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2013年7月20日土曜日

いずれ悲惨な時代がまたやってくる(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、最終回です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問4> 稀に起こる地政学的イベントのリスクはどうでしょうか。

<マンガー> 近年直面した危機と同じように、過去にも何度か著しく危険なできごとがありました。英国全盛時のドイツは、まさに尊敬に値する場所だったことを忘れてはなりません。そこは、カトリック教会の営む学校で若きアインシュタインが初等教育を終えた土地でした。進んだ文明の社会でしたが、経済危機や混乱がつづいたことで、文明人だったドイツ人たちはカトリックが半数を占めていたものの、ヒトラーを支持するようになりました。そして蛮行や、率直に言って思い出すだけでもぞっとする悪行がなされるようになりました。ですからカトリックの学校が子供のころのアインシュタインを教育したような裕福で品行方正な人たちの住む場所が、なにが起ころうがどれだけ大混乱になろうがずっとそのままだと断言できるとは考えるべきではありません。これは真剣にとらえるべきです。こういったことは自然に元には戻りません。ですから、このハーヴァード・ウェストレイク高校を盛り立てて共に助け合う我々のように、良き意思を持つ人たちが協力して事に当たるべきです。この世の中には、なすべきことは他にもあります。「それを直そうと最善を尽くさない人がすべての責任を負うべきである」、そのような言いぐさがまかりとおる世界に生きているとは考えていません。我々は深刻な問題を抱えているのです。この部屋を見わたすと、顔を知っている投資のプロの方がおられるようです。ハワード・マークス氏もよく存じていますが、彼は非常に頭のいい人ですからぜひ聞いてみましょう。ハワード、私の話はおおげさですか、それとも大筋で合っていますか。

<ハワード・マークス> チャーリーの話は大筋で合っていると思います。我々の抱えている問題は人間の過失からくるものと思いますが、これは治らないものです。あれこれ調整したり、勧告したり、規制によって制止もできますが、しかしたとえば強欲な人が良心に従うようになり、慎重になれるかと言えば、絶対に変われないだろうと思います。

<マンガー> 私が長い間生きてきたのは、金融業界や資産運用業界が正しい振る舞いをしていた世界でした。投資銀行は特にそうでした。現在の気ちがいじみた状況は我々にとって宿命だとは思いません。ですから、そのような時代がいずれもどってくると思います。もし今回の事態が食い止められなかったら、あるいは長引いてもっと大きな混乱になっていたら、どうなっていたでしょう。日本でお祭り騒ぎになっていた頃には、資産の価値が対GDP比率で現在の3倍もありました。その後、心理的な感じ方という意味で、彼らの純資産は転げ落ちていきました。そして日本は20年間ずっと止まったままです。ただし、これは同質的な国の人たちの話です。礼儀が重視され、権威に従順であることが良しとされている人たちです。かの国民は、忍従せざるを得ないことに対して理想的なまでにぴったりの気質を有しているのです。しかし彼らの抱えているやっかいごとが、この国でもうまくいくとは思いません。あのような結末を招いた愚劣さをさらに強めて我々でも試してみようなどとは、とても考えられません。会計基準を変更しようなどと、だれが話しだしたのでしょうか。この件でだれが会計士を追及したでしょうか。これはまさしく認知の面であやまりをおかしています。そういった人たちはみんなをしくじらせたのに、それを誇りとさえ感じています。不自由な脚を誇りにしているニーチェの登場人物のようです(過去記事)。みずからの機能不全を誇りとしているのです。問題に陥っているというのに、それを導いた人が自分の無能ぶりを誇っているのですから、大問題としか言いようがありません。ここで話してきたことは、まさにこの種のことです。正しい種類の人が引き上げられる世界が望まれています。リー・クアン・ユーがもっと力を発揮でき、バカな連中の手からは権力を減らす、そのような世界が望まれています。そのような世界になるにはどうすればよいのか、私にはわかりません。しかし私には次の世代に対して語り継ぐ義務があります。これまで自分の時間を使って、できるだけ最善を尽くそうとしてきました。私の話を聞いて怒り出す人がいるのですから、このようなたわごとをこぼしにくる理由など、実のところはありません。カントリークラブのベランダでのんびり過ごしていてもよいのです。ここにきてこのようなことをするのは、楽しいことではありません。これは、義務感に背中を押されてやっていることです。

Question #4: [Risk of a long tail geopolitical event?]

Munger: Something we came as close to as we came recently to real crisis is deadly serious. You have to remember that Germany during the Pax Britannica was a pretty respectable place, and in that place little Albert Einstein got his entire primary education from the primary schools of the Catholic Church and it was a pretty civilized place. With enough of an economic mess and enough chaos, a bunch of civilized Germans, half of them Catholic, ended up supporting Hitler and creating a barbarism and an evil that frankly makes you shiver in your seat as you remember it. So I don't think you should assume that a prosperous decent place like the one that educated little Albert in the Catholic schools is guaranteed to stay forever no matter what happens or how big the messes get. I think these things are serious and I don't think these things automatically fix themselves. I think that the good people have to join together the way we have all joined together in helping Harvard-[Westlake] School. There are other things that should be done in the world. I don't think we live in the type of world where it is at all responsible not to participate in trying to fix some of these things as best we can. We have serious troubles and I know of the investment professionals I see in the room -- I probably know Howard Marks as well as I know anybody and he is a very smart man and I'd be interested in knowing -- Howard, have I overstated it or is it close to right?

Howard Marks: No, I think Charlie it is close to right. I think that the problems we've had have stemmed from human failings and they are never going to change. You can adjust here and there, and you can encourage and dissuade with regulation -- but the ability, for example, for greed to overcome morals and prudence, will never change.

Munger: Well, I lived in a world for a long time where the behavior was better in finance and investment management -- and in investment banking, particularly. That world could come back. I don't think the present craziness is destined to be our lot. I think if this thing hadn't been checked, if it had just gone on and on and the mess had been greater - in Japan, when they had their mess, the asset values were about three times higher than they were here in relation to GDP so their fall back, in terms of psychological feelings of net worth - and Japan got twenty years of stasis. But that's a homogenous nation of people who believe in courtesy and obeying authority. They are ideally suited by nature for just what they've had to endure and I don't think we are at all well suited for the kind of a mess they had. I don't think we should test our situation with more stupidity that causes results like that. Who is talking about changing accounting? Who has blamed accountants for any of this? That is real cognitive failure. These guys have really failed the rest of us and they are proud of it. It's like Nietzsche's character who had a lame leg and said he was proud of it. They are proud of their dysfunction. It is quite serious when you have troubles and the people who do things are proud of their ignorance. We are talking about that exact kind of a thing. You want a world that elevates the right kind of people. You want a world where the Lee Kuan Yews get more power and the damn fools get less. I don't know how you get there but I have to bequeath that to a new generation. I tried to do the best that I can in my own time. I am not required to go on prattling like this when it makes some people hate me. I could be sitting on the country club porch. It isn't just the fun of doing this that brings me here, it's a feeling of duty.


<質問5> 長期的な未来という意味で、どのような激動が起こると予想していますか。

<マンガー> 長い目で見れば、有史に残されたあらゆるできごとと同じように、これからもひどい大混乱がおこるでしょう。混乱はもう過去のことだと言えるようなすばらしい段階に我々は達したとは思えません。我々の時代に起こった激動があの程度で済んだのは、非常に幸運だったのです。ヒトラーがユダヤ人を追い出す代わりに 、原子力の面で助力を得ることにしていたら、歴史はまったく違うものとなり、ずっとひどいことになっていたかもしれません。悲惨な激動を招くのは、人間が築く文明の本質でしょう。ですから、まったく揺らぎもしない凪ぎの時代が500年もつづくとは思えません。まあ、私が気にすることではないですが。(完)

Question #5: How cataclysmic do you view the longer term future?

Munger: Well, in the longer term future, there will be terrible messes as there have been in all of the reported past history of civilization. I don't think we get to a wonderful stage where all these cataclysms are past forever. I think we were very lucky that our cataclysms weren't a lot worse. Hitler could have supported the Jews in atomic energy instead of kicking them out. I mean, we could have had all kinds of different results that could have made our problems way worse. No, I would say it's probably in the nature of human civilization that there will be terrible cataclysms and I don't think you are going to have 500 years of perfect calm. Won't matter to me. [END]


蛇足かもしれませんが、ふれておきます。この講演が行われたのは2010年1月19日です。時をおかず2月6日に、チャーリー・マンガーの妻ナンシーが86歳で亡くなりました(スタンフォード大学の記事)。

2013年7月19日金曜日

チャーリー・マンガーの予言

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その18です。今回と次回は質疑応答です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

<質問1> どうして政府は、ブルックスリー・ボーン[クリントン政権時代の商品先物取引委員会委員長]が発したデリバティブに対する警告に耳を貸さなかったのですか。またあまり改革が進まないのはなぜでしょうか。

<マンガー> ブルックスリー・ボーンにはお仲間がいます。オプション取引所が始まったころに、それはひどい着想だとする意見が出されていました。ウォーレン・バフェットからでした。しかしウォーレンのことなど気に留めませんでしたし、我々のようなその他大勢に対しても同じでした。そこに強力な影響力がある以上、人間の行動の上で完璧を期することはできません。10万ドルもの札ビラが紙吹雪のように宙に舞い、金儲けとギャンブルのうずまく瘴気の中で修道院にいるかのように振る舞えと言っても、それは無理な相談です。世界はそのようには動いていませんし、人の認知がそんなにうまく働くことは期待できません。ですから、人の世の定めを非難しているわけですね。もちろん私も同じように非難してきました。しかし、あなたの指摘は的確です。かくあるべきことがそれほど実現しないのではと感じておられますが、そのとおりだと思います。ものごとが変わるには、こういった悲惨なできごとをもう2回ほど繰り返す必要があるのかもしれません。心躍る考えではないですね。

Question #1: [Why didn't the government listen to the warnings about derivatives from Brooksley Born and why isn't there much reform?]

Munger: Brooksley Born has company. When they brought in the options exchanges there was one letter saying it was a dumb idea -- and it was from Warren Buffett. They didn't pay any attention to him, either. There was a lot of us they didn't pay any attention to. These are powerful forces and in human affairs you can't expect perfection. In a miasma of prosperity and gambling with $100,000 bills floating around like confetti, you can't expect people to behave as if they were in a monastery. That is not the way the world works and you can't expect human cognition to be all that good. So you are just decrying a fact of life. Of course, I have been decrying it in the same way. But you diagnosed it correctly. I think [you are] right when [you] suspect not much that [you] want to happen is going to happen. Maybe we have two more of these messes ahead of us before things change. Not a pleasant thought.


<質問2> 重役より下の職位の人が仕事をする際に、量をこなすのではなく質の高さをめざすよう動機づけるにはどうすればよいでしょうか。

<マンガー> まだ若い人は自分のいる場所に満ちているエートス(過去記事)がなんであれ、それに倣うものです。スタンレー・オニールがトップに座って是が非でも勝たねばとやっていれば(過去記事)、エートスだってひどいものでしょう。単純なことです、その場を占めるエートス全体が、指揮系統をつたってその場の行動を変えるべきです。その手のことをひき起こしたのは強欲ではと思うかもしれませんが、それは言葉が違います。妬みです。妬みが発揮する力は強力です。投資銀行だったら、同業他社が大きくなり、うまくやっているのが我慢ならないものです。500万ドルの年収を稼いでいる人であろうと、やはり我慢できないのです。それが妬みです。モーセの戒律にあるように、隣人のロバをむさぼってはなりません(過去記事)。いにしえのユダヤ人は、羊飼いの世界でさえも妬みがあれこれと問題を起こすことをちゃんとわかっていました。妬みを金融システム全体に放りこみ、祭り上げたり煽り立てれば、そこから瘴気が湧き出してくるでしょう。あとは大混乱が待っています。妬みをある程度避ける方法について、アリストテレスがこう書いています。「結果に差がついたとしても然るべきものであれば、きちんと納得できるであろう」。ですから社会を安定させたいと願う人ならだれでも、あらゆるものをきちんと取り計らう義務があります。ほかのものと釣り合いが取れているとみなされるように、自分が受けとる報酬も含めてですよ。アリストテレスがこの世に生きていたら、きっと不機嫌な年寄りに見えるのではないでしょうか。自分の言ったことが、いまだにちゃんと吸収されていないのですから。

Question #2: [Is there a better way to motivate people who are below the executive level to do a better job getting quality business as opposed to high volume?]

