ot

2018年7月18日水曜日

2018年上半期、米国株式市場の総括

0 件のコメント:
何度か取り上げているバリュー投資家ウォーリー・ワイツ氏が、パートナー向けのレター(第2四半期)を公開していました。そのなかで興味深い数字が示されていたので、孫引きになりますがご紹介します。(日本語は拙訳)

2Q18 Value Matters (Weitz Investments)

テクノロジーや「確かな成長」を謳う各種のストーリーが、第2四半期にも投資家を魅了し続け、市場を高みへと導きました。なぜならそこには超大型の銘柄が含まれており、時価総額加重方式をとる同指数に対して、不釣り合いなほどの影響をもたらしたからです。経済コンサルタント会社として知られるゲイブカル・キャピタル(と同社の記事「統計で楽しもう」)によれば、2018年の前半6カ月間にS&P500があげた上昇分の71%は、アマゾン・マイクロソフト・アップルが寄与したものでした。その3社に加えて、マスターカード、さらには別のテクノロジー4銘柄が、同指数のあげた上昇分の105%に寄与していました。つまりそれら以外の492銘柄を合計すると、6月末時点では前年末比で下落していたのです。

In the second quarter, technology and other “reliable growth” stories continued to appeal to investors. They led the market higher, and because some are very large, they had a disproportionate impact on the capitalization-weighted indices. According to economic consultants, GaveKal Capital (and under the heading of “fun with statistics”), during the first six months of 2018, Amazon, Microsoft and Apple accounted for 71% of the gain in the S&P 500. Those three, along with Mastercard and four other tech stocks, accounted for 105% of the index’s gain. The other 492 stocks were, collectively, down year to date.

2018年7月16日月曜日

2018年バークシャー株主総会(12)米国における医療費の問題について(後)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、前回のつづきでアマゾン社及びJPモルガン社との提携に関する話題です。お決まりのネタですが、ウォーレン・バフェットのジョークも楽しめます。(日本語は拙訳)

ただしこの提携は、利益を第一に考えて始めたものではありません。「従業員に対して優れた医療サービスをより安価に提供したい」、それがわたしたちの果たしたいことです。彼らが受けるサービスが現在よりも劣ったものになるのであれば、そのような考えに取り組むつもりは毛頭ありません。

しかし、「効果があり得る重大な変化を、実際に起こす方法がみつかるかもしれない」とわたしたちは考えています。そして、とてつもない抵抗が生じるであろうこともわかっています。

もし失敗におわるとしても、少なくとも挑戦したことにはなります。しかしこの件で必要な発想とは、わたしが「医療関係の諸専門誌をいくつか読んでブレイクスルーの瞬間を得たことで、あたかも医療機器システムのように組み込まれている一部分を取り替えることによって、何かしら貢献できる」と考えた程度のものではありません。

3つの組織にはおそらく100万名を超える従業員がいますが、わたしたちが公表したのちに、この件に携わりたいと希望する人からの連絡が止めどなくありました。現在は参画という段階ではないですが、もし効果的な発想に至ることができれば、いずれはそのような体制になるでしょう。つまりこの件で必要な発想とは、そのような水準のものです。

そして資源を投入できるか、要員を投入できるか、さらには何をおいてもCEOが重要です。要員を揃え、彼らを支援した上で、どうにかして良い方法を見つけられるだろうか。わたしたちの子供などの生涯において、18パーセントの数字が20や22パーセントに達することなく、良質な医療を享受し続けることができるものか。それというのも、結局のところ「無い袖は振れない」からです。

いずれは、それがわかるときが来ます。もし[バークシャー副会長の]アジート・ジェインであれば保険数理的に算定するでしょうから、わたしたちの構想には伸(の)らないでしょう。しかしそれでも、何かを成し遂げる可能性はあると思っています。

数値化できる人はいないと思いますが、わたしたちが何か重要なことを成し遂げる可能性はあります。なんといっても、実際に取り組む上で、わたしたちはほぼ最良の立場にあります。まぎれもなく適切なパートナーを得たわけですから、まずは行動に移して、行く末を見守りたいと思います(拍手)。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> この種の公共サービスにおいて、成功を収めた先達がおりましたよ。何十年も前にさかのぼれば、ジョン・D・ロックフェラーが私財を費やして米国医療の分野を著しく発展させました。「著しい」という言葉がぴったりですよ。それに匹敵する発展をなしとげた人間は、他にはだれもいませんね。

ですから、ウォーレンがある方法でロックフェラーを模倣しているのは、その次になるわけです。たぶん良い結果になるでしょうがね。

<ウォーレン> ちなみにロックフェラーは非常に長生きしましたから、わたしは実際に3つの点で彼を真似している最中になります(笑)。

どうなるのかは、いずれわかります。しかし現在は多くの進展をみているところです。おそらく2,3か月のうちにはCEOを見つけられるでしょう。もし見つからなくても、締め切り的なものに間に合わせるだけのために、だれかを据えようとは考えていません。すばらしいパートナーがいるわけですから。

ただしわたしたちの提携では、正式な契約は結んでいません。ある会社の法務部門の人がお膳立てを進めていましたが、そこのCEOがとめました。

みなさんの所属する組織でも、多くの資源を抱えている部署があると思います。わたしたちも、わたしたちなりの官僚主義を抱えています。しかし、もし本当にもっともだと思えることがあれば、官僚主義を取り払うことができます。

支持を得られることもあれば、同時に反発も数多くあると思います。しかしわたしたちの考えが理にかなったものであれば、多くの米国企業から支持を集めるでしょう。

しかし言うまでもないですが、容易なことだったとしたら、すでに解決しているはずです。

<チャーリー> 簡単なことではないですよ。

<ウォーレン> そのとおりです。しかし挑戦してみるべきです。

But it is not a - the motivations are not primarily profit-making. They’re - we want to deliver - we want our employees to get better medical service at a lower cost. We’re not going to - we’re certainly not going to come up with something where we think the service that they receive is inferior to what they’re getting now.

But we do think that there may be ways to make a real - significant changes - that could have an effect. And we know that the resistance will be unbelievable.

And if we fail, we’ve at least tried. And - but they - the idea is not that I will be able to contribute anything to, you know, in some breakthrough moment, by reading a few medical journals or something - (laughs) - changing something that is as embedded as the medical system.

But the idea is that maybe the three organizations, which employ over a million people and which, after we announced it, we had a flood of calls from people that wanted to join in, but there isn’t anything to join into now. But they will if we have - come up with any ideas that are useful.

Whether we can - bring the resources, bring the person. And the CEO is terribly important. And then bring the person, support that person. And somehow, figure out a better way for people to continue to receive better medical care in the United States without that 8 percent - 18 percent - going to 20 or 22 percent, you know, in the lifetime of, you know, our children or something of the sort - because there are only a hundred cents in the dollar.

And we will see what happens. It’s - you know - if you were Ajit [Jain], actuarially figuring, it would not - you would not bet on us. But - I think there is some chance we will do something.

There’s a chance - nobody can quantify it - that we can do something significant. And we are positioned better than most people to try. And we’ve certainly got the right partners. So, we will give it a shot and see what happens.

Charlie? (Applause)

CHARLIE MUNGER: There is some precedent for success in this public service activity. If you go back many decades, John B. Rockefeller I, using his own money, made an enormous improvement in American medical care. Perfectly enormous. In fact, there’s never been any similar improvement done by any one man since that rivals it.

So Warren, having imitated Rockefeller in one way, is just trying another. And maybe it’ll work.

WARREN BUFFETT: Rockefeller, incidentally, lived a very long time. So I actually am trying to imitate him three ways there. (Laughter)

We’ll see what happens. But we are - we’re making a lot of progress. And I think we’ll probably have a CEO within a couple of months. But if we don’t have one, then we’re not going to pick somebody just because we want to meet any deadline or anything like that. We’ve got these wonderful partners.

We don’t have a partnership agreement among us. Somebody started drawing up one in a legal department and the CEO just put a stop to it.

They - you do have places that have a lot of resources. And while we all have our share of bureaucracy, we can cut through it if we’ve got something that we really think makes sense.

And we will get the support - we’ll get - we’ll get a lot of resistance, too. But we will get the support of a lot of American business, if we come up with something that makes sense.

But if it was easy, it would’ve already been done. There’s no question about that.

CHARLIE MUNGER: It’s not easy.

WARREN BUFFETT: No. (Laughs) But it should be tried.

2018年7月12日木曜日

2018年バークシャー株主総会(11)米国における医療費の問題について(前)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、最近話題になっていたアマゾン社やJPモルガン社との提携話についてです。今回の質問者は、本題以外にも別の観点からの思いを込めて質問しています。しかしウォーレン・バフェットは脱線することなく、本題だけに集中して答えており、明快な捌きぶりだと感じました。なお、前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

15. アマゾン社及びJPモルガン社との医療費関連の提携

<ウォーレン・バフェット> 質問所4番のかた、どうぞ。

<質問者> チャーリーさん、ウォーレンさん、おはようございます。私は御二方の熱烈なファンで、チャーリーが書かれた認知上のバイアス25項目については特に気に入っています[過去記事一覧]。そのため、本題から若干はずれるとは思います。

私はワシントン州のシアトルから参りました。デジタル・マーケティングの会社を一人で運営しています。フェイスブック上の広告や電子メールを使ったマーケティングを専門としており、それらを多用しています。チャーリーが説明されたコカ・コーラに関する詳細は、実に信頼できるものと感じています[過去記事一覧]。

顧客の製品が持つ構造を理解したり宣伝したりする方法を見つける際に、[前述した認知上のバイアスを]参考情報として利用しています。ですからチャーリーの示された認知上のバイアスが、インターネット関連の企業においてうまく働くことは、明言できます。

さて、アマゾンやJPモルガンと医療関連で提携するとのことで是非ともお聞きしたいのですが、インターネット関連の企業に対して例のバイアスを適用する方法を、御二方は理解されはじめたのでしょうか。あるいは事業を理解しているとすれば、他の道具を使うことにしたのでしょうか。それというのも、「理解していない事業には投資しない」と度々発言してこられたものですから。

<ウォーレン> そうですね、わたしたちは医療関連の企業を設立するつもりはありませんし、必ずしも保険業のような会社をつくるわけでもありません。ただ単に、わたしが敬愛し信頼するリーダーの率いる3つの組織が存在するだけのことです。それら3つが互いにやりとりをしている、といったものです。

チャーリーは正しくも次のような発言をしていたと思います。「1960年にはGDP比で5パーセントだったのが、現在は18パーセント近くに達しているシステムを、なんらかの方法で変更することは、ほぼ不可能である」と。そのようなシステムに対して、わたしたちは何とかしたいと望んでいます。

米国のビジネスは他の国とくらべると、医療費の面が大きな足かせとなっています。かつて米国が5パーセントでやっていた時代に、米国のように5パーセント程度でやっていた国々がありました。しかし今では、かの国々が11パーセント越えないあたりでやっているところを、米国はなんとか18パーセントに抑えている状況です。

まさしく1960年には、米国における一人当たり医療費は170ドルでした。しかし今では1万ドル以上を費やしています。

「無い袖は振れぬ」わけですから、費用の問題が生じます。米国実業界とその競争力の面で、この問題は寄生虫であると言えます。

米国よりも少ない費用でうまくやっている諸国とくらべると、一人当たりの医者数が米国のほうが少なかったり、一人当たりの病床数や看護師数も少ない例があります。

医療システム全体が扱う金額は3兆3千億ドルに達しています。これは連邦政府の歳入とほぼ同じ金額です。3兆3千億ドルもの金額が、システムにかかわる云百万・云千万もの人たちに分配されるわけです。そのお金の1ドル1ドルが有権者へとつながっています。まさしく政治と言えるものです。

わたしたちのCEO探しは、現在取り組んでいるところですが、きっと果たせるでしょうから、遠からず発表できると思います。しかし、このことがカギとなります。

だれもが認めているように、医療システムの費用面は、ある種制御不能となっています。しかし往々にしてだれもが、他人の過失によるものだと考えています。果たしてCEOとなるその人物が想像力を抱き、さらに人々を支援することを通じて、種々の重大な改善をシステムにもたらせるでしょうか。やがては解が見つかるでしょうが、容易なことではないと思います。

(つづく)

15. Health care costs partnership with Amazon and JPMorgan

WARREN BUFFETT: OK. (Laughter) Station 4.

AUDIENCE MEMBER: Good morning, Charlie and Warren. I know that seems a little bit out of order, but I’m a huge fan of yours, Charlie, mostly for your 25 Cognitive Biases.

I’m from Seattle, Washington. I run a one-person digital marketing firm that specializes in Facebook ads and email marketing. I use these a lot. I - your breakdown of Coca-Cola was really, really solid.

And I use that as reference when looking to how to understand the mechanics of my clients’ products and how to promote them. So I’m fairly certain that your cognitive biases work for internet-related companies.

Now that you’re partnering with Amazon [and JPMorgan] on health care, I’m curious, have you started to understand how to apply these biases to internet-related companies? Or is there another set of tools you use to decide if you understand a business? Because you guys talk a lot about not investing in businesses that you don’t understand.

WARREN BUFFETT: Well, health care is a - we don’t plan to start health care companies or, necessarily, insurers or anything. We simply have three organizations with leaders that I admire and trust. And we - mutually goes around all three.

And we hope to do something which Charlie correctly would probably say is almost impossible to change in some way a system which is - was taking 5 percent of GDP in 1960, and now is taking close to 18 percent.

And we have a hugely noncompetitive medical cost in American business, relating to any country in the world. The countries that - there were some countries that were around our 5 percent when we were at 5 percent. But we’ve managed to get to 18 without them going beyond 11 or so.

Literally, in 1960, we were spending $170 per capita on medical costs in the United States. And now we’re spending over 10,000.

And, you know, every dollar only has a hundred cents. So there is a cost problem. It is a tapeworm, in terms of American business and its competitiveness.

We don’t - we have fewer doctors per capita. We have fewer hospital beds per capita, fewer nurses per capita, than some of the other countries that are well below us.

And you’ve got a system that is delivering $3.3 trillion - that’s almost as much as the federal government raises - it’s delivering 3.3 trillion, or some number like that, to millions and millions and millions of people who are involved in the system. And every dollar has a constituency. It’s just like politics.

