チャーリー> 香港の中国人はこの50年間で金持ちになりましたね。彼らは短期志向の投機家やギャンブラーではなく、長期のうまい投資先をさがし求めた長期志向の投資家でした。投資先を手放さずに長期にわたって頑として保有しつづけました。香港在住の中国人を評したように、中国本土に対しても一言申し上げたいですね。成功するのは短期志向のギャンブラーではないと。長期で投資できるうまい対象を見出し、堅持しつづけることです。長期間にわたって、ですよ。

<リー・ルー> 香港における例は、中国の未来もうまく描いているかもしれません。大儲けできる人とは、当然ながら長期志向の投資家であり、短期志向のトレーダーではないでしょう。

(つづく)

Question: You said before most of what investors see are false phenomena. How should we think about that? Where is the truth then? How can we get to the truth?

Munger: A lot of people think there is such a thing it’s the truth in the market. And market tells you something just by bouncing around. That is not the way Berkshire Hathaway or Charlie Munger invests money. We have a view as to what the intrinsic value is and what is being traded. And we only buy it when we think it’s worth more than we are paying. So we are trying to make a long-term investment by waiting for something to be underpriced and then buying it. And we don’t give a damn about all those gamblers in the market. To me they are so much froth. It’s a foolish way to spend your time if you want to get rich that way.

Li Lu: He answered what the truth is - it’s the real value of the company itself. Only by understanding this can we really make money. For those who only care about price fluctuations and make relevant investments based on such fluctuations, making money this way is a very stupid action.

Question: In China, many investors regard you, Mr. Buffett and Mr. Li Lu, as their idols. Could you talk about how much time it would take the Chinese capital market, which only has 30 years of history, and under what conditions would the Chinese capital market “produce” investment masters like you three.

Munger: Well the Chinese market is going to create a lot of successful investors. If you look at Hong Kong, which has been full of Chinese people, meshed in a capitalist order with good securities market. That is going to spread all over China and increase in respectability and size for decades ahead. I anticipate the Chinese securities market and investing practices will get better and better for a long, long time. There will be fluctuations to be sure, but the long-term trend will be toward more achievement and more respectability and higher prices.

Li Lu: He didn’t answer your question directly, but he’s saying some investment masters will definitely appear. The Chinese market will get better step by step.

Munger: The Chinese, who’ve got rich in Hong Kong over the last 50 years, are not the short-term traders and gamblers. These have been the long-term investors who’ve sought out good long-term investment and stubbornly held them for a long period of time. And just as I said words for the Chinese in Hong Kong, a little words for the Chinese on the mainland. It’s not the short-term gambler that’s good. It’s identifying the good long-term investment and sticking with it. For a long term.

Li Lu: The example of Hong Kong can also reflect well the future of China. Those who will make big money undoubtedly will be the long-term investors, rather than short-term traders.

2018年8月16日木曜日

人類の余命(『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』)

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最近読み終えた本『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』は、個人的には引きこまれてしまう類の本で、全編をとおして楽しんで読めました。本書では、異星人(本書では地球外文明、ETCと記す)の存在を裏付ける現実的証拠がまだみつからない理由について、さまざまな分野からあげられた説明を科学的かつわかりやすく再構成しています。また14年前に刊行された邦訳の増補改訂版ということで、新しい科学的発見や知見が盛り込まれています。さらには、それぞれの理由に対して著者自身の見解が付け加えられています。話題は物理学にとどまらず、ハードサイエンスの各部門(地球科学、生物学、化学)や数学そしてSF小説に及んでおり、そういった専門用語の訳文の正確さも十分だと感じました(単純な校正モレは散見されます)。ただし「人類や地球生物の未来は、多難で暗いものである」と繰り返し説明されるので、心配が募りやすい方にはお勧めできません。

今回ご紹介するのは、本書で取り上げられていた思考法についてです。この「デルタt論法」と呼ばれる思考法は単純ながらも強力で、読んでいて感心の一言でした。ただし個人的に感銘を受けた点は、この論法自体や具体的な効力ではなく、ものごとを形而上的にとらえてモデリングする能力のほうです。

1969年、学生時代のリチャード・ゴットはベルリンの壁を訪れた。休暇でヨーロッパ旅行をしている途中で、ベルリンの壁を見に行くのも予定の一つだった。その前にはたとえば4000年前にできたストーン・ヘンジを見て、それにふさわしい感動を得た。ベルリンの壁を見たとき、この冷戦の産物はストーンヘンジほど長い間立っているのだろうとかと思った。冷戦時代の外交戦略の詳細に通じ、両陣営の相対的な経済力・軍事力を知る立場にあった政治家なら、根拠のある推定をしたかもしれない(政治家の実績から判断すれば、それは間違っていただろうが)。ゴットにはそんな専門知識はなかったが、次のような推論をした。

まず、自分がいるのは、壁が存続している間のランダムな時点だ。壁が築かれる(1961年)のを見ているのではなく、壁が壊されるのを見ているのでもない(今は1989年にそうなったことはわかっているが)。ただ休暇でそこにいただけだ。したがって、壁が立っている期間を4つに分けたまん中の2つ分の間に壁を見ている可能性が50パーセントだと推論を進めた。自分がその期間の最初にいるなら、壁は寿命の4分の1の間存在しており、まだ4分の3の寿命が残っていることになる。言い換えると、壁はこれから、すでに存在している期間の3倍の期間続くことになる。自分がそこにいるのが同じ期間の最後だとしたら、すでに寿命の4分の3が経過しており、残りは4分の1だけとなる。言い換えると、壁がこれから存在しつづけるのは、これまで存在してきた期間の3分の1だけだということだ。ゴットが見たときの壁は、できて8年だった。そこで1969年夏のゴットは、壁はあと2年と3分の2(8*1/3)から24年(8*3)立っている可能性が50パーセントあると予想した。あのテレビの劇的な映像を見た人なら思い出すように、壁が壊されたのは、ゴットが訪れてから20年後のことだった--予測の範囲内に収まる。(中略)