Munger: The younger people are going to adopt to whatever the ethos is that suffuses the place. If you've got a Stanley O'Neal at the top that has to win, the ethos is going to be terrible. It's just that simple. The whole ethos of the place has to change for the behavior of the place [to] change down through the chain of command. By the way, you said it was greed that has caused all this, I think you've used the wrong word. It's envy. Envy is the great driver. One investment bank can't stand some other investment bank being bigger and better. Even though the guy is making $5 million a year, he can't stand it. It's envy. And envy was in the laws of Moses, you couldn't even covet your neighbor's donkey. I mean, those old Jews really knew it would cause a lot of trouble even among sheep herders. So you put it in the whole financial system and make it sacred and feed it so you have an envy driven miasma -- well, of course it's going to be a hell of a mess. The way to avoid envy to some extent was described by Aristotle. He said, ‘People will adjust better if the perceived difference in outcomes in society are perceived as just.' Therefore, everybody that wants to help society be stable should have a duty to arrange everything, including his own compensation, [to] be perceived elsewhere as just. Well, all I can say is that if Aristotle were still alive, he'd be a grumpy old man because his message hasn't fully been assimilated yet.


<質問3> 実行すべきとお考えになっている改革案は何かありますか。

<マンガー> ええ、私が統治者であればですが。この合衆国でリー・クアン・ユー[シンガポールの元首相]の立場にいるのであれば、問題を正す腹案があります。しかし当然ながら、そのような権力を持つ人はだれもいませんし、リー・クアン・ユーがこの国に生まれていたとしても、シンガポールでやったようなことは実現できなかったでしょう。大量の合法的なギャンブルが津々浦々に必要だ、資本を配分する仕組みとしてもっとたくさんカネを呼び込めるように、最高に魅力があってすごい合法ギャンブル(全くもってアホらしい)が必要だとする考えは、すべてが節度を欠いています。私ならば法令を改正して、そういった仕事に就いている人たちは別の仕事をするように強制します。しかし現実はそうはならないでしょう。ですが、わずかな改正ではそれほど大きくは変わりません。これから起きることも、そのちょっとした改正が関の山です。いずれはとんでもない惨事になることは私の目には明らかでした。もちろん、いつそうなるかはわかりませんでしたが。やがてひどいインフレがやってくると思いますが、これもいつになるかはわかりません。先のことでしょうが、結局はそうなると思います。

Question #3: [Is there a specific reform you would urge to be adopted?]

Munger: Well, if I were running the world. If I were the Lee Kuan Yew of the United States, believe me I would know how to fix this. But, of course, nobody has that power, and if Lee Kuan Yew -- if he had been born here, [he] wouldn't have been able to do what he did in Singapore. I think the whole idea that we need massive legalized gambling in every hamlet of the world and that our system of capital allocation ought to have the most attractive and powerful legalized gambling of all sucking in more money -- the whole idea is obscene. I would change the laws so that all these people would have to do something else but that isn't going to happen. I don't think minor tinkering is going to change it all that much. And I think minor tinkering is all you are going to get. I knew we'd have a hell of a mess eventually. I just didn't know when it was coming. I think I know eventually we will have a hell of an inflation mess, but I can't tell you when it is coming. It could be way in the future. But I think eventually you'll have it.


チャーリーの予言はよく当たります。

2013年7月4日木曜日

口を開けば、人をだます(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その17です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて投資銀行の話になりますが、たしかに投資関係のビジネスでもっとも憎まれているもののひとつですね。年金基金や私募の顧客から集めた資金を扱うときには、未公開企業への投資や伝統的な資産運用をする際におかしなまねはしないのですから。しかし、投資銀行家に対する憎しみを終わらせてもいいのですよ。[ワシントン・ポストの]ドン・グラハムのような人は、ワシントンで過ごした40年間で今回のような様子は見たことがないと言っています。憎しみは非常に激しく、多くの人に苦痛をもたらした非難は偽りなきものでした。ただし本当のところ、この問題から発する憎しみには商業銀行に向けるべきものもあります。商業銀行は非常に強引なやりかたで、だまされやすい人へクレジットカードを発行し、貸出しを始めました。というのは、8枚ものカードを持つような人は次から次へとカードを渡り歩いて利用するとわかっていても、会計士は収益として認めてくれると知っていたからです。

それが危険なことだとわかるには、一体どこまで賢くなければいけないのでしょうか。収益として計上できる間、彼らは気にも留めていませんでした。人をだますという道義に欠けたことをするどころか、損失が出始めた時にはさらにだまして収益をあげようとしました。これは、政府が援助する銀行システムのやるべきことでしょうか。愚かしいどころではない、罪悪ですよ。

経済学における罪悪について話す必要はありませんが、しかし罪悪には帰結がついてきます。世界は複雑なところのようで、投資銀行も同じように、特にデリバティブ取引や獲得した顧客、ひどい商品を売りつけるといった点で罪をおかしました。一同は反省し、投資銀行は謝意をあらわしましたが、それは当然のことです。ところが実際のところ、自分たちが悪いなどとはまったく感じていないのです。本心ではこう考えていると思います。「タフで果敢さが要求されるビジネスなのだから、先を越されてはならない。若い人がここで働けるように、機会をつかまねばならない。法的に売っていいものなら我々が売るべきで、他のやつらに儲けさせる手はない」。そういった連中が、ゲームに勝とうとしのぎをけずっていました。アンジェリデス[米金融危機調査委員会の委員長]はある投資銀行に対して、こう言っています。「ブレーキが故障しているとわかっていて車を売りつけるようなものじゃないか。そのあとに生命保険も売りつけるのも同じだな」。

こういったことは、人間としてとてもふさわしいと呼べるものではありません。もちろんアンジェリデスの言ったことは合っていました。返ってきた答えはこうだったのです。「ええそうですよ、異なる部門の人間が仕事をしていますからね。営業をする部門では合法的なものはなんでも販売しますし、片やリスクを管理する部門では確かなものを望んでいます。両者は会話を交わさないので、犯罪の入り込む余地はありません。我々は最善を尽くして自分の仕事に取り組んでいる、積極的な人間の集まりというだけなのです」。

ごろつきやろくでなしの時代は過去のものになったという点においても、今日の状況は救われています。その時代が終わったあとには、すばらしき社会が到来しました。みなさんも思い出せるかと思います。我々の少なからずは覚えていることです。泥棒男爵の時代をふりかえってみましょう、なかなか興味深い時代ですよ。[ジャーナリストの]アンブローズ・ビアスは[事業家の]コリス・P・ハンチントンに向かって、まさしくこう言っています。「貴殿の不誠実さは見事なまでに緻密であり、サメほどの魂も持ち合わせていない」。コリス・P・ハンチントンに対する描写としては、どんぴしゃりでした。しかし彼は、アメリカ国民が待望していた巨大な大陸横断鉄道のうち、もっとも大変な地域を敷設しています。投資銀行家である一方、相場師でもあったジェイ・グールドとラッセル・セイジの二人は、とても信じられないような人でした。彼らは鉄道を支配していたものの、輸送によって利益を得るためではありませんでした。証券を空売りしつつ値を吊り上げ、そのあとに叩き落とすために鉄道の運行を意図的に停止したのです。運営する責任がある自分の会社を操作するような、ろくでもないやつらでした。下院のある人物は彼らを正確に描写しています。「口を開けば人をだまし、口をつぐめば盗みをはたらく」。現代は、ラッセル・セイジとジェイ・グールドによって痛手を受けた後の時代です。彼らが去った後はトーマス・エジソンとヘンリー・フォードの時代がはじまりました。すばらしい偉業が数多くなしとげられ、投資銀行といえば、罪悪と愚行の積み重なった現在とは異なり、長きにわたってまっとうな振る舞いをしていました。いずれはそこに戻れるものと、期待を胸に信じることにしましょう。この現代には、ジェイ・グールドやラッセル・セイジのように市場を操作する者はいません、彼らは過去の人です。私がこうして厳しく批判しているものは、やがては消えていくことでしょう。おそらく批判そのものも。ご清聴くださって、どうもありがとう。

Now if you take investment banking, I would say that is the part of the investment profession that has gotten the worst hatred. People are not that mad at private equity or conventional investment management, you know, for pension funds or private individuals. But you can cut the hatred against investment bankers with a knife. Somebody like Don Graham says he hasn’t seen anything like it in his 40 years in Washington. I mean, the hatred is very extreme and the criticism [that] hurts the most is the criticism that is true. The truth of the matter is that some of this hatred is deserved and some of the hatred of the commercial banks is deserved. The commercial banks got too aggressive at flim-flamming people on credit cards and then they started loaning to people aggressively because they knew the accountants would let them report the income when they knew the guy had eight cards and was kind of kiting from one card to another.

Well, how smart did you have to be to know that that was dangerous? They didn't care as long as they could report the income. They didn't care about the moral failure of flim-flamming and then when they started losing money, they would just flim-flam a little more to get more revenues. Is this the way a government assisted part of the banking system should behave? It was not only folly, it was sin.

By the way, you aren't supposed to talk about sin in economics, but sin has consequences. The world is a complex place and investment banks of course got into their share of sin. Particularly in the derivative trading and in the clients they took on and the lousy stuff they sold and so forth. Everybody regrets it, and there have been apologies from investment banking which of course were deserved. But, in essence, I don't think they feel that bad about it all. They think, 'Well, we are in a tough aggressive business, we've got to get ahead, we've got to provide opportunities for the young men who come to work here. If something is legally saleable, we have to sell it. We can't let the guy on the street make more money than we do.' These are the guys that had to win the games. Angelides said to one of the investment banks, 'You were like the guy who sold a car knowing the brakes were defective and then went out and bought life insurance on the guy to whom you had sold the car.'

This is not too attractive of a human activity. Well, of course, Angelides was right. The answer was, 'Yeah, well, we've got people in different departments. The department that does the selling wants to do everything that is legal and the department that controls the risk wants to be sure -- they don't even talk to each other. There is no sin here, we are just aggressive people each trying to do his own thing the best he can.'

The other helpful thing about our present condition is that in the past we've had rascals and fools. After their era, we've had the wonderful civilization that you and I can remember. Or at least a lot of us can remember. If you go back to the age of the robber barons, it's a very interesting age. Ambrose Bierce said of Collis P. Huntington, correctly: 'He was scrupulously dishonest and had no more soul than a shark.' That was a pretty accurate description of Collis P. Huntington, but he did create the toughest section of a big transcontinental railroad that we needed. Then, if you get into the investment banking manipulators of a former age, you get into Jay Gould and Russell Sage. They were unbelievable because they controlled railroads -- not for the purpose of earning money from freight, but for the purpose of pushing the railroad down artificially as they shorted the securities and then letting it go up and dumping the securities. They were just shucking suckers by manipulating the companies they were in charge of running. Somebody in Congress accurately described those two men. He said, 'When they are talking, they are lying and when they are quiet they are stealing.' We live in the aftermath of Russell Sage and Jay Gould. They are gone, and we've since had Thomas Edison and Henry Ford. We've had a lot of wonderful achievement and investment banking had a long phase when it behaved better than it has in the recent buildup to sin and folly, and so we can hopefully believe we will go back. We don't have anybody who operates exactly like Jay Gould and Russell Sage now that they are gone. Maybe what I am decrying now will -- maybe it too will pass. Thank you.


