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2016年3月4日金曜日

2015年度バフェットからの手紙(2)一生みじめでいたければ

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2015年度「バフェットからの手紙」より、ひきつづき引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

[3Gキャピタルの]ジョージ・パウロと彼の僚友ほどのパートナーは望めません。基本的なニーズや要求を満たすものを提供する大規模な事業を買収したり、築き上げたり、保有したいという想いは、わたしたちも彼らと同じです。ですがそれらの目標を追求する上で、彼らとは異なる道をわたしたちは歩んでいます。

彼らがとてつもない成功をおさめてきた方法とは、さまざまな不要なコストが削減可能な企業を買収し、すばやく行動することでその仕事を達成するやりかたです。米国経済が過去240年間にわたって成長をつづける際に、生産性は非常に重要な要因でした。要求される製品やサービスを同じ労働時間内でより多く産出できないと、つまり生産性増加の指標が向上しなければ、経済は必然的に停滞します。彼らは行動を起こすことで、その生産性を大幅に向上させるわけです。多くの米国企業において、生産性をまさしく大幅に向上させることは可能です。ジョージ・パウロや彼の仲間が機会を手にできるのは、それが事実だからです。

わたしたちも同じようにバークシャーでさらなる効率を求めつづけていますし、官僚主義を忌み嫌っています。しかしながら目標を達成するやりかたは、拡大忌避を謳う方法をとっています。つまり、昔から低コスト志向かつ効率的な経営者によって率いられてきたPCC[プレシジョン・キャストパーツ社]のような企業を買うやりかたです。同社を買収した後にわたしたちがやることと言えば、同社のCEOやその後継者諸氏が、彼らは概してわたしたちと気の合う人たちですが、最大限に効率的な経営をできるような、さらには仕事を通じて最高の喜びを得られるような、そのための環境を作り出すだけです。(このような非干渉的なやりかたをするのは、ある有名なマンガー式の考えを心に留めているからです。その考えとはこうです。「死ぬまでとことん惨めでいたければ、やがて振舞いを変えるつもりの相手と結婚すればまちがいない」) (PDFファイル5ページ目)

Jorge Paulo and his associates could not be better partners. We share with them a passion to buy, build and hold large businesses that satisfy basic needs and desires. We follow different paths, however, in pursuing this goal.

Their method, at which they have been extraordinarily successful, is to buy companies that offer an opportunity for eliminating many unnecessary costs and then - very promptly - to make the moves that will get the job done. Their actions significantly boost productivity, the all-important factor in America's economic growth over the past 240 years. Without more output of desired goods and services per working hour - that's the measure of productivity gains - an economy inevitably stagnates. At much of corporate America, truly major gains in productivity are possible, a fact offering opportunities to Jorge Paulo and his associates.

At Berkshire, we, too, crave efficiency and detest bureaucracy. To achieve our goals, however, we follow an approach emphasizing avoidance of bloat, buying businesses such as PCC that have long been run by cost-conscious and efficient managers. After the purchase, our role is simply to create an environment in which these CEOs - and their eventual successors, who typically are like-minded - can maximize both their managerial effectiveness and the pleasure they derive from their jobs. (With this hands-off style, I am heeding a well-known Mungerism: "If you want to guarantee yourself a lifetime of misery, be sure to marry someone with the intent of changing their behavior.")

2016年2月10日水曜日

スポーツ選手が抱く心境に学ぶ(セス・クラーマン)

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2009年3月のOID誌に掲載されたセス・クラーマンの講演記事から、さらに引用します。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<クラーマン> みずからの投資プロセスをコントロールすることにおいて、そういった点は絶対的に重要です。ソシエテ・ジェネラル社のストラテジストであるジェームズ・モンティエ[現在はGMOに所属]は、少し前に書いた文章で次のように指摘していました。「北京オリンピックで競技が始まる直前に、どんなことを心に抱いていたか」、運動選手たちに対してそう質問したところ、返事はどれも同じように、選手がひたすら考えていたのは結果ではなくプロセスのほうだったとのことでした。プロセスに集中することが、最善の結果を達成する術だったのです。

さらにモンティエは、昔から心理学者が「結果バイアス」として知られる現象を知っていたことに触れています。これは、結果の如何によって異なった評定をくだす傾向のことです。たとえばある医者が手術を行って、患者が命を取りとめたとします。この場合、同じ手術をしながらも失敗して患者が死亡した場合と比較して、はるかに優れていた判断だったと評定されます。モンティエ曰く、成果が振るわない期間にはプロセスを変更するようにとの圧力が高まります。しかしそのプロセスが適切である以上、プロセスを変更することこそ間違いなのです。(p.3)

Klarman: This point about controlling your process is absolutely crucial. James Montier, SocGen's market strategist, pointed out in a recent piece that when athletes were asked what went through their minds just before competing in the Beijing Olympics, the response again and again was that the competitor was focused on the process, not on the outcome. The way to maximize outcome is to concentrate on the process.

Montier points out that psychologists have long been aware of a phenomenon known as "outcome bias". This is the tendency to judge a decision differently based on its outcome. For example, if a doctor performs an operation and a patient survives, the decision is rated as significantly better than if the same operation fails and the patient dies. According to Montier, during periods of poor performance, the pressure builds to change your process. But so long as the process is sound, this would be exactly the wrong thing to do.

2015年10月12日月曜日

渦潮へ挑戦した者を思い出せ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが2007年に南カリフォルニア大学グールド・ロースクールの卒業式で述べた祝辞の9回目です。今回の話題も以前取りあげたことがあります(過去記事へのリンクは備考として文末に示します)。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

極端に過激なイデオロギー(思想)、これも避けるべきです。人の精神をキャベツのようにスカスカにします。テレビに出てくる説教師らのひどい様子をいろいろ見ているでしょう。神学上の厳密な解釈において、彼らの考えは互いにちがっていますし、過激で一貫していません。きっと、精神が萎縮してキャベツとなった人ばかりなのでしょうね(聴衆笑)。政治的な思想でも同じことが起こり得ます。過激で愚かしい政治思想へ若い人ほど容易に偏向してしまい、抜け出せなくなります。カルト的集団の忠実な一員だと宣言し、正統的な思想について語りだすようになると、やることと言えばそれを叩きのめすことの連続です。時には驚くべき速度で、己の心を荒(すさ)ませてしまうのですね。「過激な思想には用心したい」とみなさんも思うでしょう。そうなりたいと願わなければ、大きな危険は現われません。

過激な政治思想へと向かう危険を感じた際に私が使っている警鐘事例を紹介しておきます。スカンディナヴィア生まれのカヌー乗りたちの話です。彼らはスカンディナヴィアの急流すべてを制覇しました。だから、アメリカ北西部で生じる数々の大きな渦潮に挑戦しても成功し続けられると考えたのです。さて彼らの死亡率がどうだったかと言うと、100パーセントでした。大渦潮とは避けたいと考えるべきものですね。過激な思想でも同じことが言えます。自分の仲間が根っからの信者だとすれば、なおさらです。

私は「揺るがぬ教示」と呼ぶものをみずからに課しています。ある過激な思想へと心惹かれそうなときに正気のままでいられるのは、そのおかげでもあります。つまり、「自分とは反対の立場にいる人よりも上手に、自分に対して反駁できること。そうでなければ、私にはその意見を持つ資格がない」、そう感じるようにしているのですね。そのような状態に達することでようやく語る資格が得られる、と考えるわけです。沈黙公ウィレム1世の発言としてディーン・アチソン[元国務長官]が好んで引用した「揺るがぬ教示」と同じで、極端に思えるかもしれません。「希望はなくとも耐え忍ぶことはできる」というような文句です(参考記事)。これはほとんどの人には厳しすぎるでしょうが、私自身にはそれほど厳しいものにはならないだろうと願っています。一方、私が示した思想的な行き過ぎを避けるやりかたは、アチソン氏の命令よりも簡単ですし、学ぶに値するものです。極端な思想へ偏らないというのは、人生においてすごく大切な目標ですよ。やがては賢くありたいと考えていても、きつい思想を抱いていれば、その妨げとなること請け合いです。

Another thing to avoid is extremely intense ideology because it cabbages up one's mind. You see a lot of it in the worst of the TV preachers. They have different, intense, inconsistent ideas about technical theology, and a lot of them have minds reduced to cabbage. (Audience laughs) And that can happen with political ideology. And if you're young, it's particularly easy to drift into intense and foolish political ideology and never get out. When you announce that you're a loyal member of some cult-like group and you start shouting out the orthodox ideology, what you're doing is pounding it in, pounding it in, pounding it in. You're ruining your mind, sometimes with startling speed. So you want to be very careful with intense ideology. It presents a big danger for the only mind you're going to have.

There is a warning example I use whenever I feel threatened by drift toward intense political ideology. Some Scandinavian canoeists succeeded in getting through all the rapids of Scandinavia, and they thought they would continue their success by tackling the big whirlpools in northwest America. The death rate was one hundred percent. A big whirlpool is something you want to avoid. And I think the same is true about intense ideology, particularly when your companions are all true believers.

I have what I call an “iron prescription” that helps me keep sane when I drift toward preferring one intense ideology over another. I feel that I'm not entitled to have an opinion unless I can state the arguments against my position better than the people who are in opposition. I think that I am qualified to speak only when I've reached that state. This sounds almost as extreme as the “iron prescription” Dean Acheson was fond of attributing to William the Silent of Orange, who roughly said, “It's not necessary to hope in order to persevere.” That probably is too tough for most people, although I hope it won't ever become too tough for me. My way of avoiding over-intensity in ideology is easier than Acheson's injunction and worth learning. This business of not drifting into extreme ideology is a very, very important in life. If you want to end up wise, heavy ideology is very likely to prevent that outcome.

