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2018年6月24日日曜日

妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト(GuruFocus創業者)

2 件のコメント:
コメント欄でリュウジさんがご紹介くださった本『とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法』を少し前に読みました。投資で利益をあげるにはさまざまなやりかたがあると思いますが、本書ではあくまでもひとつのやりかたにこだわっています。題名が示すように「とびきり良い会社をほどよい価格で買う」、これだけに焦点を当てて平均以上の成績をあげるための戦術論全般を説明しています。対象読者としては「株式投資中級者」を想定しているようです。チャーリー・マンガー的な信条をそのまま掲げている点には感心しましたが、あとは本書のやりかたで望む成果をあげられるかどうかですね。

さて本書から今回引用するのは、p. 197に掲載されている「妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト」です。これは完全無欠なものではないですし、状況によって要否が変わることもあるでしょう。しかし「あくまでもひな形として参考にし、個々人が吟味発展させる」という意味では、役に立つと思います(たとえば日本企業を評価する場合には、このままでは適用しにくい)。なによりも明文化され、リスト化されていることに意義があります。

なお、訳語「優良企業」に対応する原語は"Good companies"のようです。妥当な訳出だと思いますが、念のため記しました。

妥当な価格で優良企業を買うためのチェックリスト

1. 私はこの事業を理解しているか。

2. 企業を守る経営上の堀があるおかげで、今後5年から10年間、同じか類似した製品を売り続けることができるか。

3. この業界は変化が激しいか。

4. この企業には多様な顧客基盤があるか。

5. 固定資産が少ない事業か。

6. 景気循環に大きく影響される業界か。

7. この企業にはまだ成長の余地があるか。

8. 過去10年間、好景気のときも不景気のときも常に利益を出し続けてきたか。

9. 営業利益率は安定して2桁を維持しているか。

10. 利益率は競合他社よりも高いか。

11. 15%以上のROIC(投下資本利益率)を過去10年にわたって維持しているか。

12. 一貫して2桁の成長率で、売上高と利益を伸ばしてきたか。

13. 財務基盤がしっかりしているか。

14. 経営陣は自社株をかなり保有しているか。

15. 経営陣の収入は似た規模の他社と比べてどうか。

16. インサイダーはこの企業の株式を買っているか。

17. 内在価値やPER(株価収益率)で測った株価は妥当か。

18. 歴史的に見て、現在のバリュエーションはどうか。

19. これまでの不況期に株価はどうだったか。

20. 自分の調査にどれくらいの自信があるか。

著者であるチャーリー・ティエン氏が触れているように、上記のリストには投資界の達人たちが示した教えが取り入れられているので、たとえばフィル・フィッシャーの15項目と似たものがあります。ただし上記のリストは定量化しやすい項目ばかりになっているのが特徴的です(本書内で解説あり)。もちろんそれは、著者が運営する投資サイトGuruFocusで定量的評価ツールを提供していることの裏返しでもあるでしょう。しかし、閾値を厳密に定める評価には長短があることを承知していれば、「達人の教えをなるべく定量的に実践試行しつづける」ことでも、相応の成果をあげられると思います。

2012年1月26日木曜日

株式投資で利益をあげるのに必要な16の要因(ウォルター・シュロス)

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今回ご紹介するのは、前回取り上げたウォルター・シュロスが現役時代の1994年に発表した文章です。こちらが引用元のPDFファイルです。真偽はともかく、シュロスのファンドのレターパッドにタイプされています。グレアムから受けた教えの影響が強くみられますが、債券にこだわらない点は異なっています。インフレの時代を乗り越えてきた者として、ウォーレン・バフェットと同じ見方をしています。(日本語は拙訳)

1.価格こそが、価値をはかるのにいちばん大切な要因だ。

2.企業の価値を見定めよ。株式は企業の一部所有をあらわすものであって、ただの紙切れではないことを忘れないように。

3.企業価値を見定める際には、まずは簿価からみるようにしなさい。負債は株主資本とは等価ではない。

4.辛抱強くあれ。株価はすぐには上がらない。

5.聞いたうわさやちょっと株価が動いたからといって買わないこと。そういうのはプロにやらせておきなさい。それから、悪材料が出たからといって売らないように。

6.孤独を恐れずに、自分の判断を信じなさい。完全無欠とはいかないから、自分の考えのどこに弱点があるのか、さがしなさい。一段階下がったら買い、一段階上がったら売ること。