物理学で予測をするときは、50パーセントの可能性ではなく、95パーセントの可能性で考えるのが標準となる。ゴットの論法はそのまま使えるが、数字が少し変わる。自分が何かの事物を見ていることに特別のことがない場合、その事物はその時点での年齢の39分の1から39倍の間続く可能性が95パーセントある。(p. 276)

デルタt論法を使ってコンクリートの壁や人間関係の寿命を推定するのは楽しいが、それはもっとゆゆきしきことの推定にも使える。ホモ・サピエンスの余命だ。人類は誕生して17万5000年ほど。ゴットの規則を適用すると、人類の残りの寿命はおよそ4500年から680万年である可能性が95パーセント。それからすると、人類の寿命は18万年ないし700万年程度ということになる(哺乳類に属する種の平均寿命は200万年ほどと言われる。いちばん近い近縁種のネアンデルタール人は20万年だったらしい。やはりヒト科に属し、人類の直接の祖先かもしれないホモ・エレクトゥスは、140万年続いたかもしれない。するとゴットの推定は、種の寿命についても、確かにおおよそは正しいと言える)。(p. 278)

蛇足ですが、この手の話題を進めると「地球外への移住」にも行きつきますが、そこで思い当たるのはやはりイーロン・マスクです(過去記事)。最近は欠点が目立つようになってきましたが、新たな世界を切り開けるのは彼のような変人だろう、と個人的には考えています。「世界を動かすのは凡人であり、世界を変えるのは変人である」というのが私の持論です。なお「変人」という言葉に語弊を感じられる方は、「神経発達症を強く有している者」と読みかえてください。

2018年8月12日日曜日

中国人と長期投資について(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが中国系メディアによるインタビューに応じた記事がありましたので、ご紹介します。今回取り上げる話題は最重要な教えのひとつ、長期投資についてです。引用元は何度かご紹介しているGuruFocusです。なおインタビューの同席者として、チャーリーが個人的な資産の一部を運用委託しているマネージャー、リー・ルー氏も登場してきます。(日本語は拙訳)

Rare Charlie Munger and Li Lu Interview - Part I (GuruFocus, Grahamites氏の記事)

<質問者> 最初の話題として、プロの投資家はどのようにすれば適切な投資哲学を持てるかについてお聞きしたいと思います。「投資とは良き機会を見つけることにあり、その上で我慢強く長期間保有すべし」とはあなたが主張なさっている言葉ですが、中国にも「十年一剣を磨く」[唐代の詩人、賈島]という言葉があります。その原則を承知しているプロの投資家は大勢いるものの、辛抱が長い期間にわたって続くことはなく、ひいては実入りの少ない投資へと陥っています。そこでお聞きしたいのは、ご自身の見解に従って、どのようにみずからを処しておられるのでしょうか。

<チャーリー・マンガー> それは、もしカジノでギャンブルに興じるかのように投資をするのだとしたら、良い結果はまるで残せないでしょうね。いちばん成功できるのは長期投資ですよ。しかし投資という活動を好きこのむのであれば、つまりカジノでギャンブルをするかのように、ときには儲けてときには損をするといったやりかたをするような人たちは、我が慈しむ人ではないですね。私の好みは長期投資家ですよ。長い期間をかけて物事が成しとげられていくことを理解している人たちです。中国人は賭けごとを減らしてもっと長期にわたって辛抱強く投資すれば、優れた成果を早々にあげられるようになりますよ。

<質問者> あなたは、「辛抱とは投資に不可欠なものであり、持って生まれた性質である」とも発言されています。それはつまり、辛抱強く生まれなかった人は投資をすべきではないということでしょうか。

<チャーリー> この世には愚かしいギャンブラーばかりいますが、彼らが辛抱強い投資家のような結果をあげることはないでしょうね。「辛抱」とは学んで身につく部分もあれば、生まれつきの部分もあります。米国には「集中力持続」という言葉があります。その力を持つ者は、答えを出すまでに長期間かかるゲームや行動において、精神を集中させることができます。中国人も集中力を保ってものごとを進めていますね。それは並はずれて好ましい性質ですよ。というのは、長い時間をかけて物事を深くかつ厳しく考えるほどに、正しい答えへ到達できるからです。そのように集中力をうまく持続させられる人たちが、賭け事にのめりこむのは奇妙なことですね。実に非生産的ですよ。

(つづく)

Question: Let’s start with how professional investors set up the right investment philosophy. You have emphasized that investment depends on finding good opportunities and holding for the long term with patience. In a Chinese saying: It takes 10 years’ time to sharpen one's sword. Although many professional investors know this principle, they fail in being patient in spending long time. This leads to fruitless investment. So how do you make your actions be in accordance with your notions?

Munger: Yes, well if you invests the way people gamble in casinos, you are not gonna do very well. So it’s the long-term investment that works the best. But if you like the action of investing, sometimes winning some losing, just like the action when they gamble in the casino. Those people are not my people. I like the long-term investors who figure out something is going to work over the long term. The sooner the Chinese people gamble less and invest patiently for the long term more, the sooner they will do better.

Question: You also mentioned that patience is necessary for investment and patience is a born characteristic. Does that mean if a person is not born with patience, he or she shouldn’t be investing?

Munger: The world is full of foolish gamblers. They will not do as well as the patient investors. I think patience can be learned to some extent and to some extent you are born with it. There’s a saying in American they call a long attention span. They can keep their mind on a game or an activity for a long time until they’ve solved it. And the Chinese do have a long attention span, and that is hugely desirable quality because you are more likely to get the right answer if you think deeply and hard about the subject for a long time. And it’s odd that people who are so good at having a long attention span like to gamble so much, which is quite counterproductive.