備考です。過激なイデオロギーについて取りあげた過去記事は次のとおりです。
聖なる思想が自己を正当化する

2015年3月28日土曜日

2014年度バフェットからの手紙(13)今年も投資の助言です(後)

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2014年度「バフェットからの手紙」の「第1部 本編」から、前回のつづきです。(日本語は拙訳)

そのかわりに投資家が価格変動をおそれ、それを間違ってリスクの尺度とみなしてしまうと、皮肉なことに結局は非常にリスキーなことをやっていたとなりかねません。6年前のことを思い出せるでしょうか。評論家がどんな助言をしていたかです。彼らは株価の下落を嘆き、投資するなら「安全な」米国債やCD[譲渡性預金]へ、と発言していたのです。ところが、そのお説教に耳を傾けた人が現在得ているのは、快適な引退生活を支えるものと期待していた額ではなく、雀の涙ほどの金額です(当時のS&P500は700を下回る数字でしたが、今では2,100ポイント前後です)。無意味な価格変動を恐れずに、コストが非常に小さいインデックスファンドを単純に買った投資家は、生活を支える良い収入が得られると自信を持てたことでしょう。配当金は年々上昇する傾向でしょうし、同じように元本も成長していくでしょうから(当然ながら、上下動は何度もくり返されます)。

もちろんですが、投資家自身の行動によっては株式を保有することが非常にリスキーとなることもあります。そうしている人がたくさんみられます。頻繁に売買したり、市場の動きを「読もう」としたり、不適切な分散をしたり、高額で不要な手数料を運用者や助言者に支払ったり、借入金で投資をすることです。そのような行動をとると、株式を末永く保有する人が享受できる満足のいくリターンを失う可能性があります。実際のところ、借入金は投資家が使うべき手段に数えられるものではありません。市場ではいつ何が起こるのか、わからないからです。混沌とした事態がいつ生じるのか、助言者や経済学者、TVに出てくる解説者も言い当てることはできません。当然ながらわたしもそうですし、チャーリーも同じです。市場の将来を予測する人の話は、聞き飽きるほどにたっぷりです。しかし財布をたっぷりにしてくれることは絶対にありません。

ここにあげた投資の戒律を破るのは「零細投資家」に限られたものではありません。全体としてみたときの巨大機関投資家の成績は、単にインデックスファンドにじっと何十年も投資したままの未熟な投資家を、ずっと下回ってきました。その主な理由が手数料です。機関投資家は多額の手数料をコンサルタントに払います。その彼らがつぎに推薦してくるのが、高額な手数料の運用者なのです。これでは勝ち目はありません。

もちろんですが、非常に優れた運用者も少しはおられます。しかし短期的にすばらしい成績でも、幸運のおかげか、それとも能力によるのか、見極めるのはむずかしいものです。ほとんどの助言者は、高いリターン率をもたらすよりも高い手数料を請求するほうがずっと上手です。事実、彼らの一番の強みは営業力です。大小いずれの投資家であっても、彼らの甘美な歌を聴くのであれば、ジャック・ボーグル[バンガード・ファンドの創立者]の著作"The Little Book of Common Sense Investing"[邦題:マネーと常識]を読んだほうがいいと思います。

ベン・グレアムは何十年も前に、シェイクスピアの言葉を借りて投資における失敗をずばり非難していました。「ブルータス君よ。我らが星回りのせいではない。我々自身が招いたからだよ」。

If the investor, instead, fears price volatility, erroneously viewing it as a measure of risk, he may, ironically, end up doing some very risky things. Recall, if you will, the pundits who six years ago bemoaned falling stock prices and advised investing in "safe" Treasury bills or bank certificates of deposit. People who heeded this sermon are now earning a pittance on sums they had previously expected would finance a pleasant retirement. (The S&P 500 was then below 700; now it is about 2,100.) If not for their fear of meaningless price volatility, these investors could have assured themselves of a good income for life by simply buying a very low-cost index fund whose dividends would trend upward over the years and whose principal would grow as well (with many ups and downs, to be sure).

Investors, of course, can, by their own behavior, make stock ownership highly risky. And many do. Active trading, attempts to "time" market movements, inadequate diversification, the payment of high and unnecessary fees to managers and advisors, and the use of borrowed money can destroy the decent returns that a life-long owner of equities would otherwise enjoy. Indeed, borrowed money has no place in the investor's tool kit: Anything can happen anytime in markets. And no advisor, economist, or TV commentator - and definitely not Charlie nor I - can tell you when chaos will occur. Market forecasters will fill your ear but will never fill your wallet.

The commission of the investment sins listed above is not limited to "the little guy." Huge institutional investors, viewed as a group, have long underperformed the unsophisticated index-fund investor who simply sits tight for decades. A major reason has been fees: Many institutions pay substantial sums to consultants who, in turn, recommend high-fee managers. And that is a fool's game.

There are a few investment managers, of course, who are very good - though in the short run, it's difficult to determine whether a great record is due to luck or talent. Most advisors, however, are far better at generating high fees than they are at generating high returns. In truth, their core competence is salesmanship. Rather than listen to their siren songs, investors - large and small - should instead read Jack Bogle's The Little Book of Common Sense Investing.

Decades ago, Ben Graham pinpointed the blame for investment failure, using a quote from Shakespeare: "The fault, dear Brutus, is not in our stars, but in ourselves."

2015年2月16日月曜日

いかにして犬はドーバーに向かうのか(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の7回目、最終回です。チャーリーらしい結びの一言です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

最後になりますが、なるべく客観的に考えないようにすれば、 妥協することが減り、また物品や財産などあらゆるものを所有する重荷も減らしてくれましょう。客観性とは偉大な物理学者や生物学者だけでなく、ベミジ[昔話に出てくるきこりの出身地]で働く鉛管工の仕事にも役立つものだからです。ですから「自分にとっての正しい道とは、若い頃に抱いたあらゆる見解を維持することだ」と解釈していれば、大丈夫安心してください、とことん無知の道を歩めますし、ビジネスでつまらない経験を積むことになり、ありとあらゆるみじめな想いをすることでしょう。

逆さになったスピーチの締めくくりにふさわしいのは、やはり逆さになったお祝いの言葉です。これは、[法律家の]エリフ・ルートがたびたび発言した問答を参考にしたものです。いかにして犬はドーバーに向かうのかという問いに、「一歩一歩だ」と説明しています。

1986年卒業生のみなさん、これからの長き人生にわたる毎日を、低きところを目指してお過ごしになるよう、心からお祈りします。(おわり)

Finally, minimizing objectivity will help you lessen the compromises and burden of owning worldly goods because objectivity does not work only for great physicists and biologists. It also adds power to the work of a plumbing contractor in Bemidji. Therefore, if you interpret being true to yourself as requiring that you retain every notion of your youth, you will be safely underway, not only toward maximizing ignorance, but also toward whatever misery can be obtained through unpleasant experiences in business.

It is fitting that a backward sort of speech end with a backward sort of toast, inspired by Elihu Root's repeated accounts of how the dog went to Dover, “leg over leg.” To the class of 1986:

Gentlemen, may each of you rise by spending each day of a long life aiming low.

2015年2月12日木曜日

私が絶対に行かない場所(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の6回目です。チャーリーが「お勧めする」3番目と4番目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

みじめになるための3番目の処方です。苦境において二度三度と繰り返してもダメだったら、もうあきらめて屈してください。人生とは苦難に満ちたものですから、どんなに幸運で賢明な人であっても、そのような姿勢でいれば、いずれはみじめな思いを永遠に抱えることになるのはまちがいないでしょう。そしてエピクテトスがみずから残した的確なる墓碑銘から読み取れる教訓には、一切従わないことです。「奴隷であり、身は損なわれ、貧しきこと極まるも、神々に愛されたエピクテトス、ここに眠る」。

あいまいな考えのまま、不運な人生をおくりたいみなさんへ、最後の処方です。私が若い頃に聞いたある田舎者の話を紹介しますが、それには従わないでください。その田舎者はこう言ったのです。「どこで死ぬのかわかったら、そこには絶対行かないよ」。そう、今のみなさんと同じように、ふつうの人は笑ってしまう話です。その男のバカらしさに気をとられて、根本的な知恵に注意がむかないのです。私の経験から言って、みじめになりたい人はその田舎者のやりかたには絶対従わないでください。カーソン氏のスピーチでも同じものがありましたが、これは単なる小ばなしと受けとめて、特段役立つものではないと心得てください。

カーソン氏は「Xの作りかたを学ぶ方法として、問題を逆にする、つまりX以外の作りかたを学ぶ」やりかたを説明しました。偉大な代数学者ヤコビは、カーソン氏とまったく同じやりかたをとっていました。「逆だ、いつでも逆からやるんだ」、彼はこの文句を変わることなく繰り返したことで知られています。ヤコビの言うように、多くの難題が逆方向から取り組まないと上手く解けないのは、物事の道理と言えます。たとえばあらゆる人たちが、ニュートン力学に合わせようとしてマックスウェルの電磁気理論を修正しようとしました。しかしアインシュタインは正反対にやりました。ニュートン力学のほうを修正して、マックスウェルの理論に合わせたのです。これでアインシュタインは特殊相対性理論を発見することができました。

公認の伝記マニアたる私が思うに、チャールズ・ロバート・ダーウィンはハーヴァード高校1986年度卒業生の中でみれば、真ん中あたりの成績になるかと思います。しかしながら彼は、科学史において今でも名だたる人物です。これこそ、もって生まれた才能をできるだけ無駄にしたい人にとって、まったくお手本とならない最たる例と言えます。

ダーウィンのなしとげた業績は、彼自身のやりかたによるものでした。ここまでお話ししてきた「みじめへの道」には一切従わず、「逆ひねり」することに注力しました。持論がどんなに手塩をかけた大切なものでも、それをくつがえす証拠を真っ先にみつけようとしたのです。ふつうはその反対で、早々に結論を出したあとは新情報や否定的な情報がでても、持論が揺るがないように処理するものです。作家フィリップ・ワイリーがみるところの「自分がすでに知っている範囲を超えたところで学ばなければ、何もだせない」人間になりさがるものです。

ダーウィンの人生は、どうやってカメがうさぎを追い越すのかを示しています。それは徹底して客観的に考えることで達成できるのです。まさに、自分だけ目隠しをせずにスイカ割り大会に参加するようなものです。

できるだけ客観的に考えたくないのであれば、ダーウィンに限らずアインシュタインの先例にも倣わないことです。自分が発見した諸理論は「好奇心、集中力、根気、自己批判」によって築かれた、とアインシュタインは言っているのですから。彼にとっての自己批判とは、みずからの愛してやまないアイデアをテストして葬り去ることだったのです。

My third prescription to you for misery is to go down and stay down when you get your first, second, or third severe reverse in the battle of life. Because there is so much adversity out there, even for the lucky and wise, this will guarantee that, in due course, you will be permanently mired in misery. Ignore at all cost the lesson contained in the accurate epitaph written for himself by Epictetus: "Here lies Epictetus, a slave, maimed in body, the ultimate in poverty, and favored by the gods."

My final prescription to you for a life of fuzzy thinking and infelicity is to ignore a story they told me when I was very young about a rustic who said, "I wish I knew where I was going to die, and then I'd never go there." Most people smile (as you did) at the rustic's ignorance and ignore his basic wisdom. If my experience is any guide, the rustic's approach is to be avoided at all cost by someone bent on misery. To help fail, you should discount as mere quirk, with no useful message, the method of the rustic, which is the same one used in Carson's speech.