7.一度決めたら自分を信じる勇気を持ちなさい。

8.投資上の哲学をもって、それに従うようにしなさい。上に挙げたものは、うまくいくことを私自身が確かめてきたやりかたです。

9.売るときは急いで処分しすぎないこと。適正と思われる価格になったとき、例えば株価が50%あがると売って利益を確定するように言われるが、一度で売るのではなく、何度かに分けてもよい。売る前にはもう一度企業の価値を評価しなおして、簿価に見合った金額で売られているか確認すること。また相場の状況について、例えば、利回りが低くPERが高いか、歴史的に見て相場は高水準か、みんなは楽観的な様子か、といったことを知っておくこと。

10.株を買うときは、経験上、直近数年来での最安値あたりで買うのがよい。125[ドル]の高値をつけた株価が60[ドル]まで下がっていると魅力的に思えるが、3年間も意気消沈したあげく、結局20ドルで売ることになる。

11.利益に目をむけるよりも資産の割安度に目をむけて買うようにしなさい。短期で見ると利益は大きくふれるが、それにくらべて資産のほうはそれほどは変化しない。利益に注目するのであれば、企業についてより知りつくさなければならない。

12.尊敬する人の助言はきくこと。それをうのみにせよということではない。他でもない、[投資しているのは]自分のお金なのだから。ふつうは、増やすより維持するほうが大変なことを忘れないように。いったん大穴をあけてしまうと、とりもどすのは大変なのだから。

13.感情に任せて判断しないように注意しなさい。こわがったり傲慢な気持ちで株を売り買いするのは最悪のことだ。

14.複利の効果を忘れないように。年利12%で再投資しつづけると6年で2倍になる。これが72の法則で、72を利回りで割った答えが、当初資金が2倍になるのにかかる年数を示している。[72 ÷ 12 = 6年]

15.債券より株式を選ぶとよい。債券では利益が限られているし、インフレになると実質価値が減るからだ。

16.借金には注意せよ。仇となることがある。

1.Price is the most important factor to use in relation to value.

2.Try to establish the value of the company. Remember that a share of stock represents a part of a business and is not just a piece of paper.

3.Use the book value as a starting point to try and establish the value of the enterprise. Be sure that debt does not equal 100% of the equity. (Capital and surplus for the common stock).

4.Have patience. Stocks don't go up immediately.

5.Don't buy on tips or for a quick move. Let the professionals do that, if they can. Don't sell on bad news.

6.Don't be afraid to be a loner but be sure you are correct in your judgement. You can't be 100% certain but try to look for weaknesses in your thinking. Buy on a scale [down] and sell on a scale up.

7.Have the courage of your convictions once you have made a decision.

8.Have a philosophy of investment and try to follow it. The above is a way that I've found successful.

9.Don't be in too much of a hurry to sell. If the stock reaches a price that you think is a fair one, then you can sell but often because a stock a goes up say 50%, people say sell it and button up your profit. Before selling try to reevaluate the company again and see where the stock sells in relation to its book value. Be aware of the level of the stock market. Are yields low and P-E ratios high? Is the stock market historically high? Are people very optimistic etc?

10.When buying a stock, I find it helpful to buy near the low of the past few years. A stock may go as high as 125 and then decline to 60 and you think it attractive. Three years before the stock sold at 20 which shows there is some vulnerability to it.

11.Try to buy assets at a discount [rather] than to buy earnings. Earnings can change dramatically in a short time. Usually assets change slowly. One has to know much more about a company if one buys earnings.

12.Listen to suggestions from people you respect. This doesn't mean you have to accept them. Remember it's your money and generally it is harder to keep money than to make it. Once you lose a lot of money it is hard to make it back.

13.Try not to let your emotions affect your judgement. Fear and greed are probably the worst emotions to have in connection with the purchase and sale of stocks.

14.Remember the work of compounding. For example, if you can make 12% a year and reinvest the money back you will double your money in six years, taxes excluded. Remember the rule of 72. Your rate of return [divided] into 72 will tell you the number of years to double your money.

15.Prefer stocks over bonds. Bonds will limit your gains and inflation will limit your purchasing power.

16.Be careful of leverage. It can go against you.

個人的に強く共感できるのは、3.の簿価にこだわる点です。現在の日本の株式市場ではお買い得企業が多いので、このシュロスの教えを胸に、じっと辛抱といったところです。現預金が豊富で、経営陣が株主本位で、商売もまずまず順調で、そんな企業が「あれもこれも毎日特売」ですよね。