2018年8月8日水曜日

2018年バークシャー株主総会(14)貿易戦争と国家運営(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、前回につづいて貿易戦争の話題です。(日本語は拙訳)

もしそのような状況にあるとしたら、そういった環境のもとで次の2つを実行する必要があります。この国にとって何が有益なのかはわかっているわけですから、それが現実的にどのような形でだれを損ねるのか、非常にうまく説明しなければなりません、たとえば、ニュー・ベッドフォードで当社が操業していた紡織工場で働いていた人が挙げられます。工員の半分はポルトガル語しか話せなかったので、ポルトガル語で説明する必要がありました。そして、彼らは唐突に仕事を失うことになるわけです。何年にもわたっていい仕事をしてきた人たちがです。

やるべきことは2つです。まずは、「全体としてみたときに有益となることに対して、個人が代償を支払っている」ことを理解しなければなりません。

次に、年齢などの理由から再訓練などとんでもないと考えられているところでは、その人たちを援助しなければなりません。同様に、この国全体としてみたときに利益となる物事によって犠牲になる人たちに対してもです。

そのためには社会全体が議員に働きかけて、全体としてみたときに利益が得られるような政策を発展させるように、うながす必要があります。それと同時に、そのプロセスにおいて経済的に押しつぶされる人が多くならないようにすることも必要です。この国では何年にもわたって、さまざまな領域でそうしてきました。

生産年齢にあって就業している人たちは、年寄りや子供の生活を支えています。たとえば、米国で赤ちゃんが生まれるということは、12年間の教育を受けさせる義務が生じます。それにかかる費用が、現在では15万ドルになることをご存知でしょうか。

この社会では、生産年齢人口に含まれる人たちと、老人や子供世代を結びつける仕組みがあります。そしてその仕組みは、時とともに改善されています。現状は「完璧」からほど遠いものですが、ここまで来る間にも改善されてきました。

適切な説明がなされた上で、犠牲になった人たちを政策面から援助する体制があれば、貿易はこの国にとって有益なものですし、またそのように説明できるものだと信じています。

そうは言いましたが、メイン州のデクスターで靴の生産に携わっていた人や、マサチューセッツ州のニュー・ベッドフォードで織機の仕事をしていた人、はたまたオハイオ州のヤングスタウンにある製鉄所で働いていた人たちを説得するのは、むずかしいことでした(拍手)。[過去記事]

And you need to do two things under those circumstances, if you have that situation. You know what’s good for the country. So, you have to be very good at explaining how it does really hurt, in a real way, somebody that works in a textile mill, like we had in New Bedford, where you only spoke Portuguese - half our workers only spoke Portuguese. And suddenly, they have no job. And they’ve been doing their job well for years.

You’ve got to do two things. You can - you’ll have to - you have to understand that that’s the price individuals pay for what’s good for the collective good.

And secondly, you’ve got to take care of the people that are - that - where retraining is a joke because of their age, or whatever it may be. And you’ve got to take care of the people that become the roadkill in something that is collectively good for us as a country. And -

That takes society acting through its representatives to develop the policies that will get us the right collective result, and not kill too many people economically in the process. And you know, we’ve done that in various arenas over the years.

The people in their productive years do help take care of the people that are too old, and too young. I mean, every time a baby is born in the United States, you know, we take on an obligation of educating them for 12 years. It’ll cost $150,000 now, you know? It -

We have a system that has a bond between the people in their productive years and the ones in the young and old. And it gets better over time. It’s far from perfect now. But it has gotten better over time.

And I believe that trade, properly explained, and with policies that take care of the people that are roadkill, is good for our country and can be explained.

But I think it’s a tough - it’s been a tough, tough sell to a guy that made shoes in Dexter, Maine or worked on a loom in New Bedford, Mass, or works in the steel mill in Youngstown, Ohio. (Applause)

2018年8月4日土曜日

2018年バークシャー株主総会(13)貿易戦争と国家運営(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、現在の大きな問題である貿易戦争の話題です。その4字熟語が示すとおり、経済と政治の領域をまたいだ見解が述べられています。本シリーズ前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

18. 鉄鋼関税についてマンガー曰く、「あのドナルド・トランプでさえ、正しいときもある」

<ウォーレン・バフェット>  質問所5番のかた、どうぞ。

<聴衆からの質問者; おそらく小学生> ウォーレン・バフェットさん、チャーリー・マンガーさん、おはようございます。ぼくの名前はイーサン・ムポーザです。ネブラスカ州のオマハに住んでいます。

ドナルド・トランプの関税政策は、バークシャー・ハサウェイの製造関連事業に影響するでしょうか。(拍手)

<ウォーレン> そうですね、今のところは鋼材費用がいくぶん増加しています。しかし以前にもお話ししたように、米国と中国の双方が、自らを転落させるようなことはしないと思います。入れ替わりは幾分あるでしょうし、人によってはありがたくない事態になるかもしれませんが、いかなる種類であろうと本物の貿易戦争がこの国で続くことはないと思います。

この手のことを過去に何度か経験してきたわけですから、そこから教訓を得てきたと思います。

ただし、米国が掲げる貿易方針の一部に不満を抱く人たちが出てくるとは思います。同様に、他所が実行することに対してわたしたちが不満に感じることもあるでしょう。しかし結局のところは、ひどい答えに達することはないだろうと思います。

チャーリーはどうですかね..