And whether we can find the chief executive, which we’re working on now, and which I would expect we would - we would be able to announce before too long - that - but that’s a key part of it.

And whether that person will have the imagination and support of people that will enable us to make any kinds of significant improvements in a system which everybody agrees is sort of out of control on cost, but what - but - but they all think it’s the other guy’s fault, generally - we’ll find out. It won’t be - it won’t be easy.

なお新会社のCEOは少し前に決定しています(6月20日付の公式発表[PDF])。選任されたのはアトゥール・ガワンデ氏、本ブログではチェックリストに関する過去記事で取り上げた人物です。チャーリー・マンガーごひいきの人物を選んだわけですね。

2018年7月8日日曜日

人類の未来が暗く思える理由(『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』)

0 件のコメント:
以前にご紹介したマット・リドレーの著作『進化は万能である』では、さまざまな社会的側面が進化的に発展してきた現実を取りあげていました(過去記事)。最近は「社会における進歩を正しく見つめよう」とする気風が高まっているのでしょうか、ビル・ゲイツも少し前から「鮮度の高い事実」を的確に認識した上で、現代社会が果たしてきた進歩の実態を啓蒙しようとしているようです(その一例)。それと似たような趣旨の本を少し前に読んだので、印象に残った一連の文章をご紹介します。

同書の邦題は『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』、黄色のカバーのポップなデザインからは軽い内容を予期させますが、実際の本文に浮わついたところはありません。参考文献から集めた事実を連ねて、社会がいかほどに発展してきたのか、いくつかのテーマに沿って堅実に文章を書き進めています。個人的には例によって100%鵜呑みにできるとは考えませんが、いくぶん割り引いたとしても、現代社会がどのような高みに位置するのかを把握するのにふさわしい一冊だと思います。

今回引用するのは、本書の「おわりに」に含まれている文章です。「なぜ人々は暗い未来を思い描いているのか」について説明しています。本来であれば巻頭で触れるべき内容だと思いますが、あえて後段に回したものと想像します。

人々は一般に、私が本書で示したような希望に満ちた世界観を持っていないと考えてまちがいない。イギリス、オーストラリア、カナダ、アメリカの回答者の54パーセントは、今後100年でいまの生活様式が崩れる危険性は、50パーセント以上だと答えている。4分の1近くは、人類が絶滅する危険性が50パーセント以上だと述べている。(中略)

こうした想定は、しばしばメディアにより形成される。メディアは世界についてのある特定の見方を強調し、ドラマチックで驚くものばかりに注目する。そうした話はほぼまちがいなく戦争、殺人、自然災害といった悪いニュースだ。(中略)

多くのジャーナリストや編集者はこの傾向を知っている。アメリカの公共ラジオジャーナリストであるエリック・ワイナー曰く「正直いって、とんでもなく不幸な場所に暮らす、不幸な人々の話は人気が出るんです」。(p. 287)

たぶん、人は心配するようにできている。例外に関心がある。新しいこと、不思議なこと、予想外のことに気がつく。それが自然だ。通常の日常的な出来事は、いちいち説明して理解するまでもない。でも例外は理解する必要がある。(中略)

私たちが危険なものすべてにとても興味があるのは、それに興味を示さなかった人はとっくに死んでいるからだ。建物が火事なら、すぐにそれを知る必要がある。そしてその火事がテレビに映っているだけでも、多少は興味を惹く。幾重もの抽象化と感覚鈍化の下で、安全なソファにすわってテレビを見ているときでも、人の石器時代の脳が多少のストレスホルモンとアドレナリンを分泌するのだ。

スティーブン・ピンカーは、世界が実際よりひどいと思わせる心理的バイアスを3つ挙げている。(中略)

第3のバイアスは、人生がもっと単純でよかったされる黄金時代に対するノスタルジーだ。文化史家アーサー・ハーマンはこう洞察している。「過去も現在もほとんどあらゆる文化は、いまの男女は両親やご先祖の基準に達していないと信じている」。(中略)

私が人々に理想の時代について尋ね、世界史上で最も調和がとれて幸せだった時代はいつだと思うか尋ねると、驚くほど多くの人々は、自分が育った時代を挙げる。だからベビーブームの人々は、1950年代をなつかしがる。(p. 296)

現代に生きる人間にはそういったバイアスがあることを承知した上で、本題の内容をもう一か所引用します。「第4章 貧困」からの文章です。

なぜ貧困な人がいるのだろうか?
これは質問がまちがっている。
貧困についての説明は不要だ。というのもそれは万人の出発点だからだ。貧困は、富を創り出すまでの状態のことだ。最も豊かな国ですら、先祖たちの生活がいかに劣悪なものだったかを人々はつい忘れてしまう。フランスのような国で受け入れられていた貧困の定義はとても簡単だった。もう1日生き延びられるだけのパンを買えるなら、その人は貧困ではない。(中略)

アドリア海のぺスカラという、要塞と兵舎を持ち、特に貧しいというわけでもない町について、1564年に調査が行われている。それによると、町の世帯の4分の3は掘っ建て小屋に住んでいた。裕福なジェノアでは、貧民たちは冬ごとにガレー船の奴隷として自分を売った。パリでは最貧民たちは対になって鎖でつながれ、排水溝を掃除するというつらい仕事をやらされた。イギリスでは、貧困者は救済を受けるために作業小屋で働かざるを得ず、そこでは長時間労働をやらされ、ほとんど無賃だった。犬や馬や牛の骨を肥料用に砕く作業をやらされた人々もいるが、1845年に作業小屋の査察で、腹の減った貧民たちは腐りかけの骨をめぐって争い、その骨髄を吸い出そうとしていたことが示されている。(p. 95)

2018年7月4日水曜日

2018年バークシャー株主総会(10)チャーリー・マンガーの一刀両断

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、今回の話題は会計基準についてです。「会計に対する基本的な哲学」という意味で勉強になる文章ですが、チャーリー・マンガーが一言ですべてを片づける構図がおもしろいです。隣席のウォーレン・バフェットも、笑いがこぼれています。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

13. 収益勘定に事業価値を含めることは「とてつもなく偽装的である」

<ウォーレン・バフェット> 次はキャロルからお願いします。

<キャロル・ルーミス> ジャック・シゼルスキー氏という株主からの質問です。彼は会計の専門家として著名であり、「アカウンティング・オブザーバー」という業界誌を何年も前から執筆しています。

「今年の株主向けレターにおいてバフェット氏は、会計上の新規則が企業へ要求している要件、『保有投資資産に関する会計処理として時価(市場価格)方式を適用すること』に対して、次のような手厳しい見方を記しています。

『分析上の目的において、バークシャーの儲けは意味のないものになってしまう』と。[過去記事]

そのご意見に対して、私の見解を申し上げます。企業が収益を報告する際には、該当会計期間中に企業内外で生じたあらゆることに言及すべきではないでしょうか。

損益計算書においては、客観的に記述された新聞のようにあるべきではないでしょうか。株主価値を増加させるために経営陣が何をしたのか、また外部からの力がどのように影響する可能性があったのかを示しつつ、経営陣のもとで当該期間中に生じた事柄を株主へ周知させることで。

もし保有証券の価値が増加すれば、当然ながらその企業や株主の利益になるはずです。また証券の価値が減少すれば、反対に不利益となるはずです。

そういった変動は、ほぼまちがいなく現実のものです。つまり私の見解では、『リストラ関連の費用を素通りするようなやりかたで変動を無視する企業は、株主へ配布する新聞を検閲している』ことになります。

ですから、『私の発言に対して、どのようにお答えになりますか』というのが、私からの質問です」(笑)。

<ウォーレン・バフェット> 「質問の内容に対するわたしの答えがどうなるか」というご質問に対して、わたしからの次の質問が答えになります。「もしわたしたちが1,700億ドル分の市場価値になる企業各社を部分的に保有しており、それらは今後何十年間と保有し続けるつもりで、時間とともに価値が増していくことを期待し、当社の貸借対照表には市場価値ベースで反映されているとしましょう。そのとき、収益勘定を通じてそれらの増減を四半期ごとに計上するのは妥当でしょうか。その際には同時に、ほとんどの例でそうでしたが、保有した後にずっと大きな価値を持つようになった事業について、極端な例をあげるとガイコ社ですが、およそ5千万ドルで同社の半分を買いましたが、四半期ごとにその事業の価値増加分を収益勘定を通じて積み増したいものでしょうか」。

これは価値評価プロセスの問題になります。評価という意味では悪い点はありません。しかしそれは、純資産価値の増加あるいは減少と呼べるもので、クローズド・エンドあるいはオープン・エンドの投資信託がやっていることです。

しかし収益勘定を通じてそれを行う場合、もしわたしが60社から70社といった事業をみるとすれば、それらを四半期ごとに時価評価する際に、時間が経つにつれて購入時金額の10倍の価値に達した事業などが、当然ながら非常にたくさん存在することが考えられます。しかし四半期ごとの増加分を収益勘定に計上したとしても、投資家のうちの99パーセントの人は、1年間においてあげた経営成績という意味で、純利益の数字を意味あるものと受けとめるでしょう。ですから、それはとてつもなく偽装的なことだと思います。

つまり、[バークシャーの]今年の第1四半期の数字はさきほど見られたと思いますが、わたしからすれば営業利益と呼びたい数字は、過去最高の業績でした。一方、株式の評価額は60億ドル程度の下落でした。毎日の損得は収益勘定に記載するとなりますから、この金曜日にはおそらく25億ドルほど稼いだことになると言えます。もしも投資家や解説者やアナリストといった人たちに対して、「そのような純利益の数字をもとに行動せよ。四半期ごとや将来の収益予測を細かい数字まで出すように」と要求するのだとしたら、先ほどの数字を収益勘定に含めること自体が、多大なる害を及ぼすと思います。

貸借対照表上に投資有価証券の項目があること自体は、市場価値という情報を示すわけですから、正しいことです。しかし保有する事業、たとえばBNSF鉄道の半分を売却した場合、もちろんそうするつもりはありませんが、その際に簿価以上の金額を受け取ったとしたら、その資金を有価証券へ替えることができますので、多額の儲けを一晩であげたかのようにみえるでしょう。あるいはそれを査定し、たとえば3か月ごとに評価額を増減させれば、あらゆる類の操作につながる恐れがあります。そのようなことは、平均的な投資家だけでなく、すべての投資家をすっかり混乱させてしまうだけです。

わたしならば、そのような形のデータを受け取りたいとは思いません。ですから、そのような出しかたもしたくないと考えています。

チャーリーはどうですか。

<チャーリー・マンガー> 私からすれば、差異が生じた理由を付記するのは当然ですが、今までどおり純資産の数値に反映させればいいだけです。

つまり質問者は、自分の稼業が何たるかをわかっていませんね(失笑そして拍手)。

そういう言い方をするつもりはなかったですが、ときにはうっかりしてしまうのですよ(笑)。

<ウォーレン> ときどき彼はそうやって、引導を渡すこともあります(笑)。

13. Putting business values in income account is “enormously deceptive”

WARREN BUFFETT: OK, Carol.

CAROL LOOMIS: … shareholder named Jack Ciesielski . He’s a well-known accounting expert, who for many years has written “The Accounting Observer .”

“Mr. Buffett, in this year’s shareholder letter you have harsh words for the new accounting rule that requires companies to use market value accounting for their investment holdings.

″‘For analytical purposes,’ you said, ‘Berkshire’s bottom-line will be useless.’

“I’d like to argue with you about that. Shouldn’t a company’s earnings report cite everything that happened to, and within, a company during an accounting period?

“Shouldn’t the income statement be like an objectively written newspaper informing shareholders of what happened under the management for that period, showing what management did to increase shareholder value and how outside forces may have affected the firm?

“If securities increased in value, surely the company and the shareholders are better off. And surely they’re worse off if securities decreased in value.

“Those changes are most certainly real. In my opinion, ignoring changes in the way that some companies ignore restructuring costs, is censoring the shareholders’ newspaper.

“So my question is, how would you answer what I say?” (Laughter)

WARREN BUFFETT: Well, my answer to the question that asks what my answer would be to what he said - the - I would ask Jack, if we’ve got $170 billion of partly-owned companies, which we intend to own for decades, and which we expect to become worth more money over time, and where we reflect the market value in our balance sheet, does it make sense to, every quarter, mark those up and down through the income account, when at the same time we own businesses that have become worth far more money, in most cases, and become, you know, since we bought - you name the company - take GEICO, an extreme case - we bought half the company for $50 million, roughly - do we want to be marking that up every quarter to the value - and having it run through the income account?

That becomes an appraisal process. There’s nothing wrong with doing that, in terms of evaluation. But in terms of - and you can call it gain in net asset value or loss in net asset value - that’s what a closed-end investment fund, or an open-investment fund would do.

But to run that through an income account - if I looked at our 60 or 70 businesses, or whatever number there might be, and every quarter we marked those to market, we would have, obviously, a great many, in certain cases, where over time we’d have them at 10 times what we paid, but how quarter-by-quarter we should mark those up and run it through the income account, where 99 percent of investors probably look at net income as being meaningful, in terms of what has been produced from operations during the year, I think would be - well, I can say it would be enormously deceptive.

I mean, in the first quarter of this year - you saw the figures earlier - where we had the best what I would call operating earnings in our history, and our securities went - were down six billion, or whatever it was, to keep running that through the income account every day you would say that we might have made on Friday, we probably made 2 1/2 billion dollars. Well, if you have investors and commentators and analysts and everybody else working off those net income numbers and trying to project earnings for quarters, and earnings for future years, to the penny, I think you’re doing a great disservice by running those through the income account.

I think it’s fine to have marketable securities on the balance sheet - the information available as to their market value - but we have businesses there - if we - we never would do it - but if we were to sell half, we’ll say, of the BNSF railroad, we would receive more than we carried - carried for them - we would turn - we could turn it into a marketable security and it would look like we made a ton of money overnight. Or if we were to appraise it, you know, appraise it every three months and write it up and down, A, it could lead to all kinds of manipulation, but B, and it would just lead to the average - to any investor - being totally confused.

I don’t want to receive data in that manner and therefore I don’t want to send it out in that manner.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, to me it’s obvious that the change in valuation should be noted, and it is and always has been - it goes right into the net worth figures.