ここまでは前座のようなもので、質疑応答の中では、重いながらも重要な話題が登場します。もう少しつづきます。

2013年6月26日水曜日

世界に名だたるカリフォルニア(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その16です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

もちろんですが正しい行いを心がけている人もいて、この部屋にもたくさん見受けられます。このすばらしい学校を支えてくださるみなさんですから、不正直な人たちのいる世界だと疑うところはありません。ここで私が申し上げられるとすれば、これは非常に深刻な問題なので、ハーヴァード・ウェストレイク高校でともに力を合わせ、不毛なことを減らせるような教育を推し進めていくべきです。もちろん簡単なことではありません。なぜなら利己的な考えが幅をきかせている上に、無意識のうちになされる妄想も逆風となるからです。この文明国は民族や宗教などの面で幾多のものから成り立っており、デンマークやノルウェイといった国とくらべるとかじ取りの難しい国です。これは今後も変わりないでしょうから、我々はもっとうまくやらなければなりません。ところが実情といえば反対で、抱えているひどい問題に対してまずく対処しています。このカリフォルニアの州民は、注意深くも2種類の人間を立法府に送り込んでいます。たがいに憎み合う極右と極左の人たちです。両派は10年ごとに示し合せ、自派にいる中道的な2,3名を放り出してひとつに合流させます。その6~8名に対して、こう名指しするのです。「この議会には、中間派の人間は不要である」。そして彼らが不利になるように選挙区を区分けします。世界でもっとも重要な国のもっとも大きな州において、我々の議会はこのようなことをしているのです。それに対して何か行動を起こしている人は、いったいどれだけいるのでしょうか。実際に何かをですよ。

あちこちで見受けられる問題について話すうちに、ずいぶん長くなってしまったようです。まさしく重要な組織にいる優秀な人たちが根深い認知上の問題に影響されていますが、これは容易に解決できるものではありません。この話もそろそろ切り上げる時分ですが、何か明るい兆しが見えるか、しばし考えてみてください。中国で何百万もの人民が飢餓で苦しんだり、災害や革命やらが起きたときに、共産党政権のやりかたはうまくいきませんでした。我々の問題よりもずっとひどいものでした。しかしそれゆえに中国に変化が訪れました。失敗が改革をひき起こしたのです。今では幸運なことに、かの国のシステムはトップに立つ人が名案を持っていれば、ものごとを変えていけるようになりました。一方、我々のシステムはそこまで単純ではないですね。しかしどうであれ、失敗はときに劇的な改革をもたらします。多大なるあやまちがあったことを権力者も認めるのです。私のみるところでは、我々が大規模な法的改革を果たすことはできないと思います。

There are people who have behaved well through this and a lot of them I can see sitting in this room. But what would you suspect with a bunch of people that are supporting a really great school? I mean, these are not the scumbags of the world. And so, all I can say is that this is very serious stuff and what we have all done together at Harvard-Westlake School is to try to create the kind of education that reduces the future nonsense. It is not easy, because very powerful forces of self-interest and subconscious powers of delusion are working against us -- and, of course, we live in a nation with different ethnic groups, different religious groups and so forth. Our civilization is a lot harder [to] manage than say, Denmark or Norway or something -- and always will be. Therefore, we should be doing it better, not worse, and of course, it is just the opposite. We have a worse problem and therefore we are governing it worse. In California, we have carefully created two types of people in the legislature: right-wing nuts and left-wing nuts who hate each other. Every 10 years they get together and each side has two or three decent halfway moderate people and they join together in throwing them out. They identify those six or eight people - 'We don't want any normal people in our legislature' - and they gerrymander them out. This is the largest state in the most important country in the world, and that is the way our legislature works. How many of us are really doing anything about it? It is something.

Well, I have probably gone on long enough about some of the problems that you can see everywhere, and surely they are deep cognitive problems that affect the very smartest people in really major institutions. They are not easy to solve. I should close with are there any hopeful signs? Well, think about that for a minute. When the Chinese government had people starving by the millions, disaster, rebellion and so forth - their ideas weren't working, their troubles were way worse than ours. That is what caused the change in China. The failure prompted the reform. Now, fortunately, they had a system where if the guy at the top got a good idea, he could change things. In our system that is not so simple. But at any rate, failure sometimes does cause significant reform, and lord knows we've had a lot of failure. As nearly as I can tell, we aren't going to get much legislative change.


中国の歴代王朝では英名とされる革命者があらわれても、やがて宦官姻戚によって衰退させられてきました。チャーリーは歴史マニアですから、必然とも言えるその成り行きは十分に理解していると思います。その意味で今回の一節は中国式のやりかたを単純に称揚しているのではなく、むしろ株式会社で採用されている独裁・寡頭制的な統治形態を待望しているように読めました。ただし、あくまでも個人的な所感です。

2013年6月10日月曜日

やっかいごとはどんどん押し付けろ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その15です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

ところで最近の危機で生じた問題に対して政府が動き、あらゆるものを国有化したのは完全に正しかったと思います。そうしなければならない問題だったのです。しかし、融資が受けられる資格を付与する手続き全体が見直される様子は、少しもみえていません。それどころか、お金がなくても教育を受けられますよ、融資してもらえますから、と教えている状況です。営利目的の教育機関の場合でも同じように多額の融資がされています。あまり勉強をしないし、それほど返済できない人に対してそういった融資をするのは、馬鹿げています。将来の見通しがたたない人でも見込みのある人と同じように融資を受けられるべきだ、と考えるかもしれません。しかしインドではそんなことはしませんし、中国や日本でもそうです。これはアメリカでおきている現象なのです。あやまった望みを抱かせたことで、多額の不良債権をかたづけるために莫大な損害がもたらされるのは明白です。とんでもないやっかいごとが生まれるだけでなく、責任感という心を堕落させています。これは非常に重要な問題ととらえるべきです。

ここまでふれてこなかった話題をもうひとつ、アメリカの偉大な哲学者チャーリー・フランケルについてお話ししましょう。彼は暴漢に襲われたことがきっかけで死に至りました。彼はマンハッタンに住んでいましたが、結局は現在とは異なる時代だったのです。襲撃死する前の彼は、責任に関する思想を築いていました。ある人の決定によって物事の行く末が決まるとき、その軽重に応じた責任をシステムに課すべきだ、とチャーリー・フランケルは考えていました。いまの融資システムは、嘘やたわごとを言う人に対していつでもただちに貸出しを取りやめるようになっていない、貸出しの質がどうであれ責任をとっていない、としていました。そのような行為は倫理に欠けており、システム自体が無責任だ、とフランケルは考えていたのです。たとえてみれば、ブレーキがおかしいとわかっているのにそのまま自動車を売るようなものです。そんなことはすべきでありません。我々がこうしてすごしている現代は、無責任なシステムのことをだれも気に留めない時代です。合法的なビジネスならば、他人へやっかいごとをたくさん押しつけられるほど望ましいわけです。ただし神はそれを知ろしめしていますよ。本物のゲームをさしおいて、この世はとうとう椅子取りゲームのようになってしまいました。音楽がやんだ時に椅子がひとつ不足するゲームです。この「新」椅子取りゲームでは、だれにも時間はたっぷりあるし、座る場所は床の上でよいのです。もちろん、これは我々自身が生みだしたものです。いつになるかはわかりませんでしたが、いずれこうなることは歴然としていました。これは極めて重大な認知上のあやまちで、我々の社会全体を激しく貫いています。ただし、みんなが問題だというわけではありません。そうだとしたらこのアメリカ社会は、当然ながら崩れ落ちていたでしょう。

I think the government was totally correct, by the way, given the problems of the recent crisis, to just nationalize the whole thing. They had to and we've got the problem, but there is very little taste that I see toward really changing the whole thing of making lending an entitlement process. But boy, teaching people they don't really have to pay and a lot of the credit being given for education, a lot of it in for-profit education. [This] is very foolish credit given to people who are never going to learn much and never going to pay much. But you know people feel that people with no prospects ought to get the same type of credit as people with prospects. They don't do this in India, they don't this in China, they don't do this in Japan. I mean, this is an American phenomenon and of course, I think it does enormous damage to shovel out a lot of dumb credit, raising false hopes. I think it creates ungodly messes and it degrades human responsibility and that is a very important subject.

Another thing that is never discussed any more is my idea of one of the great philosophers of America who was Charlie Frankel. He was mugged to death in due course because, after all, he lived in Manhattan in a different time. Before he was mugged to death, he created this philosophy of responsibility. He said the system is responsible in proportion to the degree that the people who make the decisions bear the consequences. So to Charlie Frankel, you don't create a loan system where all the people who make the loans promptly dump them on somebody else through lies and twaddle, and they don't bear the responsibility when the loans are good or bad. To Frankel, that is amoral, that is an irresponsible system. That is like selling an automobile with bad brakes and you know the brakes are bad. You shouldn't do it. Well, we've just been through a period where nobody gave a damn about an irresponsible system. If you can engage in business in some lawful way and dump trouble on somebody else through God knows what techniques, the more the merrier. It finally got to be like musical chairs, except in musical chairs, you are only one chair short when the music stops. In the new form of musical chairs, everybody has a hell of a time and is sitting on his ass on the floor. Of course, that is what we created and it was perfectly obvious that something like this was bound to happen although we didn't know when. So this is very, very significant cognitive failure and it has just shot through pretty much through the whole civilization. It isn't everybody. If it were, the civilization would perish and it would deserve to.