<チャーリー・マンガー> そうですよ。製鉄業界の状況は、米国製鉄業界にとって信じられないほどの逆風でしたよ。

たとえドナルド・トランプであっても、今回の件では正しい判断も下していますね。(笑いと拍手)

<ウォーレン> 常々言っていることですが、どんな大統領であろうとも、その人物は最高教育責任者であるべきです。フランクリン・ルーズベルトが大恐慌の時期に、語らいの場として炉辺談話[=ラジオ放送]を始めたのはそのためです。何をしなければならないのか、また何が起こっているのかを大衆へと伝達する上で、とても重要なことでした。

貿易とはことさら難しい問題です。これは、貿易による便益が基本的に目に見えないからです。もし米国内での生産を強制する規則が定められていたら、今日身に着けている衣服を買うのにどれほど支払うことになっていたでしょうか。あるいは、テレビ受像機などの値段はどうなったでしょうか。

いろいろと買い求めていたり、自分のビジネスを継続しているときに、どんな便益を享受しているのか、日常において気にかける人はいないはずです。

一方、[貿易政策によって被る]欠点については、とても明白で、ひどく痛みを伴うものがあります。当社がメーン州で営んでいた製靴会社(デクスター・シューズ社)で起きたように、もしみなさんが解雇されたとしたら、どんな気持ちになるでしょうか。非常に優秀な現場作業員で、自分の仕事に誇りを持ち、おそらくは両親もかつては同じように働いていたものの、米国製の靴は外国製の靴とくらべて競争力がないことを、唐突に見せつけられるわけです。

アダム・スミスやデヴィッド・リカードなどについて話せばよいとか、自由貿易や比較優位やその手のあらゆることの利点を説明すれば、と思うかもしれません。しかしそれでは何も変わりません。[参考記事]

55や60歳の人にとって再訓練などの話になったとしても、「だからどうした」と思うことでしょう。

ですから、「便益面はおもてに現れないものの、費用面は非常にわかりやすい」といった影響を、ある程度の割合の支持者が被る場合、そのような状況で行う政治は厄介なものになるわけです。

(つづく)

18. Munger on steel tariffs: “Even Donald Trump can be right”

WARREN BUFFETT: OK. Station five.

AUDIENCE MEMBER: Good morning, Warren Buffett and Charlie Munger. My name is Ethan Mupposa (PH), and I am from Omaha, Nebraska.

My question is, how will Donald Trump’s tariffs affect the manufacturing business of Berkshire Hathaway?

WARREN BUFFETT: Well, to date - (applause) - steel costs - we’ve seen steel costs increase somewhat. But as I said earlier, I don’t think the United States or China - there’ll be some jockeying back and forth, and there will be something that leaves some people unhappy and - but I don’t think - I don’t think either country will dig themselves into something that precipitates and continues any kind of real trade war in this country.

We - we’ve had that in the past a few times. And I think we’ve learned a general lesson on it.

But there will - there will be some things about our trade policies that irritate others. And there will be some from others that irritate us. And there will be some back and forth. But in the end, I don’t think we’ll come out with a terrible answer on it.

Charlie, I’ll let you -

CHARLIE MUNGER: Well, steel has - it reached - the conditions in steel were almost unbelievably adverse to the American steel industry.

You know, even Donald Trump can be right on some of this stuff. (Laughter and applause)

WARREN BUFFETT: The - the thing about trade - you know, I’ve always said that the president, whether it’s president - any president - needs to be an educator-in-chief, which [Franklin] Roosevelt was in the Depression. That’s why he had those Fireside Chats, and it was very important that he communicated to the people what needed to be done and what was happening around them, and -

Trade is particularly difficult, because the benefits of trade are basically not visible, you know. You don’t know what you would be paying for the clothes you’re wearing today if we’d had a rule they all had to be manufactured in the United States, or what you’d be paying for your television set, or whatever it may be.

No one thinks about the benefits day-by-day as they walk around buying things and carrying on their own business.

The negatives, and there are negatives, are very apparent and very painful. And if you’re laid off - like happened in our shoe business [Dexter Shoes] in Maine - and you know you are - been a very, very, very good worker, and you were proud of what you did, and maybe your parents did it before you, and all of a sudden you find out that American shoes - shoes manufactured in America - are not competitive with shoes made outside the United States.

You know, you can talk all you want about Adam Smith or David Ricardo or something and explain the benefits of free trade and comparative advantage and all that sort of thing, and that doesn’t make any difference.

And if you’re 55 or 60 years old, to talk about retraining or something like that, you know, so what?

So, I - it is tough in politics where you have a hidden benefit and a very visible cost to a certain percentage of a - of your constituency.

2018年7月28日土曜日

(解答)プロの投資家たちが選ぶ数を当てよ(おまけ、バブル3景)

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まずは、前回の投稿でとりあげた問題に対する解答です。(日本語は拙訳)

66を越える答えがいくつもあったことには、少しばかり首をひねりましたね。そもそも取り得る数の最大値は66です。だれもが100を選んだ時にちょうどそうなる数字です。図表7をみると度数の上昇が認められることから、さまざまな水準で帰納的推論がなされたことがわかります。各参加者が選んだ数字の平均は26でした(この手のゲームではよくある値です)。それゆえ、平均値の2/3は17.4となります。このゲームにおいて他の人たちから一歩先んじることが、実に難しいことがわかる数字です。(p. 6)

(出典: 後述)

The fact I got a number of answers above 66 is a little disturbing! The highest possible answer is 66, because to pick this one must believe that everyone else has just picked 100. In Exhibit 7, you can see spikes at various levels of induction. The average number picked turned out to be 26 (which is fairly typical of such games), and thus the two-thirds average was 17.4. It proved incredibly hard to be one step ahead of everyone else in this game.