So the questioner doesn’t understand his own profession. (Laughter and applause)

I’m not supposed to talk that way but it slips out once in a while. (Laughter)

WARREN BUFFETT: Sometimes he even gives it a push. (Laughter)

2018年6月28日木曜日

人間はコンピューターに勝てるか(ハワード・マークス)

0 件のコメント:
オークツリーのハワード・マークスが新しいメモを公開しています(6月18日付)。今回は「人間が介在しない投資」として、3つの話題をとりあげています。ETF等のパッシブ投資、クォンツ投資、AI投資です。パッシブ投資に関しては、すこし前のメモを拡充したような内容です。クォンツ投資については概要を説明していますが、AIについては触りだけで、展望や技術的な限界を述べるには至っていません。新著の仕上げに注力しているからか、全体的には「中休み」といった印象を受けました。今回は、その中でも記憶にとどめておきたい箇所を断片的に引用します。(日本語は拙訳)

Investing Without People [PDF] (Oaktree Capital Management)

はじめの引用はクォンツ投資の限界についてです。

繰り返しますが、ジョージ・ソロスは再帰性理論のなかで「市場参加者の行動が市場を変える」と説いています。それゆえ、永続的に勝ち続ける数式など存在しないのでしょう。私からすれば、数量的投資(クォンツ投資)によって優れた成果をあげるには、定期的かつ正確に数式を書き換える能力が不可欠になると思います。投資とは動的なものであるゆえ、クォンツ投資の基礎をなす規則も変わらざるを得ないからです。(p. 11)

To reiterate, George Soros’s Theory of Reflexivity says the behavior of market participants alters the market. Thus no formula will be a winner forever. For me, that means the achievement of superior returns through quantitative investing requires the ability to constantly and correctly update the formula. Since investing is dynamic, the rules relied on in quantitative investing have to be dynamic.

次の引用は、市場参加者のうちパッシブ投資が占める割合についての考察です。個人的にも、この問題について空想することが時折あります。

[適正]価格発見の面でどれだけの投資がパッシブになれば、価値に対して支払う金額を適正に保てなくなるでしょうか。それはだれにもわかりません。株式投資信託が現在保有する資産額のうち、およそ40%がパッシブに運用されています。機関投資家においても、その数字の方向へと進むかもしれません。ただしそれでは不十分だとは思います。[機関投資家の世界では]今もなおほとんどの資金がアクティブに運用されています。つまり現在はまだ、価格を探るさまざまな活動が実施されているわけです。たしかにパッシブ運用の割合が100%になれば十分です。しかし「株式の適正価値を評価したり、企業のことを調査する者がだれもいない世界」を思い描けるものでしょうか。そのような世界があるとしたら、ぜひとも「そこで精を出す唯一の投資家」でありたいと思います。しかし問題なのは、「価格が本源的価値から十分に乖離し始めてアクティブ運用に値するようになるのは、40%から100%の間のどこからか」という点です。今の私には判断できませんが、アクティブ投資の未来のためにいずれは見つけ出せるかもしれません。(p. 5)

How much of the investing that takes place has to be passive for price discovery to be insufficient to keep prices aligned with fair values? No one knows the answer to that. Right now about 40% of all equity mutual fund capital is invested passively, and the figure may be moving in that direction among institutions. That’s probably not enough; most money is still managed actively, meaning a lot of price discovery is still taking place. Certainly 100% passive investing would suffice: can you picture a world in which nobody’s studying companies or assessing their stocks’ fair value? I’d gladly be the only investor working in that world. But where between 40% and 100% will prices begin to diverge enough from intrinsic values for active investing to be worthwhile? That’s the question. I don’t know, but we may find out . . . to the benefit of active investing.

最後の引用は、今回のメモでの白眉と言える文章です。

卓越した投資家とは、定量的分析や会計や財務の面で必ずや他よりも勝っているわけではありません。彼らの強みは主として、「平均的投資家が見過ごしてしまう、定性的あるいは長期的観点における利点を見定める力」にあります。もし[AIのような]コンピューターが同じようにそういった過ちをおかすとすれば、上位数パーセントの傑出した投資家がほどなく引退することはないと思います。(p. 16)

The greatest investors aren’t necessarily better than others at arithmetic, accounting or finance; their main advantage is that they see merit in qualitative attributes and/or in the long run that average investors miss. And if computers miss them too, I doubt the best few percent of investors will be retired anytime soon.

2018年6月24日日曜日

妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト(GuruFocus創業者)

2 件のコメント:
コメント欄でリュウジさんがご紹介くださった本『とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法』を少し前に読みました。投資で利益をあげるにはさまざまなやりかたがあると思いますが、本書ではあくまでもひとつのやりかたにこだわっています。題名が示すように「とびきり良い会社をほどよい価格で買う」、これだけに焦点を当てて平均以上の成績をあげるための戦術論全般を説明しています。対象読者としては「株式投資中級者」を想定しているようです。チャーリー・マンガー的な信条をそのまま掲げている点には感心しましたが、あとは本書のやりかたで望む成果をあげられるかどうかですね。

さて本書から今回引用するのは、p. 197に掲載されている「妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト」です。これは完全無欠なものではないですし、状況によって要否が変わることもあるでしょう。しかし「あくまでもひな形として参考にし、個々人が吟味発展させる」という意味では、役に立つと思います(たとえば日本企業を評価する場合には、このままでは適用しにくい)。なによりも明文化され、リスト化されていることに意義があります。

なお、訳語「優良企業」に対応する原語は"Good companies"のようです。妥当な訳出だと思いますが、念のため記しました。

妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト

1. 私はこの事業を理解しているか。

2. 企業を守る経営上の堀があるおかげで、今後5年から10年間、同じか類似した製品を売り続けることができるか。

3. この業界は変化が激しいか。

4. この企業には多様な顧客基盤があるか。

5. 固定資産が少ない事業か。

6. 景気循環に大きく影響される業界か。

7. この企業にはまだ成長の余地があるか。

8. 過去10年間、好景気のときも不景気のときも常に利益を出し続けてきたか。

9. 営業利益率は安定して2桁を維持しているか。

10. 利益率は競合他社よりも高いか。

11. 15%以上のROIC(投下資本利益率)を過去10年にわたって維持しているか。

12. 一貫して2桁の成長率で、売上高と利益を伸ばしてきたか。

13. 財務基盤がしっかりしているか。

14. 経営陣は自社株をかなり保有しているか。

15. 経営陣の収入は似た規模の他社と比べてどうか。

16. インサイダーはこの企業の株式を買っているか。

17. 内在価値やPER(株価収益率)で測った株価は妥当か。

18. 歴史的に見て、現在のバリュエーションはどうか。

19. これまでの不況期に株価はどうだったか。

20. 自分の調査にどれくらいの自信があるか。

著者であるチャーリー・ティエン氏が触れているように、上記のリストには投資界の達人たちが示した教えが取り入れられているので、たとえばフィル・フィッシャーの15項目と似たものがあります。ただし上記のリストは定量化しやすい項目ばかりになっているのが特徴的です(本書内で解説あり)。もちろんそれは、著者が運営する投資サイトGuruFocusで定量的評価ツールを提供していることの裏返しでもあるでしょう。しかし、閾値を厳密に定める評価には長短があることを承知していれば、「達人の教えをなるべく定量的に実践試行しつづける」ことでも、相応の成果をあげられると思います。

2018年6月20日水曜日

2018年バークシャー株主総会(9)ウェルズ・ファーゴについて(了)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴ等の不祥事に関する話題は今回でおわりです。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> それは、ティノ・デ・アンジェリスという名の人間があらわれたときのことです[詐欺事件の首謀者]。たしかニュージャージー州のベイヨンだったと思いますが...

スキャンダルが発生した後の、1964年に開催されたアメックスの株主総会には、実はわたしも参加しました。その席で、ある参加者が監査人に歩み出るよう要求しました。

具体的な名前は挙げませんが、ある大手会計事務所の一員だった監査人がマイクのところへ足を進めました。そして次のように質問されました。「当社はあなたがたに昨年いくら支払ったのですか」。

その監査人は答えました。質問者はさらに問いただしました。「それでは、ここから15kmほど離れたベイヨンに赴いて、タンクの中に油がどれだけ残っているか調べてきてほしいと言われたら、一体いくらの追加費用をわれわれに要求するのですか」(微笑)。

実はちょっとした出来事がありました。ある人物がベイヨンの酒場から[会社に]連絡してきて、詐欺話が進んでいると知らせてくれていたのです。しかしアメックス側はそのことを聞きたくなかったため、耳を傾けませんでした。[参考サイト]

強大な企業がその後にむかえたのは、彼らいわく「息も絶え絶えの状態」でした。ですから、過ちとはいずれ犯してしまうものなのです。

いつかはバークシャーでも不愉快なニュース沙汰になることは、請け合います。それが何かはわかりません。しかし繰り返しになりますが、その後わたしたちがどのように行動するか、それがいちばん大切です。

そのような状況で尻込みしていたことが、わたしにも何度かあります。そのたびにチャーリーは、「何か行動を起こせ」と小突いてきました。ですから、みなさんが知らないところでチャーリーもいろいろと活躍してきたのです(微笑)。

(この質疑応答は、おわり)

And when some guy named Tino De Angelis in, I think it was Bayonne, New Jersey -

In fact, I went to the annual meeting in 1964 of American Express after the scandal developed, and somebody asked if the auditor would step forward.

And the auditor from one of the big firms, which I won’t mention, came up to the microphone, and somebody said, “How much did we pay you last year?”

And the auditor gave his answer, and then the questioner said, “Well, how much extra would you have charged us to go over to Bayonne, which was ten miles away, and check whether there’s any oil in the tanks?” (Laughs)

So it - you know, here was something - a tiny little operation - some guy was calling him from a bar in Bayonne and telling him this phony stuff was going on, and they didn’t want to hear it. They shut their ears to it.

And then what emerged was one great company after this kind of, what they thought was a near-death experience. So it’s - we’re going to make mistakes.

I will guarantee you that we will get some unpleasant news at Berkshire. I don’t know what it’ll be, you know - the most important thing is we do something about it.

And there have been times when I procrastinated, and Charlie has been the one that jabs me into action. And so he’s performed a lot of services you don’t know about. (Laughter)

2018年6月16日土曜日

2018年バークシャー株主総会(8)ウェルズ・ファーゴについて(3)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答から、ウェルズ・ファーゴに関する話題がさらにつづきます。前回分の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

<チャーリー・マンガー> それには賛成ですね。これからのウェルズ・ファーゴは、そういった悪事が露見しなかった場合よりも、いい企業になりますよ。

<ウォーレン・バフェット> あるいは「悪事を起こさなかった場合」よりも、良くなると思います。

<チャーリー> そのとおり。しかし、ハーヴェイ・ワインスタイン[映画『パルプ・フィクション』などのプロデューサー]もずいぶんと行動を改めたようですね(笑いと拍手)。

あれはたしかに不始末でしたよ。ただし彼らはそのことを心底わかっており、痛く混乱していますから、同じことは繰り返したくないと思っているでしょう。

さすれば、「将来に最良の振舞いをみせる銀行は、どこになりそうか」と問われたときに、ウェルズ・ファーゴの可能性も十分あると思いますね。

<ウォーレン> さきほど示したニューヨーク・タイムズ紙の1942年3月12日付紙面の裏側をみると、求人欄があります。その一部を占める大きめの欄には、「男性求む」と書いてあります。そして別の欄には「女性求む」とあります。

それでは、当時のニューヨーク・タイムズ紙がそうしていたことは正当だったのでしょうか。ご存知のように、同紙は優れた新聞です。しかし、人間とはあやまちを犯すものなのです。

「求人広告の掲載箇所を分ける」という発想は、広告を受けた際にいろいろ考えて出てきたのかもしれません。「求人が来たら、どの職業が適切かを考えながら、男女に分けるとしよう」と。あるいは、求人側が適切な割り振りを考えたのかもしれません。

世間ではおろかなことが数多くなされています。先に述べたように、1970年代初期のガイコは適切な引当金を計上できたのに、無視していました。つまり彼らは、新規の顧客に対してあやまった金額を請求していたのです。実際よりも少ない損失で済むと考えていたからです。

そういったことは、ウォール街を喜ばせたいがために行った部分も間違いなくあると思います。あるいは、ものごとがどのように進むのか正視したくなかったのかもしれません。しかし、その同社が目を見張るほどの強力な会社となりました。そうです、今では米国における[自動車]保険加入世帯の13%を占めています。

引当金だけでなく、破産が目前にせまった時期におのずと知ることになった困難によって高じたものに対しても、同社は目を向けるようになりました。42年前の..

<チャーリー> あれは、今回のウェルズ・ファーゴよりもずっとひどかったですね。彼らが大昔にしたことは、実にひどいものでしたよ。ねえ。

<ウォーレン> そのとおりです。彼らは大成功していたので、引当金の見直しを怠っていました。そしてアメックスは、1963年の委託倉庫会社に関する分として数ドルしか確保しませんでした。その後はご存知のように、その会社がアメックス本体を没落させるのではないかと恐れるようになったのです。

(もう1回つづく)

CHARLIE MUNGER: Well, I agree with that. I think Wells Fargo is going to be better going forward than it would have been if these leaks had never been discovered.

WARREN BUFFETT: Or happened.

CHARLIE MUNGER: Yeah, so I think it’s - it - but I think Harvey Weinstein has done a lot for improving behavior, too. (Laughter)

It was clearly an error, and they’re acutely aware of it and acutely embarrassed, and they don’t want to have it happen again.

You know, if I had to say which bank is more likely to behave the best in the future, it might be Wells Fargo, of all of them.

WARREN BUFFETT: This New York Times that I have here from March 12th, 1942, if you go toward the back of it, in the classified section, you have one big section that says, “Help Wanted Male,” and another one that says, “Help Wanted Female.”

You know, was the New York Times doing the right thing in those days? You know, I think the New York Times is a terrific paper. But people make mistakes.

And you know, the idea of classifying between - taking ads and saying, “Well, we’ll take them and divide them up between men and women, what jobs we think are appropriate,” or that the advertiser thinks is appropriate.