What Carson did was to approach the study of how to create X by turning the question backward, that is, by studying how to create non-X. The great algebraist, Jacobi, had exactly the same approach as Carson and was known for his constant repetition of one phrase: "Invert, always invert." It is in the nature of things, as Jacobi knew, that many hard problems are best solved only when they are addressed backward. For instance, when almost everyone else was trying to revise the electromagnetic laws of Maxwell to be consistent with the motion laws of Newton, Einstein discovered special relativity as he made a 180-degree turn and revised Newton's laws to fit Maxwell's.

It is my opinion, as a certified biography nut, that Charles Robert Darwin would have ranked near the middle of the Harvard School graduating class of 1986. Yet he is now famous in the history of science. This is precisely the type of example you should learn nothing from if bent on minimizing your results from your own endowment.

Darwin's result was due in large measure to his working method, which violated all my rules for misery and particularly emphasized a backward twist in that he always gave priority attention to evidence tending to disconfirm whatever cherished and hard-won theory he already had. In contrast, most people early achieve and later intensify a tendency to process new and disconfirming information so that any original conclusion remains intact. They become people of whom Philip Wylie observed: "You couldn't squeeze a dime between what they already know and what they will never learn."

The life of Darwin demonstrates how a turtle may outrun a hare, aided by extreme objectivity, which helps the objective person end up like the only player without a blindfold in a game of Pin the tail on the Donkey.

If you minimize objectivity, you ignore not only a lesson from Darwin but also one from Einstein. Einstein said that his successful theories came from "Curiosity, concentration, perseverance, and self-criticism." And by self-criticism, he meant the testing and destruction of his own well-loved ideas.

2015年2月10日火曜日

2014年デイリー・ジャーナル株主総会(4)バカなことに手を出す理由

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バリュー・ファンドFPAのマネージャーであるスティーブン・ローミックは、わたしが常々参考にしている人です。彼の第4四半期コメントが公開されたのでかるく目を通したところ、チャーリー・マンガーの発言が引用されていました。このシリーズで取りあげてきた、デイリー・ジャーナル社の2014年株式総会で発言されたものです。そのくだりは個人的にも気に入っていた箇所なので、もたもたしているうちに先を越されてしまいました。今回ご紹介するのは、ローミック氏の引用箇所(赤字で強調)も含んだ質疑応答です。印象箇所以外の文章も勉強になります。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なお原文のトランスクリプトは、以前と同じようにForbesのWebサイトに掲載されているものです。リンク先は以下のとおりです。

Charlie Munger And The 2014 Daily Journal Annual Meeting - Part Three (Forbes)

<質問> ウォール・ストリート・ジャーナルのジェイソン・ツヴァイクです。[当社を]無料で宣伝してくださり、ありがとうございます[前の質疑応答でWSJ紙の話題あり]。もしお望みでしたら、[社主の]ルパート・マードックにも、デイリー・ジャーナル紙へ返礼をする気はないか訊ねたいと思います。さて本題です。ベン・グレアムが晩年に言った言葉で、「個人的な見解として、適切な思考のできる個人投資家が機関投資家をしのげないと考えるに足る理由はない」とありました。相対的な活動領域が遷移したと思われますか。今日の個人投資家は当時よりも有利なのですか、それとも不利なのでしょうか。

<マンガー> このように広大な市場ですから、自分にとって本当に有利な場所を勇んで探す抜け目ない人であれば、結局はうまい結果を出しますよ。常ならぬ割合で金もうけできる場所、頭のいい人がその場所を見つける方法は、大きな市場には常にいくつかあるものです。彼らは他人よりも賢明かつ熱心に取り組むからです。そういうのは、なくなりませんね。

しかし、だれでもそうできる簡単な方法があるとは思えません。代表的な銘柄を大量に買う場合、現在のこの国の市場で他人を凌駕するのは大変です。この国の市場はかなり効率的だと思いますよ。できないとは言いませんが、相当難しいと思います。そうしようとする人がごまんといるのに、概して成功できない結果に終わっているのですから、証拠は圧倒的です。

個人的に嫌だと思うのは、たとえばこの国の株式の200銘柄に10億ドルずつ投資してそれで平均を上回ろうとする仕事です。ぞっとしますね。[友人の]ピーター・カウフマンが、いつだったかおもしろい話をしてくれました。彼が経営している会社(グレンエアー社)は資産利益率が高く、かなりもうかっています。彼はこう言いました。「私の会社を買いたいという人が、売上高の3倍の値段を出すというなら、会社の経営はやめます。今後わたしがやる一切のことに見合う金額ですよ。それだけ大変な目に遭うでしょうから」。彼はすでに金持ちです。ならば、あえて難しいことに取り組む必要があるでしょうか。いや、その必要はないですよ。

それと同じことが、この国で起こっていると思います。自分の商売はダメだけれど、他の商売はずっといいと考えているわけですね。しかし純利益の30倍も払う必要があるならば、それはまずい考えです。難しい事態をむかえ、うまくいかないと思います。ところがコンサルタントや投資銀行家ときたらこうです。「お手持ちのビジネスに頼るのではなく、ほしいとお考えになっているようなビジネスを買うのです、純利益の30倍の値段で。そうすれば身を救うことができますよ」。そんな同じまやかしを売り続けているのですから。

バークシャーはとびぬけた例外です。ウォーレンは今年度の年次報告書で、なぜバークシャーがそうなったのか、これからも続くのか、そのことについて徹底して取り組むつもりでいます。我々は巨大になりました。非常に重要な疑問を提起させるほどに興味深い記録です。もし世界が私の考えるほどに賢明であれば、今度の報告書を並々ならぬ興味をもって読むことでしょう。

我々がなしとげたことの一部は他の人がやるべきでしたが、そうはなりませんでした。他のやり方をするようにと、体制上の強烈な圧力がかかるからですね。それでは、その流れは今後も続くでしょうか。大方の人が考える以上にバークシャーはずっとうまくやっていく、と私は考えています。ずっとうまく、ですよ。しかし強力な力はすでにバークシャーの中にあります。容易なものごとを選んできた、これも我々がそれなりの成績をあげてきた理由のひとつです。他の人は「自分は頭がいい」と考えて、実に難解なものを選ぶことがあります。あとになって、それが危険なものだったとわかるわけですね。

容易なものが自分の買値に来るまで待たねばならない。じっと辛抱しなければいけないわけです。しかし、ひねもす座して何もせずにじっと待つということは、人間の本性に反する行為です。我々には他にやることがいろいろありますから、どうってことありません。しかし普通の人にとって、じっと座ったまま何もしないで5年間も待つなど、想像できますか。自分は何かをしているのだ、役に立っているのだ、とは感じられないわけです。だからバカなことに手を出してしまうのです。

今年のバークシャーの年次報告書はすこぶる興味深い内容ですよ。落ち目の企業3社が合わさってできたのがバークシャー・ハサウェイですから。今も当時と同じ発行株式数です[分割は考慮せず]。この大きさでバークシャーに匹敵するようなところは考えられません。もっと注目すべきだと思うでしょうが、風変わりにみえるので、きっとうまく扱えないのだと思います。

ある著名な人物の文章を読んで、いたく感心したことがあります(25年前のことです)。そこで、贈与税のかからない範囲でできる限りのお礼を贈りました。その2万ドルに添えて、こう書き記しました。「貴殿の文章にはすこぶる感心しました。敬意のしるしとして、こちらを同封した次第です」。ところが彼はお金をそのまま返送してきました。そこで彼に電話をしてこう伝えました。「どうしてお返しになったのですか。掃除のおばさんやあなたのもとで働いている院生に渡しても、いっこうにかまわないですから。どうぞお受け取りください」。結局彼は受け取ってくれ、院生のだれかにあげました。そのとき彼の心の底にあったのは「かんたんすぎることだから、なにかまちがっているに違いない」という姿勢でした。

そのことが、バークシャー・ハサウェイに関して問題になっているひとつだと思います。「あまりにかんたんなので、どこかまちがっているはず」と考えるわけです。バークシャーの人は懸命に働いておらず、他のことばかり興味を示している。ウォーレンは週に12時間ブリッジをやっている、と(笑)。ルーレットを回せば、いつでも勝利。それは楽勝すぎる。そう思い悩んで、なにかがおかしいと考えるわけですね(笑)。

Q: I'm Jason Zweig from The Wall Street Journal. Thanks for the free ad. If you want I can ask Rupert [Murdoch] if he'd like to reciprocate for the Daily Journal. Late in his life, Ben Graham said that in his opinion there was no reason to imagine that an individual investor who thought appropriately couldn't outperform institutions. Do you think the relative playing field has shifted? Do individuals have a greater or a lesser advantage today?

Munger: In markets as big as this, some shrewd guy who's willing to search out a few places where he has a real advantage will always do well. There are always going to be ways in markets this big for some smart people to figure out something where they'll make money at an unusual rate, just because they're smarter and more diligent. That will never go away.

I don't think there will ever be a universal easy solution where people can do that. The American market is tough now to outperform if you're buying big stocks in big quantities. I think it's a pretty damned efficient market, and I don't say it can't be done, but I just think it's plenty difficult. The evidence is overwhelming that even though there are zillions of people who have tried, the ordinary result is that they don't succeed.

I would hate the job, personally, of investing, say, in positions of a billion dollars each in 200 different stocks in America and outperforming the averages. I would shrink from that with horror. Peter Kaufman said something interesting to me the other day. He runs a very profitable company [Glenair, Inc.] that has very good returns on capital. He said, "You know, if somebody bought my company for three times sales, I wouldn't run it anymore, because I'd have a hard time justifying that price with anything I could do." He's already rich, why should he do something that difficult? He doesn't have to.

I think that's what happened in America. People know their own business is lousy. They know another business that is way better. But it's not better if you have to pay thirty times earnings for it. It gets so difficult that it doesn't work. I figured this out, but the consultants and investment bankers keep selling the same nostrum that you can save yourself by paying thirty times earnings for the kind of business you wish you had, instead of the one you've got.

Berkshire has been a huge exception. In this year's annual report Warren intends to deal extensively with: Why did it happen at Berkshire? Will it continue? We've reached a size and the record is interesting enough that those are very important questions. If the rest of the world is as smart as I think it is, it will look at this report with great interest.