もうひとつご紹介する内容は、バブルについてです。今回引用した文書の著者ジェームズ・モンティエ氏は、現在の(主に米国)株式市場は一種のバブル状態にあると評価しています。ただしバブルには次に示すような種類があり、現在のバブルは上述したような「美人コンテスト的バブル」だと述べています。なお、引用元の文献は以下のとおりです(少し前に発表された文書のため、すみませんがURLが見つかりませんでした)。

The Advent of a Cynical Bubble (James Montier, GMO Asset Allocation Insights, Feb 2018)

1つ目の種類のバブルは典型的なもので、「XX現象」や「XX狂」と呼ばれることもあります。まさしくこれは「信念」がバブル状態にあるものです。この種のバブルでは、「今回ばかりは違う」「新たな時代が始まったのだ」と信じ込むようになります。巨大バブルの歴史を飾ってきた実例を挙げてみると、ドットコム・バブル[ハイテク、メディア、通信関連業界]、日本でのバブル、米国住宅バブル、行け行けの1920年代、があります。それらはいずれも、「妄想的な新時代思考」を示した輝かしい事例として際立っています。

2つ目の種類のバブルは「本源的バブル」と描写されるものです。このバブルでは、バブルの源にファンダメンタルズが存在します。さらに言えば、利益の上昇率が継続不能な水準まで増加することで、投資家が[将来の見通しをそのまま]外挿したり、過剰資本を起こしがちになります。米国住宅バブル期の金融企業は、この種のバブル状態にあった好例でした。住宅市場で沸いたバブルのおかげで彼らの利益は増大しましたが、多くの投資家はその事実を認識していませんでした。

3つ目の種類のバブルは、アカデミックな文献において「近合理的バブル」として知られています。個人的には、この命名にまるで賛成できません。その言葉は「見せかけの敬意」を匂わせていますが、私としては価値が認められないからです。私からすれば、このバブルは「さらなる愚者を待つ市場」をうまく描写したものだと考えています。「当該資産を妥当な価格(あるいは本源的価値)で買えたとは考えてもいないのに、バブルがはじける前にもっと高値で他人へ売りつけたいがゆえに買う」点で、なんとも冷笑的なバブルです。シティバンクの元CEOだったチャック・プリンスは、よくある冷笑的バブル思考を的確に披露してくれました。2007年7月にそれを示す言葉を口にしたのです。「曲の演奏がつづく限り、席を立って踊り続けねばなりません。当社はまだ踊り続けているのです」と。(p. 3)

The first and canonical type of bubble is the what might be called the “Fad” or the “Mania.” This is truly a bubble of belief. In this type of bubble, people really do believe that this time is different, that a new era has been begun. These are the great bubbles of history: the TMT bubble, the Japanese bubble, the US housing bubble, and the Roaring 20s all stand out as shining examples of delusional new age thinking.

The second type of bubble is described as an intrinsic bubble. In an intrinsic bubble, it is the fundamentals that are the source of the bubble. That is to say, earnings booming at an unsustainable rate, which then often gives rise to extrapolation and overcapitalization by investors. Financials during the US housing bubble were a good example of this kind of bubble. Their earnings were inflated by the economic bubble in the housing market, and this wasn’t recognized by many investors.

The third type of bubble is known in the academic literature as a near rational bubble. I am not a great fan of this nomenclature as it suggests a veneer of respectability that I find undeserved. To me these are really better described as greater fool markets. They are cynical bubbles in that those buying the asset in question don’t really believe they are buying at fair price (or intrinsic value), but rather are buying because they want to sell to someone else at an even higher price before the bubble bursts. Chuck Prince, the former CEO of Citibank, aptly demonstrated the typical cynical bubble mentality when in July of 2007 he uttered those fateful words, “As long as the music is playing, you’ve got to get up and dance. We are still dancing.”

2018年7月24日火曜日

(問題)プロの投資家たちが選ぶ数を当てよ

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以前に取り上げたことのあるマネー・マネージャー(M氏としておきます)の文章を読んでいたところ、おもしろい試みを取りあげていたので、ご紹介します。

M氏は現在の市場の成り行きを表現する上で、有名なケインズのたとえ話「美人コンテスト」をあげました。

職業家としての投資とは、新聞が主催する次のような競技に例えられるかもしれない。「参加者は、100枚ある顔写真の中から、もっとも美しい6名を選び出さなければならない。その際に、全参加者の選んだ平均にもっとも近い選択をした者が優勝となる」。各参加者は、もっとも美しいと自分自身が考える顔ではなく、他の参加者たちの気を惹く可能性がもっとも高い顔を選択しなければならない。そのため、誰もがこの問題を同じ観点からとらえることになる。もっとも美しいことが事実だったとしても、個人の判断で最上の顔を選ぶやりかたは適切ではない。さらには、平均としてみたときに純粋にもっとも美しいと思われる顔ですらない。それゆえに、この問題は第3次の水準に到達することとなる。「平均的見解とは何か」を予想する平均的見解がどのようなものかを判断するがために、知力を働かせるのだ。私が思うに、4次や5次さらにはもっと高次の思考を巡らす者がいるはずだ。

Professional investment may be likened to those newspaper competitions in which the competitors have to pick out the six prettiest faces from a hundred photographs, the prize being awarded to the competitor whose choice most nearly corresponds to the average preferences of the competitors as a whole; so that each competitor has to pick, not those faces which he himself finds prettiest, but those which he thinks likeliest to catch the fancy of the other competitors, all of whom are looking at the problem from the same point of view. It is not a case of choosing those which, to the best of one’s judgment, are really the prettiest, nor even those which average opinion genuinely thinks the prettiest. We have reached the third degree where we devote our intelligences to anticipating what average opinion expects the average opinion to be. And there are some, I believe, who practise the fourth, fifth and higher degrees.

そのうえでM氏は、美人コンテストのアイデアを実際に試すことをねらって次のような要領のゲームを実施したことを、紹介していました。

・ゲームの参加者は、0から100の整数の中から、ある数をひとつ選ぶこと。
・「全ゲーム参加者が選んだ数の平均値の3分の2」の値に最も近い数を選んだ者が、このゲームの勝者となる。

A game based on this idea can be constructed where participants are told to choose a number between 0 and 100.
The winner will be the person who picks the number closest to two-thirds of the average number picked.