We do a lot of dumb things in this world. And GEICO, as I say, in the early 1970s, they just ignored - and you can do it in the setting of proper reserves, which mean they charged the wrong price to new customers because they thought their losses were less than they were.

And I’m sure some of that may have been a desire to please Wall Street or just because they didn’t want to face how things were going. But it came out incredibly stronger. You know, and now it’s got 13 percent of the households in the United States insured.

And it came out with an attention to reserves and that sort of thing that was heightened by the difficulties that they’d found themselves in where they almost went bankrupt. Forty-two -

CHARLIE MUNGER: It was a lot more stupid than Wells Fargo. It was really stupid what they did way back, right?

WARREN BUFFETT: Yeah. They had the world by the tail, and then they quit looking at the reserve development. But - and American Express was just picking up a few dollars by having the field warehousing company in 1963. And, you know, they were worried whether it was going to sink the company.

2018年6月12日火曜日

2018年バークシャー株主総会(7)ウェルズ・ファーゴについて(2)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会での質疑応答からウェルズ・ファーゴに関する話題、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

<ウォーレン・バフェット> 当社はアメリカン・エキスプレスの株式を買いましたが、わたしがパートナーシップを運営していた時分に行った投資で、同社が最良のものでした。アメックス株を買ったのは1964年のことでした。「アメリカン・エキスプレス委託倉庫」という会社に関して、まちがったことを企んだ人がいたからです。

また当社はガイコ社(GEICO)の株を大量に買いました。その金額は4千万ドルで、同社株式の半数に達しました。ウォール街の出す収益や成長予測に合わせようと企んだ人がいたときのことです。その当時、同社では適正な引当金を計上しませんでした。

それゆえにアメックスは1964年に大きな痛手を受けました。それゆえにガイコは1976年に大損害を被りました。そして、相当な規模の従業員を解雇するといった対策をとることになりました。しかしそのおかげで、きれいな白紙に戻ったのです。

その後のアメックスがどこへ向かったのかは一目瞭然ですし、ガイコがどこへ向かったのかもご存知のとおりです。

ですから、「非常に大規模な組織には、いずれは問題を起こすものもある」ことは、特別な事実でもなんでもありません。実際のところほとんどすべての銀行、さらにはすべての大銀行では、ひとつやふたつ問題を抱えてきたものです。

ですから、投資という観点そしてモラルという観点から、企業としてのウェルズ・ファーゴが将来どのように歩むかを考えた場合、競争相手である他の大銀行とくらべて劣っているところは、なんら思い当たりません。

彼らは大きな過ちをおかしました。当社の保有分株式には今もなお多大な未実現益がありますが、それは[売却か継続保有かの]判断材料にはなりません。しかし...

同社のことは投資先としてわたしは気に入っていますし、ティム・スローンが経営者でいてくれてありがたいと思います。彼は現在、別の人たちがしでかした過ちを正している最中です。

かつてわたしは、ソロモン社で生じたあやまちを正そうとしました。そのときにはデリック・モーンが見事に手助けしてくれました[過去記事]。またマンガー・トーレス&オルソン法律事務所のみなさんにも、同じように助けてもらいました。つまりは、この手のことは起こるものなのです。ただしそうなった場合には、できるだけの手を打たねばなりません。

チャーリーが言うように、「1オンスの予防は1ポンドの治療にあらずして、1トンの治療の如し」です[過去記事]。そしてすべてに攻め入るべきです。チャーリーはいつもわたしの背中を押して、明るみになった不愉快な問題を攻め立てるように強要しました。他のすべてはうまくいっているのに、それだけが容易でないということもありました。

正確なところは知りませんが、あらゆる組織でも時には見られる悪事を、ウェルズはあきらかに働いていました。そしてそれを極端な地点まで激化させていました。

しかし、ウェルズ・ファーゴがそのような逸話を社史に残したくなかったと願いつつも、「非常に巨大な優良銀行になる日はやってこない」とみなす理由はないと思います。

ガイコはいっそう強固になりましたし、アメックスもずっと強力になりました。つまりここで問われるのは、「各種の問題を発見したときに、自分がどのように行動するか」なのです。

チャーリーはどうですか。

(さらにつづく)

We bought our American Express stock - that was the best investment I ever made in my partnership years - we bought our American Express stock in 1964 because somebody was incented to do the wrong thing in something called the American Express Field Warehousing Company. We bought -

A very substantial amount of GEICO we bought that became half the - half of GEICO, for $40 million because somebody was incented to meet Wall Street estimates of earnings and growth. And they didn’t focus on having the proper reserves.

And that caused a lot of pain at American Express in 1964. It caused a lot of pain at GEICO in 1976. It caused a layoff of a significant portion of the workforce, all kinds of things. But they cleaned it up.

They cleaned it up, and look where American Express has moved since that time. Look at where GEICO has moved since that time.

So the fact that you are going to have problems at some very large institutions is not unique. In fact, almost every bank has - all the big banks have had troubles of one sort or another.

And I see no reason why Wells Fargo as a company, from both an investment standpoint and a moral standpoint going forward, is in any way inferior to the other big banks with which it competes on -

It - they made a big mistake. It cost - I mean, we still got - I mean we have a large, unrealized gain in it, but that doesn’t have anything to do with our decision-making. But the -

I like it as an investment. I like Tim Sloan as a manager, you know, and he is correcting mistakes made by other people.

I tried to correct mistakes at Salomon, and I had terrific help from Deryck Maughan as well as a number of the people at Munger, Tolles. And I mean, that is going to happen. You try to minimize it.

Charlie says that, “An ounce of prevention isn’t worth a pound of cure, it’s worth about a ton of cure.” And we ought to jump on everything. He’s pushed me all my life to make sure that I attack unpleasant problems that surface. And that’s sometimes not easy to do when everything else is going fine.

And at Wells, they clearly - and I don’t know exactly what - but they did what people at every organization have sometimes done, but it got accentuated to an extreme point.

But I see no reason to think that Wells Fargo, going forward, is other than a very, very large, well-run bank that had an episode in its history it wished it didn’t have.

But GEICO came out stronger, American Express came out stronger. The question is what you do when you find the problems.

Charlie?

投資先企業を検討するという意味で、今回の文章はケーススタディとしていろいろと勉強になりました(個人的に思い至った観点は、順列、stickiness、バックアップの3つでした)。

2018年6月8日金曜日

2018年バークシャー株主総会(6)ウェルズ・ファーゴについて(1)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会における質疑応答から、今回はバークシャーの主要投資先であるウェルズ・ファーゴの話題です。優良銀行として成長してきた同社がさまざまな不正を働いていたことが、この数年間で明らかになりました。ウォーレン・バフェットが同社に対してどのような見解を示すのか、話の内容は平易ですが、継続投資先としての是非をどのように判断するかという点では、今回の話題は株式投資上級者向けかと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

10. 「大きな過ち」を乗り越えて、ウェルズ・ファーゴは強くなる

<ウォーレン・バフェット> 次の質問は、アンドリューさん、いいですか。

<アンドリュー・ロス・ソーキン> ウォーレン、よろしくおねがいします。イリノイ州シカゴ在住のポール・スピーカー氏からの質問です。なお、彼は今日ここに参加しているはずだと思います。

質問の内容は次のとおりです。「あなたが語った言葉のなかで、かなり有名で、もっとも優れた見方を示していると思われるものに、次のようなものがあります」

「『たびたび水漏れする船だとわかったら、穴をふさぐ作業に奮闘するよりも、別の船舶に乗り換えることに注力したほうが生産的だ』と」

「ウェルズ・ファーゴ社では許可されていない会計上の各種スキャンダルが生じましたが、それらを考慮すると、つまり自動車保険の重複分を契約して顧客に料金を請求したことや、同社自身の過失による遅延によって生じた期限超過に関してモーゲージの保有者(抵当権者)から料金を不当に徴収したことや、さらにはモーゲージの金利を固定するために不適切な手数料を顧客に課したこと、あるいはFRBによって同社に課された制裁すなわち総資産の増加を禁じられたこと、そして先に述べた諸々の悪しき行為に対して連邦政府の規制当局が10億ドル超の罰金を最近になって定めたこと、それらを考えたときにウェルズ・ファーゴが慢性的に水漏れを起こす船だとしたら、どの程度の水漏れであればバークシャーは船を乗り換えようと検討するのでしょうか」(拍手)。

<ウォーレン・バフェット> そうですね、ウェルズ・ファーゴの件ですが..

ウェルズ・ファーゴという会社は「動機づけがもたらす有効性」を証明してしまいました。会社が間違った動機づけをしてしまったのです。あれは悪いことでした。

しかし彼らはもっと大きな失敗をおかしました。いつだれがどのようにかは正確には知りませんが、「欠陥のある動機づけ体系を有している事実を無視したこと」がそうです。たとえば、「存在するはずのない口座を開設する」といった異常なたぐいのことを、従業員が実行するようにうながしました。

これはバークシャーでは大罪とされています。ただし今ここにいる間にも、バークシャーでだれかがあやまちを犯しているのは、わたしたちも承知しています。

37万7千名にのぼる全従業員が、ベン・フランクリンのような人物と同じように世間で振舞うなどと、望むことはできません。ここで話をしている間に良からぬことがどれだけ起きているのか、10件なのか20件なのか、あるいは50件なのかはわかりません。

大切なのは、「回避可能なあらゆる悪しきことを助長しないように」とわたしたちが考えている点です。そして問題を起こしていることを把握したときには、何か手を打たなければなりません。そのことが決定的なカギとなります。

ウェルズ・ファーゴはそうしませんでしたし、ソロモン[・ブラザーズ社]もしませんでした。しかし実際のところ、当社が投資したなかでもっとも成功した各社は、それと同様の失敗をおかした会社でした。

(つづく)

10. Wells Fargo will emerge stronger after its “big mistake”

WARREN BUFFETT: OK, Andrew?

ANDREW ROSS SORKIN: Hi Warren. This question comes from Paul Spieker (PH) of Chicago, Illinois. I believe he may be here today.

He writes, “One of your more famous and perhaps most insightful quotes goes as follows:

″‘Should you find yourself in a chronically leaking boat, energy devoted to changing vessels is likely to be more productive than energy devoted to patching leaks.’

“In light of the unauthorized accounting scandal at Wells Fargo, of its admission that it charged customers for duplicate auto insurance, of its admissions that it wrongly fined mortgage holders in relation to missing deadlines caused by delays that were its own fault, of its admission that it charged some customers improper fees to lock in mortgage interest rates, of the sanction placed upon it by the Federal Reserve prohibiting it from growing its balance sheet, and of the more than recent $1 billion penalty leveled by federal regulators for the aforementioned misbehavior, if Wells Fargo company is a chronically leaking boat, at what magnitude of leakage would Berkshire consider changing vessels?”

WARREN BUFFETT: Yeah, well, Wells Fargo (Applause) -

Wells Fargo is a company that proved the efficacy of incentives, and it’s just that they had the wrong incentives. And that was bad.

But then they committed a much greater error - and I don’t know exactly how or who did it or when, but - ignoring the fact that they had a faulty incentive system which was incenting people to do things that were kind of crazy, like opening nonexistent accounts, et cetera.

And, you know, that is a cardinal sin at Berkshire. We know people are doing something wrong, right as we sit here, at Berkshire.

You can’t have 377,000 employees and expect that everyone is behaving like Ben Franklin or something out there. They - we - I don’t know whether there are ten things being done wrong as we speak, or 20, or 50.

The important thing is, we don’t want to incent any of that if we can avoid it, and if we find - when we find it’s going on, we have to do something about it. And that is absolutely the key to it.

And Wells Fargo didn’t do it, but Salomon didn’t do it. And the truth is, we’ve made a couple of our greatest investments where people have made similar errors.

2018年6月4日月曜日

2018年バークシャー株主総会(5)買収したプレシジョン社について

0 件のコメント:
今回からは、バークシャー・ハサウェイ株主総会における質疑応答の中から、いくつかの話題を取りあげます。まず今回はバークシャーが2016年に買収した企業、プレシジョン・キャストパーツ社についてです。ウォーレン・バフェットによる定性的な企業評価の一端がうかがえる発言だと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

5. 買収したプレシジョン・キャストパーツ社が優良企業であることについて

<ウォーレン・バフェット> それでは次はジョナサン・ブランドさん、お願いします。

<質問: ジョナサン・ブランド> ウォーレン、そしてチャーリー、よろしくおねがいします。私からの質問です。現在の航空機業界における生産数の伸長ぶりからすると、プレシジョン・キャストパーツ社が売上及び利益の両面であまり成功していないとは、思いもよりませんでした。

もちろん私としても、「以前の製造プログラムから新規のものへの移行は平坦ではない」ことは理解しています。しかし業界筋によれば、「市場におけるプレシジョン社の地位は、競争が激化して技術面での混乱が生じる中で、かつてほど強力ではなくなった」と聞いています。

それでは、バークシャーが買収した時に期待していた成長を実現するために、顧客である航空機業界において卓越した地位を堅牢強固にするには、同社は何をすればいいのでしょうか。

<ウォーレン> ええ、それは...

<質問者> 結局のところ、買収してから2年が経過した今、同社の事業の見通しをどのように考えておられますか。

<ウォーレン> すみません、最後が聞こえなかったのですが。「見通し」ですか。

<質問者> 結局のところ、買収してから2年が経過して、長期的に見た同社の見通しを現在はどのように考えておられますか。

<ウォーレン> それは長期的にも、そしてほどほど短期的にも、優秀な企業だと思います。つまり...

航空機業界と言われましたが、他の業界とも取引しています。ただし、航空機業界が最重要であることはまちがいありません。そして航空機の製造会社は、部品の品質や短納期に負うところが大きいものです。

航空機1機あたりの費用が7,500万ドルあるいは1億や2億ドルにのぼるなかで、部品などが納入されるのを待たされたくはないでしょう。ですから...