Part of what we did should be done by others, but it isn't. There are vast institutional pressures on people to do it differently. Will it continue? I think Berkshire's going to continue way better than most people think. Way better. But there's so much power in what we already have. Part of the reason we have a decent record is that we pick things that are easy. Other people think they're so smart, they can take on things that are really difficult, and that proves to be dangerous.

You have to be very patient, you have to wait until something comes along, which, at the price you're paying, is easy. That's contrary to human nature, just to sit there all day long doing nothing, waiting. It's easy for us, we have a lot of other things to do. But for an ordinary person, can you imagine just sitting for five years doing nothing? You don't feel active, you don't feel useful, so you do something stupid.

You'll find this year's Berkshire annual report very, very interesting. Three failing businesses together created Berkshire Hathaway. There are about the same number of shares outstanding now as they were then. I can't think of anything like it at this scale. You'd think people would be paying more attention to it than they do. I think it looks so peculiar that they can't handle it.

I read an article once by a famous man. I liked it so well (this was twenty-five years ago) that I sent him whatever I could send him without paying gift tax. I sent him $20,000 dollars and said, "I really liked your article, here's a token of my respect." He sent the money back. So, I called him and said, "Why are you sending it back to me. I don't care if you give it to your charwoman or the graduate student who works under you. For God sake's, keep the damn money." Whereby, he took my money and gave it to some graduate student. His basic attitude was, if it was that easy, there must be something wrong with it.

I think that's part of the trouble with Berkshire Hathaway. It looks so damned easy, they think there must be something wrong with it. The people there don't work that hard. They have all these outside interests - Warren's playing bridge twelve hours a week (laughter). They just keep spinning and winning and it just looks too easy. So it's confusing. There must be something wrong with it. (laughter)

2015年2月4日水曜日

ひとから学ぶな、自分から学べ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の5回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

つづいて、みじめになるための2番目の処方です。「何を学ぶにしても、なるべく自分で経験したことから学びとること。存命か故人かを問わず、他人の成功や失敗といった間接的なものからは、できるだけ学ばないこと」。そうすれば効き目抜群、人並み以下のことしか達成できず、みじめになれるのは確実です。

他人の失敗から学ばないとどうなるか。それは、自分のまわりを見回せばわかります。人間のしでかす災厄とは、よくあるものばかりです。飲酒運転による自爆死、無謀運転で負った重傷、不治の性病、聡明な新入生を洗脳して破滅的カルトの一員に仕立てること、ビジネスにおいて先人も犯したあたりまえのあやまちをくり返して失敗すること、さまざまな群集的愚行、などです。よくある軽率なあやまちが、実際に問題へとつながるものです。それを思い出せるように、こんな現代風の言い回しを覚えておくといいでしょう。「しょっぱなから成功したくないんだったら、そうだな、ハンググライダーがばっちりだね」。

「他人から学ばないこと」を別の観点でとらえると、「自分以前になされた最上の成果からは学ばない」という決まりを持つことになります。これは、できる範囲でなるべく無学でいることを指示しています。

ここでひとつ歴史の小話をしておきましょう。そうすれば、ちっともみじめでない例がよくわかるでしょうから、その例には倣わないようにできます。その昔、最上の先達たちが残した業績をたいへん熱心に習得した男がいました。まずしい身分の出で、そのうえ解析幾何学をやるには厳しい時代でした。やがて彼の業績はひろく注目を浴びるようになり、彼はみずからの業績を次のように評しました。

「他の人より少しでも遠くを見渡せるとしたら、私が巨人の肩の上に乗っているからです」

その男の遺骨は一風変わった碑文の下で、ウェストミンスター寺院に埋葬されています。

「アイザック・ニュートン卿として生きた者、ここに眠る」

My second prescription for misery is to learn everything you possibly can from your own experience, minimizing what you learn vicariously from the good and bad experience of others, living and dead. This prescription is a sure-shot producer of misery and second-rate achievement.

You can see the results of not learning from others' mistakes by simply looking about you. How little originality there is in the common disasters of mankind - drunk driving deaths, reckless driving maimings, incurable venereal disease, conversion of bright college students into brainwashed zombies as members of destructive cults, business failures through repetition of obvious mistakes made by predecessors, various forms of crowd folly, and so on. I recommend as a memory clue to finding the way to real trouble from heedless, unoriginal error the modern saying: "If at first you don't succeed, well, so much for hang gliding."

The other aspect of avoiding vicarious wisdom is the rule for not learning from the best work done before yours. The prescription is to become as non-educated as you reasonably can.

Perhaps you will better see the type of nonmiserable result you can thus avoid if I render a short historical account. There once was a man who assiduously mastered the work of his best predecessors, despite a poor start and very tough time in analytical geometry. Eventually, his own work attracted wide attention, and he said of his work:

"If I have seen a little farther than other men, it is because I stood on the shoulders of giants."

The bones of that man lie buried now, in Westminster Abbey, under an unusual inscription:

"Here lie the remains of all that was mortal in Sir Isaac Newton."

2015年1月26日月曜日

松葉杖をついた月並みガメ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の4回目です。チャーリーからの「処方」のひとつめです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

まずはじめに、信用できない人間となりましょう。約束したことを忠実に実行するなど、もってのほかです。この習慣さえ身につければ、すばらしい美徳が他にどれだけあっても、すべてきれいに打ち消してくれるはずです。不信の目でみられたかったり、人間としてこの上ない貢献を果たすことや最高の企業で働くといったことは論外だと考えるのであれば、この処方はばっちり効きます。ぜひ、この習慣を身につけましょう。そうすれば、寓話に登場するウサギの役まわりだけを果たせます。ただし賢いカメに抜かれるだけでなく、次から次へとくる月並みなカメにも追い抜かれ、しまいには松葉杖をついた月並みガメにも追い抜かれます。

警告しておきますが、この最初の処方に従わないと、不利な地点からスタートしてもみじめな人間でいつづけるのは難しいかもしれません。大学時代のルームメイトがひどい難読症を患っていました。それは今でも続いているのですが、しかし私が知る人の中では彼がもっとも信頼のおける人間だと思っています。その彼は、これまでのところは素晴らしい人生を謳歌してきました。とびきりの奥さんと子供たちに囲まれ、みずからは数千億円企業のCEOとなりました。そのような伝統的かつ主流派の指導的な地位には就きたくないと思っていても、信頼の篤い人には難しいかもしれません。他にいろいろ不利な点があっても、役に立たないでしょう。

ここで触れておきたいのが、「これまでのところは素晴らしかった」と評される人生についてです。盛時にはこの世でもっとも裕福だったクロイソス王の逸話を改めて取り上げ、人間の状態には「これまでは」という側面があることをぜひとも強調しておきたいと思います。王はこう言ったのです。「今となれば、歴史家だったソロンの言葉をよく思い出せる。『幸せな人生だった、とは終わりが来るまで言うべきではない』と」。[アケメネス朝ペルシアの始祖キュロス2世に敗れた]

First, be unreliable. Do not faithfully do what you have engaged to do. If you will only master this one habit, you will more than counterbalance the combined effect of all your virtues, howsoever great. If you like being distrusted and excluded from the best human contribution and company, this prescription is for you. Master this one habit, and you will always play the role of the hare in the fable, except that instead of being outrun by one fine turtle, you will be outrun by hordes and hordes of mediocre turtles and even some mediocre turtles on crutches.

I must warn you that if you don't follow my first prescription, it may be hard to end up miserable even if you start disadvantaged. I had a roommate in college who was and is severely dyslexic. But he is perhaps the most reliable man I have ever known. He has had a wonderful life so far, outstanding wife and children, chief executive of a multibillion dollar corporation. If you want to avoid a conventional, main-culture, establishment result of this kind, you simply can't count on your other handicaps to hold you back if you persist in being reliable.

I cannot here pass by a reference to a life described as "wonderful so far," without reinforcing the "so far" aspects of the human condition by repeating the remark of Croesus, once the richest king in the world. Later, in ignominious captivity, as he prepared to be burned alive, he said: "Well now do I remember the words of the historian Solon: 'No man's life should be accounted a happy one until it is over.'"

2015年1月18日日曜日

つらい人生だから、飲まずにいられない果汁(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の3回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

次は「ねたみ」についてです。もちろん、これもみじめになる上で薬物とならぶものです。モーセの戒律で非難されるはるか以前から、大惨事をひきおこしてきました。ねたんだ末にみじめになりたいのでしたら、よきクリスチャンとして知られているサミュエル・ジョンソンの伝記は一切読まないほうがよいでしょう。ねたみとは乗り越えられるもので、そうする利点があることを、他人がやってみたくなる形で実際に示したのが、彼の人生だったからです。

他人をうらむことは、私にとってもカーソン氏とまったく同じように働いてくれました。しかし、みじめになりたいという人に対して、それほど強くは推薦できません。[サミュエル・]ジョンソンは、これを見事に表現しています。「人生とは忍び難きものだから、『うらむ』という苦い皮に覆われた果実の絞り汁を飲まずにはいられない」と。

みじめになりたい方にもうひとつお勧めできるのは、ディズレーリ[イギリスの政治家]が評判を落としたやりかたを思い出してみることです。うらみごとをすっぱりと投げ出せない人向けのやりかたです。至高の首相の一人にまで達した頃に、ディズレーリは行動を起こす原動力として復讐心を抱くのをやめるようになりました。しかしうらみごとのはけ口は残しておきました。彼を不当に扱った人間の名を紙に書きつけ、ひきだしにしまっておいたのです。時折その名前を読み返し、みずからが手を下さずとも敵が世間から消えていった顛末を書き加えて、悦に入ったのでした。

カーソン氏の3つの処方はここまでです。これから4つは私の追加分です。

Envy, of course, joins chemicals in for causing misery. It was wreaking havoc long before it got a bad press in the laws of Moses. If you wish to retain the contribution of envy to misery, I recommend that you never read any of the biographies of that good Christian, Samuel Johnson, because his life demonstrates in an enticing way the possibility and advantage of transcending envy.

Resentment has always worked for me exactly as it worked for Carson. I cannot recommend it highly enough to you if you desire misery. Johnson spoke well when he said that life is hard enough to swallow without squeezing in the bitter rind of resentment.

For those of you who want misery, I also recommend refraining from practice of the Disraeli compromise, designed for people who find it impossible to quit resentment cold turkey. Disraeli, as he rose to become one of the greatest prime ministers, learned to give up vengeance as a motivation for action, but he did retain some outlet for resentment by putting the names of people who wronged him on pieces of paper in a drawer. Then, from time to time, he reviewed these names and took pleasure in noting the way the world had taken his enemies down without his assistance.