ゲームの参加者はプロの投資家1,000名超とのことで、この情報は事前に知っておいてよいものと解釈しましょう。次回の投稿で正答(=平均値の2/3)を挙げますので、ぜひみなさんも勝者になることをめざして、お考えになってみてください。

なお、わたし自身も挑戦してみました。正答ではなかったものの、2ポイント程度の差に落ち着きました。まずまずのスコアだと自己評価しましたが、細かな詰めが甘いのはいつもながらの反省点です。

2018年7月20日金曜日

ヨーロッパが豊かになった理由(『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』)

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中世までは世界の片田舎でしかなかった西欧が世界の中心部へと躍進した理由は、人文科学の領域でたびたび取り上げられる主題です。少し前の投稿でとりあげた本『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』でも、単純ながらも強力な説明をしていたので、引用してご紹介します。

この時代、科学と技術の面ではアラブ人がはるかに先を行っており、西洋ではほぼ忘れ去られていたギリシャ哲学を生かし続けたのもアラブ人だった。

同時期に、経済的にも文化的にも繁栄した中国を支配していたのは宋王朝だった。法治と高い経済的な自由のおかげで、イノベーションの気運が生まれた。中国人は活字や火薬や羅針盤を使っていた--これは1620年という時期になっても、三大発明としてフランシス・ベーコンが挙げたものだ。

でも14世紀に中国を支配した明王朝は、技術や外国人に敵対した。海洋航海を死罪にして、世界を発見したかもしれない大型船を焼き払った。同様に、イスラム世界は13世紀の蒙古侵略のあとで内向きとなり、科学と近代化の多くの発想を粛清した。オスマン帝国では新技術は阻害され、印刷術は300年も遅れてしまい、タキ・アッディンが1577年に作ったイスタンブールの近代的な天文台は、たった3年しか続かずに、その後は神をスパイしようとしているといって破壊されてしまった。

別にヨーロッパの列強がマシだったわけではない。ヨーロッパのエリート層もまた新しいアイデアやイノベーションに反対した。でもこの大陸はあまりに断片化していた--地理的にも政治的にも言語的にも--おかげで、何か一つの集団や皇帝がそのすべてを支配はできなかった。著書『ヨーロッパの奇跡』でエリック・ジョーンズは、14世紀にはヨーロッパに1,000以上の政治単位があったと述べている。この複数主義はある意味で、競合する国民国家の体系を構築したときにもまだ残っていたといえる。新しい理論や発明、ビジネスモデルは必ずどこかでは生き延びられたし、その優位性を実証できた。それが他の人々に模倣されて、広まる。進歩は常に命綱を得られたというわけだ。

つまりヨーロッパを豊かにしたのは、優れた思想家や発明家や企業ではなく、ヨーロッパのエリート層がそれを邪魔するのにあまり成功しなかったという事実なのだった。アイデア、技術、資本は国から国へと移動できたので、国はお互いに競争して学び合うしかなく、お互いを近代化へと押しやった。これはいまのグローバリゼーションの時代と少し似ている。(p. 302)

2018年7月18日水曜日

2018年上半期、米国株式市場の総括

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何度か取り上げているバリュー投資家ウォーリー・ワイツ氏が、パートナー向けのレター(第2四半期)を公開していました。そのなかで興味深い数字が示されていたので、孫引きになりますがご紹介します。(日本語は拙訳)

2Q18 Value Matters (Weitz Investments)

テクノロジーや「確かな成長」を謳う各種のストーリーが、第2四半期にも投資家を魅了し続け、市場を高みへと導きました。なぜならそこには超大型の銘柄が含まれており、時価総額加重方式をとる同指数に対して、不釣り合いなほどの影響をもたらしたからです。経済コンサルタント会社として知られるゲイブカル・キャピタル(と同社の記事「統計で楽しもう」)によれば、2018年の前半6カ月間にS&P500があげた上昇分の71%は、アマゾン・マイクロソフト・アップルが寄与したものでした。その3社に加えて、マスターカード、さらには別のテクノロジー4銘柄が、同指数のあげた上昇分の105%に寄与していました。つまりそれら以外の492銘柄を合計すると、6月末時点では前年末比で下落していたのです。

In the second quarter, technology and other “reliable growth” stories continued to appeal to investors. They led the market higher, and because some are very large, they had a disproportionate impact on the capitalization-weighted indices. According to economic consultants, GaveKal Capital (and under the heading of “fun with statistics”), during the first six months of 2018, Amazon, Microsoft and Apple accounted for 71% of the gain in the S&P 500. Those three, along with Mastercard and four other tech stocks, accounted for 105% of the index’s gain. The other 492 stocks were, collectively, down year to date.

2018年7月16日月曜日

2018年バークシャー株主総会(12)米国における医療費の問題について(後)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、前回のつづきでアマゾン社及びJPモルガン社との提携に関する話題です。お決まりのネタですが、ウォーレン・バフェットのジョークも楽しめます。(日本語は拙訳)

ただしこの提携は、利益を第一に考えて始めたものではありません。「従業員に対して優れた医療サービスをより安価に提供したい」、それがわたしたちの果たしたいことです。彼らが受けるサービスが現在よりも劣ったものになるのであれば、そのような考えに取り組むつもりは毛頭ありません。

しかし、「効果があり得る重大な変化を、実際に起こす方法がみつかるかもしれない」とわたしたちは考えています。そして、とてつもない抵抗が生じるであろうこともわかっています。

もし失敗におわるとしても、少なくとも挑戦したことにはなります。しかしこの件で必要な発想とは、わたしが「医療関係の諸専門誌をいくつか読んでブレイクスルーの瞬間を得たことで、あたかも医療機器システムのように組み込まれている一部分を取り替えることによって、何かしら貢献できる」と考えた程度のものではありません。

3つの組織にはおそらく100万名を超える従業員がいますが、わたしたちが公表したのちに、この件に携わりたいと希望する人からの連絡が止めどなくありました。現在は参画という段階ではないですが、もし効果的な発想に至ることができれば、いずれはそのような体制になるでしょう。つまりこの件で必要な発想とは、そのような水準のものです。

そして資源を投入できるか、要員を投入できるか、さらには何をおいてもCEOが重要です。要員を揃え、彼らを支援した上で、どうにかして良い方法を見つけられるだろうか。わたしたちの子供などの生涯において、18パーセントの数字が20や22パーセントに達することなく、良質な医療を享受し続けることができるものか。それというのも、結局のところ「無い袖は振れない」からです。