そういった類のあらゆるものについて、品質と納期の両面における信頼性がきわめて重要になります。プレシジョン社では[製品の供給]契約を[出荷する]何年もずっと前から結んでいます。ときには、機体の製造が開始されるよりもかなり前に受注することもあります。つまり[受注から出荷までの]リードタイムが非常に長いわけです。

しかし昨年の早い時期に、わたしが知っているのは特定の件ですが、別の部品会社が納品できなかったことがわかりました。航空機メーカー数社が「なんとか対応してもらえないか」と、プレシジョン社に打診してきたからです。

それに対してわたしたちは回答しました。「それはもう是非お役に立ちたいところですが、5年契約でお願いしております。他社さんへの欠品がたびたび生じないようにしたいからです」。その手の製品を出荷するまでには、非常に長いリードタイムがかかります。

ですから、ビジネス自体は非常に良好です。損益計算上は4億ドルの費用が課されていますが、年間4億ドルを若干上回る金額ですが、これは無形資産の「のれん」償却費です。なお、この件は損金には算入できないものです。しかしわたしとすれば、この費用は実損をもたらすものではないと考えています。

バークシャーでは巨額の償却費を計上していますが、現在のところはプレシジョン社の買収に関するものが最大の金額です。ですからどのように捉えたとしても、「実損ではないとわたしが考えている」4億ドルを加算することができます。会計士はほかのやりかたを主張すると思いますが、これはわたしたちのお金なので、わたしの見解でやることにしましょう(笑)。[過去記事]

同社を指揮しているマーク・ドネガンは目覚ましい人物ですし、そのうえ経営者としてもたいへん優秀です。「彼が面倒をみてくれる」という条件だったからこそ、同社を買いました。それだけではなく、バークシャーの別の領域でも彼はいろいろと手助けしてくれましたし、好んでやってくれています。ですから彼自身が携わる経営面や、バークシャーをあれこれと支援してくれる献身ぶりに対して、文句をつけるなど考えられません。

プレシジョン社は非常にすぐれた買収先です。同社は、開発中の諸製品へとつながる長大なロング・テールを持つ会社です。

チャーリーはどう思いますか。

<チャーリー・マンガー> それはたしかに、同社のような会社がほかにあるならば、明日にでもその会社を買いたいですね。

<ウォーレン> つまり、そういうことですね(笑)。

「大賢は言葉少なし」といったところですか(笑)。

5. Precision Castparts is “a very good business”

WARREN BUFFETT: OK, Jonathan Brandt.

JONATHAN BRANDT: Hi Warren. Hi Charlie. Given the growth in airplane build rates, it seems surprising that Precision Castparts isn’t doing better on the top or bottom line.

I understand the issue with a bumpy transition from old to new programs, but I’ve also heard from industry sources that Precision’s market position is not as strong as it used to be amid intensifying competition and some technological disruption.

What does Precision need to do to solidify and strengthen its preeminent position with its aerospace customers so that it can deliver the growth you expected when Berkshire acquired it?

WARREN BUFFETT: Yeah -

JONATHAN BRANDT: More generally, two years after the acquisition, what is your outlook for that business?

WARREN BUFFETT: Give me the last part again. The outlook.

JONATHAN BRANDT: More generally, two years after the acquisition, what is your updated outlook for that business longer term?

WARREN BUFFETT: Oh, longer term, I think - and in the reasonably shorter term - it’s a very good business. I mean, you were -

You mentioned aircraft, but we get into other industries. But certainly aircraft’s the most important. You have manufacturers that are very dependent on both the quality of the parts and the promptness of delivery.

You do not want to have an aircraft with 75- or 100- or maybe $200 million and be waiting for a part or something of the sort. So it’s -

Reliability is, both in terms of quality and delivery times and all of that sort of thing, is enormously important. And we get contracts that extend out many years. And sometimes we - I mean, we will get them well before the plane even starts in production. So there’s very long lead times.

And we have found in the last year - found it earlier, but I know of some specific cases in the last year - where other suppliers have failed in their deliveries and then the manufacturers come to us and say, “We would like you to help us out.”

And we say, “Well, we’d be glad to help you out, but we’d like about a five-year contract, if we’re going to do it because we’re just not going to make up for these other guys’ shortfalls periodically.” But that sort of thing has a very long lead time.

The business is a very good business. One thing you will see their earnings charged with is about $400 million - little over $400 million a year - of intangible - nondeductible in that case - amortization of goodwill, which is really - is not an economic cost in my view.

We have a significant amount of that through Berkshire, but by far, the largest amount is related to the Precision acquisition. So whatever you see, you can add about 400 million that in my view is not an economic expense, but the accountants would argue otherwise. But it’s our money, so we’ll take my view. The - (Laughter)

Mark Donegan, who runs that operation, is incredible, and he has been not only - he’s a fabulous manager. I wouldn’t have bought it without him in charge. He also has been very helpful to us in other areas, and he loves to do it. So you can’t beat him, both as a manager in his own operation, but with his devotion to really doing everything that will help Berkshire.

It was - it’s a very good acquisition with very long tails to the products that are being developed.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Well, yeah, I think we’d buy another one just like it tomorrow if we had the chance.

WARREN BUFFETT: Yeah, that’s the answer. (Laughter)

Man of few words, but he gets the point. (Laughter)

2018年5月28日月曜日

2018年バークシャー株主総会(4)ウォーレン・バフェット直伝の教え(了)

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイ株主総会でウォーレン・バフェットが質疑応答の前に語った「究極の教え」は、今回で最後です。次回からは質疑応答の部を取りあげますが、大多数の投資家(少なくとも米国在住の投資家)にとっては、今回のものが「株式投資について知っておくべき、最良かつ唯一の見解」だと思います。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

ちょっとおもしろい話題がありますので、もうひとつほど触れたいと思います。たとえば1万ドルが手元にあったときに、絶望的破滅を予言する人物が周囲にいたとします。そのような話は人生を通じて繰り返し耳にするでしょうから、その1万ドルを使ってゴールド(純金)を買ってしまったとします。

1万ドルあれば、[1942年]当時は300トロイオンス分のゴールドを買うことができました。企業であれば、再投資をして工場を増やしたり、新たな発明を起こしたりするものですが、金庫に保管してあるゴールドを毎年思い出したとしても、300オンスのまま変わりはありませんでした。

ゴールドであれば、目で見て確認できますし、そっと撫でることもできます。つまり「自分の望むがまま」にできます(笑)。

しかし、ゴールドはなにも生みだしません。まったく何も生み出しませんでした。

1942年3月に手に入れたままのゴールド300オンスは、今日ではいくらになっているでしょうか。正解は、およそ40万ドルです。

ですから、もし生産的な資産ではなく、ゴールドのように非生産的な資産を選ぶとすれば、結局はどうなるでしょうか。生産的な資産であればより多くの儲けをあげて再投資したり配当を出したり、自社株買いもあるでしょうから、それが何であろうと、非生産的な資産よりも100倍以上の価値を手にできると思います。[ウォーレンの語った原文では、文章がねじれていると思われる]

言い換えれば、これは「新聞の見出しなどを読んでおびえる度に、『あっちへ逃げ込め』と教えてくれる人にしたがって金銭的価値の保存先[ゴールド等]を買ったとすれば、それによって得られる儲けは1セント以下にとどまる一方、資金を米国企業に投じていれば儲けは1ドルになる」とも言えます。[過去記事]

この国では、これ以上は思いつかないほどの強い追い風が、わたしたちの背後から吹きつづけていました。そのようななかで事業を営むというのは、実に並はずれたことだと思います。まさに投資家にとって、うってつけの場所です。つまり、まちがった株を買うか、まちがった時期に調子に乗らない限り、失敗のしようがないのです。

しかし米国の大断面と言える企業群[=S&P500 ETFなど]を保有し、また時間をかけて定期的に資金を投じれば、なにも生み出せない資産を保有するのとは比較にならないほどの利益を得ることができます。

さらにはっきり言いますと、株式を頻繁に売り買いしたり、投資の助言をする者に手数料を払ったりするのも論外です。

ちなみに、わたしからの助言と言いますか、今回説明した回顧的な助言などに従うという方がおられましたら、わたしからお話しするのは朝飯前です(笑)。

もちろん、その助言にしたがう場合には問題がひとつ出てきます。好意的に接してくれていた株式売買業者が飢え死にしてしまう点です。

ですから、罪滅ぼしのために彼らの葬儀には参列したほうがいいもしれません。しかし実のところ、このやりかたのほうが、相当大きな割合に至る投資のプロよりも、あるいはアクティブに投資する人よりも、ずっと良い成果を残せるでしょう。このような肩肘の張らない哲学に基づいて達成できる成績に対して、それを凌駕して成功裏におわろうとするのは、非常にむずかしい仕事です。

その上、会計のことや、株式市場に関する専門用語やその類のもの、さらには連銀が次にどんな手を打つのか、あるいは今後の金利引上げが3回なのか4回なのか、それとも2回なのか、そういったことを詳しく知る必要もありません。

実際のところ投資を続けていく際に、そういったものはまるで重要ではありません。「なぜそこに投資したのか理解できているものにこだわり、どう取り組めばいいのかわからないものには目もくれない」、大切なのはそのような哲学を胸に刻むことです。

(この話題は、おわり)

I would like to make one other comment because it’s a little bit interesting. Let’s say you’d taken that $10,000 and you’d listened to the prophets of doom and gloom around you, and you’ll get that constantly throughout your life. And instead, you’d used the $10,000 to buy gold.

Now for your $10,000 you would have been able to buy about 300 ounces of gold. And while the businesses were reinvesting in more plants, and new inventions came along, you would go down every year in your - look in your safe deposit box - and you’d have your 300 ounces of gold.

And you could look at it, and you could fondle it, and you could - I mean, whatever you wanted to do with it. (Laughter)

But it didn’t produce anything. It was never going to produce anything.

And what would you have today? You would have 300 ounces of gold just like you had in March of 1942, and it would be worth approximately $400,000.

So if you decided to go with a nonproductive asset - gold - instead of a productive asset, which actually was earning more money and reinvesting and paying dividends and maybe purchasing stock - whatever it might be - you would now have over 100 times the value of what you would have had with a nonproductive asset.

In other words, for every dollar you had made in American business, you’d have less than a penny by - of gain - by buying in this store of value, which people tell you to run to every time you get scared by the headlines or something of the sort.

It’s just remarkable to me that we have operated in this country with the greatest tailwind at our back that you can imagine. It’s an investor’s haven - I mean, you can’t really fail at it unless you buy the wrong stock or just get excited at the wrong time.

But if you’d - if you owned a cross-section of America and you put your money in consistently over the years, there’s just - there’s no comparison against owning something that’s going to produce nothing.

And there - frankly - there’s no comparison with trying to jump in and out of stocks and pay investment advisors.

If you’d followed my advice, incidentally - or this retrospective advice - which is always so easy to give - (Laughs)

If you’d follow that, of course you - there’s one problem. Your friendly stock broker would have starved to death.

I mean, you know, and you could have gone to the funeral to atone for their fate. But the truth is, you would have been better off doing this than a very, very, very high percentage of investment professionals have done, or people have done that are active that - it’s very hard to move around successfully and beat, really, what can be done with a very relaxed philosophy.

And you do not have to be - you do not have to know as much about accounting or stock market terminology or whatever else it may be, or what the Fed is going to do next time and whether it’s going to raise three times or four times or two times.

None of that counts at all, really, in a lifetime of investing. What counts is having a philosophy that you’ve - that you stick with, that you understand why you’re in it, and then you forget about doing things that you don’t know how to do.

いつになるかわかりませんが、ウォーレンが去った後の投資の世界では、有象無象が跋扈しはじめると想像します。しかし今回のウォーレンは公式の場で助言を直接語り、映像記録として公開されるように手を打ちました。ですから一般投資家は何にも惑わされることなく、彼の助言を折に触れて思い出し、その導きにひかれて歩み続ければよいだけだと思います。

単なる私見ですが、ウォーレンは今回の発言を以って一通りの手を打ち終えたと感じました(株主に対する助言はすでに済ませ、バークシャーの主要経営陣も定まり、今回の発言が一般投資家向け、という意味において)。

2018年5月24日木曜日

2018年バークシャー株主総会(3)ウォーレン・バフェット直伝の教え

0 件のコメント:
ひきつづき、バークシャー・ハサウェイ株主総会でウォーレン・バフェットが質疑応答の前に語った「究極の教え」です。前回の投稿はこちらです。(日本語は拙訳)

結局のところ、この話の要点は何だと思いますか。シティーズ・サービス社の話は終わりとして、ここでもう一度1942年の3月11日に立ち戻ってみてください。

さきほど触れましたが、太平洋戦線と同じように、欧州という舞台でも状況はきびしいものでした。しかしアメリカ人であればだれもが知っているように、米国はその後の戦いで勝ちをおさめていきます。つまり出だしで不意を突かれたものの、戦争を勝ち進んでいきました。1776年以来、米国というシステムはうまく機能してきたのです。

そして次のスライドですが、その当時に1万ドルを投資していたらどうなるか想像してみてください。その頃にインデックス・ファンドは存在しませんでしたが、仮にインデックス・ファンドに資金を投じて、S&P500を事実上買っていたとします。

スライドはしばらくこのままで、少しばかり考えてみましょう。

その1万ドルが現在にはどれだけの価値になったか、考えてみてください。その際に、基本的な前提をひとつ置いてください。たとえば、「後生大事に保有することになる農地を買う」場合には、その投資が賢明かどうかを判断するために、「農地からあがる生産物やその量を考慮する」ものです。

あるいは、「生涯保有するつもりで小規模の集合住宅を買う」場合、投資の巧拙を判断するには「その物件からあがる利益を考える」ものです。[過去記事]

そのかわりに、1万ドルを投じて「『米国』というビジネスの一部分を保有する」道を選ぶかもしれません。その場合、別の株価を気にしたり、助言やそういったものを提供しようとする他人の話に耳を傾けたりするべきではありません。

さあ、さきほどの金額がいくらになったか、ぜひ考えてみてください。数字を思い描いたと思いますので、答えが書いてある次のスライドへ移ります。

正解は、5,100万ドルです。まったく何もせずに、この金額になります。会計のことを理解する必要もありません。株式投資初日のわたしがしていたように、株価を毎日たしかめる必要もありません(笑)。あのときは、学校から帰宅するまでに3.75ドル損をしていましたが。

やるべきことはただひとつ、「米国が過去を通じてうまくやってきたという事実を思い起こす」、これだけでよかったのです。だからこそ、この国は現在の困難も乗り越えるでしょうし、この国がうまくやれるとすれば、この国のビジネスもうまくいくでしょう。

勝ち銘柄を探し当てる必要はなかったですし。絶好の機会などを見計らう必要もありませんでした。つまるところ、投資に踏み切る決断を生涯で一度下すだけでよかったのです。

しかもそのときは、「一度きりの機会」というほどでもありませんでした。振り返ってみれば、ほかの時期に投資を始めてもうまくいきましたし、利益がもっと大きくなった時期もありました。

ですから、今日これから質疑応答が進みますが、その際には「これから自分が投資をつづける間に、米国のビジネスはどのように進展するのだろうか」という、大局的な観点を忘れないようにしてください。

(さらにつづく)

Well, what’s the point of all this? Well, we can leave behind the Cities Service story, and I would like you to, again, imagine yourself back on March 11th of 1942.