Well, so much for Carson's three prescriptions. Here are four more prescriptions from Munger:

2015年1月10日土曜日

みじめな人生を絶対につかめる方法(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の2回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

カーソン氏の言ったことは、「卒業する学生に対して幸せになる方法は教えられないけれど、絶対に不幸な人間となる方法ならば個人的な経験から教えられる」というものでした。彼の出したみじめな人生必定の処方箋とは、次のものでした。

1. 気分や感覚を変える手段として、化学物質[麻薬など]を摂取すること。
2. ねたむこと。
3. うらむこと。

彼はそれらをひとつまたひとつと試した経験を話し、そのたびにみじめな気持ちになったと語ってくれました。その話しぶりが強い信念に満ちていたことを、私はいまだに覚えています。

カーソン氏のあげた「みじめになるための処方その1」の「麻薬などの薬物に頼ること」は、わかりやすいですね。私からも申し上げると、まだ若かった頃に親友が4人いました。とても頭がよく、倫理的で、その上ユーモアがあって、人間的にも経歴的にも好ましい人たちでした。しかし、そのうちの2人はずっと昔に死んでしまいました。アルコール関係で命を落としたのです。もう1人はアル中として生きています。それを生きていると呼べるものかは、わかりませんが。

かかりやすさは人それぞれですが、中毒というものは誰にでも起こるものです。その歩みはささやかなので、悪化という名の鎖は、はじめは軽くて感じられない程度です。しかしやがては強固となり、うちこわすことができなくなります。私は60年来生きてきましたが、「心を惑わして破滅へと導くたぐいのことは恐れ遠ざけてきたが、そのせいでひどい人生になった」、そんなことを言う人にはいまだ出会ったことがありません。

What Carson said was that he couldn't tell the graduating class how to be happy, but he could tell them from personal experience how to guarantee misery. Carson's prescription for sure misery included:

1. Ingesting chemicals in an effort to alter mood or perception;
2. Envy; and
3. Resentment.

I can still recall Carson's absolute conviction as he told how he had tried these things on occasion after occasion and had become miserable every time.

It is easy to understand Carson's first prescription for misery - ingesting chemicals. I add my voice. The four closest friends of my youth were highly intelligent, ethical, humorous types, favored in person and background. Two are long dead, with alcohol a contributing factor, and a third is a living alcoholic - if you call that living.

While susceptibility varies, addiction can happen to any of us through a subtle process where the bonds of degradation are too light to be felt until they are too strong to be broken. And yet, I have yet to meet anyone, in over six decades of life, whose life was worsened by fear and avoidance of such a deceptive pathway to destruction.

蛇足の話題です。数年前までには自宅で晩酌する回数を減らして、週末前夜の2日間をめどにお酒を飲んでいました。そして1年半ぐらい前からは、その晩酌もやめました。人と会合する席では今までと同じように飲酒しますし、お酒のギフトをもらえばすぐに片付けます。しかし、それ以外に日常的にはお酒を飲まなくなりました。以前の日経ビジネスで、日本電産の永守社長が飲酒をやめた経緯の記事がありましたが、その手の話題で共感できたのは初めてでした。

2015年1月2日金曜日

ハーヴァード高校卒業生への祝辞(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが行った講演のうちで、高校を卒業する学生に向けた祝辞があります。他の講演を読んだ後では目新しい内容ではありませんが、自分が培ってきた哲学を手短にまとめて、これから活躍しようとする若者に伝えようとする気構えや社会的環境には、感心させられました。今回からのシリーズで全訳をご紹介します。なお『Poor Charlie's Almanack』には、講演その1(Talk One)として収録されています。

ハーヴァード高校卒業生への祝辞
1986年6月13日

このたびベリスフォード校長は、卒業の祝辞を贈る者として当校の評議員のなかで最長老かつ最も古株の一人をお選びになりました。そこで本題に進む前に、みなさんが心に抱いている2つの疑問に対してお答えしておくべきでしょう。

一つめは、なぜその人物が選ばれることになったのか。
二つめは、この話はどれぐらいで終わるのか。

まず第一の疑問にお答えしましょう。ベリスフォード校長とは長きにわたっておつきあいしてきました。そこから察するに、彼は本校の評判を高めるために、7までの数字を数えられる馬を誇示する男を招いて実現しようと考えました。7つまで数えられることができても数学的な偉業にはならない、それはその男にもわかっています。しかし馬がやるということを考慮すれば賞賛に値するものだと、内心では考えています。

次に二番目の疑問ですが、話がどれだけ続くかは事前には申し上げられません。興味津々で期待していたみなさんの顔をがっかりさせてしまいますが、その理由がどうであろうと、留保しておくのが私のやりかただからです。

ですが、話の長さをどうしようかと考えた末に話の内容が決まったという顛末は、明かしておきましょう。今回の祝辞を依頼されて、私は鼻高々になりました。大切な公式の場で話した経験はないものの、あつかましさにかけては天下一品なのです。そしてすぐに思い当たったのは、デモステネスとキケロの故事にならうことで、キケロが受けたような賛辞を私も期待できるのでは、ということでした。「デモステネスのスピーチの中で一番のお気に入りは何か」と聞かれて、キケロはこう答えたのです。

「いちばん長いやつです」

しかし、こちらにおられるみなさんには幸運なことに、別の言葉も思い出しました。サミュエル・ジョンソンの有名な言葉です。ミルトンの叙事詩『失楽園』について、彼は適切にもこう発言したのです。「これ以上長いのはごめんですな」。そういうわけで私は、ハーヴァード高校の卒業式で私が拝聴した全祝辞20回のうちで、どの祝辞のときがもっと長ければ良かったかを考えることにしました。1つだけありました。ジョニー・カーソン氏のときでした。「みじめな人生を確実に過ごせる処方箋」を出してくれました。そういうわけで今回の話では、カーソン氏の祝辞を繰り返すことにします。ただし、私からの処方も付け加えてあります。カーソン氏が話したときより今の私のほうがかなり年をとってますし、失敗もしでかしましたし、たびたびひどい目に遭いました。それに、ユーモアがあって好感の持てる若い人が話すのとは違った方法がいろいろあるからです。カーソン氏の話題を押し進めるなら、私こそうってつけの人間だと思います。

Harvard School Commencement Speech
June 13, 1986

Now that Headmaster Berrisford has selected one of the oldest and longest-serving trustees to make a commencement speech, it behooves the speaker to address two questions in every mind:

1) Why was such a selection make?
2) How long is the speech going to last?

I will answer the first question from long experience alongside Berrisford. He is seeking enhanced reputation for our school in the manner of the man who proudly displays his horse that can count to seven. The man knows that counting to seven is not much of a mathematical feat, but he expects approval because doing so is creditable, considering the performer is a horse.

The second question, regarding the length of the speech, I am not going to answer in advance. It would deprive your upturned faces of lively curiosity and obvious keen anticipation, which I prefer to retain, regardless of source.

But I will tell you how my consideration of speech length created the subject matter of the speech itself. I was puffed up when invited to speak. While not having significant public-speaking experience, I do hold a black belt in chutzpah, and I immediately considered Demosthenes and Cicero as role models and anticipated trying to earn a compliment like Cicero gave when asked which was his favorite among the orations of Demosthenes. Cicero replied:

"The longest one."

However, fortunately for this audience, I also thought of Samuel Johnson's famous comment when he addressed Milton's poem Paradise Lost and correctly said, "No one ever wished it longer." And that made me consider which of all the twenty Harvard School graduation speeches I had heard that I had wished longer. There was only one such speech, given by Johnny Carson, specifying Carson's prescriptions for guaranteed misery in life. I, therefore, decided to repeat Carson's speech but in expanded form with some added prescriptions of my own. After all, I am much older than Carson was when he spoke and have failed and been miserable more often and in more ways than was possible for a charming humorist speaking at a younger age. I am plainly well qualified to expand on Carson's theme.

2014年12月8日月曜日

2014年デイリー・ジャーナル株主総会(3)何億ドルも損しました

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チャーリー・マンガーが取締役会長を務めるデイリー・ジャーナル社の株主総会から、今回はおなじみベルリッジ・オイルの話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 去年の話ではベルリッジ・オイル社の件が出てきましたが(過去記事)、好機だったのにもっと買わないという間違いをしたのはなぜでしょうか。どんな投資プロセスをとっているのか、教えていただけますか。

<マンガー> 当時、ベルリッジの株は店頭市場銘柄でした。非常に価値のある会社でしたよ。広大な油田はリースされたものでもなく、すべてを所有していました。土地も油田もすべてです。株価よりもずっと高い清算価値がありました。おそらく3倍ぐらいでしたね。まったくもってすばらしい油田で、操業が長くつづきました。二次回収・三次回収の可能性も相当魅力的でした。望むことが何でもできる地域全体を有していました。これは稀なことですよ。

株式をまとめて購入できる2回目の機会が提示されたときに、一体どうして断ったのでしょうか。私の頭がよそを向いていたからですね。だからあのような判断をくだしたのです。まったくもって愚かでした。ですから、みなさんがどんなひどい決断をしようと、ずっと安心していていいです。何度かあっても大丈夫です。私のおかした失敗とは「不作為によるもの」であって、「作為によるもの」ではありません。しかし、それによって3億か4億ドルぐらい損したことになります。みなさんが人生においてどんな機会を逃しても大丈夫、安心してください、そうお話ししているわけです。そういった失敗をまったくしでかさない方法は、私にはわからないですね。

Q: Last year you talked about Belridge Oil and how you made a mistake not buying more when you had the chance. Can you talk about your investment process?

Munger: In those days, Belridge was a pink-sheet company. It was very valuable. It had a huge oil field, it wasn't even leased, they owned everything, they owned the land, they owned the oil field, everything. It had liquidating value way higher than the per share price - maybe three times. It was just an incredible oil field that was going to last a long time, and it had very interesting secondary and tertiary recovery possibilities and they owned the whole field to do whatever they wanted with it. That's rare, too.

Why in the hell did I turn down the second block of shares I was offered? Chalk it up to my head up a place where it shouldn't be. So, that's why I made that decision. It was crazy. So if any of you made any dumb decisions, you should feel very comfortable. You can survive a few. It was a mistake of omission, not comission, but it probably cost me $300 - $400 million. I just tell you that story to make you feel good about whatever investment mischances you've had in your own life. I never found a way of avoiding them all.