いずれは、それがわかるときが来ます。もし[バークシャー副会長の]アジート・ジェインであれば保険数理的に算定するでしょうから、わたしたちの構想には伸(の)らないでしょう。しかしそれでも、何かを成し遂げる可能性はあると思っています。

数値化できる人はいないと思いますが、わたしたちが何か重要なことを成し遂げる可能性はあります。なんといっても、実際に取り組む上で、わたしたちはほぼ最良の立場にあります。まぎれもなく適切なパートナーを得たわけですから、まずは行動に移して、行く末を見守りたいと思います(拍手)。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> この種の公共サービスにおいて、成功を収めた先達がおりましたよ。何十年も前にさかのぼれば、ジョン・D・ロックフェラーが私財を費やして米国医療の分野を著しく発展させました。「著しい」という言葉がぴったりですよ。それに匹敵する発展をなしとげた人間は、他にはだれもいませんね。

ですから、ウォーレンがある方法でロックフェラーを模倣しているのは、その次になるわけです。たぶん良い結果になるでしょうがね。

<ウォーレン> ちなみにロックフェラーは非常に長生きしましたから、わたしは実際に3つの点で彼を真似している最中になります(笑)。

どうなるのかは、いずれわかります。しかし現在は多くの進展をみているところです。おそらく2,3か月のうちにはCEOを見つけられるでしょう。もし見つからなくても、締め切り的なものに間に合わせるだけのために、だれかを据えようとは考えていません。すばらしいパートナーがいるわけですから。

ただしわたしたちの提携では、正式な契約は結んでいません。ある会社の法務部門の人がお膳立てを進めていましたが、そこのCEOがとめました。

みなさんの所属する組織でも、多くの資源を抱えている部署があると思います。わたしたちも、わたしたちなりの官僚主義を抱えています。しかし、もし本当にもっともだと思えることがあれば、官僚主義を取り払うことができます。

支持を得られることもあれば、同時に反発も数多くあると思います。しかしわたしたちの考えが理にかなったものであれば、多くの米国企業から支持を集めるでしょう。

しかし言うまでもないですが、容易なことだったとしたら、すでに解決しているはずです。

<チャーリー> 簡単なことではないですよ。

<ウォーレン> そのとおりです。しかし挑戦してみるべきです。

But it is not a - the motivations are not primarily profit-making. They’re - we want to deliver - we want our employees to get better medical service at a lower cost. We’re not going to - we’re certainly not going to come up with something where we think the service that they receive is inferior to what they’re getting now.

But we do think that there may be ways to make a real - significant changes - that could have an effect. And we know that the resistance will be unbelievable.

And if we fail, we’ve at least tried. And - but they - the idea is not that I will be able to contribute anything to, you know, in some breakthrough moment, by reading a few medical journals or something - (laughs) - changing something that is as embedded as the medical system.

But the idea is that maybe the three organizations, which employ over a million people and which, after we announced it, we had a flood of calls from people that wanted to join in, but there isn’t anything to join into now. But they will if we have - come up with any ideas that are useful.

Whether we can - bring the resources, bring the person. And the CEO is terribly important. And then bring the person, support that person. And somehow, figure out a better way for people to continue to receive better medical care in the United States without that 8 percent - 18 percent - going to 20 or 22 percent, you know, in the lifetime of, you know, our children or something of the sort - because there are only a hundred cents in the dollar.

And we will see what happens. It’s - you know - if you were Ajit [Jain], actuarially figuring, it would not - you would not bet on us. But - I think there is some chance we will do something.

There’s a chance - nobody can quantify it - that we can do something significant. And we are positioned better than most people to try. And we’ve certainly got the right partners. So, we will give it a shot and see what happens.

Charlie? (Applause)

CHARLIE MUNGER: There is some precedent for success in this public service activity. If you go back many decades, John B. Rockefeller I, using his own money, made an enormous improvement in American medical care. Perfectly enormous. In fact, there’s never been any similar improvement done by any one man since that rivals it.

So Warren, having imitated Rockefeller in one way, is just trying another. And maybe it’ll work.

WARREN BUFFETT: Rockefeller, incidentally, lived a very long time. So I actually am trying to imitate him three ways there. (Laughter)

We’ll see what happens. But we are - we’re making a lot of progress. And I think we’ll probably have a CEO within a couple of months. But if we don’t have one, then we’re not going to pick somebody just because we want to meet any deadline or anything like that. We’ve got these wonderful partners.

We don’t have a partnership agreement among us. Somebody started drawing up one in a legal department and the CEO just put a stop to it.

They - you do have places that have a lot of resources. And while we all have our share of bureaucracy, we can cut through it if we’ve got something that we really think makes sense.

And we will get the support - we’ll get - we’ll get a lot of resistance, too. But we will get the support of a lot of American business, if we come up with something that makes sense.

But if it was easy, it would’ve already been done. There’s no question about that.

CHARLIE MUNGER: It’s not easy.

WARREN BUFFETT: No. (Laughs) But it should be tried.