And as I say, things were looking bad in the European theater as well as what was going on in the Pacific. But everybody in this country knew America was going to win the war. I mean, it was, you know, we’d gotten blindsided, but we were going to win the war. And we knew that the American system had been working well since 1776.

So, if you’ll turn to the next slide, I’d like you to imagine that at that time you had invested $10,000. And you put that money in an index fund - we didn’t have index funds then - but you, in effect, bought the S&P 500.

Now I would like you to think a while, and don’t - do not change the slide here for a minute.

I’d like you to think about how much that $10,000 would now be worth, if you just had one basic premise, just like in buying a farm you buy it to hold throughout your lifetime and depend - and you look to the output of the farm to determine whether you made a wise investment.

You look to the output of the apartment house to decide whether you made a wise investment if you buy an apartment - small apartment house - to hold for your life.

And let’s say, instead, you decided to put the $10,000 in and hold a piece of American business, and never look another stock quote, never listen to another person give you advice or anything of this sort.

I want you to think how much money you might have now. And now that you’ve got a number in your head, let’s go to the next slide, and we’ll get the answer.

You’d have $51 million. And you wouldn’t have had to do anything. You wouldn’t have to understand accounting. You wouldn’t have to look at your quotations every day like I did that first day - (laughs) - when I’d already lost $3.75 by the time I came home from school.

All you had to do was figure that America was going to do well over time, that we would overcome the current difficulties, and that if America did well, American business would do well.

You didn’t have to pick out winning stocks. You didn’t have to pick out a winning time or anything of the sort. You basically just had to make one investment decision in your life.

And that wasn’t the only time to do it. I mean, I can go back and pick other times that would work out to even greater gains.

But as you listen to the questions and answers we give today, just remember that the overriding question is, “How is American business going to do over your investing lifetime?”

2018年5月20日日曜日

2018年バークシャー株主総会(2)ウォーレン・バフェット直伝の教え

0 件のコメント:
前回の投稿につづいて、バークシャー・ハサウェイ株主総会でウォーレン・バフェットが質疑応答の前に語った「究極の教え」です。(日本語は拙訳)

それでは翌日にどうなったのか、次のスライドをお願いします。そうです、うれしい日ではありませんでした。市場つまりダウ工業平均は下落して、100ポイントを割りました。

下落率は2.28%でしたので、現在に換算すると500ポイントの下落になります。もちろん、学校に行ってからも気になって仕方がありませんでした。

余談ですが、紙面の左側をみるとダウ工業平均がありますが、その上にはニューヨーク・タイムズ自身が算出した株価平均指標が載っています。彼らは独自の指標を使っていましたが、やがては消えてしまいました。一方のダウ平均はそのまま残りました。

さて株を買った翌日の話に戻りますと、次のスライドに進めば事情がわかります。株価は39ドルになっています。「3株買ってほしい」と頼んだために、父が朝一番に買ってくれていたのです。これは、その日の高値で買っていたことになります。

わたしの持ち分を買った値段は38.25ドル、その日の高値でした。一方の終値は37ドルまで下がりました。この頃合いの計りかたはわたしが株を買う際のまさしく典型で、その後の年月でも見受けられるようになります(笑)。

ただし、この株は当時の「ニューヨーク・カーブ取引所」で取引されていました[カーブは「屋外」的な意味]。のちの「アメリカン証券取引所」です。

しかしものごとが、つまりミッドウェイ海戦までは戦況が非常に悪いと思われていたにも関わらず、次のスライドを見れば、わたしの買った株がなかなか良かったことがわかります。買値38.25ドルと記されています。


その後株価は続伸し、やがてはシティーズ・サービス社が1株200ドル超で[優先株を]償還するに至りました。しかし、この話は「めでたしめでたし」では終わりません。次のページに進むと..(笑)


..よく言われるように、「そのときにはうまい考えだと、思えたのだよ」(大笑)。

株を売却したことで、5ドルの儲けをだしました。これもまた、わたしがとる行動の典型でした(笑)。しかし株価が27ドルまで下がった様子をみたあとですから、うまいこと利益を上げたと思ったわけです。

(さらにつづく)

Well, let’s take a look at what happened the next day. Let’s go to the next slide, please. And it was not a good day. The stock market, the Dow Jones Industrials, broke 100 on the downside.

Now they were down 2.28 percent as you see, but that was the equivalent of about a 500-point drop now. So I’m in school wondering what is going on, of course.

Incidentally, you’ll see on the left side of the chart, the New York Times put the Dow Jones Industrial Average below all the averages they calculated. They - they had their own averages, which have since disappeared, but the Dow Jones has continued.

So the next day - we can go to the next slide - and you will see what happened. The stock that was at 39 - my dad bought my stock right away in the morning because I’d asked him to, my three shares. And so I paid the high for the day.

That 38 1/4 was my tick, which was the high for the day. And by the end of the day, it was down to 37, which was really kind of characteristic of my timing in stocks that was going to appear in future years. (Laughs)

But it was on the - what was then called the New York Curb Exchange, then became the American Stock Exchange.

But things, even though the war, until the Battle of Midway, looked very bad and - and if you’ll turn to the next slide, please - you’ll see that the stock did rather well. I mean, you can see where I bought at 38 1/4.

And then the stock went on, actually, to eventually be called by the Cities Service Company for over $200 a share. But this is not a happy story because, if you go to the next page, you will see that I - (Laughter)

Well, as they always say, “It seemed like a good idea at the time,” you know. (Laughter)

So I sold - I made $5 on it. It was, again, typical - (laughs) - of my behavior. But when you watch it go down to 27, you know, it looked pretty good to get that profit.

2018年5月16日水曜日

2018年バークシャー株主総会(1)ウォーレン・バフェット直伝の教え

0 件のコメント:
バークシャー・ハサウェイの株主総会が5月5日(土)に開催されました。今回からのシリーズでは、例によってウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーによる質疑応答(の一部)をご紹介します。

英文のトランスクリプトを入手するために、例年ですと有志の方が起こしてくれたものを待っておりました。しかし(少なくとも)今年は、先だってご紹介したCNBCのサイトで映像とともに公開されているので、そちらの文章をお借りします。

Morning Session - 2018 Berkshire Hathaway Annual Meeting (CNBC)

(映像の再生が始まらない場合は、テキスト本文の上下行間にマウスポインターを置いて、"SYNC VIDEO TO PARAGRAPH"という文を表示させた上で、クリックしてみてください)

今回からご紹介する文章は、おなじみの質疑応答を始める前に、ウォーレンが「株式投資一般」について特別に語ったものです。彼が過去に書いてきた文章を包括した内容なので、これといって目新しいところはありませんが、こうして彼が改めて語ることに大きな意味があると受けとめました。今回から続く数回分の文章が、「ウォーレン・バフェット自らが語る、究極の教え」になると思います。(日本語は拙訳)

3. バフェット直伝の教え: 投資をどのように捉えるべきか

<ウォーレン・バフェット> まずはじめに少しばかり時間をいただき、投資をどのように考えることができるか、ちょっとした見方をご紹介したいと思います。現在は「今日あるいはこの瞬間に起こっていることばかりに意識を向ける風潮」がみられますが、それとは対極にある話です。

話がわかりやすくなると思いますので、わたし自身のちょっとした昔話を振り返ってみます。

画面上で最初にご紹介するのがニューヨーク・タイムズ紙、1942年の3月12日付の紙面です。すみませんが、文章を読むのは若干遅いほうでして(笑)。

当時を振り返りますと、ええとこれは参戦してから3か月ほど経った時期です。その時点の我が国はまだ劣勢でした。

新聞の見出しに出ているのは、太平洋戦線からの悪いニュースばかりでした。このスライドは、3月11日に先立つ日々の見出しからいくつか抜粋したものです。これから話題にするその日こそ、わたしにとってまさしく重大な1日となりました。

2枚目のスライドの上側にある見出しだと思いますが、「太平洋戦線が深刻な事態に陥っている」と書かれています。フィリピンが陥落してから数か月が経ったばかりの頃でしたが、悪いニュースばかり続いていました。

見出しがお読みになれるといいのですが、3枚目のスライドは3月9日のものです。ちなみに当時の同紙の値段は、一部3セントでした。

そして次に出てきたスライドが、3月10日の記事です。この先進技術によるスライドをなぜ利用しているのか説明しますと、わたしの目の前にあるスライドと同じものを、みなさんもいっしょに読めるようにしたかったからです。


それはそうと本題に戻って3月10日ですが、その日のニュースもひどいものでした。「敵軍[=旧日本軍]、オーストラリア侵攻を確たるものに」。株式市場の動きも、それを反映していたようでした。

当時のわたしは、シティーズ・サービスという会社の優先株を追いつづけていました。前年の株価は84ドルでしたが、その日の2か月前だった年初には55ドルになり、3月10日には40ドルまで下落していました。

新聞の見出しはどうであれ、その日の夜にわたしは父に言いました。「いよいよ打って出ることに決めたよ。だからシティーズ・サービスの優先株を3株、買ってもらえますか」。次の日の注文でお願いしたわけです。

資金はそれですべてでした。つまり、過去5年間かそこらで蓄えたお金です。そして次の日の朝、父は3株分を買ってくれました。[ウォーレンの父ハワードは株式ブローカーだった。そして1943年からは、連邦議会の下院議員となる]

(つづく)

3. Master class: How to think about investments

[some sentences omitted]

And I would like to just spend just a couple of minutes giving you a little perspective on how you might think about investments, as opposed to the tendency to focus on what’s happening today, or even this minute, as you go through.

And to help me in doing that, I’d like to go back through a little personal history.

And we will start - I have here a New York Times of March 12th, 1942. I’m a little behind on my reading. (Laughter)

And if you go back to that time, that - it was about, what? Just about three months since we got involved in a war which we were losing at that point.

The newspaper headlines were filled with bad news from the Pacific. And I’ve taken just a couple of the headlines from the days preceding March 11th, which I’ll explain was kind of a momentous day for me.

And so you can see these headlines. We’ve got slide two up there, I believe. And we were in trouble, big trouble, in the Pacific. It was only going to be a couple months later that the Philippines fell, but we were getting bad news.

We might go to slide three for March 9th. Hope you can read the headlines, anyway. The price of the paper’s three cents, incidentally.

The - and let’s see, we’ve got March 10th up there, as slide - I - when I get to where there’s advanced technology of slides, I want to make sure I’m showing you the same thing that I’m seeing in front of me.

So anyway, on March 10th, when again, the news was bad: “Foe Clearing Path to Australia.” And it was like it - the stock market had been reflecting this.

And I’d been watching a stock called Cities Service preferred stock, which had sold at $84 the previous year. It had sold at $55 the year - early in January, two months earlier - and now it was down to $40 on March 10th.

So that night, despite these headlines, I said to my dad - I said, “I think I’d like to pull the trigger, and I’d like you to buy me three shares of Cities Service preferred” the next day.

And that was all I had. I mean, that was my capital accumulated over the previous five years or thereabouts. And so my dad, the next morning, bought three shares.

2018年5月12日土曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(10)なおす術はわからない

0 件のコメント:
デイリー・ジャーナル社株主総会におけるチャーリー・マンガーの質疑応答、前回の話題だった「企業文化」のつづきです。(日本語は拙訳、意味段落での改行追加あり)

(1:41:04)

<チャーリー・マンガー> 所属する組織の規模が大きくなり、複雑さが増すにつれて、つまりはGM社やAT&T社のような文化と言えますが、非常に難しい問題になりますね。大企業では多かれ少なかれ同じように、非常に官僚主義的になっています。「きわめて官僚的である」、これがお決まりの社風ですよ。もちろん政府でもそうで、巨大な政府組織では官僚主義が生じています。官僚主義というものはさまざまな間違いを起こしますから、基本的には好かないですね。だからといって、そのかわりを私が示せるわけではありません。これまで以上に連邦政府をうまく運営する方法も知りません。私自身の見解として巨大な官僚的文化は基本的に好きになれないので、それゆえ深く考えることもないのです。官僚主義を大幅に修正する方法など、私にはわかりません。「従業員が100万人もいる企業の文化を変えてほしい」と任されても、私には地獄行きを宣告されたも同然ですよ。レストラン1軒の文化を変えることでさえ、容易ではないです。すでに官僚主義的な文化に染まった場所を、どうやって非官僚的に変えればよいのか、実に難しい問題だと思いますね。

バークシャーでは官僚主義の問題を解決するために最善を尽くしてきました。そうです、本社自体が存在しなければ、本社的な官僚主義などそんなに生じようがないですから(笑)。それが我々のとったシステムです。しかしそのようなシステムができあがったのは、我々が天才だったとか英明だったとか、そういうわけではないですよ。たまたまそうなった部分もあったのです。しかしそのやりかたがうまくいくとわかってからは、ずっとそうしてきました[過去記事]。しかし巨大な組織の企業文化を正す方法は、私にはわかりませんね。

But the minute you get into the bigger and more complicated places…I mean you can talk about the culture of General Motors or the culture of AT&T, it’s a very difficult subject. What big businesses have in common by and large is that they get very bureaucratic. That’s the one norm in culture is that they get very bureaucratic. And of course it happens to the government too. A big governmental body. And basically I don’t like bureaucracy, it creates a lot of error. I don’t have a substitute for it. I don’t have a better way of running the U.S. government than the way they’ve been doing it. But I basically don’t personally like big bureaucratic cultures and so I don’t think very much about big bureaucratic cultures. I don’t know how to fix bureaucracy in a big place. I would regard it as a sentence to hell if they gave me some company with a million employees to change the culture. I think it’s hard to change the culture in a restaurant. A place that’s already bureaucratic, how do you make it un-bureaucratic? It’s a very hard problem.