2014年11月4日火曜日

チャーリー・マンガーの炉辺談話(5)度胸も必要ですよ

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米ウォール・ストリート・ジャーナルのブログで、ジェイソン・ツヴァイク氏がチャーリー・マンガーにインタビューした記事のつづきです。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問> 2009年3月に何十億円もの資金を、どのように銀行株へ投入したのか。(参考記事)

<マンガー> ただ資金を注ぎこんだだけですよ。目新しいものは何もありません。あれは40年に一度の好機でした。強みや知識を持つと共に度胸も備わるように、それらをうまく両立させる必要があります。能力に長けていても踏み出す勇気がなければダメですし、度胸は満点でも自分の土俵がわかっていなければ身を亡ぼします。しかし、自分が何を知らないのかよく知るようになるにつれて、度胸があることの価値は増していきます。プロのマネー・マネージャーに大学へ行かせる子供が4人いて、4千万円や1億円などの年収をとっていれば、「度胸があればなあ」とは到底考えない人ばかりでしょう。彼らの気がかりは、自分が生き残ることです。そして生き残るためには、目立つことはしないものです。

On how he sank tens of millions of dollars into bank stocks in March 2009:

We just put the money in. It didn't take any novel thought. It was a once-in-40-year opportunity. You have to strike the right balance between competency or knowledge on the one hand and gumption on the other. Too much competency and no gumption is no good. And if you don't know your circle of competence, then too much gumption will get you killed. But the more you know the limits to your knowledge, the more valuable gumption is. For most professional money managers, if you've got four children to put through college and you're earning $400,000 or $1 million or whatever, the last thing in the world you would want to be worried about is having gumption. You care about survival, and the way you survive is just not doing anything that might make you stand out.

2014年10月24日金曜日

手間をかけた決断で大損をしたGM(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1998年に行った講演「慈善財団における資産運用の現状」の3回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

しかしみなさんはこう考えるかもしれません。「私の財団では寄付金の集まりは良好だし、最高の人材を集めており、投資上のあらゆる問題に対処する際には熟慮の上で客観性を重視したプロ意識を以って取り組んでいる。だから少なくとも平均以上のはずだろう」と。それでは私からはこうお答えしましょう。プロ意識とみなされるものが行き過ぎると、そのせいでひどい目にあうことが往々にしてみられます。そうなる理由はずばり、慎重な手続きを踏むこと自体が、結論に対して過剰な自信を持つきっかけとなりやすいからです。

つい最近ゼネラルモーターズ(GM)がそのような過ちを犯し、とびっきりな顛末となりました。手の込んだ消費者調査を実施して、行き過ぎたプロ根性を発揮した結果、[ピックアップ・]トラックには4つめのドアを付けないと結論を下したのです。そのトラックは、5名がゆったり乗れる乗用車に相当することも狙って設計されたものですよ。一方の競合他社はもっと基本的なやりかたをしました。実際に5人が車から乗り降りする様子を観察したのですね。さらには、5名が快適に乗れる乗用車ではドアが4つとも利用されていることに、彼らは気がつきました。生き物とは一般に定型動作にはなるべく労力をかけず、ずっと享受してきた便益を捨て去りたいとは考えないものだ、とわかったのです。GMが下したお粗末な、やがては何百億円も吹き飛ばすことになる決定を吟味した際に、私の脳裏にさっと浮かんだ言葉はわずかに2語だけでした。そのひとつが「やれやれ」です。

同じように最近の話ですが、「ロングターム・キャピタル・マネジメント」という名で知られているヘッジファンドが、極度な借り入れに依存する手法を過信したために、つぶれてしまいました。主要な人物のIQの平均は、間違いなく160はあるにもかかわらずです。頭が切れて徹底的に働く人たちでしたが、自信過剰がもたらす職業上の災厄からは逃れられませんでした。彼らのような人たちは、自分たちには卓越した才能と手法があると自己評価し、それゆえに選んだ一層困難な旅路をさまよってしまうことがよくあります。

ものごとを考える上で用心を重ねるのは良いことばかりではなく、それによって過ちが加わることもあります。それを苛立たしく感じるのは当然でしょう。しかし良きこととは、ほとんどにおいて望ましからぬ「副作用」を有しているものです。これはものごとを考える際でも例外ではありません。それを防ぐ最良の方法とは、次の言葉に示される心がまえを抱いた最上の物理学者たちが、体系的な自己批判を徹底するやりかたです。ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンによる言葉です。「最初にくる原則とは、自分自身をごまかさないこと。なんといっても、自分をだますのがいちばん楽だからね」。

しかし異常なほどに現実的な財団がファインマンのように考えることで、投資による成果が将来低迷するのを恐れたとしましょう。なぜかと言えば、「借入れをせずに株式へ投資しても、投資にかかる全費用を控除した上で株式インデックスを凌駕できる」と仮定したくないからです。それというのも、単に財団が「ファンド・オブ・ファンズ」の道を選んでいるからですね。売買回転率が高い上に、自らを平均以上とみなしている何層もの投資顧問を使っているわけです。さて、それではこの怖がりの財団が明るい見通しを得るには、どのような選択肢が考えられるでしょうか。

But, you may think, my foundation, at least, will be above average. It is well endowed, hires the best, and considers all investment issues at length and with objective professionalism. And to this I respond that an excess of what seems like professionalism will often hurt you horribly - precisely because the careful procedures themselves often lead to overconfidence in their outcome.

General Motors recently made just such a mistake, and it was a lollapalooza. Using fancy consumer surveys, its excess of professionalism, it concluded not to put a fourth door in a truck designed to serve also as the equivalent of a comfortable five-passenger car. Its competitors, more basic, had actually seen five people enter and exit cars. Moreover they had noticed that people were used to four doors in a comfortable five-passenger car and that biological creatures ordinarily prefer effort minimization in routine activies and don't like removals of long-enjoyed benefits. There are only two words that come instantly to mind in reviewing General Motors' horrible decision, which has blown many hundreds of millions of dollars. And one of those words is: "oops."

Similarly, the hedge fund known as "Long-Term Capital Management" recently collapsed through overconfidence in its highly leveraged methods, despite I.Q.'s of its principals that must have averaged 160. Smart, hardworking people aren't exempted from professional disasters from overconfidence. Often, they just go around in the more difficult voyages they choose, relying on their self-appraisals that they have superior talents and methods.

It is, of course, irritating that extra care in thinking is not all good but also introduces extra error. But most good things have undesired "side effects," and thinking is no exception. The best defense is that of the best physicists, who systematically criticize themselves to an extreme degree, using a mindset described by Nobel laureate Richard Feynman as follows: "The first principle is that you must not fool yourself, and you're the easiest person to fool."

But suppose that an abnormally realistic foundation, thinking like Feynman, fears a poor future investment outcome because it is unwilling to assume that its unleveraged equities will outperform equity indexes, minus all investment costs, merely because the foundation has adopted the approach of becoming a "fund of funds," with much investment turnover and layers of consultants that consider themselves above average. What are this fearful foundation's options as it seeks improved prospects?

(後席ドアあり)

(後席ドアなし)

2014年10月20日月曜日

2014年デイリー・ジャーナル株主総会(1)企業の来し方行く末

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チャーリー・マンガーが会長を務めるウェスコ社(Wesco Financial)の株主総会は、チャーリーの発言がたっぷり聴けることでカルト的な人気を集めていました。しかしウェスコは親会社のバークシャーに完全買収され、チャーリーの独り舞台も終わりました。そして今や注目を集めているのが、同じくチャーリーが会長を務めるデイリー・ジャーナル社の株主総会です。

こちらはチャーリーが個人的に入れ込んでいる法務関係の会社です。9月10日に開催された総会での質疑応答は各所で取りあげられているようですが、このシリーズではForbesの記事からご紹介します。今回は企業の盛衰に関する話題です。(日本語は拙訳)

Charlie Munger And The 2014 Daily Journal Annual Meeting: A Fan's Notes (Forbes)

かなり儲けた会社が、利益は若干残っているものの、技術の進展に伴って中心的な商売がどんどん悪化している。そんな会社の歴史を繰ってみれば、行きつく先はひどいものですよ。たいていはコダックが迎えた結末になります。コダックのような商売を保有したものの、ひたすら破産へ向かって進むことを想像してみてください。それはよくある現象です。技術の陳腐化と呼ばれるものです。

歴史を振り返ってみれば、例外はわずかです。トムソン・ロイター社はそのひとつです。新聞社だった同社はテレビ局をいくつか加えました。彼らの基本的なやりかたはできるかぎり利益を絞り出して、高値で売却するものでした。そして彼らは違う商売、すなわちオンラインによる情報提供へと転じ、事業転換を成功裏に果たしました。しかしこれは稀少な例です。

もうひとつ稀な例をあげましょう。もちろんそれはバークシャー・ハサウェイです。バークシャーは落ち目の企業3社を抱えて出発しました。まずはニュー・イングランドの織物事業です。この事業は没落必然でした。織物とは電力の塊ですが、当地の料金単価はジョージア州でTVA[テネシー川流域開発公社]が管轄する領域よりもずっと高額だったからです。没落必然、倒産確実の事業でした。それから我々は、ボルチモアに4つあったデパートのうちの1つを保有していました(ホークシルド・コーン社)。絶対に破産間違いなしと思っていたので、やがてそうなったのは当然でした。そしてスタンプ会社(ブルー・チップ・スタンプ社)です。仕事がないのは当然至極でしたが、結局そうなりました。それらの斜陽3社から今のバークシャー・ハサウェイが生まれたのです。これは衰退する事業から転換できた、歴史上もっとも成功した例ですよ。我々は衰退中の一事業を抱えていたのではありません。衰退事業を「3つ」抱えていたのです。わずかばかりのものから得た超過資本を別の場所へと振り向けて、どんな人よりもうまくやってきました。事実、最近になって我々の時価総額はGE社を追い抜きました。トーマス・エジソン本人が1892年に設立したGEは、世界でもっとも強力な会社とみなされています。

これは相当な離れ業でした。しかし通常は、もっとコダック寄りの結果ですね。興味ぶかい事例がゼロックスです。彼らは消滅寸前までいきましたが、そこから復活しました。しかしかつての栄光からはほど遠いものです。他人が大儲けしたもののほとんどは、実際にはゼロックスが発明しました。にもかかわらず、同社は失敗しました。ビル・ゲイツはこの問題に関してよく学んでいますね。「ふつうは失敗に終わるのですよ」と彼は言っています。破産したGM社のことを考えてみてください。私が若かったころには、GMが経済界でいかに抜きん出た存在だったか想像できますか。最も巨大で価値が高く、褒め称えられた企業でした。しかし株主の資金はゼロになってしまいました。

If you take the whole history of businesses that make a fair amount of money and have a little surplus but their basic business goes to hell based on technological developments, the results are lousy. The normal result is Kodak (ticker: KODK). Imagine having a business like Kodak and having it go all the way to bankruptcy. That's the normal occurrence: technological obsolescence.