2018年7月12日木曜日

2018年バークシャー株主総会(11)米国における医療費の問題について(前)

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バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、最近話題になっていたアマゾン社やJPモルガン社との提携話についてです。今回の質問者は、本題以外にも別の観点からの思いを込めて質問しています。しかしウォーレン・バフェットは脱線することなく、本題だけに集中して答えており、明快な捌きぶりだと感じました。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

15. アマゾン社及びJPモルガン社との医療費関連の提携

<ウォーレン・バフェット> 質問所4番のかた、どうぞ。

<質問者> チャーリーさん、ウォーレンさん、おはようございます。私は御二方の熱烈なファンで、チャーリーが書かれた認知上のバイアス25項目については特に気に入っています[過去記事一覧]。そのため、本題から若干はずれるとは思います。

私はワシントン州のシアトルから参りました。デジタル・マーケティングの会社を一人で運営しています。フェイスブック上の広告や電子メールを使ったマーケティングを専門としており、それらを多用しています。チャーリーが説明されたコカ・コーラに関する詳細は、実に信頼できるものと感じています[過去記事一覧]。

顧客の製品が持つ構造を理解したり宣伝したりする方法を見つける際に、[前述した認知上のバイアスを]参考情報として利用しています。ですからチャーリーの示された認知上のバイアスが、インターネット関連の企業においてうまく働くことは、明言できます。

さて、アマゾンやJPモルガンと医療関連で提携するとのことで是非ともお聞きしたいのですが、インターネット関連の企業に対して例のバイアスを適用する方法を、御二方は理解されはじめたのでしょうか。あるいは事業を理解しているとすれば、他の道具を使うことにしたのでしょうか。それというのも、「理解していない事業には投資しない」と度々発言してこられたものですから。

<ウォーレン> そうですね、わたしたちは医療関連の企業を設立するつもりはありませんし、必ずしも保険業のような会社をつくるわけでもありません。ただ単に、わたしが敬愛し信頼するリーダーの率いる3つの組織が存在するだけのことです。それら3つが互いにやりとりをしている、といったものです。

チャーリーは正しくも次のような発言をしていたと思います。「1960年にはGDP比で5パーセントだったのが、現在は18パーセント近くに達しているシステムを、なんらかの方法で変更することは、ほぼ不可能である」と。そのようなシステムに対して、わたしたちは何とかしたいと望んでいます。

米国のビジネスは他の国とくらべると、医療費の面が大きな足かせとなっています。かつて米国が5パーセントでやっていた時代に、米国のように5パーセント程度でやっていた国々がありました。しかし今では、かの国々が11パーセント越えないあたりでやっているところを、米国はなんとか18パーセントに抑えている状況です。

まさしく1960年には、米国における一人当たり医療費は170ドルでした。しかし今では1万ドル以上を費やしています。

「無い袖は振れぬ」わけですから、費用の問題が生じます。米国実業界とその競争力の面で、この問題は寄生虫であると言えます。

米国よりも少ない費用でうまくやっている諸国とくらべると、一人当たりの医者数が米国のほうが少なかったり、一人当たりの病床数や看護師数も少ない例があります。

医療システム全体が扱う金額は3兆3千億ドルに達しています。これは連邦政府の歳入とほぼ同じ金額です。3兆3千億ドルもの金額が、システムにかかわる云百万・云千万もの人たちに分配されるわけです。そのお金の1ドル1ドルが有権者へとつながっています。まさしく政治と言えるものです。

わたしたちのCEO探しは、現在取り組んでいるところですが、きっと果たせるでしょうから、遠からず発表できると思います。しかし、このことがカギとなります。

だれもが認めているように、医療システムの費用面は、ある種制御不能となっています。しかし往々にしてだれもが、他人の過失によるものだと考えています。果たしてCEOとなるその人物が想像力を抱き、さらに人々を支援することを通じて、種々の重大な改善をシステムにもたらせるでしょうか。やがては解が見つかるでしょうが、容易なことではないと思います。

(つづく)

15. Health care costs partnership with Amazon and JPMorgan

WARREN BUFFETT: OK. (Laughter) Station 4.

AUDIENCE MEMBER: Good morning, Charlie and Warren. I know that seems a little bit out of order, but I’m a huge fan of yours, Charlie, mostly for your 25 Cognitive Biases.

I’m from Seattle, Washington. I run a one-person digital marketing firm that specializes in Facebook ads and email marketing. I use these a lot. I - your breakdown of Coca-Cola was really, really solid.

And I use that as reference when looking to how to understand the mechanics of my clients’ products and how to promote them. So I’m fairly certain that your cognitive biases work for internet-related companies.

Now that you’re partnering with Amazon [and JPMorgan] on health care, I’m curious, have you started to understand how to apply these biases to internet-related companies? Or is there another set of tools you use to decide if you understand a business? Because you guys talk a lot about not investing in businesses that you don’t understand.

WARREN BUFFETT: Well, health care is a - we don’t plan to start health care companies or, necessarily, insurers or anything. We simply have three organizations with leaders that I admire and trust. And we - mutually goes around all three.

And we hope to do something which Charlie correctly would probably say is almost impossible to change in some way a system which is - was taking 5 percent of GDP in 1960, and now is taking close to 18 percent.

And we have a hugely noncompetitive medical cost in American business, relating to any country in the world. The countries that - there were some countries that were around our 5 percent when we were at 5 percent. But we’ve managed to get to 18 without them going beyond 11 or so.

Literally, in 1960, we were spending $170 per capita on medical costs in the United States. And now we’re spending over 10,000.

And, you know, every dollar only has a hundred cents. So there is a cost problem. It is a tapeworm, in terms of American business and its competitiveness.

We don’t - we have fewer doctors per capita. We have fewer hospital beds per capita, fewer nurses per capita, than some of the other countries that are well below us.

And you’ve got a system that is delivering $3.3 trillion - that’s almost as much as the federal government raises - it’s delivering 3.3 trillion, or some number like that, to millions and millions and millions of people who are involved in the system. And every dollar has a constituency. It’s just like politics.

And whether we can find the chief executive, which we’re working on now, and which I would expect we would - we would be able to announce before too long - that - but that’s a key part of it.

And whether that person will have the imagination and support of people that will enable us to make any kinds of significant improvements in a system which everybody agrees is sort of out of control on cost, but what - but - but they all think it’s the other guy’s fault, generally - we’ll find out. It won’t be - it won’t be easy.

なお新会社のCEOは少し前に決定しています(6月20日付の公式発表[PDF])。選任されたのはアトゥール・ガワンデ氏、本ブログではチェックリストに関する過去記事で取り上げた人物です。チャーリー・マンガーごひいきの人物を選んだわけですね。