2013年6月1日土曜日

古きドイツ人気質の美徳(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その14です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

それはともかく、我々はそのようなおどろくべき成り行きへと歩んでいます。もし議会で共和党側が優勢になれば、アラン・グリーンスパンの信者らが登用されるでしょう。ケインズとは違って、無制限のデリバティブや市場取引、信用供与を是とする人たちです。そうだったころの市場は俊敏で自由だったし、自由市場はすぐれている、と彼らは考えています。しかしそんなことは遅かれ早かれ崩壊するのは目にみえていました。いずれ大変なことになるのは過去にも経験ずみでしたし、いつになるかはわからずとも、いつかは大きな変動がおこることはわかっていたはずです。融資の条件をゆるめてばらまけば、返済不履行の貸出しが増えて結果的には害のほうが大きくなる、と私は異議を唱えたものです。これまでの経過が証明しているように、家の借金が払えなくなった人の下支えをしても誰かを助けたことにはならないと思います。12か月間にわたって毎月苦い思いをしたあげく、友人たちの前から姿を消すことになり、エゴは打ち砕かれ、奥さんをがっかりさせるのですから。なんとも不幸なことですよ。スイスのようなところではこんなことはせずに、マイホームがほしければ収入を蓄えるか、親族から借りるかなにかします。家を買う人に甘い融資をしないという意味です。住宅価格が異常なほど高騰することをスイス人は望んでいませんし、ご存じのようにドイツ人気質なのです。我々の文化がもっとドイツ人的だったら、ばかげたことをこんなにやらなかったでしょう。ドイツ人が我々の文化へ染まっていくということではないですよ。倹約を貴ぶといった古きドイツ人気質の美徳があれば、この種のトラブルには陥らなかったということです。

フレディ・マック[住宅ローン保証会社]のトップは経済学の博士号をもっていましたが、私のところに質問しにきました。「わたしたちは何をすべきでしょうか」。60か75だかだった私はまだ若くて楽観的だったので、次のように答えました。「単純そのものです。融資のしすぎですよ。しっかりした信用のある人へ8割以内で貸出しすべきだったのに、あなたのところは危険な状況まできています。もう何もすべきではありません。山ほど雇った専門家をいろんな方面へロビー活動させているようですが、彼らのもたらす情報といえば政治家が何を望んでいるかといったことですよね。職場に戻ったら、そういう人をみんな首にするのです。一体どういうつもりかときかれたら、こう答えましょう。『政府の信用をタテに借金しすぎて、すまないがもうこれ以上は貸せないんだよ。きちんとした担保があるきちんとした人に貸すのは別として』」。この助言どおりにしていれば、すごく助かったのではないでしょうかね。少なくとも彼自身は、まだ首になっていなかったと思います。しかしながら、彼のお仲間である投資銀行家やコンサルタント、広報関係者、ロビイストからそんな助言をしてもらえると想像できますか。結局のところ、彼はしょうもないデリバティブを買いこみ、ろくでもないことに足を突っ込んでまわり、そしてとうとう破産してしまいました。

At any rate, we get into these amazing results. Then, if you take our legislators on the Republican side, they have these Alan Greenspan nuts who thought, unlike Keynes, that just unlimited derivatives and market trading and use of credit had to be good because it was a fast-acting free market and free markets are good. Of course, anybody could see that it was going to implode sooner or later. It wasn't like all human experience didn't show that there would be hell to pay sooner or later. You didn't know when, but you knew a cataclysm was coming at some time. I certainly knew. And I would argue that doling out credit easily, making a lot of loans that are likely to be unpaid does more harm than good. I think what we have just been through proves that you are not helping somebody when you prop him up in some house he can't afford and make every month agony for 12 months and eventually dispossess him in front of his friends and tear down his ego and disappoint his wife. It is a really miserable experience and they don't do this in places like Switzerland. You want to own a damn house, keep earning or borrow from your folks or do something. I mean, they are not into providing loose credit for houses. They don't want a crazy boom in housing prices and they don't want -- you know they are Germanic. If we had a more Germanic culture, we wouldn't have done as many dumb things as we've done. Not that our Germans aren't acculturated into our culture in due course, but the old Germanic virtues of thrift and so on did not get into this kind of trouble.

The head of Freddie Mac who had a Ph.D. in economics came out and sat with us and said what should we do? I was young and optimistic, being 60 or whatever I was, or 75. I said: `It's very simple. You are using so much credit and there is so much danger in what you are doing that you should make no more than 80 percent loans to people with good credit. You shouldn't do anything else. You've got a bunch of experts who you have hired to lobby everybody and to bring you information as to what the legislators want and so on and so on. You should go back there and fire them all and just say, when they ask you what you were doing, `I'm sorry, but we are using so much leverage and the government's credit and we simply can't afford to do anything with this much leverage except to make loans to sound people on sound properties.' Well that would have been very good advice if he had followed it. For one thing, he'd probably still be employed. But, of course, can you imagine the advice this man got from his friendly investment bankers, consultants, public relations type[s], lobbyists? He bought every dumb derivative and went into every dumb thing and of course the place went totally insolvent in due course.

2013年5月23日木曜日

英国式ヘッドハンティングの例(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その13です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

さて、これまでの議論でどういう話の方向性かおわかりになったと思います。そうです、規制当局の話に戻ります。SEC[米国証券取引委員会]がバーニー・マドフを糾明する不手際ぶりはどうでしょう。彼が採用していたと主張する方法で算出された数字を信じるというなら、歯の妖精を信じるのと同じですよ。ハワード・マークス[聴衆に加わっている]なら、こちらが話し終える間もなく、2秒とかからずに真実でないとわかるはずです。ところが、ハワード・マークスのように考えない人が規制当局で権力をにぎっており、災厄と言える結論をくだしました。しかし、その人たちは再任されるでしょうね。一方SECに勤めるほとんどの人はまだ若いので、いったん離れてビジネスに戻り、そしてまた当局に戻ってくるつもりだと思います。それでは、規制当局の一員たる者はいかに偉大であればよいでしょうか。不愉快なことでも、あれこれ対処するということでしょうか。すぐれた事例として、英国における法廷弁護士のシステムの話をしましょう。かの国では、本当に高潔で有能といった法廷弁護士がみつかれば、判事に任命してしまうのです。手強い一人を失った弁護側は、なおさらしっかりした準備書面を用意するようになります。よき判事として期待された彼自身もまた、よき判事でありつづけます。なぜなら英国では、もはや法廷弁護の仕事に戻らない上に、[-音声不明瞭-]なところへ足を踏み入れないからです。これは稀な例ですが、裁判官を登用する仕組みとしては、我々のやりかたよりもずっとすぐれています。ふりかえって我々の現状は、SECの委員さんたちと同じように、判事の多くは自分の世界をでて規制当局の一員に加わっています。そのため、自らの経歴や会計などの職務に起因した認知上の誤りをおかしてしまい、利害の対立があちこちで生じています。

この話題について、会計基準の権威機関の長たる女性と議論したことがあります。とても高い知能をもった最高水準の女性でした。ところが彼女はイカれているようで、こう言ってきたのです。「チャーリー、その件は整合させるべきだと思いませんか。企業が実際に保有している債券の簿価を切り上げることを認めるなら、なぜ貸借対照表の反対側にある債券の簿価を切り下げてはならないのでしょうか」。私は答えました。「正気でないことをすれば、実際に悪い影響をこの世界におよぼすからです」。彼女の答えはこうです、「そんな話はしていませんわ」。聞くところでは、彼女はまだその地位を占めているようです。

Well, you see the drift of this everywhere you turn and, of course, you turn to the regulators. Imagine the SEC, they had trouble diagnosing Bernie Madoff. You have to believe in the tooth fairy to believe he was having those figures by the methods he claimed to be using. You wouldn't have gotten that one by Howard Marks for two seconds. I mean you wouldn't have finished your sentence before he noticed it couldn't be true. But people get into powerful positions in the regulatory authority who don't think like Howard Marks. And the end result is these disastrous regulatory decisions, and then of course people get co-opted. Almost everybody at the SEC is young enough, so they want to leave and go back to business and they are going to go back to the regulated business. Well, how great a regulator is that going to be? To do a lot of unpleasant things? The English system for trial lawyers is much better. If a trial lawyer is really good, and he is really smart and so forth, they put him on the bench. That way, they get rid of one important competitor so they get more briefs, they get a good judge and he stays a good judge because he never comes back into trial lawyering and he never goes into [audio unintelligible] stuff in England. That is a much better system of getting a trial judge than we have elsewhere, but it is rare. What we have now, a lot of our judges are like the SEC commissioners that go out and join the regulated part of the world. The conflicts of interest are just rife and the failures of cognition from their background and their professions like accounting.

I had this discussion with this woman who was head of the accounting standards authority, very high IQ women, very high-grade woman. [But] nutty as a fruitcake. She said to me, 'Charlie don't you want it consistent? If we are going to mark-up bonds the firm actually owns, why shouldn't we mark-down the bonds on the other side of the balance sheet?' Well, I said: 'Because an insane result is going to have bad practical consequences in the world.' And she said: 'We don't talk that way.' She may still be there for all I know.


文中にでてくる「会計基準の権威機関」とは、おそらくFASB(Financial Accounting Standards Board)のことと思われます。

2013年5月10日金曜日

資本主義、万歳(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話その12、ひきつづき会計士の話題です。この一節でのチャーリーの皮肉は強烈です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

この[-音声不明瞭-]な文明において、いったい誰がそんな考えにみちた会計をやっているのでしょうか。そう、われらが一流の会計士です。よろこんで一族に迎え入れたい人物です。恥ずべきことなど、みじんも持たない人たちです。アプトン・シンクレアが指摘していた人物のようですね。食っていくために信じなければならないことを彼らは信念としているのです。その会計士たちには我慢しがたい考えがあります。合理性が要求される場面では現実性があること、つまり将来になってから回収されるものは合理的に判断されなければならない、という考えです。実際のところ、ここから何が感じられますか。原告側の弁護士が彼らを訴えてきて、仕事ができなくなってしまう。会計士たちはそんな風に感じているのです。彼らにとって、これは耐えられないことです。そうであれば現実と向き合うよりも、数字をまちがったままにしておき、その数字ゆえに我々が経験したようなごたごたが生じるほうをえらびます。単に自分にとって気楽な会計上の取扱いを無意識に選んでいるのです。これは、ジュールズ・スタイン眼科研究所の外科医を思い起こさせます。私は彼にこう質問しました。「白内障の手術をするのに、まったくもって時代遅れなやりかたをするのはなぜですか」。私の左目がダメになる前に、正しくもそれを診断した天才は答えました。「チャーリー、これは人に教えるにはもってこいの手術法なんですよ」。作り話などではありませんよ。実際にインターンたちを訓練するならば、ものすごくいい経験になります。ジュールズ・スタイン眼科研究所の彼が時代遅れのやりかたで白内障の手術をするのを、どうしてやめることになったのかわかりますか。彼に手術してもらうのを患者がこぞって拒否したからです。これぞ資本主義が成しとげた栄光のひとつですね。あまりに愚かしい人に対しては、拒絶という手段によって顧客はしばしば現実をみせつけることができるのです。

Who in the hell would have this kind of accounting that had any sense of all in a [audio unintelligible] civilization? It’s our leading accountants, the people you’d be glad to have marry into your family. And not one of them has the least tinge of shame. They are like Upton Sinclair, they believe what they have to believe to make a living. What the accountants can’t stand is the idea that if you made them do what rationality requires, make this thing realistic - make it a reasonable judgment about what is going to be really collected in the future. What’s really sound here? They sense that plaintiffs’ lawyers will sue them and they really won’t be able to do it. That is unendurable to them. They would rather have the figures all wrong and the figures create the kind of a mess that we’ve had than face reality. On a subconscious level, they just choose the accounting that makes it easy for them to do. It’s like a surgeon once said [at] the Jules Stein Eye Institute [when] I asked him, ‘Why are you doing a totally obsolete cataracts operation?’ This guy was a genius who correctly diagnosed my left eye before it went out for good and he said, ‘Charlie, it’s such a wonderful operation to teach.’ I’m not inventing this story. I mean, if you are really training a bunch of interns, I mean, this was a hell of a wonderful experience and you know how he stopped doing an obsolete cataracts operation at the Jules Stein Eye Institute? When the patients all voted with their feet. That is one of the glories with capitalism. If people are asinine enough, the customers will frequently bring reality to bear by voting with their feet.