There are few exceptions in the history of the world. One of them is Thompson Reuters (ticker: TRI). They were a newspaper company with a few television stations added and they basically milked them as long as they could, sold them for high prices, and went into a different business - online information - and they successfully made the transition. That is really rare.

The other rare example, of course, is Berkshire Hathaway. Berkshire started with three failing companies: a textile business in New England that was totally doomed because textiles are congealed electricity and the power rates were way higher in New England than they were down in TVA country in Georgia. A totally doomed, certain-to-fail business. We had one of four department stores in Baltimore [Hochschild Kohn], absolutely certain to go broke, and of course it did in due course, and a trading stamp company [Blue Chip Stamps] absolutely certain to do nothing which it eventually did. Out of those three failing businesses came Berkshire Hathaway. That's the most successful failing business transaction in the history of the world. We didn't have one failing business - we had three. Out of that little nothing, the excess capital that we took out and put somewhere else did better than anybody's ever done. As a matter of fact, we recently passed General Electric [ticker: GE] in terms of market capitalization, and GE was founded by Thomas Edison himself in 1892, and one of the most powerful companies in the world.

It was a considerable stunt. But the normal result is more like Kodak. Xerox [ticker: XRX] is an interesting case. They went to the brink of extinction and then came back, but they are a pale shadow of their former greatness. They actually invented most of the stuff other people made so much money out of, and they still failed. Bill Gates is a big student of this subject, and he says that the standard result is failure. Imagine General Motors [ticker: GM] who went bankrupt. Can you imagine how they towered over the economy when I was young? It was the biggest, more valuable, most admired company, and it took the shareholders to zero.

2014年10月8日水曜日

チャーリー・マンガーの炉辺談話(3)綱渡り師がわかっていたこと

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米ウォール・ストリート・ジャーナルのブログで、ジェイソン・ツヴァイク氏がチャーリー・マンガーにインタビューした記事のつづきです。短いので、今回は2つの話題です。(日本語は拙訳)

<質問> バークシャーのパートナーである3Gキャピタル社のような、大企業を買収して効率経営する会社のことを、どう考えていますか。

<マンガー> コスト削減の話題は微妙なものと感じています。この話題は普通、大勢の人が職を失うことを意味します。金持ちはますます裕福になり、その一方で多くの人がクビになるわけですね。しかし突きつめてみれば、企業が必要以上の人員を雇用して効率的に経営できないようでは、世の中のためになるとは思いません。全体としてみれば、企業がよりよく運営されることで社会を発展させることにつながります。

On firms like Berkshire partner 3G Capital, which takes big companies and streamlines them:

I'm sensitive to the issue of cutting costs, which usually means a lot of people losing jobs. Rich people end up getting richer and a lot of people get fired. But ultimately, I think we don't do the world a favor by employing more people than we need for companies to run efficiently. On the whole we advance civilization when companies run better.

<質問> あなたやバフェット氏が言うところの「自分の土俵」とは、どのようなものですか。

<マンガー> 孔子曰く、「これを知らざるを知らずとせよ、これ知るなり」。これと同じことをアリストテレスやソクラテスも言っています。自分の知らないことの範囲を把握することが大切だ、ということですね。それでは、この技能は教えたり学びとることができるものでしょうか。もし結果次第で損得が大きく振れるのであれば、たぶんできると思います。自分が認識していることの限界を知ることにおいて、ある種の人たちはきわめてうまくやっています。なぜならば、それが不可欠だからです。プロの綱渡り師を20年間務めて今なお存命の人を考えてみてください。もし自分が何を知っていて何を知らないのか正しく把握していなければ、綱渡りで命を落とすことなく20年間も続けてはこられなかったでしょう。彼の人はそのことを真剣に取り組んだのです。それをしくじれば命がないとわかっていたからですね。そう、生き長らえた者にはわかっていたわけです。

自分が何をわかっていないのか。それがわかっていれば、頭が良いことよりもずっと役に立ちますよ。

On what he and Mr. Buffett call "the circle of your competence":

Confucius said that real knowledge is knowing the extent of one's ignorance. Aristotle and Socrates said the same thing. Is it a skill that can be taught or learned? It probably can, if you have enough of a stake riding on the outcome. Some people are extraordinarily good at knowing the limits of their knowledge, because they have to be. Think of somebody who's been a professional tightrope walker for 20 years - and has survived. He couldn't survive as a tightrope walker for 20 years unless he knows exactly what he knows and what he doesn't know. He's worked so hard at it, because he knows if he gets it wrong he won't survive. The survivors know.

Knowing what you don't know is more useful than being brilliant.

2014年7月30日水曜日

若い頃の投資で学んだこと(2)(ジェレミー・グランサム)

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ジェレミー・グランサムの若かりし頃の打ち明け話、前回につづいて後半部になります。(日本語は拙訳)

実のところ、1969年4月には決定的と言っていい出来事がもうひとつありました。その当時、マサチューセッツ州ニュートンにあるヴィクトリア風の魅力的な3階建ての家に、妻と私は心を奪われていました。しんとした静かな通りに面した家で、リンゴ園が隣接しており、背後にはまだ人の手が入っていない丘の斜面が続いていました。売り手の希望する値段は4万ドルでした(現在の感覚ではおそらく100万ドル以上だったでしょう)。直前に下落していたものの、我が家の資産には余裕がありました。そのため住宅ローンを借りずに家を購入し、新車のBMW2002型を買ったとしても(小型ながらも高速で目立ちすぎることもありませんでした。そしてかなり安かったのです)、まだ数千ドルが手元に残る計算でした。ところが提示した金額3万7千ドルは拒絶され、取り下げになりました。そしてその件を再検討している最中にも、手持ちの株価は崩れ始めました。振り返ってみれば、私は幸運でした。「かもしれない」にすっぱり別れを告げて、1株60ドル台前半でおさらばしたのです。結局のところ、アメリカン・レースウェイに集まった当初の群衆のほとんどは新しもの好きと好奇心によって構成され、熱狂的な客はまったくと言っていいほど付きませんでした。アメリカ人が自分たちのスポーツと感じるには、本物のレーシング・カーではなく、自分たちの乗っているような車でないとダメなのです。そんなこととは露知らずでした。さて、完全に破産したわけではなく、かといってすっかり心を入れ替えてもいなかった私は、損失分を取り返すことに熱を入れました。当然ながら、本物の勝ち馬に早々と出くわしました。その新しいアイデアとは「マーケット・モニター・データ・システム」と呼ばれるものです。後になってから振り返ってみても、まさに革新的な技術でした。どのブローカーの机上にも「モニター」つまり電子的画面を表示し、独自の市場を作ってオプション取引を行うことができました。ただし、ある数学教授によるこの発明にはあやまちが一つだけありました。時代の先を行き過ぎていたのです。その技術が完全に受け入れられたのは15年後のことでした。いや、なんとも。さて、[株価が]好調に上昇したところで、株主にもわかるようになったことがありました。「モニターがインストールされると急に費用がかかるようになるが、ビジネスは入ってこない」ことです。ほとんど皆無でした。私にとってその後の展開は、典型的な調子よりもはるかにタカのように進みました。しかし破産寸前になった2週間をなんとか乗り切り、マージン借入と銀行ローンを返済する金額を確保した上で手元に5千ドルが残りました。すでに私は起業家として会社を立ち上げており、無給で働いていました。最初の通年期末に表計算ソフトに記録されていた預かり資産は10億ドルということはなく、ディーンの友人が出した資金1件のみで10万ドルでした。幸いなことに妻がMITプレスで働いていたおかげで、ある程度の収入は得ていました。ですから、ボストン・グローブ紙を買えるのはセルティックスの重要なゲーム[バスケットボール]があったときだけで、新しい服はご法度、必要な食料は1週間に一度バック湾にあるイングリッシュ・ティー・ルームに行って買いだめすることになりました。しかし、苦い薬をかなり飲んだものです。それほど苦くないのもひとつありましたが。たとえば、ニューヨークでの18カ月を特徴づけた倹約生活は、妻にとって愉快なものではありませんでした。今と同じように当時でも、お金があると生活の質に大きな違いが出る場所でした。財産を蓄えて帰郷することは、彼女にとって価値のあることだったと思います。おそらくそうです。しかし彼女にとっていちばん不満だったのは、仕事から帰ったあとにほぼ毎回料理をしなければならないことでした。現在の働く女性ならば我慢している人はいないでしょう。まあ当然だと思います。しかし自己弁護になりますが、60年代にはそうするのが風潮だったのです。ええと、たしかそうだったような気が..。しかし私たちの蓄えが根こそぎ失われたことや、それによって私たちの基本計画がどうなるのか、つまり裕福な身で故郷へ帰るために蓄えることについては、妻は何も触れませんでした。一言もです。経済面で穴の開いた私たちのボートが浮かんでいられるように、彼女はその役割をみずから担ったのです。しかし妻は尽きることのない貸しを私に対して積み残してくれました。つづく46年間にわたって、それは消えずに残り続けました。つまりそういうことなのです..。