Berkshire has solved the problem as best it can…of bureaucracy. You can’t have too much bureaucracy at headquarters if there’s no bodies at headquarters. (laughter) That’s our system. I don’t think it arose because we were geniuses or anything. I think partly it was an accident. But once we saw what was working, we kept it. But I don’t have a solution for corporate culture at monstrous places.

2018年5月8日火曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(9)我が麗しきコストコよ

0 件のコメント:
デイリー・ジャーナル社株主総会におけるチャーリー・マンガーの質疑応答、今回の話題は企業文化です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

(1:39:16)

<質問29> 社風についておうかがいします。ある企業の社風を部外者の立場から、本当に知ることができるものでしょうか。それと同様に、組織における上層部の人間が、配下の者たちが抱く企業文化について、本当に確信できるものでしょうか。また、ウェルズ・ファーゴ社やGE社のような巨大企業の文化を評価する上で、どのようになさっていますか。文化を理解するのに有用だと考えていらっしゃるものには、何がありますか。

<チャーリー・マンガー> コストコ社のような企業の末端でどのような社風が根付いているか、みなさんもよく知っておられるでしょう。そこまで至った企業文化とは、広大かつ前向きな活力を有していますね。これからもずっと長きにわたって継続すると思いますよ。

しかしGEを調べてみると、非中央集権的な部分もあれば、そうでない部分もあります。単一のビジネスではなく、複数のビジネスを営んでいるからですね。これはかなり複雑な問題になりますよ。事業内容があれほど激しく異なってしまうと、いったい何がGEの文化だと言えるでしょうか。おそらく本社は、ある種の文化を有していることでしょう。その文化は、えてして誤った方向へと進むものです。ある事業から別の事業へと人材をできるだけ異動させるやりかたは、私が思うにずばり間違いですね。

コストコのように、並外れた文化をだれもが受け入れている企業は、きわめて稀です。そして彼らはその文化のもとで、ただひとつの基本的事業にまったくもって留まっています。彼らの有する強靭な文化が正しければ成果がどれだけ得られるのか考えたからこそ、コストコのような企業に心惹かれるわけですよ。

(次回に続く)

Question 29: Questions about culture. How can an outsider really know a company’s culture? And for that matter, how can an insider, at the top of an organization, really be certain about the culture of the company beneath him? And how would you go about assessing the culture of giants like Wells Fargo or General Electric? What is it that you look at that helps you understand culture?

Charlie: Well, you understand culture best where it’s really down (low) in a place like Costco. And there the culture is a vast and constructive force. Which will probably continue for a very, very long time.

The minute you get into General Electric, partly decentralized, partly not. Multi-business instead of one business. It gets very complicated. What is the culture of General Electric when the businesses can be so radically different? Maybe headquarters can have a certain kind of culture. And maybe the culture will be a little wrong. And maybe it’s wrong to shift people around from business to business as much as they do. Which I strongly suspect.

I do think…there are very few businesses like Costco that have a very extreme culture where everybody’s bought into. And where they stay in one basic business all the way. I love a business like Costco because of the strong culture and how much can be achieved if the culture is right.

備考です。チャーリーというよりもウォーレン・バフェットの件ですが、Twitterでご紹介したように、バークシャー・ハサウェイ株主総会の映像記録がCNBCのサイトで公開されていました(お世話になっている某サイトで紹介されていたのを見て、はじめて知りました)。1994年以降のものが収録されているので、天井と底が2組分ありますね。

Berkshire Hathaway Annual Meetings (CNBC)

上位にあたるサイトはこちらです。

The definitive collection - Buffett in his own words (CNBC)

2018年5月4日金曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(8)人工知能について

0 件のコメント:
前回につづいて、デイリー・ジャーナル社株主総会におけるチャーリー・マンガーの質疑応答です。「知恵のかたまり」とも言えるチャーリーが、人工知能について語ります。(日本語は拙訳)

<質問28> 人工知能(AI)は、社会に対してインターネット革命以上に大きな影響をもたらすと思われます。それでは、AIは各種業界に対して概してどのような影響を与えるか、また人類の将来に対してどのような影響を与えるのか、ご見解をお聞かせいただければ幸いです。

<チャーリー・マンガー> これはいい質問ですね(笑)。人工知能を研究している人たちは実際のところ、その質問に答えられないと思いますよ。私自身は、それほど多くは学び得られないと思って、人工知能のことは勉強していません。Facebook社やGoogle社ではAIがマーケティングの一環として機能しているのはわかります。だから、ある領域ではうまく機能するのでしょうね。しかし、この主題は実に複雑ですよ。正確にどうなっていくのかは、私にはわかりません。わが人生では、体系化した常識を用いるだけで相当うまくやってきました。ですから、人工知能のような領域に足を踏み入れたいと考えたことはないですね。水辺を探し回って小さな金塊を拾えるとすれば、それが可能な限りは、わずかな優位を得んがために沖積漂砂鉱床へ出向いて、莫大な量のデータをふるいにかけたいとは思いませんよ[=砂金採りの意に引掛けている。過去記事]。つまり、質問する相手をまちがっています。AIがどれほどすごいものなのか、私には自信をもって言い切れません。「AIがまちがいなく経済面での革命を起こす」とは思えないのです。これまで以上に利用されるのはたしかだと思いますが、AIを使うことによって世界で最高の大成功者になれるかどうかは、どんなものでしょうかね。人工知能がうまく働く領域はあるのでしょうが、我々もガイコ社(GEICO)で相当な時間にわたって導入を検討してきたものの、いまだに昔ながらの情報や工夫でやっています。ですから私の知っているのはここまでで、もうこれ以上は語れないのですよ。

Question 28: It looks like the A.I. will have a much bigger impact on society than the internet revolution, so would you mind maybe sharing some of your thoughts on how artificial intelligence will impact different industries in general and who [errata?] it will impact the future of the human race?

Charlie: Well, that’s a nice question. (laughter) The people who studied artificial intelligence don’t really know the answer to that question. I’m not studying artificial intelligence because I wouldn’t be able to learn much about it. I can see that artificial intelligence is working in the marketing arrangements of Facebook and Google, so I think it is working in some places very well. But it’s a very complicated subject. And what its exact consequences are going to be, I don’t know. I’ve done so well in life by just using organized common sense, that I never wanted to get into these fields like artificial intelligence. If you can walk around the shores and pick up boulders of gold, as long as the boulders keep being found and picked up, I don’t want to go to the placer mining sifting vast amounts of data for some little edge. So you’re just talking to the wrong person. And I’m not at all sure how great…I don’t think artificial intelligence is at all sure to create an economic revolution. I’m sure we’ll use more of it, but what are the consequence of using artificial intelligence to become the world’s best (golden boy)? There may be places where it works, but we’ve thought about it at Geico for years and years and years, but we’re still using the old fashion intelligence. So I don’t know enough about it to say more than that.

備考です。デイリー・ジャーナル社ではなくバークシャーの話ですが、明日5月5日は株主総会の開催日です。例によって、Yahooのサイトで実況放映されるとのことです(日本時間はPM10:45より)。

Berkshire Hathaway 2018 Annual Shareholders Meeting Livestream (Yahoo! Finance)

2018年4月28日土曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(7)保険会社はつらいよ

0 件のコメント:
前回につづいて、デイリー・ジャーナル社株主総会におけるチャーリー・マンガーの質疑応答です。(日本語は拙訳。意味段落での改行追加あり)

(1:25:32)

<質問23> おはようございます、バフェットさん...いや、マンガーさん。

<チャーリー・マンガー> 「バフェット」と呼んでくださるとは、これは光栄の至りですね(爆笑)。

<質問者> バークシャーが出した最新の年次報告書では、これまでと同様に簿価の変遷が記されています。52年間で19ドルから17万2千ドルへと増加しており、年率にすると19%の成長になります。それでは、この並外れたパーセントにおける大きな割合が、保険事業によってもたらされたレバレッジによるものなのでしょうか。保険会社を使って投資資産を保有できるおかげで、たとえば14%のリターンをあげることで、簿価の20%増へとつながるのでしょうか。

<チャーリー> バークシャーの数字には、あきらかにレバレッジが若干埋まっていましたね。それを保険事業がいくらか供したのも明白です。だからといって、すっかり埋まっていたわけではなかったですよ。それが役立った年もありましたし、困ってしまうほどの大量の資金をアジート[・ジェイン]がもたらしてくれた年もありました。彼はその資金をウォーレン[・バフェット]へ回し、ウォーレンが20%増やしたという顛末です。ですから、保険事業とバークシャー・ハサウェイの間で目を瞠るような相乗効果の生じた年が、何度かあったわけです。

しかし基本的には、保険という事業はたやすく儲けられる道ではないですよ。かの商売には危険や困難が多々ありますし、こうして座っている間にも刻々と競争が激しくなっています。バークシャーが成功できたのは、大きな失敗をほとんどおかさなかったからです。大間違い、そう実に大きなものはなかったですね。そして成功のほうは、かなりありました。我々が成果をあげた頃とくらべると、現在の状況下でそれらすべてを果たすのは、相当むずかしいことでしょう。50年間を通して年率19%の成長を遂げる企業など、きわめて稀ですよ。まったくもって、純資産がですよ。実に珍奇なことです。そんなことが再びすぐに起こるとは思えませんね。デイリー・ジャーナル社で起こるなど、絶対ありえないですよ。

Question 23: Good morning Mr. Buffett…Mr. Munger.

Charlie: I’m flattered to be called Mr. Buffett. (laughter)

Question 23 Continued: The most recent annual report for Berkshire, as in the past reports, the growth in book value was shown and over the past 52 years it has grown from $19 to $172,000. Which represents a return of 19% a year. Is a large part of that outsized percentage attributable to the leverage inherent in the insurance company, such that you can own an investment in the insurance company which returns say 14% and it becomes 20% to book value?

Charlie: Well obviously there was a little leverage buried in the Berkshire numbers. Obviously the insurance business provided some of that. It’s not over-whelming in its consequences. There were years when it was helping. There were years when Ajit made so much money that it was almost embarrassing. And then he’d give the money to Warren and Warren would make 20% on the money. So there were some years when some remarkable synergies between the insurance business and Berkshire Hathaway.

But basically the insurance business is not some cinch easy way to make money. There’s a lot of danger and trouble in the insurance business and its more and more competitive all the time now as we’re sitting here. Berkshire succeeded because there were very few big errors…there were like no big errors, really big. And there were a considerable number of successes. All of which would have been much harder to get under present conditions than they were at the time we got the results. And there are very few companies that have compounded at 19% per annum for fifty years. It’s (a weird) in net worth. That is very peculiar. I wouldn’t count on that happening again soon. It certainly won’t happen at the Daily Journal.

2018年4月24日火曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(6)やっぱり、今は甘くない

0 件のコメント:
前回のつづきで、デイリー・ジャーナル社株主総会におけるチャーリー・マンガーの質疑応答です。今回は2件の話題を取り上げます。ひとつめがバークシャー・ハサウェイのアジート・ジェインについて、もうひとつがウォーレン・バフェットの発言したリターン率についてです。(日本語は拙訳。意味段落での改行追加あり)

(1:19:02)

<質問19> アジート・ジェインはどのようにしてバークシャーの再保険事業を一から築き上げたのですか。

<チャーリー・マンガー> すごく単純なことですよ。彼は毎週90時間ほど働きましたし、非常に頭が切れて、実に賞賛すべき人物でしたからね。取引においても、すこぶる楽しんでいましたよ。ウォーレン・バフェットとは毎晩話しをしていましたね。そのような人物が他にいるかどうか、探してみたらどうですか。しかしながら、彼も以前ほどの成果は出せないと思います。昔よりもむずかしいゲームになりましたからね。つまりはそういうことですよ。

Question 19: How did Ajit Jain build Berkshire reinsurance from scratch?

Charlie: Well it’s very simple. He worked about 90 hours a week. He was very smart. He’s very honorable. He’s very pleasant to deal with. And he talked every night to Warren Buffett. Just find somebody else like that. But he won’t do as well because the game is harder now than it was then. And that’s my answer to your question.

(1:21:05)

<質問21> ウォーレン・バフェットは1999年に次のように言っておられました。「自分の運用資金が100万ドルであれば、[年率]50%のリターンをあげられる」と。一方であなたは「現在の投資環境はむずかしい」とおっしゃっていますが、そうであれば彼の言ったリターンは、今日では何%になるとお考えですか。

<チャーリー> 辛抱強い上に積極果敢で非常に聡明な人物が、「売買高の少ない株式」や「珍妙な領域」といった往来の少ない場所を探しだそうとして、労苦を厭わずに働いていると思いますよ。ことごとく抜け目のない人物が少額の資本を運用しているのであれば、現在のような状況であっても高いリターン率をあげられることでしょう。しかし、この問題は現在の私自身には当てはまりません。私にとっては困難な仕事ですし、バークシャーにとっても困難です。デイリー・ジャーナル社にとっても、容易なところは微塵(みじん)もありません。

当社のような「企業」という形態において株式を保有するのは不利ですね。期せずして株式を保有するに至ったのであって、そこに金(かね)があったから株式を買ったわけです。功を奏したものの、当社の株主の立場から見れば、間接的に保有したことになる株式に達するまで、所得税が幾層にも立ち並んでいるわけですから、好ましいことではありません。内国歳入法が規定するところのCコーポレーションとして課税される公開企業では、公開株をひとたび保有してしまえば、所得税を含むあらゆる種類の要因が、投資上の判断に影響を及ぼすことになります。そうであれば、慈善財団あるいは個人年金プランを通じて投資したほうが、ずっと容易ですよ。

概して言えば、そつのない人物が少額の資金を運用するのであれば、かなりうまく増大させられると思います。しかし金額が大きくなるや否や、難しくなりはじめます。ご列席のみなさんと同じ立場にあった私の頃とくらべると、みなさんのほうがずっと難しい状況だと思いますね。しかし私は死にかけている身であり、みなさんには長い年月が残されています(笑)。ですから、「私が占めている立場と交代したい」と望む人はいないでしょうね。

Question 21: In 1999, Warren Buffett said that he could return 50% if he ran $1 million. Give what you said about the investment landscape today being more difficult, what do you think that number would be today?