余談です。チャーリーはずっと前から片目がほとんどみえないことは、よく知られた事実です。おなじように隻眼として知られる投資家にマイケル・バーリ(過去記事など)がいますが、彼もチャーリーの講演に深く共感しているとしていました。

2013年4月28日日曜日

二倍に増やして水の底(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その11です。今回は再び「新グレシャムの法則」の話題です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

こんどは銀行の貸倒引当金です。この重要な話題の舞台となる世界では、グレシャムの法則がお粗末な認識をうみ、とんでもない行動をひき起こしています。会計士が望んだ仕組みでは、貸倒引当金は保険数理にもとづいて計算しなければならない、将来の損失を予測する際には過去の貸倒損失をもとにするように、と規定されました。しかしもちろんですが、まるで異なる種類の顧客に対してまったく違う種類の貸出しをするときに、そういった過去の実績を使うのは正気ではありません。ちょっとどころではなく、まったくもってイカれています。まともな人が自分のお金でそんなことをするか考えてみればわかります。過去の貸出しはまったく異なる種類のもので、そのうえ今回のものよりあきらかに安全だったのに、その過去のエクスポージャー[損失リスクの度合い]にもとづいて今回の貸出しのエクスポージャーを判断したりするでしょうか。ところがこのとんちきな会計慣行を会計士がいったん選んでしまったことで、この仕組みに乗じたすばらしい機会がうまれました。自分の銀行を今後2,3年間で大きな利益をあげているようにみせたければ、程度の悪い貸出しをほいほいやればいいのです。それが劣悪なものと診断されるようになるまでしばらくかかるでしょうから、会計士はその貸付けを麗しき多額の収入をうみだすものとして、帳簿上はそのままにしておくでしょう。アナリストにもちゃんと説明できますし、格付け機関もその収益をうのみにしてくれます。そうしてなんだかんだをつづけるうちに、いい会社としてみられるようになります。それは災厄を招くこと必然では、と思うかもしれません。そうなったら貸出しを2倍にすればいいのです。それで前のやっかいごとを水没させられます。問題が再びおきればさらに2倍にするだけです。預金が保険で保護されていて、会計士が認めてくれる限り、それを営々と続けることができます。政府による信用保証があるので、新たな資金を惹きつけられるからです。もちろん、その信用は無制限です。

Let’s take bad debt reserving for banks. That is a really important subject in a world where Gresham’s Law is going to cause a lot of terrible cognition and terrible behavior. The accountants want a system and they ordained we have to use it that says you compute your bad debt reserve actuarially -- you look at your bad debt losses in past years, and you use that in judging what your future bad debt losses will be. But, of course, if you are making a totally different kind of loan to a different kind of borrower, using the past experience is insane. It is not just slightly insane, it is really insane. Nobody would do this with his own money who had any sense - judge his future exposure in lending based on his past exposure in making a totally different kind of loan which is obviously way safer than what he is doing now. But once the accountants chose this crazy accounting convention, then people have a wonderful opportunity to game the system. If you want your bank to look like a big earner for two or three years, just make a bunch of lousy loans that will take a while to be diagnosed as such. Your accountants will cause the loans to stay on your books accruing a lot of wonderful income and you will report it to the analysts, and the credit agencies will believe in the income, and so on and so on and so on and you’ll look fine for quite a while. You can say this will eventually come home to roost? Oh no, when it starts coming home to roost, we’ll just do twice as much more and that will swamp the old troubles coming home and when that gets in trouble we’ll double again and if you are deposit insured you can do it ad infinitum as long as your accountants will let you because you are using the government’s credit to attract the new money. And, of course, that credit is unlimited.

2013年4月17日水曜日

ヴェニスで耳を掻く(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その10です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

今度は会計という職業をみてみましょう。みなさんは会計というものが信頼に足るものとお考えですか。会計は近代文明がなした称賛に値する業績のひとつです。複式簿記は繁栄をきわめた頃のヴェニスによって広められました。ちょうど現代人が計算を学ぶように、当時のあらゆる数学の教科書には会計が載っていて教えられていたのです。ヴェニスの有力者たちには、複式簿記とは自分の耳を掻くのと同じようなものでした。往時には世界で最も重要な商業都市だったヴェニスにとって、これはとても有用なことでした。その繁栄の下、会計士は熱を入れて会計原則をつくりあげたのです。さて、会計士のなれのはてがどうなったのか。今回の惨事が起きてすこし後のことですから比較的新しい話題ですが、会計士はこの馬鹿さわぎを考えだして、つぎのように提案しはじめました。会社が存亡の危機となれば与信が完全に取り消されて、現金がなくなり何もできず買えずとなるでしょう。ですが御社の発行済み債券が額面価格の50%で売られているので、50%分の利益をあげられますよ、と。だからといって、その利益は実際の飲食や物品に使えるものではありません。その債券を買うだけの現金がないからです。しかし財務諸表の上では、実際の財務状況が悪化するほど利益をますます大きくできます。別に冗談を言っているわけではありませんよ。いま我々のいるこの国において、会計上規定されているやり方なのです。このようなやりかたが子供たちにも教えられ、企業に対して強制されています。愚かしいこと極まりないですね。

Now we turn to the accounting profession. Now you think accounting is something we can trust? Accounting is one of the glories of modern civilization. In the heyday of Venice, they really made double entry bookkeeping popular. They taught it in all the math books of that era just the way people draw arithmetic now. Anybody who was anybody in Venice knew double entry bookkeeping the way you know how to scratch your ear. This was very helpful to Venice, which at one time was the most important commercial city in the world. And so these accountants with this glorious background got into establishing their accounting principles. What did they finally come to? This is relatively new once sort of after the mess unfolded. They came up with this loon. They said if you are on the edge of extinction, your credit is utterly destroyed, you have no cash to do anything, to buy anything, but your outstanding bonds are selling at 50 percent of their face value - you have made a profit equal to 50 percent of the face value of the bonds. It’s not a profit you can eat or use because you don’t have any cash with which to buy the bonds, but in terms of the financial statement, as your real [financial] health gets worse and worse your profits get higher and higher. I’m not kidding! This is accounting the way it is ordained in this country as we sit here. They are teaching this kind of stuff to our children and forcing it on our companies. It is absolutely insane.

2013年4月8日月曜日

栄誉あるザザ・ガボールの夫(8番目の)(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その9です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

融資の大幅な規制緩和となると、デリバティブの世界は呆れかえるばかりです。合意したことがすなわち、儲けと考えられていたのですから。たしかに企業でこの業務にたずさわる財務部門の人は、リスク管理部門に対して会社のエクスポージャーを出すように指示しています。しかし、いかにも幼稚です。知能指数の高い人がこういう幼稚なことをしているのです。これは最上級ですね。これよりひどいことはそう考えられません。ザザ・ガボールの8番目の夫のような人なら、同じような認知上の栄誉をかけて競えるとは思いますが。

彼らは、「証券市場における金融上の帰結は正規分布曲線に従うはず」とみずから語るとおりのことをしてきました。この曲線は、最高の数学者とみなされている人物の名をとって「ガウス曲線」とも呼ばれています。しかし現在起こっていることを知ったら、ガウスは墓の中で怒り心頭でしょう。もちろん、ガウスが考え出した数学理論は非常に有用なものです。自分のやっていることを裏付けてくれる結果や数字をだしてくれるからです。しかし、この数学には1つだけ問題があります。前提が誤っていたのです。証券市場でもたらされる帰結は、その曲線にはプロットできないのです。証券の価格がやがて曲線に従っていくのは、神の掟によるのではなくてガウス曲線が示すところの現実だとされていました。しかし、実はそうなりません。曲線の裾野がずっと太くなっているからです。ウォーレンや私は頭の中でモンテカルロ・シミュレーション的な計算を大雑把にやっていたので、そうなるのは常々わかっていました。曲線に従わないのは明白でしたし、極端なことがしょっちゅう起きるので、正確に予測するにはその理論は使えませんでした。まあ、おはなしにならないと考えていたわけです。いうまでもないですが、その数学をわざわざ勉強などはしていません。ソロモン・ブラザーズにいたときのことですが[大株主として不祥事の立て直しに介入した]、そこではリスク管理の面々が集まってプレゼンをやる際にはこういう数字ばかり使っていました。日々の取引や、大惨事をやらかしたときや、その他もろもろも同じです。いい大人がそんなことをしているのをみて、呆れてしまったものです。そういった馬鹿げた文化に染まりきったなかで、ウォーレンと私は二人きりでした。ソロモンでは実際に、どれだけリスクをとれるか正確な数学を駆使して意思決定していました。ただし、誤った前提に基づいた上のことでした。それが正しくないことは次第に理解されていきましたが、ずっとその数学理論に浸かりきりだった上によく熟達していたので、その影響から逃れることができませんでした。私の友人が、カトリック教会から離れられないと言ったのと同じです。75歳になる彼はそれまで多大に入れ込んできました。人間は皆、自分がもっとも愛でるアイデアをそのように抱えつづけるのです。リスク管理の世界でも同じです。ですから、そうとう不合理な考えが広まっていました。

When you talk about liberal use of credit, the derivative game was just unbelievable. The things people would agree to, thinking they were making money. For sure, they had these corporate finance types who did this work showing from the risk management department, the exposure of the firm. You want to talk about childish, high IQ childish. This is right up there. It’s hard to think of anything much worse. I suppose the eighth husband of Zsa Zsa Gabor or something would be competing for similar honors of cognition.

What they did was, they said, ‘Well, financial outcomes in securities markets must be plottable on a normal curve,’ - [a] so-called Gaussian curve, named for probably the greatest mathematician that ever lived. Gauss must be turning over his grave now with what’s happening. Of course, the math was very helpful because you could come up with numbers and results that would make people feel confident with what they were doing. There was only one trouble with the math: The assumption was wrong. Financial outcomes in securities markets are not plottable. It is not a law of God that outcomes in securities prices will fall over time on a curve and [follow] reality according to Gauss’s curve. Quite the contrary, the tails are way fatter. Warren and I always knew this by doing what might be called Monte Carlo simulation in our heads, just roughly. We could just see it didn’t fit, too many extreme things happened that the math didn’t correctly predict, and so we just thought they were all damn fools. Of course, we never bothered to learn the math. We used to sit at Salomon when they made these presentations in the risk management crowd with all these figures, all the daily trading and the disaster, blah blah blah and so forth. We would just roll eyes at one another that grown men could be doing this. And yet we were only two when the whole culture was into this craziness. People were actually making decisions about how much risk to take, based on the application of correct math, based on an assumption that wasn’t true. And by the way, people gradually knew it wasn’t true. But by that time they had gotten so enculturated in the math and they were so good at it they couldn’t give it up. It’s like a friend of mine who said he couldn’t give up the Catholic Church, he’s too invested in it. You know he’s 75 years old. We all get that way with our best-loved ideas, and it happens to people who get ideas about risk management. So there was just a lot of serious irrationality.