In fact, in April 1969 came another nearly defining event: my wife and I fell in love with a charming threefloor Victorian house in Newton, Mass on a very quiet street next to an apple orchard and backing on to some undeveloped hillside. Asking price: $40,000 (today's guess, perhaps $1 million or more). Our family capital account after its then recent decline would still have allowed us to: a) buy the house without a mortgage; b) buy a new BMW 2002 (small, fast, not too showy, and remarkably cheap); and c) have a few thousand left over. But our $37,000 offer was turned down and we backed off. And, even as we reconsidered, our stock began to crumble and I was lucky, with hindsight, to be able to say goodbye to all might-have-beens and to scramble out in the low $60s a share. It turned out that American Raceway's original crowd was based almost completely on novelty and curiosity and had nearly no hard-core followers; Americans liked their blood sports to be in cars that looked not like real racing cars, but in cars that looked just like their own. Who knew? Well, I was neither totally broke nor fully chastened, and was eager to make back my losses. Naturally, I bumped immediately into a real winner. The new idea was called Market Monitor Data Systems and this really was a breakthrough technology, even with hindsight. It was going to put a "Monitor," an electronic screen, on every broker's desk, so that they could trade in options, making their own market. This brainchild of a mathematics professor had only one flaw: it was way ahead of its time. Fifteen years later the technology was completely accepted. Oh, well. After a good rise it became clear to stock holders that expenses rose rapidly with monitors installed and no business followed. Almost none at all. And, following the developments far more hawk-like than was typical for me, I managed to leap out two weeks before bankruptcy with enough to pay down margin and bank loans, leaving me with about $5,000. By then, however, I was in an entrepreneurial start-up that paid no salary and ended its first full year not with the $1 billion under management that had featured in our spreadsheets, but with one account from a friend of Dean's of $100,000. Fortunately, my wife had a job at MIT Press, which paid about what one would expect. So, the Boston Globe would only be bought after important Celtics games, absolutely no new clothes were allowed, and once a week we would stock up on an all-you-can-eat meal at the English Tea Room in Back Bay. But, oh my, did I have lots of painful lessons to absorb and at least one not so painful. First, my wife had not been amused by the frugality that characterized our 18 months in New York, a city then and now where some spending money makes a big difference in the quality of life. For her, to go home with a nest egg was maybe worth it. Maybe. Her biggest gripe was cooking in almost every day after work. No working wife today would stand for it, and rightly so. All I can say in my defense is that that was the style in the 60s. Very weak, I know. But, when confronted with the total loss of our savings and therefore our main plan - saving to go home well-off - my wife said nothing. And I mean nothing at all. She put herself to the task of keeping our financially leaky boat afloat. My wife, however, accrued an inexhaustible supply of IOUs. Well, inexhaustible for the next 46 years anyway. So …

2014年6月12日木曜日

まちがえることについて(ウォーレン・バフェット)

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ウォーレン・バフェットが1994年にネブラスカ大学でおこなった講演その25です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問者> バフェットさんが最初に始めたときはどのようにやったのですか。また失敗したとしたら、どのように対処しましたか。

<バフェット> 最初はどうやって始めたかですか。いろんな見方がありますね。初めて株を買ったのは11歳の時でしたが、そうする前から長いこと考えていました。父が投資の仕事をしていたので、7歳か8歳の時には昔のオマハ・ナショナル銀行ビルに入っていた彼の事務所にでかけたものでした。株価の表示板に流れる株価情報が見えなかったので、自分が近視だというのがわかりました。そうでなかったら、メガネなしでずっとやっていたかもしれません。投資のことにすごく興味があって8歳か9歳の時に投資の本を読みはじめました。1942年になってようやくお金がたまり、シティーズ・サービスの優先株を1株114ドルで3株買うことができました。その後もそうやってきました。

失敗とは自分でどのように定義するかによって違ってくると思います。人生を通していろいろ間違いをするものですが、必ずしもそれが失敗だというわけではありません。実際のところ、わたしは過去を振り返りません。自分の周りから学ぼうとはしていますが、あれこれの決断がどうだったとか、どんな間違いをやったとか、そういったことを振り返って学ぶことはしません。そんな風には全然考えません。人間なら、いろいろと間違えることがあります。しかしそれの良い点は、今後いろいろ間違ったとしてもそれでも大丈夫だということです。これは勇気づけられることです。わたしのやった間違いは年次報告書の中で書くようにしています。実際には、「今回のあやまち」と呼ばれることもあるセクションを設けています。残念ながら、そこでもほとんどの年で複数形になっています。しかしそれで世界が終わるわけではありません。みなさんも致命傷を負うことは何もしたくないでしょうから、借入金で証券を保有したいとは考えないと思います。というのは、一巻の終わりとなる可能性があるからです。前進しようとして後退したくないので、わたしは重大な金額になるほどの資金を借りたことはありません。借入金は自分の間違いを拡大させる可能性があります。そして息の根を止めるまで広がるかもしれません。しかし間違いをすることが悪いというわけではありません。自分の理解していることを取り組むべきで、それがわたしがやっていることの秘訣です。これは理解していないなと自分で思えるときには、間違えていることがあります。また他人からは見えませんが、理解できるはずのものを逃した失敗もあります。それは「見送る」という間違いで、実は大物だったこともありました。あの件の[機会]費用は何十億ドルだったなどと示せると思います。踏み切れるほどには十分わかっていたのですが、ひとつふたつの理由でそうしませんでした。幸いにも、みなさんにそれらが何かは知られていませんが。

Q. Mr. Buffett, how did you first get started and how did you deal with failure, if you had one?

A. How did I first get started? It depends. I bought my first stock when I was 11, but I'd been thinking about them for a long time before that. My dad was in the investment business and I used to go down to his office in the old Omaha Netional Bonk building when I was seven or eight years old. I found out I was near-sighted because I couldn't read the quotations up on the stock board; otherwise I might have gone through life without glasses. I just got very interested in it. I started reading books on it when I was eight or nine and then I finally saved enough money to buy three shares of Cities Service preferred for $114 in 1942, and then I just kept doing it.

Failure depends on how you define it. A lot of things go wrong in life, but that doesn't necessarily mean that they're failures. I really don't look back. I try to learn from what I see around me, but I don't try to learn by going back over this decision or that decision or what did I do wrong or the sort. I don't think about that at all. You can make a lot of mistakes. The nice thing about it is you're going to make a lot of mistakes and still do very well. That's the encouraging thing. I write about my mistakes in the report. In fact, I have a section sometimes called "mistake du jour" and unfortunately it's plural most years, too. It's not the end of the world. You don't want to make any ones that are fatal. You do not want to own securities on borrowed money because that can wipe you out. I've never borrowed money of any significant amount because I just didn't want to go back to go. Borrowed money can magnify your mistakes, and it may magnify them to the point where they wipe you out. But, there's nothing wrong with making mistakes. You should try to pick things that you understand. That is the key to what I do. Occasionally I may make a mistake when I think I understand something I don't. Another mistake that you don't see is when I pass up something that I'm capable of understanding. Those are mistakes of omission and sometimes they have been huge. I could point to mistakes like that which have cost us over a billion dollars. I knew enough to do something but for one reason or another, I didn't. Fortunately, people don't see those.



2014年3月26日水曜日

これから坂を下る人(『シグナル&ノイズ』)

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読むのを楽しみにしていた本『シグナル&ノイズ』を読了しました。期待にたがわず、十分楽しめ、そして学ぶものがありました。本書では将来予測に関する世の中のさまざまな課題を取りあげています。過去の投稿で『異端の統計学 ベイズ』をご紹介した流れで本書のことに触れましたが、この本でもベイズ統計学的なアプローチや不確実性が重視されています。著者ネイト・シルバー氏が携わる本業や経験したことに関する話題は読ませる文章で、自然と引き込まれました。しかしそれにとどまらず、全般的に文章の構成・展開がこなれており、最後まで読み手を引っぱってくれる本だと思います。お勧めできる本です。

今回ご紹介するのは同書からの引用で、「結果とプロセス」の話題です。この話題は少し前に取り上げています(マイケル・モーブッサンの回)。

私たちアメリカ人は、結果が重視される社会に生きている。金持ちや有名人、あるいは美しい人を見ると、その人たちがそうなるのにふさわしい人だと考える傾向がある。こうした考え方は、自らを取り巻く状況をさらに強める性質をもっている。金を儲ける人はさらに儲ける機会を生み出し、有名人はさらに名声を高める方法を手にし、美の基準はハリウッドスターの容貌を変えるかもしれない。

別に政治的な意図はないし、富の再分配について議論するつもりもない。しかし、経験的に言って、成功というのは、ハードワーク、才能、そして機会と環境の組み合わせで決まる。ノイズとシグナルの組み合わせと言っていいかもしれない。私たちはたいていシグナルの要素を重視するが、うまくいかないときには運のせいにする傾向がある。世の中では、家の大きさが成功の大きさを意味し、そこにたどり着くまでに乗り越えてきたハードルについては誰も深く考えない。

予測に関して言えば、とにかく結果が重視される。株式相場の底を言い当てた投資家は天才扱いだ(欠陥だらけの統計モデルがたまたま当てたとしても)。ワールドシリーズで優勝したチームのゼネラル・マネージャーは、なにはともあれ、ほかのチームのゼネラル・マネージャーより優秀だとみなされる。そこに至るプロセスなど問題にされない。これはポーカーにも当てはまる。クリス・マネーメーカーも「幸運のカードをつかんだ素人ギャンブラー」という宣伝文句だったら、これほど話題になることはなかっただろう。

ときとして私たちは、運というものを予測が外れたことの言い訳に使おうとする。金融危機が表面化した際の格付会社のように。けれども、予測が外れた本当の理由は、現実に存在する以上のシグナルをキャッチしようとしたことにある。

この問題を解決する1つの方法は、もっと厳しく予測を評価することだ。結果を評価することで、安定的に正しく予測できるようになる分野もあるだろう。もう1つは、結果ではなくプロセスを重視する方法だ。データにノイズが非常に多いときにはこの方法しかないだろう。ノイズが多すぎて、どの予測が正しいのかわからないときは、予測者の姿勢や適性に注目しよう。それらは予測の結果と相関があるはずだ(ある意味、私たちは予測者がどのくらい正確な予測をするかを予測していると言える)。

ポーカーのプレーヤーは、こういうことを普通の人よりよく理解している。理屈抜きの浮き沈みを体験しているからだ。ドワンのように高い賭け金でプレーする人は、株の投資家が一生をかけて経験するような変動を1ゲームで経験することもある。いいプレーをして勝つ。いいプレーをして負ける。まずいプレーをして負ける。まずいプレーをして勝つ。ポーカーのプレーヤーなら誰でも、これらの状況を何度も経験するので、プロセスと結果は違うものだらけだということがわかっている。

一流のプレーヤーと話せばわかるが、彼らは自分の成功を当然のこととは思っていない。常に自分を改善しようとしている。ドワンは言った。「もう十分に上達した、ポーカーはわかった、と言う人はこれから坂を下る人だ」(p.360)


もうひとつ、おまけです。この手の文章は時折目にしますが、仮に半分割り引いたとしても、個別銘柄をさがす個人投資家にとっては大いなる福音だと感じています。

ブロジェット[元アナリストで、現在はBusiness Insiderを主宰]はこう語ってくれた。「トレーダーやファンド・マネージャーと話してみればわかると思うが、彼らは翌週か翌月、あるいは四半期先くらいのことしか考えていない。長期的な視点なんてものはない。ライバルと比較して、自分のパフォーマンスはどうか、という視点しかない。90日間で成果を出さなければ、クライアントは自分を切る。メディアにもこきおろされ、恥ずかしい思いをして、成績が地の底まで落ちる。こんな状況でファンダメンタルズなんて何の役にも立たないよ」(p.390)