Charlie: Well I do think that a very smart man who’s patient and aggressive in combination, is willing to work hard, to root around in untraveled places like thinly traded stocks and other odd places. I do think a person with a lot of shrewdness, working with a small amount of capital, can probably earn high returns on capital even today. However that is not my personal problem at the moment. And for me it’s hard. And for Berkshire it’s hard. And for the Daily Journal we don’t have any cinch either.

It’s disadvantageous to have securities in a corporate vehicle like the Daily Journal Corporation. It’s an accident that we have them there. We have them there because that’s where the money was. The way it’s worked out, it’s not desirable if you’re a shareholder and you have a layer of corporate taxes between you and your securities that are indirectly owned. And once you get public securities held in a public corporation taxable under sub-Chapter C of the internal revenue code, all kinds of factors, including income taxes affect your investment decisions. And it’s much easier to invest in charitable endowment or your personal pension plan.

Generally speaking, I would say, if you’re shrewd enough with small sums of money, I think you can compound pretty well. The minute you get bigger sums, I think it starts getting difficult. It’s way more difficult for all you people sitting here than it was for me when I was in your position. But I’m about to die and you have a lot of years ahead. (laughter) You would not want to trade your position for mine.

2018年4月20日金曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(5)ヒトラーから学んだこと

0 件のコメント:
前回に続いて、デイリー・ジャーナル社株主総会の模様です。今回からはチャーリー・マンガーが交わした質疑応答を取り上げます。米国に主眼を置いた現在のマクロ経済に関する話題です。(日本語は拙訳。意味段落での改行追加あり)

(1:13:13)

<質問17> GDP比でみた連邦政府の債務水準が上昇しており、同時に景気循環の終盤にあって巨額の財政赤字に陥っています。そういったあらゆる現状を憂慮されていますか。

<チャーリー・マンガー> 連邦政府の債務水準が上昇していることは、もちろん不安視していますよ。この国にとって新たな領域に突入しており、新たな領域というものはたぶんに危機が待ち受けているものです。その一方で、程度はともあれこの世界がそれなりにうまく進行する可能性もあります。政府のとる行動パターンが、「歴史に照らして信頼できるものだ」とみなさんや私が考えるものとは大きく異なっているとしてもです。もちろん、この100年間でインフレーションを避けてきた時期には、当時の政府は物価の安定を目標に掲げていました。一方、今の政府の目標は2%のインフレです。さあ、一体どうなることでしょうか。「だれにもわからない」というのが答えです。しかし、「長期的なインフレ率が2%を大きく超える」とする側に賭けるのが筋ではないですかね。私ならそちらに賭けますよ。ただし我々は過去の経験から、「マクロ経済という代物は実に奇異なもので、物理学のようには動かない」ことを学んでいます。今後10年間における[経済]システムは、過去10年間に存在したシステムとは別のものです。異なるシステムには異なる公式が当てはまります。しかしシステムがいつ変化したのか、そして公式がいつ変化すべきなのかは、だれも教えてくれません。

ですから、「世界がすっかりとんでもないことになる」とは想像していません。第1次世界大戦後のドイツでは何が起きましたか。通貨の価値が基本的にゼロとなり、ハイパー・インフレーションが起きたのです。実に大きな過ちを大規模におかしました。しかしそのあとどうなったのかと言えば、かなりの短期間で復活しました。どうやって実現したかというと、モーゲージ[=住宅ローン]を価値の裏付けとした新たなライヒスマルク[通貨]を制定したのです。そのモーゲージは、不当にもタダでモーゲージを剥奪された人たちが所有する住宅や地所へと戻されたものでした。新ライヒスマルクは十分うまく機能しました。そのおかげでドイツは大惨事からうまく回復し、大恐慌の時期を迎えられました。そして実のところ、大恐慌とヴァイマル時代のインフレが組み合わさったことによって、ヒトラーが登場したのです。大恐慌がなければ、彼は権力を手にできなかったと思いますよ。

その後何が起きたのかは、みなさんもご承知の通りですね。欧州を先導する経済力を1930年代末までに持つようになった国は、どこでしょうか。そう、ドイツです。報復の思いなどに焦がれていたヒトラーは、多大なる軍備を取りそろえたり、多くの兵士を訓練したりしました。このように偶然生じたケインズ主義によって、ヒトラーの率いるドイツは大いに繁栄しました。そして1939年の欧州において、ドイツはもっとも繁栄した場所となったのです。だからこそ、彼らはあれほどまでの大惨事から復活できたのですよ。ですから私は、「世界が動乱の時代を迎えるかもしれないと思い病むことはない」と思います。なぜなら回復する術があるからです。いや、かつてのドイツが取ったやりかたを擁護してはいませんよ(笑)。しかしそういった先例を学ぶことで、私が言うところの「思考する上での奇抜さ」を築けるものと思います。おろかな戦争で壊滅した国家が、さらに自国の通貨を崩壊させ、世界恐慌を通過した後に、1939年には欧州でもっとも繁栄した国家となったのですから、これは励まされることですね。みなさんも一安心してください(笑)。

Question 17: Are you concerned at all about the rising level of government debt to GDP at the same time that we’re running large deficits late in the economic cycle.

Charlie: Of course I’m concerned about the rising level of government debt. This is new territory for us, and new territories probably has some danger in it. On the other hand, it is possible that the world will function more or less pretty well, even with a very different pattern of government behavior than you and I would have considered responsible based on history to date. Of course if you look at the inflation we got out of the last hundred years when the announced objective of government was to keep prices stable. Now the announced objective is 2% inflation. Well what the hell’s going to happen? Well the answer is, we don’t know. But isn’t the way to bet that it’s going to be…inflation over the long-term is way higher than 2%? I think the answer is yes. But I think that we have learned from what has happened in the past that macro-economics is a very peculiar subject and it doesn’t work like physics. The system is different in one decade, than the system that was present in the last decade. Different systems have different formulas, but they don’t tell you when systems have changed, and when the formulas have to change.

So I don’t expect the world to go totally to hell because…well, look at what happened in Germany after World War I. They had a hyper-inflation when the currency basically went to zero in value. They really screwed up big time. And what happened?…Well what happened was they recovered from it pretty quick. And they did it by creating a new Reichsmark backed by the mortgages which they put back on the houses and properties of the people who had unfairly gotten rid of their mortgages at no cost. And that new Reichsmark was working pretty well and Germany had pretty well recovered from that catastrophe and then along came the Great Depression. And the combination of the Great Depression and the Weimar inflation really brought in Hitler. Without the Great Depression I don’t think he would have come into power.

What happened…now you’ve got…by the late 30’s, what was the leading economic power in Europe? It was Germany. Cause Hitler in his crazy desire for vengeance and so on, bought a lot of munitions and trained a lot of soldiers and so forth. And the accidental Keyensianism of Germany under Hitler caused this vast prosperity. So Germany was the most prosperous place in Europe in 1939. So all that catastrophe, they recovered from. So I don’t think you should be too discouraged by the idea that the world might have some convulsions. Because there’s a way of recovering. Now I’m not advocating the German system (laughter), but I do think knowing these historical examples creates what I call “mental ploys.” And you’d think that a country that destroyed (itself) in a silly war, destruction of your own currency, great depression, and by 1939 it’s the most prosperous country in Europe. It’s encouraging. I hope you feel better. (laughter)

2018年4月16日月曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(4)正しい生き方とは

0 件のコメント:
前回に続いて、デイリー・ジャーナル社株主総会でチャーリー・マンガーが発言した内容です。短いですが、大切なことがすし詰めの文章です。(日本語は拙訳。意味段落での改行追加あり)

だからと言って、我々のしてきたことや心構えが時代遅れで、もう役に立たないと言っているわけではないですよ。今はただ見込みが薄いというだけです。「釣り人のおきて」というのがありますが、これは秀逸です。釣りをする上での規則、その1が「釣りたい魚のいるところで釣れ」、その2が「規則その1を忘れるな」[過去記事]。投資においても同じことが言えますね。魚がたくさん集まっている場所では、釣り人の腕前の良さを気にする必要はありません。しかし大量に釣り上げられた場所では、どれほどの腕利きでもさしたる釣果はあげられないでしょう。現在のこの世界をみれば、いたるところが後者に当てはまります。

しかし、それで意気消沈するのは違いますね。そうではなく、人生とは先の長いゲームで、易しい時期もあればむずかしい時期もあり、好機がやってくれば不運に見舞われることもあるわけです。だから正しい生き方とは、「あるがままを受けいれ、最善を尽くす」、そう歩むことです。年を取るまでには、みなさんにも好機がやってくるでしょう。一生の間に二度ばかり、それで打ち止めかもしれません。しかし、そのうちの一度でも物にできれば上出来ですよ。さあ、偉ぶった物言いはここまでにして、質問を受けましょう。

That’s not to say what we did and the attitudes that we had are obsolete or won’t be useful, it’s just that their prospects are worse. There’s a rule of fishing that’s a very good rule. The first rule of fishing is “fish where the fish are”, and the second rule of fishing is “don’t forget rule number one.” And in investing it’s the same thing. Some places have lots of fish and you don’t have to be that good a fisherman to do pretty well. Other places are so heavily fished that no matter how good a fisherman you are, you aren’t going to do very well. And in the world we’re living in now, an awful lot of places are in the second category.

I don’t think that should discourage anyone. I mean life’s a long game, and there are easy stretches and hard stretches and good opportunities and bad opportunities. The right way to go at life is to take it as it comes and do the best you can. And if you live to an old age, you’ll get your share of good opportunities. It may be two to a lifetime, that may be your full share. But if you seize one of the two, you’ll be alright. Well with that pontification done, I’ll take questions.

2018年4月12日木曜日

2018年デイリー・ジャーナル株主総会(3)そう簡単には大儲けできない

0 件のコメント:
前回に続いて、デイリー・ジャーナル社株主総会でチャーリー・マンガーが発言した内容をご紹介します。(日本語は拙訳。意味段落で改行追加しました)

[29:59]

資産運用業界における報酬体系、これは実におもしろいですね。昔から多額の資金を扱ってきた存在として、例えばマサチューセッツ・インベスターズ・トラスト(MIT)があります。同社は、ミューチュアルファンド[=投資信託]が許可された頃からの草分けでした。たしかに当時は称賛を集め、敬意を払われるに足る会社でしたよ。しかし運用資産が7,000億ドルかそこらを超えて、若き男女をおおぜい雇って要員を拡大するなどして、投資先を最低でも50件以上に拡大させたとなれば、S&P[500]平均の成績を上回る確率は減少して、ほぼ皆無へと至るでしょうね。もちろん彼らは、顧客がどれだけ払ってくれるのか思案したでしょう。実際のベーシス・ポイントはどうであれ、MITは長期にわたって運用報酬をとっていくのですから、プレッシャーを感じたり、自分たちの世界がおびやかされていると感じているかもしれません。

もうひとつ、おびやかされている領域があります。もしも手数料として「1アンド20」、すなわち運用資産総額の1%分に加えて利益の20%分を徴収する、あるいはもっとひどく資産総額の2%及び利益の20%を徴収するとしましょう。そして運用資産が300億ドルほどもあるとすれば、野心満々な部下の若者らはこぞって、理不尽なまでの金持ちに一刻も早くなりたいと欲するでしょう。そんな状況で顧客のために好成績をあげられる可能性は、いかほどだと思いますか。そういった手数料をとる普通の組織であれば、顧客がよい成績をあげる確率はわずかでしょうね。だからウォーレン[・バフェット]がヘッジファンド勢と対決して勝ちをおさめたのですよ[過去記事]。ウォーレンがS&P平均に賭けたのに対して、彼らは選り抜きの天才たちに賭けました。非常に高額の手数料をとる者たちです。しかし、その高い手数料が首をしめるのです。

競争のはげしい世界では、単純に証券を買うだけで大きな優位を得ようとするのは、それは大変なことです。何十億ドルもの資金で取り組む上に、多額の手数料が足枷となる状況で、「証券会社側の出すリサーチなどをいろいろ読んで、身を粉にして働ければうまい成果があがる」と考えるなんて、なおさらです。それは幻想ですよ。幻じみた見方で世の中と向き合うのは、正しいやりかたとは言えませんね。「現在直面している世の中よりも、バークシャーが台頭し始めた頃のほうが単純だった」とは思いませんし、「我々がしてきたのと同じやりかたをすれば、同じような成果を得られる」とも思いませんね。

I think the incentive structure in investment management is very interesting. If you look at the people who have a ton of money from the past, like say the Massachusetts Investor Trust or something like that, which pioneered Mutual Fund investing in the early days after Mutual Funds were allowed. It was certainly a respectable and honorable place. But once it gets to be $700 billion or whatever it is, and hires a lot of young men and has a big staff and so forth…and young women too…and spreads its investment over 50 securities at least, the chances that it’s going to outperform the S&P average really shrinks to about zero. And of course they wondered what we’ll keep paying, whatever number of basis points Massachusetts Investor Trust’s management operation charges for the long-term, and they may feel under pressure and that their world is threatened.

Another place that’s threatened. Suppose you’re charging say 1 and 20, one percent off the top and twenty percent of profits…or even worse, two percent off the top and twenty percent of profits…and you’ve got $30 billion or so under management and an army of young ambitious people, all of whom want to get unreasonably rich very fast. What are your chances of doing better for your clients? Well the average entity that charges those fees, the chances the clients will do well is pretty poor. That’s the reason Warren won that bet against the hedge funds. Where he bet on the S&P averages and they bet on carefully selected bunch of geniuses charging very high fees. And of course the high fees will just kill you.

It’s so hard in a competitive world to get big advantages just buying securities, particularly when you’re doing it by the billion, and then you add the burden of very high fees and think that by working hard and reading a lot of sell-side research and so forth, that you’re going to do well. It’s delusional. It’s not good to face the world in a delusional way. And I don’t think, when Berkshire came up, we had an easier world than you people are facing this point forward, and I don’t think you’re going to get the kind of results we got by just doing what we did.