Wikipediaによれば、ザ・ザ・ガボールは当年96歳とのこと。チャーリーよりか、少しお姉さんの年頃ですね。

2013年3月28日木曜日

ピーターの法則(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その8です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

概して、ゲームに参加しているのは大部分が男性というのが興味深い点です。すっかり熱をあげて損失のほとんどを被っているのは男性です。ウォール街に行ってトレーディング・ルームをみてください。電話に向かってどなっていたり、ストリップ・クラブに繰り出している女性はあまりいませんね。大量のテストステロン[男性ホルモンの一種]のおかげで、現在の我々は災厄に陥っています。昇進して偉くなっているのは、当然のことながら運動部の大会で好成績だったり、チームのキャプテンだった人です。みなさんは資産運用の業界で働いている人が多いでしょうから、どんな事情かはご存じでしょう。みんなから望まれる人というのは、他の人がそろって信頼を寄せ、だれからも好かれ、負けしらずで、物事をやり抜くことができる人、さきほど触れたようなチームのキャプテンになる人です。レイサム・アンド・ワトキンスという法律事務所ではそういう人だけを雇い、若干の例外を除けば他の人は相手にしませんでした。自分たちが何を求めているか自覚していたので、まあ彼らにとってはうまくいきました。しかし資産運用の仕事という観点では、この手の人はまったくもって不適切な性格のタイプです。営業部門ならいいかもしれませんが、運用部門には入れたくないものです。投資について意思決定をする上で役に立ってくれるのは、ここにお座りの方のようにちょっと変わった独特な人たちのほうです。これも人の世におけるもうひとつの問題ですね。「ピーターの法則」を見つけた人は正しかったのです。組織の階層を昇進していく様子をみると、高すぎる階層を占めている人はよくいますし、巨大なエゴやらを一式かかえた人がまるで検討されないまま地位につき、権力を手にしていることもしょっちゅうです。この真剣な問題に対して、いったい何ができるでしょうか。この問題はウォール街には関係ないと思う人は、主だった投資銀行のトップの人となりをみるとよいでしょう。スタン・オニールとかなんとかいう人がメリルリンチにいましたが、あれは風刺画ですね。

アンソニー・トロロープ[19世紀のイギリス人作家]がそのような人物を創造していたとしたら、こう言われたことでしょう。「極端すぎて、そういう人とはうまくやっていけっこない」。ばかばかしいと感じられるかもしれませんが、うまい皮肉とはみてもらえないと思います。このことは、いやというほど何度も繰り返されてきたことです。今こうして大きな面倒をかかえていることを不思議に感じるかもしれません。しかし非常に強力な力が解放され、つまり「無秩序」という名の極めて強大な力が広がるのを許されたことで、現在のひどい状況がもたらされたのです。資本主義や証券市場は常に周期的に変動するものと考えていたものの、そのような人たちを華々しく持ち上げ、また極端なまでに融資規制を緩和したことでひどく悪化した結果を招いてしまいました。

By and large, and it’s interesting to think about, it’s mostly a male game. The nuts who did most of this damage are male. You go into a trading room on Wall Street and you won’t find many women barking into the phones and going to the strip clubs. There is a lot of testosterone in our present troubles, and of course, the people that get promoted logically are sort of like the people that win our athletic contests and get to be captain of the teams. Many of you were in investment management and you know how it works. Everybody wants the guy that everybody else trusts, who can’t stand to lose, that everybody likes, and tends to get things done -- and I just described the captain of the team and so forth. There is a law firm in town, Latham and Watkins, that galloped past everyone else and that is all they would hire with some exceptions. They knew what they wanted and, boy, did it work for them. Of course, if you are in investment management, it’s exactly the wrong personality type. Maybe you want them in the sales department, but you don’t want them managing the money. It’s the cranky peculiar people like those sitting here who will better serve you in making these decisions. That is another problem with life. [The] guy who invented the Peter Principle is right: You know we all get promoted in hierarchies and, of course, half the time some guy gets one category too high and of course half the time you have someone who is utterly unqualified for this spot he is sitting in and yet he has the power. He’s got a big ego and everything else. What do you do about this? This is a serious problem. If you don’t think this is a problem with Wall Street, look at the personality profiles of the people that headed our main investment banks. They were caricatures. Stan O’Neal or whatever his name was at Merrill --

If [Anthony] Trollope invented a character like this, you would say, ‘It’s too extreme. I can’t get by with this one.’ It would be regarded as foolish, not as effective satire. That just happened again and again and again. And you are surprised we have this big mess on our hands. Some very powerful forces have been unleashed here. Some very powerful forces of unreason have been allowed to flourish. Of course we get a big mess. We always were going to have cyclical fluctuations in capitalism. We always [were] going to have cyclical fluctuations in securities markets. But to have them magnified so greatly, and to have such exacerbation of the result by this extremely liberal use of credit -


文中に出てくる「ピーターの法則」は、以下の本で詳しく書かれているようです。わたしは未読ですが、amazon.co.jpの書評をみると、どうやら楽しめる作品のようですね。

ピーターの法則 創造的無能のすすめ (著者:ローレンス・J・ピーター)

2013年3月19日火曜日

最高に魅力的な、尊敬に値する賭博(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その7です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

まあ、それはともかく、無制限の取引は文明にとって大きなプラスになるとその人たちは考えたのです。経済学者のような人たちがそろってケインズを崇拝するのは、なんとも皮肉なものです。そんなことは考えていなかったのですよ、彼は。ケインズはこう言っています、証券を取引できる市場は、これまでに創造されたもので最も魅力的な賭博場のひとつだ。賭けごとの持つ楽しみがそろっており、そのうえ尊敬を集めている。さらには、各種手数料の分を失うゼロサムゲームとは違って、手数料を払った上で実際に利益をあげることができるのだから、と。人間が生み出したもっとも魅力的な賭博の手段ということで、ならば大きくて良きものにすれば文明の進展にもよかろうと考えた経済学バカがいたわけです。この理論がいかにうまく機能しているか、おわかりですね。非常に自由な市場や証券に対する麗しき学術的信仰を試すものとして、かくもすばらしき「取引が多いほど望ましい」市場があるわけですから。それだけにとどまらず、彼らはデリバティブと呼ばれる新種の証券もつくりました。証券市場でイカれた勝負に出る人は当時からいたので、マージン取引の規制が定められ、投機するために借金できる金額は制限されていました。そこでオプションの取引所をつくり、デリバティブをうみだし、レポ取引のシステムもこしらえたのです。てっとりばやく金持ちになりたがっている血気盛んな人が待ち望んでいた最高のギャンブルが、こうして作りあげられました。まさしく、これまでに起きたもっとも魅力的なできごとと言えるでしょう。もちろんですが、いずれ大流出をまねき、最後にはとてつもなくやっかいな状況に陥ります。そうならないほうがおかしいですね。

Well, so at any rate, these people got the idea [that] unlimited trading is a big plus for civilization. It’s [ironic] that the economists and most of these people worship Keynes - who thought no such thing. [Keynes] said a liquid market of securities is one of the most attractive gambling devices ever created. It has all the joy of gambling, plus it’s respectable. Furthermore, instead of being a zero-sum game, where you are bound to lose the frictional cost, it’s a game where you can pay the frictional cost and actually make a profit. This is one of the most seductive gambling devices ever invented by man, and some nut who took economics thinks that the bigger and better it gets, the better it is for wider civilization. You now see how well that theory has worked. We made a wonderful market test of all this wonderful academic faith in utterly free markets and marketable securities - the more trading the better. And not only in marketable securities, but they have new securities called derivatives. In the old days, knowing that people went crazy gambling in securities, they had margin rules. You could only borrow a limited amount to speculate with. [Then] they brought in option exchanges, they brought in derivatives, they brought in the repo system -- they created the most wonderful gambling game for anybody with blood really coursing in his veins who wants to get rich quick. This is one of the most attractive things that ever came down the pike. Of course, it runs the great exodus and creates a big mess in the end. How could it not?

2013年2月28日木曜日

グリーンスパンの失敗(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その6です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

学術界の失敗にふれたので、次は規制当局のほうに目を転じましょう。FRBのアラン・グリーンスパン、彼はアイン・ランドの読みすぎです。自由市場では何が起きても、たとえ殺人であったとしても基本的には許されるべきだ、と彼は考えたのです。頭のいい善良な人でしたが、勘違いをしていました。概してひとつのイデオロギーにとりつかれていると、度が過ぎた予測は身を滅ぼします。経済学がその道を歩み、アラン・グリーンスパンは誤った認知をしてしまいました。その原因は、いたって単純なことです。かれらは、自由市場は他のものよりもずっと予想しやすい手段だと考えていました。資本主義システムがある程度進展すれば、たとえば企業の資本を拠出した人が持ち分を売ったとしても、再び投資にまわすだろうと論じたのです。やめたければ退出する道も選べるのだから、誤った立地のレストランを買ったのとはわけが違うだろう、と。それが正論ならば、本当に自由で流動性の高い証券市場のほうが望まれるものだろうし、大きくてすごいほど文明の進展という意味でもいっそう望ましいことだ、と経済学者たちは結論づけたのです。

私がまだハーバードのロースクールに通っていたころは、1日に取引される株式が百万株に達することは稀でした。今ではそれが数十億株になっています。アラン・グリーンスパンのような経済学者の予想では、いずれ数兆株になると見込まれています。毎日数兆株も取引される世の中では 、我々の文明はうまくいっているとは言えないでしょう。このような愚の骨頂こそ、もっと本気になって将来を予測すべき問題です。もちろん30億とか40億株というのも多すぎですよ。今ではコンピュータプログラム同士で取引しており、本来は工学の分野で働くべき賢い人たちが大挙して、ヘッジファンドや投資銀行やアルゴリズム・トレーディングを手がけるようなところで働くようになりました。これがGDPの大きな割合を占めています。しかし、GDPの計算方法自体も奇天烈なものですね。犯罪がひどくて夜警を雇わざるをえなくなっても、GDPに数え上げられるのですから。経済学では、深く突きつめて考えようとする人はいません。というのも、より正確に現実に迫ろうとすれば、問題は混沌とし、複雑さを増していくからです。

With academia failing us, now we turn to what happened with our regulators. Well, Alan Greenspan at the Federal Reserve overdosed on Ayn Rand. Basically he kind of thought anything that happened in the free market, even if it was an axe murder, had to be ok. He’s a smart man and [a] good man, but he got it wrong. Generally, an over-belief in any one ideology is going to do you in if you extrapolate it too hard, and that’s what happened in economics. What happened in economics that caused Alan Greenspan’s cognitive failure is very simple. They reasoned correctly that a free market would be way more predictive than anything else, and they reasoned correctly that once you had a fairly advanced capitalist system - if the people that were putting up the capital could sell their pieces of ownership in the company to other people, they’d be more inclined to invest because it gave them an option to get out if they wanted to leave. It’s not like buying a restaurant in the wrong place. Then they reasoned that if that was true, if you had a really free, liquid, wonderful market in securities, that would be wonderful, and the bigger and more wonderful it was, the better it was for the wider civilization.

When I was at Harvard Law School, seldom did a million shares trade in a day. Now billions of shares trade everyday, and economics professors like Alan Greenspan presumably are looking forward to trillions. Our civilization is not going to work better if we have trillions of shares traded everyday. It’s the most asinine idea you could ever have to extrapolate so vigorously, and of course three or four billion shares is way too many. We have computer programs that are trading with other computer programs. We have many of the bright people who ought to be doing our engineering going to work at hedge funds and investment banks and algorithmic trading places and so on and so on. We’ve got this big share of the GDP - and by the way, the way GDP is calculated is peculiar. If the crime is so bad that I have to hire a night watchman, that adds to the GDP. Nobody in economics wants to look very deeply because it makes their problem messier and more complicated as you make it more correctly approaching reality.

2013年2月15日金曜日

物陰に潜んでいる愚劣(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その5です。心理学の有用性を熱心に説くチャーリーですが、一方で心理学者の不手際に対しては厳しい視線を向けています。なお、前回分はこちらになります。(日本語は拙訳)

たしかに、優秀な教授陣を抱えた心理学部では、彼らの専門用語でいうところの「自己奉仕バイアス」[成功は自分のおかげ、失敗は他人のせい]に陥らないよう、若者に対して指導しています。しかし、そういう自分たちときたら、男の子がチョウを収集するかのように、心理学の実験結果をあつめるだけの人ばかりです。成果を披露したり、他のチョウ蒐集家と知り合いになるのを楽しんでいるだけで、実験結果同士を総合することはほとんどなされていません。リスクに直面したときには、心理学によって得られた知見を使い、それらを合成することで、複雑で雑然とした状況下で正しい答えを導きだしてくれる強力なしくみを構築することが望まれるでしょう。しかし心理学の先生にそうお願いしても、助けてはくれません。他の学問分野のこともいろいろ調べ、心理学を使ってそれらを流麗に合成したいなどと言い出せば、心理学部から脱落したりするのが現実です。かつてホワイドヘッドが学術分野における宿命的な非連携について話していたことを、思い出します。まったく、あの馬鹿どもときたら、重要なアイデアをあらゆる分野から学び取ったり、学際的に合成した上で現実をみつめる義務などない、と考えているのだ。高いIQの持ち主でありながらも、井の中の蛙で満足しているのだ。このような過ちをすっかり犯しているのは、そもそも心理学のイロハを教える時点で、うまくやる方法をわかっていないからです。非常に重要な発明や発見を数多くなした心理学の教授でも、文明を推し進めるという意味では、それほどには寄与していません。ないよりかあったほうがましですが、学術界が果たしうる最高の水準からみれば、ひどい失敗にとどまっています。認知の面で薬学は最上級ですし、生物学もよい傾向にあると考えますが、自然科学や工学から外れて社会科学に足を踏み入れるときには、くれぐれも用心することです。あらゆる物陰に潜んでいる愚劣が襲いかかり、打ちのめそうとしてくるからです。

We have psychology departments with distinguished professors, surely they can teach our young to avoid - the psychology term for this is ‘self-serving bias.’ Surely the psychology department is teaching our children to avoid this. Well, it’s not so. The psychology department is full of people who collect psychology experiments the way a boy collects butterflies. They just like listing them and knowing the other people who collect the butterflies and so forth. Very little synthesis is done from one experiment to another, and if you ask them to synthesize - where you use the findings of psychology against the risks of reality, and through synthesis create a powerful machine that will get the right answer in a complex mess - the psychology professors are not going to help you. In fact, you’d be sort of dropped out of a psychology department if you purported to know a lot of non-psychology and integrate it beautifully with psychology. It goes back to what Whitehead said. He talked about the fatal unconnectedness of academic disciplines. Those bastards feel no duty to master the big ideas in all the disciplines and get synthesis and reality across the disciplines. They are rewarded in their own little shop for being silly and monomaniacal and with their high IQs. They do all this terrible mischief because they don’t know in a functional way what they teach in Psychology 101. The psychology professors who invented and discovered a lot that is very important, they are not really helping the wider civilization all that much. We’re better off having them than not having them [but] in terms of what is the best that can be in academia, it has failed us horribly. With hard science and engineering excepted - [and] I think the cognition of medicine tends to be quite good in the best places and biology also tends to be good - but boy, you get into the rest of the social sciences and you have to be very wary because there is an asininity trying to clobber you up behind every rock.

2013年2月1日金曜日

白いものでも、黒に見える方法(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その4です。前回はこちらです。今回の話題は、身に覚えのある人も少なくないかと思います。しかし話の聞き手として、高校生も参加しているのでしょうか。(日本語は拙訳)

経済学のことはいろいろ話しましたので、企業財務の話題に戻りましょう。こちらも、てんでお話になりません。価格変動の大きな株式を買えば、年間7%の超過利益が得られる。そんなことを信じている人には、こう聞いてみたいですね。子供のころに教えられた歯の妖精をいまだに信じているのですか、と[抜けた歯の始末のこと]。そのボクちゃんたちですが、7%を達成するために、それ以上精を出そうとしない。これではまるで[不思議の国のアリスの]「いかれ帽子屋のお茶会」です。しかし実際に、頭のいい人たちがたいそう馬鹿げたことをしているのです。その手の人たちの多くが、強力な慣習の下で働いていることも関係しているでしょう。法務に携わるろくでなしが、新グレシャムの法則に直面するのと同じです。同じような圧力に負けてアホなことをやらかしている例は、他でもみられます。よくあるのが学術界ですね。シカゴ大学の例をあげてみましょう。この学校では、自由市場を奉じるオーソドックスな経済学を教えています。ある友人の子供さんがその経済学部で先生をやっていますが、市場というものは大学が教えているほどには完璧ではない、と彼は信じていました。しかし、その見方は隠さざるを得ませんでした。わざとたわごとを信じているならばともかく、この高名な大学の経済学部で[音声不明]できるチャンスは皆無だったからです。たしかに雇用関係というのは、こういったことばかりですね。雇われて働くということは食い扶持のために必要なことですが、これは一般的にいって他のどんなものよりもお粗末な認識を招きかねない要因です。作家のアプトン・シンクレアによる発言が白眉です。「食っていくには黒だと信じなきゃならない人を、実は白なんだよと覆すのはすごくむずかしい」。こうなってしまうのは、潜在意識の段階で脳が自分自身をだまし、かわいい自分にとって良いことならば、それは信じるべきと考えてしまうからです。誤った認識を起こしているのは、人の心の中にある目には見えない現実であって、悪意があってやっているわけではありません。それゆえ、この問題は対処するのが非常に難しいのです。

Well, I've done enough for economics, let's go on. Corporate finance is beneath contempt. Believing just by buying volatile stocks you make an extra 7 percentage points per annum, I mean those people still believe in the tooth fairy and yet it is taught to the children. On the other hand, the children don't have to work very hard to get there so it's a Mad Hatter's tea party -- but this is the real world as [it] exists. You have these extremely dumb things being done by these smart people. But a lot of them are under big institutional pressure like the poor bastard in the law department who has to face the new Gresham's Law. Of course, that kind of pressure is on all these other people that are doing these dumb things, many in academia. I had a friend who had a child in the economics department at Chicago, very free market orthodox economics, and [the child] didn't believe the markets were quite as perfect as they thought at the University of Chicago and he had to hide his views. There wasn't the slightest chance he could do [audio unintelligible] at the economics department at a really great university unless he pretended to believe twaddle. Of course, employment is full of this sort of thing. Generally, the employment relationship - the need for money - causes more terrible cognition than any other single factor. Upton Sinclair said it best of all. He said, ‘It is very hard to get a man to believe non-X when his way of making a living requires him to believe X.' On a subconscious level, your brain plays tricks on you and you think [that] what is good for the true little me is what you should believe. Of course, it's very hard to deal with since it's not conscious malevolence that's causing the bad cognition -- it's the subconscious reality of the human mind.

2013年1月23日水曜日

一族のひとりに迎えたい人なのに(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その3です。前回から続いています。(日本語は拙訳)

いずれにせよ、こういったばかげた考えは学術界が考え出したことです。ただし工学や芸術や科学の分野からではなく、すべて社会科学の分野が生んだものです。経済学には芸術や科学を連想させる片鱗がみられることもありますが、私としては、その学問は社会科学の範疇に含めたいと考えます。

経済学の教科書で教えているグレシャムの法則は、「悪貨は良貨を駆逐する」というものです。しかし現代では悪貨を集めてもたいした額にはなりません。硬貨の素材には、溶解すれば高い価値のある貴金属は今では使われていないので、25セント硬貨を溶かすと10セント硬貨の価値とくらべてどうなるか、などと考える人はいないでしょう。グレシャムの法則は、現代社会を語る際の第一歩ではなくなったのです。悪貨は良貨を駆逐しますが、経済学的にみるとまぎれもなく重要なのは、新しい形のグレシャムの法則のほうです。それは貯蓄貸付組合の危機の際に、「悪しき貸出しは良き貸出しを駆逐する」という形で露呈しました、このモデルがいかに強力か、あらゆる人にふりかかった災厄を考えてみてください。たとえば小さな金融機関をやっていて、もはや信用を失った建設業者に対して融資しているとしましょう。普通の人がやるようなおろかなことには手を出しませんでしたが、あるとき某ペテ・ジョンソンのほうがバカなことをたくらみ[空手形を切られるの意]、これが大事となってしまい、愛するビジネスを縮小するはめになりました。経歴をかけて信頼してくれた人たちを解雇することにもなるでしょう。さもなければ、多額のおろかな貸出しをするかです。そのようなときにバークシャー・ハサウェイでは、縮小の道を選びました。ただし誰ひとり、首にはしませんでした、職場から出てゴルフにでも行くように伝えたのです。おろかな貸出しをしようとは全く考えていませんでした。しかしそのような選択をするのは、なかなか難しいことです。社会で指導的な立場にある人が、解雇される人の就職を手助けしたり、奥さんや子供さんと顔を合わせたりするわけですから。それゆえに、悪い貸出しは良い貸出しを駆逐してしまうのです。

悪い貸出しだけにとどまりません。悪しきモラルも良きモラルを駆逐します。大都市の下町で小切手を換金する事業を営んでいれば、100%以上の利益をあげるのは、契約面で相手をだます場合だけです。取引相手をだますつもりがなければ、それらの人はマイノリティーのことが多いですが、100%以上もの利益は得られないはずです。その事業が相続したものだったり、バカな義理の息子に経営を任せていたりすれば、他になにが起きているのか知らないでしょう。これが私が言うところの「大人の問題」で、ほとんどの人は「大人のやり方」で対応しています。つまり、ごまかしを黙認することを学ぶのです。しかし、充実した良き人生を謳歌したい人にとっては、このやりかたをとるべきではありません。これこそ、ある種のグレシャムの法則、新グレシャムの法則です。経済学の講義では教えていないので、ぜひ教えるべきです。この問題は真剣にとらえなければなりません。経済危機を引き起こした原因とも深くかかわっています。「この人だったら、婿や嫁として一族に迎えたい」、そう思えるような人たちでさえも、新グレシャムの法則の影響のもとで悔やみきれないようなことをしでかすからです。

At any rate, these ridiculous ideas came out of academia. This wasn’t true in engineering and arts and science by the way. The idiotic ideas are all from the social science department and I would put economics in the social sciences department although it has some tinges of reality that remind you of arts and science.

In economics textbooks they teach you Gresham’s Law: Bad money drives out good. But we don’t have any bad money that amounts to anything. We don’t have any coins that are worth a lot, that have precious metals that you can melt down. Nobody cares what the melt-down value of the quarter is in relationship to the dime, so Gresham’s Law is a non-starter in the modern world. Bad money drives out good. But the new form of Gresham’s Law is ungodly important. The new form of Gresham’s Law is brought into play - in economic thought, anyway - in the savings and loans crisis, when it was perfectly obvious that bad lending drives out good. Think of how powerful that model is. Think of the disaster that it creates for everybody. You sit there in your little institution. All of the builders [are not good credits anymore], and you are in the business of lending money to builders. Unless you do the same idiotic thing [as] Joe Blow is doing down the street. Pete Johnson up the street wants to do something a little dumber and the thing just goes to a mighty tide. You’ve got to shrink the business that you love and maybe lay off the employees who have trusted you their careers and so forth or [make] a lot of dumb loans. At Berkshire Hathaway we try and let the place shrink. We never fire anybody, we tell them to go out and play golf. We sure as hell don’t want to make any dumb loans. But that is very hard to do if you sit in a leadership position in society with people you helped recruit, you meet their wives and children and so forth. The bad loans drive out the good.

It isn’t just bad loans. Bad morals drive out the good. If you want to run a check-cashing agency in [a] downtown big city, more than 100 percent of all the profit you could possibly earn can only be earned by flim-flamming people on the finance contracts. So if you aren’t willing to cheat people - basically minorities - more than 100 percent of the profit can’t be earned. Well, if you inherited the business or your idiot son-in-law is in it, you don’t know what else to do. This is what I would call an adult problem and most people solve it in the adult fashion: They learn to tolerate the cheating. But that is not the right answer to people who want to live a larger and better life. But it is a form of Greshem’s Law, the new Gresham’s Law. One that is not taught in economics courses and should be. It is a really serious problem and, of course, it relates deeply to what happened to create the economic crisis. All kinds of people who you would be glad to have marry into your family compared to what you are otherwise going to get did things that were very regrettable under these pressures from the new Gresham’s Law.

2013年1月9日水曜日

一文で済ませていいのですか(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーによるハーヴァード・ウェストレイク高校での講話、その2です。前回から続く文章です。(日本語は拙訳)

経済学に端を発したこれらの概念は企業財務の世界へと進み、資本資産価格モデルをつくりあげました。これまた、たわごとに過ぎないものです。しかし我々の子供の代ではみんな教わってますし、ロースクールでもとりあげています。たとえ理解していない人でも、仏教のマントラのように繰り返せたものです。これを覚えて試験の時にそのまま反復できた人には、Aなどの成績が与えられました。ご察しのとおり、こういう人たちが社会に出ると、良識や思慮ある考え方を脅かすものです。しかし、ハーヴァード大学などでこの件に関わっている人は、誰もそんなことを気にかけたりしませんでした。頭のいい人たちがそのようなひどく馬鹿げたことをするのは何ゆえと思いますか。

無理やりひねりだすことはありません。生きていれば、そういった重要な教訓を含んだ非常識な事例が度々とびだしてきて、驚かせてくれるものですから。ポール・サミュエルソンと共に取り組んでいたのも、ものすごく頭のいい人たちですよ。アラン・グリーンスパンも、ポール・サミュエルソンほどではないですが、ずば抜けていました。その後、彼らは他のアイデアもいろいろ考えだして経済学の世界に広めました。しかし良いアイデアだったものの、概して言えば十分な影響は及ぼしませんでした。15年ほど前の私はそういったアイデアを知らなかったため、経済学の入門レベルの教科書で有名なものを3冊通読しました。経済学の単位はひとつも履修したことがなかったのです。サミュエルソンの本の後継たる、かの有名なグレゴリー・マンキューの本では「賢明な人は機会費用によって意思決定する」と20ページ目に書かれています。しかし1000ページにわたる中で機会費用に触れられているのは、これっきりでした。ここで是が非でも申し上げておきたいのですが、いろいろ取り上げられている他のたわごとと比べたら、機会費用という考えには一文では済まされないほどの価値があると思います。

バークシャー・ハサウェイでは常々[音声不明瞭]考えがでてきても、2秒ちょうどで足蹴にしてきました。すでに手にしている機会のほうが新たにきたものより良いとわかっていたら、新しいほうを検討するのに2秒も費やしたいと思いますか。ここにいるみなさんは、そんなことはしないところから来られた方ばかりと承知しています。馬とうさぎと何かもうひとつ手に入れたら、あとはうさぎが手持ちの機会費用をくらべてどれを即座に除外したらよいか考えてくれるでしょう。しかし、責任範囲の違うところが考えることですから、分散しておいてもらう等が必要です。機会などどうでもいいと考えるのは楽ですが、ひとつに限るのではなく、よりよい結果を得るための異なる手段をいくつもさがすことが大切です。

現実の生活において正しく意思決定する方法は、機会費用に基づいて行うことです。結婚しようとするならば、かなうかぎりの最善の配偶者をむかえるべきです。人生の他のことについてもまったく同じです。実りある人生をおくりたいならばそれらを見極めなければなりませんし、そうしたくなければ、よき成果を得ないように努めねばなりません。売込み上手な人ならば、うまく手にいれられるでしょう。

Then these ideas from economics drifted into corporate finance, and they got the capital asset pricing model -- also pure drivel. They taught it to all of our children and the law schools picked it up. They didn't understand it, but they could repeat it like a mantra from Buddhism, and people would learn it and regurgitate it on the examinations and they'd get As and so forth. Of course, they got out into the real world and they were menaces to decency and sound thinking. That didn't bother the people at Harvard [University] or any of the people that were doing it. And you say, how can smart people do such immensely dumb things?

You don't have to make this stuff up. Life will constantly surprise you with these ridiculous examples which teach important lessons. These are seriously smart people who took up with Paul Samuelson. Alan Greenspan is a seriously smart person although not as smart as Paul Samuelson. Then they got other ideas and these spread, and the good ideas that are buried in economics by and large weren't emphasized enough. I don't know, 15 years ago or so, I rifled through the three leading textbooks in introductory economics - I'd never taken a course in the subject - and I read through them. About the 20th page of Mankiw's famous book, which succeeded Samuelson's famous book, the guy says smart people make their decisions based on opportunity costs. Well, that was the last time opportunity cost was discussed in 1,000 pages. I want to tell you that compared to the other drivel that was discussed, opportunity cost deserves more than one sentence.

Berkshire Hathaway is constantly kicking off ideas [audio unintelligible] in about two seconds flat. We know we've got opportunity X, which is better than the new opportunity. Why do we want to waste two seconds thinking about the new opportunity? Many of you come from places that don't do that. You've got to have one horse, one rabbit, one something or rather, and that rabbit is going to be thinking about something which would be ruled out immediately by an opportunity cost available generally to the place ? but, it's a different department. You have to be diversified and so on and so on. It's easy to drift into this idea that opportunities don't matter, you've got so many different ways of doing things that are better. It isn't better.

The right way to make decisions in practical life is based on your opportunity cost. When you get married, you have to choose the best [spouse] you can find that will have you. The rest of life is the same damn way. You have to figure these things out if you want good results in life, and if you don't, well, you have to pretend that you can get good results in life. If you have enough sales ability, maybe you can get by with it.


文中にでてくるマンキューの本とは『マンキュー経済学』と思われます。日本版はミクロ編とマクロ編の二分冊になっていますが、機会費用は基本原理のひとつとして紹介されているため、どちらにも同じ文章が載せられています。ミクロ編ではp.7に第2原理として書かれています。

「あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である」


なおチャーリーが読んだものが第何版なのか不明ですが、日本版の第2版ではミクロ編p.76にも比較優位の話題とともに機会費用が登場しています。

2012年12月21日金曜日

チェスの名人たちを、目隠ししたまま相手にする(チャーリー・マンガー)

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現代の古典ともいえるチャーリー・マンガーの講演は少しばかり古いものが多いのですが、比較的近年のものが公開されていたのでご紹介します。以下のサイトから、Scribdへアップロードされたファイルにリンクされています。

Charlie Munger Lecture at the Harvard-Westlake School (Santangel's Review)

題名にでている「ハーヴァード・ウェストレイク高校」とは以前にとりあげたプレップ・スクールのことで(過去記事)、チャーリーが理事会に関わっている高校です。また、この講演にはオークツリーのハワード・マークスも同席していたようです。

今回から始まるこのシリーズでは、上記のテキストを全訳していきます。PDFファイルで10ページほどの文章ですが、毎度のことながら、のんびりペースで進めていくことをご容赦ください。

ハーバード・ウェストレイク高校におけるチャーリー・マンガーの講話
(2010年1月19日)
Charlie Munger at Harvard-Westlake School January 19, 2010

ジム・ギブソン:
チャーリー、なぜそんなにたくさんの頭脳明晰な人が過ちを犯したのでしょうか。[金融危機のこと]

チャーリー・マンガー:
ああ、それはすばらしい質問ですな。私自身もまったく同じ謎を明かしたいと、これまでかなりの時間を割いてきたものです。非常に優秀でしっかりした人たちが、よってたかってまるでおかしな判断を下し、災厄を招くことがあります。はっきりいって、これはいたるところで見かけられますね。その原因のいくつかは若いころに合点していましたが、この件にはすごく興味があったので、その頃に自分なりに悟りを開きました。6人ものチェスの名人を相手に、しかも目隠ししながら勝負を挑んで勝ちを得るなんて、できっこないと。神は、そのような力をチャーリー・マンガーには与えて下さらなかったのですね。「しょうがないな、わたしがずっと堅実にやっていくのだったら、そういう人たちのように愚かではいけないんですね」。そうしてきたのが、今の私です。

バークシャー・ハサウェイが注目されているのは、我々が何かコツをつかんだように見えることも、その理由のひとつかと思われます。しかしそれは、目覚ましいといったものではなく、単にバカなことを避けているだけのことです。結局は同じことでしょうと思うかもしれませんが、まあ、そうなのかもしれません。しかし我々のようにやってみれば、より深く理解してもらえると思います。つまり、賢い人たちを誘う愚かさの主だったものを見つけ出し、考えたり組み立てるパターンを体系化するのです。そうすれば、その手の愚かしさにはまり込むことはないと思います。さて、現在の状況は、きわめて聡明な人がそろっている場所にも関わらず、ものすごい認知上の誤りがあちこちで起きています。これは本当に興味深いことですね。

それでは、一連の事例をざっとながめていきましょう。まずは学術界による過ちです。最高水準の大学にいる教授連が、完璧にばかげたアイデアにとりつかれています。筆頭にくるのが効率的市場理論ですね。その昔、マッキンゼーに多大なる影響を及ぼした人が、ワシントン・ポストの株が1/5の値段で売られているときに同社に来て、こう発言しました。「株を買ってはなりません。効率的市場理論によれば、会社全体を買う金額の1/5で売られるということはありえないのですから」。当然ながら、こういった愚かな概念を信奉するような心の持ち主は、それを否定するような事実が出てきても、科学における伝統や心の中にある良識に、まるで従わないのです。彼らは何十年間にもわたって、このたわごとを我々の子供に教え込んできましたし、なんともまあ、今でも同じことをやっている人がたくさんいます。この概念は経済学の代表的な教科書にも載っており、ポール・サミュエルソンのような頭のいい人が信じているものです。彼は本当に頭脳明晰な人ですよ。では、賢い人がそのようなばかげた考えをずっと抱いてきたのはなぜでしょうか。もう少し事例をたどった後で、またこの主題に戻ることにします。

Jim Gibson:
Charlie, why did so many smart people get it wrong?

Charlie Munger:
Well, that is a marvelous question and it is such a marvelous question that I have devoted a big chunk of my life to studying that exact question. It was obvious to me for some reason, at an early age, that a great many very brilliant and disciplined people made perfectly screwy decisions that were disastrous -- and that it happened, frankly, wherever I looked. I found this extremely curious, and somehow early in life I got the idea that I would never be able to play chess blindfolded against six Grandmasters and win. God just did not give Charlie Munger any such skill. But I said, ‘Oh my gosh, I cannot be as asinine as all these other people if I just kind of work at it steadily for a long time,' and that is what I did.

I think part of the popularity of Berkshire Hathaway is that we look like people who have found a trick. It's not brilliance. It's just avoiding stupidity. You say it is the same thing just stated differently -- well, maybe it is the same thing just stated differently. But you understand it better if you go at it the way we do, which is to identify the main stupidities that do bright people in and then organize your patterns for thinking and developments, so you don't stumble into those stupidities. Of course, this present situation involves massive cognitive failure at a great number of places dominated by very, very bright people, and that is quite interesting.

Let's just go through the list, briefly. Academia failed. The professors at our greatest universities [have] perfectly asinine ideas -- first, about efficient market theory. One of those people influenced McKinsey [& Company] so much that McKinsey came to the Washington Post at the time it was selling at one-fifth of what it was plainly worth as a share of the total enterprise, and said, ‘You can't buy [the stock] in because, under efficient market theory, it can't be worth a fifth of what people would pay for the whole company.' Of course, the kind of mind that would keep a stupid idea like this when they have a fact that would clearly refute it -- it clearly violates traditions of science and mental decency. They taught this drivel to our children for decades and, by God, a lot of people are still doing it. It was in the major textbooks in economics and people as smart as Paul Samuelson [believed it] -- and that is a significantly smart man. How do smart people get such dumb ideas and hold them so long? I'll try to come back to that theme after I've enumerated more examples.